(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087816
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】自動車のパーキングブレーキ用の作動装置およびその作動装置を備える自動車
(51)【国際特許分類】
B60T 7/02 20060101AFI20220606BHJP
B60T 17/08 20060101ALI20220606BHJP
B60T 15/36 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
B60T7/02 Z
B60T17/08
B60T15/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021185179
(22)【出願日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】10 2020 215 108.3
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】マルティン サグメイスター
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアハルト クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン イグル
(72)【発明者】
【氏名】ナックバーアー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン シュタイデル
【テーマコード(参考)】
3D049
3D124
【Fターム(参考)】
3D049AA03
3D049BB18
3D049CC01
3D049HH10
3D049HH20
3D049HH30
3D049HH40
3D049HH44
3D049HH47
3D049HH54
3D049RR04
3D124AA12
3D124AA16
3D124BB02
3D124BB15
(57)【要約】
【課題】自動車のパーキングブレーキ用の作動装置およびその作動装置を備える自動車を提案する。
【解決手段】自動車のパーキングブレーキ用の作動装置(1)は、パーキングブレーキを手動で作動させる第1作動ユニット(5)と、シャフト(2)と、を備える。シャフト(2)は、自動車のサービスブレーキの少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ(4)に制動力(F1、F2)を伝達する。第1作動ユニットはシャフトに作動的に接続されている。その結果、第1作動ユニットが作動されると、第1制動力(F1)はシャフトを介して少なくとも1つのホイールブレーキシリンダに伝達される。作動装置(1)は、パーキングブレーキを調整可能に作動させる第2作動ユニット(7)を備える。第2作動ユニットはシャフトに作動的に接続されている。その結果、第2作動ユニットが作動されると、第2制動力(F2)はシャフトを介してホイールブレーキシリンダ(5)に伝達される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のパーキングブレーキ用の作動装置(1)であって、
前記パーキングブレーキを手動で作動させる第1作動ユニット(5)と、
前記自動車のサービスブレーキの少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ(4)に制動力(F1、F2)を伝達するシャフト(2)であって、前記第1作動ユニット(5)は前記シャフト(2)に作動的に接続され、その結果、前記第1作動ユニット(5)が作動されると、第1制動力(F1)は前記シャフト(2)を介して前記少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ(4)に伝達されるシャフト(2)と、を備える作動装置(1)において、
前記作動装置(1)は、前記パーキングブレーキを調整可能に作動させる第2作動ユニット(7)を備え、前記第2作動ユニット(7)は前記シャフト(2)に作動的に接続され、その結果、前記第2作動ユニット(7)が作動されると、第2制動力(F2)は前記シャフト(2)を介して前記ホイールブレーキシリンダ(5)に伝達されることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の作動装置(1)であって、少なくとも前記第2作動ユニット(7)は、流体式、特に油圧式の作動ユニットとして設計されていることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は蓄勢ばねシリンダ(8)を備え、前記蓄勢ばねシリンダ(8)は、一方では前記シャフト(2)に作動連結されており、他方では流体的に車両の流体システム(9)に接続することができ、前記蓄勢ばねシリンダ(8)を、流体圧力の付勢のもとで、制動位置(B)からリリース位置(F)へと切り換えることができることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は第1弁装置(14)を備え、前記第1弁装置(14)を、前記蓄勢ばねシリンダ(8)の流体圧力を調整するために、基本位置(G1)と、少なくとも1つの切換位置(S1)との間で切り換えることができ、前記第1弁装置(14)は、流体ライン(13)を介して、流れに関して前記蓄勢ばねシリンダ(8)に接続され、前記流体システム(9)の高圧側(H)から前記蓄勢ばねシリンダ(8)の方向の第1流路(W1)は、前記基本位置(G1)で遮断され、前記少なくとも1つの切換位置(S1)でリリースされることを特徴とする、作動装置(1)
