(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087520
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】動作検知装置及び動作検知方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20220606BHJP
A61B 7/04 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A61B5/11
A61B7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199496
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 雅史
(72)【発明者】
【氏名】財満 泰弘
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB28
(57)【要約】
【課題】ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者の動作を検知すること。
【解決手段】動作検知装置1は、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11と、接合部音取得部11によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知部12と、接合部音検知部12によって検知された生体音に基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13と、を備える。接合部音取得部11は、対象者Oの剣状突起付近に装着されたマイクで検出された音を取得してもよい。接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、対象者Oの上部消化管の動き、食道胃接合部J付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の食道胃接合部付近の音を取得する接合部音取得部と、
前記接合部音取得部によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知部と、
前記接合部音検知部によって検知された生体音に基づいて前記対象者の動作を検知する動作検知部と、
を備える動作検知装置。
【請求項2】
前記接合部音取得部は、前記対象者の剣状突起付近に装着されたマイクで検出された音を取得する、
請求項1に記載の動作検知装置。
【請求項3】
前記接合部音検知部が検知する所定の生体音は、前記対象者の上部消化管の動き、前記食道胃接合部付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音である、
請求項1又は2に記載の動作検知装置。
【請求項4】
前記動作検知部は、前記対象者の上部消化管の動き、前記食道胃接合部付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、前記対象者の嚥下、前記対象者の食事、前記対象者の飲水、又は、前記対象者の服薬の少なくとも一つを検知する、
請求項1~3の何れか一項に記載の動作検知装置。
【請求項5】
前記器官は、食道又は胃の少なくとも一つである、
請求項3又は4に記載の動作検知装置。
【請求項6】
前記対象者の頸部付近の音を取得する頸部音取得部と、
前記頸部音取得部によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する頸部音検知部と、
をさらに備え、
前記動作検知部は、前記頸部音検知部によって検知された生体音にさらに基づいて前記対象者の動作を検知する、
請求項1~5の何れか一項に記載の動作検知装置。
【請求項7】
前記動作検知部は、前記接合部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングと、前記頸部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングとに基づいて前記対象者の動作を検知する、
請求項6に記載の動作検知装置。
【請求項8】
前記動作検知部は、前記接合部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングが、前記頸部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、前記対象者の動作を検知する、
請求項6又は7に記載の動作検知装置。
【請求項9】
動作検知装置により実行される動作検知方法であって、
対象者の食道胃接合部付近の音を取得する接合部音取得ステップと、
前記接合部音取得ステップにおいて取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知ステップと、
前記接合部音検知ステップにおいて検知された生体音に基づいて前記対象者の動作を検知する動作検知ステップと、
を含む動作検知方法。
【請求項10】
前記接合部音取得ステップは、前記対象者の剣状突起付近に装着されたマイクで検出された音を取得する、
請求項9に記載の動作検知方法。
【請求項11】
前記接合部音検知ステップが検知する所定の生体音は、前記対象者の上部消化管の動き、前記食道胃接合部付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音である、
請求項9又は10に記載の動作検知方法。
【請求項12】
前記動作検知ステップは、前記対象者の上部消化管の動き、前記食道胃接合部付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、前記対象者の嚥下、前記対象者の食事、前記対象者の飲水、又は、前記対象者の服薬の少なくとも一つを検知する、
請求項9~11の何れか一項に記載の動作検知方法。
【請求項13】
前記器官は、食道又は胃の少なくとも一つである、
請求項11又は12に記載の動作検知方法。
【請求項14】
前記対象者の頸部付近の音を取得する頸部音取得ステップと、
前記頸部音取得ステップにおいて取得された音に基づいて所定の生体音を検知する頸部音検知ステップと、
をさらに含み、
前記動作検知ステップは、前記頸部音検知ステップにおいて検知された生体音にさらに基づいて前記対象者の動作を検知する、
請求項9~13の何れか一項に記載の動作検知方法。
【請求項15】
前記動作検知ステップは、前記接合部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングと、前記頸部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングとに基づいて前記対象者の動作を検知する、
請求項14に記載の動作検知方法。
【請求項16】
前記動作検知ステップは、前記接合部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングが、前記頸部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、前記対象者の動作を検知する、
請求項14又は15に記載の動作検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、対象者の動作を検知する動作検知装置及び動作検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人の生活活動をデジタルデータとして記録したライフログは、そのデータ分析を行うことで、個人に適した健康維持及び管理の機会を提供することや、医療機関にて病気の発症の予測、診断及び治療を行うことなどが可能となる。それゆえ、ライフログは、ヘルスケアビジネスの広範な場面での活用が期待されており、近年その重要性及び注目度が増している。
【0003】
様々な生活活動のデータの中でも、消化器系での活動に関するデータは、人間の活動及び身体的状態を把握する上で重要な情報の一つであり、健康の維持管理、医療機関での様々な予測分析などにおいて活用することができる。
【0004】
例えば下記特許文献1では、(測定)対象者の首に装着される装着用フレームを用いて対象者の嚥下動作に伴う喉頭動作音を測定し、測定データから喉頭蓋閉音、食塊通過音、喉頭蓋開音の各音データを解析し、解析結果から食塊が食道を通過したか否かを判定することで、対象者の嚥下機能を確認する嚥下機能データ測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記嚥下機能データ測定装置は、発声、呼吸、空嚥下などの様々な音の発生が集中する喉頭での測定を前提としていることから、例えば飲食物等が食道を通過した際の消化器系の活動を捉えようとした場合、取得の目的である音だけでなく、これに似た目的外の音(ノイズ)も同時に取得してしまう。それゆえ、目的の動作に関するデータの抽出の難易度は高く、偽陽性検出が多くなる。そこで、ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者の動作を検知することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る動作検知装置は、対象者の食道胃接合部付近の音を取得する接合部音取得部と、接合部音取得部によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知部と、接合部音検知部によって検知された生体音に基づいて対象者の動作を検知する動作検知部と、を備える。このような側面においては、対象者の食道胃接合部付近の音に基づいて検知された所定の生体音に基づいて対象者の動作が検知される。これにより、喉頭のように類似した様々なノイズが発せられる部位から離れた食道胃接合部付近の音に基づいて対象者の動作を検知することができる。すなわち、ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者の動作を検知することができる。
【0008】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置の接合部音取得部は、対象者の剣状突起付近に装着されたマイクで検出された音を取得してもよい。このような側面においては、対象者の剣状突起付近に装着されたマイクを用いて、対象者の食道胃接合部付近の音をより確実に取得することができる。
【0009】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置において、接合部音検知部が検知する所定の生体音は、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。このような側面においては、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音に基づいて対象者の動作を検知することができる。
