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特開2022-87601ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム
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  • 特開-ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム 図1
  • 特開-ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087601
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/00 20060101AFI20220606BHJP
   A61L 2/232 20060101ALI20220606BHJP
   A61L 101/26 20060101ALN20220606BHJP
   A61L 101/02 20060101ALN20220606BHJP
【FI】
E05B1/00 311P
A61L2/232
A61L101:26
A61L101:02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199618
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】592233347
【氏名又は名称】シーレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】栗原 敦
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB07
4C058JJ04
4C058JJ23
4C058JJ30
(57)【要約】
【課題】ドアノブに密着するとともに、ドアノブに対する滑りを抑制することが可能なドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、ドアノブに用いられる抗ウイルス・抗菌カバーフィルムであって、熱により収縮するシュリンクフィルム層と、前記シュリンクフィルム層の一方側の面に配された、抗ウイルス・抗菌インクからなる抗ウイルス・抗菌インク層と、前記シュリンクフィルム層の他方側の面に配された、粘着剤からなる粘着剤層と、を備え、前記粘着剤層の他方側の表面が、粘着部と非粘着部とから構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアノブに用いられる抗ウイルス・抗菌カバーフィルムであって、
熱により収縮するシュリンクフィルム層と、
前記シュリンクフィルム層の一方側の面に配された、抗ウイルス・抗菌インクからなる抗ウイルス・抗菌インク層と、
前記シュリンクフィルム層の他方側の面に配された、粘着剤からなる粘着剤層と、を備え、
前記粘着剤層の他方側の表面が、粘着部と非粘着部とから構成される、ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム。
【請求項2】
前記粘着剤層の他方側の表面の全面積に対する、前記粘着部の面積割合が、5%以上95%以下である、請求項1に記載のドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム。
【請求項3】
前記粘着部が、複数の帯状部から構成され、
前記帯状部が、ドアノブの周方向と交差する方向に延びる、請求項1又は2に記載のドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム。
【請求項4】
前記帯状部の幅が、1mm以上50mm以下である、請求項3に記載のドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアノブに用いられる抗ウイルス・抗菌カバーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院、学校、ホテル、商業施設等、不特定多数の人が出入りする施設では、人が触れるドアノブに抗ウイルス・抗菌処理を施すことで、ドアノブを衛生的に保持している。
【0003】
ドアノブに抗ウイルス・抗菌処理を施す方法として、例えば、特許文献1では、抗菌剤が混入された抗菌剤混合バインダーを表面に塗布した熱収縮プラスチックフィルムを用いて、ドアノブを被覆する方法が開示されている。具体的には、筒状又は袋状に成形した熱収縮プラスチックフィルムをドアノブに被せ、加熱によって収縮させることによりドアノブに密着させて、被覆することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-021255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の熱収縮プラスチックフィルムを用いてドアノブを被覆すると、ドアノブを回動させる際、ドアノブと熱収縮プラスチックフィルムとの間で滑りが生じて、熱収縮プラスチックフィルムが位置ズレしやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、ドアノブに密着するとともに、ドアノブに対する滑りを抑制することが可能なドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、ドアノブに用いられる抗ウイルス・抗菌カバーフィルムであって、熱により収縮するシュリンクフィルム層と、前記シュリンクフィルム層の一方側の面に配された、抗ウイルス・抗菌インクからなる抗ウイルス・抗菌インク層と、前記シュリンクフィルム層の他方側の面に配された、粘着剤からなる粘着剤層と、を備え、前記粘着剤層の他方側の表面が、粘着部と非粘着部とから構成される。
【0008】
前記ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、粘着剤層の他方側の表面が、粘着部と非粘着部とから構成される、すなわち、部分的に粘着部を備えることにより、シュリンクフィルム層の熱収縮においてシワの発生を防止しつつ、前記粘着部を介してドアノブに貼り付けることができる。その結果、前記ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、ドアノブに密着するとともに、ドアノブに対する滑りを抑制することができる。また、前記ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、抗ウイルス・抗菌インクからなる抗ウイルス・抗菌インク層を備えているため、抗ウイルス・抗菌作用を有する。
【0009】
本発明に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、前記粘着剤層の他方側の表面の全面積に対する、前記粘着部の面積割合が、5%以上95%以下であってもよい。
【0010】
斯かる構成により、前記ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、ドアノブへの密着性を向上させるとともに、ドアノブに対する滑りをより抑制することができる。
【0011】
本発明に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、前記粘着部が、複数の帯状部から構成され、前記帯状部が、ドアノブの周方向と交差する方向に延びていてもよい。
【0012】
斯かる構成により、前記ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、ドアノブに対する滑りをより抑制することができる。
【0013】
本発明に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、前記帯状部の幅が、1mm以上50mm以下であってもよい。
【0014】
斯かる構成により、前記ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムは、ドアノブに対する滑りをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ドアノブに密着するとともに、ドアノブに対する滑りを抑制することが可能なドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1の側面図である。
