(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087466
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/20 20060101AFI20220606BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20220606BHJP
【FI】
A01G9/20 A
A01G9/02 103W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199406
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】520251405
【氏名又は名称】株式会社ハンモ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 茂治
【テーマコード(参考)】
2B029
2B327
【Fターム(参考)】
2B029KA01
2B029KA04
2B029KA06
2B029KA10
2B029SA04
2B029SA07
2B327QA05
2B327UB09
2B327UB16
2B327UB17
(57)【要約】
【課題】植物に伝わる温度を効率的に調節することが可能な植物栽培装置を提供する。
【解決手段】植物を栽培可能な栽培ベッドと、温度調節手段とを備える植物栽培装置であって、栽培ベッドは、上方に向けて開口する収容部と、収容部の少なくとも一方の側壁から幅方向外側かつ鉛直方向下方に向けて傾斜する傾斜部と、収容部と傾斜部との間に形成された空間とを有し、傾斜部は、熱伝導性を有し、温度調節手段は、空間内に配されており、傾斜部を介して該傾斜部近傍の温度を調節可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培可能な栽培ベッドと、温度調節手段とを備える植物栽培装置であって、
前記栽培ベッドは、
上方に向けて開口する収容部と、
前記収容部の少なくとも一方の側壁から幅方向外側かつ鉛直方向下方に向けて傾斜する傾斜部と、
前記収容部と前記傾斜部との間に形成された空間と
を有し、
前記傾斜部は、熱伝導性を有し、
前記温度調節手段は、前記空間内に配されており、前記傾斜部を介して該傾斜部近傍の温度を調節可能に構成されている
ことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記温度調節手段は、ヒートパイプである
ことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
前記栽培ベッドは、前記収容部が幅方向に沿って複数配置され、該栽培ベッドの幅方向両端部に前記傾斜部をそれぞれ有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記複数の収容部は、互いに熱伝導可能に接続されている
ことを特徴とする請求項3に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
前記栽培ベッドは、金属により形成されている
ことを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項6】
前記栽培ベッドは、ロールフォーミングにより形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培室内における植物の栽培に使用される植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビニールハウス等での植物の栽培において、植物を効率的に栽培するために空調器により室内温度の調整が行われている。例えば、特許文献1には、温度計により測定された温度に基づいて加熱体を動作させ、土壌層および室内の空気並びに排水路を暖めるとともに、換気口部を開閉動作させ、室内の温度を調整できる温室が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の温室は、室内全体を暖める必要があるため、多大なエネルギーコストがかかるという問題がある。また、室内全体を均一に暖めることが困難であり、場所によって温度にむらができ、植物の育成に悪影響を与えるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、植物に伝わる温度を効率的に調節することが可能な植物栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明に係る植物栽培装置は、植物を栽培可能な栽培ベッドと、温度調節手段とを備える植物栽培装置であって、前記栽培ベッドは、上方に向けて開口する収容部と、前記収容部の少なくとも一方の側壁から幅方向外側かつ鉛直方向下方に向けて傾斜する傾斜部と、前記収容部と前記傾斜部との間に形成された空間とを有し、前記傾斜部は、熱伝導性を有し、前記温度調節手段は、前記空間内に配されており、前記傾斜部を介して該傾斜部近傍の温度を調節可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る植物栽培装置において、前記温度調節手段は、ヒートパイプであることが好ましい。