【請求項5】
請求項4に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は第2弁装置(20)を備え、前記第2弁装置(20)は、前記蓄勢ばねシリンダ(8)をリリースするために、基本位置(G2)と、少なくとも1つの切換位置(S2)との間で切り換えることができ、前記第2弁装置(20)は、更なる流体ライン(19)を介して、流れに関して前記第1弁装置(14)に接続され、前記蓄勢ばねシリンダ(8)から前記第1弁装置(14)を介して前記流体システム(9)の低圧側(N)の方向の第2流路(W2)は、前記基本位置(G2)で遮断され、前記切換位置(S2)でリリースされることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項6】
請求項4または5に記載の作動装置(1)であって、前記第1弁装置(14)および/または前記第2弁装置(20)は、連続弁として設計されていることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項7】
請求項4または5に記載の作動装置(1)であって、前記第1弁装置(14)および/または前記第2弁装置(20)は、切換弁として設計されていることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項8】
請求項5~7の何れか一項に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は第3弁装置(21)を備え、前記第3弁装置(21)は、前記第2弁装置(20)の故障時に前記蓄勢ばねシリンダ(8)をリリースするために、基本位置(G3)と、少なくとも1つの切換位置(S3)との間で切り換えることができ、前記第3弁装置(21)は、バイパスライン(22)によって、前記第2弁装置(20)と並列に配置され、前記蓄勢ばねシリンダ(8)から前記第3弁装置(21)を介して低圧側(N)の方向の第3流路(W3)は、前記基本位置(G3)でリリースされ、前記切換位置(S3)で遮断されることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項9】
請求項4~8の何れか一項に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は、前記蓄勢ばねシリンダ(8)の流体圧力を検出する圧力検出装置(17)を備え、少なくとも前記第1弁装置(14)および/または前記第2弁装置(20)を、検出された前記流体圧力に基づいて調整できることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項10】
請求項4~9の何れか一項に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は逆止弁(15)を備え、前記逆止弁(15)は、流れに関して前記第1弁装置(14)の上流で高圧側(H)に配置されていることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項11】
請求項4~10の何れか一項に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)はフィルタ装置(16)を備え、前記フィルタ装置(16)は、流れに関して前記第1弁装置(14)の上流で高圧側(H)に配置されていることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項12】
請求項4~11の何れか一項に記載に作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は、流体圧力を蓄積する蓄圧装置(18)を備え、前記蓄圧装置(18)は、流れに関して前記第1弁装置(14)の上流で高圧側(H)に配置され、前記蓄勢ばねシリンダ(8)を制動位置(B)からリリース位置(F)へ切り換えるために、蓄積された流体圧力を手動でリリースできることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の作動装置(1)であって、前記第2作動ユニット(7)は、坂道発進補助および/または自動パーキングロックを実施するように設計されていることを特徴とする、作動装置(1)。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の作動装置(1)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を有する自動車のパーキングブレーキ用の作動装置に関する。本発明はさらに、その作動装置を備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
