(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008774
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】グラスラン組付構造及びグラスラン組付方法
(51)【国際特許分類】
B60J 10/30 20160101AFI20220106BHJP
B60J 10/16 20160101ALI20220106BHJP
B60J 10/76 20160101ALI20220106BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20220106BHJP
B60J 10/20 20160101ALI20220106BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220106BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B60J10/30
B60J10/16
B60J10/76
B60J5/00 501B
B60J10/20
B60R13/02 B
B60R13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111010
(22)【出願日】2020-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】灘野 純二
【テーマコード(参考)】
3D023
3D201
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB11
3D023AC03
3D023AD02
3D023AD17
3D023BB08
3D023BD03
3D023BE03
3D023BE27
3D023BE35
3D201AA12
3D201AA39
3D201CA19
3D201DA03
3D201DA31
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えて組付作業を容易に行うことができシール性にも優れる。
【解決手段】ドアガラス100に設けられたガラスガイド105を案内し、車外側側壁部51,第1車内側側壁部52,連結壁部53,ガイド壁部54,第2車内側側壁部55を有し、フラッシュサーフェイス化を図ったグラスラン50が取付けられ、アウターパネル201の最外面にはアウターガーニッシュ60が固定され、インナーパネル202には車内側から車外側に延びるインナーガーニッシュ80が固定され、アウターガーニッシュ60に一体成形され内方凹部75にグラスラン50が組付けられるリテーナ部70と、インナーガーニッシュ80に一体成形され、グラスラン50の第2車内側側壁部55の端部にある係止部58を係止してグラスラン50を保持可能な係止突起部90を備え、インナーガーニッシュ80の車外側を第1方向及び第2方向に回動自在にした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアを構成するドアフレームの縦辺部において、昇降するドアガラスの端部車内側に設けられ車内側及びドアガラスの端面から外方側となる第1方向に突出するガラスガイドを案内するとともに、車外側側壁部,第1車内側側壁部,両側壁部を連結する連結壁部,前記第1車内側側壁部端部の車外面から車外側に延び前記ガラスガイドの内方側となる第2方向の側面に弾接するガイド壁部を有し、前記車外側側壁部,第1車内側側壁部,連結壁部,ガイド壁部で構成される嵌合凹部内部に前記ガラスガイドを嵌挿するとともに、前記ガイド壁部から第2方向側に延びる第2車内側側壁部を有し、
前記ガラスガイドにフラッシュサーフェイス化を図ったグラスランが取付けられ、
前記ドアフレームのアウターパネルの最外面にはアウターガーニッシュが固定され、インナーパネルには車内側から車外側に向けて延びるインナーガーニッシュの車内側が固定されてなる自動車用ドアのグラスラン組付構造であって、
前記アウターガーニッシュに一体成形され、前記アウターガーニッシュの第2方向側端面から第2方向側に延びる第1支持板と、前記アウターガーニッシュの第2方向側端部の車内側面から車内側に延びる第2支持板と、その第2支持板から第2方向側に延びる第3支持板からなる内方凹部に前記グラスランが装着されるリテーナ部と、
前記インナーガーニッシュに一体成形された、係止突起部を備え、
前記グラスランの前記第2車内側側壁部の端部にある係止部を前記インナーガーニッシュの前記係止突起部に係止し、
前記インナーガーニッシュを、その車内側を支点として車外側を第1方向及び第2方向に回動自在にしたことを特徴とするグラスラン組付構造。
【請求項2】
前記係止突起部は、前記リテーナ部の前記第3支持板に当接する第1取付板と、その第1取付板から車外側に延びる第2取付板と、その第2取付板から第2方向に突出しかつ前記第2車内側側壁部に沿って延びる第3取付板を備えることを特徴とする請求項1に記載のグラスラン組付構造。
【請求項3】
前記リテーナ部の前記第3支持板に対して前記インナーガーニッシュを係止させることを特徴とする請求項1又は2に記載のグラスラン組付構造。
【請求項4】
前記グラスランの前記第2車内側側壁部は、前記ガイド壁部から車内側に傾斜しながら延びることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項5】
前記グラスランの前記ガイド壁部の車内側から車外側に傾斜して延び前記第3取付板の第1方向側の車内側面に弾接する押さえ部を備えることを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項6】
前記グラスランの前記第1車内側側壁部を硬質材で構成し、前記第1車内側側壁部の第2方向側端部に硬質材からなる先端突起を設けて、前記インナーガーニッシュの前記係止突起部の前記第2取付板の第1方向側面に当接するようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項7】
前記グラスランの前記第1車内側側壁部を硬質材で構成し、前記第1車内側側壁部の第2方向側端部に高発泡材からなる先端突起又は先端リップを設けて、前記インナーガーニッシュの前記係止突起部の前記第2取付板の第1方向側面に弾接するようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造において、前記グラスンランを組付ける際には、
