IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フロム工業の特許一覧

<>
  • 特開-シールド装置 図1
  • 特開-シールド装置 図2
  • 特開-シールド装置 図3
  • 特開-シールド装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087674
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】シールド装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/003 20210101AFI20220606BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20220606BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20220606BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20220606BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20220606BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
F24F7/00 A
F24F13/28
F24F13/08 A
A61L9/00 C
A61L9/16 F
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199736
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】593047552
【氏名又は名称】株式会社フロム工業
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100133592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 宇喜雄
(72)【発明者】
【氏名】大串 清文
(72)【発明者】
【氏名】河津 樹典
(72)【発明者】
【氏名】松岡 修一
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓真
【テーマコード(参考)】
3L081
4C180
【Fターム(参考)】
3L081AA01
3L081AB01
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180DD04
4C180DD09
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180EA36X
4C180EA38X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180MM10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シールド装置に衝突した飛沫に含まれる有害物質の拡散を抑制して、より効果的に飛沫感染を抑制できるシールド装置を提供する。
【解決手段】対面する来客10と担当者11の間に配置されて、来客10と担当者11の間の飛沫感染を抑制するシールド装置において、透視可能な面状のシールドシート5と、シールドシート5の表面及び裏面において、表面及び裏面に沿って流れる空気流9を励起するファン6と、空気流9の下流側に配置されて、空気流9に含まれる有害物質を除去するフィルタ8と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する二者の間に配置されて、当該二者間の飛沫感染を抑制するシールド装置において、
透視可能な面状のシールド部材と、
前記シールド部材の表面及び裏面において、前記表面及び裏面に沿って流れる空気流を励起する空気流励起手段と、
前記空気流の下流側に配置されて、前記空気流に含まれる有害物質を除去するフィルタと、
を備えることを特徴とするシールド装置。
【請求項2】
前記フィルタは、前記空気流励起手段の上流側に配置されていることを特徴とする、
請求項1に記載のシールド装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記空気流励起手段の下流側に配置されていることを特徴とする、
請求項1に記載のシールド装置。
【請求項4】
前記空気流励起手段と前記フィルタは、前記シールド部材の上方に配置されていることを特徴とする、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシールド装置。
【請求項5】
前記フィルタに光触媒が担持されていることを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシールド装置。
【請求項6】
前記フィルタに向けて紫外線を照射する紫外線光源を備えることを特徴とする、
