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特開2022-87828鉄道車両のためのブレーキ制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087828
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】鉄道車両のためのブレーキ制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20220606BHJP
   B60T 13/36 20060101ALI20220606BHJP
   B60T 13/66 20060101ALI20220606BHJP
   B60T 15/18 20060101ALI20220606BHJP
   B60T 15/36 20060101ALI20220606BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T13/36
B60T13/66 A
B60T15/18 A
B60T15/36 A
B60T17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193480
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】202041052369
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】521522272
【氏名又は名称】ファイベリー トランスポート レール テクノロジーズ インディア プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナクマール,ソルナマニ
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
【Fターム(参考)】
3D048AA04
3D048BB03
3D048BB07
3D048CC44
3D048HH25
3D048HH27
3D048HH37
3D048HH68
3D048HH70
3D049AA04
3D049BB02
3D049BB05
3D049CC03
3D049HH16
3D049HH21
3D049HH29
3D049HH30
3D049HH34
3D049HH43
3D049HH48
3D049HH51
(57)【要約】
【課題】鉄道車両のためのブレーキ制御システム
【解決手段】2台の台車を有する鉄道車両用のブレーキ制御システムは、第1の台車および第2の台車のブレーキを制御するための第1のブレーキ制御ユニットおよび第2のブレーキ制御ユニットを含む。第1のブレーキ制御ユニットは、第1のリレー弁と、第1のリレー弁への第1のパイロット圧の適用を制御するための第1のブレーキ制御モジュールを含む。第2のブレーキ制御ユニットは、第2のリレー弁と、第2のリレー弁への第3のパイロット圧の適用を制御するための第2のブレーキ制御モジュールを含む。ブレーキ制御システムは、第1のブレーキ制御ユニットまたは第2のブレーキ制御ユニットの故障に応答して、第1のパイロット圧を第1のリレー弁に、または第3のパイロット圧を第2のリレー弁に提供するフェイルセーフ弁を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2台の台車を備えた鉄道車両用のブレーキ制御システムであって、該ブレーキ制御システムは、
鉄道車両の第1の台車のブレーキを制御するための第1のブレーキ制御ユニットであって、第1のブレーキ制御ユニットは、
主リザーバから第1のブレーキシリンダパイプへの加圧空気の流れを制御して第1の台車のブレーキを制御するための第1のリレー弁であって、第1のリレー弁は、第1のパイロット圧が第1のリレー弁に加えられると、加圧空気が第1のブレーキシリンダパイプに流れることを可能にする、第1のリレー弁、
第1のリレー弁を作動させるために第1のリレー弁への第1のパイロット圧の適用を制御するための第1のブレーキ制御モジュールであって、ここで第1のブレーキ制御モジュールは、第1のブレーキ制御ユニットの通常動作中の第1のパイロット圧の適用を制御する、第1のブレーキ制御モジュールを含む、第1のブレーキ制御ユニットと、
鉄道車両の第2の台車のブレーキを制御するための第2のブレーキ制御ユニットであって、第2のブレーキ制御ユニットは、
第2の台車のブレーキを制御するために、主リザーバから第2のブレーキシリンダパイプへの加圧空気の流れを制御するための第2のリレー弁であって、ここで第2のリレー弁は、第2のリレー弁に第3のパイロット圧を加えると、第2のブレーキシリンダパイプへの加圧空気の流れを可能にする第2のリレー弁、
第2のブレーキ制御ユニットの通常の作動中に第2のリレー弁への第3のパイロット圧の適用を制御するための第2のブレーキ制御モジュールを含む、第2のブレーキ制御ユニットと、
第1のブレーキ制御モジュールの出口を第2のブレーキ制御モジュールの出口に接続するバイパス導管、
開位置と第2の閉位置との間を移動するように適合されたフェイルセーフ弁であって、ここでフェイルセーフ弁は、
閉位置では、フェイルセーフ弁がバイパス導管を介して第1のブレーキ制御ユニットと第2のブレーキ制御ユニットの間の加圧空気の流れを防ぎ、
開位置では、フェイルセーフ弁により、バイパス導管を介して第1のブレーキ制御ユニットと第2のブレーキ制御ユニットの間で加圧空気が流れるようになり、
フェイルセーフ弁が第1のブレーキ制御ユニットの故障時に第1のパイロット圧を第1のリレー弁に提供し、第2のブレーキ制御ユニットの故障に応答して第3のパイロット圧を第2のリレー弁に提供するフェイルセーフ弁と、
を含む、ブレーキ制御システム。
【請求項2】
前記第1のブレーキ制御モジュールは、
前記主リザーバに流体接続され、開位置および閉位置に移動するように適合された第1の適用弁であって、ここで、第1の適用弁は、鉄道車両のブレーキの作動に応答して電気信号を受信すると開位置に移動し、前記主リザーバから前記第1のリレー弁への加圧空気の流れを可能にする、第1の適用弁、
第1の適用弁の下流に配置され、第1の適用弁から前記第1のリレー弁への加圧空気の流れを制御するように適合された第1の遮断弁であって、第1の遮断弁は、前記第1のブレーキ制御ユニットの故障を検出すると、前記第1の適用弁と前記第1のリレー弁との間の加圧空気の流れを防ぐために閉位置に移動する、第1の遮断弁、