前記ドアフレームに、前記アウターガーニッシュと前記インナーガーニッシュを組付けた後、
前記グラスランの前記第2車内側側壁部の端部にある前記係止部を前記インナーガーニッシュの前記係止突起部に係止して前記グラスランを保持した後、
前記アウターガーニッシュの前記リテーナ部の前記内方凹部に前記グラスランを組付け、
その後、前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第2方向側に円運動させることで前記グラスランの前記第2車内側側壁部を第2方向かつ車内側にめくりあげて、前記ドアガラスに設けられた前記ガラスガイドを前記グラスランに設けられた前記嵌合凹部に挿入し、
前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第1方向側に円運動させることで前記グラスランのめくりあげを元に戻すことを特徴とするグラスラン組付方法。
【請求項9】
前記請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造において、前記グラスンランを組付ける際には、
前記ドアフレームに、前記アウターガーニッシュを組付けるとともに、前記インナーガーニッシュを仮固定した後、
前記グラスランの前記第2車内側側壁部の端部にある前記係止部を前記インナーガーニッシュの前記係止突起部に係止して前記グラスランを保持した後、
前記アウターガーニッシュの前記リテーナ部の前記内方凹部に前記グラスランを組付け、
その後、前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第2方向側に円運動させることで前記グラスランの前記第2車内側側壁部を第2方向かつ車内側にめくりあげて、前記ドアガラスに設けられた前記ガラスガイドを前記グラスランに設けられた前記嵌合凹部に挿入し、
前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第1方向側に円運動させることで前記グラスランのめくりあげを元に戻した後、
前記ドアフレームに、前記インナーガーニッシュを正式に組付けることを特徴とするグラスラン組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアに取付けられ、昇降するドアガラスの車内側に設けられたガラスガイドに摺接するシールリップ部を備えるとともに、フラッシュサーフェイス化を図ったグラスラン組付構造及びそのグラスラン組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図9及び
図10に示すように、自動車用ドアガラス100の車内側に設けられたガラスガイド101に摺接するシールリップ部16,17,18を備えるとともに、フラッシュサーフェイス化を図ったグラスラン10が知られている(例えば、特許文献1の
図5参照)。
【0003】
このグラスラン10は、フロントドア1を構成するドアフレーム2のセンターピラー側縦辺部に取付けられ、車外側側壁部11,車内側側壁部12,両側壁部11,12を連結する連結壁部13を有し、車内側側壁部12には車内側に向けて突出した突出部14が形成されている。
ドアフレーム2には凹部2Aが形成され、その凹部2Aに車外側側壁部11と連結壁部13と突出部14が装着され、車外側側壁部11と連結壁部13と突出部14の内方側にガラスガイド101が昇降可能に嵌挿される嵌合凹部15が形成されている。
ガラスガイド101は、ドアガラス100の車内側に取付けられた取付部101aとその取付部101aに一体成形されドアガラス100の端部から連結壁部13側でかつ車内側に突出したガイド部101bからなりガイド部101bが嵌合凹部15に嵌挿されている。
【0004】
また、シールリップ部16,17,18は、グラスラン10の車内側側壁部12,車外側側壁部11,連結壁部13の内方側に設けられ、それぞれガラスガイド101に弾接している。また、車外側側壁部11の端部には見切りシール部19とその見切りシール部19がガラスガイド101側に落ち込むことを規制する規制部20が設けられ、車内側側壁部12の端部には車内側側壁部12とともにドアフレーム2のフランジ2Bを挟み込んで把持する保持リップ部21が設けられている。
なお、保持リップ部21の車内側には、車内側から車外側に延びるインナーガーニッシュ3が設けられている。また、見切りシール部19の先端部はドアガラス100の端部に弾接し、付け根部はセンターピラー側縦辺部の車外側に取付けられた外装材4の端面に当接している。
【0005】
このようなグラスラン10によれば、ドアガラス100が閉じられたときの浮き上がりが防止されるので、グラスラン10を安定した状態にすることができるといった効果が得られる。
しかしながら、グラスラン10の嵌合凹部15に、ドアガラス100に取付けられたガラスガイド101を組込むことは容易でないといった問題がある。
また、グラスラン10の車外側側壁部11側ではドアフレーム2と外装材4が別体であるので部品点数が多くなり組付性が煩雑になるといった問題もある。
【0006】
これに対して、
図11に示すように、グラスラン30をアウター側部31とインナー側部32に分割して、インナー側部32をアウターパネル41にリベット42で締結されたサッシュ43に嵌め込み、アウター側部31を外装材44に組付け、車内側から車外側に延びるインナーガーニッシュ45の端部をグラスラン30に当接させたものが知られている(例えば、特許文献2の
図6参照)。
【0007】
これによれば、ドアガラス100に取付けられたガラスガイド102はグラスラン30に案内されるように容易に組付けられるが、部品点数が多くなるため組付工数が増加するとともに重量もアップするといった問題が生じる。
また、グラスラン30が2つに分割されるためドアガラス100昇降時のシール性が一様にならない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-178290号公報