【0010】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置の動作検知部は、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者の嚥下、対象者の食事、対象者の飲水、又は、対象者の服薬の少なくとも一つを検知してもよい。このような側面においては、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者の嚥下、対象者の食事、対象者の飲水、又は、対象者の服薬の少なくとも一つを検知することができる。
【0011】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置において、器官は、食道又は胃の少なくとも一つであってもよい。このような側面においては、食道胃接合部付近の食道若しくは胃の少なくとも一つの動き、又は、当該食道若しくは胃の少なくとも一つの内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音に基づいて対象者の動作を検知することができる。また、食道胃接合部付近の食道若しくは胃の少なくとも一つの動き、当該食道若しくは胃の少なくとも一つの内部の圧力変化、対象者の嚥下、対象者の食事、対象者の飲水、又は、対象者の服薬の少なくとも一つを検知することができる。
【0012】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置は、対象者の頸部付近の音を取得する頸部音取得部と、頸部音取得部によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する頸部音検知部と、をさらに備え、動作検知部は、頸部音検知部によって検知された生体音にさらに基づいて対象者の動作を検知してもよい。このような側面においては、接合部音検知部によって検知された生体音と頸部音検知部によって検知された生体音とに基づいて対象者の動作を検知することができる。これにより、異なる箇所の生体音に基づいて対象者の動作をより正確に検知することができる。
【0013】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置の動作検知部は、接合部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングと、頸部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングとに基づいて対象者の動作を検知してもよい。このような側面においては、異なる箇所の生体音のそれぞれの発生タイミングに基づいて対象者の動作をより正確に検知することができる。
【0014】
また、本開示の一側面に係る動作検知装置の動作検知部は、接合部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングが、頸部音検知部によって検知された生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者の動作を検知してもよい。このような側面においては、例えば、対象者の食道胃接合部付近の生体音の発生タイミングが、対象者の頸部付近の生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者の動作が検知される。これにより、例えば、飲食物又は薬剤などが頸部付近を通過した後に、当該対象者の動作に伴う食道胃接合部付近での生体音を取得し、対象者の動作を検知することができるため、より高精度に、対象者の動作を検知することができる。
【0015】
本開示の別の一側面に係る動作検知方法は、動作検知装置により実行される動作検知方法であって、対象者の食道胃接合部付近の音を取得する接合部音取得ステップと、接合部音取得ステップにおいて取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知ステップと、接合部音検知ステップにおいて検知された生体音に基づいて対象者の動作を検知する動作検知ステップと、を含む。このような側面においては、対象者の食道胃接合部付近の音に基づいて検知された所定の生体音に基づいて対象者の動作が検知される。これにより、喉頭のように類似した様々なノイズが発せられる部位から離れた食道胃接合部付近の音に基づいて対象者の動作を検知することができる。すなわち、ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者の動作を検知することができる。
【0016】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法の接合部音取得ステップは、対象者の剣状突起付近に装着されたマイクで検出された音を取得してもよい。このような側面においては、対象者の剣状突起付近に装着されたマイクを用いて、対象者の食道胃接合部付近の音をより確実に取得することができる。
【0017】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法において、接合部音検知ステップが検知する所定の生体音は、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。このような側面においては、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音に基づいて対象者の動作を検知することができる。
【0018】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法の動作検知ステップは、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者の嚥下、対象者の食事、対象者の飲水、又は、対象者の服薬の少なくとも一つを検知してもよい。このような側面においては、対象者の上部消化管の動き、食道胃接合部付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者の嚥下、対象者の食事、対象者の飲水、又は、対象者の服薬の少なくとも一つを検知することができる。
【0019】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法において、器官は、食道又は胃の少なくとも一つであってもよい。このような側面においては、食道胃接合部付近の食道若しくは胃の少なくとも一つの動き、又は、当該食道若しくは胃の少なくとも一つの内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音に基づいて対象者の動作を検知することができる。また、食道胃接合部付近の食道若しくは胃の少なくとも一つの動き、当該食道若しくは胃の少なくとも一つの内部の圧力変化、対象者の嚥下、対象者の食事、対象者の飲水、又は、対象者の服薬の少なくとも一つを検知することができる。
【0020】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法は、対象者の頸部付近の音を取得する頸部音取得ステップと、頸部音取得ステップにおいて取得された音に基づいて所定の生体音を検知する頸部音検知ステップと、をさらに含み、動作検知ステップは、頸部音検知ステップにおいて検知された生体音にさらに基づいて対象者の動作を検知してもよい。このような側面においては、接合部音検知部によって検知された生体音と頸部音検知部によって検知された生体音とに基づいて対象者の動作を検知することができる。これにより、異なる箇所の生体音に基づいて対象者の動作をより正確に検知することができる。
【0021】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法の動作検知ステップは、接合部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングと、頸部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングとに基づいて対象者の動作を検知してもよい。このような側面においては、異なる箇所の生体音のそれぞれの発生タイミングに基づいて対象者の動作をより正確に検知することができる。
【0022】
また、本開示の別の一側面に係る動作検知方法の動作検知ステップは、接合部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングが、頸部音検知ステップにおいて検知された生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者の動作を検知してもよい。このような側面においては、例えば、対象者の食道胃接合部付近の生体音の発生タイミングが、対象者の頸部付近の生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者の動作が検知される。これにより、例えば、飲食物又は薬剤などが頸部付近を通過した後に、当該対象者の動作に伴う食道胃接合部付近での生体音を取得し、対象者の動作を検知することができるため、より高精度に、対象者の動作を検知することができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示の一側面によれば、ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者の動作を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態に係る動作検知装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る動作検知装置で用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】剣状突起付近にマイクを装着した対象者を示す図である。
【
図4】食道胃接合部付近の生体音の観測信号例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る動作検知装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る動作検知プログラムの構成を記憶媒体と共に示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る動作検知装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る動作検知装置で用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】頸部付近及び剣状突起付近にマイクを装着した対象者を示す図である。
【