を含む、請求項1に記載のブレーキ制御システム。
【請求項3】
前記第1のブレーキ制御モジュールは、前記第1の適用弁および前記第1の遮断弁に流体接続された第1の解放弁を含み、第1の解放弁は、前記第1のリレー弁に加えられている前記第1のパイロット圧の解放を容易にして前記第1の台車のブレーキを解放する、請求項2に記載のブレーキ制御システム。
【請求項4】
鉄道車両のブレーキの適用が検出されると、前記第1の解放弁は閉位置に移動し、ここで閉位置では前記第1の解放弁は、前記第1の解放弁の下流への加圧空気の流れを防ぐ、請求項3に記載のブレーキ制御システム。
【請求項5】
前記第2のブレーキ制御モジュールは、
前記主リザーバに流体接続され、開位置および閉位置に移動するように適合された第2の適用弁であって、第2の適用弁は鉄道車両のブレーキの作動に応答して電気信号を受信すると、第2の適用弁が開位置に移動し、前記主リザーバから前記第2のリレー弁への加圧空気の流れを可能にする、第2の適用弁、
前記第2の適用弁の下流に配置され、前記第2の適用弁から前記第2のリレー弁への加圧空気の流れを制御するように適合された第2の遮断弁であって、 第2の遮断弁は、前記第2のブレーキ制御ユニットの故障を検出すると、前記第2の適用弁と前記第2のリレー弁との間の加圧空気の流れを防ぐために閉位置に移動する、第2の遮断弁、
を含む、請求項1に記載のブレーキ制御システム。
【請求項6】
前記第2のブレーキ制御モジュールは、前記第2の適用弁および前記第2の遮断弁に流体接続された第2の解放弁を含み、第2の解放弁は、前記第2のリレー弁に加えられている第3のパイロット圧の解放を容易にして第2の台車のブレーキを解放する、請求項5に記載のブレーキ制御システム。
【請求項7】
前記第2の解放弁は、鉄道車両のブレーキの適用を検出すると閉位置に移動し、閉位置では、前記第2の解放弁は、前記第2の解放弁の下流への加圧空気の流れを防ぐ、請求項6に記載のブレーキ制御システム。
【請求項8】
前記第1のブレーキ制御ユニットの故障は、前記第1の適用弁または前記第1の解放弁のうちの少なくとも1つの故障を検出したときに検出される、請求項1に記載のブレーキ制御システム。
【請求項9】
前記第2のブレーキ制御ユニットの故障は、前記第2の適用弁または前記第2の解放弁のうちの少なくとも1つの故障を検出したときに検出される、請求項1に記載のブレーキ制御システム。
【請求項10】
ブレーキ制御システムは、別のブレーキ制御システムにパイロット圧を提供するために、ブレーキ制御システムを別の鉄道車両の別のブレーキ制御システムに流体接続する第2のフェイルセーフ弁を含む、請求項1に記載のブレーキ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に鉄道車両のためのブレーキ制御システムに関する。より具体的には、本発明は、ブレーキ制御システム、およびハードウェアまたは電気または電子制御の故障時に鉄道車両のブレーキを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前世紀にわたって、列車は、鉄道車両、地下鉄車両、および機関車の動きを制御するために空気圧ブレーキシステムを採用してきた。鉄道車両を備えた機関車の場合、鉄道車両のブレーキの適用または解放は通常、ブレーキパイプの圧力の変化に応答するように構成され、ブレーキパイプは、先頭の機関車両から最後の鉄道車両まで延びる長い連続パイプである。列車のブレーキをかけるときは、電動制御弁がブレーキパイプの圧力を下げ、それに応じて各車両の個別のブレーキが適用される。列車のブレーキが解除されると、電気制御弁がブレーキパイプの圧力を調整し、それに応じて各車両の個々のブレーキが解除される。ブレーキパイプの圧力を制御するための電気制御弁は、機関車の制御ユニットに収容することができ、機関車の運転者ブレーキ制御器から電子制御入力を受け取ることができる。シングルパイプシステムを備えたメトロ鉄道車両の場合、ブレーキの適用と解放は、各台車のブレーキシリンダーを充填および排気することにより、空気圧リレーを備えた電気作動式制御弁によって直接制御される。ダブルパイプシステムの地下鉄鉄道車両の場合、上記のシングルパイプシステムに加えて、電気作動式制御弁の故障時に各車両にブレーキをかけたり解放したりするために、鉄道車両を備えた機関車と同様、最初の鉄道車両から最後の鉄道車両まで延びるブレーキパイプがある。
【0003】
制御弁が故障した場合、ブレーキパイプ圧力/ブレーキシリンダー圧力は、減少または調整される位置にはない。ただし、非常ブレーキをかけることにより、列車が停止する場合がある。通常、緊急ブレーキ弁は、ブレーキパイプ内の空気圧を急速に低下/ブレーキシリンダパイプ内に圧力を充填させて、列車のブレーキをかけさせるために使用される。ただし、電子制御装置が故障すると、列車の通常の運行が妨げられ、列車の整備と修理が可能になるまで列車が効果的に運行を続けることができなくなる可能性がある。さらに、現在のシステムでは、列車の運転士は、デフォルトのブレーキ適用および解放機能の下で、機関車/地下鉄車両を操作し続けることができない場合がある。1つまたは複数の制御弁が故障した後でも、列車がデフォルトのブレーキ機能で作動することを可能にするシステムが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、2台の台車を有する鉄道車両用のブレーキ制御システムが開示される。ブレーキ制御システムは、鉄道車両の第1の台車のブレーキを制御するための第1のブレーキ制御ユニットを含む。第1のブレーキ制御ユニットは、第1の台車のブレーキを制御するために、主リザーバから第1のブレーキシリンダパイプへの加圧空気の流れを制御するための第1のリレー弁を含む。第1のリレー弁は、第1のパイロット圧が第1のリレー弁に加えられると、加圧空気が第1のブレーキシリンダパイプに流れることを可能にする。第1のブレーキ制御ユニットは、第1のリレー弁への第1のパイロット圧の適用を制御して第1のリレー弁を作動させるための第1のブレーキ制御モジュールをさらに含む。第1のブレーキ制御モジュールは、第1のブレーキ制御ユニットの通常動作中の第1のパイロット圧の適用を制御する。