【特許文献2】特開2005-255123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的とするところは、部品点数を抑えて組付作業を容易に行うことができシール性にも優れるグラスラン組付構造及びグラスラン組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明のグラスラン組付構造は、自動車ドア(1)を構成するドアフレーム(200)の縦辺部において、昇降するドアガラス(100)の端部車内側に設けられ車内側及びドアガラス(100)の端面から外方側となる第1方向に突出するガラスガイド(105)を案内するとともに、車外側側壁部(51),第1車内側側壁部(52),両側壁部(51,52)を連結する連結壁部(53),前記第1車内側側壁部(52)端部の車外面から車外側に延び前記ガラスガイド(105)の内方側となる第2方向の側面に弾接するガイド壁部(54)を有し、前記車外側側壁部(51),第1車内側側壁部(52),連結壁部(53),ガイド壁部(54)で構成される嵌合凹部(56)内部に前記ガラスガイド(105)を嵌挿するとともに、前記ガイド壁部(54)から第2方向側に延びる第2車内側側壁部(55)を有し、
前記ガラスガイド(105)にフラッシュサーフェイス化を図ったグラスラン(50)が取付けられ、
前記ドアフレーム(200)のアウターパネル(201)の最外面にはアウターガーニッシュ(60)が固定され、インナーパネル(202)には車内側から車外側に向けて延びるインナーガーニッシュ(80)の車内側が固定されてなる自動車用ドアのグラスラン組付構造であって、
前記アウターガーニッシュ(60)に一体成形され、前記アウターガーニッシュ(60)の第2方向側端面から第2方向側に延びる第1支持板(71)と、前記アウターガーニッシュ(60)の第2方向側端部の車内側面から車内側に延びる第2支持板(72)と、その第2支持板(72)から第2方向側に延びる第3支持板(73)からなる内方凹部(75)に前記グラスラン(50)が装着されるリテーナ部(70)と、
前記インナーガーニッシュ(80)に一体成形された係止突起部(90)を備え、
前記グラスラン(50)の前記第2車内側側壁部(55)の端部にある係止部(58)を前記インナーガーニッシュ(80)の前記係止突起部(90)に係止し、
前記インナーガーニッシュ(80)を、その車内側を支点として車外側を第1方向及び第2方向に回動自在にしたことを特徴とする。
なお、本発明の自動車ドアはフロントドア,リヤドアいずれの場合にも適用される。自動車ドアがフロントドアの場合には、第1方向とは、ドアの後方(ドアを閉めた状態では自動車の後方)を示し、第2方向とは前方を示し、また、自動車ドアがリヤドアの場合には、第1方向とは、ドアの前方(ドアを閉めた状態では自動車の前方)を示し、第2方向とは後方を示す。
また、本発明のドアフレームの縦辺部は、センターピラー側のみを図示、例示して説明したが、フロントピラー側やリヤピラー側のように、ドアガラスが上下方向に昇降する部位に取付けられる部位であれば、同様に、適用可能である。
【0011】
また、本発明は、前記係止突起部(90)は、前記リテーナ部(70)の第3支持板(73)に当接する第1取付板(91)と、その第1取付板(91)から車外側に延びる第2取付板(92)と、その第2取付板(92)から第2方向に突出しかつ前記第2車内側側壁部(55)に沿って延びる第3取付板(93)を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記リテーナ部(70)の前記第3支持板(73)に対して前記インナーガーニッシュ(80)を係止させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記グラスラン(50)の前記第2車内側側壁部(55)は、前記ガイド壁部(54)から車内側に傾斜しながら延びることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記グラスラン(50)の前記ガイド壁部(54)の車内側から車外側に傾斜して延び前記第3取付板(93)の第1方向側の車内側面に弾接する押さえ部(57)を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記グラスラン(50)の前記第1車内側側壁部(52)を硬質材で構成し、前記第1車内側側壁部(52)の第2方向側端部に硬質材からなる先端突起(52b)を設けて、前記インナーガーニッシュ(80)の前記係止突起部(90)の前記第2取付板(92)の第1方向側面に当接するようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記グラスラン(50)の前記第1車内側側壁部(52)を硬質材で構成し、前記第1車内側側壁部(52)の第2方向側端部に高発泡材からなる先端突起(52c)又は先端リップ(52d)を設けて、前記インナーガーニッシュ(80)の前記係止突起部(90)の前記第2取付板(92)の第1方向側面に弾接するようにしたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のグラスラン組付方法は、前記請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造において、前記グラスンラン(50)を組付ける際には、
前記ドアフレーム(200)に、前記アウターガーニッシュ(60)と前記インナーガーニッシュ(80)を組付けた後、
前記グラスラン(50)の前記第2車内側側壁部(55)の端部にある前記係止部(58)を前記インナーガーニッシュ(80)の前記係止突起部(90)に係止して前記グラスラン(50)を保持した後、
前記アウターガーニッシュ(60)の前記リテーナ部(70)の前記内方凹部(75)に前記グラスラン(50)を組付け、
その後、前記インナーガーニッシュ(80)をその車内側を支点として車外側を第2方向側に円運動させることで前記グラスラン(50)の前記第2車内側側壁部(55)を第2方向かつ車内側にめくりあげて、前記ドアガラス(100)に設けられた前記ガラスガイド(105)を前記グラスラン(50)に設けられた前記嵌合凹部(56)に挿入し、
前記インナーガーニッシュ(80)をその車内側を支点として車外側を第1方向側に円運動させることで前記グラスラン(50)のめくりあげを元に戻すことを特徴とする。
【0018】
また、本発明のグラスラン組付方法は、前記請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造において、前記グラスンラン(50)を組付ける際には、
