(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087736
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】着用物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20220606BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220606BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20220606BHJP
A61F 13/493 20060101ALI20220606BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20220606BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20220606BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
A61F13/56 220
A61F13/49 413
A61F13/496
A61F13/493
A61F13/51
A61F13/534 110
A61F13/535 100
A61F13/56 210
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199863
(22)【出願日】2020-12-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】梅林 豊志
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200BA14
3B200BB03
3B200BB11
3B200BB17
3B200CA03
3B200CA06
3B200CA08
3B200DA21
3B200DB18
3B200DE01
3B200DE09
(57)【要約】
【課題】初期のパンツ型と所定の展開形態との間で形態を変更可能で、かつ、着用感を向上可能な着用物品を提供することを目的とする。
【解決手段】着用物品1は、幅方向に伸縮可能な胴回り本体と、雄ファスナ12と、を有する胴回り部材10と、着用者の後背部、股下部及び前腹部に配置される吸収体20と、を備える。吸収体20は、コア25と、表面シート24と、裏面シート26と、雌ファスナ22と、を有する。コア25は、SAPを保持する保持領域と保持領域の直交方向の両端部に対して直交方向に隣接する低密度のSAPを保持する第1低密度領域を有するコア側第1不織布を有する。吸収体20が直交方向に二つ折りにされ、かつ、胴回り部材10の両側部10aが幅方向に折られた状態で雄ファスナ12と雌ファスナ22とが互いに係合している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品であって、
幅方向に延びるとともに前記幅方向に伸縮可能な弾性を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り本体と、前記胴回り本体の幅方向の両端部における着用者の肌面側を向く面に設けられた第1係合部と、を有する胴回り部材と、
前記胴回り部材に接合され、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置されるように、前記胴回り部材との接合部から前記幅方向に対して直交方向に延びる吸収体と、を備え、
前記吸収体は、体液を吸収するためのコアと、前記コアの着用者の肌面側に設けられた表面シートと、前記表面シートとの間で前記コアを挟むように前記コアの前記肌面側とは反対の外面側に設けられた裏面シートと、前記裏面シートにおける前記肌面側を向く面と反対の外面に設けられているとともに前記第1係合部に対して脱着可能に係合された第2係合部と、を有し、
前記コアは、吸水性ポリマーと、前記吸水性ポリマーを保持する保持領域と前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域の前記直交方向の両端部に対して前記直交方向に隣接する第1低密度領域とが形成されるように前記吸水性ポリマーを保持するコア側第1不織布と、を有し、
前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされ、かつ、前記胴回り部材において前記接合部の前記幅方向に隣接する両側部が前記幅方向に折られた状態で前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合している、着用物品。
【請求項2】
前記コア側第1不織布には、前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域により前記幅方向に挟まれている第2低密度領域が形成されている、請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記第2低密度領域は、前記直交方向に延びている、請求項2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記表面シートは、凹凸形状を有する表面側第1不織布と、前記凹凸形状を維持するように前記表面側第1不織布における前記肌面側を向く面と反対の外面に対して接合された表面側第2不織布と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項5】
前記表面側第2不織布は、前記凹凸形状よりも起伏の緩やかな形状を有する、請求項4に記載の着用物品。
【請求項6】
前記コア側第1不織布は、前記吸水性ポリマーを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項7】
前記コアは、前記吸水性ポリマーを介して前記コア側第1不織布と対向するように前記コア側第1不織布に積層されたコア側第2不織布をさらに有しており、
前記コア側第1不織布及び前記コア側第2不織布それぞれの対向面には、前記吸水性ポリマーを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項8】
前記吸収体は、前記直交方向において前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の先端部に、前記幅方向に伸縮可能な弾性を有する吸収体弾性部材を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項9】
前記第2係合部は、前記直交方向において前記裏面シートの前記胴回り部材とは反対側の先端部における外面において、前記裏面シートの先端部の前記幅方向の概ね全体に亘って設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項10】
前記胴回り部材の前記胴回り本体は、
前記幅方向に延びる内側シートと、
前記幅方向に延びるとともに、前記内側シートの前記肌面側を向く面と反対の外面を覆う外側シートと、
前記幅方向に沿って伸縮可能な弾性を有するとともに、前記吸収体が接合された前記胴回り本体の接合部のうち前記コアが配置されたコア配置部分の弾性力が前記コア配置部分に対して前記幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱くなるように、前記内側シートと前記外側シートとの間で挟持された状態で前記内側シート及び前記外側シートの少なくとも一方に接合された胴回り弾性部材と、を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項11】
前記外側シートは、前記吸収体の前記直交方向における前記胴回り部材と接合される端部を覆う延出部を有する、請求項10に記載の着用物品。
【請求項12】
前記胴回り弾性部材は、前記胴回り本体のうち前記第1係合部が配置された部分の弾性力が、当該部分に対して前記幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱くなるように、前記内側シートと前記外側シートとの間で挟持された状態で前記内側シート及び前記外側シートの少なくとも一方に接合されている、請求項10又は11に記載の着用物品。
【請求項13】
前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされた状態において、前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の端部と、前記端部に重なる前記吸収体及び前記胴回り部材の少なくとも一方と、が剥離可能に仮止めされている、請求項1~12のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項14】
前記仮止めの位置は、前記幅方向において前記コアよりも外側である、請求項13に記載の着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、初期のパンツ型の形態から所定の展開形態へ展開可能で、かつ、前記展開形態から前記パンツ型の形態に組立可能な着用物品が開示されている。これらの着用物品は、着用者の胴回りに配置される帯状の胴回り部分と、着用者の前腹部から後背部まで股下部を介して延びる吸収体と、を備えている。胴回り部分は、帯状の幅方向に沿って伸縮可能な弾性を有している。吸収体は、胴回り部分に接合され、当該接合部分から胴回り部分の幅方向に対して直交するように延びている。
【0003】
使用前の状態において、胴回り部分の両端部は吸収体の先端部に脱着可能に係合されている。そのため、パンツのように着用物品を着用することができる。
【0004】
使用中に着用物品の着用状態を調整する際等には、吸収体の先端部から胴回り部分の両端部を解除することにより、着用物品を展開することができる。
【0005】
さらに、展開状態から、胴回り部分の両端部を吸収体の先端部に再係合することにより、着用物品をパンツ型に組み立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-73216号公報
【特許文献2】特表2003-527152号公報
【特許文献3】米国特許第8343127号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1~3では、着用物品を初期のパンツ型の形態と展開形態との間で形態を変更できるものの、着用物品の肌に直接触れる部分での触感を考慮した着用感の向上は考慮されていない。よって、このような肌に直接触れる部分を改良することにより着用感を向上することが求められている。
【0008】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、初期のパンツ型と所定の展開形態との間で形態を変更可能で、かつ、着用感を向上可能な着用物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための着用物品は、幅方向に延びるとともに前記幅方向に伸縮可能な弾性を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り本体と、前記胴回り本体の幅方向の両端部における着用者の肌面側を向く面に設けられた第1係合部と、を有する胴回り部材と、前記胴回り部材に接合され、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置されるように、前記胴回り部材との接合部から前記幅方向に対して直交方向に延びる吸収体と、を備え、前記吸収体は、体液を吸収するためのコアと、前記コアの着用者の肌面側に設けられた表面シートと、前記表面シートとの間で前記コアを挟むように前記コアの前記肌面側とは反対の外面側に設けられた裏面シートと、前記裏面シートにおける前記肌面側を向く面と反対の外面に設けられているとともに前記第1係合部に対して脱着可能に係合された第2係合部と、を有し、を有し、前記コアは、吸水性ポリマーと、前記吸水性ポリマーを保持する保持領域と前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域の前記直交方向の両端部に対して前記直交方向に隣接する第1低密度領域とが形成されるように前記吸水性ポリマーを保持するコア側第1不織布と、を有し、前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされ、かつ、前記胴回り部材において前記接合部の前記幅方向に隣接する両側部が前記幅方向に折られた状態で前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合している。
【0010】
上記の構成の着用物品によれば、コア側第1不織布は吸水性ポリマーを保持している。吸水性ポリマーの単位容積当たりの吸収性能がフラッフパルプの単位容積当たりの吸収性能よりも高いため、フラッフパルプを使用する場合におけるフラッフパルプの使用量を減らすことができる。よって、所定の吸収性能に必要な量のフラッフパルプのみから形成される不織布よりもコアの厚みを薄くすることができる。このコア側第1不織布を備える着用物品の厚みもまた薄いため、着用物品を着用者の胴回りの体型に合わせて沿わせ易く、着用物品のフィット感を向上することができる。
【0011】
また、保持領域は吸水性ポリマーの分布密度が第1低密度領域よりも高密度であるため柔軟性に乏しい。これに対して、第1低密度領域は吸水性ポリマーの分布密度が保持領域よりも低密度であるため保持領域よりも高い柔軟性を有している。よって、第1低密度領域を有するコアは、形状を変形させ易い。ここで、着用者が着用物品を着用した場合に、保持領域の直交方向の両端部はそれぞれ着用者の前腹部及び後背部に面して配置されている。この保持領域の直交方向の両端部に対して直交方向に隣接する部分に、吸水性ポリマーの分布密度が保持領域よりも低密度な第1低密度領域が配置されている。よって、コアの第1低密度領域が配置された部分が前腹部及び後背部の体型に沿うように柔軟に変形するとともに、当該部分が柔らかな触感で前腹部及び後背部に当接するため、着用物品の着用感を向上することができる。
【0012】
上記の着用物品は、初期の状態で第1係合部に対して第2係合部が係合されているため、パンツ型の形態となっており、着用者はパンツのように着用物品を装着可能である。また、第1係合部と第2係合部との係合を解除することにより、所定の形態に展開可能である。展開形態においては、胴回り部材の幅方向の接合部に配置された吸収体に対して、胴回り部材の両側部が突出している。この両側部を着用者の胴回りに沿わせて吸収体の先端部に向かわせ、着用者の股下部に沿って配置された吸収体の裏面シートに当接させることができる。そして、胴回り部材の幅方向の両端部の第1係合部を吸収体の裏面シートの第2係合部に係合させて胴回りで着用物品を支持することにより、吸収体が引き上げられ、当該吸収体が着用者の股下部に密着する。
【0013】
上記着用物品において、前記コア側第1不織布には、前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域により前記幅方向に挟まれている第2低密度領域が形成されていると好ましい。
【0014】
上記の構成の着用物品によれば、吸収体のコアは、吸水性ポリマーの分布密度が保持領域よりも低密度な第2低密度領域を有している。保持領域は吸水性ポリマーの分布密度が高密度であるため柔軟性に乏しいのに対して、第2低密度領域は吸水性ポリマーの分布密度が低密度であるため保持領域よりも高い柔軟性を有している。よって、第2低密度領域を有するコアは、形状を変形させ易い。具体的に、第2低密度領域は保持領域により幅方向に挟まれるように形成されている。そのため、第2低密度領域を基準としてコアを屈曲させることにより吸収体を体型に沿うように変形させ易く、フィット感を向上することができる。
【0015】
また、尿等の吸収量が少ない第2低密度領域に沿って直交方向に尿等を拡散させて保持領域を用いて尿等を効果的に吸収させることができる。さらに、第2低密度領域を、保持領域における吸水性ポリマーの膨張のための領域として利用可能であるので、吸収体の肌面への過度な密着を抑制することができる。よって、尿等による肌面のべたつき感をより迅速に解消して不快感を和らげることができる。
【0016】
第1係合部と第2係合部とを係合させて着用物品を胴回りで支持し、吸収体が股下部に密着された状態において、体液の吸収前においては、コアの第2低密度領域により股下部への密着感を向上することができる。さらに、体液の吸収後においても、コアの第2低密度領域により吸収性ポリマーの膨張スペースを確保することができるため、当該コアが肌面側に必要以上に膨張するのを抑制することができ、肌触りの良さを維持することができる。
【0017】
上記着用物品において、前記第2低密度領域は、前記直交方向に延びていると好ましい。
【0018】
上記の構成の着用物品によれば、直交方向に延びる第2低密度領域を基準としてコアを屈曲させることにより、前記直交方向における第2低密度領域の形成範囲に亘って吸収体を着用者の体型に沿うように変形させることができ、着用物品のフィット感をさらに向上することができる。
【0019】
上記着用物品において、前記表面シートは、凹凸形状を有する表面側第1不織布と、前記凹凸形状を維持するように前記表面側第1不織布における前記肌面側を向く面と反対の外面に対して接合された表面側第2不織布と、を有すると好ましい。
【0020】
上記の構成の着用物品によれば、表面シートのうち、表面側第1不織布に凹凸形状が設けられている。よって、凹凸形状の凸部分が着用者の肌面と弾力的に点接触し、凹部分を空気が通過可能であり通気性がよいため、表面シートと肌面とが面接触する場合に比べて、肌触りの良さを向上することができる。また、凹凸形状を有する表面側第1不織布が、その凹凸形状が維持されるように表面側第2不織布に接合されている。そのため、例えば、着用者が接触により凹凸形状を押圧した場合でも凸部分が変形しにくく、凸部分との点接触による肌触りの良さを維持することができる。
【0021】
第1係合部と第2係合部とを係合させて着用物品を胴回りで支持し、吸収体が股下部に密着された状態において、体液の吸収前においては、表面シートの凹凸形状により通気性及び肌触りを良好にすることができる。さらに、体液の吸収後においても、表面シートの凹凸形状により通気性及び肌触りの良さを維持することができる。
【0022】
また、表面シートの表面側第1不織布が凹凸形状を有し、かつコアにおいて第2低密度領域が保持領域により幅方向に挟まれている場合には、次の効果を奏する。第1係合部と第2係合部とを係合させて着用物品を胴回りで支持し、吸収体が股下部に密着された状態において、体液の吸収前においては、表面シートの凹凸形状及びコアの第2低密度領域により股下部への密着感を向上しつつ通気性及び肌触りを良好にすることができる。さらに、体液の吸収後においても、コアの第2低密度領域により吸収性ポリマーの膨張スペースを確保することができるため、当該コアが肌面側に必要以上に膨張するのを抑制することができるとともに、表面シートの凹凸形状により通気性及び肌触りの良さを維持することができる。