ブレーキ制御システムは、鉄道車両の第2の台車のブレーキを制御するための第2のブレーキ制御ユニットをさらに含む。第2のブレーキ制御ユニットは、第2の台車のブレーキを制御するために、主リザーバから第2のブレーキシリンダパイプへの加圧空気の流れを制御するための第2のリレー弁を含む。第2のリレー弁に第3のパイロット圧を加えると、第2のリレー弁は、第2のブレーキシリンダパイプへの加圧空気の流れを可能にする。第2のブレーキ制御ユニットはまた、第2のブレーキ制御ユニットの通常の動作中に第2のリレー弁への第3のパイロット圧の適用を制御するための第2のブレーキ制御モジュールを含む。ブレーキ制御システムはさらに、バイパス導管とフェイルセーフ弁を含む。バイパス導管は、第1のブレーキ制御モジュールの出口を第2のブレーキ制御モジュールの出口に接続する。さらに、フェイルセーフ弁は、開位置と第2の閉位置の間を移動するように適合されている。閉位置ではフェイルセーフ弁が、バイパス導管を介した第1のブレーキ制御ユニットと第2のブレーキ制御ユニットの間の加圧空気の流れを防ぐ。開位置ではフェイルセーフ弁が、バイパス導管を介した第1のブレーキ制御ユニットと第2のブレーキ制御ユニットの間の加圧空気の流れを可能にする。フェイルセーフ弁は、第1のブレーキ制御ユニットの故障時に第1のパイロット圧を第1のリレー弁に提供し、第2のブレーキ制御ユニットの故障に応答して第3のパイロット圧を第2のリレー弁に提供する。
【0005】
一実施形態では、第1のブレーキ制御モジュールは、主リザーバに流体接続され、開位置および閉位置に移動するように適合された第1の適用弁を含む。鉄道車両のブレーキの作動に応答して電気信号を受信すると、第1の適用弁が開位置に移動し、主リザーバから第1のリレー弁への加圧空気の流れを可能にする。第1のブレーキ制御モジュールはまた、第1の適用弁の下流に配置され、第1の適用弁から第1のリレー弁への加圧空気の流れを制御するように適合された第1の遮断弁を含む。第1の遮断弁は、第1のブレーキ制御ユニットの故障を検出すると、第1の適用弁と第1のリレー弁との間の加圧空気の流れを防ぐために閉位置に動かされる。
【0006】
一実施形態では第1のブレーキ制御モジュールは、第1の適用弁および第1の遮断弁に流体接続された、第1の解放弁を含む。第1の解放弁は、第1の台車のブレーキを解放するために第1のリレー弁に加えられている第1のパイロット圧を解放することを容易にする。
【0007】
一実施形態によれば、第1の解放弁は、鉄道車両のブレーキの適用が検出されると、閉位置に動かされる。閉位置では、第1の解放弁は、第1の解放弁の下流への加圧空気の流れを防ぐ。
【0008】
一実施形態では、第2のブレーキ制御モジュールは、主リザーバに流体接続され、開位置および閉位置に移動するように適合された第2の適用弁を含む。第2の適用弁は、鉄道車両のブレーキの作動に応答して電気信号を受信すると開位置に動かされ、主リザーバから第2のリレー弁への加圧空気の流れを可能にする。第2のブレーキモジュールは、第2の適用弁の下流に配置され、第2の適用弁から第2のリレー弁への加圧空気の流れを制御するように適合された第2の遮断弁をさらに含む。第2の遮断弁は、第2のブレーキ制御ユニットの故障を検出すると、第2の適用弁と第2のリレー弁との間の加圧空気の流れを防ぐために閉位置に動かされる。
【0009】
一実施形態によれば、第2のブレーキ制御モジュールは、第2の適用弁および第2の遮断弁に流体接続された第2の解放弁を含む。第2の解放弁は、第2のリレー弁に加えられている第3のパイロット圧を解放して、第2の台車のブレーキを解放することを容易にする。
【0010】
一実施形態では、第2の解放弁は、鉄道車両のブレーキの適用が検出されると、閉位置に移動する。閉位置では、第2の解放弁は、第2の開放弁の下流への加圧空気の流れを防ぐ。
【0011】
一実施形態では、第1のブレーキ制御ユニットの故障は、第1の適用弁または第1の解放弁のうちの少なくとも1つの故障を検出したときに検出される。
【0012】
一実施形態では、第2のブレーキ制御ユニットの故障は、第2の適用弁または第2の解放弁のうちの少なくとも1つの故障を検出したときに検出される。
【0013】
一実施形態によれば、ブレーキ制御システムは、別のブレーキ制御システムにパイロット圧を提供するために、ブレーキ制御システムを別の鉄道車両の別のブレーキ制御システムに流体接続する第2のフェイルセーフ弁を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下では、添付の図で示される実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。示される実施形態は、例示の目的のみに使用され、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではないことを強調すべきである。
【0015】
図1図1は、本開示の一実施形態による、鉄道車両の第1の台車のブレーキを制御するための第1のブレーキ制御ユニットと、鉄道車両の第2の台車のブレーキを制御するための第2のブレーキ制御ユニットとを有するブレーキ制御システムを示す。
【0016】
図2図2は、本開示の一実施形態による、第2のブレーキ制御ユニットの故障中に第1のブレーキ制御ユニットから第2のブレーキ制御ユニットにパイロット圧を提供するための開位置にある第1のフェイルセーフ弁を示すブレーキ制御システムを図示する。
【0017】
図3図3は本開示の一実施形態による、第1のブレーキ制御ユニットの故障中に第2のブレーキ制御ユニットから第1のブレーキ制御ユニットにパイロット圧を提供するための、開位置にある第1のフェイルセーフ弁を示すブレーキ制御システムを図示している。
【0018】
図4図4は本開示の一実施形態による、別の鉄道車両のブレーキ制御システムに加圧空気を提供するための第2のフェイルセーフ弁を有するブレーキ制御システムを示す。
【0019】
図5図5は本開示の一実施形態による、別の鉄道車両のブレーキ制御システムに加圧空気を提供するための、開位置にある第2のフェイルセーフ弁を示すブレーキ制御システを図示している。
【0020】
