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  • 特開-荷押えシート 図1
  • 特開-荷押えシート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087556
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】荷押えシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/38 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
B65D19/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199545
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 志朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦士
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 安生
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063FF06
3E063FF07
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】簡単に設置できてパレット上の荷崩れを抑制できる荷押えシートを提供すること。
【解決手段】荷押えシート1は、パレット上の荷物の上面および両端面を押えるものであって、X軸方向に伸縮可能なシート本体10と、シート本体10の両端部11にそれぞれ取り付けられていると共にパレットの被連結部に連結可能な端部連結体20とを備える。端部連結体20は、パレットとの連結状態でシート本体10の端部11とパレットの被連結部との間隔を調整可能に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上の荷物の上面および両端面を押える荷押えシートであって、
長手方向に伸縮可能なシート本体と、
前記シート本体の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられていると共に前記パレットの被連結部に連結可能な端部連結体とを備え、
前記端部連結体は、前記パレットとの連結状態で前記シート本体の端部と前記パレットの被連結部との間隔を調整可能に構成される
ことを特徴とする荷押えシート。
【請求項2】
前記シート本体の両端部の間において当該シート本体の長手方向に対向する二か所に取り付けられた長さ調整可能なシート長調整体を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の荷押えシート。
【請求項3】
前記端部連結体は、前記シート本体の長手方向に交差する幅方向における端部の寸法よりも小さいベルトを備え、
前記シート本体の端部には、前記幅方向に沿った剛性部材が設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の荷押えシート。
【請求項4】
前記端部連結体は、前記シート本体の長手方向に交差する幅方向における端部の寸法よりも小さいベルトを備え、
前記シート本体の端部には、少なくとも二つの前記端部連結体が前記幅方向に間隔を隔てて取り付けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷押えシート。
【請求項5】
前記端部連結体は、ベルトと、前記ベルトの長さを調整する調整部材とを備え、
前記調整部材で調整される前記ベルトの余り部分を前記シート本体の端部に着脱可能な面ファスナーを更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷押えシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上の荷物の荷崩れを抑制する荷押えシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットに載せた荷物の荷崩れを防止する荷崩れ防止具が知られている(特許文献1参照)。この荷崩れ防止具は、取付具によってパレットに固定されるベルトと、ベルトがパレット上の荷物に掛かるように挿通されて荷物の上に載せられる抑え部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-40727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1においては、ナイロンなどの合成樹脂材を編んでなるネットをパレット上の荷物に被せたうえ、前述した荷崩れ防止具を設置することで、移動中のパレット上の荷物の動きを抑えるようになっている。