停車している車両の車輪、特に後輪を恒久的にロックする、多様なパーキングブレーキシステムが既知である。運転者が及ぼす力でハンドブレーキレバーを介して係合させる、機械的に作動可能なハンドブレーキに加えて、アクチュエータを用いて車両のホイールブレーキに制動力を伝達する電気的な作動装置も知られている。
【0003】
ドイツ特許出願公開第102008000280A1号は、自動車のパーキングブレーキを開示する。パーキングブレーキは、パーキングブレーキを所定の力で係合させてパーキングブレーキをリリースする少なくとも1つの電気的に作動可能な装置を備える。この装置は、制動力が低下した場合にパーキングブレーキを締結させる。電気的に作動可能な装置は、2本のハンドブレーキケーブルまたはボーデンケーブルを同時に作動させる電気的に作動可能なダブルケーブルプラーとして具現化されている。ハンドブレーキケーブルまたはボーデンケーブルは、その都度ホイールブレーキシリンダに作動的に接続されるレバーに、その都度作用する。レバーシステムは、ボーデンケーブルに接続されたレバーを備える。レバーは、シャフトと相対回転不能に接続されている。シャフトは、2つの連結要素を介して、ホイールブレーキシリンダに作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102008000280A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、パーキングブレーキが正確に、かつ状況に応じて作動することを特徴とする作動装置を提案することである。さらに、対応する車両を提案することは、更なる課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する作動装置と、請求項14に記載の特徴を有する車両とによって達成される。本発明の好適な実施形態、または有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明および添付の図面から明らかになる。
【0007】
本発明の主題は、自動車のパーキングブレーキを作動させるように設計されている、および/または作動させるのに適切な作動装置である。特に、パーキングブレーキは、車両の停止時に少なくとも1つの車輪をロックし、自動車の所定の作動状態においてアシストをするために使用される。自動車は、特に作業車両として、好適には農業用牽引車として、特にトラクタとして設計されている。
【0008】
作動装置は第1作動ユニットを備える。第1作動ユニットは、パーキングブレーキを手動で作動させるように設計されている、および/または手動で作動させるのに適切である。特に、第1作動ユニットは、自動車が停止状態にあるときに、および/または駐車状態にあるときに、少なくとも1つの車輪をロックする機能を有する。第1作動ユニットは、好適には、機械的および/または電気的に作動可能なハンドブレーキとして設計されている。
【0009】
作動装置はシャフトを備える。シャフトは、自動車のサービスブレーキの少なくとも1つの、または厳密に1つのホイールブレーキシリンダに制動力を伝達するように設計されている、および/または伝達するのに適切である。ここで、サービスブレーキは、運転モードにある自動車を減速させる、および/または停止させる機能を有する。サービスブレーキは、好適には、ブレーキアクチュエータを備える。ブレーキアクチュエータは、サービスブレーキを作動させるためにホイールブレーキシリンダに直接作用する。しかしながら、代替的に、ブレーキアクチュエータが、シャフトを介してホイールブレーキシリンダに作動的に接続することもできる。例えば、ブレーキアクチュエータは、油圧機械式または電気機械式のブレーキアクチュエータとして設計することができる。
【0010】
第1作動ユニットは、シャフトに作動的に接続されている。その結果、第1作動ユニットが作動されると、第1制動力は、シャフトを介して少なくとも1つのホイールブレーキシリンダに伝達される。シャフトは、好適には、少なくとも1つの、または厳密に1つの連結要素を介して、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダに作動連結されている。特に好適には、シャフトが、シャフトに作用する制動力を、サービスブレーキの、特に後車軸の、少なくとも2つのホイールブレーキシリンダに分配する加算シャフトとして設計されている。さらに、第1作動ユニットは、少なくとも1つの伝達装置、好適には結合具および/またはケーブルプルを介して、シャフトに作動連結することができる。
【0011】
本発明の範囲において、作動装置は第2作動ユニットを備えることが提案される。第2作動ユニットは、パーキングブレーキを調整可能に作動させるように設計されている、および/または作動させるのに適切である。第2作動ユニットは、シャフトに作動的に接続されている。その結果、第2作動ユニットが作動されると、第2制動力は、シャフトを介してホイールブレーキシリンダに伝達される。特に、第2作動ユニットは、車両の作動状態に応じて第2制動力を調整する機能を有する。特に、第2作動ユニットは、自動車がロールバックすることを防ぐために、斜面での始動時および/またはギアチェンジの際にパーキングブレーキを作動させるように設計されている。代替的に、または任意選択の補足的に、第2作動ユニットは、車両の停止状態において少なくとも1つの車輪をロックするために、自動車の停止状態において一定の停止時間の後に、パーキングブレーキを作動させるように設計されている。特に、第2作動ユニットは、少なくとも1つの更なる伝達装置を介して、シャフトに作動連結することができる。しかしながら、代替的に、本発明によれば、第1および第2作動ユニットを、共通の伝達装置を介して、シャフトに作動連結することもできる。
