(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087766
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】ベルト固着構造
(51)【国際特許分類】
A45C 13/30 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
A45C13/30 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199932
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】513317220
【氏名又は名称】有限会社モスリー
(74)【代理人】
【識別番号】100112601
【弁理士】
【氏名又は名称】金原 正道
(72)【発明者】
【氏名】西田 明夫
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA11
3B045AA35
3B045AA52
3B045AA53
3B045GD08
(57)【要約】
【課題】 ベルトを強固に固着させつつ、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、簡易な構造のベルト固着構造を提供する。
【解決手段】 布地本体と、ベルト本体とが固着される固着部の構造において、固着部は、布地本体とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、布地本体とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられる。固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、布地本体とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布・皮革・人工皮革その他のシートからなる布地本体と、これに接続されて備えられる可撓性のあるベルト本体とが固着される固着部の構造であって、
前記固着部は、布地本体とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、
前記固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、布地本体とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられ、
前記の固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、布地本体とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、
前記補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、
可撓性のあるベルト本体の動きから前記固着ステッチ部を補強し、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有することを特徴とする、布地本体へのベルト固着構造。
【請求項2】
可撓性のあるベルト本体と、バックル・ベルト金具その他の部材を通して折り返された布地本体であるベルト本体端部と、が固着される固着部の構造であって、
前記固着部は、折り返されたベルト本体端部とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、
前記固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、折り返されたベルト本体端部とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられ、
前記の固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、折り返されたベルト本体端部とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、
前記補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、
可撓性のあるベルト本体の動きから前記固着ステッチ部を補強し、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有することを特徴とする、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造。
【請求項3】
カバン本体と、これに接続されて備えられる可撓性のある布地本体であるベルト本体と、が固着される固着部の構造であって、
前記固着部は、カバン本体とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、
前記固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、カバン本体とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられ、
前記の固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、カバン本体とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、
前記補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、
可撓性のあるベルト本体の動きから前記固着ステッチ部を補強し、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有することを特徴とする、バッグ本体へのベルト固着構造。
【請求項4】
前記固着ステッチ部には少なくとも、固着ステッチ部の外周に沿って矩形を描くように縫い糸のステッチが配置されたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のベルト固着構造。
【請求項5】
前記固着ステッチ部には少なくとも、前記補強ステッチ部の弧の両端から弧の概略中心方向に向けて、縫い糸のステッチがさらに配置されたことを特徴とする、請求項4に記載のベルト固着構造。
【請求項6】
前記補強ステッチ部は、前記固着ステッチ部に接して複数設けられ、複数のそれぞれベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置されたことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のベルト固着構造。
【請求項7】