図6図6は、本開示の代替的な実施形態による、ブレーキ制御システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、2および3は、鉄道車両のブレーキの適用および解放を制御するためのブレーキ制御システム100の概略図を示す。典型的には、各鉄道車両は2台の台車を含み、ブレーキ制御システム100は、台車の1つに関連する第1のブレーキの適用および解放を制御するための第1のブレーキ制御ユニット102と、台車のもう一つに関連する第2のブレーキを制御するための第2のブレーキ制御ユニット104とを含む。ブレーキ制御ユニット102、104のそれぞれは、主リザーバ106から2つのブレーキシリンダパイプ108、110のうちの対応する1つへの加圧空気の流れを制御し、2台の台車のブレーキ(図示せず)の適用および/または解放を制御するためにブレーキシリンダパイプ108、110内の空気圧を制御するよう適合されている。
【0022】
示されるように、第1のブレーキ制御ユニット102は、主リザーバ106および第1のブレーキシリンダパイプ108と流体接続し、主リザーバ106から第1のブレーキシリンダパイプ108への加圧空気の流れを制御するように適合された第1のリレー弁112、および第1のリレー弁112に加えられるパイロット圧(第1のパイロット圧)の適用を制御するための第1のブレーキ制御モジュール120を含む。さらに、ブレーキ制御システム100は、主リザーバ106に流体接続され、第1のリレー弁112に加えられる第2のパイロット圧の圧力値を制御するように適合された制御リザーバ122を含む。第1のリレー弁の開閉は、第1のリレー弁112に提供される第1のパイロット圧および第2のパイロット圧を制御することによって制御される。
【0023】
第1のリレー弁112は、空気圧で作動/作動される弁であり得、主リザーバ106から第1のブレーキシリンダパイプ108への加圧空気の流れを防止または可能にする。第1のリレー弁112は、第1のリレー弁112に加えられた第1のパイロット圧および第2のパイロット圧に基づいて、開位置および閉位置に移動するように適合されている。一実施形態では、開位置において第1のリレー弁112は、第1のパイロット圧および第2のパイロット圧に従って、主リザーバ106から第1のブレーキシリンダパイプ108への加圧空気の流れを可能にし、および/または第1のブレーキシリンダパイプ108からの加圧空気を排出する。そして閉位置において、第1のリレー弁112は、主リザーバ106から第1のブレーキシリンダパイプ108への加圧空気の流れを防止する。
【0024】
第1のリレー弁112に加えられる第1のパイロット圧、つまり第1の台車のブレーキの適用または解放を制御するために、第1のブレーキ制御ユニット102は、第1の解放弁126、第1の適用弁128、および第1の遮断弁130を有する第1のブレーキ制御モジュール120を含む。弁126、128、130は、電気的に作動される弁であり、電気信号を受信すると、通電状態に移行する。
【0025】
示されるように、第1の適用弁128は、主リザーバ106に流体接続され、開位置(通電状態)(図1および2に示される)と閉位置(非通電状態)(図3に示される)との間を移動するように適合される。示されるように、第1の適用弁128は、第1のフローライン132を介して主リザーバ106に流体接続されている。さらに、第1の適用弁128は、第2のフローライン134を介して第1の解放弁126に流体接続され、第3のフローライン136を介して第1の遮断弁130に流体接続される。したがって、第1の解放弁126は、第1の遮断弁130および第1の適用弁128の両方に流体的に接続されている。示されるように、第1の解放弁126および第1の遮断弁130の両方が、第1の適用弁の下流に配置される。開位置では、第1の適用弁128は、第3のフローライン136を介して、主リザーバ106から第1の遮断弁130への加圧空気の流れを可能にする。第1の適用弁128は、閉位置に偏っており、電気作動信号を受信すると開位置に移動することが理解されよう。
【0026】
第1の適用弁128と同様に、第1の解放弁126は、開位置(非通電状態)(図3 'に示される)と閉位置(通電状態)(図1および図2に示される)との間を移動するように適合され、開位置に偏っている。したがって、第1の解放弁126は、電気作動信号を受信すると、閉位置に移動する。開位置では、第1解放弁126は、第1の解放弁126の下流の加圧空気の流れを可能にし、一方、閉位置では、第1の解放弁126は、第1の解放弁126の下流の加圧空気の流れを防ぐ。
【0027】
さらに、第1の遮断弁130はまた、開位置(非通電状態)と閉位置(通電状態)との間を移動するように適合されており、開位置に偏っている。したがって、第1の遮断弁130は、電気作動信号を受信すると、閉位置に移動する。開位置では、第1の遮断弁130は、第1のリレー弁112への加圧空気の流れを可能にし、一方、閉位置では、第1の遮断弁130は、第1の適用弁128から第1のリレー弁への、およびその逆の加圧空気の流れを防止する。したがって、閉位置では、第1の遮断弁130は、第1のブレーキ制御モジュール120を第1のリレー弁112および第2のブレーキ制御ユニット104から遮断する。
【0028】
さらに、第1のブレーキ制御ユニット102は、第4のフローライン142を介して第1の遮断弁130に流体接続された第1の緊急弁140を含み得、第1の遮断弁130の下流に配置される。第1の緊急弁140はまた、第5のフローライン144を介して主リザーバ106から加圧空気を受け取るために、主リザーバ106に流体接続されている。さらに、第1の緊急弁140は、第6のフローライン146を介して第1のリレー弁112に流体接続されている。示されるように、第1の緊急弁140は、電気的に作動される弁であり、第1の位置と第2の位置との間を移動するように適合されている。第1の緊急弁140は、第1の位置に偏って配置され、電気的な作動信号を受信すると第2の位置に移動する。第1の位置では、第1の緊急弁140は、第5のフローライン144を第6のフローライン146に流体接続し、第5のフローラインを介して主リザーバ106から第1のリレー弁112への第1のパイロット圧としての加圧空気の流れを可能にする。第2の位置にある間、第1の緊急弁140は、第6のフローライン146を介して第4のフローライン142を第1のリレー弁112に流体接続して、第1のパイロット圧を第1のリレー弁112に加える。
【0029】