【0012】
本発明の利点は、特に、調整可能な第2作動ユニットによって、手動の作動ユニットから独立してパーキングブレーキを作動可能なことである。したがって、既存のブレーキシステム、特にサービスブレーキとハンドブレーキを、ほとんど変更しないままにすることができる。追加的な調整可能な作動ユニットによって、パーキングブレーキを、車両の定義された作動状態に応じて、著しくより迅速に、かつより正確に作動させることができる。
【0013】
本発明によれば、本発明の1つの具体的な実施形態において、少なくとも第2作動ユニットは、流体式、特に油圧式の作動ユニットとして設計されている。流体式の作動ユニットは、好適には、自動車の流体システムに接続されている。例えば、油圧式の作動ユニットは、車両のトランスミッションおよび/またはサービスブレーキの油圧的なシステム圧力供給に接続されている。しかしながら、代替的に、油圧式の作動ユニットに、別個の油圧システムを介して作動流体を供給することもできる。しかしながら、代替的に、第2作動ユニットを空気圧式の作動ユニットとして設計することもできる。流体的な作動により、パーキングブレーキが高感度で連続的に可変に作動することを特徴とする、調整可能な作動ユニットを提案することができる。
【0014】
本発明によれば、更なる具体的な実施形態において、第2作動ユニットは蓄勢ばねシリンダを備える。蓄勢ばねシリンダは、一方ではシャフトに作動連結されており、他方では流体的に流体システムに接続することができる、および/または接続されている。特に、蓄勢ばねシリンダは、ハウジングと、その中に配置されたピストンと、を備える。ピストンは、第2制動力を伝達するためにハウジング内で移動可能である。蓄勢ばねシリンダは、ばねを備える。ばねを介して、ピストンが付勢されている。特に、ピストンは、流体圧力で付勢可能な圧力室を区切る。流体圧力は、ばねのばね力に対抗する。この場合、蓄勢ばねシリンダを、流体圧力の付勢のもとで、制動位置とリリース位置との間で調整することができる。好適には、流体圧力が増加すると、ピストンは制動位置からリリース位置に移動される、または第2制動力が低減される。それに対応して、流体圧力が低下すると、ピストンは、ばねによってリリース位置から制動位置に移動される、または第2制動力が増加される。蓄勢ばねシリンダを使用することによって、クラッチと同様の方法で、これを制御することができる。その結果、パーキングブレーキの特に簡単で正確な作動が実行される。さらに、蓄勢ばねシリンダによって、サービスブレーキから独立して、制動トルクを車輪に伝達することができる。そのため、例えばテストスタンド上で、対応する油圧をサービスブレーキに供給する必要なしで、車両のクラッチの校正を実施することができる。
【0015】
本発明によれば、1つの具体的な実施形態において、第2作動ユニットは第1弁装置を備える。第1弁装置を、蓄勢ばねシリンダの流体圧力を調整するために、基本位置と、少なくとも1つの、または厳密に1つの切換位置との間で切り換えることができる。特に、第1弁装置は、流体圧力に応じて第2制動力を調整するように機能する。第1弁装置は、流体ラインを介して、流れに関して蓄勢ばねシリンダに接続されている。第1流路は,高圧側から第1弁装置を介して蓄勢ばねシリンダに至る。第1流路は、第1弁装置の基本位置で遮断され、切換位置でリリースされる。好適には、流体は、第1弁装置が切換位置に切り換えられると、第1流路に沿って、高圧側から第1弁装置を介して蓄勢ばねシリンダの方向に流れる。
【0016】
本発明によれば、更なる具体的な実施形態において、第2作動ユニットは第2弁装置を備える。第2弁装置は、蓄勢ばねシリンダをリリースするために、基本位置と、少なくとも1つの切換位置との間で切り換えることができる。特に、第2弁装置は、第1弁装置が基本位置に切り換えられると、および/または故障すると、蓄勢ばねシリンダを制動位置に切り換えるように機能する。この場合、第2弁装置は、更なる流体ラインを介して、流れに関して第1弁装置に接続されている。第2流路は、蓄勢ばねシリンダから第1および第2弁装置を介して低圧側に至る。第2流路は、第2弁装置の基本位置で遮断され、切換位置でリリースされる。好適には、流体は、第2弁装置が切換位置に切り換えられると、第2流路に沿って、蓄勢ばねシリンダから第1および第2弁装置を介して低圧側の方向に流れる。したがって、第1弁装置が切換位置にあり、また第2弁装置が基本位置にあるとき、圧力室内の流体圧力が増加される、または第2制動力が低減される。これと同様に、第1弁装置が基本位置に切り換えられ、また第2弁装置が切換位置に切り換えられると、圧力室内の流体圧力が低減される、または第2制動力が増加される。好適には、第1および第2の弁装置は各々、3/2方向弁として設計されている。特に、第1および第2弁装置は、車両の制御装置に接続されている。制御装置は、第2制動力を増加させる、または低減させるために、車両の作動状態に基づいて第1および/または第2弁装置を制御するように設計されている。したがって、高い作動信頼性と、同時にパーキングブレーキの短い作動時間とを特徴とする作動ユニットが提案される。