前記ドアフレーム(200)に、前記アウターガーニッシュ(60)を組付けるとともに、前記インナーガーニッシュ(80)を仮固定した後、
前記グラスラン(50)の前記第2車内側側壁部(55)の端部にある前記係止部(58)を前記インナーガーニッシュ(80)の前記係止突起部(90)に係止して前記グラスラン(50)を保持した後、前記アウターガーニッシュ(60)の前記リテーナ部(70)の前記内方凹部(75)に前記グラスラン(50)を組付け、
その後、前記インナーガーニッシュ(80)をその車内側を支点として車外側を第2方向側に円運動させることで前記グラスラン(50)の前記第2車内側側壁部(55)を第2方向かつ車内側にめくりあげて、前記ドアガラス(100)に設けられた前記ガラスガイド(105)を前記グラスラン(50)に設けられた前記嵌合凹部(56)に挿入し、
前記インナーガーニッシュ(80)をその車内側を支点として車外側を第1方向側に円運動させることで前記グラスラン(50)のめくりあげを元に戻した後、
前記ドアフレーム(200)に、前記インナーガーニッシュ(80)を正式に組付けることを特徴とする。
【0019】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、グラスランを保持する係止突起部が一体成形されたインナーガーニッシュは、その車内側を支点として車外側を第1方向及び第2方向、すなわちドアの前後方向(ドアを閉めた状態では自動車の前後方向)に回動自在であり、そのインナーガーニッシュの車内側を支点として車外側を回動させることでグラスランの第2車内側側壁部を第2方向側かつ車内側にめくりあげて、グラスランの第1車外側側壁部端部とガイド壁部端部間に形成される挿入口を拡げるようにしたので、ドアガラスに設けられたガラスガイドをグラスラン内部に容易に挿入することができる。
また、グラスランは、アウターガーニッシュに一体成形されたリテーナ部に組付けられるとともに、グラスランを保持する係止突起部もインナーガーニッシュに一体成形されているので、従来例のもの(
図10,
図11)と比較して部品点数を抑えて全体として軽量化するとともに、組付作業を容易に行うことができる。
しかも、グラスランは、従来例で示したもの(
図11)のように2分割されたものではないので、安定した状態で組付けることができ、またシール性が劣ることもない。
【0021】
また、本発明によれば、係止突起部は、リテーナ部の第3支持板に当接する第1取付板と、その第1取付板から車外側に延びる第2取付板と、その第2取付板から第2方向に突出しかつ第2車内側側壁部に沿って延びる第3取付板を備えるので、グラスランが係止突起部(すなわち、第1取付板,第2取付板,第3取付板で構成される、凹部)から容易に外れることを防止することができる。
【0022】
また本発明によれば、リテーナ部の第3支持板に対して前記インナーガーニッシュを係止させるようにしたので、インナーガーニッシュの車内側を支点として車外側を回動させるときに、グラスランが係止突起部から容易に外れることを防止することができ、リテーナ部にグラスランをより安定した状態で組付けることができる。
【0023】
また本発明によれば、グラスランの第2車内側側壁部は、ガイド壁部から車内側に傾斜しながら延びるものであるので、インナーガーニッシュの車内側を支点として車外側を回動させるときに、第2車内側側壁部の端部をインナーガーニッシュに押し当てることで、グラスランが係止突起部から容易に外れることを防止することができる。
【0024】
また本発明によれば、グラスラン側には、ガイド壁部の車内側から車外側に傾斜して延び第3取付板に弾接する押さえ部を設けたので、グラスランが係止突起部から容易に外れることはない。
【0025】
また本発明によれば、グラスランの第1車内側側壁部を硬質材で構成し、第1車内側側壁部の第2方向側端部に硬質材からなる先端突起を設けて、インナーガーニッシュの係止突起部の第2取付板の第1方向側面に当接するようにしたり、あるいは、第1車内側側壁部の第2方向側端部を硬質材とするものにかえて、高発泡材からなる先端突起又は先端リップを設けて、インナーガーニッシュの係止突起部の第2取付板の第1方向側面に弾接するようにしたので、グラスランの係止突起部に対する第1方向及び第2方向の位置規制を図り、位置決めを容易にして組付性を一層向上することができる。
また、アウターガーニッシュに対するインナーガーニッシュのがたつきを防止して異音の発生を抑えるとともにインナーガーニッシュに対するグラスランのシール性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図2】
図1において、本発明の実施形態に係るグラスラン組付方法を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造の別態様を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造の別態様を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造の別態様を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造の別態様を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造の別態様を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造の別態様を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図10】従来例に係るグラスラン組付構造を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【
図11】別の従来例に係るグラスラン組付構造を示す、
図9のA-A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るグラスラン組付構造及びその組付方法について説明する。なお、従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
本発明の実施形態に係るグラスランの組付構造は、
図1及び