【0023】
上記着用物品において、前記表面側第2不織布は、前記凹凸形状よりも起伏の緩やかな形状を有すると好ましい。
【0024】
上記の構成の着用物品によれば、凹凸形状を有する表面側第1不織布が、前記凹凸形状よりも起伏の緩やかな形状を有する表面側第2不織布に接合されることにより、表面側第1不織布の凹凸形状が維持される。よって、着用者との接触によっても表面側第1不織布の凹凸形状が維持され、肌触りの良さをさらに維持向上することができる。
【0025】
上記着用物品において、前記コア側第1不織布は、前記吸水性ポリマーを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されていると好ましい。
【0026】
上記の構成の着用物品によれば、起毛された繊維層の隙間に吸水性ポリマーを担持させることにより、コア側第1不織布に多量の吸水性ポリマーを担持させることができる。
【0027】
上記着用物品において、前記コアは、前記吸水性ポリマーを介して前記コア側第1不織布と対向するように前記コア側第1不織布に積層されたコア側第2不織布をさらに有しており、前記コア側第1不織布及び前記コア側第2不織布それぞれの対向面には、前記吸水性ポリマーを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されていると好ましい。
【0028】
上記の構成の着用物品によれば、2層のコア側第1不織布及びコア側第2不織布の繊維層同士を対向させて積層することにより、繊維層からの吸水性ポリマーの脱落を抑制することができる。
【0029】
上記着用物品において、前記吸収体は、前記直交方向において前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の先端部に、前記幅方向に伸縮可能な弾性を有する吸収体弾性部材を有すると好ましい。
【0030】
上記の構成の着用物品によれば、吸収体は、吸収体弾性部材によって胴回り部材と接合される端部とは反対側の先端部が幅方向に伸縮可能である。また、胴回り部材も幅方向に伸縮可能である。これにより、着用者の胴回り長さに応じて胴回り部材及び吸収体の両方が幅方向に伸縮可能となるため、胴回り部材の第1係合部と吸収体の第2係合部との係合位置の選択の自由度が大きい。よって、着用物品のフィット感を向上させることができる。
【0031】
上記着用物品において、前記第2係合部は、前記直交方向において前記裏面シートの前記胴回り部材とは反対側の先端部における外面において、前記裏面シートの先端部の前記幅方向の概ね全体に亘って設けられていると好ましい。
【0032】
上記の構成の着用物品によれば、裏面シートの先端部の外面において、当該先端部の幅方向の全体に亘り第2係合部が設けられている。よって、胴回り部材を幅方向に伸縮させることにより、第1係合部を第2係合部における前記幅方向の任意の位置に係合でき、係合位置の選択の自由度が大きい。よって、着用者それぞれの胴回りの長さに応じて胴回り部材と吸収体との係合位置を調整し易く、フィット感を向上することができる。
【0033】
上記着用物品において、前記胴回り部材の前記胴回り本体は、前記幅方向に延びる内側シートと、前記幅方向に延びるとともに、前記内側シートの前記肌面側を向く面と反対の外面を覆う外側シートと、前記幅方向に沿って伸縮可能な弾性を有するとともに、前記吸収体が接合された前記胴回り本体の接合部のうち前記コアが配置されたコア配置部分の弾性力が前記コア配置部分に対して前記幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱くなるように、前記内側シートと前記外側シートとの間で挟持された状態で前記内側シート及び前記外側シートの少なくとも一方に接合された胴回り弾性部材と、を有すると好ましい。
【0034】
上記の構成の着用物品によれば、胴回り部材は、吸収体が配置される胴回り部材のコア配置部分では弾性力が弱く、コア配置部分に隣接する部分では伸縮可能な弾性を有している。胴回り部材はコア配置部分では弾性力が弱いため、胴回り部材のコア配置部分に接合されたコアの縮みを抑制することができる。よって、コアにより後背部等を確実に覆うことができる。また、胴回り部材は、コア配置部分に隣接する部分が伸縮することにより、着用者の股下部に沿って配置された吸収体の先端部に係合できる。
【0035】
上記着用物品において、前記外側シートは、前記吸収体の前記直交方向における前記胴回り部材と接合される端部を覆う延出部を有すると好ましい。
【0036】
上記の構成の着用物品によれば、吸収体の胴回り部材と接合される端部が外側シートの延出部により覆われるため、吸収体の端部が肌に接触することによる不快感を抑制できる。また、吸収体の端部が露出せず、外観の良さを向上することができる。
【0037】
上記着用物品において、前記胴回り弾性部材は、前記胴回り本体のうち前記第1係合部が配置された部分の弾性力が、当該部分に対して前記幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱くなるように、前記内側シートと前記外側シートとの間で挟持された状態で前記内側シート及び前記外側シートの少なくとも一方に接合されていると好ましい。
【0038】
上記の構成の着用物品によれば、胴回り部材は、第1係合部が配置されている部分では弾性力が弱いため、第1係合部の縮みを抑制し、第1係合部と第2係合部との係合力が損なわれるのを抑制することができる。
【0039】
上記着用物品において、前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされた状態において、前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の端部と、前記端部に重なる前記吸収体及び前記胴回り部材の少なくとも一方と、が剥離可能に仮止めされていると好ましい。
【0040】
上記の構成の着用物品によれば、吸収体の胴回り部材に接合される端部とは反対側の端部と、前記端部に重なる吸収体及び胴回り部材の少なくとも一方と、が剥離可能に仮止めされることにより、吸収体を二つ折り状態に維持することができる。胴回り本体が幅方向に連続した胴回り連続体を吸収体の仮止め後に切断して胴回り部材を形成する工程を採用した場合、切断の前後を通じて吸収体の二つ折り状態を維持したまま、胴回り連続体を切断することができる。
【0041】
上記着用物品において、前記仮止めの位置は、前記幅方向において前記コアよりも外側であると好ましい。
【0042】
上記の構成の着用物品によれば、仮止めによる加工がコアに施されないため、コアの吸収性能の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0043】
初期のパンツ型と所定の展開形態との間で形態を変更可能で、かつ、着用感を向上可能な着用物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】リファスナブルタイプの着用物品の組み立て後の外観を示す前面図である。
【
図2】リファスナブルタイプの着用物品の組み立て後の外観を示す背面図である。
【
図3】リファスナブルタイプの着用物品の展開図である。
【
図4】リファスナブルタイプの着用物品の分解斜視図である。
【
図5A】胴回り直交方向に連続するコアにおけるSAPの分布状態を示す平面図である。
【
図6A】コアにおけるSAPの別の分布状態を示す平面図である。
【
図6C】
図6Aの6B-6B切断線における断面図であって、コアが逆V字状に折り曲がる様子を示すものである。
【
図6D】
図6Aの6B-6B切断線における断面図であって、コアがV字状に折り曲がる様子を示すものである。
【
図7A】コアにおけるSAPの別の分布状態を示す平面図である。
【
図7B】コアにおけるSAPの別の分布状態を示す平面図である。
【
図7C】コアにおけるSAPの別の分布状態を示す平面図である。
【
図8】リファスナブルタイプの着用物品の製造工程のシステム図である。
【
図10】工程3~工程7の製造状況の平面図である。
【
図12A】表面シートにおける凹凸形状の形成過程の説明図であり、第1ロールの外周面に表面側第1不織布及び表面側第2不織布が巻き掛けられる様子を示すものである。
【
図12B】表面シートにおける凹凸形状の形成過程の説明図であり、表面側第1不織布及び表面側第2不織布が第1ロールの凹部に押し込まれる様子を示すものである。
【
図12C】表面シートにおける凹凸形状の形成過程の説明図であり、表面側第1不織布のみに凹凸形状が形成される様子を示すものである。
【
図14】コア側第1不織布及びコア側第2不織布を積層してコアを製造する過程の説明図である。
【
図15A】コアの製造過程を示す断面図であり、コア側第1不織布及びコア側第2不織布の起毛前の状態を示すものである。
【
図15B】コアの製造過程を示す断面図であり、コア側第1不織布及びコア側第2不織布の起毛後の状態を示すものである。
【
図15C】コアの製造過程を示す断面図であり、コア側第1不織布及びコア側第2不織布がSAPを担持している状態を示すものである。
【
図15D】コアの製造過程を示す断面図であり、コア側第1不織布及びコア側第2不織布が積層され積層体が形成されている状態を示すものである。
【
図15E】コアの製造過程を示す断面図であり、積層体に薄葉紙が供給されている状態を示すものである。
【
図15F】コアの製造過程を示す断面図であり、積層体が薄葉紙で包みこまれている状態を示すものである。
【
図16】工程8~工程13の製造状況の平面図である。
【
図17A】工程1の製造過程の要部断面図であり、外側シートが搬送されている様子を示すものである。
【
図17B】工程1の製造過程の要部断面図であり、外側シート上に胴回り弾性部材が配置されている様子を示すものである。
【
図17C】工程2の製造過程の要部断面図であり、外側シート、胴回り弾性部材の上部を覆うように内側シートが搬送されている様子を示すものである。
【
図18A】工程3の製造過程の要部断面図であり、立ち上がりフラップ用のシートを切断している様子を示すものである。
【
図18B】工程3の製造過程の要部断面図であり、切断した立ち上がりフラップを幅方向に一定の間隔で拡幅する様子を示すものである。
【
図18C】工程3の製造過程の要部断面図であり、立ち上がりフラップに立体ギャザー弾性部材を配置する様子を示すものである。
【
図18D】工程3の製造過程の要部断面図であり、立ち上がりフラップの内曲げ部内に立体ギャザー弾性部材を接合して立体ギャザーを製造する様子を示すものである。
【
図18E】工程3の製造過程の要部断面図であり、表面シートに立体ギャザーを接合する様子を示すものである。
【
図18F】工程6の製造過程の要部断面図であり、工程3で形成された表面シート仕掛品と、工程4で形成されたコアと、工程5で形成された裏面シート仕掛品と、を組み合わせた吸収体仕掛品を形成する様子を示すものである。
【
図19A】工程8、工程9の製造過程の要部断面図であり、工程7を経て所定方向にターンされた吸収体を胴回り連続体に接合する様子を示すものである。
【
図19B】工程10の製造過程の要部断面図であり、延出部が折り返される様子を示すものである。
【
図19C】工程11~工程13の製造過程の要部断面図であり、着用物品が二つ折りにされている様子を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0046】
<リファスナブルタイプの着用物品の構成>
(全体構成)
リファスナブルタイプの着用物品の構成について以下に説明する。
【0047】
本実施形態に係るリファスナブルタイプの着用物品1は、着用者の胴廻りに配置される胴回り部材10と、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置される吸収体20と、を備えている。
【0048】
胴回り部材10は、幅方向に延びるとともに前記幅方向に伸縮可能な弾性を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り本体16(
図4)と、胴回り本体16の幅方向の両端部10cにおける着用者の肌面側を向く面に設けられた雄ファスナ(第1係合部)12と、を有する。
【0049】
以下において、
図1~
図3等に示すように、リファスナブルタイプの着用物品1において、胴回り部材10において胴回り本体16(
図4)の延びる方向を胴回り幅方向(幅方向)とし、胴回り幅方向に対して概ね直交する方向を胴回り直交方向(直交方向)というものとする。
【0050】
この胴回り本体16は、内側シート14(
図4)と、外側シート15(
図4)と、内側シート14及び外側シート15に挟持された状態で内側シート14及び外側シート15に接合される胴回り弾性部材11(
図4)と、を有する。
【0051】
吸収体20は、尿、汗等の主に体液を吸収するための部材である。吸収体20は、胴回り部材10の接合部10b(
図3、
図4)に接合されている。本実施形態において、接合部10bは、胴回り部材10の胴回り幅方向の中央部で、かつ、ウエスト側の縁から下方に外れた部分である。吸収体20は、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置されるように、接合部10bから胴回り直交方向に延びる。吸収体20は、胴回り直交方向の先端部における、肌面側を向く面と反対の外面に雌ファスナ(第2係合部)22を有している。
【0052】
このような構成のリファスナブルタイプの着用物品1は、最終形態において(初めて着用物品が使用される段階において)、雄ファスナ12と雌ファスナ22とが互いに係合している状態で折り畳まれている。具体的には、
図16の最終の工程13に示すように折り畳まれたリファスナブルタイプの着用物品1では、吸収体20が胴回り直交方向に二つ折りにされ、かつ、胴回り部材10において接合部10bの胴回り幅方向に隣接する部分である両側部10aが胴回り幅方向に折られた状態で雄ファスナ12と雌ファスナ22とが互いに係合している。
【0053】
着用者は、雄ファスナ12と雌ファスナ22とが係合された状態でパンツ型の形態に組み立てられたリファスナブルタイプの着用物品1の胴回り部材10を押し広げ、脚を挿入してパンツのように着用物品1を装着する。リファスナブルタイプの着用物品1において、雄ファスナ12と雌ファスナ22とは予め係合されているが、両ファスナ12、22の係合を解除して
図3に示す形態に着用物品1を展開することができる。さらに、両ファスナ12、22の係合及び解除は、着用物品1を着用者に適合させる際、また着用物品1を取り換える際に繰り返される。
【0054】
このようなリファスナブルタイプの着用物品1に対して、オープンタイプの着用物品は、最終形態において(初めて着用物品が使用される段階において)、雄ファスナ12と雌ファスナ22とが係合されない状態で折り畳まれている。具体的には、オープンタイプの着用物品では、例えば、
図3の展開形態の着用物品の胴回り部材10の両側部10aが吸収体20の肌面側に面するように胴回り幅方向に折り畳まれた状態で、吸収体20の先端部が胴回り部材10側に位置するように吸収体20が胴回り直交方向に折り畳まれている。つまり、オープンタイプの着用物品は、胴回り部材10の両側部10aが、胴回り部材10の接合部10b及び吸収体20に挟持されるように折り畳まれている。この場合、雄ファスナ12と雌ファスナ22とは係合されていない。
【0055】
なお、オープンタイプの着用物品には、折り畳まれていない
図3に示す展開形態が含まれてもよい。
【0056】
次に、リファスナブルタイプの着用物品1の各部についてさらに説明する。
【0057】
(胴回り部材)
胴回り部材10は、胴回り幅方向に延びるとともに胴回り幅方向に伸縮可能な弾性を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り本体16(
図4)と、胴回り本体16の胴回り幅方向の両端部10cにおける着用者の肌面側を向く面に設けられた雄ファスナ12とを有する。胴回り本体16は、後述の内側シート(
図4等)14と、外側シート(
図4等)15と、胴回り弾性部材11と、を有する。
【0058】
ここで、胴回り本体16のうち吸収体20が接合されている部分が接合部10bである。本実施形態では、
図2に示すように、接合部10bの胴回り直交方向の上方には胴回り弾性部材11の一部が位置している。
【0059】
また、胴回り本体16のうち両側部10aは、接合部10bに対して胴回り幅方向に隣接する領域である。両側部10aには、胴回り本体16のうち胴回り幅方向の両端である両端部10cが含まれている。両端部10cの少なくとも一部は、雄ファスナ12が接合される接合部15a2(
図3、
図4)である。
【0060】
胴回り本体16は、全体として胴回り幅方向に弾性を有する。胴回り本体16の接合部10bは吸収体20の一端部が配置される部分である。また、接合部10bは、吸収体20の一部を構成するコア25が配置されるコア配置部分15a1を含んでいる(
図2)。また、胴回り本体16の接合部15a2は雄ファスナ12が配置される部分である。
【0061】
接合部10bのうちコア配置部分15a1では、コア配置部分15a1を除く領域よりも胴回り幅方向の弾性は小さいか、ほとんどない。つまり、胴回り本体16において、コア配置部分15a1を除く領域では、コア配置部分15a1よりも胴回り幅方向の弾性が大きい。また接合部15a2では、接合部15a2を除く領域よりも胴回り幅方向の弾性は小さいか、ほとんどない。つまり、胴回り本体16において、コア配置部分15a1及び接合部15a2を除く領域では、接合部15a2よりも胴回り幅方向の弾性が大きい。これにより、胴回り本体16は、コア配置部分15a1及び接合部15a2を除く領域における胴回り幅方向の弾性により、全体として胴回り幅方向に弾性を有する。
【0062】
ここで、リファスナブルタイプの着用物品1は、最終形態において(初めて着用物品が使用される段階において)、吸収体20が二つ折り状態で剥離可能に仮止めされた状態で雄ファスナ12と雌ファスナ22とが互いに係合され、パンツ型の形態に折り畳まれている。このリファスナブルタイプの着用物品1を着用者が装着する際には、着用者は、雄ファスナ12と雌ファスナ22とが係合された状態で仮止めを剥離して着用物品1の胴回り部材10を押し広げ、脚を挿入してパンツのように着用物品1を装着する。
【0063】