図10】頸部付近及び食道胃接合部付近の生体音の観測信号例を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る動作検知装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る動作検知プログラムの構成を記憶媒体と共に示す図である。
【
図13】第1実施形態の変形例に係る動作検知装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図14】第1実施形態の変形例に係る動作検知装置で用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図15】第1実施形態の変形例に係る動作検知装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第1実施形態の変形例に係る動作検知プログラムの構成を記憶媒体と共に示す図である。
【
図17】第2実施形態の変形例に係る動作検知装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図18】第2実施形態の変形例に係る動作検知装置で用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図19】第2実施形態の変形例に係る動作検知装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】第2実施形態の変形例に係る動作検知プログラムの構成を記憶媒体と共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本開示での実施形態(第1実施形態及び第2実施形態、並びに、第1実施形態の変形例及び第2実施形態の変形例)を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明における本開示での実施形態は、本発明の具体例であり、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る動作検知装置1の機能構成の一例を示す図である。動作検知装置1は、対象者Oの動作を検知するコンピュータ装置である。
【0027】
対象者Oは、動作検知装置1が使用される(動作を検知する)対象の者である。対象者Oの一例として、検査、治療、看護若しくは介護を受ける者、又は屋外で作業を行う屋外作業者(例えば、熱中症対策の対象の者)などが挙げられるが、これに限るものではない。動作検知装置1はユーザによって使用される。ユーザの一例として、医療、介護又は作業の現場における医師、看護師、看護者、介護者又は作業者(例えば、屋外作業者の熱中症対策を講ずる者又は屋外作業者自身)などが挙げられるが、これに限るものではない。
【0028】
対象者Oの動作は、対象者Oが行う任意の1つ以上の動き、又は、対象者Oの1つ以上の(体内)器官が行う任意の1つ以上の動きなどである。対象者Oの動作の一例として、対象者Oの上部消化管の動き、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者Oの嚥下、対象者Oの食事、対象者Oの飲水、又は、対象者Oの服薬の少なくとも一つが挙げられるが、これに限るものではない。
【0029】
図1に示す通り、動作検知装置1(動作検知装置)は、情報格納部10、接合部音取得部11(接合部音取得部)、接合部音検知部12(接合部音検知部)、及び、動作検知部13(動作検知部)を含んで構成される。
【0030】
動作検知装置1の各機能ブロックは、動作検知装置1内にて機能することを想定しているが、これに限るものではない。例えば、動作検知装置1の機能ブロックの一部は、動作検知装置1とは異なるコンピュータ装置であって、動作検知装置1とネットワーク接続されたコンピュータ装置内において、動作検知装置1と情報を適宜送受信しつつ機能してもよい。また、動作検知装置1の一部の機能ブロックは無くてもよいし、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックに統合してもよいし、一つの機能ブロックを複数の機能ブロックに分解してもよい。
【0031】
図2は、動作検知装置1で用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。動作検知装置1は物理的には、
図2に示すように、中央処理装置(プロセッサ)であるCPU(Central Processing Unit)100、主記憶装置であるRAM(Random access memory)101及びROM(Read Only Memory)102、キーボード、マイク及びディスプレイなどの入出力装置103、データ送受信デバイスである通信モジュール104、並びに、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置105を含むコンピュータシステムとして構成されている。CPU100、RAM101及びROM102、入出力装置103、通信モジュール104、及び、補助記憶装置105は、それぞれ複数で構成されてもよい。
図1に示す各機能ブロックの機能は、
図2に示すCPU100、RAM101などのハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU100の制御のもとで入出力装置103及び通信モジュール104を動作させるとともに、RAM101及び補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0032】
以下、
図1に示す動作検知装置1の各機能について説明する。
【0033】
情報格納部10は、動作検知装置1の処理などで利用又は出力される任意の情報を格納する。情報格納部10は、動作検知装置1の各機能にて算出される情報を格納してもよい。情報格納部10によって格納された情報は、動作検知装置1の各機能によって適宜参照されてもよい。
【0034】
接合部音取得部11は、対象者Oの食道胃接合部J付近(周辺)の音(信号音、観測音、当該音に基づく音響信号、当該音に基づく観測信号)を取得する。食道胃接合部Jは、食道と胃との境界、又は、食道と胃とが接合(連結)される部分である。食道胃接合部J付近は、より具体的には、食道胃接合部Jから所定の(3次元)範囲内の領域である。例えば、食道胃接合部J付近は、食道胃接合部Jの上下約2cmの領域である。本開示での実施形態において、用語「食道胃接合部J」は、「剣状突起」、「みぞおち」、「食道」、「胃」、「胸」又は「胸中央」などに置き換えてもよい。本開示での実施形態において、用語「付近」は、「周辺」、「周囲」、「近傍」、「近隣」又は「辺り」などに置き換えてもよい。接合部音取得部11が取得する音は、対象者Oの体内で発生する(生じる)音(体内音)を含んでもよい。
【0035】
接合部音取得部11は、対象者Oの剣状突起付近に装着されたマイクMで検出された音を取得してもよい。剣状突起は、胸骨体の下端に続く薄い扁平な突起である。本開示での実施形態において、用語「剣状突起」は、「食道胃接合部」、「みぞおち」、「食道」、「胃」、「胸」又は「胸中央」などに置き換えてもよい。マイクMは、例えば、聴診器型の集音マイク(聴診器型集音マイク、聴診器型マイク、聴診器マイク)である。マイクMは、例えば、対象者Oの剣状突起付近の体表面に密着させて(密着状態で)装着され、当該剣状突起付近の音を検出(集音)する。
【0036】
図3は、剣状突起付近にマイクMを装着した対象者Oを示す図である。
図3に示す例では、対象者Oの食道Eと胃Sとが接合される食道胃接合部J付近の体表面である剣状突起付近にマイクMが装着されている。
【0037】
接合部音取得部11は、取得した音に関する情報である接合部音情報を接合部音検知部12に出力する。接合部音情報は、例えば、取得した音の音響信号を示す情報を含んでもよい。接合部音情報のデータ例として、取得した音の音響信号の波形を示すデータが挙げられるが、これに限るものではない。
【0038】
接合部音検知部12は、接合部音取得部11によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する。より具体的には、接合部音検知部12は、接合部音取得部11によって出力された接合部音情報に基づいて所定の生体音を検知する。
【0039】
接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、対象者Oの上部消化管の動き、(対象者Oの)食道胃接合部J付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。器官は、(対象者Oの)食道E又は胃Sの少なくとも一つであってもよい。すなわち、接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、食道胃接合部J付近の食道E若しくは胃Sの少なくとも一つの動き、又は、当該食道E若しくは胃Sの少なくとも一つの内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、さらに、食道E下部で生じる音、又は、胃S上部で生じる音の少なくとも一つに基づく音であってもよい。接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、さらに、食道E若しくは胃Sの筋肉(括約筋など)が動く(弛緩する、収縮する)音、又は、食道E若しくは胃Sの筋肉が動く際に生じる空気の圧力差に基づく音であってもよい。接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、さらに、食道の蠕動音、又は、胃の蠕動音の少なくとも一つに基づく音であってもよい。接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、さらに、蠕動、噴門の開閉、又は、飲食物等の移動に伴う食道E又は胃Sの内部の圧力変化などによって生じる音の少なくとも一つに基づく音であってもよい。所定の生体音を検知するとは、より具体的には、所定の生体音か否か(所定の生体音以外(雑音等)か)を識別することである。識別を行う際に、例えば、接合部音取得部11によって取得された音のデータ(の特徴等)と、情報格納部10によって予め格納されている所定の生体音のデータ(の特徴等)とを比較し、一致する(又は類似度が高い)か否かによって、所定の生体音か否かを識別してもよい。
【0040】
接合部音検知部12による生体音の検知方法の一例を説明する。
【0041】
まず、接合部音検知部12は、接合部音取得部11によって取得された音(接合部音情報が示す音)に対してデジタルフィルタ処理を行うことで、対象者Oの心音、心拍、呼吸音又は会話音などの影響(所定の生体音以外の音の影響)を除去又は軽減する。接合部音検知部12は、除去又は軽減において、100Hz~1kHz程度のバンドパスフィルタを用いてもよい。接合部音検知部12は、デジタルフィルタ処理において、所定の生体音の特徴音を中心に抽出を行ってもよい。
【0042】