【0017】
1つの構造的な実施例において、第1および/または第2弁装置は、連続弁として設計されている。特に、連続弁は、第1または第2流路に沿った体積流量を調整するように機能する。このために、連続弁は、基本位置と切換位置との間で任意の所望の数の中間位置をとることができる。例えば、第1および/または第2弁装置は、比例弁として、または制御弁として、またはサーボ弁として設計することができる。連続弁を使用することによって、特に、流体圧力の正確な調整を短時間で行うことができる。
【0018】
代替的または任意選択の補足的な実施例において、第1および/または第2弁装置は、切換弁として設計されている。特に、切換弁は、第1または第2流路を選択的にリリースする、または遮断するように機能する。このために、切換弁は、正確に基本位置、または正確に切換位置の、いずれかをとることができる。切換弁を使用することによって、特に、単純で低コストの作動ユニットを実現することができる。
【0019】
本発明によれば、更なる具体的な実施態様において、第2作動ユニットは第3弁装置を備える。第3弁装置は、基本位置と、少なくとも1つの切換位置との間で切り換えることができ、第2弁装置の故障時に、蓄勢ばねシリンダをリリースするように設計されている、および/またはリリースするのに適切である。特に、第3弁装置は、第1弁装置が比例弁として構成されている場合に発生し得る漏れ流を排出するように機能する。この場合、第3弁装置は、バイパスラインを介して、第2弁装置と並列に配置されている。特に、バイパスラインは、第2弁装置を流れに関してブリッジするように機能する。バイパスラインは、第2弁装置の上流で分岐する。特に、第3流路は、蓄勢ばねシリンダから第3弁装置を介して低圧側に至る。第3流路は、第3弁装置の基本位置でリリースされ、切換位置で遮断される。好適には、流体は、第1および第2弁装置が基本位置に切り換えられると、および/または故障すると、第3流路に沿って、蓄勢ばねシリンダから低圧側の方向に流れる。好適には、第3弁装置は、2/2方向弁として設計されている。第3弁装置によって、漏れ流に起因して圧力室内の流体圧力が上昇することが防止される。そのため、作動装置が故障した場合に、パーキングブレーキが不所望に作動されることが排除される。したがって、第3弁装置を使用することによって、少なくとも第1弁装置を、漏れの少ない単純な比例弁として設計することができる。その結果、第2作動ユニットを、特に低コストで実現することができる。
【0020】
本発明によれば、更なる実施形態において、第2作動ユニットは圧力検出装置を備える。圧力検出装置は、蓄勢ばねシリンダの流体圧力を検出するように設計されている、および/または検出するのに適切である。第1および/または第2弁装置は、検出された流体圧力に基づいて、閉ループ制御可能(regelbar)、および/または開ループ制御可能(steuerbar)である。特に、圧力検出装置は、信号技術によって制御装置に接続されている。制御装置は、検出された流体圧力に基づいて、第1および/または第2弁装置を閉ループ制御する(regeln)、または開ループ制御(steuern)するように設計されている。例えば、定義された作動状態に対して、流体圧力の関連する所望の値を制御装置に保存することができる。第2制動力は、流体圧力に応じて閉ループ制御または開ループ制御される。したがって、特に、流体圧力が調整変数として機能する。好適には、圧力検出装置は、流れに関して第1弁装置と蓄勢ばねシリンダとの間で流体ラインに統合されている。圧力検出装置は、圧力センサとして設計することができる。特に、圧力センサを使用することによって、流体圧力に応じてパーキングブレーキを特に正確に調整することができる。代替的に、圧力検出装置を圧力スイッチとして設計することもできる。特に、圧力スイッチを使用することによって、流体圧力の特に堅牢で低コストの検出を実現できる。
【0021】
本発明によれば、更なる実施例において、第2作動ユニットは逆止弁を備える。逆止弁は、第1弁装置の上流で高圧側に配置されている。特に、逆止弁は、高圧側から第1弁装置の方向への流体の流れを可能にして、第1弁装置から高圧側への逆流を遮断する機能を有する。特に、逆止弁は、ばね付勢式の逆止弁として、好適にはボール型の逆止弁として設計されている。逆止弁を使用することによって、液圧を一定に確保することが可能である。
【0022】
本発明によれば、更なる発展形態において、第2作動ユニットはフィルタ装置を備える。フィルタ装置は、特に、流体から異物粒子を濾過するように設計されている、および/または濾過するのに適切である。この場合、フィルタ装置は、第1弁装置の上流で高圧側に配置されている。フィルタ装置は、任意選択で、逆止弁の上流または下流に配置することができる。より具体的には、フィルタ装置は、逆止弁または第1弁装置の圧力入口に配置することができる。好適には、フィルタ装置は、ダートフィルタとして設計されている。フィルタ装置によって、パーキングブレーキの作動上の信頼性を高めることができて、異物粒子による第2作動ユニットの構成要素へのダメージのリスクを減らすことができる。
【0023】