リファスナブルタイプの着用物品1において雄ファスナ12と雌ファスナ22との係合が解除され、展開形態とされた状態の着用物品1は次のように着用可能である。胴回り本体16の接合部10bが後背部に当接された状態で、着用者の後背部から股下部を介して前腹部までの範囲に亘って吸収体20が配置される。この状態で、胴回り本体16の接合部10bに隣接する両側部10aを前腹部に位置する吸収体20の先端部の外面まで伸長させる。そして、胴回り本体16に設けられた雄ファスナ12と吸収体20に設けられた雌ファスナ22とが係合されることにより、リファスナブルタイプの着用物品1が着用者に装着される。
【0064】
次に、胴回り本体16の平面形状について説明すると、胴回り本体16の胴回り直交方向の上縁は概ね胴回り幅方向に沿って直線状である。これに対して、胴回り部材10の胴回り直交方向の下縁、つまり脚の付け根側の下縁には、脚周りの形状に沿ったレッグホール形成用の脚周り曲線部15b(
図3、
図4等)が設けられている。脚周り曲線部15bは、胴回り本体16の胴回り直交方向の長さが両側部10aから接合部10bに向けて長くなるような曲線形状を有する。
【0065】
このような胴回り本体16の具体的構成についてさらに説明する。胴回り本体16は、
図4に示すように、胴回り幅方向に延びる内側シート14と、胴回り幅方向に延びるとともに、内側シート14の肌面側を向く面と反対の外面を覆う外側シート15と、胴回り幅方向に沿って伸縮可能な弾性を有する胴回り弾性部材11と、を有する。
【0066】
図3、
図4に示すように、内側シート14は、例えば不織布のシートであり、胴回り幅方向に延びる帯状の部材である。内側シート14の接合部10bに相当する部分には、吸収体20の一端部が接合されている。
【0067】
雄ファスナ12は、内側シート14の胴回り幅方向の両端部10cの肌面側を向く面においてそれぞれ胴回り直交方向に延びている。具体的に、雄ファスナ12は、内側シート14に接合されている。雄ファスナ12の胴回り直交方向の長さは、雌ファスナ22との係合が簡単に外れない程度であれば良い。例えば、雄ファスナ12の胴回り直交方向の長さが内側シート14の胴回り直交方向の長さと同程度であると、胴回り本体16を胴回り直交方向の全長に亘って吸収体20の雌ファスナ22と確実に係合することができる。
【0068】
外側シート15は、例えば不織布からなり、内側シート14と同様に胴回り幅方向に延びる帯状の部材である。外側シート15は、内側シート14の肌面側とは反対側の外面側に配置され、内側シート14の肌面側を向く面と反対の外面を覆う。
【0069】
内側シート14の平面形状は、前述した胴回り本体16の平面形状と同様である。
図4に示すように、内側シート14における胴回り直交方向の上縁は、胴回り幅方向に沿った直線状に形成されている。また、内側シート14における胴回り直交方向の脚の付け根側の下縁は、脚周りの形状に沿った曲線状の脚周り曲線部15bを有している。内側シート14の胴回り幅方向の両端部は胴回り直交方向に沿って直線状である。
【0070】
外側シート15の下縁は、平面視において、内側シート14と同様に、脚の付け根側の脚周りの形状に沿った曲線状の脚周り曲線部15bを有している。また、外側シート15は、胴回り弾性部材11を覆うように内側シート14が重ねられた状態で、内側シート14の胴回り直交方向の上側に延びる延出部15cを有する。
【0071】
延出部15cは、
図3等に示すように、胴回り弾性部材11を覆うように、かつ吸収体20の胴回り直交方向における胴回り部材10と接合される端部を覆うように折り返された状態で内側シート14及び吸収体20に接合されている。これにより、吸収体20の端部が肌に接触することによる不快感を抑制できる。また、吸収体20の端部が露出せず、外観の良さを向上することができる。
【0072】
胴回り弾性部材11は、胴回り弾性部材11が胴回り幅方向に直線状に伸長した状態、かつ、内側シート14及び外側シート15に挟持された状態で内側シート14及び外側シート15の少なくともいずれか一方に接合されている。そして、胴回り弾性部材11は、延出部15cを除いた領域において、内側シート14の上端縁から脚の付け根側の脚周り曲線部15bに至るまでの範囲に配置されている。胴回り弾性部材11は、後述の弱化部分15a1、15a2において弱化処理されている。
【0073】
脚周り曲線部15bは、脚の付け根の形状に沿った曲線状のレッグホールの一部を構成する。そして、脚周り曲線部15bに隣接する胴回り弾性部材11は、レッグホールの周縁部の一部を脚の付け根の上部に弾性的に密着させることにより、着用感を向上させる。なお、胴回り弾性部材11のうち脚周り曲線部15bに隣接する胴回り弾性部材11は、脚周り曲線部15bの曲線に沿うように曲線状であってもよい。
【0074】
胴回り弾性部材11は、例えば、ポリウレタン、天然ゴム、熱可塑性樹脂等の材料から形成されている。また、胴回り弾性部材11の形状は例えば糸状、リボン状、シート状等である。後述のレッグギャザー31を構成する弾性部材、立体ギャザー弾性部材41及び吸収体弾性部材21等の弾性部材も同様の材料、形状である。
【0075】
胴回り弾性部材11の内側シート14及び外側シート15への接合は、ホットメルト接着剤を用いた接着やヒートシールによる溶着を用いることもできるが、超音波溶着されているのが望ましい。超音波溶着を用いると、接着剤を用いる場合と比較して、内側シート14及び外側シート15の柔軟性を維持することができ、パリパリとしたごわついた触感が少なく不快感が少ない。
【0076】
胴回り弾性部材11は、胴回り幅方向に弾性を有している。これにより、胴回り弾性部材11は、胴回り部材10の胴回り本体16を胴回りに弾接的に密着させる。本実施形態において、胴回り弾性部材11は、複数本の糸状弾性部材からなり、胴回り部材10の胴回り幅方向に延びるとともに、胴回り直交方向に間隔を空けて配置されている。
【0077】
本実施形態では、胴回り部材10の吸収体20が接合される接合部10bのうちコア配置部分15a1(弱化部分15a1ともいう)において、胴回り弾性部材11に弱化処理が施されている(
図2参照)。本実施形態では、接合部10bの領域はコア配置部分15a1の領域よりも大きい。
【0078】
具体的には、吸収体20では、コア25が胴回り幅方向の中央部に配置され、レッグギャザー31が胴回り幅方向の両縁のそれぞれに沿って配置された状態で、表面シート24と裏面シート26とに挟まれている。胴回り部材10の接合部10bには裏面シート26が接合される。そして、接合部10bのうち、少なくともコア25が配置されるコア配置部分15a1では、胴回り弾性部材11に弱化処理が施されている。
【0079】
一方、接合部10bのうちコア配置部分15a1を除く部分(例えばレッグギャザー31を挟み込んだ部分の表面シート24及び裏面シート26の両縁部)では、胴回り弾性部材11に対する弱化処理が施されていない。
【0080】
具体的に、本実施形態では、前述の通り、接合部10bの胴回り直交方向の上方には胴回り弾性部材11の一部が位置している。つまり、胴回り本体16の胴回り直交方向の上端縁と接合部10bとの間には、胴回り弾性部材11の一部が配置されている。よって、本実施形態では、接合部10bのうち、コア配置部分15a1に対して胴回り幅方向に隣接する両側部分及びコア配置部分15a1に対して胴回り直交方向の上側部分の3方において、胴回り弾性部材11には弱化処理が施されていない。
【0081】
本実施形態のように接合部10bにおけるコア配置部分15a1よりも胴回り直交方向上側の部分においては、胴回り弾性部材11の少なくともいずれかが伸長状態で設けられている。このような接合部10bに吸収体20を接合することにより、吸収体20の胴回り部材10側の先端部は、前記上側部分に配置されている胴回り弾性部材11と重なる。よって、吸収体20の胴回り直交方向における自由端(胴回り部材10と反対側の端部)が後述の吸収体弾性部材21によって伸縮可能であるのと同様に、吸収体20の胴回り部材10側の先端部もまた胴回り弾性部材11によって伸縮可能とすることができる。
【0082】
また、胴回り部材10の胴回り幅方向の両端部10cにおける雄ファスナ12が接合される接合部15a2(以下、弱化部分15a2ともいう)において、胴回り弾性部材11に弱化処理が施されている。
【0083】
なお、上記では接合部10bの領域はコア配置部分15a1の領域よりも大きいが、接合部10bの領域とコア配置部分15a1の領域とが一致していてもよい。
【0084】
また、雄ファスナ12が接合される接合部15a2は、胴回り部材10の両端部10cの少なくとも一部である。ただし、両端部10cの領域と接合部15a2の領域とが一致していてもよい。さらには、本実施形態では接合部15a2の領域と弱化部分の領域とは一致しているが、弱化部分の領域が接合部15a2の領域よりも大きくてもよい。
【0085】
弱化処理は、弾性部材による胴回り本体16の弾性力を弱める処理である。また、弱化処理には、弾性部材の弾性力を無効にする処理も含まれる。弱化処理は、例えば、胴回り弾性部材11のコア配置部分15a1及び接合部15a2内に位置する部分の切断により行われる。例えば、内側シート14及び外側シート15に対してコア配置部分15a1及び接合部15a2以外の部分において接合され、かつ、コア配置部分15a1及び接合部15a2において接合されていない状態にある胴回り弾性部材11を切断することにより、コア配置部分15a1及び接合部15a2について弱化処理を施すことができる。切断は、例えば刃を用いて弾性部材を切断することにより、また、弾性部材に熱を加えて溶断することにより行われる。弱化処理が施されることにより弾性部材が分断されるため、コア配置部分15a1及び接合部15a2における弾性力が弱まる。
【0086】
また、弱化処理には、上述のように弾性部材を分断することにより弾性を取り除く処理に加えて、弾性部材の弾性が低下するように変性させることも含む。その他、弱化処理には、間欠的に弾性部材を不織布に接合し、接合部と接合部との間における弾性部材を切断する方法も挙げられる。これにより、弾性部材が切断された範囲において弾性部材の弾性力が弱まる。
【0087】
前記弱化処理によって、胴回り弾性部材11による胴回り本体16の弾性力は、吸収体20が配置される弱化部分15a1、及び、雄ファスナ12が配置される弱化部分15a2では弱められている。つまり、胴回り弾性部材11による胴回り本体16の弱化部分15a1及び弱化部分15a2の弾性力は、胴回り本体16における弱化部分15a1及び弱化部分15a2に対して胴回り幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱い。
【0088】
このように吸収体20が配置される弱化部分15a1では胴回り弾性部材11による胴回り本体16の弾性力が弱められている。よって、胴回り本体16の弱化部分15a1に接合されたコア25の縮みを抑制することができるため、コア25により後背部等を確実に覆うことができる。
【0089】
また、雄ファスナ12が配置されている弱化部分15a2では、胴回り弾性部材11による胴回り本体16の弾性力が弱められている。そのため、雄ファスナ12の縮みが抑制され、雄ファスナ12と雌ファスナ22との係合力が損なわれるのを抑制することができる。
【0090】
(吸収体)
吸収体20は、尿等の体液を吸収可能な帯状の部材であり、胴回り本体16の接合部10bに接合され、接合部10bから胴回り直交方向に延びている。吸収体20は、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置される。
【0091】
吸収体20は、体液を吸収するためのコア25と、コア25の着用者の肌面側に設けられた表面シート24と、表面シート24との間でコアを25挟むようにコア25の肌面側とは反対の外面側に設けられた裏面シート26と、裏面シート26における肌面側を向く面と反対の外面に設けられているとともに雄ファスナ12に対して脱着可能に係合された雌ファスナ22と、を有する。また、吸収体20は、吸収体弾性部材21と、レッグギャザー31と、立体ギャザー40と、インジケータ50と、をさらに有する。
【0092】
表面シート24は、胴回り直交方向に延びる帯状のシートであり、コア25に対して着用者の肌面側に設けられている。表面シート24は、概ね同じ大きさの液透過性を有する2枚の表面側第1不織布24a及び表面側第2不織布24b(
図11、
図12等)を積層して、表面側第1不織布24a及び表面側第2不織布24bを接合することにより形成されている。
【0093】
表面側第1不織布24aは、着用時に着用者の肌面側に向く面を有し、この肌面側に向く面には複数の凹凸形状20aが設けられている。なお、当該表面側第1不織布24aの裏面は、表面の凹凸形状20aとは反対の凹凸形状を有している。凹凸形状20aを形成する凹部分及び凸部分の形状は特に限定されないが、例えば、平面視において、円形状、楕円形状、多角形状等である。また凹部分及び凸部分の大きさは、接触による肌面への吸い付きを抑制できる等、肌面に快感を与える程度であればよく、例えば円形状であれば平面視において3~5mm程度である。
【0094】
このように表面シート24のうち、肌面側の表面側第1不織布24aに凹凸形状20aが設けられている。よって、凹凸形状20aの凸部分が着用者の肌面と弾力的に点接触し、凹部分を空気が通過可能であり通気性がよい。そのため、当該表面シート24によれば、表面シート24と肌面とが面接触する場合に比べて、肌触りの良さを向上することができる。そして、吸収体20が尿及び汗等の体液を吸収した後であっても、表面シート24の凸部分と尿等で濡れた肌面とが点接触し、更には凹部分によって通気性があることによって、肌面の触感の不快感を和らげることができる。
【0095】
表面側第2不織布24bは、表面側第1不織布24aにおける肌面側を向く面と反対の外面に対して接合されている。表面側第2不織布24bは、表面側第1不織布24aの凹凸形状20aよりも起伏の緩やかな形状を有する。表面側第2不織布24bの肌面側を向く面は例えば平坦面状である。このように表面側第2不織布24bの起伏が表面側第1不織布24aの起伏よりも小さい。よって、表面側第2不織布24bの面方向の伸長し易さは、表面側第1不織布24aのそれよりも小さい。これにより、表面側第1不織布24aの伸長が表面側第2不織布24bにより拘束され、表面側第1不織布24aの凹凸形状20aが維持される。このとき、表面側第1不織布24aの凹凸形状20aのうち凹部分が表面側第2不織布24bの平坦面状の表面に接合され、この凹部分の接合により凹凸形状20aのうち凸部分の形状が維持される。例えば、着用者が接触により凹凸形状20aを押圧した場合でも凸部分が変形しにくく、凸部分との点接触による肌触りの良さを維持することができる。
【0096】
なお、表面シート24は、2枚の不織布(表面側第1不織布24a及び表面側第2不織布24b)から形成されているが、不織布の枚数は3枚以上であってもよい。
【0097】
また、表面シート24に凹凸形状20aを設ける場合において、複数枚の不織布のうち、肌面側に面する少なくとも1枚の不織布の表面に凹凸形状20aが設けられていればよい。よって、表面シート24を構成する全ての不織布に凹凸形状20aが設けられていてもよい。
【0098】
さらには、表面シート24は、1枚の不織布からから形成されていてもよい。この場合、1枚の不織布の肌面側に面する表面には凹凸形状20aが設けられている。
【0099】
なお、表面側第1不織布24aと表面側第2不織布24bとの接合は、ホットメルト接着剤を用いた接着やヒートシールによる溶着を用いることもできるが、超音波溶着が好ましい。当該接合に超音波溶着を用いると、接着剤を用いる場合と比較して表面シート24の柔軟性を維持することができ、パリパリとしたごわついた触感が少なく不快感が少ない。
【0100】
上記では、表面側第1不織布24aの肌面側に向く面に複数の凹凸形状20aが設けられている。しかし、表面シート24の態様としては、表面側第1不織布24aの肌面側に向く面が平坦面状である態様も含まれる。この場合、表面シート24は、平坦面状の1枚の不織布のみから形成されてもよい。つまり、表面シート24は、表面側第2不織布24bが省略され、平坦面状の表面側第1不織布24aのみから形成されていてもよい。
【0101】
コア25は、
図4等に示すように、平面視において、胴回り直交方向に延びる長方形状の帯状のシートである。なお、コア25の胴回り幅方向の両縁部における胴回り直交方向の中央位置には、くびれが形成されていてもよい。くびれは、着用者の脚の周囲に隙間なくコア25を配置するために、前記両縁部を胴回り幅方向に窪ませて形成されている。くびれは、上述の脚周り曲線部15bの曲線を延長するための曲線形状を有する。
【0102】
コア25は、後述の製造方法において詳述するが、
図5Aに示すように、胴回り直交方向に連続的に連結されて製造される。連続するコア25間には、カット領域Cutが設けられている。連続するコア25は、当該カット領域Cutの切断ラインNでカットされ、所定長さ25Lを有する1つのコア25に分割される。なお、カット領域CutにおけるSAPの分布密度は、後述の保持領域R2におけるSAPの分布密度よりも低い。具体的に、本実施形態では、コア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2のカット領域Cutは、SAPをほとんど保持していない。なお、カット領域CutにおいてはSAPが全く担持されていなくてもよい。
【0103】
コア25は、2枚のコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2と、これらコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2に担持される高吸水性ポリマー(SAP:SuperAbsobent Polymer)とにより形成されている。コア25において、2枚のコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2は
図5B等に示すように積層されている。SAPは吸水性を有する吸水性物質であり、例えばポリアクリル酸ナトリウム等が用いられる。
【0104】
より具体的には、コア25は、SAPを介してコア側第1不織布S1と対向するようにコア側第1不織布S1に積層されたコア側第2不織布S2をさらに有している。コア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2それぞれの対向面には、SAPを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されている。この繊維層の隙間にSAPを配置させることにより、コア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2に多量のSAPを担持させることができる。このような繊維層を有する不織布として、例えばエアレイド不織布を挙げることができる。
【0105】
また、2層のコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2にSAPを担持させることにより、1層のコア側第1不織布を設ける場合よりもSAPの担持量を多くし、SAPによる尿等の吸収量を多くすることができる。