次に、接合部音検知部12は、デジタルフィルタ処理が行われた音に対して、音があるか否かを判定する、パワー(のみ)に基づくVAD(Voice Activity Detection:音声区間検出)(パワーベースドVAD)を用いて、音が発生している区間である音イベントの(候補の)検出(音イベント検出)を行う。なお、接合部音検知部12は、上述のデジタルフィルタ処理を行わずに、接合部音取得部11によって取得された音(接合部音情報が示す音)に対して音イベント検出を行ってもよい。なお、接合部音検知部12は、パワーベースドVADを用いた音イベント検出ではなく、機械学習を用いたVADを用いた音イベント検出を行ってもよい。より具体的には、接合部音検知部12は、10msec程度の入力フレームごと(フレーム単位)に機械学習を用いて音/無音判定を行い、音イベント検出を行ってもよい。
【0043】
一般的に、例えば服薬時の所定の生体音は音が明瞭であり、かつ(第2実施形態で挙げる)嚥下音に比べてはるかに長い音イベントが観測される。当該特徴を利用し、接合部音検知部12は、嚥下音とは異なる閾値設定で服薬時の音イベントを検出してもよい。
【0044】
次に、接合部音検知部12は、音イベント検出が行われた区間(のみ)に対して機械学習を行って、所定の生体音を検知する。機械学習で用いる手法の一例として、予測に必要な一部のデータを用いる機械学習法であるSVM(Support Vector Machine:サポートベクトルマシン)などが挙げられる。接合部音検知部12は、音イベント検出が行われた区間(のみ)に対して、MFCC(Mel-Frequency Cepstral Coefficients:メル周波数ケプストラム係数)などでスペクトル特徴量を抽出し、抽出した特徴量の機械学習(SVM法)によって所定の生体音以外の雑音区間を排除することで、所定の生体音を検知してもよい。
【0045】
以上が、接合部音検知部12による生体音の検知方法の一例の説明である。
【0046】
図4は、食道胃接合部J付近の生体音の観測信号例を示す図である。
図4に示す観測信号例において、横軸は時刻を示し、縦軸は観測された信号である観測信号の強弱を示し、グラフは接合部音取得部11によって取得された対象者Oの食道胃接合部J付近の音に基づく観測信号であって、デジタルフィルタ処理及び音イベント検出を行った後の観測信号を示す。例えば、接合部音検知部12は、
図4に示す観測信号例のうち時刻「2:15.0」から時刻「2:22.0」までの区間Dについて所定の生体音を検知する。
【0047】
接合部音検知部12による生体音の検知方法の別の一例として、接合部音検知部12による処理の全体を機械学習を用いて行っても(置き換えても)よい。すなわち、接合部音検知部12は、接合部音取得部11によって取得された音に対して機械学習を用いることで、所定の生体音を検知する。例えば、接合部音情報と後述の接合部生体音情報との組の教師データを用いて予め機械学習を行った上で学習済みモデルを生成して、予め情報格納部10によって格納させ、接合部音検知部12は、接合部音取得部11によって取得された接合部音情報を、情報格納部10によって格納された当該学習済みモデルに適用して接合部生体音情報を取得することで、所定の生体音を検知してもよい。これにより、接合部音検知部12における種々の解析手法を人手で設定することなく機械学習に任せることができる。なお、本開示での実施形態において、用語「機械学習」は、「深層学習(ディープラーニング)」などに置き換えてもよい。
【0048】
接合部音検知部12は、検知した生体音に関する情報である接合部生体音情報を動作検知部13に出力する。接合部生体音情報は、例えば、検知した生体音を識別する情報と、当該生体音を検知した開始時刻(又は開始日時)と、当該生体音を検知した終了時刻(又は終了日時)とを含んでもよい。接合部生体音情報のデータ例として、検知した生体音を識別するテキスト「食道胃接合部付近の器官の動きに基づく生体音」と、当該生体音を検知した開始時刻を示すテキスト「13:03:01」と、当該生体音を検知した終了時刻を示すテキスト「13:03:20」とを含むテキストデータが挙げられるが、これに限るものではない。
【0049】
動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音に基づいて対象者Oの動作を検知する。より具体的には、動作検知部13は、接合部音検知部12によって出力された接合部生体音情報に基づいて対象者Oの動作を検知する。なお、動作検知部13における「検知」は「判定」に読み替えてもよい。動作検知部13は、対象者Oの上部消化管の動き、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者Oの嚥下、対象者Oの食事、対象者Oの飲水、又は、対象者Oの服薬の少なくとも一つを検知してもよい。器官は、上部消化管、例えば、食道E又は胃Sの少なくとも一つであってもよい。
【0050】
例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官の動きに基づく生体音である場合、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官の動きを検知する。また例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官内部の圧力変化に基づく生体音である場合、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官内部の圧力変化を検知する。また例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが嚥下した際に生じる生体音である場合、対象者Oの嚥下を検知する。また例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが食事した際に生じる生体音である場合、対象者Oの食事を検知する。また例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが飲水した際に生じる生体音である場合、対象者Oの飲水を検知する。また例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが薬剤を服用した際に生じる生体音である場合、対象者Oの服薬を検知する。なお、より具体的には、条件(例:「検知された生体音が食道胃接合部付近の器官の動きに基づく生体音である」等)と、当該条件を満たす場合の検知結果(「食道胃接合部付近の器官の動き」等)とが対応付いた条件情報が情報格納部10によって予め格納され、動作検知部13は、当該条件情報を参照することで、接合部音検知部12によって出力された接合部生体音情報が示す生体音が該当する条件に対応付く検知結果を取得し、取得した検知結果が示す動きを、対象者Oの動きとして検知してもよい。
【0051】
動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された複数の生体音に基づいて対象者Oの複数の動作を検知してもよい。例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oの食道胃接合部J付近の器官の動きに基づく生体音と、当該器官内部の圧力変化に基づく生体音とである場合、対象者Oの食事と対象者Oの飲水とを検知してもよい。
【0052】
動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された複数の生体音に基づいて対象者Oの1つの動作を検知してもよい。例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが飲水した際に生じる生体音と、対象者Oが薬剤を服用した際に生じる生体音とである場合、対象者Oの服薬を検知してもよい。
【0053】
動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された1つの生体音に基づいて対象者Oの複数の動作を検知してもよい。例えば、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが薬剤を服用した際に生じる生体音である場合、対象者Oの飲水と対象者Oの服薬とを検知してもよい。
【0054】
すなわち、動作検知部13は、接合部音検知部12によって検知された1つ以上の生体音に基づいて対象者Oの1つ以上の動作を検知してもよい。
【0055】
動作検知部13は、検知した対象者Oの動作に関する情報である動作情報を出力してもよい。例えば、動作検知部13は動作情報を、入出力装置103であるディスプレイを介して動作検知装置1のユーザに表示してもよいし、通信モジュール104を介して、ネットワーク接続された他の装置に送信してもよい。動作検知装置1は、出力部(不図示)をさらに備え、動作検知部13によって出力された動作情報を出力してもよい。
【0056】
動作検知部13は、対象者Oの動作を検知した後に、検知した対象者Oの動作に基づく処理を行ってもよい。例えば、動作検知部13は、対象者Oの服薬を検知した後に、当該服薬が確実に行われたかを検知するため、別の(服薬を検知する装置である)服薬検知装置を実行させてもよい。
【0057】
図5は、動作検知装置1が実行する処理(動作検知方法)の一例を示すフローチャートである。まず、接合部音取得部11が、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する(ステップS1、接合部音取得ステップ)。次に、接合部音検知部12が、S1にて取得された音に基づいて所定の生体音(食道胃接合部J付近の生体音)を検知する(ステップS2、接合部音検知ステップ)。次に、動作検知部13が、S2にて検知された生体音に基づいて対象者Oの動作を検知する(ステップS3、動作検知ステップ)。
【0058】
続いて、動作検知装置1による一連の処理をコンピュータに実行させるための動作検知プログラム300を説明する。動作検知プログラム300は、
図6に示すように、コンピュータに挿入されてアクセスされる、又は、コンピュータが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。より具体的には、動作検知プログラム300は、動作検知装置1が備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。
【0059】
動作検知プログラム300は、接合部音取得モジュール301、接合部音検知モジュール302、及び、動作検知モジュール303を備えて構成される。接合部音取得モジュール301、接合部音検知モジュール302、及び、動作検知モジュール303を実行させることにより実現される機能は、上述した動作検知装置1の接合部音取得部11、接合部音検知部12、及び、動作検知部13の機能とそれぞれ同様である。
【0060】
