(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087823
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】タイヤに固定されたRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021191729
(22)【出願日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】17/107989
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン フローリン ニキュラ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス フランツェン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ジャンーマリー カーズ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC31
3D131BC51
3D131LA03
3D131LA05
3D131LA20
3D131LA24
3D131LA28
(57)【要約】
【課題】様々なタイヤ追跡解決策を可能にすることができるRFIDタグを提供する。
【手段】タイヤに取り付けるためのRFIDタグは、第1のポリエステル層と、第1のポリエステル層に隣接する第2のポリエステル層であって、エッチングされたアンテナとRFIDチップとを有する第2のポリエステル層と、第2のポリエステル層に隣接する第3のポリエステル層とからなる。第3のポリエステル層は、第1および第2の層の一部を囲み、熱によってタイヤのインナーライナーに固定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに取り付けるためのRFIDタグであって、
第1のポリエステル層と、
前記第1のポリエステル層に隣接する第2のポリエステル層であって、エッチングされたアンテナおよびRFIDチップを有する第2のポリエステル層と、
前記第2のポリエステル層に隣接する第3のポリエステル層であって、前記第1および第2の層の一部を囲み、熱によって前記タイヤのインナーライナーに固定される第3のポリエステル層と、を含むことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記第2のポリエステル層は、半径方向最外のトップコート副層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記第2のポリエステル層は、熱印刷されたバーコード画像を有する半径方向内側の第1のポリエステル副層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記第2のポリエステル層は、両面でコロナ検査されることを特徴とする、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第1の高温接着剤副層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記第2のポリエステル層は、エッチングされたアンテナと集積回路とを有する半径方向内側のポリアミド副層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第2の高温接着剤副層を含むことを特徴とする、請求項5に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第1の接着促進剤副層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第2のポリエステル副層を含むことを特徴とする、請求項3に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第2の接着促進剤副層を含むことを特徴とする、請求項8に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の未硬化のゴム系の第3の接着剤副層を含むことを特徴とする、請求項3に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
タイヤに取り付けるためのRFIDタグを備えるタイヤであって、
前記RFIDタグは、
第1のポリエステル層と、
前記第1のポリエステル層に隣接する第2のポリエステル層であって、エッチングされたアンテナとRFIDチップとを有する第2のポリエステル層と、
前記第2のポリエステル層に隣接する第3のポリエステル層であって、前記第1および第2の層の一部を囲み、熱によって前記タイヤのインナーライナーに固定される第3のポリエステル層と、を含むことを特徴とするタイヤ。
【請求項13】