図9に示すように、自動車ドアとしてフロントドア1を構成するドアフレーム200のセンターピラー側縦辺部に、フラッシュサーフェイス化、すなわち、フロントドア1の車外側表面とドアガラス100の車外側表面との面一化を図ったグラスラン50を組付けるものであり、グラスラン50はドアガラス100に取付けられたガラスガイド105を内方に案内する。ドアフレーム200は、自動車のベルトラインBLより上部に配置されアウターパネル201とインナーパネル202で構成され、ベルトラインBLより下部はドア本体部になっている。
【0028】
ガラスガイド105は、上下方向に延び、ドアガラス100の端部車内側に設けられ車内側及びドアガラス100の端面から外方側(ドアガラス100側となる第2方向とは逆側)となる第1方向に突出している。ガラスガイド105は、取付部105aと断面略矩形状のガイド部105bが一体成形されたものであり、取付部105aは接着剤又は両面テープによってドアガラス100に取付けられている。
なお、第1方向とは、フロントドア1の後方(フロントドア1を閉めた状態では自動車の後方)を示し、第2方向とはフロントドア1の前方(フロントドア1を閉めた状態では自動車の前方)を示す。また、車外側及び車内側とは、フロントドア1を閉めた状態で自動車の車外側及び車内側の方向を示す。
本実施形態例では、第1方向を後方あるいは後側,第2方向を前方あるいは前側と表現し、端部又は端については後部,前部又は後端,前端と表現する。
【0029】
このグラスラン50は、車外側側壁部51と、それよりも長い断面形状の第1車内側側壁部52と、両側壁部51,52を連結する連結壁部53と、第1車内側側壁部52の前端部から車外側に延びるガイド壁部54と、そのガイド壁部54から前側に延びる第2車内側側壁部55を有している。第2車内側側壁部55は、ガイド壁部54から車内側に傾斜しながら延びていて、車内側にいくにしたがって肉厚が徐々に厚くなっていて前端部では大きく肉盛りされている。
車外側側壁部51,第1車内側側壁部52,連結壁部53の内方側、すなわち、車外側側壁部51の車内側,第1車内側側壁部52の車外側,連結壁部53の前側には、車外側側壁部51,連結壁部53,第1車内側側壁部52及びガイド壁部54で囲まれた嵌合凹部56に案内される、ガラスガイド105のガイド部105bに摺接するシールリップ部51a,52a,53aが形成されている。
シールリップ部51aは車外側側壁部51の前端車内側から車内側かつ後側に延び、シールリップ部52aは第1車内側側壁部52の中央車外側から車外側かつ前側に延び、シールリップ部53aは連結壁部53の車外側寄り前側から前側かつ車内側に延びている。
【0030】
ガイド壁部54の後側面も、ガイド部105bの前側面に摺接する。また、第2車内側側壁部55の前端車外側からも車外側かつ後側にシールリップ部55aが延びていてガラスガイド105の取付部105aの車外側面に摺接する。
また、ガイド壁部54の車内側前側には、前側かつ車外側に傾斜して延びるリップ状の押さえ部57が形成され、第2車内側側壁部55の前端部車内側には後側に延び車外側と後側に突起58a,58bが設けられた係止部58が形成されている。
また、係止部58の前端部車内側には車内側に延びる意匠部59が形成されている。
【0031】
グラスラン50の材質としては、ゴム様弾性体であれば、特に限定はされない。EPDM等の各種合成ゴムや,オレフィン系熱可塑性エラストマーや,スチレン系熱可塑性エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーがあげられるが、特に限定されるものではない。
また製品としては、これら材質の内の一つによる単一構成であってもよいし、2種類以上を複合させた構成でもよい。また発泡させたものであってもよい。
【0032】
ドアフレーム200のアウターパネル201の最外面にはアウターガーニッシュ60がビスや両面テープ等によって固定され(図示省略)、インナーパネル202には車内側から車外側に向けて延びるインナーガーニッシュ80がビスや両面テープ等によって固定されている(図示省略)。
【0033】
アウターガーニッシュ60の前側にはグラスラン50が装着されるリテーナ部70が一体成形されている。
リテーナ部70は、アウターガーニッシュ60の前端面から前側に延びる第1支持板71と、アウターガーニッシュ60の前端部の車内側面から車内側に延びる第2支持板72と、その第2支持板72の車内側端面から前側に延びる第3支持板73からなり、それらの支持板71~73で囲まれた内方凹部75にグラスラン50が装着される。
第1支持板71の断面形状の前後方向の長さは、グラスラン50の車外側側壁部51の長さよりも短く、第1支持板71の後側車内側面には凹部71aが形成されグラスラン50の車外側側壁部51の後側車外側面に形成された凸部51bが嵌合するようになっている。
また、第2支持板72の前側面は平担になっていて、第2支持板72の断面形状の車内外方向の長さは、グラスラン50の連結壁部53とその車外側に形成された突出リップ部53bの長さを加えた長さよりも短く、グラスラン50は装着時、内方凹部75に圧入されるようになっている。
また、第3支持板73の車外側面は平担になっていて、第3支持板73の断面形状の前後方向の長さは、グラスラン50の第1車内側側壁部52に第2車内側側壁部55の長さを加えた長さよりも短い。
アウターガーニッシュ60及びリテーナ部70は樹脂で一体成形されている。
【0034】
インナーガーニッシュ80の車外側にはグラスラン50を保持可能な係止突起部90が一体成形されている。
インナーガーニッシュ80は、車内側から車外側に延びる垂直延長板81と、その垂直延長板81の車内側端部から後側に延びる水平延長板82と、その水平延長板82の後端部から車外側に延びて車外側端部がインナーパネル202の車内側から車外側に延びる垂直面202aに後面に固定される固定板83と、垂直延長板81の車外側端部と係止突起部90を一体的に連結する湾曲板84を有している。湾曲板84は、垂直延長板81から車外側かつ後側に向けて湾曲し車内側に突出するように延びていて、車内側面はリテーナ部70の第3支持板73の前端部に当接している。
【0035】
係止突起部90は、リテーナ部70の第3支持板73の車外側において第3支持板73に平行に、すなわち前後方向に延びるとともに第3支持板73の車外側面に当接する第1取付板91と、その第1取付板91の後端部から車外側に延びる第2取付板92と、その第2取付板92の車外側端部から前方向に突出する第3取付板93と、第2取付板92の車外側端部から後方向に突出する第4取付板94とからなり、第1取付板91の前端部は、湾曲板84の後端部に一体的に連結されている。