第1のブレーキ制御ユニット102が通常に作動している間、第1のブレーキ制御ユニット102の第1のコントローラは、ブレーキを鉄道車両に適用/解放するためのオペレータによるブレーキレバーの押し下げ/移動の検出に応答して、弁126、128、140に電気的な作動信号を適用/提供することができることが理解されよう。例えば、ブレーキ制御システム100または第1のブレーキ制御ユニット102が正常に作動しているとき、第1のコントローラは、ブレーキを鉄道車両に適用するためのオペレータによるブレーキレバーの押し下げ/移動の検出に応答してブレーキを適用するために、第1の適用弁128および第1の解放弁126に電気的な作動信号を提供し得る。また、第1の緊急弁140は、ブレーキレバーの移動に関係なく第1の緊急弁140を第2の位置に維持するために、電気的に作動することができる。したがって、ブレーキをかけるために、ブレーキ制御システム100または第1のブレーキ制御ユニット102の通常の動作中に第1のコントローラは、第1の適用弁128を開位置に動かし、第1の解放弁126を閉位置に動かす。鉄道車両のブレーキを解除するための運転者によるブレーキレバーの踏み込み・移動の検知に応じて、ブレーキを解除するために、ブレーキ制御システム100または第1のブレーキ制御ユニット102の通常の作動中、第1のコントローラは、第1の適用弁128を閉位置に移動させ、第1の解放弁126を開位置に移動させる。また、第1の緊急弁140は、ブレーキレバーの移動に関係なく、第1の緊急弁140を第2の位置に維持するために、電気的に作動できる。
【0030】
一実施形態では、ブレーキ制御システム100は、第1のブレーキ制御ユニット102またはブレーキ制御システム100の故障があったときに第1の遮断弁130の作動を制御するための冗長コントローラを含み得る。第1のブレーキ制御ユニット102の故障は、第1の解放弁126および/または第1の適用弁128の電気的故障が検出されたときに検出される。第1のブレーキ制御ユニット102の故障を検出すると、冗長コントローラは、電気的な作動信号を第1の遮断弁130に適用/提供することができる。したがって、第1の遮断弁は、ブレーキ制御システム100または第1のブレーキ制御ユニット102の故障の検出に応答して、閉位置に移動される。したがって、第1のブレーキ制御ユニット102の通常の動作中、第1の遮断弁130は開位置に留まり、第1のブレーキ制御ユニット102またはブレーキ制御システム100の故障を検出すると、閉位置に作動する。冗長コントローラは、第1のブレーキ制御ユニット102の故障中に第1の遮断弁130を制御することが企図されているが、第1のコントローラは、第1のブレーキ制御ユニット102の故障の検出時に第1の遮断弁130も制御できることを理解されたい。
【0031】
図1に戻ると、第2のブレーキ制御ユニット104は、主リザーバ106と第2のブレーキシリンダパイプ110と流体接続している第2のリレー弁150であって、主リザーバ106から第2のブレーキシリンダパイプ110への加圧空気の流れを制御するように適合される第2のリレー弁150と、第2のリレー弁150に加えられるパイロット圧(すなわち、第3のパイロット圧)の適用を制御するための第2のブレーキ制御モジュール152とを含む。さらに、制御リザーバ122は、第2のリレーバルブ150に流体接続され、第2のリレーバルブ150に加えられる第4のパイロット圧の圧力値を制御するように適合されている。第2のリレー弁150の開閉は、第2のリレー弁150に提供される第3のパイロット圧および第4のパイロット圧を制御することによって制御される。
【0032】
第2のリレー弁150は、空気圧で作動する弁であり得、主リザーバ106から第2のブレーキシリンダパイプ110への加圧空気の流れを防止または可能にする。第2のリレー弁150は、第2のリレー弁150に加えられる第3のパイロット圧および第4のパイロット圧に基づいて、開位置および閉位置に移動するように適合されている。一実施形態では、開位置では、第2のリレー弁150は、第3のパイロット圧および第4のパイロット圧に従って、主リザーバ106から第2のブレーキシリンダパイプ110への加圧空気の流れを可能にし、および/または第2のブレーキシリンダパイプ110からの加圧空気を排出する。一方閉位置では、第2のリレーバルブ150は、主リザーバ106から第2のブレーキシリンダパイプ110への加圧空気の流れを防止する。
【0033】
第2のリレー弁150に加えられる第3のパイロット圧、ひいては第2の台車のブレーキの適用または解放を制御するために、第2のブレーキ制御ユニット104は、第2の解放弁156、第2の適用弁158、および第2の遮断弁160を有する、第2のブレーキ制御モジュール152を含む。弁156、158、160は、電気的に作動される弁であり、電気信号を受信すると、通電状態に移行する。
【0034】
示されるように、第2の適用弁158は、主リザーバ106に流体接続され、開位置(通電状態)(図1および3に示される)と閉位置(非通電状態)(図2に示される)との間を移動するように適合される。示されるように、第2の適用弁158は、第1のフローパイプ162を介して主リザーバ106に流体接続されている。さらに、第2の適用弁158は、第2のフローパイプ164を介して第2の解放弁156に流体接続され、第3のフローパイプ166を介して第2の遮断弁160に流体接続される。開位置では、第2の適用弁158は、主リザーバ106から第2の適用弁158の下流へと、第2の遮断弁160への加圧空気の流れを可能にする。第2の適用弁158は、閉位置に偏っており、電気的な作動信号を受信すると開位置に移動することが理解され得る。
【0035】
第2の適用弁158と同様に、第2の解放弁156は、開位置(非通電状態)と閉位置(通電状態)との間を移動するように適合され、開位置に偏っている。したがって、第2の解放弁156は、電気的な作動信号を受信すると、閉位置に移動する。開位置では、第2の解放弁156は、第2のフローパイプ164から第2の解放弁156の下流の加圧空気の流れを可能にし、一方閉位置では、第2の解放弁156は第2の解放弁156の下流の第2のフローパイプ164からの加圧空気の流れを防止する。
【0036】
