(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087723
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】耐火目地構造及び耐火目地構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
E04B1/94 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199833
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 清一
(72)【発明者】
【氏名】古河 春樹
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA51
2E001GA13
2E001GA63
2E001HA03
2E001HB02
(57)【要約】
【課題】施工時の目地材の位置ずれを抑制することができる耐火目地構造及び耐火目地構造の施工方法を提供する。
【解決手段】耐火目地構造1は、第一パネルP1と、第一パネルP1と隣接する第二パネルP2と、第一パネルP1と第二パネルP2の間に挟み込まれる縦目地材5と、を備える。第一パネルP1は、第二パネルP2に対向する側面に、縦目地材5が収容される第一凹部20を有する。第二パネルP2は、第一パネルP1に対向する側面に、縦目地材5が収容される第二凹部21を有する。縦目地材5は、第一凹部20及び第二凹部21に収容される耐火材6と、耐火材6を第一パネルP1に保持する保持部材7と、を有する。保持部材7は、第一パネルP1に取り付けられる取付部70と、耐火材6を保持する保持部71と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一パネルと、
前記第一パネルと隣接する第二パネルと、
前記第一パネルと前記第二パネルの間に挟み込まれる縦目地材と、を備え、
前記第一パネルは、前記第二パネルに対向する側面に、前記縦目地材が収容される第一凹部を有し、
前記第二パネルは、前記第一パネルに対向する側面に、前記縦目地材が収容される第二凹部を有し、
前記縦目地材は、
前記第一凹部及び前記第二凹部に収容される耐火材と、
前記耐火材を前記第一パネルに保持する保持部材と、を有し、
前記保持部材は、前記第一パネルに取り付けられる取付部と、前記耐火材を保持する保持部と、を有する、
耐火目地構造。
【請求項2】
前記保持部材は、折り曲げ可能な金属板で形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の耐火目地構造。
【請求項3】
前記第一パネルは、芯材と前記芯材を覆う金属外皮とを有し、
前記保持部材は、
前記取付部として、前記第一パネルの前記金属外皮と前記芯材との間に挿入され、前記金属外皮と前記芯材によって挟み込まれる挿入片を有し、
前記保持部として、前記挿入片と連続し、前記耐火材のうち前記第一パネルの厚み方向の片側を向く第一面を保持する第一保持部と、前記第一保持部と連続し、前記耐火材のうち前記第二パネルに対向する第二面を保持する第二保持部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の耐火目地構造。
【請求項4】
前記保持部材は、前記第一保持部と前記第二保持部の間に介在し、前記第一保持部及び前記第二保持部よりも幅が狭くて折り曲げ可能な幅狭部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の耐火目地構造。
【請求項5】
前記幅狭部は、前記第一保持部に直角に連続する第一部分と、前記第一部分と前記第二保持部の間に介在する第二部分とを含み、前記第二部分が前記第一部分よりも幅狭である、
ことを特徴とする請求項4に記載の耐火目地構造。
【請求項6】
前記保持部材は、
前記保持部として、前記第二保持部と連続し、前記耐火材のうち前記第一パネルの厚み方向の他側を向く第三面を保持する第三保持部を更に有する、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の耐火目地構造。
【請求項7】
前記保持部材は、
前記保持部として、前記第一保持部、前記第二保持部、及び前記第三保持部のうちいずれか一つと連続し、前記耐火材のうち、前記第一面、前記第二面、及び前記第三面以外の方向を向く第四面を保持する第四保持部を更に有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の耐火目地構造。
【請求項8】
前記第一保持部、前記第二保持部、及び前記第三保持部のうちいずれか一つと前記第四保持部とは、前記第四保持部よりも幅が狭くて折り曲げ可能な幅狭部を介して連続している、
ことを特徴とする請求項7に記載の耐火目地構造。
【請求項9】
前記耐火材は、前記第一パネルの厚み方向に並ぶ第一耐火材及び第二耐火材を含み、
前記耐火材は、前記芯材よりも耐火性の高い部材である、
ことを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載の耐火目地構造。
【請求項10】
前記縦目地材は、
前記第一パネルの厚み方向において、前記第二耐火材に対して前記第一耐火材とは反対側に並ぶカバー材を更に有し、
前記カバー材は、前記保持部材の前記保持部によって保持される、
ことを特徴とする請求項9に記載の耐火目地構造。
【請求項11】
側面に第一凹部を有する第一パネルに保持部材を取り付け、前記第一凹部に耐火材を挿入し、前記第一凹部に挿入された前記耐火材を前記保持部材で保持することで、前記保持部材と前記耐火材とを含む縦目地材を前記第一パネルに装着する目地材装着工程と、
前記縦目地材を装着した前記第一パネルと、側面に第二凹部を有する第二パネルとを、前記第二凹部に前記縦目地材が収まるように設置するパネル設置工程と、を備える、
ことを特徴とする耐火目地構造の施工方法。
【請求項12】
前記保持部材は、折り曲げ可能な金属板で形成されており、
前記目地材装着工程では、前記保持部材の一部を折り曲げることで、前記耐火材のうち前記第一パネルとは反対側の面を保持して、前記第一パネルと前記保持部材で前記耐火材を挟み込む、
請求項11に記載の耐火目地構造の施工方法。
【請求項13】
前記目地材装着工程では、前記保持部材の他の一部を折り曲げることで前記耐火材の下面を保持する、
請求項12に記載の耐火目地構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐火目地構造及び耐火目地構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐火パネルの外側面に複合耐火目地材を接着し、この耐火パネルを複合耐火目地材を介して隣接する他の耐火パネルの外側面に圧接し、複合耐火目地材を二枚の耐火パネル間に挟着した耐火壁が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の耐火壁では、複合耐火材が接着された耐火パネルを他の耐火パネルに対して建て込む際に、複合耐火目地材の位置が初期位置からずれて、二枚の耐火パネルの間から複合耐火目地材がはみ出す等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、施工時の目地材の位置ずれを抑制することができる耐火目地構造及び耐火目地構造の施工方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の耐火目地構造は、第一パネルと、前記第一パネルと隣接する第二パネルと、前記第一パネルと前記第二パネルの間に挟み込まれる縦目地材と、を備える。前記第一パネルは、前記第二パネルに対向する側面に、前記縦目地材が収容される第一凹部を有する。前記第二パネルは、前記第一パネルに対向する側面に、前記縦目地材が収容される第二凹部を有する。前記縦目地材は、前記第一凹部及び前記第二凹部に収容される耐火材と、前記耐火材を前記第一パネルに保持する保持部材と、を有する。前記保持部材は、前記第一パネルに取り付けられる取付部と、前記耐火材を保持する保持部と、を有する。
【0007】
また、本開示に係る一態様の耐火目地構造の施工方法は、目地材装着工程と、パネル設置工程と、を備える。前記目地材装着工程では、側面に第一凹部を有する第一パネルに保持部材を取り付け、前記第一凹部に耐火材を挿入し、前記第一凹部に挿入された前記耐火材を前記保持部材で保持することで、前記保持部材と前記耐火材とを含む縦目地材を前記第一パネルに装着する。前記第二パネル設置工程では、前記縦目地材を装着した前記第一パネルと、側面に第二凹部を有する第二パネルとを、前記第二凹部に前記縦目地材が収まるように設置する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る一態様の耐火目地構造及びその施工方法によれば、施工時の目地材の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示に係る実施形態1の耐火目地構造を示す平断面図である。