動作検知プログラム300は、動作検知装置1(の一つ以上のCPU)を、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11、接合部音取得部11によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知部12、接合部音検知部12によって検知された生体音に基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13、として機能させるためのプログラムである。
【0061】
なお、動作検知プログラム300は、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記憶(インストールを含む)される構成としてもよい。また、動作検知プログラム300の各モジュールは、1つのコンピュータでなく、複数のコンピュータのいずれかにインストールされてもよい。その場合、当該複数のコンピュータによるコンピュータシステムよって上述した動作検知プログラム300の一連の処理が行われる。
【0062】
続いて、動作検知装置1の作用効果について説明する。
【0063】
動作検知装置1によれば、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11と、接合部音取得部11によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知部12と、接合部音検知部12によって検知された生体音に基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13と、を備える。このような動作検知装置1においては、対象者Oの食道胃接合部J付近の音に基づいて検知された所定の生体音に基づいて対象者Oの動作が検知される。これにより、喉頭のように類似した様々なノイズが発せられる部位から離れた食道胃接合部J付近の音に基づいて対象者Oの動作を検知することができる。すなわち、ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者Oの動作を検知することができる。
【0064】
また、動作検知装置1の接合部音取得部11は、対象者Oの剣状突起付近に装着されたマイクMで検出された音を取得してもよい。このような動作検知装置1においては、対象者Oの剣状突起付近に装着されたマイクMを用いて、対象者Oの食道胃接合部J付近の音をより確実に取得することができる。
【0065】
喉頭で音を収集するような従来技術では、集音部のセンサーが露出して目立つため、外出時のセンサー装着に難があると共に、喉頭は人間にとって敏感な部位であるため装着による違和感から難がある。一方、動作検知装置1においては、例えば、シャツの内側にマイクMを配置することができる。そのため、マイクM(センサー)の露出が無く、屋外でもためらいなく検知を継続することができると共に、喉頭に比べて装着による違和感も少なく良好である。
【0066】
また、動作検知装置1において、接合部音検知部12が検知する所定の生体音は、対象者Oの上部消化管の動き、食道胃接合部J付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。このような動作検知装置1においては、対象者Oの上部消化管の動き、食道胃接合部J付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音に基づいて対象者Oの動作を検知することができる。
【0067】
また、動作検知装置1の動作検知部13は、対象者Oの上部消化管の動き、食道胃接合部J付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者Oの嚥下、対象者Oの食事、対象者Oの飲水、又は、対象者Oの服薬の少なくとも一つを検知してもよい。このような動作検知装置1においては、対象者Oの上部消化管の動き、食道胃接合部J付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、対象者Oの嚥下、対象者Oの食事、対象者Oの飲水、又は、対象者Oの服薬の少なくとも一つを検知することができる。
【0068】
また、動作検知装置1において、器官は、食道E又は胃Sの少なくとも一つであってもよい。このような動作検知装置1においては、食道胃接合部J付近の食道E若しくは胃Sの少なくとも一つの動き、又は、当該食道E若しくは胃Sの少なくとも一つの内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音に基づいて対象者Oの動作を検知することができる。また、食道胃接合部J付近の食道E若しくは胃Sの少なくとも一つの動き、当該食道E若しくは胃Sの少なくとも一つの内部の圧力変化、対象者Oの嚥下、対象者Oの食事、対象者Oの飲水、又は、対象者Oの服薬の少なくとも一つを検知することができる。
【0069】
動作検知装置1において、接合部音検知部12は、機械学習を用いたVADを用いた音イベント検出ではなく、パワーベースドVADを用いた音イベント検出を行ってもよい。一般的に、対象者Oの食道胃接合部J付近(剣状突起付近)で収録された音だと、対象者Oの声などの余計な音が観測されないことから、検出される音イベントの長さは後述の咽喉マイクに比べてはるかに短時間となるメリットがある。よって、機械学習を用いたVADを用いることなく、単純に(シンプルに)パワーだけのパワーベースドVADを用いても音イベント検出を十分行うことができる(かなり対象を絞ることができる)。そして、パワーベースドVADを用いることで計算量が少なく済むため、動作検知装置1の消費電力を抑えることができるというメリットがある。これは例えば、動作検知装置1を24時間動作させる場合などには有用なメリットである。なお、SVMは、DNN(Deep Neural Network:深層ニューラルネットワーク)を用いた機械学習(深層学習)などに比べれば計算量がはるかに少ないが、パワーベースドVADなどに比べると計算量をはるかに多く必要とする場合がある。このような省力化のため、接合部音検知部12による処理を、パワーベースドVADを用いた処理とSVMを用いた処理との2段階に分けてもよい。
【0070】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る動作検知装置1Aの機能構成の一例を示す図である。動作検知装置1Aは、動作検知装置1と同様の機能構成を備え、同様の作用効果を奏する。同様の機能構成及び作用効果については説明を省略し、主な差分について説明する。なお、上述の第1実施形態での動作検知装置1の説明内容は、動作検知装置1Aにおいても適用される。
【0071】
図7に示す通り、動作検知装置1A(動作検知装置)は、情報格納部10、接合部音取得部11(接合部音取得部)、接合部音検知部12(接合部音検知部)、動作検知部13A(動作検知部)、頸部音取得部14A(頸部音取得部)、及び、頸部音検知部15A(頸部音検知部)を含んで構成される。
【0072】
図8は、動作検知装置1Aで用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。入出力装置103Aは、複数のマイク(マイクM、マイクMAなど)を含んで構成される。
【0073】
以下、
図7に示す動作検知装置1Aの動作検知部13A、頸部音取得部14A及び頸部音検知部15Aについて説明する。動作検知部13Aの説明については、頸部音取得部14A及び頸部音検知部15Aの説明の後に行う。
【0074】
頸部音取得部14Aは、対象者Oの頸部N付近の音を取得する。頸部Nは、対象者Oの頭と胴体とをつなぐ部位(首)である。頸部Nは、咽喉部Tを含んでもよい。咽喉部Tは、口腔、咽頭、喉頭及び食道(の上部)などを含む頸部N付近の内部器官である。頸部音取得部14Aは、対象者Oの咽喉部T付近の音を取得してもよい。頸部音取得部14Aが取得する音は、対象者Oの体内で発生する音(体内音)を含んでもよい。
【0075】
頸部音取得部14Aは、対象者Oの頸部N付近又は咽喉部T付近に装着されたマイクMAで検出された音を取得してもよい。マイクMAは、例えば、集音マイク(頸部マイク、咽喉マイク)である。マイクMAは、例えば、対象者Oの頸部N付近又は咽喉部T付近の体表面に密着させて(密着状態で)装着され、当該頸部N付近又は咽喉部T付近の音を検出(集音)する。
【0076】
図9は、頸部N付近又は咽喉部T付近にマイクMAを装着し、剣状突起付近にマイクMを装着した対象者Oを示す図である。
図9に示す例では、第1実施形態で説明したマイクMに加え、対象者Oの頸部N付近又は咽喉部T付近の体表面にマイクMAが装着されている。
【0077】
頸部音取得部14Aは、取得した音に関する情報である頸部音情報を頸部音検知部15Aに出力する。頸部音情報は、例えば、取得した音の音響信号を示す情報を含んでもよい。頸部音情報のデータ例として、取得した音の音響信号の波形を示すデータが挙げられるが、これに限るものではない。
【0078】
頸部音検知部15Aは、頸部音取得部14Aによって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する。より具体的には、頸部音検知部15Aは、頸部音取得部14Aによって出力された頸部音情報に基づいて所定の生体音を検知する。
【0079】
頸部音検知部15Aが検知する所定の生体音は、(対象者Oの)頸部N付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化の少なくとも一つに基づく音であってもよい。器官は、(対象者Oの)口腔、咽頭、喉頭又は食道(の上部)の少なくとも一つであってもよい。頸部音検知部15Aが検知する所定の生体音は、例えば、対象者Oの嚥下に基づく音である嚥下音であってもよい。所定の生体音を検知するとは、より具体的には、所定の生体音か否か(所定の生体音以外(雑音等)か)を識別することである。
【0080】
頸部音検知部15Aによる生体音の検知方法の一例を説明する。
【0081】
まず、頸部音検知部15Aは、頸部音取得部14Aによって取得された音(頸部音情報が示す音)に対してデジタルフィルタ処理を行うことで、対象者Oの脈波(血流の音)などの影響(所定の生体音以外の音の影響)を除去又は軽減する。頸部音検知部15Aは、除去又は軽減において、100Hz程度のハイパスフィルタを用いてもよい。頸部音検知部15Aは、デジタルフィルタ処理において、所定の生体音の特徴音を中心に抽出を行ってもよい。
【0082】
次に、頸部音検知部15Aは、デジタルフィルタ処理が行われた音に対して、パワーベースドVADを用いて音イベント検出を行う。本処理は、第1実施形態における接合部音検知部12による処理と同様である。
【0083】
次に、頸部音検知部15Aは、音イベント検出が行われた区間(のみ)に対して機械学習を行って、所定の生体音を検知する。本処理は、第1実施形態における接合部音検知部12による処理と同様である。
【0084】
以上が、頸部音検知部15Aによる生体音の検知方法の一例の説明である。
【0085】
図10は、頸部N付近及び食道胃接合部J付近の生体音の観測信号例を示す図である。