請求項5に記載のシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対面する二者の間に配置されて、当該二者間の飛沫感染を抑制するシールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対面する二者の間に配置されて、当該二者間の飛沫感染を抑制するシールド装置が知られている(特許文献1,2)。かかるシールド装置によれば、一方の者の発話等に起因して、当該者から飛散する飛沫を遮断して、相手方に飛沫が到達することを防止できるとされている。そのため、かかるシールド装置によれば、ウィルスあるいは細菌等の感染拡大を予防する効果があるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3227293号公報
【特許文献2】登録実用新案第3228055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、特許文献1,2に記載のシールド装置によれば、一方の者が飛散させた飛沫が相手方に直接に到達することを防止できるが、シールド装置に衝突した飛沫は、シールド装置で跳ね返って、室内空間を漂う。その結果、室内空間を漂う飛沫に含まれるウィルスあるいは細菌は、室内空間に拡散する。このように、特許文献1,2に記載のシールド装置によっては、飛沫に含まれる有害物質の拡散を抑制できないので、飛沫感染を十分に抑制できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、対面する二者の間に配置されて、当該二者間の飛沫感染を抑制するシールド装置であって、シールド装置に衝突した飛沫に含まれる有害物質の拡散を抑制して、より効果的に飛沫感染を抑制できるシールド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るシールド装置は、対面する二者の間に配置されて、当該二者間の飛沫感染を抑制するシールド装置において、透視可能な面状のシールド部材と、シールド部材の表面及び裏面において、表面及び裏面に沿って流れる空気流を励起する空気流励起手段と、空気流の下流側に配置されて、空気流に含まれる有害物質を除去するフィルタと、を備えることを特徴とする。
【0007】
フィルタは、空気流励起手段の上流側に配置されていても良いし、空気流励起手段の下流側に配置されていても良い。空気流励起手段とフィルタは、シールド部材の上方に配置されていても良い。
【0008】
フィルタに光触媒が担持されていても良い。更に、光触媒が担持されたフィルタに向けて紫外線を照射する紫外線光源を備えるようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシールド装置は、シールド部材の表面及び裏面に沿って流れる空気流を励起する空気流励起手段を備えるので、シールド部材に衝突した飛沫が、空気流励起手段によって励起された空気流に乗って、シールド部材の表面及び裏面に沿って流れる。そのため、シールド部材の表面及び裏面における飛沫の跳ね返りが抑制される。また、本発明に係るシールド装置は、空気流の下流側に配置されて、空気流に含まれる有害物質を除去するフィルタを備えるので、シールド部材に衝突した飛沫に含まれる有害物質が除去される。その結果、本発明に係るシールド装置によれば、シールド部材に衝突した飛沫に含まれる有害物質の拡散が抑制されるので、より効果的に飛沫感染が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るシールド装置の構成を説明図であって、(A)はシールド装置の正面図であり、(B)はシールド装置の側面図である。(C)はシールド装置を(B)においてAA’線で示す平面で切断して示す断面図である。
図2図1に記載のシールド装置の作用を示す説明図であって、シールド装置を図1(C)においてBB’線で示す平面で切断して示す断面図である。
図3】本発明の第1の変形例に係るシールド装置の構成を説明図であって、図1(C)に準じる断面図である。
図4】本発明の第2の変形例に係るシールド装置の構成と作用を示す説明図であって、図2に準じる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の実施形態に係るシールド装置1の構成を説明する説明図である。図1(A)はシールド装置1の正面図であり、図1(B)はシールド装置1の側面図である。図1(C)はシールド装置1を図1(B)においてAA’線で示す平面で切断して示す断面図である。
【0012】
図1(A)と図1(B)に示すように、シールド装置1は、本体2と2枚の脚板3を備える。2枚の脚板3は図において左右方向に離隔して配置されて、シールド装置1の設置場所に載置される。2枚の脚板3の間には、本体2が挟持されていて、本体2と脚板3は、図示しない締結手段によって互いに固定されている。なお、2枚の脚板3は、上下に離隔して配置された2本のボルト4a,4bによって互いに連結される。
【0013】