前記第2のポリエステル層が、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むことを特徴とする、請求項12に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム系物品(例えば、硬化タイヤ、生タイヤ等)に固定されたRFIDタグに関し、より詳細には、タイヤの内面(例えば、インナーライナー、プライ等)に取り付けられたRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
製造物品は一般に、在庫管理目的のために、製造中およびその後に監視されてもよい。従来の実施のひとつは、製造物品に関連する識別子および/または他の情報を含む物品にRFIDタグラベルを貼付することであってもよい。
【0003】
本発明が特定の用途を見出し得るタイヤ製造に関して、タイヤおよび他のゴム系物品を識別することは、特に、識別が製造前および/または製造完了前に行われる場合に問題となり得る。タイヤおよび幅広い種類の他のゴム系物品は、タイヤおよび/またはタイヤ構成要素を一緒に融合、成形、および/または硬化させることができる1つまたは複数の加硫工程にかけることができる。加硫は典型的には、ゴムマトリックス内に分子架橋の広範なネットワークを形成することによって、未硬化のゴム系組成物を改質し、それによって、ゴム系物品の強度および耐久性を著しく増加させる。種々の異なる硬化方法を有する多数の加硫技術が知られているが、加硫技術の全て又はほぼ全ては「生」(例えば、未硬化、非加硫、非架橋等)ゴム系物品への高圧及び高温の適用を含むことができる。
【0004】
これらの工程条件を考慮して、タイヤなどの生ゴム系物品に適用することができ、加硫に関連する比較的高い温度および圧力に耐えることができる接着剤系RFIDタグが開発されている。接着剤RFIDタグは、多くの点で一般に満足できるが、物品の寿命に耐えることができず、製造中および製造後の両方で物品に様々な種類の応力が加わるため、物品から分離することがある。
【0005】
RFIDタグの潜在的な分離は、タグの剛性と、タイヤ構築工程の複数の段階中およびタイヤがリムに装着されたときに、ゴムの相対的な柔軟性を処理できないこととによって生じ得る。この分離は最初に、金型が移動している間に加硫工程中に始まり、タイヤ温度がまだ高いままで硬化直後まで継続し得る。
【0006】
タイヤを金型から離型し、移動する(例えば、屈曲する)場合、RFIDタグは直ちに脱落することがあり、少なくとも、その移動の結果、接着力が弱まることがある。加えて、タイヤをリムに取り付ける工程の間、タイヤ(特にビード領域)は、取り付け装置によって著しい機械的応力を受けることがある。タイヤが使用されているとき、様々な道路及び駆動応力によって、RFIDタグがタイヤから外れることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タイヤ産業では、RFIDタグ供給業者は、より良好な接着剤の開発に集中することができる。逆に、タイヤ及びゴム製品の生産者は、RFIDタグをタイヤ又はゴム製品のいわゆる「屈曲しないゾーン」に適用することによって、RFIDタグの位置決めを試みることができる。これらの作業は、分離をある程度低減することができるが、最終的な解決策ではない場合がある。さらに、現在の解決策へのRFIDチップの追加は分離の原因に成り得、金属リムポスト取り付けの背後に現在のRFIDタグを配置することは、有用な距離からRFIDチップを読み取る能力を妨げることがある。したがって、物品製造(例えば、加硫)、流通、在庫、および物品寿命の間、ゴム系物品に取り付けられたままであり、動作可能であることが可能な接着剤系RFIDタグの代替物が有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタイヤに取り付けるためのRFIDタグは、第1のポリエステル層と、前記第1のポリエステル層に隣接する第2のポリエステル層であって、エッチングされたアンテナおよびRFIDチップを有する第2のポリエステル層と、前記第2のポリエステル層に隣接する第3のポリエステル層とからなる。前記第3のポリエステル層は、前記第1および第2の層の一部を囲み、熱によって前記タイヤのインナーライナーに固定されている。
【0009】
前記RFIDタグの別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向最外のトップコート副層を含む。
【0010】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、熱印刷されたバーコード画像を有する半径方向内側の第1のポリエステル副層を含む。
【0011】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、両面でコロナ試験される。
【0012】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第1の高温接着剤副層を含む。
【0013】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、エッチングされたアンテナと集積回路とを有する半径方向内側のポリアミド副層を含む。