ここで、ネットを用いずに荷崩れ防止具だけを設置することも可能であるが、荷崩れ防止具のベルトが掛かっていない荷物が移動中に位置ズレするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、簡単に設置できてパレット上の荷崩れを抑制できる荷押えシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の荷押えシートは、パレット上の荷物の上面および両端面を押える荷押えシートであって、長手方向に伸縮可能なシート本体と、前記シート本体の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられていると共に前記パレットの被連結部に連結可能な端部連結体とを備え、前記端部連結体は、前記パレットとの連結状態で前記シート本体の端部と前記パレットの被連結部との間隔を調整可能に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単に設置できてパレット上の荷崩れを抑制できる荷押えシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る荷押えシートの使用状態を示す斜視図。
図2】前記実施形態に係る荷押えシートを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態に係る荷押えシート1は、パレット5上の荷物6の上面61および両端面62を押えるものであって、シート本体10と、シート本体10の両端部11にそれぞれ取り付けられていると共にパレット5の被連結部としての連結孔51に連結可能な端部連結体20と、シート本体10の両端部11の間において当該シート本体10の長手方向に対向する二か所に取り付けられた長さ調整可能なシート長調整体30とを備える。
以下の説明において、荷押えシート1の長手方向をX軸方向とし、荷押えシート1の幅方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。なお、図2(A)は荷押えシート1の平面図を示し、図2(B)は荷押えシート1の側面図を示す。
【0010】
本実施形態において、パレット5は、両端部に連結孔51を有したパレット本体50と、パレット本体50の両端部に連続する両側縁部から立ち上げられたポール52とによって構成されている。連結孔51は後述するベルト21が通される孔等によって形成される。また、パレット本体50上には、プラスチック段ボール等の荷物受板材53がポール52に沿って配設されている。
荷物6としては、例えば長尺な建築用木材などがパレット5に複数積まれるものが挙げられる。この荷物6のY軸方向の位置ズレは、ポール52および荷物受板材53が荷物6をY軸方向で受けることで抑制される。
【0011】
シート本体10は、その両端部11が600Dのポリエステル製繊維を織り込んで高強度に形成されており、両端部11の間はX軸方向に1.3倍程度に伸長可能な塩化ビニールなどの伸縮性材料によって形成されている。端部11のX軸方向における寸法は150mm程度である。端部11には、例えばアルミ、スチール等の金属、木材、高剛性の合成樹脂などで棒状に形成される剛性部材15が、端部11のY軸方向における両縁にわたってY軸方向に沿って設けられている。本実施形態では、シート本体10のX軸方向における長さ寸法は、そのY軸方向における幅寸法の3倍程度の寸法とされており、例えば長さ寸法を3000mm程度とし、幅寸法を1000mmとしてもよいが、この寸法設定に限らずパレット5およびこれに積む荷物6の各寸法に応じて適宜設定される。また、剛性部材15のY軸方向における長さ寸法は950mm程度である。
【0012】
端部連結体20は、本実施形態ではシート本体の端部11に対してY軸方向に間隔を隔てて一対設けられている。一方の端部連結体20は端部11のY軸方向における一方の縁部に配置されており、他方の端部連結体20は端部11のY軸方向における他方の縁部に配置されている。
端部連結体20は、ベルト21と、ベルト21に装着された調整部材としてのバックル23とを備えている。ベルト21は、例えば合成樹脂繊維を織り込んだ帯状体によって構成され、本実施形態では250mm程度の幅寸法とされる。バックル23は、プラグ24と、プラグ24が差込係合されるソケット25とを備えている。ベルト21の一端にはソケット25が装着されており、ベルト21の一端から当該ベルト21に沿って離間した部分(ベルト21の他端側)にはプラグ24が装着されている。プラグ24のベルト装着部は、ベルト21が通される一対の孔部と、一対の孔部の間に配置されてベルト21が掛けられる軸部とを有してコキ形状に形成されており、プラグ24およびソケット25の間のベルト21の長さを調整可能(アジャスト可能)に構成されている。バックル23には汎用のアジャスター機能付きバックルを採用可能である。