【0106】
さらにコア側第1不織布S1は、
図5A~
図5Cに示すように、第1低密度領域R11と保持領域R2とが形成されるようにSAPを担持する。この第1低密度領域R11は、保持領域R2の胴回り直交方向の両端部に対して胴回り直交方向に隣接して配置されている。また、この第1低密度領域R11は、
図5Aのカット領域Cutにおいて保持領域R2の胴回り直交方向の端部から切断ラインNまでの領域である。第1低密度領域R11におけるSAPの分布密度は、保持領域R2におけるSAPの分布密度よりも低い。なお、第1低密度領域R11は、SAPを担持していなくてもよい。保持領域R2は、尿等の所定の吸水性能を有するようにSAPが担持されている領域である。そして、コア側第1不織布S1は、第1低密度領域R11及び保持領域R2全体として予め設定された吸水性能を発揮する。
【0107】
一方、
図5B、
図5Cに示すように、コア側第2不織布S2の保持領域R3は、平面視においてコア側第1不織布S1の保持領域R2と重なる位置に配置されている。また、コア側第2不織布S2の第3低密度領域R13は、平面視においてコア側第1不織布S1の第1低密度領域R11と重なる位置に配置されている。第3低密度領域R13におけるSAPの分布密度は、保持領域R2及び保持領域R3におけるSAPの分布密度よりも低い。なお、第3低密度領域R13は、SAPを担持していなくてもよい。保持領域R3におけるSAPの分布密度は、尿等の所定の吸水性能を有するように設定されている。そして、コア側第2不織布S2の第3低密度領域R13及び保持領域R3全体におけるSAPの分布密度は、予め設定された吸水性能を発揮するように設定されている。
【0108】
また、保持領域R3のSAPの密度は、保持領域R2と同程度であってもよいし、異なってもよい。第3低密度領域R13のSAPの密度は、第1低密度領域R11と同程度であってもよいし、異なってもよい。
【0109】
そして、コア側第1不織布S1が着用物品1の着用者の肌面側に配置され、このコア側第1不織布S1の裏面側にコア側第2不織布S2が積層される。
【0110】
これら2枚のコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2は、起毛されSAPを担持している繊維層どうしが対向するように積層されている。これにより、SAPの脱落を抑制することができる。つまり、コア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2の外面側の起毛されていない外側部分では、高密度の繊維が絡みあっている。この外側部分によりコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2内にSAPが担持されている。
【0111】
コア側第1不織布S1はSAPを保持して形成されている。SAPの単位容積当たりの吸収性能がフラッフパルプの単位容積当たりの吸収性能よりも高いため、フラッフパルプを使用する場合におけるフラッフパルプの使用量を減らすことができる。よって、所定の吸収性能に必要な量のフラッフパルプのみから形成される不織布よりもコア25の厚みを薄くすることができる。このコア側第1不織布S1を備える着用物品1の厚みもまた薄いため、着用物品1を着用者の胴回りの体型に合わせて沿わせ易く、着用物品1のフィット感を向上することができる。
【0112】
さらに、所定の吸収性能に必要な量のフラッフパルプのみから形成される不織布よりもコア25の厚みを薄くすることができる。これらコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2の薄型化により着用物品1の厚みもまた薄くすることができるため、着用物品1を着用者の胴回りの体型に合わせて沿わせ易く、着用物品1のフィット感を向上することができる。
【0113】
また、保持領域R2はSAPの分布密度が第1低密度領域R11よりも高密度であるため柔軟性に乏しい。これに対して、第1低密度領域R11はSAPの分布密度が保持領域R2よりも低密度であるため保持領域R2よりも高い柔軟性を有している。よって、第1低密度領域R11を有するコア25は、形状を変形させ易い。ここで、着用者が着用物品1を着用した場合に、保持領域R2の胴回り直交方向の両端部はそれぞれ着用者の前腹部及び後背部に面して配置されている。この保持領域R2の胴回り直交方向の両端部に対して胴回り直交方向に隣接する部分に、SAPの分布密度が保持領域R2よりも低密度な第1低密度領域R11が配置されている。よって、コア25の第1低密度領域R11が配置された部分が前腹部及び後背部の体型に沿うように柔軟に変形するとともに、当該部分が柔らかな触感で前腹部及び後背部に当接するため、着用物品1の着用感を向上することができる。
【0114】
さらに、
図5A~
図5Cに示すコア25と、凹凸形状20aを有する表面シート24とを組み合わせて着用物品1を製造してもよい。この場合には、表面シート24の凹凸形状20aにより通気性及び肌触りを良好にすることができる。また、体液の吸収後においても、表面シート24の凹凸形状20aにより通気性及び肌触りの良さを維持することができる。
【0115】
また、コア25における低密度領域の配置は、上記の形態に限られず、例えば
図6A~
図6Dに示すような配置としてもよい。
【0116】
図6A、
図6Bに示すコア側第1不織布S1では、第1低密度領域R11が保持領域R2の胴回り直交方向の両端部に対して胴回り直交方向に隣接して配置されるとともに、第2低密度領域R12が保持領域R2により胴回り幅方向に挟まれて配置されている。保持領域R2は、尿等の所定の吸水性能を有するようにSAPが担持されている領域である。第2低密度領域R12におけるSAPの分布密度は、保持領域R2におけるSAPの分布密度よりも低い。なお、第2低密度領域R12は、SAPを担持していなくてもよい。第2低密度領域R12におけるSAPの分布密度は、第1低密度領域R11におけるSAPの分布密度と同程度であってもよいし、異なってもよい。そして、コア側第1不織布S1は、第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2全体として予め設定された吸水性能を発揮する。
【0117】
本実施形態の第2低密度領域R12の形成位置についてさらに説明すると、第2低密度領域R12は、
図6Aに示すように、コア25の胴回り幅方向の中央部において、胴回り直交方向に沿って連続するように設けられている。保持領域R2は、第2低密度領域R12の胴回り幅方向の両側に隣接するように設けられている。
【0118】
第2低密度領域R12で保持されたSAPの量は、保持領域R2で保持されたSAPの量よりも少ない。そのため、第2低密度領域R12におけるコア25の柔軟性は、保持領域R2におけるコア25の柔軟性よりも高い。よって、コア25を体型に沿わせて変形させ易く、またコア25のごわついた感じを抑制できるため、着用物品1のフィット感を向上することができる。
【0119】
例えば、
図6A~
図6Dでは、第2低密度領域R12は、コア25の胴回り幅方向の中央部において胴回り直交方向に連続的に延びている。これにより、SAPの量が保持領域R2よりも少なく柔軟性が大きい第2低密度領域R12を基準としてコア25を屈曲させることにより、胴回り直交方向における第2低密度領域R12の形成範囲にわたってコア25を着用者の体型に沿うように変形させることができ、着用物品のフィット感を向上することができる。
【0120】
具体的に、第2低密度領域R12が胴回り幅方向の中央部に配置されているため、
図6Cに示すように、中央部の第2低密度領域R12を中心として、コア25を概ね対称に逆V字に折れ曲がった形状に変形させ易い。そのため、着用者が着用物品を着用したときに、後背部から股下部を介して前腹部まで延びるコア25は、着用者の股下部の形状に合わせて
図6Cに示すように変形する。したがって、着用物品1の着用感をさらに向上することができる。なお、コア25は、
図6Dに示すように、第2低密度領域R12を中心として、コア25を概ね対称にV字に折れ曲がった形状に変形させることもできる。この場合も股下部の間でコア25がかさばりにくく、着用物品1の着用感を向上することができる。
【0121】
また、第2低密度領域R12では保持領域R2と比較して尿等の吸収量が少ないため、尿等を第2低密度領域R12に沿って胴回り直交方向に拡散することができる。そのため、コア25は、第2低密度領域R12の胴回り幅方向の両側に隣接する保持領域R2を用いて、尿等を効果的に吸収することができる。
【0122】
より具体的に説明すると、
図6Aに示す第2低密度領域R12及び保持領域R2の配置においては、第2低密度領域R12は、コア25の胴回り幅方向の中央部に位置、つまり、股下部において尿等を受ける量の比較的多い位置に設けられている。よって、第2低密度領域R12及びそれに胴回り幅方向に隣接する保持領域R2に対して尿等が導かれる可能性が高い。そして、第2低密度領域R12及び保持領域R2に尿等が導かれると、当該第2低密度領域R12及びその周囲の保持領域R2において尿等を吸収させつつ、胴回り直交方向に沿って延びる第2低密度領域R12に沿って尿等を拡散させることができる。このとき、第2低密度領域R12に沿って拡散された尿等は、第2低密度領域R12及びそれに胴回り幅方向に隣接する保持領域R2においても吸収される。これにより、第2低密度領域R12が存在しない場合(SAPの密度が保持範囲の全体に亘って一定の場合)と比較して、尿等を拡散させることにより保持領域R2のより広い範囲を利用して尿等を迅速に吸収させることができる。したがって、尿等による肌面のべたつき感をより迅速に解消して不快感を和らげることができる。
【0123】
さらに、第2低密度領域R12を、保持領域R2におけるSAPの膨張のための領域として利用可能であるので、吸収体20の肌面への過度な密着を抑制することができる。よって、尿等による肌面のべたつき感をより迅速に解消して不快感を和らげることができる。
【0124】
また、以上の
図6A~
図6Dのコア25を有する着用物品1は、雄ファスナ12と雌ファスナ22とを係合させることにより胴回りに装着される。そして、吸収体20が股下部に密着された状態において、体液の吸収前においては、コア25の第2低密度領域R12の柔軟性により股下部への密着感を向上することができる。さらに、体液の吸収後においても、コア25の第2低密度領域R12によりSAPの膨張スペースを確保することができるため、当該コア25が肌面側に必要以上に膨張するのを抑制することができ、肌触りの良さを維持することができる。
【0125】
さらに、
図6A~
図6Dに示すコア25と、凹凸形状20aを有する表面シート24とを組み合わせて着用物品1を製造してもよい。この場合には、着用物品1は、吸収体20が股下部に密着された状態において、体液の吸収前においては、表面シート24の凹凸形状20a及びコア25の第2低密度領域R12により股下部への密着感を向上しつつ通気性及び肌触りを良好にすることができる。さらに、体液の吸収後においても、コア25の第2低密度領域R12によりSAPの膨張スペースを確保することができるため、当該コア25が肌面側に必要以上に膨張するのを抑制することができるとともに、表面シート24の凹凸形状20aにより通気性及び肌触りの良さを維持することができる。
【0126】
なお、第2低密度領域R12及び保持領域R2は、コア側不織布におけるSAPの担持量を調整して形成することに限定されない。例えば、保持領域R2の形成されたコア側不織布を分割するとともに分割された部分を幅方向に離間させることにより形成された空間を第2低密度領域R12として用いることもできる。あるいは、保持領域R2のコア側不織布の表面(起毛処理の施された面)を押圧し起毛状態にある繊維を押しつぶすことにより、SAPを保持する隙間を小さくした部分を第2低密度領域R12として用いることもできる。
【0127】
上記ではコア側第2不織布S2は低密度領域として第3低密度領域R13のみを有する。しかし、2枚のコア側不織布S1及びS2の両方が第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2を有していてもよい。例えば、コア側第1不織布S1は、コア側第1不織布S1の両端に設けられた第1低密度領域R11と、両第1低密度領域R11の間の第2低密度領域R12とを有する。同様にコア側第2不織布S2は、コア側第2不織布S2の両端に設けられた第3低密度領域R13と、両第3低密度領域R13の間の第2低密度領域R12とを有する。この場合、第1コア側不織布S1の第2低密度領域R12とコア側第2不織布S2の第2低密度領域R12とは平面視において異なる位置に配置されていてもよいし、平面視において重なる位置に配置されていてもよい。
【0128】
【0129】
図7Aに示す例において、第1低密度領域R11が保持領域R2の胴回り直交方向の両端部に対して胴回り直交方向に隣接して配置されるとともに、コア側第1不織布S1における胴回り幅方向の中央部には、複数の第2低密度領域R12が胴回り直交方向に沿って間欠的に設けられている。これにより、複数の第2低密度領域R12間の保持領域R2を堰として利用して、コア25における尿等の拡散範囲及び保持領域R2による吸収範囲を3つに大別することができる。
【0130】
また、コア側第1不織布S1の胴回り幅方向の中央部において、胴回り直交方向の両端部では、保持領域R2が第2低密度領域R12の胴回り直交方向に隣接して設けられている。つまり、コア側第1不織布S1において、第2低密度領域R12の胴回り直交方向の両端部が保持領域R2により閉じられている。これにより、保持領域R2を第2低密度領域R12に対する堰として利用することができる。したがって、
図7Aに示す構成によれば、尿等が第2低密度領域R12によって胴回り直交方向においてコア25の外側まで導かれるのを防止することができる。
【0131】
図7Bに示す例では、コア側第1不織布S1において、第1低密度領域R11が保持領域R2の胴回り直交方向の両端部に対して胴回り直交方向に隣接して配置されるとともに、胴回り幅方向の中央位置に設けられた
図6Aと同様の第2低密度領域R12に加えて、この第2低密度領域R12の胴回り幅方向の両側にそれぞれ第2低密度領域R12が設けられている。3つの第2低密度領域R12は、胴回り直交方向に互いに平行に延びている。追加された2本の第2低密度領域R12によって、コア25の表面に広がった尿等をコア25全体に亘って拡散し易くなり、さらに、コア25の胴回り直交方向の柔軟性も向上する。
【0132】
図7Cに示す例では、第1低密度領域R11が保持領域R2の胴回り直交方向の両端部に対して胴回り直交方向に隣接して配置されるとともに、コア側第1不織布S1の胴回り幅方向の中央位置に設けられた
図7Bに示す第2低密度領域R12が設けられていない。つまり、コア側第1不織布S1の胴回り幅方向の中央位置には保持領域R2が設けられており、この中央位置の胴回り幅方向の両側にそれぞれ第2低密度領域R12が設けられている。2つの第2低密度領域R12は、胴回り直交方向に互いに平行に延びている。2本の第2低密度領域R12によって、
図6Aに示す1本の第2低密度領域R12よりも尿等をコア25全体に亘って拡散し易くなり、さらに、コア25の胴回り幅方向の柔軟性も向上する。
【0133】
また、
図7A、
図7Bに示す例においても、
図6Aに示す例と同様に、第2低密度領域R12が配置された胴回り幅方向の中央部を中心として、コア25を概ね対称にV字又は逆V字に折れ曲がった形状に変形させ易い。また、
図7Cに示す例においても、胴回り幅方向の中央部から離隔した2本の第2低密度領域R12が設けられていることにより、コア25を概ね対称にU字又は逆U字に折れ曲がった形状に変形させ易い。
【0134】
さらに、第2低密度領域R12の延びる方向は、胴回り直交方向に限られない。例えば、第2低密度領域R12は、コア25において胴回り幅方向に沿い、かつ保持領域R2により胴回り幅方向に挟まれていてもよい。例えば、股下に第2低密度領域R12を胴回り幅方向に沿って配置すると、尿等を第2低密度領域R12に沿って胴回り幅方向に拡散させて、その第2低密度領域R12に隣接する保持領域R2にも吸収させることができる。また、第2低密度領域R12における胴回り幅方向の端部には保持領域R2が隣接しているため、保持領域R2を堰として利用することができる。したがって、尿等が第2低密度領域R12によってコア25の胴回り幅方向の外側まで導かれるのを防止することができる。
【0135】
また、第2低密度領域R12は、胴回り直交方向に沿って延びる部分と、胴回り幅方向に沿って延びる部分と、を有していてもよい。例えば、第2低密度領域R12は、コア25の胴回り幅方向の中央部において胴回り直交方向に沿って延びる部分と、胴回り直交方向に延びる部分から胴回り幅方向に分岐する部分と、を有していてもよい。これにより、第2低密度領域R12に沿って胴回り直交方向にも胴回り幅方向にも尿等を拡散させ、迅速に尿等を保持領域R2に吸収させることができる。
【0136】
さらに、SAPの分布密度の異なる領域は、低密度領域R11、R12、R13と、及び保持領域R2、R3とに限られない。例えば、保持領域R2を基準として、SAPの分布密度が0~保持領域R2でのSAPの分布密度までの間の分布領域から選択されたそれぞれ分布密度が異なる複数の領域をコア25に設けてもよい。
【0137】
また、上記では2枚のコア側不織布の両方がSAPを担持しているが、いずれか一方のコア側不織布のみがSAPを担持し、残りのコア側不織布はSAPを担持していなくてもよい。さらには、フラッフパルプを含んでいてもよい。
【0138】
なお、例えば、
図5A~
図5Cのコア25において、コア25は、フラッフパルプを含むコア側不織布が着用者の肌面側に配置され、
図5A~
図5Cに示すコア側第1不織布S1が肌面側とは反対側に配置されてもよい。この場合、肌面側のコア側不織布のフラッフパルプによりSAPよりも早く体液が吸収され、反対側のコア側第1不織布S1のSAPによりフラッフパルプが吸収した体液がさらに吸収される。
図6A~
図6D、
図7A~
図7Cのコア25においても前述と同様に、フラッフパルプを含むコア側不織布が上層に配置され、
図6A~
図6D及び
図7A~
図7Cに示すコア側第1不織布S1が下層に配置されてもよい。
【0139】
また、コア側不織布におけるSAPの担持方法は、SAPを担持するための隙間を形成するために起毛されたコア側不織布の繊維層にSAPを担持させる方法に限られない。例えばコア側不織布の表面に接着剤を塗布し、塗布された接着剤に対してSAPを散布してコア側不織布の表面にSAPを配置してもよい。この場合、低密度領域R11、R12、R13のために塗布された接着剤の単位面積当たりの量は、保持領域R2、R3のために塗布された接着剤の単位面積当たりの量よりも少ない。他に、起毛されたコア側不織布の繊維層にSAPを散布するとともに、SAPを散布する面とは反対側の面から吸引することにより、コア側不織布の繊維層内にSAPを担持させてもよい。