【
図2】
図2は、同上の耐火目地構造が備える第一パネルを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の耐火目地構造が備える保持部材を示す斜視図である。
【
図6】
図6Aから
図6Dは、同上の耐火目地構造の施工方法を順に示す平断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の保持部材によって耐火材を保持する一例を示す斜視図であり、
図7Bは、同上の保持部材によって耐火材を保持する他例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の耐火目地構造を備える壁の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の保持部材の変形例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、同上の耐火目地構造の変形例を示す平断面図である。
【
図11】
図11Aは、同上の耐火目地構造の変形例が備える留め具を示す正面図であり、
図11Bは、同上の留め具を示す平面図である。
【
図12】
図12Aは、同上の耐火目地構造の変形例が備える他の留め具を示す正面図であり、
図12Bは、同上の留め具を示す平面図である。
【
図13】
図13Aは、同上の留め具の変形例を示す正面図であり、
図13Bは、同上の留め具の変形例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、同上の耐火目地構造の他の変形例を示す平断面図である。
【
図15】
図15は、本開示に係る実施形態2の耐火目地構造を示す平断面図である。
【
図16】
図16は、同上の耐火目地構造が備えるカバー材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.概要
図1に示す実施形態1の耐火目地構造1は、第一パネルP1と、第一パネルP1と隣接する第二パネルP2と、第一パネルP1と第二パネルP2の間に挟み込まれる縦目地材5と、を備える。第一パネルP1は、第二パネルP2に対向する側面に、縦目地材5が収容される第一凹部20を有する。第二パネルP2は、第一パネルP1に対向する側面に、縦目地材5が収容される第二凹部21を有する。縦目地材5は、第一凹部20及び第二凹部21に収容される耐火材6と、耐火材6を第一パネルP1に保持する保持部材7と、を有する。保持部材7は、第一パネルP1に取り付けられる取付部70と、耐火材6を保持する保持部71と、を有する。
【0011】
また、
図6Aから
図6Dに示す実施形態1の耐火目地構造1の施工方法は、目地材装着工程と、パネル設置工程と、を備える。目地材装着工程では、側面に第一凹部20を有する第一パネルP1に保持部材7を取り付け、第一凹部20に耐火材6を挿入し、第一凹部20に挿入された耐火材6を保持部材7で保持することで、保持部材7と耐火材6とを含む縦目地材5を第一パネルP1に装着する。パネル設置工程では、縦目地材5を装着した第一パネルP1と、側面に第二凹部21を有する第二パネルP2とを、第二凹部21に縦目地材5が収まるように設置する。
【0012】
上記構成を備えることで、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、第一パネルP1の側面に装着される耐火材6を、第一パネルP1の側面の第一凹部20に収容したうえで、保持部材7によって保持することができる。そのため、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、縦目地材5(耐火材6及び保持部材7)を装着した第一パネルP1に対して第二パネルP2を建て込む際に、第二パネルP2との接触により第一パネルP1の側面の縦目地材5が位置ずれを起こすことを抑制できる。これにより、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、施工時の縦目地材5の位置ずれを抑制できる。
【0013】
2.詳細
続いて、
図1から
図8に示す本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法について更に詳しく説明する。以下では、
図1に示す耐火目地構造1を基準として、第一パネルP1と第二パネルP2とが並ぶ方向を左右方向とし、第一パネルP1及び第二パネルP2の厚み方向を前後方向とし、この前後方向及び左右方向に対して直交する方向を上下方向として、耐火目地構造1の各構成について詳しく説明する。
【0014】
2-1.第一パネル及び第二パネル
本実施形態の耐火目地構造1では、第一パネルP1と第二パネルP2は、同じ構造のサンドイッチパネルで構成されている。そこで、以下では、第一パネルP1について詳しく説明する。
【0015】
図2から
図4に示す第一パネルP1は、建築用のパネルであり、例えば、外壁材として用いられる。第一パネルP1は、芯材2と、芯材2を前側から覆う金属外皮3と、芯材2を後側から覆う金属外皮4と、を備える。第一パネルP1を外壁材として用いる場合、金属外皮3は第一パネルP1の屋外側の面を構成し、金属外皮4は、第一パネルP1の屋内側の面を構成する。
【0016】
第一パネルP1は、矩形板状である。第一パネルP1は、上下方向に対して平行な長手方向と、左右方向に対して平行な短手方向と、前後方向に対して平行な厚み方向とを有する。第一パネルP1は、例えば、上下方向の長さが、0.5~9.0mであり、左右方向の長さ(幅)が、0.3~1.2mであり、前後方向の長さ(厚み)が、50~120mmである。
【0017】
2-1-1.芯材
芯材2は、その全体形状が、矩形の板状である。全体形状が板状とは、1枚の板に限らず、複数の部材を1枚の板をなすように並べたものも含まれる。
【0018】
芯材2は、上面200、下面201、左の側面202、右の側面203、前面204、及び後面205を有する。芯材2は、右の側面203に上下方向に延びた第一凹部20を有し、左の側面202に上下方向に延びた第二凹部21を有する。凹部20,21は、芯材2の左右の側面202,203の前後方向のほぼ中央に位置し、かつ芯材2の左右の側面202,203の上下方向の全長にわたって位置する。
【0019】
芯材2は、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材で形成される。芯材2は、断熱性を有する。芯材2は、左右方向に並んだ複数のブロック体で構成される。複数のブロック体のそれぞれは、繊維状無機材をバインダー等でブロック状に固めたものである。
【0020】
複数のブロック体のうち、右端に位置するブロック体の右の側面に、第一凹部20が設けられ、複数のブロック体のうち、左端に位置するブロック体の左の側面に、第二凹部21が設けられている。複数のブロック体のそれぞれは、繊維状無機材の長手方向が、前後方向に沿っている。
【0021】
2-1-2.金属外皮
金属外皮3,4のそれぞれは、金属板をロール加工やプレス加工などにより所望の形状に成形することによって得られる。金属板は、例えば、厚みが0.25~2.0mmである。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これらに限定されない。
【0022】
金属外皮3は、後側に向けて開口した矩形の箱状である。金属外皮3は、芯材2の前面204を覆う矩形板状の本体部30と、芯材2の上面200を覆う上壁部31と、芯材2の下面201を覆う下壁部32と、を有する。金属外皮3は更に、芯材2の左の側面202のうち第二凹部21よりも前側の部分を覆う左の側壁部33と、芯材2の右の側面203のうち第一凹部20よりも前側の部分を覆う右の側壁部34と、を有する。
【0023】
上壁部31は、本体部30の上縁から後側に突出し、下壁部32は、本体部30の下縁から後側に突出し、左の側壁部33は、本体部30の左縁から後側に突出し、右の側壁部34は、本体部30の右縁から後側に突出している。本体部30に対して4つの壁部31,32,33,34のそれぞれは、直角である。上下の壁部31,32のそれぞれは、矩形の平板状である。左右の側壁部33,34は、矩形の平板部330,340と、平板部330,340の後端から左右方向外側に略直角に突出した矩形板状の突出部331,341とを有する。上下の壁部31,32は、左右の側壁部33,34よりも前後方向に長い。四つの壁部31,32,33,34のうち、周方向に隣接する2つの壁部の間には、開口35(
図2参照)が形成される。
【0024】
