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特開2022-87490コラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類の吸収を促進する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087490
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】コラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類の吸収を促進する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20220606BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220606BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220606BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20220606BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220606BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K47/26
A61P17/00
A61P17/16
A61P19/08
A61K38/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199447
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】591014097
【氏名又は名称】サンエイ糖化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】末廣 大樹
(72)【発明者】
【氏名】深見 健
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B018MD20
4B018MD27
4B018MD77
4B018ME10
4C076BB01
4C076CC09
4C076CC18
4C076CC40
4C076DD69N
4C076FF34
4C084AA02
4C084BA44
4C084DA40
4C084MA05
4C084MA52
4C084NA11
4C084ZA891
4C084ZA961
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、コラーゲン類を効率的に体内に吸収できるコラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類の吸収を促進する方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含む、コラーゲン類吸収促進剤を提供する。前記マルトビオン酸塩は、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸鉄及びマルトビオン酸亜鉛であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含むコラーゲン類吸収促進剤。
【請求項2】
前記塩類が、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸鉄及びマルトビオン酸亜鉛から選択される少なくとも1つ以上である、請求項1記載のコラーゲン類吸収促進剤。
【請求項3】
飲食品である請求項1又は2記載のコラーゲン類吸収促進剤。
【請求項4】
コラーゲン類と同時に又は連続して経口投与して用いられる、請求項1~3のいずれか1項記載のコラーゲン類吸収促進剤。
【請求項5】
コラーゲン類に対し、請求項1~4のいずれか1項記載のコラーゲン類吸収促進剤を配合することを含む、コラーゲン類の吸収を促進する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類の吸収を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、生体タンパク質の約30%を占める動物性タンパク質であり、腱、靭帯、関節、骨、血管、皮膚などを構成する細胞マトリクスの主成分として多く存在する。コラーゲンは、細胞及び皮膚組織の支持、細胞間隙における保水、皮膚の潤滑性と柔軟性の保持などの重要な役割を果たしている。骨においても、コラーゲンは骨組織中の構成成分の大部分を占め、骨質の維持に重要な成分と言われている。
【0003】
ところが、生体において重要な役割を持つコラーゲンは、加齢による新陳代謝の低下に伴い減少し、皮膚組織においては、乾燥肌、肌荒れ、弾力性や柔軟性の低下が、また、骨組織においては、骨粗鬆症による骨強度の低下や関節炎のリスクを高める可能性が知られている。したがって、健康な肌や骨の機能を保つためには、不足するコラーゲンの維持や効率的な補給を行うことが望ましい。
【0004】