さらに、第2の遮断弁160はまた、開位置(非通電状態)と閉位置(通電状態)との間を移動するように適合され、開位置に偏っている。したがって、第2の遮断弁160は、電気的な作動信号を受信すると、閉位置に移動する。開位置では、第2の遮断弁160は、第2のリレー弁150への加圧空気の流れを可能にし、一方、閉位置では、第2の遮断弁160は、第3のフローパイプ166から第2のリレー弁150への、およびその逆の加圧空気の流れを防止する。したがって、閉位置では、第2の遮断弁160は、第2のブレーキ制御モジュール152を第2のリレー弁150および第1のブレーキ制御ユニット102から遮断する。
【0037】
さらに、第2のブレーキ制御ユニット104は、第4のフローパイプ172を介して第2の遮断弁160に流体接続され、第2の遮断弁160の下流に位置する第2の緊急弁170を含み得る。第2の緊急弁170もまた、主リザーバ106に流体接続されて、第5のフローパイプ174を介して主リザーバ106から加圧空気を受け取る。また、第2の緊急弁170は、第6のフローパイプ176を介して第2のリレー弁150に流体接続されている。示されるように、第2の緊急弁170は、電気的に作動される弁であり、第1の位置と第2の位置との間を移動するように適合されている。第2の緊急弁170は、第1の位置に偏っており、電気的な作動信号を受信すると第2の位置に移動する。第1の位置では、第2の緊急弁170は、第5のフローパイプ174を第6のフローパイプ176に、したがって第2のリレーバルブ150に流体接続して、主リザーバ106から第2のリレー弁150への加圧空気(すなわち、第3のパイロット圧)の流れを可能にする。一方第2の位置では、第2の緊急弁170は、第4のフローパイプ172を第6のフローパイプ176に流体接続して、第2のブレーキ制御モジュール152から第2のリレーバルブ150への加圧空気(すなわち、第3のパイロット圧)の流れを可能にする。
【0038】
第2のブレーキ制御ユニット104の通常の作動中、第2のブレーキ制御ユニット104の第2のコントローラは、第2の台車(すなわち、鉄道車両)にブレーキを適用/解放するためのオペレータによるブレーキレバーの押し下げ/移動の検出に応答して、弁に電気的な作動信号を適用/提供することができるということが理解されよう。例えば第2のブレーキ制御ユニット104が正常に作動している時、第2のコントローラは、ブレーキを鉄道車両に適用するためのオペレータによるブレーキレバーの押し下げ/移動の検出に応答してブレーキを適用するために、第2の適用弁158および第2の解放弁156に電気的な作動信号を提供し得る。したがってブレーキをかけるために、第2のブレーキ制御ユニット104の通常の動作中に第2のコントローラは、第2の適用弁158を開位置に動かし、第2の解放弁156を閉位置に動かす。また、第2のブレーキ制御ユニット104の通常の作動中、第2の緊急弁170は第2の位置に留まっていることが理解されよう。鉄道車両へのブレーキ解放のためのオペレータによるブレーキレバーの押し下げ/移動の検知に応じて、ブレーキを解放するために、第2のブレーキ制御ユニット104の通常の作動中、第2のコントローラは、第2の適用弁158を閉位置に動かし、第2の解放弁156を開位置に動かす。また、第2のブレーキ制御ユニット104の通常の作動中、第2の緊急弁170は第2の位置に留まっていることが理解されよう。
【0039】
一実施形態では冗長コントローラは、第2のブレーキ制御ユニット104またはブレーキ制御システム100に故障が発生したときに、第2の遮断弁160を制御する。第2のブレーキ制御ユニット104の故障は、第2の解放弁156および/または第2の適用弁158の電気的故障が検出されたときに検出される。故障モードの間、冗長コントローラは、電気的な作動信号を第2の遮断弁160に適用/提供することができる。したがって、第2の遮断弁160は、ブレーキ制御システム100または第2のブレーキ制御ユニット104の故障の検出に応答して、閉位置に移動される。したがって、第2のブレーキ制御ユニット104の通常の動作中、第2の遮断弁160は開位置に留まり、第2のブレーキ制御ユニット104またはブレーキ制御システム100の故障を検出すると、閉位置に作動する。
冗長コントローラは、第2のブレーキ制御ユニット104の故障中に第2の遮断弁160を制御することが企図されているが、第1のコントローラは、第2のブレーキ制御ユニット104の故障の検出時に第2の遮断弁160も制御できることが理解されよう。
【0040】
また、ブレーキ制御システム100は、第6のフローライン146を第6のフローパイプ176に流体接続して、それらの間の加圧空気の流れを可能にするバイパス導管180を含む。第6のフローライン146と第6のフローパイプ176との間、したがって第1のブレーキ制御ユニット102と第2のブレーキ制御ユニット104との間の加圧空気の流れを制御するために、ブレーキ制御システム100は、フェイルセーフ弁182を含む。示されるように、フェイルセーフ弁182は、電気機械弁であり、開位置と閉位置との間を移動するように適合されている。開位置では、フェイルセーフ弁182は、第1のブレーキ制御ユニット102と第2の制御ユニット104との間の加圧空気の流れを可能にし、閉位置では、フェイルセーフ弁182は、第1のブレーキ制御ユニット102と第2のブレーキ制御ユニット104との間の加圧空気の流れを防止する。また、フェイルセーフ弁182は、閉位置に偏っており、電気的な作動信号を受信すると開位置に移動する。さらに、フェイルセーフ弁182は、ブレーキ制御システム100が正常に作動しているとき(すなわち、第1のブレーキ制御ユニット102および/または第2のブレーキ制御ユニット104の故障がない時)、閉位置に留まる。フェイルセーフ弁182は、第1のブレーキ制御ユニット102および/または第2のブレーキ制御ユニット104の故障を検出すると、開位置に移動する。第2のブレーキ制御ユニット104に故障があり、第1のブレーキ制御ユニットが正常に作動している時、フェイルセーフ弁182は、バイパス導管180を介して、第1のブレーキ制御モジュール120の下流から第2のリレー弁150への加圧空気(すなわち、第3のパイロット圧)の流れを可能にする。また、第2のブレーキ制御ユニット104は正常に作動しているが第1のブレーキ制御ユニット102に故障が生じたときに、フェイルセーフ弁182は、バイパス導管180を介して第2のブレーキ制御モジュール152の下流から第1のリレー弁112に加圧空気(すなわち第1のパイロット圧)の流れを可能にする。