【0036】
係止突起部90に対してグラスラン50の第2車内側側壁部55の車内側に形成された係止部58が係止される。そのとき、グラスラン50の押さえ部57と係止部58が、係止突起部90の第3取付板93の車内側面に接する。押さえ部57はリップ状で第2取付板92に対向して第4取付板94の後側に車内側から弾接し、係止部58の突起58aは第2取付板92に対向して第3取付板93の前側に車内側から当接し突起58bは第2取付板92の前側面に当接して、グラスラン50を保持するようになっている。また、グラスラン50の意匠部59はインナーガーニッシュ80の湾曲板84の車外側に当接して湾曲板84をリテーナ部70の第3支持板73の前端部に押し付けるようになっている。その上、第2車内側側壁部55の前側は車内側に延びしかもグラスラン50の他の部位と比較して大きく肉盛りされているので、湾曲板84をリテーナ部70の第3支持板73の前端部に押し付ける力は大きい。
【0037】
また係止突起部90が一体成形されたインナーガーニッシュ80は、その車内側を支点として車外側を前後方向に回動自在にするような樹脂で構成されている。
【0038】
このようにして構成されたグラスラン組付構造において、グラスラン50を具体的に組付ける際には、先ず、ドアフレーム200のアウターパネル201の最外面に、リテーナ部70が前側に一体成形されたアウターガーニッシュ60を組付けるとともに、インナーパネル202の垂直面202aに、係止突起部90が車外側に一体成形されたインナーガーニッシュ80を組付ける。アウターガーニッシュ60とインナーガーニッシュ80の組付けはどちらからでもよい。
【0039】
次に、グラスラン50に形成された係止部58を、インナーガーニッシュ80の係止突起部90に係止してグラスラン50を保持した後、アウターガーニッシュ60のリテーナ部70の内方凹部75にグラスラン50を組付ける。
【0040】
次に、ドアガラス100に設けられたガラスガイド105を、グラスラン50の車外側側壁部51,連結壁部53,第1車内側側壁部52及びガイド壁部54で囲まれた嵌合凹部56に挿入するが、このままでは挿入口、すなわち、車外側側壁部51の前端とガイド壁部54の車外側端の幅が狭くガラスガイド105のガイド部105bを挿入することができない。
そこで、
図2に矢印aで示すように、インナーガーニッシュ80をその車内側を支点として車外側を前側に円運動させることでグラスラン50の第2車内側側壁部55を矢印bで示すように、前側かつ車内側にめくりあげて、挿入口を拡げ、矢印cで示すように、ガラスガイド105のガイド部105bをグラスラン50の嵌合凹部56に仮挿入する。
【0041】
この第2車内側側壁部55を前側かつ車内側にめくりあげるときには、
図2に示すように、グラスラン50の押さえ部57は、係止突起部90の第4取付板94から離れるが、第2取付板92の後側面がリテーナ部70の第3支持板73の前端に当接し、係止部58の突起58aは第2取付板92に対向して第3取付板93の前側に車内側から当接し突起58bは第2取付板92の前側面に当接する。またインナーガーニッシュ80の円運動にしたがって第2車内側側壁部55の前側が、湾曲板84をリテーナ部70の第3支持板73の前端部に押し付ける力が作用するので、グラスラン50は安定した状態で保持され、めくりあげのときに、係止突起部90からグラスラン50が外れる心配はない。
【0042】
そして、ガラスガイド105のガイド部105bをグラスラン50の嵌合凹部56に仮挿入した後に、矢印dで示すように、インナーガーニッシュ80をその車内側を支点として車外側を後側に円運動させることでグラスラン50のめくりあげを矢印eで示すように、元に戻すことで、ドアガラス100に設けられたガラスガイド105を含めたグラスラン50の組付けが完了する。
【0043】
なお、ここでは、インナーパネル202の垂直面202aに、係止突起部90が車外側に一体成形されたインナーガーニッシュ80を先に組付けるようにしたが、すなわち、インナーパネル202の垂直面202aにインナーガーニッシュ80の固定板83をビスや両面テープ等によって完全に固定するようにしたが、完全に固定するのではなく固定板83をインナーガーニッシュ80側に位置するように仮の組付けをして、上述したように、矢印aで示すように、インナーガーニッシュ80の前方向への回動でグラスラン50の第2車内側側壁部55を、矢印bで示すように、前側かつ車内側にめくりあげて、矢印cで示すように、ガラスガイド105のガイド部105bをグラスラン50の嵌合凹部56に仮挿入した後、矢印dで示すように、インナーガーニッシュ80の後方向の回動で、矢印eで示すように、第2車内側側壁部55のめくりあげを元に戻した後、インナーガーニッシュ80を後から組付けるようにしてもよい。
【0044】
これによれば、グラスラン50を保持する係止突起部90が車外側に一体成形されたインナーガーニッシュ80を、車内側を支点として車外側を回動させることでグラスラン50の第2車内側側壁部55を前側かつ車内側にめくりあげて、挿入口を拡げるようにしたので、ガラスガイド105のガイド部105bをグラスラン50の嵌合凹部56に容易に挿入することができる。
また、グラスラン50は、アウターガーニッシュ60に一体成形されたリテーナ部70に組付けられるとともに、グラスラン50を保持する係止突起部90もインナーガーニッシュ80に一体成形されているので、部品点数を抑え、全体として軽量化するとともに、組付作業を容易に行うことができる。
しかも、グラスラン50は、
図11に従来例として示したもののように2分割されたものではないので、安定した状態で組付けることができ、またシール性が劣ることもない。
【0045】
なお、本実施形態では、インナーガーニッシュ80に一体成形された係止突起部90を第1取付板91,第2取付板92,第3取付板93,第4取付板94で構成して、グラスラン50の第2車内側側壁部55の車内側の端部にある係止部58を係止するようにしたが、これに限定されることはなく、係止突起部90がグラスラン50を確実に保持して、インナーガーニッシュ80をその車内側を支点として車外側を前側に円運動させることでグラスラン50の第2車内側側壁部55を前側かつ車内側にめくりあげて、挿入口を拡げることができる構成であればよい。