【0140】
また、コア25を形成するコア側不織布の枚数は2枚に限定されず、1枚のコア側不織布から形成されていてもよい。
【0141】
裏面シート26は、
図4等に示すように、胴回り直交方向に延びる長方形状の帯状のシートである。また、裏面シート26は、コア25の肌面側を向く面とは反対の外面に設けられ、表面シート24との間でコア25を挟持する。裏面シート26は、コア25に面する液不透過性シート26aと、液不透過性シート26aのコア25を向く面と反対の外面を覆う外層シート26bと、を有する。
【0142】
液不透過性シート26aは、撥水性を有しており、尿等を透過させない帯状のシートである。液不透過性シート26aは、例えばポロプロピレン、ポリエチレン等からなる不織布により形成される。液不透過性シート26aは、通気性を有することが好ましい。
【0143】
コア25は、コア25が液不透過性シート26aの胴回り幅方向及び胴回り直交方向の範囲内に収まるように配置された状態で、液不透過性シート26aに接合されている。このように液不透過性シート26aがコア25の肌面側を向く面と反対の外面に設けられているため、コア25において尿等が吸収しきれない場合であっても、液不透過性シート26aの外部に尿等が流出するのを抑制することができる。
【0144】
液不透過性シート26aは、
図4に示す例では、長方形状である。しかし、液不透過性シート26aには、平面視において、液不透過性シート26aの胴回り幅方向の両縁部における胴回り直交方向の中央位置に、脚周り曲線部が形成されてもよい。脚周り曲線部は、着用者の脚の周囲に隙間なく液不透過性シート26aを配置するために、前記両縁部を胴回り幅方向に窪ませて形成されている。
【0145】
レッグギャザー31は、着用者が着用物品1を着用した場合に脚の付け根に対応する弾性部材である。レッグギャザー31は、液不透過性シート26aの胴回り幅方向の両縁のそれぞれに沿って、液不透過性シート26aの胴回り直交方向の概ね全体に設けられている。レッグギャザー31は、液不透過性シート26aと表面シート24との間に胴回り直交方向に伸長状態で配置され、液不透過性シート26a及び表面シート24の少なくとも一方と接合される。当該接合は、ホットメルト接着剤を用いた接着やヒートシールによる溶着を用いることもできるが、超音波溶着が好ましい。このようなレッグギャザー31が設けられていることにより、吸収体20の両縁部が脚の付け根に直接に当接する場合に比べて、柔らかな感触を脚の付け根に与えることができ、着用物品1の着用感がより向上する。
【0146】
なお、レッグギャザー31は、液不透過性シート26aと外層シート26bとの間に配置され、これらの少なくとも一方と接合されていてもよい。
【0147】
吸収体弾性部材21は、液不透過性シート26aの胴回り直交方向における自由端(胴回り部材10と反対側の端部)に設けられているとともに、胴回り幅方向に伸縮可能な弾性を有する。よって、この液不透過性シート26aを有する吸収体20における、胴回り部材10と接合される側とは反対側の先端部は、胴回り幅方向に伸縮可能である。また、前述の通り、胴回り部材10もまた、胴回り弾性部材11により胴回り幅方向に伸縮可能である。これにより、着用者の胴回りの長さに応じて胴回り部材10及び吸収体20の先端部の両方が胴回り幅方向に伸縮可能となるため、胴回り部材10の雄ファスナ12と吸収体20の雌ファスナ22との係合位置の選択の自由度が大きい。よって、着用物品1のフィット感を向上させることができる。
【0148】
なお、吸収体弾性部材21は必須の構成ではない。吸収体弾性部材21を省略した場合であっても、胴回り部材10が胴回り幅方向に弾性を有しているため、着用物品1のフィット感を向上させることができる。
【0149】
外層シート26bは胴回り直交方向に延びるとともに不織布により形成されたシートであり、液不透過性シート26aを外面側から覆った状態で、液不透過性シート26aの肌面側を向く面と反対の外面に取り付けられている。そのため、着用物品1の外側からの見栄え、及び着用物品1の肌触りを向上させることができる。外層シート26bは、
図4等に示す例では、長方形状である。しかし、外層シート26bには、平面視において、外層シート26bの胴回り幅方向の両縁部における胴回り直交方向の中央位置に、脚周り曲線部が形成されていてもよい。この場合、脚周り曲線部は、着用者の脚の周囲に隙間なく外層シート26bを配置するために、前記両縁部を胴回り幅方向に窪ませて形成されている。
【0150】
前述の通り、液不透過性シート26a及び外層シート26bには、脚周り曲線部を設けることができる。さらに、前述の通り胴回り部材10の脚の付け根側の下縁には脚周り曲線部15bが設けられている。この場合には、
図1、
図2に示すように、胴回り部材10の雄ファスナ12と吸収体20の雌ファスナ22とを係合して着用物品1を組み立てることにより、これら液不透過性シート26a及び外層シート26bの脚周り曲線部、胴回り部材10の脚周り曲線部15bによって、脚の付け根の全周に沿って配置される曲線状のレッグホールを形成することができる。
【0151】
また、レッグホールの周縁部は、レッグギャザー31と、脚周り曲線部15bの近傍に配置されている胴回り弾性部材11とにより、脚の付け根に対し全周にわたり弾性的に密着する。これにより、着用感を向上することができる。
【0152】
雌ファスナ22は、胴回り直交方向において外層シート26bの胴回り部材10とは反対側の先端部における外面に設けられている。雌ファスナ22は、外層シート26bの先端部において、胴回り幅方向の概ね全体に亘って設けられている。雌ファスナ22の胴回り直交方向の長さは、例えば、雄ファスナ12の胴回り直交方向の長さと同程度であってもよいし、雄ファスナ12の胴回り直交方向の長さよりも長くてもよい。
【0153】
このように雌ファスナ22が、外層シート26bの先端部の胴回り幅方向の概ね全体に亘って設けられている。よって、胴回り部材10を胴回り幅方向に伸縮させることにより、雄ファスナ12を雌ファスナ22における胴回り幅方向の任意の位置に係合でき、係合位置の選択の自由度が大きい。そのため、着用者それぞれの胴回りの長さに応じて胴回り部材10と吸収体20との係合位置を調整し易く、またフィット感を向上することができる。
【0154】
インジケータ50は、コア25による尿等の吸収量に応じて変色し、着用者から排尿があったことを示す。インジケータ50は、外層シート26bの肌面側を向く面で、外層シート26bの胴回り幅方向の中央部において胴回り直交方向に延びている。インジケータ50としては、例えば、尿等の吸収量に応じて変色する接着剤が用いられている。
【0155】
また、立体ギャザー40は、
図4に示すように、表面シート24の肌面側を向く面に設けられている。立体ギャザー40は、一対の立ち上がりフラップ42と、立ち上がりフラップ42にそれぞれ設けられた立体ギャザー弾性部材41と、を有する。立ち上がりフラップ42は、胴回り直交方向に延びるととともに表面シート24の胴回り幅方向の両縁部にそれぞれ接合されている。具体的に、各立ち上がりフラップ42の胴回り幅方向の一方の縁部(例えば、右側の縁部)が表面シート24の一方の縁部(例えば、右側の縁部)に接合されている。各立体ギャザー弾性部材41は、立ち上がりフラップ42の胴回り幅方向の他方の縁部(例えば、左側の縁部)に対して伸長状態で接合されている。吸収体20が着用者の股下部に沿って胴回り直交方向に湾曲した状態において、各立ち上がりフラップ42の胴回り幅方向の他方の縁部(例えば、左側の縁部)が立体ギャザー弾性部材41の付勢力により縮められることにより、各立ち上がりフラップ42は、表面シート24に対して立ち上がる。着用時において、立ち上がりフラップ42は、後背部、股下部、前腹部等に弾性的に密着する。よって、着用物品1の外部に尿等が流出するのを抑制することができる。
【0156】
なお、雌ファスナ22の胴回り幅方向及び胴回り直交方向の長さは、着用時に胴回り部材10と吸収体20とが展開されないように雄ファスナ12に対して係合可能な係合力が得られるように設定されていればよい。例えば、雌ファスナ22は、外層シート26bの先端部において、胴回り幅方向の中央部にのみ設けられていてもよいし、胴回り幅方向の両側部に2分割されて設けられていてもよい。
【0157】
また、胴回り部材10と吸収体20とを係合できればよく、胴回り部材10に雌ファスナ22を設け、吸収体20に雄ファスナ12を設けることもできる。
【0158】
また、裏面シート26は、液不透過性シート26aのみから形成されていてもよい。
【0159】
また、表面シート24とコア25との間に、トランスファーシート(図示せず)を介在させても良い。このトランスファーシートは、コア25の表面に沿って尿等を速やかに拡散させるとともに、コア25に吸収された尿等が表面シート24から漏れ出すのを防止するものである。
【0160】
このようなリファスナブルタイプの着用物品1では、吸収体20が胴回り直交方向に二つ折りにされ、かつ、胴回り部材10において接合部10bに対して両側に位置する両側部10aが胴回り幅方向に折られた状態で雄ファスナ12と雌ファスナ22とが互いに係合している。これにより、上記のリファスナブルタイプの着用物品1は、初期の状態で雄ファスナ12に対して雌ファスナ22が係合されているため、パンツ型の形態となっており、着用者はパンツのように着用物品を装着可能である。
【0161】
また、雄ファスナ12と雌ファスナ22との係合を解除することにより、所定の展開形態に展開可能である。展開形態においては、胴回り部材10の接合部10bに配置された吸収体20に対して、胴回り部材10の両側部10aが突出している。この両側部10aを着用者の胴回りに沿わせて吸収体20の先端部に向かわせ、着用者の股下部に沿って配置された吸収体20の裏面シート26に当接させることができる。そして、胴回り部材10の胴回り幅方向の両端部10cの雄ファスナ12を裏面シート26の雌ファスナ22に係合させて胴回りでリファスナブルタイプの着用物品1を支持することにより、吸収体20が引き上げられ、当該吸収体20が着用者の股下部に密着する。
【0162】
また、折り畳むことによりコンパクトとなり、複数の着用物品1を梱包、収納等に適した形態とすることができる。
【0163】
<リファスナブルタイプの着用物品の製造方法>
上記のリファスナブルタイプの着用物品1の製造方法について以下に説明する。
【0164】
以下の各工程において、MD(Machine Direction)方向Aはシート等の搬送方向であり、CD(Cross Direction)方向Wは長さ方向Aと概ね直交する方向である。
【0165】
(1)工程1~工程2
図8、
図9、
図17に示すように、工程1~工程2は、複数の胴回り本体16が連続する胴回り連続体を
図9に示すように横流れ状態で製造する工程の一例である。
図9の横流れ状態において、MD方向Aは胴回り幅方向と一致し、CD方向Wは胴回り直交方向と一致する。
【0166】
(工程1)
工程1では、複数の外側シート15が連続する外側シート15の連続体がMD方向Aに搬送されるとともに(
図17A参照)、外側シート15の連続体上に胴回り弾性部材11がMD方向Aに沿って直線状に配置される(
図17B参照)。胴回り弾性部材11は、外側シート15の上端縁に対して間隔を空けた下側において、互いに胴回り直交方向に間隔を空けて配置される。
【0167】
次いで、
図9及び
図17Cに示されるように、複数の内側シート14の連続する内側シート14の連続体がMD方向Aに搬送され、胴回り弾性部材11を上部から覆うように内側シート14の連続体が外側シート15の連続体上に配置される。
図9に示すように、内側シート14の連続体は、外側シート15の上側を露出した状態に位置決めされて外側シート15の連続体を覆いつつ接合される。これにより、外側シート15が露出された部分により延出部15cが形成される。
【0168】
上記では、胴回り弾性部材11は、外側シート15の連続体上にMD方向Aに沿って直線状に配置されている。しかし、胴回り弾性部材11のうち、内側シート14の下端縁に配置される胴回り弾性部材11は、後述の工程8において形成される脚周り曲線部15bの曲線に沿うように曲線状に配置されていてもよい。例えば、内側シート14の下端縁に配置される胴回り弾性部材11は、MD方向Aに対し蛇行する略正弦波の軌跡に沿って外側シート15上に配置されてもよい。
【0169】
そして、胴回り弾性部材11は伸長状態で外側シート15の連続体と内側シート14の連続体とに挟み込まれ、外側シート15の連続体及び内側シート14の連続体の少なくとも一方に接合される。なお、接合手段としては、ホットメルト接着剤を用いた接着やヒートシールによる溶着を用いることもできるが、超音波溶着が好ましい。
【0170】
(工程2)
工程2では、外側シート15の連続体及び内側シート14の連続体において、吸収体20が配置される弱化部分15a1及び雄ファスナ12が配置される弱化部分15a2における胴回り弾性部材11に対して弱化処理が施される。弱化処理は、後述のように所定部位における弾性部材に対する刃を用いた切断あるいは熱を加えることによる溶断等より、所定部位における弾性を所定部位と隣接する部分よりも弱く、又は無効化するための処理である。具体的に、上記弱化処理によって弱化部分15a1、15a2の弾性力は、弱化部分15a1、15a2に対して胴回り幅方向(
図9のMD方向A)に隣接する部分の弾性力よりも弱くなる。
【0171】
弱化処理としては、例えばエンボスロール(ヒートエンボス)を用いて胴回り弾性部材11を溶融させる方法(特開2002-113042号公報参照)、あるいは、ギャザーカッター60(
図8参照)で胴回り弾性部材11をカットする方法を採用することができる。
【0172】
なお、弱化処理は、後述する吸収体20を取付ける工程8までの間に実行されればよい。
【0173】
(2)工程3~工程7
工程3~工程7は、吸収体20を
図10に示すように縦流れ状態で製造する工程の一例である。
図10の縦流れ状態において、MD方向Aは胴回り直交方向と一致し、CD方向Wは胴回り幅方向と一致する。
【0174】
(工程3)
工程3では、複数の表面シート24が連続する表面シート24の連続体と複数の立体ギャザー40が連続する立体ギャザー40の連続体とを組み合わせた表面シート仕掛品が形成される。
【0175】
図8、
図10、
図18において、複数の立ち上がりフラップ42が連続する立ち上がりフラップ42の連続体を形成するための不織布性のシートは、MD方向Aに連続送りされ、スリッター62によりMD方向Aに切断される(
図18A参照)。切断された一対の帯状の立ち上がりフラップ42の連続体はCD方向Wに一定の間隔W2で拡幅される(
図18B参照)。ついで、立体ギャザー弾性部材41が、一対の立ち上がりフラップ42の連続体それぞれの内縁部(CD方向Wにおいて一方の立ち上がりフラップ42の連続体において他方の立ち上がりフラップ42の連続体に近い方の縁部)にMD方向Aに伸長状態で配置される(
図18C参照)。
【0176】
立ち上がりフラップ42の連続体の立体ギャザー弾性部材41が配置された内縁部は、
図18Dに示されるように、セーラー63により立体ギャザー弾性部材41が立ち上がりフラップ42の内側に挟み込まれるように折り返される。これにより内曲げ部40aが形成される。この際、立体ギャザー弾性部材41は、MD方向Aに伸長状態で内曲げ部40a内に挟み込まれた状態で立ち上がりフラップ42の連続体に、ホットメルト接着剤を用いた接着、ヒートシールによる溶着及び超音波溶着等により接合される。これにより立体ギャザー40の連続体が製造される。
【0177】
その後、MD方向Aに連続送りされる表面シート24の連続体のCD方向Wの両外縁部に、立体ギャザー40の連続体の外縁部40b(CD方向Wにおいて一方の立ち上がりフラップ42の連続体において他方の立ち上がりフラップ42の連続体から遠い方の縁部)がホットメルト接着剤を用いた接着、ヒートシールによる溶着及び超音波溶着等により接合され、表面シート仕掛品が製造される(
図18E参照)。
【0178】
次に、表面シート24の連続体の製造方法について説明する。まず、表面シート24の連続体の製造装置85の構成について説明する。
【0179】
図11は、製造装置85の概略図である。
図11に示すように、製造装置85は、互いに隣接して配置された第1及び第2ロール92、94と、第1ロール92に隣接して配置された接合装置100と、を備えている。
【0180】
第1ロール92は、円筒状の外周面92sに、外周面92sから径方向内側に窪むとともに、後述の複数の凸部94aと噛み合う複数の凹部92aを有している。第2ロール94は、円筒状の外周面94sに、外周面94sから径方向外側に突出する複数の凸部94aを有している。凸部94aの形状は、例えば、突出先端が半球面である半球面状であり、その他、例えば直方体状、円筒状、角錐台状などであっても構わない。第1及び第2ロール92、94は、矢印92r、94rで示すように互いに逆方向に回転する。第1ロール92の凹部92aと第2ロール94の凸部94aとは、噛み合い領域93において互いに噛み合う。より詳細には、凹部92aと凸部94aとが噛み合い領域93において両者の間に隙間が形成された状態、すなわち互いに非接触の状態で噛み合うように、第1及び第2ロール92、94は回転している。
【0181】
接合装置100は超音波シール装置であり、複数の表面側第1不織布24aが連続する表面側第1不織布24aの連続体、及び、複数の表面側第2不織布24bが連続する表面側第2不織布24bの連続体の2枚を接合することにより表面シート24の連続体を製造する。接合手段としては、ホットメルト接着剤を用いた接着やヒートシールによる溶着を用いることもできるが、超音波溶着が好ましい。超音波溶着を用いる場合、接着剤やヒートシールを用いた場合と比較して、表面シート24のごわつきが抑制されるので好ましい。
【0182】
製造装置85を用いることにより、表面側第1不織布24aの連続体、及び、表面側第2不織布24bの連続体を重ねて凹凸形状20aを形成することができる。さらに、製造装置85を用いることにより、表面側第1不織布24aの連続体の凹凸形状20aを維持した状態で、かつ、表面側第2不織布24bの連続体の起伏が表面側第1不織布24aの連続体の凹凸形状20aよりも緩やかになるように、表面側第2不織布24bの連続体に張力をかけた状態で表面側第1不織布24aの連続体と表面側第2不織布24bの連続体とを接合することができる。このような表面シート24の連続体の製造方法についてさらに説明する。
【0183】
図11、