また、図1(A)と図1(B)に示すように、シールド装置1は透明な塩化ビニールで作られたシールドシート5を備えている。シールドシート5は、高所に配置されたボルト4aに懸垂支持されて、ボルト4aの下方に垂下している。シールドシート5は、本願発明にかかるシールド部材の例示であり、シールドシート5によれば、シールド装置1を間に挟んで2人の人間が対面する場合に、当該人間の一方から飛散した飛沫が相手方に直接到達することを防止することができる。
【0014】
前述したように、本体2と2枚の脚板3は互いに結合されるので、全体として門型フレームを構成する。そして、該門型フレームは配置されて、シールド装置1の設置場所に載置される。また、シールドシート5は該門型フレームに懸垂支持される。したがって、該門型フレームはシールド部材を懸垂支持する支持枠として機能する。
【0015】
図1(C)に示すように、本体2の内部には、本体2の内部には2台のファン6が取付けられている。ファン6は公知の電動ファンであって、空気を本体2の上方に排出する排気ファンとして機能する。ファン6の上面には、ファンカバー7が取付けられている。ファンカバー7は手指の侵入を防止する格子と、肉眼で見えるサイズの粒子あるいは異物の侵入を防止する目の粗いフィルタを備える。また、本体2の内部には、フィルタ8が取付けられている。フィルタ8は,空気に含まれるウィルスあるいは細菌等の有害物質を除去するフィルタである。フィルタ8の機械的構成は特に限定されないが、有害物質の粒子を漉し取って捕捉する濾材を備えている。
【0016】
このように、本体2は、ファン6とフィルタ8を備えるので、ファン6を動作させると、本体2の下方にある空気は、フィルタ8を通って、本体2の内部に流入する。本体2の内部に流入した空気は、ファン6とファンカバー7を通って、本体2の上方に排出される。また、この時、本体2の下方にある空気は、シールドシート5の表面と裏面に沿って流れる。
【0017】
このように、ファン6を運転すれば、シールドシート5の表面と裏面に沿って流れる空気流が励起されるので、ファン6は、本願発明の空気流励起手段として機能する。フィルタ8は、ファン6によって励起される空気流の下流側に配置されて、空気流に含まれる有害物質を除去するフィルタとして機能する。また、フィルタ8はファン6の上流側に配置されている。
【0018】
なお、図1(A)に示すように、ボルト4bは脚板3の下端から離れた位置にある。そして、シールドシート5の下端はボルト4bより高い位置にある。そのため、シールド装置1をテーブル等の上に載置した場合に、ボルト4bの下方に隙間ができる。この隙間を通して、シールド装置1を挟んで対面する者の間で、書面あるいは物品の受け渡しをすることができる。
【0019】
図2は、シールド装置1の作用を示す説明図であって、シールド装置1を図1(A)においてBB’線で示す平面で切断して示す断面図である。
【0020】
前述したように、シールド装置1において、ファン6を運転すれば、シールドシート5の表面と裏面に沿って、本体2に向かって流れる空気流9が励起される。そのため、シールド装置1を挟んで対面する来客10と担当者11の発話に起因して飛散した飛沫12は、シールドシート5に衝突すると、本体2に向かって流れる空気流9に誘導されて、空気流9とともにフィルタ8を通って、本体2の内部に流入する。飛沫12に含まれる有害物質は、飛沫12がフィルタ8を通過する際に、フィルタ8で捕捉される。その結果、飛沫12に含まれる有害物質が除去される。そのため、ファン6とファンカバー7を通って、本体2の上方に排出される空気13には、有害物質が含まれない。
【0021】
このように、シールド装置1によれば、シールド装置1を挟んで対面する来客10と担当者11の発話に起因して飛散する飛沫12をフィルタ6に誘導することができる。そして、飛沫12に含まれる有害物質がフィルタ6で除去されるので、有害物質の拡散が抑制される。そのため、飛沫感染が効果的に抑制される。
【0022】
図3は、本発明の第1の変形例に係るシールド装置1の構成を示す説明図であって、図1(C)に準じる断面図である。
【0023】
第1の変形例に係るシールド装置1は、フィルタ8に、例えば酸化チタンのような光触媒が担持されていることを特徴としている。また、図3に示すように、変形例に係るシールド装置1は、本体2の内部にLED素子14を備えることを特徴としている。本変形例においては、2本の吊りボルト15によって、本体の上部から吊り下げられたLED固定板16に、複数個のLED素子14が配列され固定されている。図3に示すように、LED素子14は、ファン6とフィルタ7の間に配置されて、フィルタ7に紫外線を照射する。このように、LED素子14は、フィルタ7に紫外線を照射する紫外線光源として機能する。
【0024】
フィルタ7に担持された光触媒は、LED素子14から照射される紫外線を受けることで活性される。活性化された光触媒に有害物質が接触すると、当該有害物質は分解されて、無害化される。そのため、変形例に係るシールド装置1によれば、フィルタ7を通過する有害物質を、更に効果的に除去することができる。
【0025】
図4は、本発明の第2の変形例に係るシールド装置1の構成と作用示す説明図であって、図2に準じる断面図である。
【0026】