【0014】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第2の高温接着剤副層を含む。
【0015】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第1の接着促進剤副層を含む。
【0016】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第2のポリエステル副層を含む。
【0017】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の第2の接着促進剤副層を含む。
【0018】
前記RFIDタグのさらに別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、半径方向内側の未硬化のゴム系の第3の接着剤副層を含む。
【0019】
本発明によるタイヤは、該タイヤに取り付けるためのRFIDタグを含む。前記RFIDタグは、第1のポリエステル層と、前記第1のポリエステル層に隣接する第2のポリエステル層であって、エッチングされたアンテナとRFIDチップとを有する第2のポリエステル層と、前記第2のポリエステル層に隣接する第3のポリエステル層とからなり、前記第3のポリエステル層は、前記第1および第2の層の一部を囲み、熱によって前記タイヤのインナーライナーに固定されている。
【0020】
前記タイヤの別の態様によれば、前記第2のポリエステル層は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む。
定義
【0021】
本明細書および特許請求の範囲で使用される用語の意味は以下の通りである。
【0022】
「軸方向の」および「軸方向に」は、タイヤの回転軸に平行な線または方向を指す。
【0023】
「ベルト構造」は、少なくとも2つの環状層又は平行コードのプライであって、織られた又は織られていない、トレッドの下にある、ビードに固定されていない、かつ、タイヤの赤道面(EP)に対して傾斜したコードを有するものを意味する。ベルト構造は、制限層として作用する、比較的低い角度で傾斜した平行なコードのプライを含んでもよい。
【0024】
「ブレーカー」は、タイヤの赤道面(EP)に対してカーカスプライの平行補強コードと同じ角度を有する平行補強コードの少なくとも2つの環状層またはプライを意味する。ブレーカーは、通常、バイアスタイヤに関連している。
【0025】
「カーカス」は、プライ上のベルト構造、トレッド、アンダートレッド、およびサイドウォールゴムとは別であるが、ビードを含むタイヤ構造を意味する。
【0026】
「ケーシング」は、トレッドとアンダートレッドを除く、カーカス、ベルト構造、ビード、サイドウォール、および、タイヤの他のすべての構成要素、すなわちタイヤ全体を意味する。
【0027】
「円周方向の」および「円周方向に」は、赤道面(EP)に平行で軸方向に垂直な環状タイヤの表面の周囲に沿って延びる線または方向を意味し、断面で見たとき、その半径がトレッドの軸方向の曲率を画定する、何組かの隣接する円形曲線の方向を指すこともできる。
【0028】
本明細書で使用される「複合体」は、2つ以上の層から構成されることを意味する。
【0029】
「カットベルトプライ」は、タイヤのクラウン領域のカーカスプライ上に平坦に位置する、トレッド幅よりも小さい幅を有するベルトを指す。
【0030】
「クラウン」は、タイヤトレッドの近傍のタイヤの部分を意味する。
【0031】
「動的剪断弾性率」は、ASTM D5992に従って測定された剪断弾性率を意味する。
【0032】
「エラストマー」は、変形後にサイズおよび形状を回復することができる弾性物質を意味する。
【0033】
「赤道面(EP)」は、タイヤの回転軸に垂直でトレッドの中心を通る平面、またはトレッドの円周方向中心線を含む平面を意味する。
【0034】
「ヒステリシス」は、動的損失正接(例えば、最大tanデルタ)を意味する。材料の動的特性は、ASTM D5992に従ってMTS 831エラストマー試験システムで測定される。周波数10Hzおよび80℃で、交番単一正弦剪断応力を受ける、加硫化原料の試料(厚さ4mmおよび断面400mm2の円筒状試験片)の反応を記録する。走査は、0.1パーセントから50パーセントの変形振幅(往路サイクル)、次いで50パーセントから0.1パーセントの変形振幅(復路サイクル)で行われる。MPa単位の最大剪断弾性係数Gmaxおよび損失角tanデルタ(最大tanデルタ)の正接の最大値は、往路サイクル中に決定される。
【0035】
「内側の」は、タイヤの内側に向かうことを意味し、「外側の」はタイヤの外側に向かうことを意味する。
【0036】
「インナーライナー」は、チューブレスタイヤの内面を形成し、タイヤ内の膨張流体を収容するエラストマーまたは他の材料の、1つまたは複数の層を意味する。
【0037】
「インボード側」は、タイヤをホイールに装着し、ホイールを車両に装着したときに、車両に最も近いタイヤの側を意味する。
【0038】
