(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087743
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】防護服及び廃棄防護服処理装置
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20220606BHJP
A41D 13/02 20060101ALI20220606BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20220606BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A41D13/00 105
A41D13/02
B09B3/00 A ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199873
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】520473443
【氏名又は名称】株式会社金澤バイオ研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121371
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 和人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 克也
(72)【発明者】
【氏名】金澤 晋二郎
(72)【発明者】
【氏名】金澤 聡子
【テーマコード(参考)】
3B011
4D004
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AA04
3B011AA05
3B011AB01
3B011AC00
4D004AA07
4D004AA12
4D004BB10
4D004CA15
4D004CA19
4D004CA22
4D004CB09
4D004CB32
4D004CC02
4D004CC03
4D004CC07
4D004CC08
4D004DA06
4D004DA08
4D004DA13
(57)【要約】
【課題】環境負荷を少なく、高速に且つ危険有害性の拡散を防止して安全に処理可能な防護服及び廃棄防護服処理装置の提供。
【解決手段】防護服は、ポリ乳酸を原料とする生分解性フィルムにより構成された生地を、生分解が可能な糸で縫製するとともに、着脱用のジッパーを生分解性プラスチックで構成した。また、廃棄防護服処理装置は、廃棄防護服及び種菌資材を収容する缶体部と、缶体部を上下反転するように回動駆動する缶体駆動機構と、缶体部を加温するヒータと、缶体部内に水を給水する給水装置と、缶体部内にエアを送・排気する送排気装置とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸を原料とする生分解性フィルムにより構成された生地を、生分解が可能な糸で縫製するとともに、着脱用のジッパーを生分解性プラスチックで構成した防護服。
【請求項2】
生分解性の防護服を減容処理するための廃棄防護服処理装置であって、
廃棄防護服及び種菌資材を収容する缶体部と、
前記缶体部を上下反転するように回動駆動する缶体駆動機構と、
前記缶体部を加温するヒータと、
前記缶体部内に水を給水する給水装置と、
前記缶体部内にエアを送・排気する送排気装置と、
を備えた廃棄防護服処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物分解により処分可能な生分解性防護服及び廃棄防護服処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
危険有害性(ハザード)から身体を防護するために使用する服を「防護服」という。防護服は、防護対象とする危険有害性により、化学防護服,バイオハザード対策用防護服,熱と火炎に対する防護服,切創・突き刺しに対する防護服,放射性物質による汚染に対する防護服,電気に対する防護服,寒冷に対する防護服,その他の防護服(高視認性安全服、暑熱対策服、雨衣・ウインドブレーカー等)に分類されるが(非特許文献1参照)、本明細書で「防護服」というときには、特に、化学防護服,バイオハザード対策用防護服,放射性物質による汚染に対する防護服を指すものとする。現在、防護服の殆どは、その素材にプラスチックが利用されている。防護服は、使用後はその表面が汚染されるために、通常は廃棄される。防護服の廃棄は、通常は焼却処分場に搬送して、高温で焼却処分される。この際、危険有害性は、防護服の脱衣前に洗滌により除去されるが、洗滌後もウイルスや放射性物質などの危険有害性が防護服に附着しているリスクがあり、使用後の防護服の保管・搬送や焼却処分の際には危険有害性が漏出したり作業者が危険有害性で汚染されないように十分な管理が必要とされ、リスク(将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性)が大きく、処理コストも高い。また、現在、放射線作業に用いられる防護服は、タイベックス(登録商標)と呼ばれる高密度ポリエチレンからなる不織布を使用したものが標準であるが、タイベックスは燃焼熱量が大きく、燃焼温度も高いため、焼却処分の際の設備負荷が大きいという問題もある。従って、使用済みの防護服をより安全に且つ低コストで処理可能とすることは重要な技術的課題である。
【0003】
安全に且つ低コストで処理可能な防護服として、土中埋設処分による微生物分解が可能な生分解性の防護服が知られている。生分解性の防護服としては、特許文献1-2に記載のものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-166690号公報
【特許文献2】登録実用新案第3181408号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】一般財団法人日本防護服協議会,「防護服の種類(日本防護服協議会ホームページ)」,[online],一般財団法人日本防護服協議会,[令和2年11月29日検索],インターネット(URL:http://www.bougofuku.net/what/index_02.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然し乍ら、従来の生分解性の防護服は、生分解性であることから埋め立て処分も可能であるが、土中で完全に分解するまでには2年程度の時間が必要である。従って、大量に生じる廃棄防護服を処分するには、結局、焼却処分を行う必要があるため、上述したハイリスク、高処理コストの問題が依然として残されている。また、焼却処分は、燃料として石油を大量に使用することから、環境に対する負荷も大きいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、環境負荷を少なく、高速に、且つ危険有害性の拡散を防止した状態で安全に処理することが可能な防護服及び廃棄防護服処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る防護服は、ポリ乳酸を原料とする生分解性フィルムにより構成された生地を、生分解が可能な糸で縫製するとともに、着脱用のジッパーを生分解性プラスチックで構成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る廃棄防護服処理装置は、生分解性の防護服を減容処理するための廃棄防護服処理装置であって、
廃棄防護服及び種菌資材を収容する缶体部と、
前記缶体部を上下反転するように回動駆動する缶体駆動機構と、
前記缶体部を加温するヒータと、
前記缶体部内に水を給水する給水装置と、
前記缶体部内にエアを送・排気する送排気装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の防護服及び廃棄防護服処理装置によれば、除染作業などにおいて大量に発生する廃棄された防護服を、環境負荷が少なく、且つ高速に、且つ危険有害性の拡散を防止した状態で安全に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に掛かる防護服を表す図である。
【
図2】本発明の実施例2に掛かる防護服を表す図である。
【
図3】本発明の実施例3に掛かる防護服を表す図である。
【
図4】本発明の実施例4に係る廃棄防護服処理装置の外観図である。
【
図5】廃棄防護服処理装置へ処理物の投入後3日間の変化の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1に掛かる防護服を表す図である。
図1の防護服は、頭部から足部までがつなぎとなったバイオウェアである。この防護服は、ポリ乳酸を原料とした生分解性フィルムにより生地が作られており、着脱のためのジッパーも、生分解性プラスチックで作られている。ここで、「生分解性フィルム」とは、農業用フィルムなどで用いられる生分解性マルチフィルムなどと同様のものであり、生分解性の合成樹脂を薄い膜状に成型したものを指す。ポリ乳酸は、トウモロコシなどの植物由来のデンプンを原料として製造されている。ポリ乳酸は、微生物により、最終的に、水と二酸化炭素に分解され、処理にあたって有害な成分を発生しない。また、この防護服は、手首・足首・頭部などの部位には、生物分解が可能な生ゴムが使用されている。これにより、伸縮性を確保し、外部から塵埃の侵入を阻止し、防護服としての機能性を維持している。各生地のパターンや其々のパーツは、生分解性糸、綿糸、又は絹糸など、生地と同様に、生分解が可能な糸で縫製されている。これにより、防護服全体の生分解性が確保されている。