図12Aに示すように、表面側第1不織布24aの連続体は、表面側第2不織布24bの連続体に先立って第1ロール92の外周面92sに巻き掛けられる。第1ロール92の凹部92aは負圧源に接続されているため、表面側第1不織布24aの連続体は、第1ロール92の外周面92sに沿って吸着保持される。次いで、表面側第2不織布24bの連続体は、噛み合い領域93又はこれより少し上流の位置において表面側第1不織布24aの連続体を介して第1ロール92の外周面92sに巻き掛けられる。つまり、表面側第2不織布24bの連続体は、噛み合い領域93又はこれより少し上流の位置において表面側第1不織布24aの連続体の外側に重ねられる。上記のように表面側第1不織布24aの連続体、及び、表面側第2不織布24bの連続体が第1ロール92の外周面92sに巻き掛けられるように表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体は、矢印B、C(
図11)で示す方向に沿って第1ロール92に導かれる。
【0184】
表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体において凹部92aを覆っている部分24a1、24b1は、噛み合い領域93において重ねられた状態で凸部94aによって凹部92aに押し込まれる。これにより、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体には、凹部92aに押し込まれた部分24a2、24b2が形成される(
図12A、
図12B参照)。つまり、重ねられた表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体には、複数の部分24a2、24b2が形成されることによって凹凸形状20aが形成される。
【0185】
上記のように、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体は、噛み合い領域93において重ねられ、噛み合い領域93よりも下流側(
図12A~
図12Cにおいて右側)において接合装置100によって接合される。このように、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体が重ねられることにより両連続体間に生じる摩擦抵抗によって両連続体の相対移動が抑制される。さらに、前記接合によって表面側第1不織布24aの連続体と表面側第2不織布24bの連続体との相対移動が規制される。一方、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体は、噛み合い領域93の上流側(
図12A~
図12Cにおいて左側)においては
図11に示すように非接触かつ非接合の状態で搬送されている。よって、噛み合い領域93の上流側において、表面側第1不織布24aの連続体と表面側第2不織布24bの連続体との相対移動は、許容されている。このため、表面側第1不織布24aの連続体と表面側第2不織布24bの連続体との相対移動は、噛み合い領域93の下流側と比較して上流側の方が生じ易い。
【0186】
図12Bに示すように、凹部92aに噛み合っている凸部94aは、第1ロール92の回転に応じて、凹部92aから徐々に抜け出る。上述のように凹部92a内の空気が吸引されている。したがって、凸部94aが凹部92a内に挿入されることにより、表面側第1不織布24aの連続体の複数の部分24a2が凹部92aに留まって賦形される。一方、表面側第2不織布24bの連続体の部分24b2は、
図12Cに示すように、凸部94aが凹部92aから徐々に抜け出るにつれて表面側第2不織布24bの連続体に与えられた張力により引っ張られることにより凹部92aから引き出される。したがって、表面側第2不織布24bの連続体に形成される起伏は、表面側第1不織布24aの連続体に形成される凹凸形状よりも緩やかになる。
【0187】
凸部94aが凹部92aから完全に抜け出ると、表面側第2不織布24bの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24b2は、当該表面側第2不織布24bの連続体に与えられた張力により凹部92aから完全に引き出される。したがって、表面側第2不織布24bの連続体に形成される起伏は、表面側第1不織布24aの連続体に形成される凹凸形状20aよりも緩やかになる。一方、表面側第1不織布24aの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24a2は、上記のように凹部92a内に留まるため、表面側第1不織布24aの連続体のみに凹凸形状20aが形成される。
【0188】
上述のように表面側第1不織布24aの連続体のみに凹凸形状20aを形成するために、表面側第2不織布24bの連続体に与えられている張力T2は、表面側第1不織布24aの連続体に与えられている張力T1よりも大きく(T1<T2)設定されている。これにより、表面側第2不織布24bの連続体の部分24b2は、凸部94aが凹部92aから抜け出ることに応じて、表面側第1不織布24aの連続体に対して相対的な移動を伴いながら凹部92aから引き出される。よって、表面側第1不織布24aの連続体には凹凸形状20aが形成される一方、表面側第2不織布24bの連続体には、表面側第1不織布24aの連続体の凹凸形状20aと比較して緩やかな起伏が形成される(本実施形態では、概ね平坦な表面側第2不織布24bの連続体が形成される)。
【0189】
なお、
図11に示すように、表面側第1不織布24aの連続体は、噛み合い領域93の上流側の位置において第1ロール92の外周面92sと接触し、かつ、凹部92a内に吸い込まれた状態で搬送されている。これにより、表面側第1不織布24aの連続体の噛み合い領域93の上流側の部分から接合装置100までの間の部分と第1ロール92との間には摩擦力が生じている。そのため、表面側第1不織布24aの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24a2は、凸部94aが凹部92aから抜け出ても、上記摩擦力によって凹部92aに留まり易い。したがって、表面側第1不織布24aの連続体に凹凸形状20aを効果的に形成することができる。
【0190】
一方、上述のように、表面側第2不織布24bの連続体は、噛み合い領域93又はこれよりも少し上流の位置において表面側第1不織布24aの連続体を介して第1ロール92の外周面92sに巻き掛けられる。つまり、表面側第2不織布24bの連続体は、噛み合い領域93の上流側の位置において、表面側第1不織布24aの連続体、第1ロール92及び第2ロール94に対して非接触の状態で搬送されている。よって、表面側第2不織布24bの連続体の噛み合い領域93の上流側の部分には、表面側第1不織布24aの連続体、第1ロール92及び第2ロール94に対する摩擦力が生じていない。そのため、表面側第2不織布24bの連続体の噛み合い領域93の上流側の部分は、表面側第1不織布24aの連続体及び第1ロール92に対して容易に相対移動可能である。したがって、表面側第2不織布24bの連続体の部分24b2を凹部92aから引き出すために、張力T2によって表面側第2不織布24bの連続体の噛み合い領域93の上流側への移動を促すことができる。
【0191】
また、
図12Bに示されるように、表面側第1不織布24aの連続体と凸部94aとの間には表面側第2不織布24bの連続体が介在しているため、表面側第1不織布24aの連続体は、凸部94aと接していない。これにより、表面側第1不織布24aの連続体と凸部94aとの間には摩擦力が生じていないため、凸部94aが凹部92aから抜け出るときに、表面側第1不織布24aの連続体が凸部94aに追従するのを抑制することができる。そのため、表面側第1不織布24aの連続体に与えられる張力T1を極めて小さく設定しても、表面側第1不織布24aの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24a2を凹部92a内に留めることができる。一方、表面側第2不織布24bの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24b2は、凸部94aと接触しているため、凸部94aが凹部92aから抜け出るときに、表面側第2不織布24bの連続体が凸部94aに追従し易い。したがって、張力T2に相まって表面側第2不織布24bの連続体の部分24b2を凹部92aから効率的に引き出すことができる。
【0192】
以上のように、第1及び第2ロール92、94は、第1及び第2ロール92、94の間で表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体を挟み込んだ状態で回転する。この回転に伴い順次に複数の凸部94aと複数の凹部92aとが噛み合うことにより、表面側第1不織布24aの連続体には、複数の隆起した部分24a2が間欠的に形成される。これにより、表面側第1不織布24aの連続体には、凹凸形状20aが形成される。一方、表面側第2不織布24bの連続体は、上述のように張力T2により凹部92aから引き出されることにより概ね平坦面状に形成される。
【0193】
次いで、前記凹凸形状20aを有する表面側第1不織布24aの連続体における肌面側を向く面と反対の外面に対し、概ね平坦面状を有する表面側第2不織布24bの連続体が接合される。具体的には、表面側第1不織布24aの連続体の凹部と表面側第2不織布24bの連続体とが接合される。表面側第1不織布24aの連続体と表面側第2不織布24bの連続体との接合は、第1ロール92と接合装置100の超音波ホーンとの間を表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体を通過させることで行われる。これにより、表面シート24の連続体が形成される。表面シート24の連続体は、矢印D(
図11)で示すように第1ロール92から分離され、後工程へと搬送される。
【0194】
上記の製造方法によれば、互いに接合する表面側第1不織布24a及び表面側第2不織布24bを重ねた状態で2枚の不織布に同時に凹凸形状20aを形成する。そして、凹凸形状20aが形成された2枚の不織布のうち、表面側第2不織布24bの起伏が緩やかになるように表面側第2不織布24bに張力をかけた状態で、表面側第1不織布24aの凹凸形状20aを維持しつつ、表面側第1不織布24aに表面側第2不織布24bを接合する。よって、表面側第1不織布24aに凹凸形状20aを形成する工程と、起伏が緩やかな表面側第2不織布24bを形成する工程とを別々に行い、これらの工程を経た表面側第1不織布24aと表面側第2不織布24bとを重ね合わせる工程をさらに行う場合と比較して、工程及び製造装置を簡易にすることができる。つまり、上記の製造方法によれば、例えば表面側第1不織布24a及び表面側第2不織布24bに対して同一のラインで異なる起伏形状を形成することができ、表面側第1不織布24aを製造するライン及び表面側第2不織布24bを製造するラインを別々に設ける場合と比較してライン数を削減することができ、また別々のラインを合流させる構成を省略することができる。
【0195】
上記では、表面側第1不織布24aの連続体のみが凹凸形状20aを有する表面シート24の連続体が形成される。これとは異なり、次のような製造工程により、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体の両方が凹凸形状を有する表面シート24の連続体を形成してもよい。具体的に、噛み合い領域93を通過した後において、表面側第2不織布24bの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24b2の一部又は全部が凹部92aに留まるように表面側第2不織布24bの連続体の張力を調整することができる。これにより、表面側第2不織布24bの連続体の凹部92aに押し込まれた部分24b2の一部又は全部を凹部92aに留めることができる。このようにすれば、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体の両方が賦形され、かつ、凹凸形状を有する表面シート24の連続体を形成することができる。この場合、表面側第1不織布24aの連続体を賦形するためのロールとは別に、表面側第2不織布24bの連続体を賦形するためのロールを準備する必要がない。
【0196】
さらに別の形態として、表面側第2不織布24bの連続体に加えて、又はこれに代えて、凸部94aと凹部92aとの噛み合い時に塑性変形する部材を適用することもできる。このようにすれば、噛み合い領域93を通過するときに表面側第2不織布24bの連続体又は塑性変形する部材が塑性変形するため、この塑性変形された部分によって表面側第1不織布24aの連続体を凹部92a内に留めることができる。よって、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体の両方が賦形され、表面側第1不織布24aの連続体及び表面側第2不織布24bの連続体に凹凸形状を形成することができる。
【0197】
なお、上記の工程において、少なくとも第1ロール92の凹部92a内が表面側第1不織布24aの連続体の融点よりも低い温度で加熱されてもよい。これにより、表面側第1不織布24aの連続体をより確実に賦形することができる。例えば、第1ロール92の内部にヒーターを設けることにより、凹部92aのまわりを加熱することができる。第1ロール92の加熱に加えて、又は、代えて第2ロール94(特に凸部94aのまわり)を表面側第1不織布24aの連続体の融点よりも低い温度で加熱することもできる。
【0198】
上記とは異なり、平坦面状の表面側第1不織布24aを表面シート24の連続体として用いることができる。
【0199】
(工程4)
工程4では、複数のコア25が連続するコア25の連続体を形成するとともに、コア25の連続体を用いてコア25を製造する。コア25の連続体及びコア25の製造方法について
図13~
図15を用いて説明する。
【0200】
上記の着用物品1では、コア25の連続体は、複数のコア側第1不織布S1が連続するコア側第1不織布S1の連続体、及び、複数のコア側第2不織布S2が連続するコア側第2不織布S2の連続体の2枚を積層することにより形成されている。そして、コア側第1不織布S1の連続体は、
図5A~
図5Cの例では、SAPを保持する保持領域R2と、保持領域R2よりも低密度のSAPを保持する第1低密度領域R11とが形成されるようにSAPを保持させることにより製造される。
図6A~
図7Cの例では、コア側第1不織布S1の連続体は、保持領域R2と、第1低密度領域R11と、第2低密度領域R12とが形成されるようにSAPを保持させることにより製造される。このようなコア25の連続体の製造方法について以下に説明する。上述したが、コア25の連続体は1枚のコア側不織布の連続体から形成することもできる。
【0201】
コア25の連続体の製造装置は、
図13に示すように、第1及び第2ユニットU1、U2と、積層ローラRと、制御装置Cと、積層コンベヤC3と、第3塗布器96と、第4塗布器97と、フォルダ98と、一対の圧接ローラ99と、を備えている。第1及び第2ユニットU1、U2は、互いに同様の構造を有し、積層ローラRの中心軸を含む面を基準として概ね面対称に配置されている。
【0202】
第1ユニットU1は、第1コンベヤC1と、起毛ローラ90と、第1塗布器91と、第1散布装置71と、第1コンベヤC1に設けられた負圧ケース79と、を含む。第2ユニットU2は、第2コンベヤC2と、起毛ローラ90と、第1塗布器91と、第2塗布器95と、第2散布装置72と、第2コンベヤC2に設けられた負圧ケース79と、を含む。制御装置Cは、第1及び第2ユニットU1、U2の両方を駆動制御することにより、2枚のコア側不織布S1、S2の連続体を積層し、これによりコア25の連続体を製造する。なお、コア25の連続体が1枚のコア側不織布の連続体から形成されている場合、制御装置Cは、両2ユニットU1、U2のうちの一方の駆動を制御すればよい。
【0203】
本実施形態では、コア25の連続体は、コア側第1不織布S1の連続体と、コア側第2不織布S2の連続体と、を有する。コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体は、ベースとなる拡散層81と、拡散層81に積層された短繊維層82と、を備えている(
図14、
図15参照)。短繊維層82は、短繊維で形成された不織布の層であり、例えばエアスルー加工された不織布の層である。かかる不織布層は、短繊維を並べて、これらに熱風を吹き付けることにより形成することができ、エアレイド不織布とも称される。一方、拡散層81は、短繊維層82よりも小さな厚みを有し、短繊維層82よりも高い繊維密度を有する。この拡散層81は、面方向の拡散性が高く液体を広範囲に浸透させることができる。
【0204】
コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体は、起毛ローラ90に供給される。起毛ローラ90は、多数の歯が形成された外面を有するローラで、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の搬送速度よりも遅い周速度で回転する。このように搬送速度と周速度とに速度差を設定することにより、起毛ローラ90は、
図15Aに示すコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の短繊維層82を
図15Bのように起毛させることができる。搬送速度と周速度との間の速度差は、必ずしも同方向における速度差に限定されず、搬送方向と回転方向とが逆方向の場合の速度差も含む。上記起毛により、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の短繊維層82は、
図15Aに示す伏せた状態から
図15Bに示すように起毛された状態となる。その結果、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の嵩密度は小さくなり、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の厚みが大きくなる。つまり、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体には、上記起毛により、SAP80を担持するための隙間が形成される。
【0205】
図13に示すように、搬送方向における起毛ローラ90と後述の第1及び第2コンベヤC1、C2との間には、それぞれ、SAP80をコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体に担持させるための接着剤を塗布する第1塗布器91が設けられている。コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の起毛された短繊維層82の表面には、第1塗布器91により接着剤が塗布される。
【0206】
接着剤の塗布の後、コア側第1不織布S1の連続体は、第1コンベヤC1の平坦な第1傾斜面F1に沿って、負圧ケース79が供給する負圧によって吸引されながら搬送される。コア側第2不織布S2の連続体は、第2コンベヤC2の第1傾斜面F1とは反対の傾きを有する平坦な第2傾斜面F2に沿って、負圧ケース79が供給する負圧によって吸引されながら搬送される。