金属外皮4は、芯材2の後面205を覆う矩形板状の本体部40と、芯材2の左の側面202のうち第二凹部21よりも後側の部分を覆う左の側壁部41と、芯材2の右の側面203のうち第一凹部20よりも後側の部分を覆う右の側壁部42と、を有する。左の側壁部41は、本体部40の左縁から前側に突出し、右の側壁部42は、本体部40の右縁から前側に突出している。なお、金属外皮4は、芯材2の上面200や下面201を覆う部分を有していない。
【0025】
左右の側壁部41,42のそれぞれは、平面視U字状に湾曲した湾曲部410,420と、湾曲部410,420の前端部から前側に突出した矩形状の平板部411,421と、を有する。
【0026】
金属外皮3,4のそれぞれは、本体部30,40が芯材2の前後の面204,205に接着されて、芯材2と一体化することで、第一パネルP1を形成する。金属外皮3に形成される開口35は、シーリング材とシーリング材を受ける受け材等によって閉塞される。
【0027】
2-1-3.その他
第一パネルP1は、壁部31,32,33,34のそれぞれに取り付けられる止水パッキン8を更に備える。止水パッキン8は、上壁部31の上面の前後方向の中央部と、下壁部32の下面の前後方向の中央部と、左右の側壁部33,34の平板部330,340の後端部のそれぞれに、取り付けられる。止水パッキン8は、長手方向に直交する断面が、中空の半円形状である。止水パッキン8は、第一パネルP1を全周にわたって囲むように正面視にて矩形枠状に設けられる。止水パッキン8は、例えば合成ゴム製である。
【0028】
2-2.縦目地材
縦目地材5は、
図1に示すように、第一パネルP1の第一凹部20と第二パネルP2の第二凹部21に収容される耐火材6と、耐火材6を第一パネルP1に保持する保持部材7と、を有する。
【0029】
2-2-1.耐火材
耐火材6は、本実施形態では、前後方向(つまり第一パネルP1の厚み方向)に並ぶ第一耐火材60及び第二耐火材61を含む。耐火材6は、全体として、第一パネルP1の芯材2よりも耐火性の高い部材である。耐火材6は、第一パネルP1の第一凹部20と第二パネルP2の第二凹部21に対して上下方向の全長にわたって収容される。耐火材6は、上下方向に対して平行な長手方向を有する。
【0030】
第一耐火材60は、第二耐火材61よりも前側(金属外皮3側)に位置する。第一耐火材60は、第一パネルP1の芯材2よりも硬質でありかつ耐火性の高い部材である。第一耐火材60は、本実施形態では、強化石膏ボードである。なお、第一耐火材60は、強化石膏ボードに限らず、その他の、耐火性を有する部材であってもよく、例えば、石膏ボードや、珪酸カルシウムボードであってもよい。
【0031】
第一耐火材60は、本実施形態では、上下方向(第一パネルP1の長さ方向)に突き合わせて配置された複数の部材で構成される。第一耐火材60は、全体として、芯材2と同じ長さを有する。本実施形態では、第一耐火材60を構成する複数の部材のそれぞれは、角棒状である。第一耐火材60を構成する複数の部材のそれぞれは、長手方向にわたって断面形状が一定であり、断面形状は矩形状である。本実施形態では、第一耐火材60を構成する複数の部材のそれぞれは、二枚の強化石膏ボードを前後方向に重ね合わせたものである。なお、第一耐火材60は、複数の部材ではなく、1つの部材で構成されてもよい。
【0032】
第一耐火材60の左右方向の長さは、第一パネルP1の第一凹部20、第一パネルP1の金属外皮3の突出部341、第二パネルP2の金属外皮3の突出部331、及び第二パネルP2の第二凹部21の左右方向の長さを足し合わせた長さよりも若干長い。第一耐火材60の前後方向の長さは、凹部20,21の前後方向の長さよりも短く、第二耐火材61の前後方向の長さよりも長い。第一耐火材60の左右方向の長さは、例えば50mmであり、第一耐火材60の前後方向の長さは、例えば30mmである。
【0033】
第二耐火材61は、本実施形態では、耐火フェルトである。耐火フェルトは、生体溶解性繊維で形成される。耐火フェルトは、例えば、アルカリ・アース・シリケート(AES)ブランケットである。なお、第二耐火材61は、耐火フェルトに限らず、その他の、耐火性を有するシート状の部材であってもよい。
【0034】
第二耐火材61は、本実施形態では、上下方向(第一パネルP1の長さ方向)に並んだ複数の耐火フェルトで構成される。複数の耐火フェルトは、例えば、上下方向の端部同士が前後方向に重なり合うように配置される。なお、複数の耐火フェルトは、上下方向に突き合わせて配置してもよい。第二耐火材61は、全体として芯材2と同じ長さを有する。第二耐火材61の左右方向の長さは、第一耐火材60の左右方向の長さと同じである。第一耐火材60を構成する複数の部材の、隣接する部材同士の突き合わせ部分は、第二耐火材61によって覆うことができ、これにより、この突き合わせ部分の耐火性の低下を抑えることができる。第二耐火材61の左右方向の長さは、例えば50mmであり、第二耐火材61の前後方向の長さは、例えば13mmである。なお、第二耐火材61は、1つの耐火フェルトで構成されてもよい。
【0035】
第二耐火材61は、第一耐火材60の後面に重なるように配置される。なお、第二耐火材61は、第一耐火材60に対して接着剤、タッカー等の適宜手段で固定されてもよい。第一耐火材60と第二耐火材61の配置は、前後逆であってもよい。
【0036】
第一耐火材60と第二耐火材61の前後方向の長さを足し合わせた長さは、凹部20,21の前後方向の長さよりも僅かに(例えば5mm程度)短い。
【0037】
2-2-2.保持部材
図1に示す保持部材7は、第一パネルP1に取り付けられる取付部70と、耐火材6を保持する保持部71と、を有する。
【0038】
保持部材7は、本実施形態では、折り曲げ可能な金属板で形成されている。金属板の厚みは、施工者が手で折り曲げる操作がしやすい厚みであり、例えば、0.35~1.2mmである。
【0039】
図5には、施工者が折り曲げ操作をする前の状態の保持部材7が示されている。以下では、この状態の保持部材7を基準について、保持部材7の各部分について詳しく説明する。
【0040】
保持部材7は、取付部70として、第一パネルP1の金属外皮3と芯材2との間に挿入され、金属外皮3と芯材2によって挟み込まれる挿入片700を有する。保持部材7は、保持部71として、挿入片700と連続し、耐火材6のうち第一パネルP1の厚み方向の片側を向く第一面(詳しくは前面)を保持する第一保持部710と、第一保持部710と連続し、耐火材6のうち第二パネルP2に対向する第二面(詳しくは右面)を保持する第二保持部711と、を有する。第一保持部710と第二保持部711は、第二保持部711よりも幅が狭くて折り曲げ可能な幅狭部712を介して連続している。
【0041】
保持部材7は、保持部71として、第二保持部711と連続し、耐火材6のうち第一パネルP1の厚み方向の他側を向く第三面(詳しくは後面)を保持する第三保持部713を更に有する。
【0042】
保持部材7は、保持部71として、第一保持部710、第二保持部711、及び第三保持部713のうちいずれか一つと連続し、耐火材6のうち、第一面、第二面、及び第三面以外の方向を向く第四面(詳しくは下面又は上面)を保持する第四保持部714を更に有する。第一保持部710、第二保持部711、及び第三保持部713のうちいずれか一つと第四保持部714とは、第四保持部714よりも幅が狭くて折り曲げ可能な第二幅狭部715を介して連続している。
【0043】
挿入片700、第一保持部710、第二保持部711、及び第三保持部713のそれぞれは、矩形板状であり、上下方向の長さが同じである。幅狭部712は、第一保持部710及び第二保持部711よりも幅が狭く(詳しくは上下方向の長さが短く)、これにより、折り曲げ操作がしやすくなっている。幅狭部712は、矩形板状であり、第一保持部710と第二保持部711の上下方向の中央部に連続している。
【0044】
本実施形態では、幅狭部712は、第一保持部710に連続する第一部分712aと、第二保持部711に連続する第二部分712bと、を有する。第一部分712aと第二部分712bは、矩形板状であり、第一保持部710と第二保持部711の上下方向の中央部に連続している。
【0045】
第二部分712bは、第一部分712aよりも幅が狭く、第一部分712aよりも折り曲げやすい。第一部分712aと第一保持部710とは、直角又は略直角に連続している。第一部分712aと第一保持部710とで形成される角部分は、耐火材6の角を合わせる位置決め部として機能する。第一部分712aと第二部分712bとは、直角又は略直角に連続している。第二部分712bと第二保持部711とは、同一平面上に並んでいる。
【0046】
挿入片700と第一保持部710とは、直角又は略直角に連続している。第二保持部711と第三保持部713とは、直角又は略直角に連続している。
【0047】