【0041】
図4および5に示されるように、ブレーキ制御システム100は、第2の鉄道車両のブレーキ制御システムの故障が検出された場合に第2の鉄道車両のリレー弁に加圧空気を提供するための第2のフェイルセーフ弁190を含む。また、第2のフェイルセーフ弁190は、ブレーキ制御ユニット102、104両方の故障の場合に、第2の鉄道車両からの加圧空気の受け取りを容易にする。第2のフェイルセーフ弁190は、フロー導管192を介してバイパス導管180に接続されている。示されるように、第2のフェイルセーフ弁190は、電気機械弁であり、開位置と閉位置との間を移動するように適合されている。開位置では、第2のフェイルセーフ弁190は、鉄道車両のブレーキ制御システム100から第2の鉄道車両のブレーキ制御システムへ、およびその逆に加圧空気の流れを可能にし、閉位置にある間、第2のフェイルセーフ弁190は、2つのブレーキ制御システム間の加圧空気の流れを防止する。また、第2のフェイルセーフ弁190は、閉位置に偏っており、電気的な作動信号を受信すると開位置に移動する。
【0042】
また、ブレーキ制御システム100は、第5のフローライン144を介して第1の緊急弁140に供給され、第5のフローパイプ174を介して第2の緊急弁170に供給される加圧空気の圧力を、制御/調整する第1の圧力調整器194を含み得る。さらに、ブレーキ制御システム100は、制御リザーバ122に供給される加圧空気の圧力、つまり第2および第4のパイロット圧の値を、制御/調整するための第2の圧力調整器196を含み得る。
【0043】
図6を参照すると、本発明の代替的な実施形態によるブレーキ制御システム100’が示されている。ブレーキ制御システム100’は、制御リザーバ122がブレーキ制御システム100’から省略されていることを除いて、ブレーキ制御システム100と同様である。また、ブレーキ制御システム100’では、第1の緊急弁140’は第5のフローライン144’に接続され、第1のパイロット圧として第1のリレー弁112への加圧空気の流れを可能にする代わりに、第1のリレー弁112への第2のパイロット圧の適用を制御する。同様に、 第2の緊急弁170’は、第5のフローパイプ174’に接続され、第3のパイロット圧として第2のリレー弁150への加圧空気の流れを可能にする代わりに、第2のリレー弁150への第4のパイロット圧の適用を制御する。
【0044】
次に、ブレーキ制御システム100の動作について説明する。ブレーキ制御システム100の通常の作動中、すなわち第1のブレーキ制御ユニット102と第2のブレーキ制御ユニット104の両方が正常に作動しているときのブレーキ制御システム100の機能は、図を参照して説明される。ブレーキをかけるために、オペレータはブレーキレバーをブレーキ位置に操作することができる。ブレーキ位置にあるブレーキレバーを検出すると、 ブレーキコントローラ(第1および第2のコントローラ)は、第1の適用弁128および第2の適用弁158を制御/作動させ、第1の適用弁128および第2の適用弁158を開位置に移動させることができる。さらに、ブレーキコントローラは、第1の解放弁126および第2の解放弁156を閉位置に作動させることができる。また、ブレーキコントローラは、第1の遮断弁130、第2の遮断弁160、およびフェイルセーフ弁182の作動を防止することができる。したがって、第1の遮断弁130および第2の遮断弁160は開位置に留まり、一方、フェイルセーフ弁は閉位置に留まる。
【0045】
このように、 第1のブレーキ制御モジュール120は、第1のフローライン132、第1の緊急バルブ140を介して、主リザーバ106から第1のリレー弁112への加圧空気(すなわち、第1のパイロット圧)の流れを可能にする。 一方、第2のブレーキ制御モジュール152は、第2の緊急弁170および第6のフローパイプ176を介して第1のフローパイプ162を介して主リザーバ106から第2のリレー弁150への加圧空気(すなわち、第3のパイロット圧)の流れを可能にする。したがって、第1のリレー弁112は、第1のブレーキシリンダパイプ108への加圧空気の流れを可能にするために開位置に移動するように通電/作動されて第1の台車のブレーキの適用を発生させ、第2のリレー弁150は、第2のブレーキシリンダパイプ110への加圧空気の流れを可能にするために開位置に作動されて第2の台車のブレーキの適用を発生させる。
【0046】
次に、鉄道車両にブレーキを適用/解放するための故障モード中のブレーキ制御システム100の機能について説明する。ブレーキコントローラは、第1のブレーキ制御ユニット102および/または第2の制御ユニット104のハードウェアまたは電気的または電子的故障が検出されたときに、故障モードを検出することができる。図3を参照すると、第1のブレーキ制御ユニット102の故障中および第2のブレーキ制御ユニット104の通常の動作中のブレーキ制御システム100の機能が示されている。第1の適用弁128の電気的故障および/または第1の解放弁126の電気的故障が発生したとき、または第1の適用弁128および/または第1の解放弁126が電気作動信号を受信した後でも通電されないとき、または 第1の適用弁128および/または第1の解放弁126が、通電状態で固着している時に、第1のブレーキ制御ユニット102の故障が検出/確認される。第1の適用弁128および第1の解放弁126の故障のために、第1の適用弁128が閉位置に移動し、第1の解放弁126が開位置に移動するか、あるいは第1の適用弁128が閉位置に移動し、第1の解放弁126が閉位置に固着している。さらに、第1の適用弁128および第1の解放弁126の故障が検出されると、冗長コントローラまたは第1のコントローラは、第1の遮断弁130を作動させて、第1の遮断弁130を閉位置に移動させる。したがって、第1のブレーキ制御モジュール120は、第1のリレー弁112(すなわち、第6のフローライン146)から遮断されている。さらに、冗長コントローラは、第1の緊急弁140を第2の位置に保持する。
【0047】
また、第2のブレーキ制御ユニット104は正常に作動し続けるので、ブレーキをかける場合、第2のコントローラは、第2の遮断弁160を作動させないように保ちながら第2の適用弁158を開位置に動かし、第2の解放弁156を閉位置に動かし、それによりコントローラは第2の遮断弁160を開位置に維持する。したがって、第2のブレーキ制御モジュール152は、第4のフローパイプ172を介して主リザーバ106から第6のフローパイプ176への、つまり第3のパイロット圧としての第2のリレーバルブ150への加圧空気の流れを可能にする。