ここで、シート本体10の端部11には面ファスナー40の雌部材41が設けられており、ベルト21の他端には面ファスナー40の雄部材42が設けられており、雌部材41にはフック状の係合部を有しており、雄部材42はループ状の被係合部を有している。ベルト21のうちプラグ24に装着された部分から他端までのベルト余り部分は、雌部材41に雄部材42を係合させることで下方に垂れ下がらないように収められる。なお、雄部材42は雌部材41から引きはがすことも可能である。
【0013】
シート長調整体30は、ベルト31,32よびベルト31,32を連結するアジャスター機能付きのバックル33を備える二つのベルト長調整体36と、ベルト31,32をシート本体10に取り付ける帯状の取付体37,38とを備えている。二つのベルト長調整体36は、Y軸方向に間隔を隔てて配置されている。ベルト31,32はベルト21と概略同様の幅寸法、構成とされ、バックル33はバックル23と概略同様に構成されている。取付体37,38は、ポリプロピレン製の合成繊維を織り込んで構成されており、幅寸法50mmとされている。
取付体37は、シート本体10の一方の端部11からX軸方向に800mm程度離れて配置されており、取付体38は、シート本体10の他方の端部11からX軸方向に800mm程度離れて配置されている。取付体37,38の間のX軸方向における寸法は950mm程度である。
取付体37にはベルト31の一端が縫製等によって取り付けられており、取付体38にはベルト32の一端が縫製等によって取り付けられている。ベルト31は100mm程度の長さ寸法であり、その他端にはバックル33のソケット35が装着されている。ベルト32は1200mm程度の長さ寸法であり、その他端にはバックル33のプラグ34が装着されている。プラグ34はプラグ24と概略同様に構成されているので、ベルト32の長さ調整が可能である。
【0014】
以下、本実施形態に係る荷押えシート1の設置手順について説明する。
まず、パレット5上に積み上げた建築用木材等の荷物6に対してシート本体10を被せ、荷物6の上面61と、荷物6の両端面62の上側部分から上下中央部分くらいまでを覆う。シート本体10の長さ寸法は、ベルト長調整体36のバックル33のアジャスター機能によるベルト32の長さ調整で予め適切な長さに調整される。
次に、シート本体10の両端部11にそれぞれ取り付けられている端部連結体20をパレット5の連結孔51に連結する。具体的には、ベルト21を連結孔51に通してプラグ24をソケット25に差込係合する。
最後に、バックル23のアジャスター機能によるベルト21の長さ調整によってシート本体10の端部11とパレット5の連結孔51との間隔を狭めつつシート本体10を引っ張る。これによって伸長されるシート本体10は、荷物6の上面61および両端面62に対してテンションをかけつつ押える。シート本体10によって荷物6の上面61と、その両端面62の上側部分から7割程度の領域が覆われる。ここで、前記両端面のうち下側3割程度の領域は、シート本体10に覆われずに露出するものの荷物6の上側部分の荷重が加わっているので、運搬中でも位置ズレしにくい荷積みとなっている。
なお、ベルト21のうち長さ調整によって余った部分は、前述したように面ファスナー40によって下方に垂れ下がらないように収められる。
このように荷押えシート1を設置する。
【0015】
[変形例]
前記実施形態では、シート長調整体30を備えているが、シート本体10のシート長さを調整する必要のない環境で使用する場合には、シート長調整体30を省略してもよい。
前記実施形態では、シート本体10の端部11に剛性部材15が設けられているが、例えば端部11が高強度であってベルト21で引っ張られても撓みなどが生じにくい構成である場合や、複数本のベルト21で端部11に撓みが生じにくいように引っ張る構成である場合には、剛性部材15の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、シート本体10の片側の端部11に取り付けられる端部連結体20は二つであるが、三つであってもよく、また、ベルト21の幅寸法が大きい場合には一つであってもよい。
前記実施形態では、ベルト21の余り部分を収めるための面ファスナー40を設けているが、ベルト21の余り部分が地面につくほど長く垂れない使用環境の場合、面ファスナー40を省略してもよい。
前記実施形態では、端部連結体20は、ベルト21およびアジャスター機能付きのバックル23を備えて構成したが、例えばベルト21にパレット5に連結可能なフック等の連結具を設け、バックル23に代えてベルト長さ調整可能なコキ等のアジャスターを調整部材としてベルト21に装着してもよい。