本実施形態では、保持部材7は、一対の第四保持部714を有する。一対の第四保持部714は、第三保持部713の上下の端部のそれぞれに、第二幅狭部715を介して連続している。第二幅狭部715は、第三保持部713及び第四保持部714よりも幅が狭く(つまり前後方向の長さが短く)、これにより、折り曲げ操作がしやすくなっている。第二幅狭部715は、矩形板状であり、第三保持部713及び第四保持部714の前後方向の中央部に連続している。
【0048】
なお、一対の第四保持部714は、第二幅狭部715において折り曲げる操作をしなくてもよく、この場合、一対の第四保持部714及び一対の第二幅狭部715は、第三保持部713と共に、耐火材6の後面を保持する部分として機能する。
【0049】
保持部材7は、耐火材6よりも上下方向の長さが短いピース状(小片状)の部材である。本実施形態の耐火目地構造1は、保持部材7を複数備える。耐火材6は複数の保持部材7によって保持されることで、第一パネルP1に対して装着される。耐火目地構造1が備える保持部材7の数は、耐火材6の長さに応じて、適宜設定される。複数の保持部材7は、構造が互いに同じである。
【0050】
複数の保持部材7は、耐火材6の上下方向の端部を除いた残りの部分を保持する少なくとも一つの保持部材7a(
図6C参照)と、耐火材6の下端部を保持する1つの保持部材7b(
図7B参照)と、耐火材6の上端部を保持する1つの保持部材7c(
図7A参照)と、を含む。
【0051】
保持部材7aは、
図6Cに示すように、第一保持部710と第二保持部711との間の幅狭部712の第二部分712bにおいて折り曲げられることで、第二保持部711が耐火材6の右面を保持し、第三保持部713、一対の第二幅狭部715、及び一対の第四保持部714が耐火材6の後面を保持する。
【0052】
下側の保持部材7bは、
図7Bに示すように、下側の第二幅狭部715において折り曲げられることで、下側の第四保持部714が耐火材6の下面を保持し、第三保持部713、上側の第二幅狭部715、及び上側の第四保持部714が耐火材6の後面を保持する。
【0053】
上側の保持部材7cは、
図7Aに示すように、上側の第二幅狭部715において折り曲げられることで、上側の第四保持部714が耐火材6の上面を保持し、第三保持部713、下側の第二幅狭部715、及び下側の第四保持部714が耐火材6の後面を保持する。
【0054】
3.耐火目地構造の施工方法
続いて、耐火目地構造1の施工方法の一例について説明する。この施工方法は、目地材装着工程と、パネル設置工程と、を備える。
【0055】
目地材装着工程では、芯材2と芯材2を覆う金属外皮3,4とを有し、側面に第一凹部20を有する第一パネルP1(つまり上述した第一パネルP1)の、金属外皮3に保持部材7を引っ掛け、第一凹部20に耐火材6を挿入し、第一凹部20に挿入された耐火材6を保持部材7で保持することで、保持部材7と耐火材6とを含む縦目地材5を第一パネルP1に装着する。
【0056】
詳しくは、目地材装着工程は、金属外皮3が第一パネルP1の下面を構成するように、第一パネルP1を平置きにした状態で行われる。以下では、第一パネルP1を平置きにした状態を基準に、上下方向及び左右方向を設定して、目地材装着工程について説明する。目地材装着工程は、工場又は施工現場にて行われる。
【0057】
目地材装着工程では、まず、
図6Aに示すように、第一パネルP1の右の側壁部34の平板部340と芯材2の右の側面203の間の隙間に、保持部材7の挿入片700(つまり取付部70)を挿入し、保持部材7を金属外皮3に引っ掛ける。このとき、保持部材7の第一保持部710を第一パネルP1の右の側壁部34の突出部341に当てる。ここで、保持部材7としては、
図5に示す施工者が折り曲げ操作をする前の状態の保持部材7を用いる。
【0058】
次いで、
図6Bに示すように、第一パネルP1の芯材2の第一凹部20に耐火材6(第一耐火材60と第二耐火材61)を挿入する。このとき、保持部材7の第一保持部710の上に、耐火材6が載る。第一凹部20への耐火材6の挿入は、第一耐火材60を第一凹部20へ挿入した後、第二耐火材61を第一耐火材60の上に載るように第一凹部20へ挿入する。このとき、保持部材7の第一保持部710と幅狭部712の第一部分712aとでなす角部分に、第一耐火材60の角部分を合わせる。
【0059】
次いで、
図6Cに示すように、保持部材7の一部を折り曲げることで、耐火材6のうち第一パネルP1とは反対側の面を保持して、第一パネルP1と保持部材7で耐火材6を挟み込む。
【0060】
詳しくは、保持部材7の幅狭部712の第二部分712bを折り曲げて、第二保持部711を耐火材6の右面に当てる。幅狭部712の第二部分712bを折り曲げて第二保持部711を耐火材6の右面に当てることで、第三保持部713、一対の第二幅狭部715、及び一対の第四保持部714が耐火材6の上面に当たって、耐火材6を保持する。
【0061】
第一パネルP1には、上述の方法で複数の保持部材7を取り付ける。複数の保持部材7のうち、耐火材6の長手方向の両端部を除いた残りの部分に取り付ける少なくとも一つの保持部材7aは、上述の方法で、耐火材6を保持する。
【0062】
複数の保持部材7のうち、耐火材6の長手方向の一端部(起立姿勢における下端部)に取り付ける保持部材7bは、上述の方法に加えて、
図7Bに示すように、保持部材7bの他の一部を折り曲げることで耐火材6の長手方向の一端面(起立姿勢における下面)を保持する。
【0063】
詳しくは、施工者は、保持部材7の第三保持部713と一方(起立姿勢における下側)の第四保持部714の間の第二幅狭部715を折り曲げて、第四保持部714を耐火材6の長手方向の一端面(起立姿勢における下面)に当てる。
【0064】
また、複数の保持部材7のうち、耐火材6の長手方向の他端部(起立姿勢における上端部)に取り付ける保持部材7cは、上述の方法に加えて、
図7Aに示すように、保持部材7cの他の一部を折り曲げることで耐火材6の長手方向の他端面(起立姿勢における上面)を保持する。
【0065】
詳しくは、施工者は、保持部材7の第三保持部713と他方(起立姿勢における上側)の第四保持部714の間の第二幅狭部715を折り曲げて、第四保持部714を耐火材6の長手方向の他端面(起立姿勢における上面)に当てる。
【0066】
複数の保持部材7a,7b,7cによって耐火材6を保持することで、耐火材6は、第一パネルP1の芯材2の第一凹部20及び複数の保持部材7a,7b,7cによって位置ずれが規制された状態で、第一パネルP1の側面に装着される。耐火材6の位置ズレは、第一パネルP1の長さ方向、幅方向、及び厚み方向のいずれの方向に対しても規制される。
【0067】
次いで、パネル設置工程では、縦目地材5を装着した第一パネルP1と、側面に第二凹部21を有する第二パネルP2とを、第二凹部21に縦目地材5が収まるように設置する。
【0068】
詳しくは、パネル設置工程では、
図6Dに示すように、まず、縦目地材5を装着した第一パネルP1を、金属外皮3が第一パネルP1の前面を構成する起立姿勢にして、壁下地(図示せず)の前側(屋外側)に設置する。第一パネルP1は、例えば、壁下地を構成する、水平方向に延びた上下一対のL字状のアングル材に対して、第一パネルP1の後面の上端部と下端部に取り付けた取付金具を引っ掛け、各取付金具と第一パネルP1とで壁下地を挟み込むことで、壁下地の前側(屋外側)に設置される。
【0069】
次いで、第二パネルP2を、金属外皮3が第二パネルP2の前面を構成する起立姿勢にして、第二パネルP2を壁下地の前側(屋外側)に設置する。第二パネルP2の壁下地への設置は、第二パネルP2の側面の第二凹部21に縦目地材5(つまり耐火材6及び保持部材7)が収まった状態で、第一パネルP1と同様の方法で行う。
【0070】
第二パネルP2の第二凹部21には、第一耐火材60及び第二耐火材61の右側の端部と、保持部材7a,7b,7cの第一保持部710の右端部、幅狭部712、第二保持部711、第三保持部713、一対の第四保持部714のうち少なくとも一方、及び一対の第二幅狭部715のうち少なくとも一方と、が収容される。
【0071】
上述した方法で二枚のパネルP1,P2を設置することで、二枚のパネルP1,P2の間に縦目地材5が挟み込まれて、耐火目地構造1が形成される。耐火目地構造1では、二枚のパネルP1,P2は、止水パッキン8同士が突き合わさる。
【0072】
図8には、上述した方法で複数のパネルP1,P2を上下方向及び左右方向に並べて設置することによって形成される壁(外壁)が示されている。上下方向及び左右方向の隣接する二枚のパネル間の目地(突き合わせ状態にある一対の止水パッキン8の前側(屋外側)の部分)にはシーリング材10が充填される。
図8のD-D線における断面図が、
図1に示す耐火目地構造1である。
図1ではシーリング材10の図示は省略されている。
【0073】
4.作用効果
