(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008770
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】感染防止装置
(51)【国際特許分類】
A61B 46/20 20160101AFI20220106BHJP
A61G 13/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61B46/20
A61G13/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109533
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】520231371
【氏名又は名称】テクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】井原 茂実
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341MS30
(57)【要約】
【課題】移動、転倒が生じにくく、安定して十分な感染防止を図ることができる感染防止装置を提供する。
【解決手段】患者の頭部を乗せることが可能な底板部1と、底板部1の両側から立設した側板部2と、側板部2の奥側と底板部1の奥側に連結された背板部3と、背板部3の上部と側板部2の上部に連結された天板部4と、を有し、底板部1の手前側が開口している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭部を乗せることが可能な底板部と、前記底板部の両側から立設した側板部と、前記側板部の奥側と前記底板部の奥側に連結された背板部と、前記背板部の上部と前記側板部の上部に連結された天板部と、を有し、前記底板部の手前側が開口していることを特徴とする感染防止装置。
【請求項2】
前記側板部は、前記底板部から立ち上がる立設片と、前記背板部から手前側に伸びる横設片と、前記天板部から垂れ下がる垂設片とを有していることを特徴とする請求項1に記載の感染防止装置。
【請求項3】
前記側板部に、蛇管保持部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の感染防止装置。
【請求項4】
前記側板部は、奥側から手前側に向かって末広状に広がるように傾斜する勾配を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感染防止装置。
【請求項5】
透明熱可塑性樹脂の一体成形品であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の感染防止装置。
【請求項6】
コーナーR部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の感染防止装置。
【請求項7】
前記背板部に、処置用開口部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の感染防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染防止装置に関する。より詳細には、医療用の感染防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気管挿管などの処置をする際に、患者の飛沫、嘔吐、吐血などから医療従事者を守り、感染を防止するために、マスク、フェイスシールド等が使用されている。
【0003】
また、特許文献1には、透明な板あるいはシート状のものからなり、土台となる側面部分と天井部分からなり、少なくとも一つ以上の開口部を持つ、覆い状の医療用感染防護器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の器具は、その構造上、安定性が十分ではなく、例えば処置中の患者または医療従事者の動作等に伴い、器具の移動、転倒が生じる可能性があり、安定して十分な感染防止を図ることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、例えば処置中の患者または医療従事者の動作等によっても、移動、転倒が生じにくく、安定して十分な感染防止を図ることができる感染防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感染防止装置は、患者の頭部を乗せることが可能な底板部と、前記底板部の両側から立設した側板部と、前記側板部の奥側と前記底板部の奥側に連結された背板部と、前記背板部の上部と前記側板部の上部に連結された天板部と、を有し、前記底板部の手前側が開口していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処置中の移動、転倒が生じにくく、安定して十分な感染防止を図ることができ、医療従事者の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る感染防止装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る感染防止装置を示す図である。
【
図3】第2実施形態に係る感染防止装置を示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る感染防止装置を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る感染防止装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の感染防止装置について、詳細に説明する。本発明の感染防止装置は、以下に説明する実施形態に限られるものではない。
【0011】
<第1実施形態>
図1、
図2は、第1実施形態に係る感染防止装置を示す図であり、
図1は患者側から見た概略斜視図、
図2は医療従事者側から見た概略斜視図である。
図1、