【0008】
本発明に係る植物栽培装置において、前記栽培ベッドは、前記収容部が幅方向に沿って複数配置され、該栽培ベッドの幅方向両端部に前記傾斜部をそれぞれ有することが好ましい。
【0009】
この場合において、前記複数の収容部は、互いに熱伝導可能に接続されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る植物栽培装置において、前記栽培ベッドは、金属により形成されることが好ましい。
【0011】
この場合において、前記栽培ベッドは、ロールフォーミングにより形成されることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、植物に伝わる温度を効率的に調節することが可能な植物栽培装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る植物栽培装置を概略的に示す斜視図である。
【
図3】一方の傾斜部と温度調節手段を概略的に示す拡大断面図である。
【
図4】変形例に係る植物栽培装置を概略的に示す断面図である。
【
図5】他の変形例に係る植物栽培装置を概略的に示す断面図である。
【
図6】更に他の変形例に係る植物栽培装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る植物栽培装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0015】
本実施形態に係る植物栽培装置1は、
図1~
図3に示すように、植物を栽培可能な栽培ベッド10と、温度を調節可能な温度調節手段20とを備えている。なお、栽培対象とする植物は、例えばイチゴ、レタス、トマト、キュウリ、レモン、ズッキーニ等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、種々の植物を栽培対象とすることが可能である。また、栽培方法としては、例えば土壌栽培、水耕栽培等の栽培方法が例示されるが、これらに限定されるものではなく、種々の栽培方法を使用することが可能である。さらに、植物栽培装置1は、高設ベンチ等に載置可能に構成されても良い。
【0016】
栽培ベッド10は、
図1に示すように、上面が開放された断面略コの字状の収容部12と、該収容部12の少なくとも一方の側壁から幅方向外側かつ鉛直方向下方に向けて傾斜する傾斜部14と備えている。
【0017】
栽培ベッド10は、金属製の板材をロールフォーミングにより成形することで形成されている。ここで、ロールフォーミングとは、複数組の成型ロールによって平らな素材を目的の断面形状に成型する板金加工方法である。本実施形態に係る栽培ベッド10は、このようなロールフォーミングにより成形されることにより、長手方向に沿って繋ぎ目なく連続する大型の栽培ベッドを構成することができ、これにより、水の液漏れ等のおそれが極めて低いという利点を有する。なお、栽培ベッド10は、本実施形態では、長手方向(
図1中のX方向)の長さが例えば3m~18m程度であり、短手方向(
図1中のY方向)の長さが例えば60cm程度の長尺な形状を有しているが、これに限定されず、長手方向及び短手方向の長さは任意に設定可能である。
【0018】
栽培ベッド10に用いられる金属としては、例えば、ガルバリウム鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、鉄等が例示され、特にガルバリウム鋼、ステンレス鋼が好適であるが、これに限定されるものではない。また、栽培ベッド10には、金属障害の発生を防ぐために、腐食防止等の種々の公知のコーティング処理等が施されることが好ましい。
【0019】
収容部12は、
図2に示すように、長手方向に沿って延びる長尺状の底面12aと、該底面12aの長手方向に沿って延びる両側縁全域から上方に向けて延びる左右一対の側壁12b,12cとを有する断面略コの字状に形成されている。本実施形態において、収容部12は、幅方向に沿って2つ配置されている。
【0020】
底面12aには、