これらの観点から、日々の食事よりコラーゲンを含有する食品の摂取が推奨され、コラーゲン加水分解ペプチドの摂取、生体内におけるコラーゲン分解阻害剤や、コラーゲン合成促進剤等が提案されている。(特許文献1~3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-244369号公報
【特許文献2】特開2011-256136号公報
【特許文献3】特開2016-056116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コラーゲンやコラーゲン加水分解ペプチド等のコラーゲン類は生体内に吸収され難いため、コラーゲン類が有する生理作用を生体内で発現させるためには、コラーゲン類を多量に摂取する必要があるという問題がある。また、コラーゲン類の生体利用性自体が芳しくない。このような実情から、摂取したコラーゲン類をより効率的に体内に吸収できることが望ましい。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、コラーゲン類を効率的に体内に吸収できるコラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類の吸収を促進する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、マルトビオン酸やマルトビオン酸塩が、体内へのコラーゲン類の吸収を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下を提供する。
【0009】
(1) 4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含むコラーゲン類吸収促進剤。
【0010】
(2) 前記塩類が、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸鉄及びマルトビオン酸亜鉛から選択される少なくとも1つ以上である、(1)記載のコラーゲン類吸収促進剤。
【0011】
(3) 飲食品である(1)又は(2)記載のコラーゲン類吸収促進剤。
【0012】
(4) コラーゲン類と同時に又は連続して経口投与して用いられる、(1)~(3)のいずれか1つに記載のコラーゲン類吸収促進剤。
【0013】
(5) コラーゲン類に対し、(1)~(4)のいずれか1つに記載のコラーゲン類吸収促進剤を配合することを含む、コラーゲン類の吸収を促進する方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コラーゲン類を効率的に体内に吸収できるコラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類の吸収を促進する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<コラーゲン類吸収促進剤>
本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含む。
【0016】
本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、マルトビオン酸類を含むため、コラーゲンやコラーゲン加水分解ペプチド等のコラーゲン類の吸収を促進し、後述する実施例に示されるように、コラーゲン類の体内への吸収量を増加することができる。このため、コラーゲン類を効率的に体内に吸収できる。なお、本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、コラーゲン類の体内保留を持続し得る。例えば、コラーゲン類及びコラーゲン類吸収促進剤を摂取してから4時間以上経過しても、高濃度でコラーゲン類を体内に維持し得る。
したがって、本発明のコラーゲン類吸収促進剤を摂取することにより、乾燥肌、肌荒れ、弾力性や柔軟性の低下、骨粗鬆症、変形性関節症等に対して、予防や改善をすることができる。
【0017】
コラーゲン類吸収促進剤が含むマルトビオン酸類は、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸や、その塩類である。コラーゲン類吸収促進剤は、マルトビオン酸及びその塩類の両方を含んでいてもよい。
塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩などが挙げられる。
コラーゲン類吸収促進剤が含むマルトビオン酸類の形態に限定はなく、液体状でも、粉末状でもよい。
【0018】
マルトビオン酸類の含有量は、コラーゲン類吸収促進剤の種類や形態などに応じて適宜設定できるが、例えば、コラーゲン類吸収促進剤に対して、0.0001質量%~100質量%、好ましくは0.001質量%~50質量%、より好ましくは0.01質量%~30質量%、さらに好ましくは0.01質量%~10質量%である。マルトビオン酸類は少量でもコラーゲン類の吸収促進効果を発揮するため、マルトビオン酸類の含有量は、コラーゲン類吸収促進剤に対して1.0質量%以下でもよい。
【0019】
本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、マルトビオン酸類のみを含むものでも、マルトビオン酸類とその他の成分とを含むものでもよい。