図10に示す観測信号例において、横軸は時刻を示し、縦軸は観測信号の強弱を示し、上側のグラフは頸部音取得部14Aによって取得された対象者Oの頸部N付近の音に基づく観測信号であって、デジタルフィルタ処理及び音イベント検出を行った後の観測信号を示し、下側のグラフは接合部音取得部11によって取得された対象者Oの食道胃接合部J付近の音に基づく観測信号であって、デジタルフィルタ処理及び音イベント検出を行った後の観測信号を示す。例えば、頸部音検知部15Aは、
図10に示す観測信号例のうち時刻「2:10.5」から時刻「2:11.0」までの区間DAについて所定の生体音を検知し、接合部音検知部12は、時刻「2:15.0」から時刻「2:22.0」までの区間Dについて所定の生体音を検知する。
【0086】
頸部音検知部15Aは、検知した生体音に関する情報である頸部生体音情報を動作検知部13Aに出力する。頸部生体音情報は、例えば、検知した生体音を識別する情報と、当該生体音を検知した開始時刻(又は開始日時)と、当該生体音を検知した終了時刻(又は終了日時)とを含んでもよい。頸部生体音情報のデータ例として、検知した生体音を識別するテキスト「薬剤を服用した際に生じる生体音」と、当該生体音を検知した開始時刻を示すテキスト「18:41:21」と、当該生体音を検知した終了時刻を示すテキスト「18:41:30」とを含むテキストデータが挙げられるが、これに限るものではない。
【0087】
動作検知部13Aは、(第1実施形態の動作検知部13に対して)頸部音検知部15Aによって検知された生体音にさらに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。すなわち、動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音と、頸部音検知部15Aによって検知された生体音とに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。より具体的には、動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって出力された接合部生体音情報と、頸部音検知部15Aによって出力された頸部生体音情報とに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。動作検知部13Aは、接合部音検知部12による検知結果と、頸部音検知部15Aによる検知結果とを比較し、比較結果に基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。すなわち、動作検知部13Aは、接合部音検知部12による検知結果と、頸部音検知部15Aによる検知結果との統合処理を行ってもよい。
【0088】
例えば、動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音が、対象者Oが薬剤を服用した際に生じる生体音であり、頸部音検知部15Aによって検知された生体音が、対象者Oが薬剤を服用した際に生じる生体音である場合、対象者Oの服薬を検知する。より具体的には、接合部生体音情報に関する第1の条件(例:「検知された生体音が薬剤を服用した際に生じる生体音である」等)と、頸部生体音情報に関する第2の条件(例:「検知された生体音が薬剤を服用した際に生じる生体音である」等)と、当該第1の条件及び当該第2の条件の両方を満たす場合の検知結果(「服薬」等)とが対応付いた条件情報が情報格納部10によって予め格納され、動作検知部13Aは、当該条件情報を参照することで、接合部音検知部12によって出力された接合部生体音情報が示す生体音が該当する第1の条件と、頸部音検知部15Aによって出力された頸部生体音情報が示す生体音が該当する第2の条件とに対応付く検知結果を取得し、取得した検知結果が示す動きを、対象者Oの動きとして検知してもよい。
【0089】
動作検知部13Aは、第1実施形態の動作検知部13と同様に、接合部音検知部12によって検知された1つ以上の生体音と、頸部音検知部15Aによって検知された1つ以上の生体音とに基づいて対象者Oの1つ以上の動作を検知してもよい。
【0090】
動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音の発生タイミングと、頸部音検知部15Aによって検知された生体音の発生タイミングとに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音の発生タイミングが、頸部音検知部15Aによって検知された生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者Oの動作を検知してもよい。
【0091】
動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音と、接合部音検知部12によって検知された当該生体音の発生タイミングと、頸部音検知部15Aによって検知された生体音と、頸部音検知部15Aによって検知された当該生体音の発生タイミングとに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。
【0092】
例えば、動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって嚥下音が検知され、接合部音検知部12によって検知された嚥下音の発生タイミングから10秒以内に、頸部音検知部15Aによって対象者Oの食道E内部の圧力変化に基づく音が検知された場合、対象者Oの服薬を検知する。
【0093】
動作検知部13Aは、対象者Oの動作を検知した後に、検知した対象者Oの動作に基づく処理を行ってもよい。例えば、動作検知部13Aは、対象者Oの服薬を検知した後に、当該服薬が確実に行われたかを検知するため、別の(服薬を検知する装置である)服薬検知装置を実行させてもよい。
【0094】
図11は、動作検知装置1Aが実行する処理(動作検知方法)の一例を示すフローチャートである。まず、頸部音取得部14Aが、対象者Oの頸部N付近の音を取得する(ステップS10、頸部音取得ステップ)。次に、頸部音検知部15Aが、S10にて取得された音に基づいて所定の生体音(頸部N付近の生体音)を検知する(ステップS11、頸部音検知ステップ)。次に、接合部音取得部11が、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する(ステップS12、接合部音取得ステップ)。次に、接合部音検知部12が、S12にて取得された音に基づいて所定の生体音(食道胃接合部J付近の生体音)を検知する(ステップS13、接合部音検知ステップ)。次に、動作検知部13Aが、S11にて検知された生体音と、S13にて検知された生体音とに基づいて対象者Oの動作を検知する(ステップS14、動作検知ステップ)。
【0095】
なお、S10及びS11の一連処理と、S12及びS13の一連の処理とは、S14の前であればいつ行われてもよい。例えばS10、S12、S11、S13、S14の順で処理が行われてもよいし、例えば、S10、S12、S13、S11、S14の順で処理が行われてもよいし、例えばS12、S10、S11、S13、S14の順で処理が行われてもよいし、例えばS12、S13、S10、S11、S14の順で処理が行われてもよい。
【0096】
続いて、動作検知装置1Aによる一連の処理をコンピュータに実行させるための動作検知プログラム300Aを説明する。動作検知プログラム300Aは、
図12に示すように、コンピュータに挿入されてアクセスされる、又は、コンピュータが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。より具体的には、動作検知プログラム300Aは、動作検知装置1Aが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。
【0097】
動作検知プログラム300Aは、接合部音取得モジュール301、接合部音検知モジュール302、動作検知モジュール303A、頸部音取得モジュール304A、及び、頸部音検知モジュール305Aを備えて構成される。接合部音取得モジュール301、接合部音検知モジュール302、動作検知モジュール303A、頸部音取得モジュール304A、及び、頸部音検知モジュール305Aを実行させることにより実現される機能は、上述した動作検知装置1Aの接合部音取得部11、接合部音検知部12、動作検知部13A、頸部音取得部14A、及び、頸部音検知部15Aの機能とそれぞれ同様である。
【0098】
動作検知プログラム300Aは、動作検知装置1A(の一つ以上のCPU)を、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11、接合部音取得部11によって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する接合部音検知部12、対象者Oの頸部N付近の音を取得する頸部音取得部14A、頸部音取得部14Aによって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する頸部音検知部15A、接合部音検知部12によって検知された生体音と頸部音検知部15Aによって検知された生体音とに基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13A、として機能させるためのプログラムである。
【0099】
なお、動作検知プログラム300Aは、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記憶(インストールを含む)される構成としてもよい。また、動作検知プログラム300Aの各モジュールは、1つのコンピュータでなく、複数のコンピュータのいずれかにインストールされてもよい。その場合、当該複数のコンピュータによるコンピュータシステムよって上述した動作検知プログラム300Aの一連の処理が行われる。
【0100】
続いて、動作検知装置1Aの作用効果について説明する。
【0101】
動作検知装置1Aによれば、対象者Oの頸部N付近の音を取得する頸部音取得部14Aと、頸部音取得部14Aによって取得された音に基づいて所定の生体音を検知する頸部音検知部15Aと、をさらに備え、動作検知部13Aは、頸部音検知部15Aによって検知された生体音にさらに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。このような動作検知装置1Aにおいては、接合部音検知部12によって検知された生体音と頸部音検知部15Aによって検知された生体音とに基づいて対象者Oの動作を検知することができる。これにより、異なる箇所の生体音に基づいて対象者Oの動作をより正確に検知することができる。
【0102】