以上説明した本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、第一パネルP1の側面に装着される耐火材6を、第一パネルP1の側面の第一凹部20に収容したうえで、保持部材7によって保持することができる。そのため、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5(耐火材6及び保持部材7)を装着した第一パネルP1に対して第二パネルP2を建て込む際に、第二パネルP2との接触により第一パネルP1の側面の縦目地材5が位置ずれを起こすことを保持部材7と第一凹部20によって抑制できる。これにより、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、施工時の縦目地材5の位置ずれを抑制できる。
【0074】
また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、保持部材7が折り曲げ可能な金属板で形成されているため、保持部材7を耐火材6の形状に合わせて折り曲げることができて、耐火材6の保持がしやすい。また、第一凹部20に耐火材6を挿入する際には、保持部材7を折り曲げ操作する前の開いた形状とすることができるため、保持部材7が第一凹部20への耐火材6の挿入の邪魔になることを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、保持部材7が金属板で形成されているため、火災時に保持部材7が燃えて変形、破損等しにくくて、保持部材7による耐火材6の保持を維持しやすい。
【0076】
また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、保持部材7によって耐火材6の互いに異なる方向を向く複数の面を保持することができるため、耐火材6の各方向への位置ズレを抑制しやすい。
【0077】
また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、複数の保持部材7(7a,7b,7c)は、構造が共通し、耐火材6の保持箇所に合わせて適宜折り曲げ可能であるため、保持部材7の汎用性が高い。
【0078】
また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、耐火材6が第一耐火材60と第二耐火材61を含み、耐火材6が第一パネルP1の芯材2よりも耐火性が高い。そのため、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、パネルP1,P2の間の目地における耐火性を耐火材6によって確保しやすい。また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、第一耐火材60を構成する複数の部材の突き合わせ部分を第二耐火材61によって覆うことができて、突き合わせ部分の耐火性の低下を抑えることができる。また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、第二耐火材61が変形可能な耐火フェルトであるため、保持部材7の挿入片700を引っ掛けた状態の第一パネルP1の第一凹部20に対して、耐火材6を挿入しやすい。
【0079】
また、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、保持部材7の第一保持部710と幅狭部712の第一部分712aとが直角又は略直角に連続しており、耐火材6の角を受けることができるため、保持部材7による耐火材6の保持が安定しやすい。
【0080】
5.変形例
続いて、上述した耐火目地構造1及びその施工方法の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0081】
第二パネルP2は、第一パネルP1に対向する側面に、縦目地材5が収容される第二凹部21を有するものであればよく、第一パネルP1と同じ構造のサンドイッチパネルに限定されない。第二パネルP2は、第一パネルP1とは異なる構造のサンドイッチパネルであってもよいし、サンドイッチパネルに限らず、その他のパネルであってもよい。また、第一パネルP1は、側面に第一凹部20を有するものであればよく、サンドイッチパネルに限らず、その他のパネルであってもよい。
【0082】
保持部材7は、第一パネルP1に取り付けられる取付部70と、耐火材6を保持する保持部71とを有するものであればよく、上述した形状及び材質のものに限定されない。
【0083】
保持部材7は、折り曲げ可能な金属板で形成されなくてもよい。保持部材7は、金属以外の耐火性を有する材料で形成されてもよいし、耐火性を有さない材料で形成されてもよい。保持部材7は、折り曲げ可能でなくてもよく、予め耐火材6を保持する形状に形成されたものであってもよい。
【0084】
保持部材7は、金属外皮3ではなく金属外皮4に取付部70が引っ掛かるように構成されてもよい。
【0085】
また、取付部70は、第一パネルP1に取り付けられればよく、引っ掛け以外の手段で第一パネルP1に取り付けられてもよい。例えば、取付部70は、ビス等の固定具による固定や、接着剤による接着等によって、第一パネルP1に取り付けられてもよい。
【0086】
また、保持部材7は、周囲の部分(第二保持部711又は第四保持部714)よりも幅の狭い幅狭部712,715を有さなくてもよい。つまり、第一保持部710と第二保持部711とは、幅狭部712を介さず直接連続してもよく、また、第三保持部713と一対の第四保持部714とは、第二幅狭部715を介さず直接連続してもよい。
【0087】
また、保持部材7は、保持部71として、第一保持部710、第二保持部711、及び幅狭部712のみを有し、第三保持部713、第四保持部714、及び第二幅狭部715を有さなくてもよい。また、保持部材7は、保持部71として、第一保持部710、第二保持部711、幅狭部712、及び第三保持部713のみを有し、第四保持部714及び第二幅狭部715を有さなくてもよい。また、保持部材7は、一対の第四保持部714のうち一方と対応する一つの第二幅狭部715のみを有してもよい。
【0088】
また、第四保持部714は、第三保持部713に第二幅狭部715を介して連続するように設けられなくてもよく、第一保持部710又は第二保持部711に、第二幅狭部715を介して、又は直接連続するように設けられてもよい。
【0089】
また、保持部材7は、
図9に示す変形例のように、幅狭部712が平板状であり、かつ幅狭部712が第一保持部710及び第二保持部711に対して同一平面上に並んでもよい。この場合、保持部材7を幅狭部712において折り曲げることで、第二保持部711を耐火材6の右面に沿わせることができる。
【0090】
耐火材6は、第一耐火材60と第二耐火材61を含まなくてもよく、一つの部材で形成されてもよい。
【0091】
耐火目地構造1は、複数の保持部材7a,7b,7cのうち、第二幅狭部715を折り曲げる操作をしない少なくとも一つの保持部材7aのみを有してもよく、この少なくとも一つの保持部材7aのみで耐火材6を保持してもよい。
【0092】
また、耐火目地構造1の施工方法における目地材装着工程は、金属外皮3が第一パネルP1の下面を構成するように、第一パネルP1を平置きにした状態で行われることに限定されない。例えば、目地材装着工程は、金属外皮3が第一パネルP1の前面を構成する起立姿勢にした状態で、行ってもよい。
【0093】
また、耐火目地構造1は、
図10に示す変形例のように、金属外皮3,4の側壁部33,34,41,42を芯材2に留め付ける留め具11を更に備えてもよい。
【0094】
図10に示す変形例では、留め具11は、金属外皮3の側壁部33,34を芯材2に留め付ける第一留め具11aと、金属外皮4の側壁部41,42を芯材2に留め付ける第二留め具11bと、を含む。なお、耐火目地構造1は、第一留め具11aと第二留め具11bのうちの一方のみを備えてもよい。
【0095】
留め具11a,11bのそれぞれは、金属外皮3,4の側壁部33,34,41,42を芯材2に押さえ付ける押さえ付け部110と、押さえ付け部110と連続し、芯材2に埋め込まれる埋め込み部111と、を有する。埋め込み部111の一部には、芯材2から埋め込み部111が抜けることを抑える抜け止め部112が設けられている。
【0096】
本実施形態では、留め具11a,11bのそれぞれは、金属製であり、金属板を加工して形成される。
【0097】
図10、
図11A及び
図11Bに示すように、第一留め具11aは、金属外皮3の側壁部33,34の突出部331,341を挟み込むU字状の押さえ付け部110と、押さえ付け部110の一端部に連続する平板状の埋め込み部111と、を有する。埋め込み部111のうち押さえ付け部110に連続する側とは反対側の端部(つまり先端部)は、テーパー状である。本実施形態では、埋め込み部111の一部が切り起こされて、抜け止め部112が設けられている。
【0098】