本発明によれば、更なる可能な実施形態において、第2作動ユニットは蓄圧装置を備える。蓄圧装置は、流体圧力を蓄積するように設計されている、および/または蓄積するのに適切である。特に、蓄圧装置は、除荷されると蓄積された流体圧力を油圧エネルギの形態で放出する油圧蓄圧装置として設計されている。蓄圧装置は、第2作動ユニットの第1弁装置の上流で高圧側に配置されている。特に、蓄圧装置は、車両のエンジンの作動中に流体システムの実勢するシステム圧力によって自立的に蓄圧される。蓄積された流体圧力は、冗長的に、すなわちシステム圧力が低下した場合、および/またはエンジンが停止した場合でも、パーキングブレーキを作動させるために利用可能である。好適には、第1作動ユニットは、蓄圧装置によって構成されている。したがって、蓄圧装置は、機械的な、または電気的な作動ユニットを完全に置換する。そのため、蓄圧装置によって、パーキングブレーキを、特にコンパクトな形態で、かつ純粋に流体的に作動させることができる。
【0024】
本発明によれば、好適な実施例において、第2作動ユニットは、「ヒルホルダー」としても既知である坂道発進補助を実施するために設計されている、および/または実施するのに適切である。特に、車両が坂道にあるときに、パーキングブレーキは、運転者によって手動で作動される、および/またはギアチェンジの際に自立的に作動される。代替的に、または任意選択の補足的に、第2作動ユニットは、自動パーキングロックを実施するように設計されている、および/または実施するのに適切である。特に、このために、パーキングブレーキは、一定の停止時間の後に自動的に作動され、坂道でのより安全な車両保持を確実にする。例えば、停止時間は、10秒を超える、好適には30秒を超える、特に50秒を超えることができる。特に、パーキングブレーキは、特に坂道発進補助および/またはパーキングロックを実施する際に、例えばエンジンパラメータおよび/またはトランスミッションパラメータなどである少なくとも1つの車両パラメータに応じて、第2作動ユニットによって自立的および/または自動的にリリースされる。例えば、パーキングブレーキは、車両のクラッチが係合するときに、第2作動ユニットによってリリースされる。
【0025】
本発明の更なる主題は、既述したような作動装置を備える車両に関する。
【0026】
本発明の更なる特徴、利点および効果は、本発明の好適な実施形態に関する以下の記載において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の例示的な実施形態としての、車両用の作動装置の概略図である。
【
図2】本発明の代替的な実施形態としての、
図1による作動装置の第2作動ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、極めて概略的な図において、自動車のパーキングブレーキを作動させるために設けられている作動装置1を示す。パーキングブレーキは、車両の作動状態に応じて、1つまたは複数の車輪、特に車両の後車軸上の車輪を制動および/またはロックする機能を有する。自動車は、特に、農業用の作業車両、例えばトラクタである。
【0029】
作動装置1はシャフト2を備える。シャフト2は、少なくとも1つの連結要素3、例えば連結ロッドを介して、車両のサービスブレーキの1つまたは複数のホイールブレーキシリンダ4に作動的に接続されている。例えば、シャフト2は、その都度連結要素3を介して、後車軸の2つのホイールブレーキシリンダに接続される。
【0030】
作動装置1は、第1作動ユニット5を備える。第1作動ユニット5は、パーキングブレーキを手動で作動させるよう機能し、第1制動力F1をシャフト2に、したがってホイールブレーキシリンダ4に伝達する。第1作動ユニット5は、特に、車両が停止しているとき、および/または駐車しているときに、車輪をロックする機能を有する。第1作動ユニット5は、例えば、機械的なハンドブレーキレバーとして設計することができる。このハンドブレーキレバーは、手の力によって作動させることができる。代替的に、第1作動ユニット5は、手で、またはボタンを押すことで作動可能な電気的な作動ユニットとして設計されている。このために、電気的な作動ユニット5は、例えば電気機械的なアクチュエータを備える。このアクチュエータは、第1制動力F2を発生させるように設定されている。第1作動ユニット5は、第1制動力F1をシャフト2に伝達するために、例えばボーデンケーブルおよび/または結合具および/またはレバーなどの伝達装置6を介して、シャフト2に作動連結されている。
【0031】
作動装置1は、第2作動ユニット7を備える。第2作動ユニット7は、パーキングブレーキを調整可能に作動させるよう機能し、第2制動力F2をシャフト2に、したがってホイールブレーキシリンダ4に伝達する。例えば、第1および第2作動ユニット5、7は、共通の伝達装置6を介して、シャフト2に作動連結させることができる。第1作動ユニット5が作動すると第1制動力F1が、また第2作動ユニット6が作動すると第2制動力F2が、伝達装置6を介してシャフト2に伝達され、ホイールブレーキシリンダ4に分配される。
【0032】
第2作動ユニット7は、蓄勢ばねシリンダ8を備える。蓄勢ばねシリンダ8は、一方では伝達装置6を介してシャフト2に作動連結され、他方では流体的に車両の流体システム9と接続されている。流体システム9は、例えば、油圧システムとして設計されており、例えば、サービスブレーキまたはトランスミッションのシステム圧力供給によって形成することができる。代替的に、第2作動ユニット7は、別個の油圧システム、特にサービスブレーキまたはトランスミッションに依存しない油圧システムに接続されている。