図2に示すように、下方に向けて凹む凹部13aが設けられている。凹部13aは、収容部12内にポット3を載置した際に、ポット3の下面と凹部13aとの間に空間が形成されるように構成されている。このように、凹部13aが設けられることで、水はけを良くすることができるという利点がある。
【0021】
一対の側壁12b,12cは、
図2に示すように、底面12aの側縁全域から上方に向けて延びている。具体的には、底面12aの側縁全域から上方に向けて延びる下部壁部13aと、下部壁部13aの上端から幅方向外側かつ斜め上方に向けて傾斜して延びるパネル支持面13bと、パネル支持面13bの上端から上方に向けて延びる上部壁部13cとをそれぞれ有している。本実施形態において、一方側(傾斜部14側)の側壁12cの高さと、他方側(隣接する収容部12側)の側壁12bの高さは、略同位置であり、他方側の側壁12bは、隣接する収容部12の他方側の側壁12bと、連結部15を介して連結されている。ここで、収容部12の側壁12b,12cの高さとは、載置面から収容部12の側壁12b,12cまでの高さ方向の高さをいう。
【0022】
複数の収容部12は、連結部15を介して、互いに熱伝導可能に接続されていることが好ましい。すなわち、これら側壁12b,12c及び連結部15は、熱伝導性を有することが好ましく、これにより、一方の収容部12における熱を他方の収容部12に伝達し、栽培ベッド10全体の温度を均一化させることが可能に構成されることが好ましい。
【0023】
傾斜部14は、
図2及び
図3に示すように、収容部12の少なくとも一方の側壁12cから幅方向外側かつ鉛直方向下方に向けて傾斜するよう構成されている。具体的には、傾斜部14の上端部は、各収容部12の一方側の側壁12cと連結部15を介して連結されている。このように、収容部12の一方側の側壁12cと傾斜部14とが連結部15を介して離間するように形成されることによって、収容部12の一方側の側壁12cと傾斜部14の間に十分な大きさの空間Sを形成することができるが、これに限定されず、一方側の側壁12cの上端部と傾斜部14の上端部とが直接連結されていても良い。なお、本実施形態において、これらの収容部12及び傾斜部14は、一体として形成されているが、これに限定されず、別部材として形成されても良い。
【0024】
傾斜部14は、
図2及び
図3に示すように、後述する温度調節手段20を載置可能なフランジ16を有している。具体的には、フランジ16は、傾斜部14の下端から内側に向けて水平方向に延びる延出部16aと、延出部16aの縁部から上方に向けて延びる返し部16bとを有する。延出部16aは、後述する温度調節手段20を載置可能に構成されている。返し部16bは、温度調節手段20の脱落を防止することが可能に構成されている。
【0025】
本実施形態において、傾斜部14の高さは、収容部12の側壁12b,12cの高さと略同位置である。ここで、傾斜部14の高さとは、載置面から傾斜部14の上端部までの高さ方向における直線距離をいう。また、傾斜部14は、長手方向の全域に亘って平滑な面であることが好ましいが、上方に向かって凸となる湾曲面や、下方に向かって凹となる湾曲面等の種々の構成を採用可能である。
【0026】
傾斜部14の傾斜角度θ1は、0°以上90°未満の範囲内において任意に設定することが可能であり、例えば、5°~60°の範囲内であることが好ましく、10°~45°の範囲内であることが更に好ましい。ここで、傾斜部14の傾斜角度θ1とは、
図3に示すように、栽培ベッド10を水平面上に載置させた状態における、水平方向に対する傾斜部14の傾斜角度をいう。このような傾斜角度θ1とすることで、植物の花の近傍の温度を暖め易くするという利点がある。また、植物の茎や実が真下に垂れ下がること防ぎ、植物の茎や実を支えることが可能となると共に、使用者が収穫し易いという利点がある。
【0027】
傾斜部14は、その表面(収穫対象となる植物との対向面)に、収穫対象となる植物が映える色(例えば反対色)の着色が施されていることが好ましく、例えば、収穫対象となる植物が赤系色(イチゴ等)である場合には、その反対色である緑系色の着色や、白系色の着色が施されていることが好ましい。このような着色が施されることにより、収穫対象となる植物を視覚的に認識しやすくなり、また、例えば自動収穫ロボット等によるカメラを用いた自動収穫に際し、収穫対象となる植物の識別精度を高めることが可能となるという利点を有する。
【0028】
傾斜部14は、熱伝導性を有しており、後述する温度調節手段20の熱を伝わり易くするように構成されている。具体的には、
図3に示すように、温度調節手段20からの熱は、空間Sに放熱され、空間Sの熱は、傾斜部14を介して空気中に放熱される。
【0029】