前記ベルト本体は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に備えられた、持ち手または取っ手であることを特徴とする、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造。
【請求項8】
前記ベルト本体は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に備えられた、蓋を閉めるためのフラップベルトであることを特徴とする、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造。
【請求項9】
前記ベルト本体は、ウエストポーチ・リュックサックその他のカバン本体に備えられた、腰に固定するためのウエストベルトであることを特徴とする、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造。
【請求項10】
前記ベルト本体は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に備えられた、カバン本体の外部に物を固定するためのベルトであることを特徴とする、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取っ手などのベルトを、カバンや布地に固着するためのベルト固着構造に関するものであり、布地本体へのベルト固着構造、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造のほか、特にバッグ本体へのベルト固着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、布・皮革・人工皮革その他のシートからなる服、その他の各種の布地に、撓んだり様々ン方向に引っ張り力がかかる持ち手・取っ手・ベルト、あるいはリボンなどのベルト本体を固着することが、服飾その他の分野において広く行われている。
また、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に、同様に可撓性のある持ち手・取っ手・ベルトその他のベルト本体を固着することが、鞄製造などの分野において広く行われている。
【0003】
ビジネスバッグなどの各種の鞄には、持ち手のほかに、肩から吊り下げるベルトを設けるなどして、携行方法を複数備えたものが工夫されてきた。
また、手で持つための持ち手、肩から下げるショルダーベルト、背負うためのリュックベルトなど、カバン本体にベルトを固着する構造や、そのための部材が各種開発されている。
【0004】
また登山やアウトドア用のリュックサックなどでは、収納袋部分の外側に、傘や水筒、ペットボトル、釣り竿などを固定するためのベルトからなる収納部を設けるなど、布地とベルトとを固着する構造は、様々な部分で用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2-94569号公報
【特許文献2】特開2002-238632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、布地とベルトとを固着する様々な構造には、服飾業界や鞄製造業界などにおいては、縫製による方法が一般的に広く利用されている。
たとえば実開平2-94569号公報「補強ベルト」においては、第1図に示されるように、ベルトその他の可撓性のあるベルト本体と、バックル・ベルト金具その他の部材を通して折り返されたベルト本体端部とが固着される固着部において、ベルトと折り返されたベルトの端部とを重ね合わせ、それらを矩形に縫製し、さらに矩形内部にバツ印を描くように二本の直線を交差させた縫製が施されている。
【0007】
しかしながら、従来のベルト固着構造の作用の一例を示す
図12に示されるように、固着部を補強するために矩形内部にバツ印を描くように二本の直線を交差させた縫製が施したとしても、矩形には角があるため、ベルトに様々な方向から引っ張る力をかけた場合には、縫製に角があるために、そこに負荷が集中してかかり、縫製がほどけたり糸が切れるなどして、破損しやすいという問題があった。
こうした問題は、カバン本体に取っ手、持ち手や、ショルダーベルト、ウエストベルトなどを固着する部分においても同様であり、やはり縫製の角に負荷が集中してかかり、縫製がほどけたり糸が切れるなどして、破損しやすいという問題があった。
【0008】
特開2002-238632号「背負鞄」においては、
図2に示されるように、ランドセルの背負いベルトの取り付け箇所において、ベルトの上から補強するための押さえ部材をあて、これをカバン本体、ベルトとともに一体に縫製し、さらに金属等のハトメによって強固に固着するという方法が開示されている。
しかしながら、このような構造はランドセルのように肉厚の堅い皮革同士を固着する場合には有効ではあるものの、布地、あるいはランドセルほどの厚みのない各種素材の生地からなる鞄や、服飾用布地などにおいて、ベルトを固着する方法には採用しがたい。
【0009】
さらに、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体には、複数の箇所において、いくつもの各種のベルトを設けることも多く、それぞれの箇所において、ベルトを強固に固着させつつ、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する固着構造を、複雑な構造とならずに採用することが望まれている。
また、鞄やリュックサックの蓋を閉めるためのフラップベルトなどにあっては、カバン本体とベルトとを固着させる部分と、ベルトとバックル等とを固着させる部分とのそれぞれに、縫製による固着構造を採用する場合も多い。
【0010】
そこで本発明においては、上記の様々な課題を解決し、取っ手などのベルトを、カバンや布地に固着するためのベルト固着構造において、布地本体へのベルト固着構造、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造、バッグ本体へのベルト固着構造などの様々な構造にも採用でき、ベルトを強固に固着させつつ、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、複雑な構造とならないベルト固着構造を提供することを目的とする。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
布・皮革・人工皮革その他のシートからなる布地本体と、これに接続されて備えられる可撓性のあるベルト本体とが固着される固着部の構造であって、
前記固着部は、布地本体とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、
前記固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、布地本体とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられ、