また、動作検知装置1Aの動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音の発生タイミングと、頸部音検知部15Aによって検知された生体音の発生タイミングとに基づいて対象者Oの動作を検知してもよい。このような動作検知装置1Aにおいては、異なる箇所の生体音のそれぞれの発生タイミングに基づいて対象者Oの動作をより正確に検知することができる。
【0103】
また、動作検知装置1Aの動作検知部13Aは、接合部音検知部12によって検知された生体音の発生タイミングが、頸部音検知部15Aによって検知された生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者Oの動作を検知してもよい。このような動作検知装置1Aにおいては、例えば、対象者Oの食道胃接合部J付近の生体音の発生タイミングが、対象者Oの頸部N付近の生体音の発生タイミングから所定の時間内である場合に、対象者Oの動作が検知される。これにより、例えば、飲食物又は薬剤などが頸部N付近を通過した後に、当該対象者の動作に伴う食道胃接合部J付近での生体音を取得し、対象者Oの動作を検知することができるため、より高精度に、対象者Oの動作を検知することができる。
【0104】
飲水又は薬剤服用に関する一例を挙げると、動作検知装置1Aによれば、例えば、マイクMAの信号音を機械学習することで得られる嚥下音の検出結果と、マイクMの信号音から飲水(薬剤服用)の検出結果とを比較することで、飲水(薬剤服用)検知の精度を上げることができる。また例えば、マイクMAで検出された嚥下音に対して、剣状突起周辺の生体音が0.1秒から10秒程度遅れるという知見に基づき、一定の時間内の嚥下音と当該生態音に限定して両方の検出結果を統合することで、飲水(薬剤服用)検知の精度を上げることができる。なお、動作検知装置1Aによる作用効果は、飲水又は薬剤服用の場面に限るものではなく、対象者Oの音に基づく任意の場面にて奏される。
【0105】
[第1実施形態の変形例]
図13は、第1実施形態の変形例に係る動作検知装置1Cの機能構成の一例を示す図である。動作検知装置1Cは、動作検知装置1と同様の機能構成を備え、同様の作用効果を奏する。同様の機能構成及び作用効果については説明を省略し、主な差分について説明する。なお、上述の第1実施形態での動作検知装置1の説明内容は、動作検知装置1Cにおいても適用される。
【0106】
図13に示す通り、動作検知装置1C(動作検知装置)は、情報格納部10、接合部音取得部11C(接合部音取得部)、及び、動作検知部13C(動作検知部)を含んで構成される。
【0107】
図14は、動作検知装置1Cで用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0108】
以下、
図13に示す動作検知装置1Cの接合部音取得部11C及び動作検知部13Cについて説明する。
【0109】
接合部音取得部11Cは、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する。接合部音取得部11Cは、取得した音に関する情報である接合部音情報を動作検知部13Cに出力する。
【0110】
動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって取得された音に基づいて対象者Oの動作を検知する。より具体的には、動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって出力された接合部音情報に基づいて対象者Oの動作を検知する。例えば、接合部音情報と動作情報との組の教師データを用いて予め機械学習を行った上で学習済みモデルを生成して、予め情報格納部10によって格納させ、動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって出力された接合部音情報を、情報格納部10によって格納された当該学習済みモデルに適用して動作情報を取得することで、対象者Oの動作を検知してもよい。
【0111】
動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって取得された複数の音に基づいて対象者Oの複数の動作を検知してもよい。当該検知は、上述の教師データの組を複数の接合部音情報と複数の動作情報との組に置き換えることで実現することができる。
【0112】
動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって取得された複数の音に基づいて対象者Oの1つの動作を検知してもよい。当該検知は、上述の教師データの組を複数の接合部音情報と1つの動作情報との組に置き換えることで実現することができる。
【0113】
動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって取得された1つの音に基づいて対象者Oの複数の動作を検知してもよい。当該検知は、上述の教師データの組を1つの接合部音情報と複数の動作情報との組に置き換えることで実現することができる。
【0114】
すなわち、動作検知部13Cは、接合部音取得部11Cによって取得された1つ以上の音に基づいて対象者Oの1つ以上の動作を検知してもよい。
【0115】
図15は、動作検知装置1Cが実行する処理(動作検知方法)の一例を示すフローチャートである。まず、接合部音取得部11Cが、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する(ステップS20、接合部音取得ステップ)。次に、動作検知部13Cが、S20にて取得された音に基づいて対象者Oの動作を検知する(ステップS21、動作検知ステップ)。
【0116】
続いて、動作検知装置1Cによる一連の処理をコンピュータに実行させるための動作検知プログラム300Cを説明する。動作検知プログラム300Cは、
図16に示すように、コンピュータに挿入されてアクセスされる、又は、コンピュータが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。より具体的には、動作検知プログラム300Cは、動作検知装置1Cが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。
【0117】
動作検知プログラム300Cは、接合部音取得モジュール301C、及び、動作検知モジュール303Cを備えて構成される。接合部音取得モジュール301C、及び、動作検知モジュール303Cを実行させることにより実現される機能は、上述した動作検知装置1Cの接合部音取得部11C、及び、動作検知部13Cの機能とそれぞれ同様である。
【0118】
動作検知プログラム300Cは、動作検知装置1C(の一つ以上のCPU)を、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11C、接合部音取得部11Cによって取得された音に基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13C、として機能させるためのプログラムである。
【0119】
なお、動作検知プログラム300Cは、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記憶(インストールを含む)される構成としてもよい。また、動作検知プログラム300Cの各モジュールは、1つのコンピュータでなく、複数のコンピュータのいずれかにインストールされてもよい。その場合、当該複数のコンピュータによるコンピュータシステムよって上述した動作検知プログラム300Cの一連の処理が行われる。
【0120】
続いて、動作検知装置1Cの作用効果について説明する。
【0121】
動作検知装置1Cによれば、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11Cと、接合部音取得部11Cによって取得された音に基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13と、を備える。このような動作検知装置1Cにおいては、対象者Oの食道胃接合部J付近の音に基づいて対象者Oの動作が検知される。これにより、喉頭のように類似した様々なノイズが発せられる部位から離れた食道胃接合部J付近の音に基づいて対象者Oの動作を検知することができる。すなわち、ノイズを抑えた消化器系の音に基づいて対象者Oの動作を検知することができる。
【0122】
[第2実施形態の変形例]
図17は、第2実施形態の変形例に係る動作検知装置1Dの機能構成の一例を示す図である。動作検知装置1Dは、動作検知装置1Aと同様の機能構成を備え、同様の作用効果を奏する。同様の機能構成及び作用効果については説明を省略し、主な差分について説明する。なお、上述の第2実施形態での動作検知装置1Aの説明内容は、動作検知装置1Dにおいても適用される。
【0123】
図17に示す通り、動作検知装置1D(動作検知装置)は、情報格納部10、接合部音取得部11D(接合部音取得部)、動作検知部13D(動作検知部)、及び、頸部音取得部14D(頸部音取得部)を含んで構成される。
【0124】
図18は、動作検知装置1Dで用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0125】
以下、
図17に示す動作検知装置1Dの接合部音取得部11D、動作検知部13D及び頸部音取得部14Dについて説明する。動作検知部13Dの説明については、頸部音取得部14Dの説明の後に行う。
【0126】
接合部音取得部11Dは、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する。接合部音取得部11Dは、取得した音に関する情報である接合部音情報を動作検知部13Dに出力する。
【0127】
頸部音取得部14Dは、対象者Oの頸部N付近の音を取得する。頸部音取得部14Dは、取得した音に関する情報である頸部音情報を動作検知部13Dに出力する。
【0128】
動作検知部13Dは、接合部音取得部11Dによって取得された音と、頸部音取得部14Dによって取得された音とに基づいて対象者Oの動作を検知する。より具体的には、動作検知部13Dは、接合部音取得部11Dによって出力された接合部音情報と、頸部音取得部14Dによって出力された頸部音情報とに基づいて対象者Oの動作を検知する。例えば、接合部音情報と頸部音情報と動作情報との組の教師データを用いて予め機械学習を行った上で学習済みモデルを生成して、予め情報格納部10によって格納させ、動作検知部13Dは、接合部音取得部11Dによって出力された接合部音情報と頸部音取得部14Dによって出力された頸部音情報とを、情報格納部10によって格納された当該学習済みモデルに適用して動作情報を取得することで、対象者Oの動作を検知してもよい。
【0129】
動作検知部13Dは、第1実施形態の変形例の動作検知部13Cと同様に、接合部音取得部11Dによって取得された1つ以上の音と、頸部音取得部14Dによって取得された1つ以上の音とに基づいて対象者Oの1つ以上の動作を検知してもよい。
【0130】