「横方向」は、軸方向を意味する。
【0039】
「子午面」は、タイヤの回転軸に平行で、回転軸から半径方向外向きに延びる平面を意味する。
【0040】
「非方向性トレッド」は、好ましい前進方向を持たず、トレッドパターンを好ましい移動方向と一致させるために車両の特定のホイール位置に配置する必要がないトレッドを意味する。逆に、方向性トレッドパターンは、特定のホイール位置を必要とする好ましい移動方向を有する。
【0041】
「通常負荷」は、タイヤの使用条件のための適切な標準化団体によって割り当てられた、特定設計膨張圧力および負荷を意味する。
【0042】
「アウトボード側」は、タイヤをホイールに装着し、ホイールを車両に装着したときに、車両から最も離れたタイヤの側を意味する。
【0043】
「プライ」は、ゴムで被覆されたコード補強層であって、コードは半径方向に展開され、または、それ以外の平行コードである。
【0044】
「半径方向の」および「半径方向に」は、半径方向にタイヤの回転軸に向かう、またはタイヤの回転軸から離れる方向を意味する。
【0045】
「ラジアルプライ構造」は、1つ以上のカーカスプライであって、そのうちの少なくとも1つのプライがタイヤの赤道面(EP)に対して65°と90°の間の角度で配置された補強コードを有するものを意味する。
【0046】
「ラジアルプライタイヤ」は、少なくとも1つのプライがビードからビードまで延びるコードを有し、プライがタイヤの赤道面(EP)に対して65°と90°の間のコード角度で配置された、ベルト付きまたは周方向に拘束された空気入りタイヤを意味する。
【0047】
「断面高さ」は、赤道面(EP)での公称リム直径からタイヤの外径までの半径方向の距離を意味する。
【0048】
「断面幅」は、通常圧力かつ無負荷で24時間膨張させたときおよび膨張後のタイヤのサイドウォールの外側間の、タイヤ軸に平行な最大直線距離を意味し、ラベル、装飾又は保護バンドによるサイドウォールの高さは除く。
【0049】
「自立ランフラット」は、タイヤが限られた時間および限られた速度で、非膨張状態で操作されたときに、タイヤ構造のみで車両の負荷を支持するのに十分に強い構造を有するタイプのタイヤを意味する。タイヤ構造しかないため(例えば、内部構造がないため)、タイヤのサイドウォールおよび内面が潰れたり、座屈したりすることはない。
【0050】
「サイドウォールインサート」は、タイヤのサイドウォール領域に配置されたエラストマーまたはコード補強材を意味する。インサートは、カーカス補強プライおよびタイヤの外面を形成する外側のサイドウォールゴムへの追加であってもよい。
【0051】
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤの部分を意味する。
【0052】
「ばね率」は、所与の圧力での負荷たわみ曲線の勾配として表されるタイヤの剛性を意味する。
【0053】
「剛性比」は、コードの両端を支持し、固定端の間の中心に掛けられた負荷で曲げられる固定三点曲げ試験によって値が決定された場合の、対象制御ベルト構造の剛性値を別のベルト構造の剛性値で割った値を意味する。
【0054】
「靭性」は、歪みのない試験片の単位線密度当たりの力(gm/texまたはgm/デニール)として表される応力を意味する。
【0055】
「トーガード」は、各ビードの軸方向内側のタイヤの円周方向に展開されたエラストマーのリム接触部分を示す。
【0056】
「トレッド」は、タイヤケーシングに結合された場合に、タイヤが通常負荷下で通常膨張時に路面に接するタイヤの部分を含む成型されたゴム部品を意味する。
【0057】
「垂直たわみ」は、タイヤが負荷の下でたわむ量を意味する。
【0058】
「ホイール」または「ハブ」は、タイヤを支持し、車軸に取り付けるための構造を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明は、一例として、以下の添付の図面を参照して説明される。
【
図1】本発明で使用するRFIDタグの一例の概略図である。
【
図2】本発明によるRFIDタグのアタッチメントの概略図である。
【
図3】本発明によるRFIDタグの別のアタッチメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施例を示す添付図面を参照して、本発明をより完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された代表的な例に限定されるものとして解釈されるべきではない。この開示が十分かつ完全であり、本発明の範囲を十分に伝え、当業者が本発明を作製、使用、および/または実施することを可能にするために実施例が提供される。各種図面を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0061】