【0207】
図13の第1及び第2散布装置71、72のそれぞれは、第1傾斜面F1に沿って搬送されているコア側第1不織布S1の連続体及び第2傾斜面F2に沿って搬送されているコア側第2不織布S2の連続体の上面に吸収性の粉粒体であるSAP80(
図14参照)を散布する。この散布の際、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体は、負圧ケース79によって吸引されているため、
図14及び
図15Cに示すように、散布されたSAP80は、起毛により形成された短繊維層82の隙間に入り込む。また、SAP80は、第1塗布器91により塗布された接着剤によりコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体に接着される。
【0208】
コア側第1不織布S1の連続体のSAP80を担持した短繊維層82により第1吸収層L1が形成され、コア側第2不織布S2の連続体のSAP80を担持した短繊維層82により第2吸収層L2が形成される。
【0209】
各散布装置71、72についてさらに説明すると、各散布装置71、72は、SAP80を貯留するホッパ73と、調量部74と、ガイダ75と、散布ケース76と、を備えている。調量部74は、ホッパ73から落下するSAP80の散布量を調整する。ガイダ75は、調量部74から導かれたSAP80を散布ケース76に案内する。散布ケース76は、ガイダ75から供給されたSAP80をコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の表面の所定の領域に散布するとともに、所定の領域以外の領域に飛散するのを防止する。具体的に、散布ケース76は、ガイダ75により案内されたSAP80を落下させるための散布開口(図示せず)が形成されているとともに散布開口から落下するSAP80の周囲への飛散を防止するケース本体と、ケース本体内に収容されるとともに開口を間欠的に開閉させるためのシャッタ(図示せず)と、を備えている。この散布ケース76により、SAP80は、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の短繊維層82の所定の領域に散布(
図5A~
図7C)される。
【0210】
図5A~
図7Cに示すコア側第1不織布S1の連続体における第1、第2低密度領域R11、R12及び保持領域R2の形成方法についてさらに説明する。
【0211】
まず、第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2を形成する第1の方法について説明する。第1の方法において、コア側第1不織布S1の連続体の第2低密度領域R12及び保持領域R2は次のように形成される。第1塗布器91は、コア側第1不織布S1の連続体において第2低密度領域R12(
図6A~
図7Cの第2低密度領域R12)に相当する領域に塗布される接着剤の単位面積当たりの量が保持領域R2に相当する領域に塗布される接着剤の単位面積当たりの量よりも少なくなるように調整された状態で接着剤を塗布する。そのため、第2低密度領域R12に相当する領域に散布されたSAP80は、保持領域R2に相当する領域に散布されたSAP80と比較してコア側第1不織布S1の連続体に担持される量が少なくなる。例えば、コア側第1不織布S1の連続体における保持領域R2に相当する領域に接着剤を塗布し、第2低密度領域R12に相当する領域に接着剤を塗布しないように、第1塗布器91の塗布領域を設定することができる。
【0212】
一方、第1塗布器91によるコア側第2不織布S2の連続体に対する接着剤の塗布量は、保持領域R3(
図5B)に担持させるSAPの量に応じて調整される。
【0213】
第1の方法において、コア側第1不織布S1の連続体の第1低密度領域R11は、コア側第1不織布S1の連続体において隣接するコア25間のカット領域Cut(
図5A参照)に相当する領域に対するSAP80の供給が停止又は概ね停止されることで形成される。具体的には、散布ケース76のシャッタにより散布開口が閉鎖又は概ね閉鎖されることにより、カット領域CutへのSAP80の供給が停止又は抑制される。これによりコア側第1不織布S1のカット領域Cutには第1低密度領域R11が形成される。カット領域Cutでは、第1塗布器91からの接着剤の塗布が停止又は抑制される。
【0214】
同様に、コア側第2不織布S2の連続体において隣接するコア25間のカット領域Cutに相当する領域に対するSAP80及び接着剤の供給が停止又は抑制されることで、コア側第2不織布S2に第3低密度領域R13が形成される。
【0215】
また、第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2を形成する第2の方法として、調量部74がコア側第1不織布S1の連続体の搬送方向と直交する方向におけるSAP80の供給量を調整することにより、
図5A~
図7Cに示すような第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2を形成することもできる。具体的には、調量部74は、第1低密度領域R11及び第2低密度領域R12におけるSAP80の単位面積当たりの供給量を、保持領域R2におけるSAP80の単位面積当たりの供給量よりも少なくなるように調整する。散布ケース76は、調量部74で調整された量のSAP80をコア側第1不織布S1の連続体に散布する。これにより、第1低密度領域R11及び第2低密度領域R12に担持されるSAP80の量を保持領域R2に担持されるSAP80の量よりも少なくすることができる。
【0216】
なお、第2の方法において、コア側第1不織布S1の連続体の第1低密度領域R11は、第1の方法におけるシャッタによる散布開口の閉鎖又は概ね閉鎖によって形成することもできる。
【0217】
また第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2を形成する第3の方法として、SAP80を所定のパターンで保持可能でかつコア側第1不織布S1の連続体にSAP80を転写可能な転写体を用いて、
図5A~
図7Cに示すような第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2を形成することもできる。具体的には、転写体は、SAP80を所定の分布密度で保持している保持領域R2に対応する領域と、SAP80を保持領域R2に対応する領域よりも低密度でSAP80を保持している第1低密度領域R11及び第2低密度領域R12に対応する領域とを有している。転写体は、転写ローラの外表面に設けられている。コア側第1不織布S1の連続体は、コア側第1不織布S1の連続体の巻き掛けられた搬送ローラと転写ローラとの間に挟み込まれる。これにより、コア側第1不織布S1の連続体には、転写ローラの転写体に保持されたSAP80が転写され、第1低密度領域R11、第2低密度領域R12及び保持領域R2が形成される。
【0218】
一方、保持領域R3を有するコア側第2不織布S2の連続体は、SAP80を所定の分布密度を保持している保持領域R3に対応する領域を有する転写体を用いて形成することができる。
【0219】
更なる別の方法として、SAP80の散布されたコア側第1不織布S1の連続体における低密度領域R1(
図5A~
図5Cの例では第1低密度領域R11、
図6A~
図7Cの例では第1低密度領域R11及び第2低密度領域R12)の形成対象部分を切除することにより、保持領域R2(切除されていない領域)及び低密度領域R1(切除された領域)を形成することもできる。
【0220】
また、更なる別の方法として、コア側第1不織布S1の連続体における低密度領域R1(
図5A~
図5Cの例では第1低密度領域R11、
図6A~
図7Cの例では第1低密度領域R11及び第2低密度領域R12)及び保持領域R2の形成対象となる領域の全体にSAP80を散布した後、保持領域R2の形成対象となる領域のみに追加的にSAP80を散布することにより、低密度領域R1及び保持領域R2を形成することもできる。
【0221】
コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の搬送及びこれらに対するSAP80の散布については、例えばWO2017/131014に開示されており、その全ての記述が組み込まれる。
【0222】
次に、
図13に示すように、SAP80の散布後、一方のコア側第2不織布S2の連続体の表面には、第2塗布器95から接着剤が塗布される。これにより、コア側第2不織布S2の連続体には、
図15Dに示す接着層83が形成される。接着層83が形成されたコア側第2不織布S2の連続体は、第2コンベヤC2により積層ローラRに搬送され、コア側第1不織布S1の連続体は、第1コンベヤC1により積層ローラRに搬送される。
【0223】
図13、
図14に示すように、第1コンベヤC1、第2コンベヤC2及び積層ローラRは、搬送されるコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体が側面視においてV字状に配置されるように構成されている。積層ローラRは、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体を積層した状態でコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体を積層コンベヤC3との間で挟み込む。このとき、第1コンベヤC1により搬送されたコア側第1不織布S1の連続体の第1吸収層L1と、第2コンベヤC2により搬送されたコア側第2不織布S2の連続体の第2吸収層L2とは、互いに対向している。これにより、
図14、
図15Dに示すように、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体は、第1吸収層L1と第2吸収層L2とが互いに対向した状態で接着層83を介して積層され、接合される。これにより、一枚の厚い積層体Sが形成される。積層体Sでは、第1吸収層L1と第2吸収層L2とが接着層83を介して互いに対向し、両層L1、L2がコア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の拡散層81、81に挟まれている。
【0224】
以上のように2層のコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2の第1吸収層L1と第2吸収層L2とを互いに対向させてコア側第1不織布S1及びコア側第2不織布S2を積層するため、第1吸収層L1及び第2吸収層L2からのSAP80の脱落を抑制できる。また、このように第1吸収層L1及び第2吸収層L2同士を対向させて積層することで形成したコア25を後工程で用いる場合において、コア25からのSAP80の脱落を抑制することができる。
【0225】
図13に示すように、薄葉紙(ティッシュペーパー)Tが積層コンベヤC3上に供給される。積層コンベヤC3の上流に設けられた第3塗布器96(
図13)は、薄葉紙Tの上面に接着剤を塗布する。
【0226】
そして、
図13、
図14に示すように、積層コンベヤC3は、接着剤が塗布された薄葉紙Tを積層体Sの下に供給するとともに、積層ローラRとの間で積層体Sを挟持する。これにより、
図15Eに示すように、薄葉紙Tの表面に積層体Sが接合される。さらに、積層コンベヤC3は、積層体Sと薄葉紙Tとの接合体を下流に搬送する。
【0227】
図13に示すように、積層コンベヤC3の下流には、第4塗布器97、フォルダ98及び一対の圧接ローラ99が設けられている。積層コンベヤC3には、薄葉紙Tを吸引する負圧ケース78が設けられている。
【0228】
第4塗布器97は、薄葉紙Tの上面における搬送方向と直交する方向の両側縁部の少なくとも一方縁部に接着剤を塗布する。なお、本例の場合、搬送方向と直交する方向における薄葉紙Tの幅は、積層体Sの幅の2倍よりも大きい。
【0229】
フォルダ35は、薄葉紙Tにおける積層体Sから幅方向の両側に延びる側部を
図15Fのように折り返すことにより、積層体Sを薄葉紙Tで包みこむ。圧接ローラ99は、積層体S及び薄葉紙Tを厚さ方向に圧接することにより薄葉紙Tを積層体Sに接合する。これによりコア25が連続するコア25の連続体が製造される。コア25の連続体は、図外のカッタにより各コア25にカットされる。
【0230】
なお、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体は、拡散層81を有していなくてもよい。この場合には拡散層81を積層する工程を省略できる。また、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体は、薄葉紙Tで包まれなくてもよい。この場合には薄葉紙Tを積層し、積層体Sを包む工程を省略できる。さらに、コア25は、コア側第1不織布S1の連続体及びコア側第2不織布S2の連続体の積層体Sから形成されているのではなく、コア側第1不織布S1の連続体のみから製造されてもよい。
【0231】
(工程5)
工程5では、
図10に示すように、裏面シート26の連続体とレッグギャザー31の連続体とが接合された裏面シート仕掛品が形成される。具体的に、液不透過性シート26aの連続体、及び、外層シート26bの連続体をMD方向Aに沿って搬送する。これらのシートの少なくとも一方に接着剤が塗布されるとともに両シート26a、26bの連続体が重ねられた状態で
図8に示す一対のニップロール(符号省略)間で挟まれることにより両シート26a、26bの連続体が、ホットメルト接着剤を用いた接着、ヒートシールによる溶着及び超音波溶着等により接合される。これにより、裏面シート26の連続体が形成される。
【0232】
さらに、液不透過性シート26aのMD方向Aと直交するCD方向Wにおける両側部には、弾性部材であるレッグギャザー31の連続体がMD方向Aに伸長状態でホットメルト接着剤を用いた接着、ヒートシールによる溶着及び超音波溶着等により接合される。これにより、レッグギャザー31の連続体が裏面シート26の連続体に設けられ、裏面シート仕掛品が製造される。
【0233】
(工程6)
工程6では、工程3で形成された表面シート仕掛品と、工程4で形成されたコア25と、工程5で形成された裏面シート仕掛品と、を組み合わせた吸収体仕掛品を形成する。
【0234】
工程4と工程5との合流点に設けられたニップロール(符号省略)において、工程4で製造したコア25が、工程5で製造された裏面シート仕掛品の液不透過性シート26a上に載置され接合される。また、ニップロールの下流側に設けられた回転ドラムP(
図8)のドラム面(外面)には、所定長さの複数の吸収体弾性部材21が保持されている。この回転ドラムPの回転に応じて、裏面シート仕掛品上における隣接するコア25の間に搬送方向と直交する方向に伸長状態で吸収体弾性部材21が接合される。
【0235】
コア25、レッグギャザー31の連続体、及び、吸収体弾性部材21を挟み込むように裏面シート仕掛品上に表面シート仕掛品を供給し、裏面シート仕掛品上に表面シート仕掛品を接合する(
図18F参照)。
【0236】
また、裏面シート仕掛品における吸収体弾性部材21の設けられる端部のコア25と反対側の外面に対し、幅方向(胴回り幅方向に相当)の全体に亘って雌ファスナ22(
図1、
図2)を設ける。
【0237】
さらに、裏面シート仕掛品におけるコア25が設けられている肌面側を向く面に、外層シート26bのCD方向Wの中央部において裏面シート仕掛品の搬送方向(MD方向A)に延びるインジケータ50(
図1、
図2)を設ける。これにより、MD方向Aに連続する吸収体20の仕掛品(吸収体仕掛品)が製造される。
【0238】
なお、雌ファスナ22を設ける工程は、工程5~工程12までの間に実行されればよい。また、インジケータ50を設ける工程は、工程5~工程13までの間に実行されればよい。
【0239】
(工程7)
工程7では、工程6で形成された吸収体仕掛品を個別の吸収体20に切断する。具体的に、内装カッター64により、MD方向Aに延びる吸収体20及び立体ギャザー40からなる吸収体仕掛品が、MD方向Aの一定の長さ毎に切断され、個別の吸収体20が製造される。その後、続く横流れ状態での組み立て工程に適した姿勢となるように、吸収体20の向きが内装ターンドラム65で90度反転される。このとき、吸収体弾性部材21は、吸収体20のMD方向Aにおいて胴回り本体16とは反対側の先端部に位置するように配置されている(
図3参照)。
【0240】
(3)工程8~工程13
工程8~工程13は、着用物品1を
図16に示す横流れ状態で組み立てるための工程である。これらの工程では、まず、工程1~2で製造された胴回り連続体に対して工程7で製造された吸収体20を接合する。次いで、吸収体20を胴回り直交方向(
図16のCD方向W)に二つ折りにするとともに胴回り連続体を個別の胴回り部材10に切断し、その後、胴回り部材10において接合部10bに対して胴回り幅方向(
図16のMD方向A)の両側に位置する両側部10aを胴回り幅方向(
図16のMD方向A)に折り、雄ファスナ12と雌ファスナ22とを互いに係合する。
【0241】
図16の横流れ状態において、MD方向Aは胴回り幅方向と一致し、CD方向Wは胴回り直交方向と一致する。
【0242】
(工程8)
工程8では、
図8、
図16、
図19において、工程2で製造された胴回り連続体における各胴回り本体16の接合部10b上に、90度反転された吸収体20の一方の端部(雌ファスナ22と反対側の端部)が配置される(
図19A参照)。吸収体20は、各胴回り本体16の内側シート14の肌面側に向く面における接合部10bに接合される。なお、接合手段は、ホットメルト接着剤による接着に限られず、ヒートシールによる溶着や超音波溶着を用いることもできる。
【0243】
本実施形態では、工程1~2において、複数の着用物品1の胴回り本体16が胴回り幅方向(
図9及び
図16のMD方向A)に連続する胴回り連続体が製造される。つまり、胴回り連続体は、複数の着用物品1の胴回り本体16が胴回り幅方向に連なるように胴回り本体16の両端部10c同士が連なっているものである。そして、胴回り連続体における各胴回り本体16に相当する部分の接合部10bには、胴回り直交方向(
図9及び
図16のCD方向W)に延びる各着用物品1の吸収体20が接合される。
【0244】
(工程9)
工程9では、楕円形状のダイカッター66によって、
図16におけるレッグホールSPを設けるように胴回り連続体(複数の胴回り本体16の連続体)がカットされる。これにより脚周り曲線部15bが形成される。
【0245】
なお、工程8と工程9とは入れ替えることができる。つまり、まず、ダイカッター66によって、レッグホールSPを設けるように胴回り連続体における接合部10b間の部分をカットする。その後、胴回り連続体における各胴回り本体16の接合部10b上に、90度反転された吸収体20の一方の端部が配置される。