第一留め具11aは、押さえ付け部110の内側に金属外皮3の側壁部33,34の突出部331,341が差し込まれるように、埋め込み部111を芯材2に埋め込むことで、芯材2に取り付けられる。これにより、第一留め具11aによって、金属外皮3の側壁部33,34が芯材2に対して留め付けられる。
【0099】
図10、
図12A及び
図12Bに示すように、第二留め具11bは、金属外皮4の側壁部41,42の平板部411,421に沿う平板状の押さえ付け部110と、押さえ付け部110の一端部に連続する平板状の埋め込み部111と、を有する。埋め込み部111のうち押さえ付け部110に連続する側とは反対側の端部(つまり先端部)は、テーパー状である。本実施形態では、埋め込み部111の一部が切り起こされて、抜け止め部112が設けられている。押さえ付け部110には、押さえ付け部110を平板部411,421に固定するビス等の固定具12が挿通される貫通孔113が設けられている。
【0100】
第二留め具11bは、押さえ付け部110が金属外皮4の側壁部41,42の平板部411,421の外面に重なるように、埋め込み部111を芯材2に埋め込み、押さえ付け部110の貫通孔113に固定具12を打ち込むことで、芯材2に取り付けられる。これにより、第二留め具11bによって、金属外皮4の側壁部41,42が芯材2に対して留め付けられる。
【0101】
留め具11a,11bのそれぞれは、パネルP1,P2のうち、保持部材7の取付位置に対して上下方向(パネルP1,P2の長さ方向)にずれた位置に取り付けられる。パネルP1,P2には、複数の留め具11a,11bが上下方向に間隔をおいて取り付けられる。パネルP1,P2に取り付ける留め具11a,11bの数は、パネルP1,P2の長さ等に合わせて適宜設定される。なお、パネルP1,P2には、左右の端部のそれぞれの上下方向の中央部にのみ、留め具11a,11bを取り付けてもよい。
【0102】
図10に示す変形例では、留め具11a,11bによって金属外皮3,4の側壁部33,34,41,42を芯材2によって留め付けることができるため、火災時に金属外皮3,4が芯材2から剥がれ落ちることを抑制することができて、耐火性の低下を抑えやすい。
【0103】
なお、第一留め具11aは、
図13A及び
図13Bに示す変形例のように、埋め込み部111のうち押さえ付け部110に連続する側とは反対側の端部(つまり先端部)の形状が、三角形状であってもよい。第二留め具11bについても同様に、埋め込み部111のうち押さえ付け部110に連続する側とは反対側の端部(つまり先端部)の形状が、三角形状であってもよい。
【0104】
また、耐火目地構造1は、
図14に示す変形例のように、金属外皮3,4の側壁部33,34,41,42を連結する連結部材13を更に備えてもよい。
【0105】
連結部材13は、金属外皮3の側壁部33,34の平板部330,340に固定される第一固定部130と、芯材2の凹部20,21の内面に沿う挿入部131と、金属外皮4の側壁部41,42の平板部411,421に固定される第二固定部132と、を有する。第一固定部130と第二固定部132のそれぞれには、ビス等の固定具14が挿入される貫通孔133が設けられている。
【0106】
連結部材13は、金属製である。本実施形態では、連結部材13は、一枚の金属板を折り曲げて形成されている。
【0107】
連結部材13は、パネルP1,P2のうち、保持部材7の取付位置に対して上下方向にずれた位置に取り付けられる。パネルP1,P2には、複数の連結部材13が上下方向に間隔をおいて取り付けられる。パネルP1,P2に取り付ける連結部材13の数は、パネルP1,P2の長さ等に合わせて適宜設定される。
【0108】
図14に示す変形例では、連結部材13によって金属外皮3,4の側壁部33,34,41,42を連結することができるため、火災時に金属外皮3,4が芯材2から剥がれ落ちることを抑制することができて、耐火性の低下を抑えやすい。
【0109】
(実施形態2)
続いて、
図15から
図17に示す実施形態2の耐火目地構造1及びその施工方法について説明する。以下では、実施形態2の耐火目地構造1及びその施工方法について、実施形態1と共通する構成については図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1と異なる構成については詳しく説明する。
【0110】
実施形態2の耐火目地構造1では、縦目地材5は、第一パネルP1の厚み方向において、第二耐火材61に対して第一耐火材60とは反対側に並ぶカバー材9を更に有する。カバー材9は、保持部材7の保持部71(詳しくは第三保持部713)によって保持される。
【0111】
カバー材9は、耐火材6と同じ上下長さを有する。カバー材9は、上下方向に対して平行な長手方向を有する。カバー材9は、長手方向にわたって断面形状が一定である。カバー材9は、本実施形態では、1枚の金属板を折り曲げて形成されている。金属板の厚みは、例えば、0.5mmである。金属板としては、例えば、塗装鋼板が用いられる。カバー材9は、耐火性を有する。本実施形態では、カバー材9の長手方向に直交する断面形状は、ハット型である。
【0112】
詳しくは、カバー材9は、
図15及び
図16に示すように、第二耐火材61に当たる左右一対の当て部90,91と、左右一対の当て部90,91の間に介在し、第二耐火材61から離れる方向(つまり後方)に突出した突出部92と、を有する。
【0113】
左右一対の当て部90,91は、矩形板であり、左右方向に間隔をおいて位置する。突出部92は、左右一対の当て部90,91に対して平行でありかつ左右一対の当て部90,91よりも後方に位置する先端板部920と、先端板部920の左右の端部と左右一対の当て部90,91の左右方向内側の端部との間に介在する左右一対の側板部921と、を有する。左右一対の当て部90,91、先端板部920、及び左右一対の側板部921のそれぞれは、上下方向に長い帯状の矩形板である。
【0114】
カバー材9の左右方向の長さは、耐火材6の左右方向の長さと同じである。先端板部920の左右方向の長さは、
図15に示す耐火目地構造1を形成した状態における、パネルP1,P2の金属外皮4の対向する側壁部42,41の平板部421,411間の間隔よりも若干短く、パネルP1,P2の金属外皮4の対向する側壁部42,41の湾曲部420,410間の間隔よりも長い。
【0115】
続いて、
図17Aから
図17Cに示す本実施形態の耐火目地構造1の施工方法について説明する。
【0116】
本実施形態の耐火目地構造1の施工方法では、目地材装着工程において、耐火材6とカバー材9を保持部材7で保持する。
【0117】
詳しくは、本実施形態の耐火目地構造1及びその施工方法では、目地材装着工程において、まず、
図17Aに示すように、第一パネルP1の金属外皮3の右の側壁部34の平板部340に保持部材7の挿入片700(取付部70)を引っ掛けた後、第一パネルP1の芯材2の第一凹部20に耐火材6(第一耐火材60と第二耐火材61)を挿入し、耐火材6の第二耐火材61の上にカバー材9を載せる。このとき、カバー材9の左の当て部90は、第一凹部20に挿入する。
【0118】
次いで、
図17Bに示すように、保持部材7の一部(幅狭部712)を折り曲げることで、耐火材6のうち第一パネルP1とは反対側の面(右面)に、第二保持部711を当て、カバー材9の右側の当て部91に、第三保持部713を当てる。これにより、耐火材6及びカバー材9が、第一パネルP1の第一凹部20と保持部材7によって保持され、上下方向及び左右方向(起立姿勢における前後方向及び左右方向)の位置ズレが規制される。
【0119】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、第一パネルP1には、耐火材6の長手方向の一端部を保持する保持部材7bと、耐火材6の長手方向の他端部を保持する保持部材7cとを取り付ける(
図7A,
図7B参照)。カバー材9は、保持部材7b,7cによって耐火材6と共に保持されることで、第一パネルP1の長手方向(起立姿勢における上下方向)の位置ずれが規制される。
【0120】
次いで、
図17Cに示すように、縦目地材5(耐火材6、保持部材7、及びカバー材9)を装着した起立姿勢の第一パネルP1と、起立姿勢の第二パネルP2を、第二パネルP2の側面の第二凹部21に縦目地材5(耐火材6、保持部材7、及びカバー材9)が収まるように設置する。
【0121】
第二パネルP2の第二凹部21には、第一耐火材60及び第二耐火材61の右側の端部と、保持部材7a,7b,7c(
図7A,B及び
図17C参照)の第一保持部710の右端部、幅狭部712、第二保持部711、第三保持部713、一対の第四保持部714のうち少なくとも一方、及び一対の第二幅狭部715のうち少なくとも一方と、カバー材9の右側の当て部91とが収容される。
【0122】
上述した方法で二枚のパネルP1,P2を設置することで、二枚のパネルP1,P2の間に縦目地材5(耐火材6、保持部材7、及びカバー材9)が挟み込まれて、耐火目地構造1が形成される。耐火目地構造1では、二枚のパネルP1,P2は、止水パッキン8同士が突き合わさる。