温度調節手段20は、
図2及び
図3に示すように、空間S内に配されており、傾斜部14を介して該傾斜部14近傍の温度を調節可能に構成されている。ここで、傾斜部14近傍とは、傾斜部14の上方に位置する植物に至る領域をいう。
【0030】
本実施形態において、温度調節手段20は、ヒートパイプである。ヒートパイプは、栽培ベッド10の長手方向の長さを有しており、その内部を空気や水が流れるように構成されている。すなわち、本実施形態に係る温度調節手段20は、ヒートパイプ内を流れる空気又は水の温度を変えることで、傾斜部14を介して該傾斜部14近傍の温度調節を可能に構成されている。ヒートパイプの材質としては、アルミ、ステンレス、鉄、銅等の金属が挙げられる。
【0031】
なお、ヒートパイプに流れる空気又は水の温度は、植物の特性に応じて任意に設定することができ、温水や暖気に限定されず、冷水や冷気でも良い。また、温度調節手段20は、ヒートパイプに限定されず、種々の任意の温度調節手段を採用することが可能である。本実施形態において、ヒートパイプは、2つの収容部12を挟むように、側壁12cと傾斜部14によって形成された空間Sにそれぞれ配されている。なお、温度調節手段20は、2つの収容部12の間に配置されても良い。
【0032】
以上説明したとおり、本実施形態に係る植物栽培装置1は、植物を栽培可能な栽培ベッド10と、温度調節手段20とを備える植物栽培装置1であって、栽培ベッド10は、上方に向けて開口する収容部12と、収容部12の少なくとも一方の側壁から幅方向外側かつ鉛直方向下方に向けて傾斜する傾斜部14と、収容部12と傾斜部14との間に形成された空間Sとを有し、傾斜部14は、熱伝導性を有し、温度調節手段20は、空間S内に配されており、傾斜部14を介して傾斜部14近傍の温度を調節可能に構成されている。
【0033】
このような本実施形態に係る植物栽培装置1によれば、傾斜部14が熱伝導性を有することで、ヒートパイプの熱が傾斜部14及び傾斜部14近傍に伝わり易くなるため、植物に伝わる温度を効率的に調節することができる。これにより、傾斜部14近傍の植物を、その特性に適する環境下とすることができるため、効率的に植物の栽培を行うことができる。特に、イチゴを栽培する場合、傾斜部14近傍に花が垂れ下がるため、傾斜部14近傍を暖めることで、花の最適な環境下(例えば15℃~25℃)とすることができる。これにより、効率的に良質なイチゴを育成できる。また、室内全体を暖める場合と比較して、部分的に暖めることができるため、エネルギーコストを削減できる。
【0034】
また、本実施形態に係る植物栽培装置1は、収容部12と傾斜部14の間に空間Sが形成されることにより、温暖効果を向上させ、温度調節手段20からの熱を効率よく拡散させることが可能となる。これにより、傾斜部14及び傾斜部14近傍の温度の均一性を高めることができると共に、より一層、効率的に植物の栽培を行うことができる。
【0035】
さらに、本実施形態に係る栽培ベッド10は、金属により形成されている。このような本実施形態に係る栽培ベッド10によれば、ABS、樹脂、発泡スチロール等で形成された栽培ベッドと比較して剛性が高く、熱伝導性が高い。これにより、植物にとって適切な温度の環境下に調節し易くすることができる。また、栽培ベッド10が高い導電性を有する金属で形成されることにより、アース(接地)が取りやすいという利点もある。
【0036】
さらにまた、本実施形態に係る栽培ベッド10は、ロールフォーミングにより形成されている。このような本実施形態に係る栽培ベッド10によれば、長手方向に沿って繋ぎ目なく連続する大型の栽培ベッドを構成することができ、これにより、水漏れをほぼ完全に防止することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、収容部12にポット3を収容するものとして説明したが、これに限定されず、収容部12に植物栽培用の栽培パネル4を載置しても良い。この場合において、一対の側壁12b,12cが有するパネル支持面13bは、
図4に示すように、栽培パネル4の縁部を支持可能に構成されても良い。また、パネル支持面13bは、鉛直方向に対して傾斜する傾斜面であることが好ましい。パネル支持面13bは、長手方向の全域に亘って平滑な面であることが好ましいが、上方に向かって凸となる湾曲面や、下方に向かって凹となる湾曲面等の種々の構成を採用可能である。なお、この場合においても、温度調節手段20を2つの収容部12の間に配置しても良い。
【0039】
パネル支持面13bの傾斜角度θ2は、
図4に示すように、1°以上90°未満の範囲内において任意に設定することが可能であり、例えば、1°~60°の範囲内であることが好ましく、5°~45°の範囲内であることが更に好ましい。ここで、パネル支持面13bの傾斜角度θ2とは、