RFIDタグは、例えば、メッシュ下地/材料などの基板内/上に組み込まれたRFIDデバイスなどの電子識別手段を含む製品のための、様々なタイヤ追跡解決策を可能にすることができる。RFIDタグは、製造(例えば、タイヤ加硫)やタイヤおよび他のゴム製品の多種多様な使用に関連する圧力、温度、および/または応力に耐えるように構成でき、同時に、これらのプロセスの間、これらのプロセスの後、および物品の寿命全体にわたって操作性を維持し、それによって、流通、在庫、および物品寿命の間に物品に関する一意の識別子および/または他の情報を感知し、提供することができる。以下にさらに開示されるように、RFIDタグは、幅広い種類のタイヤのサイドウォール、ビード、および/またはインナーライナーに取り付けられ、かつ/または組み込まれてもよい。タイヤの種類、タイヤの材料、および/またはタイヤの用途(例えば、レーシングタイヤ)に応じて、様々なRFIDタグ材料の厚さ、表面積、および/または構成が異なってもよい。
【0062】
理解されるように、タイヤは典型的には、車両のリムと組み合わせて使用することができる。ゴム系タイヤは、道路または地面とともに車両を支持し、グリップを提供することができる。RFIDタグは、バイアスタイヤ、ベルト式バイアスタイヤ、ラジアルタイヤ、ソリッドタイヤ、半空気入りタイヤ、空気入りタイヤ、エアレスタイヤ、非空気入りタイヤ、トラック/バス用タイヤ、航空機用タイヤ、農業用タイヤ、レーシング用タイヤ等とともに使用することができる。
【0063】
RFIDタグは、典型的には加硫工程に関連する条件に劣化することなく耐えることができる。本明細書で使用される「加硫」という語は一般に、所定の時間、例えば、少なくとも10分~数時間、90oCより高く200oCまでの温度まで昇温することを指すことができる。RFIDタグは一般に、少なくとも1つのRFIDデバイスを含むことができる。
【0064】
RFIDデバイスは一般に、RF信号を無線で送信および/または受信するためのアンテナと、それに動作可能に接続されたアナログおよび/またはデジタル電子機器とを含む。RFIDデバイスは、パッシプRFIDデバイス、および/またはバッテリおよび/または他の電源を含む、アクティブおよび/またはセミパッシプRFIDデバイスを含んでもよい。電子機器は、集積回路(IC)および/またはマイクロチップおよび/または他の適切な電子回路、例えば、通信電子機器、データメモリ、制御論理などを介して実装され得る。
【0065】
RFIDデバイスは、低周波数(LF)範囲(例えば、約30kHz~約300kHz)、高周波数(HF)およびNFC(近距離フィールド通信)範囲(例えば、約3MHz~約30MHz)、および超高周波数(UHF)範囲(例えば、約300MHz~約3GHz)を含むが、これらに限定されない様々な周波数範囲で動作することができる。パッシプデバイスは、前述の周波数範囲のいずれか1つで動作してもよい。具体的には、パッシプデバイスの場合、LFシステムは約124kHz、125kHz、または135kHzで動作することができ、HFおよびNFCシステムは約13.56MHzで動作することができ、UHFシステムは860MHz~960MHzの帯域を使用することができる。あるいは、パッシプデバイスが2.45GHzおよび/または無線スペクトルの他のエリアを使用してもよい。アクティブRFIDデバイスは、約455MHz、2.45GHz、または5.8GHzで動作することができる。半パッシプRFIDデバイスは、約2.4GHzの周波数で動作することができる。
【0066】
RFIDデバイスの読み取り範囲(すなわち、RFIDリーダがRFIDデバイスと通信することができる範囲)は、デバイスのタイプ(例えば、アクティブ、パッシプ、セミパッシプなど)によって決定することができる。パッシプLF RFIDデバイス(LFIDまたは低FIDデバイスとも呼ばれる)は、典型的には約12インチ(0.33メートル)以内から読み取ることができる。パッシプHF RFIDデバイス(HFIDまたは高FIDまたはNFCデバイスとも呼ばれる)は、典型的には約3フィート(1メートル)まで読み取ることができる。パッシプUHF RFIDデバイス(UHFIDデバイスとも呼ばれる)は、典型的には約10フィート(3.05メートル)以上から読み取ることができる。
【0067】
パッシプRFIDデバイスの読み取り範囲に影響を及ぼす1つの要因は、デバイスからリーダにデータを送信するために使用される方法である(例えば、デバイスとリーダとの間の結合モードであり、これは誘導結合または放射/伝搬結合であってもよい)。パッシプLFIDデバイスおよびパッシプHFIDデバイスは、デバイスとリーダとの間に誘導結合を使用してもよいが、パッシプUHFIDデバイスは、デバイスとリーダとの間に放射結合または伝搬結合を使用してもよい。
【0068】
あるいは、(例えば、パッシプUHFIDデバイスによって従来使用されているような)放射または伝搬結合の適用では、リーダとデバイスのそれぞれのアンテナの間に電磁界を形成するのではなく、リーダはデバイスを照らすことができる電磁エネルギーを放射することができる。次に、デバイスは、アンテナを介してリーダからエネルギーを収集することができ、デバイスの集積回路(IC)またはマイクロチップは、収集されたエネルギーを使用して、デバイスアンテナの負荷を変更し、変更信号(例えば、後方散乱)を反射して戻すことができる。UHFIDデバイスは、リーダに送り返される反射波の振幅を増大し(振幅偏移変調)、反射波を受信波の位相からシフトし(位相偏移変調)、および/または反射波の周波数を変化させる(周波数偏移変調)など、様々な異なる方法でデータを通信することができる。そして、リーダは、後方散乱信号をピックアップし、変更された波をリーダおよび/または付属コンピュータによって理解されるデータに変換することができる。