上記の実施形態と第1の変形例においては、フィルタ8が空気流9の下流側であって、空気流励起手段つまりファン6の上流側に配置される例を示したが、フィルタ8は空気流励起手段つまりファン6の下流側に配置されても良い。例えば、図4に示すように、ファン6の出口を覆う位置にフィルタ8を備えて、ファン6を通過した空気流9が本体2の外部に排出される前に、空気流9に含まれる有害物質が濾し取られる。そのため、本体2の上方に排出される空気13には、有害物質が含まれない。
【0027】
以上、説明したように、シールド装置1によれば、シールド装置1を挟んで対面する来客10と担当者11の発話に起因して飛散する飛沫に含まれる有害物質を除去することができるので、有害物質の拡散が抑制される。その結果、飛沫感染が効果的に抑制される。
【0028】
なお、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態と変形例によっては限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載の技術的思想の限りにおいて、自由に、応用変形あるいは改良して実施することができる。
【0029】
例えば、シールド装置1の形状、寸法、具体的な機械的構成は、上記の実施形態と変形例に示されたものには限定されない。シールド装置1の形状、寸法、具体的な機械的構成は、自由に設計することができる。
【0030】
上記の実施形態と変形例において、ファン6とフィルタ8がシールドシート5の上方に配置されて、ファン6によって励起される空気流が下から上に流れる例を示したが、ファン6とフィルタ8とシールドシート5の相互の位置関係はこのようなものには限定されない。ファン6とフィルタ8がシールドシート5の下方に配置されて、ファン6によって励起される空気流が上から下に流れるようにしても良い。あるいは、図1(A)においてファン6とフィルタ8をシールドシート5の右側あるいは左側に配置して、ファン6によって励起される空気流が水平方向に流れるようにしても良い。
【0031】
フィルタ8を構成する素材と、フィルタ8の機械的構成は限定されない。フィルタ8は空気流を通過させて、当該空気流に含まれる有害物質を濾し取って除去できる機能を備えていれば十分である。かかる機能が実現される公知の素材と公知の機械的構成を任意に選択して、フィルタ8を構成することができる。
【0032】
上記の実施形態と変形例において、シールド部材の具体例として塩化ビニール製のシールドシート5を示した。しかしながら、本発明を構成するシールド部材の素材は塩化ビニールには限定されない。シールド部材を構成する素材は、透明な素材であって、飛沫を物理的に遮断できる素材であれば、十分であり、各種の素材を任意に選択することができる。シールド部材は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂あるいは、その他のプラスチックで構成されても良い。シールド部材は、単一の素材で構成されたものには限定されない。例えば、金属あるいは非金属材料で構成された枠体に透明なプラスチックフィルムを張ったものをシールド部材としても良い。
【0033】
上記の実施形態と変形例において、本体2と脚板3とによって、門型の支持枠が構成されて、シールドシート5が支持枠に懸垂支持される例を示した。しかしながら、本願発明に係るシールド装置は、支持枠を備えて、シールド部材が支持枠に懸垂支持されるものには限定されない。シールド部材を自立可能に構成すれば、支持枠は不要になる。また、シールド部材が自立可能に構成される場合には、フィルタと空気流励起励起手段をシールド部材で支持することもできる。
【0034】
上記の実施形態と変形例において、フィルタ6に光触媒を担持させる例を示したが、フィルタ6に担持させる物質は光触媒には限定されない。例えば、フィルタ6に銀系抗菌剤、天然酵素系抗菌剤、あるいは各種の抗ウィルス剤を担持させても良い。すなわち、有害物質を不活性化あるいは消滅あるいは死滅させる物質をフィルタ6に光担持させれば、シールド装置1の機能が向上する。
【0035】
また、上記の実施形態と変形例において、光触媒の具体例として酸化チタンを例示したが、本発明において光触媒は酸化チタンには限定されない。光触媒は、酸化タングステン、酸化鉄、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化モリブデン、酸化ニッケルなどの酸化物であっても良い。光触媒は酸窒化タンタルや単結晶窒化タンタルなどの化合物であってもよい。すなわち、本願発明を構成する光触媒は、太陽光や室内光を受けて、空気中の有害物質を分解除去する触媒として機能する物質であれば十分であり、その種類や化学的構成は限定されない。
【0036】
上記の実施形態と変形例において、紫外線光源の具体例として LED素子14を例示したが、本発明において、紫外線光源は、LED素子14には限定されない。紫外線光源は光触媒に紫外線光を照射する機能を有していれば十分であり、その構成あるいは動作原理は限定されない。
【符号の説明】
【0037】
1 シールド装置、2 本体、3 脚板、4a,4b ボルト、5 シールドシート、6 ファン、7 ファンカバー、8 フィルタ、9 空気流、10 来客,11 担当者、12 飛沫、13 空気、14 LED素子、15 吊りボルト、16 LED固定板
図1
図2
図3
図4