前記の固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、布地本体とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、
前記補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、
可撓性のあるベルト本体の動きから前記固着ステッチ部を補強し、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、布地本体へのベルト固着構造であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明は、一例をあげれば、ドレスやコート、エプロンなどの腰部分に、左右一対のベルトを固着させ、ベルト同士を結ぶような場合に利用することができる。また、服に限らず、たとえば傘、テント、タープ、革製キーホルダー、その他の様々な布地にベルトを固着させる場合に利用することができる。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、
可撓性のあるベルト本体と、バックル・ベルト金具その他の部材を通して折り返された布地本体であるベルト本体端部と、が固着される固着部の構造であって、
前記固着部は、折り返されたベルト本体端部とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、
前記固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、折り返されたベルト本体端部とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられ、
前記の固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、折り返されたベルト本体端部とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、
前記補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、
可撓性のあるベルト本体の動きから前記固着ステッチ部を補強し、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、一例をあげれば、服飾ベルトにバックルを取り付け、バックル金具を通して折り返されたベルトをベルト本体に固着させるような場合に利用することができる。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、
カバン本体と、これに接続されて備えられる可撓性のある布地本体であるベルト本体と、が固着される固着部の構造であって、
前記固着部は、カバン本体とベルト本体とを重ねて固着する固着ステッチ部と、
前記固着ステッチ部に接してベルト本体の固着されない部分方向には、カバン本体とベルト本体とを重ねて固着するとともに、前記固着ステッチ部を補強する補強ステッチ部と、が備えられ、
前記の固着ステッチ部及び補強ステッチ部はいずれも、カバン本体とベルト本体とを重ねて縫い糸により固着するものであり、
前記補強ステッチ部には、ベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置され、
可撓性のあるベルト本体の動きから前記固着ステッチ部を補強し、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、バッグ本体へのベルト固着構造であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、一例をあげれば、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に、持ち手・取っ手・ベルトその他の可撓性のあるベルト本体を固着させるような場合に利用することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、
前記固着ステッチ部には少なくとも、固着ステッチ部の外周に沿って矩形を描くように縫い糸のステッチが配置された、請求項1~3のいずれかに記載のベルト固着構造であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、
前記固着ステッチ部には少なくとも、前記補強ステッチ部の弧の両端から弧の概略中心方向に向けて、縫い糸のステッチがさらに配置された、請求項4に記載のベルト固着構造であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、
前記補強ステッチ部は、前記固着ステッチ部に接して複数設けられ、複数のそれぞれベルト本体の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置された、請求項1~5のいずれかに記載のベルト固着構造であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、一例をあげれば、ドレスやコート、エプロンなどの腰部分の背中側に、一本のベルトを固着させ、左右両端の固着されていない部分のベルト同士を結ぶような場合に利用することができる。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、
前記ベルト本体は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に備えられた、持ち手または取っ手である、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、
前記ベルト本体は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に備えられた、蓋を閉めるためのフラップベルトである、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の発明は、
前記ベルト本体は、ウエストポーチ・リュックサックその他のカバン本体に備えられた、腰に固定するためのウエストベルトである、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、