【0123】
以上説明した本実施形態の耐火目地構造1では、カバー材9によって耐火材6を覆うことができるため、二枚のパネルP1,P2間から屋内側に耐火材6が露出することを防ぐことができる。
【0124】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、耐火材6を保持する保持部材7によってカバー材9を保持することができるため、カバー材9の設置が行いやすく、また、カバー材9の位置ズレも防ぎやすい。
【0125】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5が金属製のカバー材9を含むことで、縦目地材5自体の耐火性の向上を図りやすい。
【0126】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、カバー材9がハット型であることで、カバー材9が持ち運びしやすく、耐火材6にカバー材9を重ねる施工が行いやすい。
【0127】
以上説明した実施形態2の耐火目地構造1及びその施工方法も、実施形態1と同様の変形例を採用可能である。
【0128】
また、カバー材9は、耐火材6を覆うことができる部材であればよく、上述した材質及び形状のものに限定されない。例えば、カバー材9は、断面ハット状に限らず、平板状であってもよい。また、カバー材9は、金属製に限らず、その他の耐火性を有する部材で形成されてもよいし、耐火性を有さない部材で形成されてもよい。
【0129】
(まとめ)
以上説明した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第一態様の耐火目地構造(1)は、下記の構成を備える。
【0130】
すなわち、第一態様の耐火目地構造(1)は、第一パネル(P1)と、第一パネル(P1)と隣接する第二パネル(P2)と、第一パネル(P1)と第二パネル(P2)の間に挟み込まれる縦目地材(5)と、を備える。第一パネル(P1)は、第二パネル(P2)に対向する側面に、縦目地材(5)が収容される第一凹部(20)を有する。第二パネル(P2)は、第一パネル(P1)に対向する側面に、縦目地材(5)が収容される第二凹部(21)を有する。縦目地材(5)は、第一凹部(20)及び第二凹部(21)に収容される耐火材(6)と、耐火材(6)を第一パネル(P1)に保持する保持部材(7)と、を有する。保持部材(7)は、第一パネル(P1)に取り付けられる取付部(70)と、耐火材(6)を保持する保持部(71)と、を有する。
【0131】
上記構成を備える第一態様の耐火目地構造(1)では、第一パネル(P1)の側面に装着される耐火材(6)を、第一パネル(P1)の側面の第一凹部(20)に収容したうえで、保持部材(7)によって保持することができる。そのため、第一態様の耐火目地構造(1)では、縦目地材(5)(耐火材(6)及び保持部材(7))を装着した第一パネル(P1)に対して第二パネル(P2)を建て込む際に、第二パネル(P2)との接触により第一パネル(P1)の側面の縦目地材(5)が位置ずれを起こすことを保持部材(7)と第一凹部(20)によって抑制できる。これにより、第一態様の耐火目地構造(1)では、施工時の縦目地材(5)の位置ずれを抑制できる。
【0132】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第二態様の耐火目地構造(1)は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0133】
すなわち、第二態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)は、折り曲げ可能な金属板で形成されている。
【0134】
上記構成を備える第二態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)を耐火材(6)の形状に合わせて折り曲げることで、保持部材(7)による耐火材(6)の保持がしやすいうえ、保持部材(7)自体が耐火性を有するため、火災時に保持部材(7)による耐火材(6)の保持が外れにくい。
【0135】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第三態様の耐火目地構造(1)は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0136】
すなわち、第三態様の耐火目地構造(1)では、第一パネル(P1)は、芯材(2)と芯材(2)を覆う金属外皮(3)とを有する。保持部材(7)は、取付部(70)として、第一パネル(P1)の金属外皮(3)と芯材(2)との間に挿入され、金属外皮(3)と芯材(2)によって挟み込まれる挿入片(700)を有する。保持部材(7)は、保持部(71)として、挿入片(700)と連続し、耐火材(6)のうち第一パネル(P1)の厚み方向の片側を向く第一面を保持する第一保持部(710)と、第一保持部(710)と連続し、耐火材(6)のうち第二パネル(P2)に対向する第二面を保持する第二保持部(711)と、を有する。
【0137】
上記構成を備える第三態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)の挿入片(700)を金属外皮(3)と芯材(2)との間に挿入することで、保持部材(7)を金属外皮(3)に簡単に取り付けることができる。また、第三態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)の第一保持部(710)と第二保持部(711)によって耐火材(6)を二方向から保持することができて、耐火材(6)の位置ズレを抑えやすい。
【0138】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第四態様の耐火目地構造(1)は、第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0139】
すなわち、第四態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)は、第一保持部(710)と第二保持部(711)の間に介在し、第一保持部(710)及び第二保持部(711)よりも幅が狭くて折り曲げ可能な幅狭部(712)を有する。
【0140】
上記構成を備える第四態様の耐火目地構造(1)では、幅狭部(712)が第一保持部(710)及び第二保持部(711)よりも幅が狭いため、幅狭部(712)において折り曲げしやすいうえ、折り曲げ箇所がわかりやすい。
【0141】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第五態様の耐火目地構造(1)は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0142】
すなわち、第五態様の耐火目地構造(1)では、幅狭部(712)は、第一保持部(710)に直角に連続する第一部分(712a)と、第一部分(712a)と第二保持部(711)の間に介在する第二部分(712b)とを含む。第二部分(712b)が第一部分(712a)よりも幅狭である。
【0143】
上記構成を備える第五態様の耐火目地構造(1)では、第一保持部(710)と第一部分(712a)とで形成される角を利用して、耐火材(6)を保持部材(7)に対して配置することができて、保持部材(7)による耐火材(6)の保持が安定しやすい。また、第五態様の耐火目地構造(1)では、幅狭部(712)は第一部分(712a)よりも第二部分(712b)が幅が狭くて折れ曲がりやすいため、幅狭部(712)において折り曲げる際に、第一部分(712a)が折れ曲がって第一保持部(710)と第一部分(712a)との位置関係が変わることを防ぎやすい。
【0144】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第六態様の耐火目地構造(1)は、第三から第五のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0145】
すなわち、第六態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)は、保持部(71)として、第二保持部(711)と連続し、耐火材(6)のうち第一パネル(P1)の厚み方向の他側を向く第三面を保持する第三保持部(713)を更に有する。
【0146】
上記構成を備える第六態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)の第一保持部(710)、第二保持部(711)、及び第三保持部(713)によって耐火材(6)を三方向から保持することができて、耐火材(6)の位置ズレを抑えやすい。