【0033】
蓄勢ばねシリンダ8は、ハウジング10を備える。ピストン11は、ハウジング10内で、制動位置Bとリリース位置Fとの間で軸方向に移動することができる。ピストン11は、一方の側で、流体圧で付勢可能な圧力室12を区切り、他方の側の上で、ばね13を介してハウジング10内で支持されている。ばね13は、パーキングブレーキを作動させるために、シャフト2を介してホイールブレーキシリンダ4に第2制動力F2として伝達されるばね力で、制動位置Bの方向でピストン11を付勢する。流体圧力で圧力室12が付勢されると、ピストンは、パーキングブレーキをリリースするために、ばね力に抗してリリース位置Fに移動する。
【0034】
圧力室12は、流体ライン13を介して、流体システム9の高圧側Hに接続されている。第2作動ユニット7は、第1弁装置14を備える。第1弁装置14は、流体圧力を調整するために流体ライン13に統合され、基本位置G1と少なくとも1つの切換位置S1との間で切り換えることができる。図示の例では、第1弁装置14は、基本位置G1と切換位置S1との間で任意の所望の数の中間位置をとることができる3/2方向比例弁として設計されている。しかしながら、単純化のために、比例弁を切換弁によって置換することもできる。
【0035】
さらに、第1作動ユニット7は、流れに関して第1弁装置14の上流で流体ライン13に統合された逆止弁15およびフィルタ装置16を備える。逆止弁15は、例えば、ボール型の逆止弁として設計されており、第1弁装置14から高圧側Hの方向への戻り流を防止するように設計されている。フィルタ装置16は、流体から異物粒子を濾過するために、例えば、フィルタスクリーンとして設計されている。図示の例示的な実施形態において、フィルタ装置16は、逆止弁15の上流に配置されている。しかしながら、代替的に、フィルタ装置16を、第1弁装置14の圧力入口または逆止弁15の圧力入口に統合することも可能である。
【0036】
さらに、第2作動ユニット7は、圧力検出装置17を備える。圧力検出装置17は、蓄勢ばねシリンダ8の流体圧力を検出するように設計されている。このために、圧力検出装置17は、第1弁装置14と蓄勢ばねシリンダ8との間で流体ライン13に統合されている。例えば、圧力検出装置17は、圧力センサとして設計されている。しかしながら、第2作動ユニット7を単純化するために、圧力センサを圧力スイッチによって置換することも可能である。
【0037】
第1流路W1は、高圧側Hからフィルタ装置16、逆止弁15および第1弁装置14を介して、蓄勢ばねシリンダ8またはその圧力室12に至る。ここで、第1流路W1は、第1弁装置14の基本位置G1で遮断され、切換位置S1でリリースされる。
【0038】
第1弁装置14は、更なる流体ライン19を介して、流体システム9の低圧側Nに接続されている。第2作動ユニット7は、第2弁装置20を備える。第2弁装置20は、蓄勢ばねシリンダ8をリリースするために更なる流体ライン18に統合され、基本位置G2と少なくとも1つの切換位置S2との間で切り換えることができる。図示の例では、第2弁装置20は、基本位置G2と切換位置S2との間で正確に切り換えることができる3/2方向切換弁として設計されている。
【0039】
したがって、第2流路W2は、蓄勢ばねシリンダ8またはその圧力室12から、第1および第2弁装置14、20を介して、流体システム9の低圧側Nに至る。この場合、第2流路W2は、第1弁装置14の切換位置S1および/または第2弁装置20の基本位置G2で遮断され、第1弁装置14の基本位置G1および第2弁装置20の切換位置S2でリリースされる。
【0040】
車両の運転モードにおいて、第1弁装置14は切換位置S1に切り換えられ、第2弁装置20は基本位置G2に切り換えられる。そのため、第1流路W1がリリースされ、蓄勢ばねシリンダ8は、リリース位置Fに切り換えられるように流体圧力で付勢される。パーキングブレーキ8を作動させるために、第1弁装置14は基本位置G1に切り換えられ、第2弁装置20は切換位置S2に切り換えられる。そのため、圧力室12内の流体圧力を低減させるために、第1流路W1が遮断され、第2流路W2がリリースされる。蓄勢ばねシリンダ8は、ばね13によって自立的に制動位置Bに切り換えられる。その結果、第2制動力F2がシャフト2に伝達される。
【0041】
代替的な実施形態において、第2作動ユニット7は、蓄圧装置18を備えることができる。蓄圧装置18は、冗長なエネルギ供給を得るために流体圧力を蓄積するように機能する。蓄圧装置18は、流れに関して逆止弁15と第1弁装置14との間で流体ライン13に統合されている。蓄圧装置18は、特に、油圧エネルギの形態で第1制動力F1を生成するように機能する。そのため、第1作動ユニット5は、蓄圧装置18によって構成され、機械的または電気的作動が不要である。このために、特に、流体は蓄圧装置18に圧力下で貯蔵される。エンジンの停止時および/または流体圧力が低い場合に、蓄勢ばねシリンダ8を制動位置Bからリリース位置Fに移動させるために、蓄圧装置18が除荷されると、油圧エネルギが放出される。
【0042】