【0069】
RFIDデバイスに用いられるアンテナは、対象とする用途、デバイスの種類(例えば、アクティブ、パッシプ、セミパッシプ等)、所望の読み取り範囲、デバイスとリーダの結合モード、および/またはデバイスの動作周波数等の多数の要因により影響を受ける可能性がある。例えば、パッシプLFIDデバイスは通常、リーダと誘導結合されてもよく、デバイスアンテナに誘起される電圧はデバイスの動作周波数に比例してもよいので、パッシプLFIDデバイスは、デバイスICおよび/またはマイクロチップを動作させるのに十分な電圧を生成するために、多くのターンを有するコイルアンテナを含んでもよい。比較すると、従来のHFIDパッシプデバイスは、平面スパイラルアンテナ(例えば、クレジットカードサイズの形状要素上に5~7の巻き線を備える)を含み、数十センチメートルオーダーの読み取り範囲を提供することができる。HFIDアンテナコイルは、ワイヤ巻線よりも比較的安価な技術(例えば、リソグラフィ等)を使用して作製することができるので、(例えば、LFIDアンテナコイルと比較して)低コストで製造することができる。UHFIDパッシプデバイスは、リーダアンテナと放射結合および/または伝搬結合され、結果として、従来のダイポールアンテナを使用することが可能である。本発明で使用されるRFIDタグは、前述のRFIDデバイスのいずれか、ならびに特に言及されていない他のものを利用することができる。
【0070】
RFIDタグは、タイヤ10のインナーライナー11に有利に取り付けることができる。RFIDタグは、供給業者から、RFIDタグが未硬化ゴム質接着剤で剥離ライナーに取り付けられたロールで受け取ることができる。ゴム質接着剤は、未硬化ゴムに対して良好な初期粘着力、または粘着性を有することができる。しかしながら、硬化/加熱後、RFIDタグは、その初期粘着力を失い、インナーライナー11から脱落することがある。
図1に示されるように、例示的なRFIDタグ110の従来のロール100は、例えば、半径方向最外のトップコート層111、熱印刷されたバーコード画像を有する次の半径方向内側の第1のポリエステル層112(両面コロナ検査済)、次の半径方向内側の第1の高温接着剤層113、エッチングされたアンテナおよびICを有する次の半径方向内側のポリアミド層114、次の半径方向内側の第2の高温接着剤層115、次の半径方向内側の第1の接着促進剤層116、次の半径方向内側の第2のポリエステル層117、次の半径方向内側の第2の接着促進剤層118、次の半径方向内側の未硬化のゴム系の第3の接着剤層119、およびインナーライナー11への貼り付け前にRFIDタグ110を保持するための、ロール100の剥離可能なライナー101を含むことができる。
【0071】
図2および
図3に示すように、本発明によるシステム200のRFIDタグ210は、3つの層、すなわち、第1の内側に面するポリエステル層211、エッチングされたアンテナおよびRFIDチップを有する次の外側の第2のポリエステル層212、および最も外側の第3のポリエステル層213のみを含むことができる。3つの層211、212、213は、任意の適切な接着剤および/または接着促進剤によって互いに固定されてもよい。第1および第2の層211、212は、RFIDタグ210の構造的健全性を提供し得るが、インナーライナー11への接着力を提供しない。
【0072】
剥離可能なライナー101を廃棄する代わりに、ライナーは、第3の層213自体であってもよく、第1および第2の層211、212を適切に囲む大きさであってよく、タイヤ10の硬化前にインナーライナー11に一時的に固定されてもよい。硬化中、ライナー111は、少なくとも部分的に液化し、冷却中にインナーライナー11に永久的に接着することができる。このようなライナー213は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のような任意の適切なポリマー材料から構成され得る。ライナー213は、第1および第2の層211、212(
図3)の全周に沿ってインナーライナー11にシールされるか、または開口215(
図2)を残して、第1および第2の層211、212の適切な交換/除去のためのポケットを形成することができる。
【0073】
本明細書で提供される本発明の説明に照らして、本発明の変形形態が可能である。特定の代表的な例および詳細を、本発明を説明する目的で示したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の完全に意図された範囲内にある、本明細書に記載された特定の実施例において変更を行うことができることを理解されたい。
【外国語明細書】