その他の成分としては、例えば、機能性成分、栄養補助成分、糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、製造用剤などが挙げられる。また、これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、水などの希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加物、調味料など、従来飲食品に含有される成分をその他の成分として用いることができる。その他の成分の含有量は、本発明のコラーゲン類吸収促進剤の形態などに応じて適宜選択することができる。なお、コラーゲン類吸収促進剤がマルトビオン酸類とは異なるその他のコラーゲン類吸収促進成分をさらに含む場合は、マルトビオン酸類の含有量を減らしてもよい。
【0020】
コラーゲン類吸収促進剤の形態は特に限定されないが、例えば、経口用コラーゲン類吸収促進剤とすることができる。経口用コラーゲン類吸収促進剤の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、経口摂取に適した形態、具体的には液状、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。例えば固形状のコラーゲン類吸収促進剤の場合は、液体状のマルトビオン酸類を賦形剤とともに粉末化し固形状にすることができる。
【0021】
コラーゲン類吸収促進剤の使用方法は特に限定されないが、例えば、液状のコラーゲン類吸収促進剤の場合、そのまま、又は水などで希釈するなどして、飲むことにより経口摂取することができる。
【0022】
コラーゲン類吸収促進剤は、例えば、コラーゲン類と同時に又は連続して経口投与して用いられる。
経口投与の対象は、例えば、ヒト等の哺乳動物である。
コラーゲン類吸収促進剤をコラーゲン類と同時に経口投与する場合は、コラーゲン類吸収促進剤にコラーゲン類を含有させてもよいが、コラーゲン類吸収促進剤と、コラーゲン類吸収促進剤とは別剤としてのコラーゲン類とを、同時に経口投与してもよい。
また、コラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類を連続して経口投与する場合は、コラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類のいずれを先に経口投与してもよく、また、コラーゲン類吸収促進剤及びコラーゲン類のいずれか一方を経口投与し、所定の期間経過後に、他方を経口投与してもよい。
【0023】
コラーゲン類吸収促進剤の摂取量は特に限定されず、摂取者(例えば、ヒト等の哺乳動物)の状態(例えば、骨密度の程度)や摂取態様に応じて適宜設定され得るが、コラーゲン類吸収促進剤の成人1日の摂取量は、例えば、マルトビオン酸類の質量換算で、摂取者の体重を基準として、5~400mg/kgであり、好ましくは10~200mg/kgであり、より好ましく20~100mg/kgである。
【0024】
また、コラーゲン類の摂取量に対するマルトビオン酸類の摂取量の質量比(マルトビオン酸類の摂取質量/コラーゲン類の摂取質量)は、例えば0.03~24.00であり、好ましくは0.06~12.00、より好ましくは0.12~6.00である。なお、マルトビオン酸類は少量でもコラーゲン類の吸収促進効果を発揮するため、コラーゲン類の摂取量に対するマルトビオン酸類の摂取量の質量比は、1.0以下、さらには0.5以下でもよい。
【0025】
本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、飲食品(健康志向の飲食品を含む、例えば、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)であってもよく、飼料であってもよく、医薬用組成物(医薬品、医薬部外品等)であってもよい。すなわち、本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、飲食品、飼料、医薬用組成物等の経口組成物として利用することができる。
【0026】
<コラーゲン類の吸収を促進する方法>
本発明のコラーゲン類の吸収を促進する方法は、コラーゲン類に対し、上述のコラーゲン類吸収促進剤を配合することを含む。上述のコラーゲン類吸収促進剤はマルトビオン酸類を含むため、コラーゲン類吸収促進剤をコラーゲン類に配合(添加)することにより、コラーゲン類摂取時の体内へのコラーゲン類の吸収を促進することができる。
【実施例0027】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
<実施例1及び比較例1>
(1)マルトビオン酸類のコラーゲン類吸収促進作用の検証
コラーゲン摂取後の血中ヒドロキシプロリン濃度を経時的に測定することにより、マルトビオン酸のコラーゲン類吸収促進作用を検証した。ヒドロキシプロリンとは、コラーゲンを構成するアミノ酸の約11~14%を占め、コラーゲンに特徴的に存在していることから、コラーゲン類吸収の指標として用いられている物質である。
【0029】
(2)被験試料の調製