特に、第1および第2弁装置14、20は、エネルギ供給が中断されると、各々の基本位置G1、G2を自立的にとる。例えば、蓄圧装置18を備える実施形態では、第1弁装置14に、例えばバッテリであるエネルギ蓄積装置を介して、恒久的にエネルギを供給することができる。そのため、エンジンの停止時でさえ、蓄勢ばねシリンダ8を作動させるために、第1弁装置14を蓄圧装置18によって切換位置S1に切り換えることができる。
【0043】
圧力検出装置17は、例えば、信号技術によって、車両の制御装置に接続されている。制御装置は、流体圧力に基づいて、第1および第2弁装置を閉ループ制御または開ループ制御するように設計されている。例えば、制御装置は、特にパワーシフトトランスミッションの場合に、坂道発進補助を実施するために、第1および第2弁装置14、20を制御することができる。このために、ギアチェンジの際または坂道発進の際に、第2作動ユニット7の作動によって、運転者が手動でパーキングブレーキを作動させることができる。この場合、制御装置は、少なくとも1つの車両パラメータに、例えばエンジンパラメータおよび/またはトランスミッションパラメータに基づいて、2つの弁装置14、20を作動させ、流体圧力に応じて第2制動力F2を閉ループ制御または開ループ制御するように設計されている。このようにして、例えば、ドライブクラッチが係合するときに、パーキングブレーキを自動的に解除することができる。代替的に、または任意選択の補足的に、制御装置は、自動パーキングロックを実施するために、第1および第2弁装置14、20を作動させるように設計されている。このために、第2作動ユニット7は、一定の停止時間、例えば30秒の後に、パーキングブレーキを作動させることができる。
【0044】
油圧作動式の蓄勢ばねシリンダ8を使用することによって、自動パーキングブレーキを実施し、クラッチと同様の方法で蓄勢ばねシリンダ8を作動させることができる。このシステムは、既知の電気機械的ソリューションよりも、著しく迅速に反応できる。さらに、蓄勢ばねシリンダ8を使用することによって、車両が停止している際に、特にテストスタンド上で、クラッチの自動的な校正を実施することができる。更なる利点は、追加の作動ユニットによって、既存のブレーキユニットを保持しながら自動パーキングブレーキを実施できることである。
【0045】
図2は、
図1と同様に示される、代替的な実施形態における第2作動ユニット7を示す。ここで、基本的な機能および構造は、
図1の実施形態に相当する。そのため、以下では本質的な差異についてのみ説明する。
【0046】
この例示的な実施形態において、第2作動ユニット7は、追加的に、第3弁装置21を備える。第3弁装置21は、第2弁装置20と並列して、バイパスライン22を介して、流れに関して低圧側Nに接続されている。ここで、バイパスライン22は、第2弁装置20をブリッジするように機能する。このために、バイパスライン22は、第2弁装置20の上流で更なる流体ライン19から分岐し、第2弁装置20の下流で、流れに関して更なる流体ライン19に再び接続される。この場合、第3流路W3は、蓄勢ばねシリンダ8から第1および第3弁装置14、21を介して、低圧側Nまで第2流路W2と並列に走る。第3弁装置21は、基本位置G3と切換位置S3との間で切り換えることができる2/2方向切換弁として設計されている。ここで、第3流路W3は、第3弁装置21の基本位置G3でリリースされ、切換位置S3で遮断される。
【0047】
車両の運転モードにおいて、第3流路W3を遮断するために、第3弁装置21が切換位置S3に切り換えられる。パーキングブレーキ8を作動させるために、第1弁装置14は基本位置G1に切り換えられ、第2弁装置20は切換位置S2に切り換えられ、および/または第3弁装置21は基本位置G3に切り換えられる。そのため、第2および/または第3流路W2、W3がリリースされ、パーキングブレーキを作動させるために圧力室12内の流体圧力が低減される。
【0048】
特に、第3弁装置21は、エネルギ供給が中断されると、自立的に基本位置G3をとる。そのため、システムの故障の場合、特に第2弁装置20の故障の場合に、少なくとも第3流路W3が確実にリリースされる。その結果、第1弁装置14として、漏れの少ない比例弁を使用することが可能である。その際、第3流路W3を介して漏れ流の排出が確保される。これによって、第2作動ユニット7または第2弁装置20の故障の場合に、第1弁装置14の漏れに起因して流体圧力が制御されずに上昇すること、またパーキングブレーキがリリースされることが防止される。さらに、第1弁装置14に単純な比例弁を用いることができる。そのため、第2作動ユニット7を低コストの態様で構成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 作動装置
2 シャフト
3 連結要素
4 ホイールブレーキシリンダ
5 作動ユニット
6 伝達装置
7 作動ユニット
8 蓄勢ばねシリンダ
9 流体システム
10 ハウジング
11 ピストン
12 圧力室
13 ばね
14 弁装置
15 逆止弁
16 フィルタ装置
17 圧力検出装置
18 流体ライン
19 流体ライン
20 弁装置
21 弁装置
22 バイパスライン
B 制動位置
F1、F2 制動力
F リリース位置
G1、G2、G3 基本位置
S1、S2、S3 切換位置
W1、W2、W3 流路
H 高圧側
N 低圧側
【外国語明細書】