前記ベルト本体は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に備えられた、カバン本体の外部に物を固定するためのベルトである、請求項3~6のいずれかに記載のバッグ本体へのベルト固着構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、取っ手などのベルトを、カバンや布地に固着するためのベルト固着構造において、布地本体へのベルト固着構造、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造、バッグ本体へのベルト固着構造などの様々な構造にも採用でき、ベルトを強固に固着させつつ、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、複雑な構造とならないベルト固着構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態である布地本体へのベルト固着構造の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態である折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第三の実施形態であるバッグ本体へのベルト固着構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明のベルト固着構造の、固着ステッチ部及び補強ステッチ部からなる固着部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明のベルト固着構造の、固着ステッチ部及び補強ステッチ部からなる固着部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明のベルト固着構造の、固着ステッチ部及び補強ステッチ部からなる固着部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明のベルト固着構造の、固着ステッチ部及び補強ステッチ部からなる固着部の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明のベルト固着構造の、固着ステッチ部及び補強ステッチ部からなる固着部の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明のベルト固着構造の、補強ステッチ部が固着ステッチ部に接して複数設けられた固着部の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、ベルト本体がリュックサックであるカバン本体に備えられた蓋を閉めるためのフラップベルトである、本発明のベルト固着構造の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、ベルト本体がカバン本体の外部に物を固定するためのベルトであって、補強ステッチ部が固着ステッチ部に接して複数設けられた、本発明のベルト固着構造の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、従来のベルト固着構造の作用の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明のベルト固着構造の作用の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ベルト本体
2 布地本体
3 ベルト本体端部
4 カバン本体
5 固着部
6 固着ステッチ部
7 補強ステッチ部
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明は、取っ手などのベルトを、カバンや布地に固着するためのベルト固着構造に関するものであり、下記の様々な実施形態を想定したものである。
第一の実施形態としては、布地本体へのベルト固着構造である。
第二の実施形態としては、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造である。
第三の実施形態としては、カバン本体へのベルト固着構造である。
【0025】
(第一の実施形態)
第一の実施形態は、布地本体へのベルト固着構造である。
図1は、本発明の第一の実施形態である布地本体へのベルト固着構造の一例を示す。
図1に示されるように、布・皮革・人工皮革その他のシートからなる服その他の布地本体2と、これに接続されて備えられる持ち手・取っ手・ベルトその他の可撓性のあるベルト本体1とが固着される固着部5の構造である。
固着部5の詳細な構造については、第二、第三の実施形態と共通するため、後述する。
本発明の布地本体へのベルト固着構造によれば、可撓性のあるベルト本体1の動きから、ステッチが施された固着部5の損傷を防ぐ作用を有する。
第一の実施形態である請求項1に記載の発明は、一例をあげれば
図1に示されるように、ドレスやコート、エプロンなどの腰部分に、左右一対のベルトを固着させ、ベルト同士を結ぶような場合に利用することができる。
また、服に限らず、たとえば傘、テント、タープ、革製キーホルダー、その他の様々な布地にベルトを固着させる場合に利用することができる。
【0026】
(第二の実施形態)
第二の実施形態は、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造である。
図2は、本発明の第二の実施形態である折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造の一例を示す。
図2に示されるように、ベルトその他の可撓性のあるベルト本体1と、バックル・ベルト金具その他の部材を通して折り返された布地本体であるベルト本体端部3とが固着される固着部5の構造である。
固着部5の詳細な構造については、他の実施形態と共通するため、後述する。
本発明の折り返されたベルト本体端部3へのベルト固着構造によれば、可撓性のあるベルト本体1の動きから、ステッチが施された固着部5の損傷を防ぐ作用を有する。
第二の実施形態である請求項2に記載の発明は、一例をあげれば
図2に示されるように、服飾ベルトにバックルを取り付け、バックル金具を通して折り返されたベルトをベルト本体に固着させるような場合に利用することができる。
後述する
図10に示されるフラップベルトの、ベルト本体1とバックルとの固着部も同様に、第二の実施形態が採用されている。
【0027】
(第三の実施形態)
第三の実施形態は、バッグ本体へのベルト固着構造である。
図3は、本発明の第三の実施形態であるバッグ本体へのベルト固着構造の一例を示す。
図3に示されるように、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他の布地本体であるカバン本体4と、これに接続されて備えられる持ち手・取っ手・ベルトその他の可撓性のあるベルト本体1とが固着される固着部5の構造である。
固着部5の詳細な構造については、他の実施形態と共通するため、後述する。
本発明のバッグ本体へのベルト固着構造によれば、可撓性のあるベルト本体1の動きから、ステッチが施された固着部5の損傷を防ぐ作用を有する。