図19は、動作検知装置1Dが実行する処理(動作検知方法)の一例を示すフローチャートである。まず、頸部音取得部14Dが、対象者Oの頸部N付近の音を取得する(ステップS30、頸部音取得ステップ)。次に、接合部音取得部11Dが、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する(ステップS31、接合部音取得ステップ)。次に、動作検知部13Dが、S30にて取得された音と、S31にて取得された音とに基づいて対象者Oの動作を検知する(ステップS32、動作検知ステップ)。
【0131】
なお、S30及びS31の処理は逆順でもよい。例えば、S31、S30、S32の順で処理が行われてもよい。
【0132】
続いて、動作検知装置1Dによる一連の処理をコンピュータに実行させるための動作検知プログラム300Dを説明する。動作検知プログラム300Dは、
図20に示すように、コンピュータに挿入されてアクセスされる、又は、コンピュータが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。より具体的には、動作検知プログラム300Dは、動作検知装置1Dが備える記憶媒体200に形成されたプログラム格納領域201内に格納される。
【0133】
動作検知プログラム300Dは、接合部音取得モジュール301D、動作検知モジュール303D、及び、頸部音取得モジュール304Dを備えて構成される。接合部音取得モジュール301D、動作検知モジュール303D、及び、頸部音取得モジュール304Dを実行させることにより実現される機能は、上述した動作検知装置1Dの接合部音取得部11D、動作検知部13D、及び、頸部音取得部14Dの機能とそれぞれ同様である。
【0134】
動作検知プログラム300Dは、動作検知装置1D(の一つ以上のCPU)を、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11D、対象者Oの頸部N付近の音を取得する頸部音取得部14D、接合部音取得部11Dによって取得された音と頸部音取得部14Dによって取得された音とに基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13D、として機能させるためのプログラムである。
【0135】
なお、動作検知プログラム300Dは、その一部若しくは全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、他の機器により受信されて記憶(インストールを含む)される構成としてもよい。また、動作検知プログラム300Dの各モジュールは、1つのコンピュータでなく、複数のコンピュータのいずれかにインストールされてもよい。その場合、当該複数のコンピュータによるコンピュータシステムよって上述した動作検知プログラム300Dの一連の処理が行われる。
【0136】
続いて、動作検知装置1Dの作用効果について説明する。
【0137】
動作検知装置1Dによれば、対象者Oの食道胃接合部J付近の音を取得する接合部音取得部11Dと、対象者Oの頸部N付近の音を取得する頸部音取得部14Dと、接合部音取得部11Dによって取得された音と、頸部音取得部14Dによって取得された音とに基づいて対象者Oの動作を検知する動作検知部13Dと、を備える。このような動作検知装置1Dにおいては、接合部音取得部11Dによって取得された音と頸部音取得部14Dによって取得された音とに基づいて対象者Oの動作を検知することができる。これにより、異なる箇所の音に基づいて対象者Oの動作をより正確に検知することができる。
【0138】
[本開示での実施形態について]
従来技術について説明する。従来より、人の頸部に集音マイク(咽喉マイク)を密着させ、咽喉マイクから出力された信号音から人の嚥下音を識別し、嚥下があったことを通知する内容が知られている。咽喉部では嚥下音以外に声又は咀嚼といった音も頻繁に観測されるため、誤判定が増える傾向にある。そのために、全ての音に反応していたのでは処理が多くなるなど問題がある。嚥下を機械学習で厳密に検出できれば良いのかもしれないが、現実的には非常に難しいと言える。一方、本開示の実施形態のように、剣状突起周辺音を使うと、咽喉マイクを使う場合に比べて、そのような音イベント自体の出現頻度が明らかに少なくなる。そのため、簡単な方法でも効率よく対象者Oの動作を検出できる可能性が高まる。
【0139】
さらに本発明者らが研究を進めると、食道部を飲食物等が通過する際に所定の生体音が生じることがわかった。この生体音を検知することで、対象者の動作を検知できると考えた。従来技術では、頸部又は喉部に設けた集音マイクから嚥下音を検知する内容が知られているが、食道部下部(胃Sの近傍)の生体音を正確に検知することは難しい。なお、嚥下音は、輪状軟骨が上昇する音、舌骨が動く音、喉頭蓋が動く音、飲食物等が喉頭蓋谷に落ちる音などが複雑に混ざった複合的な音と考えられている。嚥下音は、本開示の実施形態のように食道胃接合部J付近(剣状突起部付近)で生じる音とは全く異なる。すなわち、従来技術では、咽喉部の嚥下音の検出を対象としており、食道胃接合部J付近(剣状突起部付近)で生じる音は対象としていない。
【0140】
動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、対象者Oの上部消化管の動き、食道胃接合部J付近の器官の動き、当該器官内部の圧力変化、嚥下、食事、又は、飲水などを含む対象者Oの動作全般を検知することができる。
【0141】
またさらには、動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dにおいて、上部消化管の状態に関する詳細な解析(モニタリング)として、食道胃接合部J付近で取得されるゲップ音の頻度や、消化管(噴門)の動作音等から、例えば逆流性食道炎(GARD)や呑気症の疑いを発見することも可能とした。
【0142】
動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、対象者Oの動作全般の管理に活用可能な技術である。動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、一例として、医療機器及び介護機器としても活用可能である。
【0143】
動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、例えば、食道胃接合部J付近の生体音から対象者Oの動作を正確に検知することができる。
【0144】
従来より、服薬管理は医療又は介護の現場において重要な課題である。決められた時間に決められた量又は種類の薬剤を服用する必要があるが、これを正確に管理することは容易ではない。例えば、定時に定量の薬剤を提供するような薬箱もあるが、患者本人が正しく服用したかどうかを確認するのは困難である。
【0145】
一般的に、ライフログにおける詳細な解析として、通常の食事と、例えば水分の定期的な補給又は服薬といった通常の食事とは異なる生活活動とを、分離抽出することができれば、その解析データの活用の幅は大いに広がることとなる。しかし、通常の食事と、上記活動は、口消化器系へと対象物を取り込む個別の動作は同質であることから、その解析上の区別は難しい。
【0146】
しかし、動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、薬剤の服薬状況を人の管理に頼ることなく、24時間モニタリングできる服薬管理(服薬行動検出)システムとして用いることができる。すなわち、動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、対象者Oが薬剤を飲んでいるか否かを確認する服薬管理システムとして用いることができる。特に、患者(対象者O)自身では服薬が管理できない、介護を必要とするような患者の管理にとって有効な技術である。本発明者らによる実験において、被験者3人に対して12時間連続してデータの収集を行った。この12時間の間には食事行動及び会話行動も含まれるが、剣状突起周辺の生体音を検出することで、飲水(服薬)行動とその他の行動との区別が可能となり、飲水(服薬)行動の検出が可能となった。
【0147】
これは、ノイズが発せられる部位から離れた食道胃接合部J付近の音に基づいて対象者の動作を検知することとしたことに加え、発明者らは、食道胃接合部J付近で取得される音には、例えば、食道胃接合部J付近の器官の動き、又は、当該器官内部の圧力変化により生じる音の様に、連続して飲食するときは観測されず、一定程度の間隔が空いた場合のみ発生するものがあることを明らかとし、この特性を利用して、動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、通常の食事のように連続して飲食するときと、一定程度の間隔が空いた後に断続的に行われる水分の定期的な補給や服薬および服薬に伴う飲水といった生活活動を、区別して抽出することで、これら区別を可能とした。
【0148】
すなわち、動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、例えば、服薬に関連した剣状突起周辺音か否かの識別を行うことができる。動作検知装置1又は動作検知装置1Aは、例えば、飲水時(薬剤服用時)のマイクMの信号音を機械学習することで、飲水時(薬剤服用時)のイベントのみを検出する。動作検知装置1又は動作検知装置1Aは、例えば、機械学習を用いたVADにより、所定の生体音と雑音とが含まれる信号から、所定の生体音の音イベント区間の候補を検出する。
【0149】
さらに、この特性を利用することで、動作検知装置1、動作検知装置1A、動作検知装置1C又は動作検知装置1Dは、通常の食事のように連続して飲食するときと、一定程度の間隔が空いた後に断続的に行われる水分の定期的な補給といった生活活動を、区別して抽出することにより、屋外作業者の熱中症予防(対策)として、定期的な飲水を管理することも可能とした。。
【0150】
本開示での実施形態において説明した動作検知方法は、対象者Oからデータ(音)を収集及び分析する方法、又は、対象者Oから収集されたデータ(音)を用いて基準と比較するなどの分析を行う方法である。当該動作検知方法は、人間を手術、治療又は診断する方法ではない(人間を手術、治療又は診断する方法を除く)。
【符号の説明】
【0151】
1・1A…動作検知装置、10…情報格納部、11・11C・11D…接合部音取得部、12…接合部音検知部、13・13A・13C・13D…動作検知部、14A・14D…頸部音取得部、15A…頸部音検知部、100…CPU、101…RAM、102…ROM、103・103A…入出力装置、104…通信モジュール、105…補助記憶装置、200…記憶媒体、201…プログラム格納領域、300・300A・300C・300D…動作検知プログラム、301・301C・301D…接合部音取得モジュール、302…接合部音検知モジュール、303・303A・303C・303D…動作検知モジュール、304A・304D…頸部音取得モジュール、305A…頸部音検知モジュール。