【0016】
[発明のまとめ]
本発明の荷押えシートは、パレット上の荷物の上面および両端面を押える荷押えシートであって、長手方向に伸縮可能なシート本体と、前記シート本体の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられていると共に前記パレットの被連結部に連結可能な端部連結体とを備え、前記端部連結体は、前記パレットとの連結状態で前記シート本体の端部と前記パレットの被連結部との間隔を調整可能に構成されることを特徴とする。
本発明の荷押えシートによれば、パレット上の荷物の上面および両端面に被せて端部連結体をパレットの被連結部に連結し、シート本体とパレットの被連結部との間隔を調整することで、荷押えシートを設置できる。シート本体は伸縮可能であるので、伸縮性のないシートを用いる場合と比べて、端部連結体の調整によってシート本体を長手方向に伸ばすことで荷物の上面および両端面をしっかりと押さえつけることができ、このため、パレット上の荷物の両端面側への位置ズレによる荷崩れを抑制できる。また、荷押えシートのほかにネットなどを設置する手間がなく、荷押え作業負担を軽減できる。
加えて、本発明の荷押えシートを繰り返し利用することで、荷物を押える包装資材を使い捨てにする場合と比べて、廃棄する包装資材を削減できる。
なお、前述したパレットは、両端部に被連結部を有したパレット本体と、パレット本体の両端部に連続する両側縁部から立ち上げられたポールとによって構成されていてもよい。この場合、パレットの両側縁に沿った荷物の両側面をポールが受けるので、荷物が両側面側に位置ズレすることが抑制される。また、荷物とポールとの間にはプラスチック段ボール等の荷物受け板材が設置されてもよい。
【0017】
本発明の荷押えシートでは、前記シート本体の両端部の間において当該シート本体の長手方向に対向する二か所に取り付けられた長さ調整可能なシート長調整体を備えてもよい。
このような構成によれば、例えばパレット上の荷物が少なく、当該荷物に対してシート本体が長すぎる場合には、シート長調整体を短く調整することでシート本体のうちシート長調整体が取り付けられた二か所の間の部分を寄せることができて、シート本体を適切な長さに調整できる。また、シート長調整部がシート本体に取り付けられた二か所とシート本体の両端部との間の部分は伸縮可能な状態であるので、前述したように端部連結体の調整でシート本体を張り、荷物の上面および両端面をしっかりと押えることができる。
【0018】
本発明の荷押えシートでは、前記端部連結体は、前記シート本体の長手方向に交差する幅方向における端部の寸法よりも小さいベルトを備え、前記シート本体の端部には、前記幅方向に沿った剛性部材が設けられてもよい。
このような構成によれば、端部連結体によってシート本体の端部とパレットの被連結部との間隔を狭める際にシート本体の幅全体を均一に長手方向に伸ばすためには、シート本体の端部の幅方向に沿って複数のベルトを設ける必要があるが、前述した剛性部材を設けることで、設置するベルトを減らしてもシート本体の端部の幅方向全体を伸ばすことができ、パレット上の荷物を適切に押えることができる。
【0019】
本発明の荷押えシートでは、前記端部連結体は、前記シート本体の長手方向に交差する幅方向における端部の寸法よりも小さいベルトを備え、前記シート本体の端部には、少なくとも二つの前記端部連結体が前記幅方向に間隔を隔てて取り付けられてもよい。
このような構成によれば、例えばシート本体の端部に一つの端部連結体を取り付ける場合と比べて、シート本体の端部が傾いたりするおそれを低減でき、荷押えシートの設置状態を安定させることができる。
【0020】
本発明の荷押えシートでは、前記端部連結体は、ベルトと、前記ベルトの長さを調整する調整部材とを備え、前記調整部材で調整される前記ベルトの余り部分を前記シート本体の端部に着脱可能な面ファスナーを更に備えてもよい。
このような構成によれば、バックルのベルトに対する位置調整によってシート本体の端部とパレットとの間隔を調整できるうえ、面ファスナーによってベルトの端部をシート端部に付けることで当該ベルトの余り部分をまとめることができる。
【符号の説明】
【0021】
1…荷押えシート、10…シート本体、11…端部、15…剛性部材、20…端部連結体、21,31,32…ベルト、23,33…バックル(調整部材)、24,34…プラグ、25,35…ソケット、30…シート長調整体、36…ベルト長調整体、37,38…取付体、40…面ファスナー、41…雌部材、42…雄部材、5…パレット、50…パレット本体、51…連結孔(被連結部)、52…ポール、53…荷物受板材、6…荷物、61…上面、62…両端面。
図1
図2