図2において、1は底板部、2は側板部、2aは立設片、2bは横設片、2cは垂設片、3は背板部、4は天板部、5は蛇管保持部である。
【0012】
図1に示す様に、本実施形態の感染防止装置は、患者の頭部を乗せることが可能な底板部1と、底板部1の両側から立設した側板部2と、側板部2の奥側と底板部1の奥側に連結された背板部3と、背板部3の上部と側板部2の上部に連結された天板部4と、を有している。本実施形態の感染防止装置は、底板部1の手前側(患者側)が開口した箱体を構成しており、底板部1の奥側(医療従事者側)が頭頂となるように仰向けに寝かせた患者の頭部を囲む空間を形成している。
【0013】
本実施形態において、底板部1の形状は四角形状であるが、仰向けに寝かせた患者の頭部を乗せることが可能な形状であれば特に限定されず、例えば円形状等であってもよい。底板部1に、仰向けに寝かせた患者の頭部を乗せることにより、頭部の重さによって、例えば処置中の患者または医療従事者の動作等によっても、移動、転倒が生じにくく、安定して十分な感染防止を図ることができ、医療従事者の安全性を向上することができる。
【0014】
背板部3は、側板部2の奥側と底板部1の奥側に連結されており、天板部4は、背板部3の上部と側板部2の上部に連結されている。背板部3と天板部4により、患者の飛沫、嘔吐、吐血などから医療従事者を守り、感染を防止することができる。背板部3と底板部1のなす角は、装置の安定性の観点から、略90°であることが好ましい。天板部4と背板部3のなす角は、医療従事者の作業性の観点から、90°以上であることが好ましく、90°より大きいことがより好ましい。
【0015】
側板部2は、底板部1の両側から立設されている。側板部2と底板部1のなす角は、装置の安定性の観点から、略90°であることが好ましい。側板部2は、底板部1から立ち上がる立設片2aと、背板部3から手前側に伸びる横設片2bと、天板部4から垂れ下がる垂設片2cを有していることが好ましい。本実施形態において、立設片2aと、横設片2bと、垂設片2cは、成形時は略台形状であった側板部2を切り込み加工することにより形成されいる。側板部2が、立設片2aと、横設片2bと、垂設片2cを有することにより、患者の飛沫などから医療従事者を守りつつ、医療従事者が、装置の両側部の、立設片2aと横設片2bと垂設片2cに囲まれた空間から腕を入れて患者の処置を行うことを可能とする。本実施形態では、立設片2aと垂設片2cが横設片2bにより連結されているが、本例に限定されず、例えば、立設片2aと垂設片2cの一方のみが横設片2bに連結されていてもよいし、立設片2a、垂設片2c共に横設片2bに連結されていてなくてもよい。
【0016】
側板部2は、人工呼吸器などの蛇管を保持することが可能な蛇管保持部5を有することが好ましい。蛇管保持部5を有することにより、蛇管ホルダー等の蛇管を保持するための器具を別途設ける必要がなく、蛇管の着脱が容易になる。本実施形態では、蛇管保持部5は、側板部2それぞれの2カ所、合計4カ所を、U字形状に切り込み加工することにより形成されているが、本例に限定されるものではない。蛇管保持部5の形状、位置、数等は、蛇管を保持することができれば、特に問わない。
【0017】
側板部2は、奥側から手前側に向かって、末広状に広がるように傾斜する勾配を有することが好ましい。側板部2が勾配を有することにより、装置を同方向に向けて積み重ねると、装置同士が嵌り合い、装置の保管スペースを節約することができる。勾配の角度は、特に限定されないが、1°以上20°以下であることが好ましい。
【0018】
本実施形態の感染防止装置は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の透明熱可塑性樹脂の一体成形品であることが好ましい。一体成形品であると、組立または貼り合わせタイプの感染防止装置に比較して、清掃および殺菌・滅菌が容易となる。一体成形品は、例えば、公知の熱成形(真空成形)により成形することができる。
【0019】
また、本実施形態の感染防止装置は、コーナーR部を有することが好ましい。より具体的には、底板部1と側板部2の連結部、底板部1と背板部3の連結部、側板部2と背板部3の連結部、側板部2と天板部4の連結部、背板部3と天板部4の連結部のうち少なくとも一つの連結部に、好ましくは全ての連結部に、コーナーR部を有することが好ましい。各板部同士の連結部にコーナーR部を有することにより、清掃および殺菌・滅菌がより容易となる。また、各板部同士の連結部、特に背板部3と天板部4の連結部にコーナーR部を有することにより、医療従事者側から患者側への視認性が向上し、より安全に処置を行うことができる。更に、側板部2の切り込み加工により形成されるコーナーにコーナーR部を有すると、医療従事者・患者のけがを防止でき、好ましい。コーナーR部の半径は、特に限定されないが、5mm以上50mm以下であることが好ましい。
【0020】
<第2実施形態>
図3から
図5は、第2実施形態に係る感染防止装置を示す図であり、
図3は医療従事者側から見た概略斜視図、
図4は側面図、
図5は
図4の蛇管保持部の拡大図である。以下、第1実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
【0021】
本実施形態では、背板部3の2カ所に、円形状の処置用開口部6を有する。背板部3に処置用開口部6を有することにより、医療従事者は、処置用開口部6に腕を入れて患者の処置を行うことができる。処置用開口部6の形状、位置、数等は、医療従事者が腕を入れて患者の処置を行うことができれば、特に問わない。
【0022】
また、本実施形態では、側板部2の横設片2bそれぞれの3カ所、合計6カ所を切り込み加工することにより、蛇管保持部5が形成されている。そして、
図5に示す様に、蛇管保持部5は、複数の円形状部位5a、5b、5cを有し、円形状部位5a、5b、5cの直径は、それぞれ異なる。円形状部位の直径が異なることにより、種々の直径の蛇管を保持することができる。
【符号の説明】
【0023】
1:底板部、2:側板部、2a:立設片、2b:横設片、2c:垂設片、3:背板部、4:天板部、5:蛇管保持部、5a、5b、5c:円形状部位、6:処置用開口部