図2図2は、図1に示すドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1の側面図であり、図2は、図1に示すドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1の上面図である。図1に示すように、ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、シュリンクフィルム層2と、シュリンクフィルム層2の一方側(図1中に示すZ軸の負方向)の面に配された抗ウイルス・抗菌インク層3と、シュリンクフィルム層2の他方側(図1中に示すZ軸の正方向)の面に配された粘着剤層4と、を備えている。
【0019】
シュリンクフィルム層2は、熱により収縮するシュリンクフィルムによって形成される層である。シュリンクフィルムは、熱を付与することにより一定の方向に収縮する性質を有する。シュリンクフィルムの材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。シュリンクフィルム層2は、1種の材料からなる層を用いても、2種以上の材料の混合物からなる層を用いてもよい。また、シュリンクフィルム層2は、単層であってもよいし、2以上の層が積層されていてもよい。
【0020】
シュリンクフィルム層2の厚さは、10μm以上90μm以下であることが好ましく、30μm以上60μm以下であることがより好ましい。シュリンクフィルム層2に2以上の層が含まれる場合、前記厚さはシュリンクフィルム層2の全体の厚さである。
【0021】
抗ウイルス・抗菌インク層3は、抗ウイルス・抗菌インクからなる層である。抗ウイルス・抗菌インクとは、抗ウイルス・抗菌作用のあるインクであり、例えば、銅、銀等の金属化合物等の抗ウイルス・抗菌剤を含有するインク等が挙げられる。抗ウイルス・抗菌インク層3は、後述する印刷方法を用いて、シュリンクフィルム層2の一方側の面上に印刷される。
【0022】
抗ウイルス・抗菌インク層3の厚さは、1μm以上5μm以下であることが好ましく、2μm以上3μm以下であることがより好ましい。
【0023】
粘着剤層4は、粘着剤からなる層である。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の公知の粘着剤を用いることができる。
【0024】
粘着剤層4の厚さは、1μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上25μm以下であることがより好ましい。
【0025】
粘着剤層4は、他方側の表面が、粘着部41と非粘着部42とから構成される。非粘着部42は、例えば、印刷インキ、ニス等の非粘着性の材料を塗布して粘着力を消失させる、いわゆる糊殺し処理によって形成される。
【0026】
粘着部41は、帯状に形成された帯状部41aから構成されている。より詳しくは、粘着部41は、4本の帯状部41aから構成され、該帯状部41aは、ドアノブの周方向と交差する方向(図2中に示すY軸の両方向)に延びている。帯状部41aの幅は、1mm以上50mm以下であることが好ましく、3mm以上30mm以下であることがより好ましく、5mm以上20mm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
粘着剤層4の他方側の表面の全面積に対する、粘着部41の面積割合は、5%以上95%以下であることが好ましく、5%以上60%以下であることがより好ましく、10%以上40%以下であることがさらに好ましい。なお、粘着部41が複数の部分から構成される場合、粘着部41の面積割合は、粘着部41全体の割合である。すなわち、本実施形態において、粘着部41の面積割合とは、4本の帯状部41a全体の面積割合である。
【0028】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、粘着剤層4の他方側(図1中に示すZ軸の正方向)の面に、セパレーター(剥離フィルム)(図示なし)が設けられていてもよい。セパレーターとしては、特に限定されるものではなく、グラシン紙、クレーコート紙等の片面又は両面に、シリコーン等の剥離剤を塗布した従来公知のセパレーターを用いることができる。
【0029】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、熱により収縮するシュリンクフィルム層2と、シュリンクフィルム層2の一方側の面に配された、抗ウイルス・抗菌インクからなる抗ウイルス・抗菌インク層3と、シュリンクフィルム層2の他方側の面に配された、粘着剤からなる粘着剤層4と、を備え、粘着剤層4の他方側の表面が、粘着部41と非粘着部42とから構成される、すなわち、部分的に粘着部41を備えることにより、シュリンクフィルム層2の熱収縮を妨げることなく、粘着部41を介してドアノブに貼り付けることができる。その結果、ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、ドアノブに密着するとともに、ドアノブに対する滑りを抑制することができる。また、ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、抗ウイルス・抗菌インクからなる抗ウイルス・抗菌インク層3を備えているため、抗ウイルス・抗菌作用を有する。
【0030】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、粘着剤層4の他方側の表面の全面積に対する、粘着部41の面積割合が、5%以上95%以下であることにより、ドアノブへの密着性を向上させるとともに、ドアノブに対する滑りをより抑制することができる。
【0031】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、粘着部41が、複数の帯状部41aから構成され、帯状部41が、ドアノブの周方向と交差する方向に延びていることにより、ドアノブに対する滑りをより抑制することができる。
【0032】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、帯状部の幅が、1mm以上50mm以下であることにより、ドアノブに対する滑りをより抑制することができる。
【0033】
次に、本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1の製造方法の一例を説明する。
【0034】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1の製造方法は、熱により収縮するシュリンクフィルム層2の一方側の面に、抗ウイルス・抗菌インクを印刷して抗ウイルス・抗菌インク層3を形成する抗ウイルス・抗菌インク層形成工程と、前記シュリンクフィルム層2の他方側の面に、粘着剤を塗布して粘着剤層4を形成する粘着剤層形成工程と、粘着剤層4の他方側の表面に、非粘着性の材料を塗布することにより糊殺し処理を行う糊殺し工程と、を有する。
【0035】
抗ウイルス・抗菌インク層形成工程では、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷等の各種印刷手段を用いて、抗ウイルス・抗菌インクを印刷することができる。
【0036】
粘着剤層形成工程及び糊殺し工程において、塗布の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スロット・ダイコーティング、ロールコーティング、両面テープ張り合わせ等の従来公知の方法を用いることができる。
【0037】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1は、例えば、丸形、レバー型、取っ手等のドアノブを被覆することができる。具体的には、筒状又は袋状に成形したドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1をドアノブに被せ、加熱によって収縮させることによりドアノブに密着させて、被覆することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0039】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1では、非粘着部42が糊殺し処理によって形成される。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、糊引き形成してもよい。
【0040】
本実施形態に係るドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム1では、粘着部41が4本の帯状部41aから構成されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、帯状部41aの本数が3本以下、又は、5本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ドアノブ用抗ウイルス・抗菌カバーフィルム
2 シュリンクフィルム層
3 抗ウイルス・抗菌インク層
4 粘着剤層
41a 帯状部
図1
図2