例えば、ここではグラスラン50の第2車内側側壁部55をガイド壁部54から前側かつ車内側に傾斜させ、これに沿うように係止突起部90の第3取付板93も傾斜させるようにしたが、前後方向にドアガラス100に対して略平行に延びるものであってもよい。
また、インナーガーニッシュ80の第1取付板91,第2取付板92,第3取付板93で構成される凹部に、グラスラン50の係止部58を係止するようにする事に変えて、グラスラン50の意匠部59の前側面に凹部を設けて、インナーガーニッシュ80の車外側に後側に延びる凸部を設けて、インナーガーニッシュ80の凸部をグラスラン50の凹部に係止する(図示省略)ようにしても良いし、グラスラン50の意匠部59に間歇的に穴部を設けて、インナーガーニッシュ80の車外側に後側に延びる凸部を間歇的に設けて、インナーガーニッシュ80の凸部をグラスラン50の穴部に貫通させて係止する(図示省略)ようにしても良い。
【0046】
また、
図3~
図5に示すように、リテーナ部70の第3支持板73に対してインナーガーニッシュ80の係止突起部90を介して係止させるようにして、グラスラン50が係止突起部90から容易に外れることがないようにすることもできる。これによれば、リテーナ部70にグラスラン50をより安定した状態で組付けることができる。
【0047】
図3は、リテーナ部70の第3支持板73の前側車外側面に凹部73aを形成し、その凹部73aに、インナーガーニッシュ80に一定成形された係止突起部90の第1取付板91の後側車内側面に形成した凸部91aの前側面を係止させて引っ掛けるようにしたものである。
また、
図4は、係止突起部90の第2取付板92に貫通穴92aを間歇的に形成し、その貫通穴92aに、リテーナ部70の第3支持板73の前端に間歇的に形成した凸部73bを挿入して係止させるようにしたものである。
また、
図5は、インナーガーニッシュ80の垂直延長板81と湾曲板84の連結位置から後側に延びるリブ81aを設けて、そのリブ81aの後端車外側面に突設した凸部81bを、リテーナ部70の第3支持板73の前側車内側面に突設した凸部73cに係止させて引っ掛けるようにしたものである。
また、アウターガーニッシュ60に一体成形されたリテーナ部70の凸部73cよりも後側に複数列(
図5では3列)の厚肉凸部73dを設けるようにしてもよい。これにより、凸部73c周辺の剛性を上げることができる。
【0048】
また、
図6に示すように、グラスラン50の他の部位と比較して第1車内側側壁部52だけをPP(ポリプロピレン)などの硬質材で構成するとともに、第1車内側側壁部52の前端部に同じく硬質材からなる先端突起52bを設けて、インナーガーニッシュ80の係止突起部90の第2取付板92の後側面に当接するようにすることもできる。
これによれば、グラスラン50に対する係止突起部90の前後方向の位置規制を図り、位置決めを容易にして組付性を一層向上することができる。
【0049】
また、
図7及び
図8に示すように、グラスラン50の他の部位と比較して第1車内側側壁部52だけをPP(ポリプロピレン)などの硬質材で構成するとともに、第1車内側側壁部52の前端部にソフトTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)などの高発泡材からなる先端突起52c(
図7)や先端リップ52d(
図8)を設けて、インナーガーニッシュ80の係止突起部90の第2取付板92の後側面にラップ設定として弾接するようにすることもできる。
これによれば、インナーガーニッシュ80の係止突起部90の第1取付板91の凸部91aの前側面を、アウターガーニッシュ60のリテーナ部70の第3支持板73の凹部73aの前側面に圧接させることにより、アウターガーニッシュ60に対するインナーガーニッシュ80のがたつきを防止して異音の発生を抑えるとともに、インナーガーニッシュ80に対するグラスラン50の弾接により、シール性を向上することもできる。
【0050】
また、
図3~
図5に示した形態のものに、
図6~
図9に示したものを組合わせることも可能である。
【0051】
なお、本実施形態では、フロントドア1にグラスラン50を組付ける組付構造及び組付方法について説明したが、リヤドアにおいても同様に適用される。この場合には、第1方向とは、リヤドアの前方(リヤドアを閉めた状態では自動車の前方)を示し、第2方向とはリヤドアの後方(リヤドアを閉めた状態では自動車の後方)を示す。
【符号の説明】
【0052】
1 フロントドア(自動車ドア)
2 ドアフレーム
2A 凹部
2B フランジ
3 インナーガーニッシュ
4 外装材
10 グラスラン
11 車外側側壁部
12 車内側側壁部
13 連結壁部
14 突出部
15 嵌合凹部
16~18 シールリップ部
19 見切りシール部
20 規制部
21 保持リップ部
30 グラスラン
31 アウター側部
32 インナー側部
41 アウターパネル
42 リベット
43 サッシュ
44 外装材
45 インナーガーニッシュ
50 グラスラン
51 車外側側壁部
51a シールリップ部
51b 凸部
52 第1車内側側壁部
52a シールリップ部
52b 先端突起
52c 先端突起
52d 先端リップ
53 連結壁部
53a シールリップ部
53b 突出リップ部
54 ガイド壁部
55 第2車内側側壁部
55a シールリップ部
56 嵌合凹部
57 押さえ部
58 係止部
58a,58b 突起
59 意匠部
60 アウターガーニッシュ
70 リテーナ部
71 第1支持板
71a 凹部
72 第2支持板
73 第3支持板
73a 凹部
73b 凸部
73c 凸部
73d 厚肉凸部
75 内方凹部
80 インナーガーニッシュ
81 垂直延長板
81a リブ
81b 凸部
82 水平延長板
83 固定板
83a 凹部
84 湾曲板
90 係止突起部
91 第1取付板
91a 凸部
92 第2取付板
92a 貫通穴
93 第3取付板
94 第4取付板
100 ドアガラス
101 ガラスガイド
101a 取付部
101b ガイド部
102 ガラスガイド
105 ガラスガイド
105a 取付部
105b ガイド部
200 ドアフレーム
201 アウターパネル
202 インナーパネル
202a 垂直面
BL ベルトライン
【手続補正書】