第三の実施形態である請求項3に記載の発明は、一例をあげれば
図3に示されるように、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体に、持ち手・取っ手・ベルトその他の可撓性のあるベルト本体1を固着させるような場合に利用することができる。
なお、カバン本体4の種類や、形状、サイズを問わず、またポケットなどの数や位置、本革、人工皮革、布、軟質樹脂などの素材にも限定されず、様々な箇所において採用することができる。
【0028】
(第一・第二・第三の実施形態の共通事項)
次に、第一・第二・第三の実施形態において共通する、固着部5の詳細な構造について説明する。
【0029】
初めに、固着部5は、布地本体2(またはベルト本体端部3、またはカバン本体4)とベルト本体1とを重ねて固着する固着ステッチ部6を備えている。
図4~
図8はそれぞれ、本発明のベルト固着構造の、固着ステッチ部6及び補強ステッチ部7からなる固着部5の一例を示す図である。
固着ステッチ部6及び補強ステッチ部7はいずれも、布地本体2(またはベルト本体端部3、またはカバン本体4)とベルト本体2とを重ねて縫い糸により固着するものである。
図4~
図8のそれぞれを参照すると、固着ステッチ部6には少なくとも、固着ステッチ部6の外周に沿って矩形を描くように縫い糸のステッチが配置されて縫製されている。
固着ステッチ部6の縫製方法には様々なものを採用でき、
図6を参照すると、矩形内部にバツ印を描くように二本の直線を交差させた縫製が施されている。
図4~
図8はそれぞれ、本発明のベルト固着構造の固着ステッチ部6及び補強ステッチ部7の一例を示す縫製方法であって、本発明ではこれらに限定されず、図示しない様々な縫製方法を採用することができる。
【0030】
次に、固着ステッチ部6に接して、布地本体2(またはベルト本体端部3、またはカバン本体4)の固着されない部分方向、すなわち持ち手やベルトの自由に動かせる部分方向には、布地本体2(またはベルト本体端部3、またはカバン本体4)とベルト本体1とを重ねて固着するとともに、固着ステッチ部6を補強する補強ステッチ部7が備えられている。
補強ステッチ部7は、布地本体2(またはベルト本体端部3、またはカバン本体4)とベルト本体1とを重ねて縫い糸により固着するものであり、ベルト本体1の固着されない部分方向に向けて、固着ステッチ部6方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置されている。
図2に示される補強ステッチ部7を参照すると、固着ステッチ部6方向を中心とする弧は、正円を構成する弧の一部となっている。
一方、
図3に示される補強ステッチ部7を参照すると、固着ステッチ部6方向を中心とする弧は、楕円を構成する弧の一部となっている。
【0031】
図13は、本発明のベルト固着構造の作用の一例を示す図である。
補強ステッチ部7に弧を採用し、矩形の角の縫製部分には直接負荷がかからないようにされているために、様々な方向から引っ張り力などがかかっても、負荷を分散し、縫製部分の破損を防ぐ作用を有している。
【0032】
さらに、
図7、
図8を参照すると、固着ステッチ部6には少なくとも、補強ステッチ部7の弧の両端から弧の概略中心方向に向けて、縫い糸のステッチがさらに配置された一例を示している。
これらも本発明のベルト固着構造の固着ステッチ部6及び補強ステッチ部7の一例を示す縫製方法であって、本発明ではこれらに限定されず、図示しない様々な縫製方法を採用することができる。
【0033】
(第一・第二・第三の実施形態の別の実施例)
本発明のベルト固着構造の固着ステッチ部6及び補強ステッチ部7の別の一例として、補強ステッチ部7を、固着ステッチ部に6接して複数の異なる方向に複数設けることもできる。
布地本体2(またはベルト本体端部3、またはカバン本体4)の固着されない、自由に動かせる部分方向に向けて、複数の補強ステッチ部7それぞれが、固着ステッチ部6方向を中心とする弧を描くように縫い糸のステッチが配置されるものである。
図9は、本発明のベルト固着構造の、補強ステッチ部7が固着ステッチ部6に接して複数設けられた固着部の一例を示す。
本実施例である請求項6に記載の発明は、一例をあげれば、ドレスやコート、エプロンなどの腰部分の背中側に、一本のベルトを固着させ、左右両端の固着されていない部分のベルト同士を結ぶような場合に利用することができる。
後述する
図11に示される実施例も、補強ステッチ部7が固着ステッチ部6に接して複数設けられた固着部の一例を示す。
【0034】
(第三の実施形態の様々な応用形態)
次に、第三の実施形態であるバッグ本体へのベルト固着構造の、様々な応用例について説明する。
請求項7に示される発明は、一例としては
図3に示されるように、ベルト本体1は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体4に備えられた持ち手または取っ手などである。
【0035】
次に、請求項8に示される発明は、一例としては
図10に示されるように、ベルト本体1は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体4に備えられた、蓋を閉めるためのフラップベルトである。
図10は、ベルト本体1が、リュックサックであるカバン本体4に備えられた蓋を閉めるためのフラップベルトである一例を示す。
図10に示す一例では、それぞれのベルト本体1とカバン本体4との固着部は、第三の実施形態であり、ベルト本体1とバックルとの固着部は
図2と同様に第二の実施形態が採用されている。
【0036】
次に、請求項9に示される発明は、図示しないが、ベルト本体1は、ウエストポーチ・リュックサックその他のカバン本体4に備えられた、腰に固定するためのウエストベルトである。
【0037】
次に、請求項10に示される発明は、ベルト本体1は、ビジネス鞄・ハンドバッグ・リュックサック・買い物袋その他のカバン本体4に備えられた、カバン本体4の外部に物を固定するためのベルトである。
図11は、ベルト本体1がカバン本体4の外部に物を固定するためのベルトであって、補強ステッチ部7が固着ステッチ部6に接して複数設けられた、本発明のベルト固着構造の一例を示す図である。
登山やアウトドア用のリュックサックなどの収納袋部分の外側に、傘や水筒、ペットボトル、釣り竿などを固定するためのベルトからなる収納部を設けるなど、様々な形態を採用することができる。
【0038】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、取っ手などのベルトを、カバンや布地に固着するために、折り返されたベルト本体端部へのベルト固着構造、バッグ本体へのベルト固着構造などの様々な布地本体へのベルト固着構造において、ベルトを強固に固着させつつ、ステッチが施された固着部の損傷を防ぐ作用を有する、簡易な構造のベルト固着構造を提供することができる。