図4に示すように、栽培ベッド10を水平面上に載置させた状態における、水平方向に対するパネル支持面13bの傾斜角度をいう。
【0040】
パネル支持面13bの傾斜角度θ2をこのような範囲の角度に設定することにより、液が付着しても滴下するため藻(アオコ)が発生しにくく、また、栽培パネル4との接触面積を低減できるため液だまりが少なく、栽培パネル4の搬送も容易になる等の利点がある。
【0041】
栽培パネル4は、
図4に示すように、栽培ベッド10の一方のパネル支持面13bから他方のパネル支持面13bに亘って掛け渡すことが可能な横幅(栽培ベッド10の短手方向に沿った長さ)を有する板状に形成されている。栽培パネル4の縦長さ(栽培ベッド10の長手方向に沿った長さ)は、任意に設定することができ、例えば栽培ベッド10の長手方向に複数に分割された構成としても良い。このように複数に分割された構成とする場合には、栽培パネル4を一枚物とした場合と比較して、栽培パネル4の設置及び回収が容易になるという利点がある。
【0042】
また、栽培パネル4は、
図4に示すように、植物を植栽するための植栽孔5が複数形成されている。植栽孔5の数及び間隔は、栽培対象とする植物に応じて任意に設定することができる。なお、栽培対象とする植物は、例えばレタス、ハーブ、ミズナ、ラディッシュ及びイチゴ等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、種々の植物を栽培対象とすることが可能である。
【0043】
栽培パネル4は、水に浮遊可能な材質により形成されることが好ましく、変形例では発泡スチロールにより形成されている。
【0044】
また、上述した実施形態では、栽培ベッド10は、収容部12が2つ配置されるものとして説明したが、これに限定されず、収容部12は、3つ以上配置されても良いし、1つのみであっても良い。例えば、収容部12´が3つ以上配置される場合、栽培ベッド10´は、
図5に示すように、収容部12´が幅方向に沿って複数(変形例では3つ)配置され、栽培ベッド10´の幅方向両端部に傾斜部14´をそれぞれ有しても良い。この場合、温度調節手段20は、収容部12´と傾斜部14´との間に形成された空間S´内に配置され、収容部12´が両側に隣接している場合には、各収容部12´の間にも配置されても良い。
【0045】
また、収容部12´´が1つのみ配置される場合、栽培ベッド10´´は、
図6に示すように、幅方向の一方側にのみ傾斜部14´´を有し、他方側の側壁は鉛直方向に沿う垂直壁部14a´´であっても良い。この場合、温度調節手段20は、収容部12´´と傾斜部14´´との間に形成された空間S´´内に配置される。このような収容部12´´が1つのみ配置される構成によれば、栽培ベッド10´´の幅を抑えることが可能となるため、載置場所の省スペース化を図ることができる。
【0046】
また、栽培ベッド10´´の他方側の側壁を垂直壁部14a´´とすることにより、垂直壁部14a´´同士が接するように栽培ベッド10´´を左右対称に2台隣接して設置することが可能となるため、必要に応じて簡単にスケールアップを図ることができるという利点を有する。また、一方の収容部12´´と他方の収容部12´´とを、各垂直壁部14a´´を介して互いに熱伝導可能に接触させることが可能であるため、一方の栽培ベッド10´´の熱を他方の栽培ベッド10´´に伝え、効率良く両方の栽培ベッド10´´を温めることが可能となると共に、両方の栽培ベッド10´´の温度を均一化させることができる。
【0047】
なお、温度調節手段20は、収容部12´´の垂直壁部14a´´側に配置されても良い。この場合において、垂直壁部14a´´は、傾斜部14´´のフランジ部と同様に、温度調節手段20を載置可能な延出部と、該延出部に載置された温度調節手段20の脱落を防止する返し部とを有することが好ましい。
【0048】
また、上述した実施形態では、傾斜部14の高さ及び収容部12の側壁12bは、収容部12の側壁12bの高さと同じであるものとして説明したが、これに限定されず、傾斜部14及び一方側(傾斜部14側)の側壁12cの高さは、収容部12の他方側の側壁12bの高さより高く形成されても良い。これにより、傾斜部14は、植物により近くなるため、温度調節手段20の熱を植物に伝わり易くすることができる。
【0049】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
1 :植物栽培装置
10 :栽培ベッド
12 :収容部
12a :底面
12b :側壁
12c :側壁
14 :傾斜部
15 :連結部
20 :温度調節手段
S :空間