【提出日】2021-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアを構成するドアフレームの縦辺部において、昇降するドアガラスの端部車内側に設けられ車内側及びドアガラスの端面から外方側となる第1方向に突出するガラスガイドを案内するとともに、車外側側壁部,第1車内側側壁部,両側壁部を連結する連結壁部,前記第1車内側側壁部端部の車外面から車外側に延び前記ガラスガイドの内方側となる第2方向の側面に弾接するガイド壁部を有し、前記車外側側壁部,第1車内側側壁部,連結壁部,ガイド壁部で構成される嵌合凹部内部に前記ガラスガイドを嵌挿するとともに、前記ガイド壁部から第2方向側に延びる第2車内側側壁部を有し、
前記ガラスガイドにフラッシュサーフェイス化を図ったグラスランが取付けられ、
前記ドアフレームのアウターパネルの最外面にはアウターガーニッシュが固定され、インナーパネルには車内側から車外側に向けて延びるインナーガーニッシュの車内側が固定されてなる自動車用ドアのグラスラン組付構造であって、
前記アウターガーニッシュに一体成形され、前記アウターガーニッシュの第2方向側端面から第2方向側に延びる第1支持板と、前記アウターガーニッシュの第2方向側端部の車内側面から車内側に延びる第2支持板と、その第2支持板から第2方向側に延びる第3支持板からなる内方凹部に前記グラスランが装着されるリテーナ部と、
前記インナーガーニッシュに一体成形された、係止突起部を備え、
前記グラスランの前記第2車内側側壁部の端部にある係止部を前記インナーガーニッシュの前記係止突起部に係止し、
前記インナーガーニッシュを、その車内側を支点として車外側を第1方向及び第2方向に回動自在にしたことを特徴とするグラスラン組付構造。
【請求項2】
前記係止突起部は、前記リテーナ部の前記第3支持板に当接する第1取付板と、その第1取付板から車外側に延びる第2取付板と、その第2取付板から第2方向に突出しかつ前記第2車内側側壁部に沿って延びる第3取付板を備えることを特徴とする請求項1に記載のグラスラン組付構造。
【請求項3】
前記リテーナ部の前記第3支持板に対して前記インナーガーニッシュを係止させることを特徴とする請求項1又は2に記載のグラスラン組付構造。
【請求項4】
前記グラスランの前記第2車内側側壁部は、前記ガイド壁部から車内側に傾斜しながら延びることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項5】
前記係止突起部は、前記第2取付板から第1方向に突出しかつ前記第2車内側側壁部に沿って延びる第4取付板を備え、
前記グラスランの前記ガイド壁部の車内側から車外側に傾斜して延び前記第4取付板の車内側面に弾接する押さえ部を備えることを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項6】
前記グラスランの前記第1車内側側壁部を硬質材で構成し、前記第1車内側側壁部の第2方向側端部に硬質材からなる先端突起を設けて、前記インナーガーニッシュの前記係止突起部の前記第2取付板の第1方向側面に当接するようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項7】
前記グラスランの前記第1車内側側壁部を硬質材で構成し、前記第1車内側側壁部の第2方向側端部に高発泡材からなる先端突起又は先端リップを設けて、前記インナーガーニッシュの前記係止突起部の前記第2取付板の第1方向側面に弾接するようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造において、前記グラスンランを組付ける際には、
前記ドアフレームに、前記アウターガーニッシュと前記インナーガーニッシュを組付けた後、
前記グラスランの前記第2車内側側壁部の端部にある前記係止部を前記インナーガーニッシュの前記係止突起部に係止して前記グラスランを保持した後、
前記アウターガーニッシュの前記リテーナ部の前記内方凹部に前記グラスランを組付け、
その後、前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第2方向側に円運動させることで前記グラスランの前記第2車内側側壁部を第2方向かつ車内側にめくりあげて、前記ドアガラスに設けられた前記ガラスガイドを前記グラスランに設けられた前記嵌合凹部に挿入し、
前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第1方向側に円運動させることで前記グラスランのめくりあげを元に戻すことを特徴とするグラスラン組付方法。
【請求項9】
前記請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載のグラスラン組付構造において、前記グラスンランを組付ける際には、
前記ドアフレームに、前記アウターガーニッシュを組付けるとともに、前記インナーガーニッシュを仮固定した後、
前記グラスランの前記第2車内側側壁部の端部にある前記係止部を前記インナーガーニッシュの前記係止突起部に係止して前記グラスランを保持した後、
前記アウターガーニッシュの前記リテーナ部の前記内方凹部に前記グラスランを組付け、
その後、前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第2方向側に円運動させることで前記グラスランの前記第2車内側側壁部を第2方向かつ車内側にめくりあげて、前記ドアガラスに設けられた前記ガラスガイドを前記グラスランに設けられた前記嵌合凹部に挿入し、
前記インナーガーニッシュをその車内側を支点として車外側を第1方向側に円運動させることで前記グラスランのめくりあげを元に戻した後、
前記ドアフレームに、前記インナーガーニッシュを正式に組付けることを特徴とするグラスラン組付方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明は、前記係止突起部(90)は、前記第2取付板(92)から第1方向に突出しかつ前記第2車内側側壁部(55)に沿って延びる第4取付板(94)を備え、前記グラスラン(50)の前記ガイド壁部(54)の車内側から車外側に傾斜して延び前記第4取付板(94)の車内側面に弾接する押さえ部(57)を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
また本発明によれば、グラスラン側には、ガイド壁部の車内側から車外側に傾斜して延び第4取付板に弾接する押さえ部を設けたので、グラスランが係止突起部から容易に外れることはない。