【0147】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第七態様の耐火目地構造(1)は、第六態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0148】
すなわち、第七態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)は、保持部(71)として、第一保持部(710)、第二保持部(711)、及び第三保持部(713)のうちいずれか一つと連続し、耐火材(6)のうち、前記第一面、前記第二面、及び前記第三面以外の方向を向く第四面を保持する第四保持部(714)を更に有する。
【0149】
上記構成を備える第七態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)の第一保持部(710)、第二保持部(711)、第三保持部(713)、及び第四保持部(714)によって耐火材(6)を四方向から保持することができて、耐火材(6)の位置ズレを抑えやすい。
【0150】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第八態様の耐火目地構造(1)は、第七態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0151】
すなわち、第八態様の耐火目地構造(1)では、第一保持部(710)、第二保持部(711)、及び第三保持部(713)のうちいずれか一つと第四保持部(714)とは、第四保持部(714)よりも幅が狭くて折り曲げ可能な幅狭部(第二幅狭部715)を介して連続している。
【0152】
上記構成を備える第八態様の耐火目地構造(1)では、幅狭部(第二幅狭部715)が第四保持部(714)よりも幅が狭いため、幅狭部(第二幅狭部715)において折り曲げしやすいうえ、折り曲げ箇所がわかりやすい。
【0153】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1のように、第九態様の耐火目地構造(1)は、第三から第八のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0154】
すなわち、第九態様の耐火目地構造(1)では、耐火材(6)は、第一パネル(P1)の厚み方向に並ぶ第一耐火材(60)及び第二耐火材(61)を含む。耐火材(6)は、第一パネル(P1)の芯材(2)よりも耐火性の高い部材である。
【0155】
上記構成を備える第九態様の耐火目地構造(1)では、パネル(P1,P2)間の目地における耐火性を耐火材(6)によって確保しやすい。また、第九態様の耐火目地構造(1)では、耐火材(6)を第一耐火材(60)と第二耐火材(61)の二部材で構成することで、第一耐火材(60)が複数の部材で構成され、互いに突き合わさる突き合わせ部が生じる場合には、この突き合わせ部を第二耐火材(61)で覆うことができ、突き合わせ部における耐火性の低下を抑制しやすい。
【0156】
また、上述した実施形態(2)及びその変形例の耐火目地構造1のように、第十態様の耐火目地構造(1)は、第九態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0157】
すなわち、第十態様の耐火目地構造(1)では、縦目地材(5)は、第一パネル(P1)の厚み方向において、第二耐火材(61)に対して第一耐火材(60)とは反対側に並ぶカバー材(9)を更に有する。カバー材(9)は、保持部材(7)の保持部(71)によって保持される。
【0158】
上記構成を備える第十態様の耐火目地構造(1)では、カバー材(9)によって第二耐火材(61)を覆うことができ、二枚のパネル(P1,P2)間からの第二耐火材(61)の露出を防ぐことができる。また、第十態様の耐火目地構造(1)では、カバー材(9)が保持部材(7)の保持部(71)によって耐火材(6)と共に保持されるため、第一パネル(P1)へのカバー材(9)の装着が行いやすい。
【0159】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1の施工方法のように、第十一態様の耐火目地構造(1)の施工方法は、下記の構成を備える。
【0160】
すなわち、第十一態様の耐火目地構造(1)の施工方法は、目地材装着工程と、パネル設置工程と、を備える。目地材装着工程では、側面に第一凹部(20)を有する第一パネル(P1)に保持部材(7)を取り付け、第一凹部(20)に耐火材(6)を挿入し、第一凹部(20)に挿入された耐火材(6)を保持部材(7)で保持することで、保持部材(7)と耐火材(6)とを含む縦目地材(5)を第一パネル(P1)に装着する。パネル設置工程では、縦目地材(5)を装着した第一パネル(P1)と、側面に第二凹部(21)を有する第二パネル(P2)とを、第二凹部(21)に縦目地材(5)が収まるように設置する。
【0161】
上記構成を備える第十一態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、第一パネル(P1)の側面に装着される耐火材(6)を、第一パネル(P1)の側面の第一凹部(20)に収容したうえで、保持部材(7)によって保持することができる。そのため、第十一態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、縦目地材(5)(耐火材(6)及び保持部材(7))を装着した第一パネル(P1)に対して第二パネル(P2)を建て込む際に、第二パネル(P2)との接触により第一パネル(P1)の側面の縦目地材(5)が位置ずれを起こすことを抑制できる。これにより、第十一態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、施工時の縦目地材(5)の位置ずれを抑制できる。
【0162】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1の施工方法のように、第十二態様の耐火目地構造(1)の施工方法は、第十一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0163】
すなわち、第十二態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、保持部材(7)は、折り曲げ可能な金属板で形成されている。目地材装着工程では、保持部材(7)の一部を折り曲げることで、耐火材(6)のうち第一パネル(P1)とは反対側の面を保持して、第一パネル(P1)と保持部材(7)で耐火材(6)を挟み込む。
【0164】
上記構成を備える第十二態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、保持部材(7)の一部を耐火材(6)の形状に合わせて折り曲げることで、保持部材(7)による耐火材(6)の保持がしやすく、保持部材(7)によって耐火材(6)の位置ズレを抑えやすい。
【0165】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火目地構造1の施工方法のように、第十三態様の耐火目地構造(1)の施工方法は、第十二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0166】
すなわち、第十三態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、目地材装着工程では、保持部材(7)の他の一部(第四保持部(714))を折り曲げることで耐火材(6)の下面を保持する。
【0167】
上記構成を備える第十三態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、縦目地材(5)(耐火材(6)と保持部材(7))を装着した第一パネル(P1)を建て起こして設置する際に、耐火材(6)の落下を保持部材(7)によって防ぎやすい。また、第十三態様の耐火目地構造(1)の施工方法では、金属板で形成される保持部材(7)によって耐火材(6)を保持することができるため、火災時の耐火材(6)の落下も防ぎやすい。
【0168】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、本開示は上記の形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0169】
1 耐火目地構造
2 芯材
20 第一凹部
21 第二凹部
3 金属外皮
5 縦目地材
6 耐火材
60 第一耐火材
61 第二耐火材
7 保持部材
70 取付部
71 保持部
700 挿入片
710 第一保持部
711 第二保持部
712 幅狭部
712a 第一部分
712b 第二部分
713 第三保持部
714 第四保持部
715 幅狭部(第二幅狭部)
9 カバー材
P1 第一パネル
P2 第二パネル