ミネラルウォーター(サントリーフーズ株式会社製)、コラーゲンペプチド(SCP-30NB、新田ゼラチン株式会社製)、マルトースシロップ(サンエイ糖化株式会社製)、マルトビオン酸(サンエイ糖化株式会社製)を用い、表1に示す処方(配合量(g))で混合して、比較例1(プラセボ試料)及び実施例1(被験試料)の試験食品を調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
(3)マルトビオン酸摂取試験
健常成人男女11名(22歳~51歳)を被験者とし、試験前日の22時以降から検査終了までは水及び試験当日に交付した試験食品以外の飲食を禁止した。試験当日は採血を行ってから、摂取する試験食品がプラセボ試料と被験試料のいずれかであるのかを被験者に知らせることなく、摂取させた。摂取後2時間後、4時間後、及び6時間後に採血を行った。なお、試験はクロスオーバー単回投与の盲検試験とし、先にプラセボ試料を摂取された被験者には被験試料を、先に被験試料を摂取させた被験者にはプラセボ試料を摂取させ、同様に試験した。
【0032】
(4)評価項目及び評価方法
得られた血液は室温で30分以上放置した後、3000rpm、5分の遠心分離を行い、上清を回収して血清を採取した。得られた血清中のヒドロキシプロリン量(nmol/mL)をキット(Hydroxyproline Assay Kit、CBL社)により測定した。
【0033】
(5)統計処理法
結果はすべて平均値±標準誤差で表し、2群間の有意差検定はstudent’s t-testにより、危険率5%にて有意差を判定した。
【0034】
(6)血清中のヒドロキシプロリン濃度の推移
試験食品(被験試料又はプラセボ試料)摂取後の血清中のヒドロキシプロリン濃度の推移を表2に示す。プラセボ試料(比較例1)と比べ、被験試料(実施例1)では試験食品摂取2時間後及び4時間後において血清中のヒドロキシプロリン濃度が有意な増加が確認された。
【0035】
【表2】
【0036】
(7)血清中ヒドロキシプロリン時間曲線化面積
さらに、被験者ごとに血清中ヒドロキシプロリンの時間曲線化面積(AUC)を求めた。具体的には、上述の(6)血清中のヒドロキシプロリン濃度の推移で得られた各時間の測定値から、試験食品摂取前の測定値を引いた値を求めて血中ヒドロキシプロリンの変化量とし、この変化量を、試験食品摂取からの経過時間に対してプロットし、得られた折れ線下の面積値をAUCとした。得られたAUCの値を表3に示した。プラセボ試料(比較例1)と比べ、被験試料(実施例1)では血中ヒドロキシプロリン量のAUCは有意に高い値を示した。
【0037】
【表3】
【0038】
<実施例2及び比較例2>
(1)マルトビオン酸類のコラーゲン類吸収促進作用の検証
実施例1と同様の試験条件にてマルトビオン酸カルシウムのコラーゲン類吸収促進作用を検証した。
【0039】
(2)被験試料の調製
ミネラルウォーター(サントリーフーズ株式会社製)、コラーゲンペプチド(SCP-30NB、新田ゼラチン株式会社製)、マルトース(林原株式会社製)、炭酸カルシウム(三共製粉株式会社製)、マルトビオン酸カルシウム(サンエイ糖化株式会社製)を用い、表4に示す処方(配合量(g))で混合して、比較例2(プラセボ試料)及び実施例2(被験試料)の試験食品を調製した。
【0040】
【表4】
【0041】
(3)マルトビオン酸カルシウム摂取試験
健常成人男女12名(22歳~51歳)を被験者とし、試験前日の22時以降から検査終了までは水及び試験当日に交付した試験食品以外の飲食を禁止した。試験当日は採血を行ってから、摂取する試験食品がプラセボ試料と被験試料のいずれかであるのかを被験者に知らせることなく、摂取させた。摂取後2時間後、4時間後、及び6時間後に採血を行った。なお、試験はクロスオーバー単回投与の盲検試験とし、先にプラセボ試料を摂取された被験者には被験試料を、先に被験試料を摂取させた被験者にはプラセボ試料を摂取させ、同様に試験した。
【0042】
(4)評価項目及び評価方法
得られた血液は室温で30分以上放置した後、3000rpm、5分の遠心分離を行い、上清を回収して血清を採取した。得られた血清中のヒドロキシプロリン量(nmol/mL)をキット(Hydroxyproline Assay Kit、CBL社)により測定した。
【0043】
(5)統計処理法
結果はすべて平均値±標準誤差で表し、2群間の有意差検定はstudent’s t-testにより、危険率5%にて有意差を判定した。
【0044】
(6)血清中のヒドロキシプロリン濃度の推移
試験食品摂取後の血清中のヒドロキシプロリン濃度の推移を表5に示す。比較例2と比べ、実施例2では試験食品摂取2時間後及び4時間後において血清中のヒドロキシプロリン濃度が有意な増加が確認された。
【0045】
【表5】
【0046】
(7)血清中ヒドロキシプロリン時間曲線化面積
さらに、被験者ごとに血清中ヒドロキシプロリンの時間曲線化面積(AUC)を求めた。得られたAUCの値を表6に示す。比較例2と比べ、実施例2では血中ヒドロキシプロリン量のAUCは有意に高い値を示した。
【0047】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のコラーゲン類吸収促進剤は、コラーゲン類の吸収を促進し、コラーゲン類の体内への吸収量を増加することができる。このため、例えば、肌の乾燥や肌荒れなどの美容維持や、骨強度に不安を抱える者の健康維持に極めて有用である。