【0246】
(工程10)
工程10では、胴回り弾性部材11の一部を覆うように胴回り連続体の延出部15cを折り返すとともに、雄ファスナ12を接合する(
図19B参照)。具体的に、延出部15cは、各吸収体20の胴回り連続体と接合された端部を覆った状態で各吸収体20に対して接合される。なお、接合手段は、ホットメルト接着剤による接着に限られず、ヒートシールによる溶着や超音波溶着を用いることもできる。
【0247】
また、雄ファスナ12は、胴回り連続体の肌面側の面における弱化部分15a2に接合される。弱化部分15a2は、延出部15cの折り返し部分からその下側の位置までの範囲に亘って設けられている。なお、接合手段は、ホットメルト接着剤による接着に限られず、ヒートシールによる溶着や超音波溶着を用いることもできる。弱化部分15a2は、胴回り連続体において、MD方向Aに隣接する吸収体20どうしの中間に位置している。この中間位置に雄ファスナ12が接合される。
【0248】
(工程11)
工程11では、吸収体20をCD方向Wに二つ折りにする。具体的に、吸収体20のCD方向Wの自由端、つまりCD方向Wの胴回り連続体と接合される端部とは反対側の先端部を吸引装置(図示せず)により保持しながら、胴回り連続体に張力がかけられた状態で、胴回り連続体及び吸収体20はMD方向Aに搬送されている。二つ折り装置67では、胴回り連続体が吸収体20の自由端へ向けて反転するように胴回り連続体を表裏に挟む複数対のローラが配置されている。その結果、吸収体20はCD方向Wの中間位置を境にして二つ折りにされる(
図19C参照)。
【0249】
なお、少なくとも1つの吸収体20の先端部が吸引装置により保持されるとともに、押さえ装置によって押さえられた状態で、胴回り連続体が吸収体20側に移動するように、吸収体20を二つ折りにしてもよい。
【0250】
この工程11により、各吸収体20は、各吸収体20の肌面側に面する面と、胴回り連続体の各胴回り本体16の接合部10bに相当する位置において肌面側を向く面とが対向するようにCD方向Wに折り畳まれる。この二つ折りの状態を維持するように、吸収体20の各胴回り部材10に接合された端部とは反対側の端部と、当該端部に重なる吸収体20及び各胴回り部材10の少なくとも一方と、が剥離可能に仮止め(
図16の仮止め110)されていることが望ましい。仮止め手段としては、ホットメルト接着剤による接着、ヒートシールによる溶着及び超音波溶着等を用いても良いし、ピンエンボスなどの機械的係合により仮止めしてもよい。
【0251】
また仮止め位置としては、コア25に与える影響を低減する観点から、胴回り幅方向においてコア25よりも外側であることが好ましい。さらに、仮止めの位置としては、各吸収体20の両端部近傍において、胴回り直交方向に延びる立体ギャザー40に対して、胴回り幅方向外側の位置で仮止めされると好ましい。この場合、立体ギャザー40の着用時の立ち上がりが仮止め110により阻害されず、その結果として立体ギャザー40が体液に対する堰として確実に機能する。
【0252】
また、仮止め110の位置は、複数の胴回り弾性部材11の胴回り直交方向の間に配置されることが好ましい。このようにすれば、胴回り弾性部材11が切断等されることによる弾性力の低下が抑制される。
【0253】
仮止め110の位置は弱化部分15a1の領域内であることが最も好ましい。仮止め110の位置が胴回り弾性部材11の弾性によって移動をするのを抑制することにより雄ファスナ12と雌ファスナ22とが係合された着用物品1の最終形状を保持することができるためである。
【0254】
ここで、弱化部分15a1の領域内に仮止め110を形成するのが困難な場合、コア25に対して弱化部分15a1を相対的に大きくすることにより弱化部分15a1に余剰部分を形成し、この余剰部分に仮止め110を形成することが考えられる。余剰部分を形成する方法としては、例えば、弱化部分15a1の大きさはそのままに維持しつつコア25を小さくすること、及び、コア25の大きさはそのままにしつつ弱化部分15a1を大きくすることの少なくとも一方を採用することができる。なお、コア25を小さくした場合には、上記のように着用物品1の最終形状を保持することができる反面、着用物品1の吸収性能が低下する。また、弱化部分15a1を大きくした場合には、上記のように着用物品1の最終形状を保持することができる反面、胴回り部材10の弾性力が低下する。
【0255】
一方、別の方法として、弱化部分15a1の領域内に仮止め110を形成するのが困難な場合、着用物品1の最終形状の保持能力は低下するものの弱化部分15a1の外側に仮止めすることも考えられる。
【0256】
仮止め110を弱化部分15a1の領域に形成するかどうかは、着用物品1の最終形状の保持の程度、吸収性能、及び、胴回り部材10の弾性力の程度のバランスを考慮して決定される。
【0257】
本実施形態では、これらを考慮して弱化部分15a1の外側において仮止めを行っている。
【0258】
このような仮止めを行うことで、後述する工程12の切断工程や工程13の係合工程までの間において吸収体20をCD方向Wに二つ折りにした状態に維持できる。これにより、吸収体20の仮止め後に胴回り連続体を工程12において切断する際に、切断の前後を通じて吸収体20の二つ折り状態を維持することができる。
【0259】
仮止めは、着用物品の着用時に容易に引き離すことができる程度の接着力で行われる。なお、工程11では、各吸収体20の肌面側に向く面とは反対側の外面に雌ファスナ22が露出するように吸収体20を二つ折りにする。
【0260】
また、この工程11により、吸収体20の先端部が保持された状態で、胴回り連続体が吸収体20の先端部に重なるように吸収体20が二つ折りにされる。よって、複数の着用物品1を連続的に胴回り直交方向に折り畳むことができる。そのため、各着用物品1を別々に折り畳む場合と比較して、高速に各着用物品1を胴回り直交方向に折り畳むことができる。また、吸収体20の胴回り連続体と接合される接合部10bと反対の先端部が保持された状態で吸収体20を折るため、吸収体20の移動を抑制しながら、胴回り連続体と吸収体20の先端部とが重なるように吸収体20を胴回り直交方向に二つ折りにすることができる。また、胴回り連続体から切り分けられた各胴回り本体16の両端部をそのまま折り返すことにより折り畳まれた着用物品1を製造することができる。
【0261】
(工程12)
工程12では、隣接する吸収体20の中間位置であり、かつ、雄ファスナ12のMD方向Aの中間位置において、胴回り連続体がカッター68によりCD方向Wにカットされる。これにより、胴回り連続体及び複数の吸収体20は、各胴回り本体16及びそれに接合される各吸収体20に分離される。また、雄ファスナ12は、隣接する吸収体20の間でCD方向Wに沿ってMD方向Aに2分割され、隣接する胴回り本体16のそれぞれの両端部10cに残される。この状態において、各胴回り本体16はMD方向Aに展開された状態である。なお雄ファスナ12は、前記カットによって2分割される場合に限らず、予め分割された雄ファスナ12を隣接する胴回り本体16の両端部10cに間隔を開けて配置してもよい。
【0262】
(工程13)
工程13では、両端部10cの両雄ファスナ12が吸収体20の外面に対向するように、胴回り部材10のMD方向Aにおける両側部10aを胴回り部材10の接合部10bに向けて折り返す。次いで、胴回り部材10の雄ファスナ12と吸収体20の雌ファスナ22とを係合する。
【0263】
上記のリファスナブルタイプの着用物品1の製造方法は、着用者の胴回りに配置される胴回り部材10と、胴回り部材10の胴回り幅方向の接合部10bに接合され、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置されるように、前記接合部10bから前記胴回り幅方向に対して直交する胴回り直交方向に延びる吸収体20とを有する着用物品の製造方法であって、当該製造方法には、以下の胴回り部材10を製造する工程と、吸収体20を製造する工程と、吸収体20を胴回り本体16の接合部10bに接合する工程と、雄ファスナ12と雌ファスナ22とを互いに係合する工程と、が含まれている。
【0264】
(胴回り部材10を製造する工程)
上記の胴回り部材10を製造する工程は、胴回り連続体を製造する工程1~2と、胴回り連続体を構成する各胴回り本体16に雄ファスナ12を接合する工程(工程10の一部)と、胴回り連続体をカットする工程12と、を含む。
【0265】
(吸収体20を製造する工程)
上記の吸収体20を製造する工程は、表面シート仕掛品を製造する工程3と、コア25を製造する工程4と、裏面シート仕掛品を製造する工程5と、吸収体仕掛品を製造する工程6と、吸収体仕掛品を個別の吸収体20に切断する工程7と、を含む。
【0266】
(吸収体20を胴回り本体16の接合部10bに接合する工程)
工程8は、前記吸収体20を前記胴回り本体16の前記接合部10bに接合する工程に対応する。
【0267】
(雄ファスナ12と雌ファスナ22とを互いに係合する工程)
工程13は、前記雄ファスナ12と前記雌ファスナ22とを互いに係合する工程に対応する。
【0268】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
【0269】
上記のリファスナブルタイプの着用物品1では、後背部に胴回り部材10の接合部10bが配置される。また、吸収体20は、後背部に配置される接合部10bから股下部を介して前腹部に延び、先端部が前腹部に配置される。そして、胴回り部材10の両側部10aが後背部から前腹部にかけて伸長され、吸収体20の先端部に係合される。しかし、前腹部に胴回り部材10の接合部10bが配置されてもよい。また、吸収体20は前腹部に配置される接合部10bから股下部を介して後背部に延び、先端部が後背部に配置されてもよい。そして、胴回り部材10の両側部10aが前腹部から後背部にかけて伸長され、吸収体20の先端部に係合されてもよい。
【0270】
上記のリファスナブルタイプの着用物品1では、吸収体20の裏面シート26の外面に雌ファスナ22が設けられている。しかし、雌ファスナ22を省略し、裏面シート26の外面が、雄ファスナ12と係合可能なように処理されていてもよい。また、雄ファスナ12と係合可能な性質を有する裏面シート26を採用することもできる。さらに、吸収体20の裏面シート26の外面に雄ファスナ12を設け、胴回り部材10の肌面側の面が雄ファスナ12と係合可能な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0271】
10 :胴回り部材
10a :両側部
10b :接合部
11 :胴回り弾性部材
12 :雄ファスナ(第1係合部)
14 :内側シート
15 :外側シート
15c :延出部
20 :吸収体
20a :凹凸形状
21 :吸収体弾性部材
22 :雌ファスナ(第2係合部)
24 :表面シート
25 :コア
26 :裏面シート
82 :短繊維層(繊維層)
R1 :低密度領域
R2 :保持領域
【手続補正書】
【提出日】2021-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するための着用物品は、幅方向に延びるとともに前記幅方向に伸縮可能な弾性を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り本体と、前記胴回り本体の幅方向の両端部における着用者の肌面側を向く面に設けられた第1係合部と、を有する胴回り部材と、前記胴回り部材に接合され、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置されるように、前記胴回り部材との接合部から前記幅方向に対して直交方向に延びる吸収体と、を備え、前記吸収体は、体液を吸収するためのコアと、前記コアの着用者の肌面側に設けられた表面シートと、前記表面シートとの間で前記コアを挟むように前記コアの前記肌面側とは反対の外面側に設けられた裏面シートと、前記裏面シートにおける前記肌面側を向く面と反対の外面に設けられているとともに前記第1係合部に対して脱着可能に係合された第2係合部と、を有し、前記コアは、吸水性ポリマーと、前記吸水性ポリマーを保持する保持領域と前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域の前記直交方向の両端部に対して前記直交方向に隣接する第1低密度領域とが形成されるように前記吸水性ポリマーを保持するコア側第1不織布と、を有し、前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされ、かつ、前記胴回り部材において前記接合部の前記幅方向に隣接する両側部が前記幅方向に折られた状態で前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合しており、前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされた状態において、前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の端部と、前記端部に重なる前記吸収体及び前記胴回り部材の少なくとも一方と、が剥離可能に仮止めされており、前記仮止めの位置は、前記幅方向において前記コアよりも外側である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品であって、
幅方向に延びるとともに前記幅方向に伸縮可能な弾性を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り本体と、前記胴回り本体の幅方向の両端部における着用者の肌面側を向く面に設けられた第1係合部と、を有する胴回り部材と、
前記胴回り部材に接合され、着用者の後背部から股下部を介して前腹部に亘って配置されるように、前記胴回り部材との接合部から前記幅方向に対して直交方向に延びる吸収体と、を備え、
前記吸収体は、体液を吸収するためのコアと、前記コアの着用者の肌面側に設けられた表面シートと、前記表面シートとの間で前記コアを挟むように前記コアの前記肌面側とは反対の外面側に設けられた裏面シートと、前記裏面シートにおける前記肌面側を向く面と反対の外面に設けられているとともに前記第1係合部に対して脱着可能に係合された第2係合部と、を有し、
前記コアは、吸水性ポリマーと、前記吸水性ポリマーを保持する保持領域と前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域の前記直交方向の両端部に対して前記直交方向に隣接する第1低密度領域とが形成されるように前記吸水性ポリマーを保持するコア側第1不織布と、を有し、
前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされ、かつ、前記胴回り部材において前記接合部の前記幅方向に隣接する両側部が前記幅方向に折られた状態で前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合しており、
前記吸収体が前記直交方向に二つ折りにされた状態において、前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の端部と、前記端部に重なる前記吸収体及び前記胴回り部材の少なくとも一方と、が剥離可能に仮止めされており、
前記仮止めの位置は、前記幅方向において前記コアよりも外側である、着用物品。
【請求項2】
前記コア側第1不織布には、前記保持領域よりも低密度の前記吸水性ポリマーを保持するとともに前記保持領域により前記幅方向に挟まれている第2低密度領域が形成されている、請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記第2低密度領域は、前記直交方向に延びている、請求項2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記表面シートは、凹凸形状を有する表面側第1不織布と、前記凹凸形状を維持するように前記表面側第1不織布における前記肌面側を向く面と反対の外面に対して接合された表面側第2不織布と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項5】
前記表面側第2不織布は、前記凹凸形状よりも起伏の緩やかな形状を有する、請求項4に記載の着用物品。
【請求項6】
前記コア側第1不織布は、前記吸水性ポリマーを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項7】
前記コアは、前記吸水性ポリマーを介して前記コア側第1不織布と対向するように前記コア側第1不織布に積層されたコア側第2不織布をさらに有しており、
前記コア側第1不織布及び前記コア側第2不織布それぞれの対向面には、前記吸水性ポリマーを担持するための隙間を形成するために起毛された繊維層が形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項8】
前記吸収体は、前記直交方向において前記吸収体の前記胴回り部材に接合される端部とは反対側の先端部に、前記幅方向に伸縮可能な弾性を有する吸収体弾性部材を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項9】
前記第2係合部は、前記直交方向において前記裏面シートの前記胴回り部材とは反対側の先端部における外面において、前記裏面シートの先端部の前記幅方向の概ね全体に亘って設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項10】
前記胴回り部材の前記胴回り本体は、
前記幅方向に延びる内側シートと、
前記幅方向に延びるとともに、前記内側シートの前記肌面側を向く面と反対の外面を覆う外側シートと、
前記幅方向に沿って伸縮可能な弾性を有するとともに、前記吸収体が接合された前記胴回り本体の接合部のうち前記コアが配置されたコア配置部分の弾性力が前記コア配置部分に対して前記幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱くなるように、前記内側シートと前記外側シートとの間で挟持された状態で前記内側シート及び前記外側シートの少なくとも一方に接合された胴回り弾性部材と、を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の着用物品。
【請求項11】
前記外側シートは、前記吸収体の前記直交方向における前記胴回り部材と接合される端部を覆う延出部を有する、請求項10に記載の着用物品。
【請求項12】
前記胴回り弾性部材は、前記胴回り本体のうち前記第1係合部が配置された部分の弾性力が、当該部分に対して前記幅方向に隣接する部分の弾性力よりも弱くなるように、前記内側シートと前記外側シートとの間で挟持された状態で前記内側シート及び前記外側シートの少なくとも一方に接合されている、請求項10又は11に記載の着用物品。