【0048】
さらに、第1のブレーキ制御ユニット102の故障を検出すると、ブレーキコントローラは、第1のフェイルセーフ弁182を開位置に作動させる。そうすることで、バイパス導管180を介した第6のフローパイプ176から第6のフローライン146への加圧空気の流れが可能になる。したがって、第1のパイロット圧が第1のリレー弁112に加えられて、第1のリレー弁112を開位置に作動させ、主リザーバ106から第1のブレーキシリンダパイプ108への加圧空気の流れを可能にして、第1の台車のブレーキをかける。
【0049】
ブレーキ解除の場合、 第2のブレーキ制御ユニット104は、第2の遮断弁160を作動させないまま第2の適用弁158を閉位置に動かし、第2の解放弁156を開位置に動かし、それによりコントローラは、第2の遮断弁160を開位置に保つ。したがって、第2のブレーキ制御モジュール152は、第6のフローパイプ176から第4のフローパイプ172を介した、つまり第2のリレー弁150から第3のパイロット圧としての加圧空気を、排出する。第2のリレー弁150から第3のパイロット圧を逃がすと、 第2のブレーキシリンダパイプ110からの加圧空気の排出が起こり、第2の台車のブレーキを解放する。
【0050】
さらに、第1のブレーキ制御ユニット102の故障を検出すると、ブレーキコントローラは、第1のフェイルセーフ弁182を開位置に作動させる。そうすることで、加圧空気は、バイパス導管180および第4のフローパイプ172を介して、第6のフローライン146から排出される。したがって、第1のリレー弁112から第1のパイロット圧を逃がすと、 第1のブレーキシリンダパイプ108からの加圧空気の排出が起こり、第1の台車のブレーキを解放する。
【0051】
このようにして、ブレーキ制御システム100は、第1のブレーキ制御ユニット102が故障した場合に、第2の台車と共に第1の台車のブレーキの適用/解放を容易にする。第2のブレーキ制御ユニット104は、ブレーキ制御システム100の通常の作動中に、上述の説明と同様の方法で第2の台車のブレーキをかけることを可能にする。
【0052】
第2のブレーキ制御ユニット104の故障中および第1のブレーキ制御ユニット102の通常の動作中のブレーキ制御システム100の機能は、図2を参照して説明される。第2の適用弁158の電気的故障および/または第2の解放弁156の電気的故障が発生したとき、または第2の適用弁158および/または第2の解放弁156が電気作動信号を受信した後でも通電されないとき、または第2の適用弁158および/または第2の解放弁156が通電状態で固着しているとき、第2のブレーキ制御ユニット104の故障が検出/確認される。第2の適用弁158および第2の解放弁156の故障のために、第2の適用弁158が閉位置に移動し第2の解放弁156が開位置に移動するか、または第2の適用弁158が閉位置に移動し第2の解放弁156が閉位置に固着している。さらに、第2の適用弁158および第2の解放弁156の故障が検出されると、冗長コントローラまたは第2のコントローラは、第2の遮断弁160を作動させて、第2の遮断弁160を閉位置に移動させる。したがって、第2のブレーキ制御モジュール152は、第2のリレー弁150(すなわち、第6のフローパイプ176)から遮断されている。さらに、冗長コントローラは、第2の緊急弁170を第2の位置に保持する。
【0053】
また第1のブレーキ制御ユニット102は正常に作動し続けるので、ブレーキをかける場合、第1のコントローラは第1の遮断弁130を作動させないまま、第1の遮断弁128を開位置に動かし、第1の解放弁126を閉位置に動かし、それによりコントローラは、第1の遮断弁130を開位置に維持する。したがって、第1のブレーキ制御モジュール120は、加圧空気の、主リザーバ106から第4のフローライン142を介して第6のフローライン146への、したがって第1のパイロット圧として第1のリレー弁112への流れを可能にする。
【0054】
さらに、第2のブレーキ制御ユニット104の故障が検出されると、ブレーキコントローラは、第1のフェイルセーフ弁182を開位置に作動させる。そうすることで、バイパス導管180を介した第6のフローライン146から第6のフローパイプ176への加圧空気の流れが可能になる。したがって、第3のパイロット圧が第2のリレー弁150に加えられて第2のリレー弁150を開位置に作動させ、主リザーバ106から第2のブレーキシリンダパイプ110への加圧空気の流れを可能にして、第2の台車のブレーキをかける。
【0055】
ブレーキ解除の場合、 第1のブレーキ制御ユニット102は、第1の遮断弁140を作動させないまま第1の適用弁128を閉位置に動かし、第1の解放弁126を開位置に動かし、それによりコントローラは、第1の遮断弁140を開位置に保つ。したがって、第1のブレーキ制御モジュール120は、第6のフローライン146から第4のフローライン142を介して、したがって第1のパイロット圧として第1のリレー弁112から加圧空気を排出する。第1のリレー弁112から第1のパイロット圧を逃がすことで、第1のブレーキシリンダパイプ108からの加圧空気の排出を引き起こし、第1の台車のブレーキを解放する。
【0056】
さらに、第2のブレーキ制御ユニット104の故障が検出されると、ブレーキコントローラは、第1のフェイルセーフ弁182を開位置に作動させる。そうすることで、加圧空気は、バイパス導管180および第4のフローライン142を介して第6のフローパイプ176から排出される。したがって、第3のパイロット圧は、第2のリレー弁150から排出され、第2のブレーキシリンダパイプ110からの加圧空気の排出を引き起こし、第2の台車のブレーキが解放される。
【0057】
このようにして、ブレーキ制御システム100は、第2のブレーキ制御ユニット104が故障した場合に、第1の台車とともに第2の台車のブレーキの適用/解放を容易にする。第1のブレーキ制御ユニット102は、ブレーキ制御システム100の通常の作動中上述の説明と同様の方法で第1の台車のブレーキをかけることを可能にする。
【0058】
図5を参照すると、ブレーキ制御システム100は、別の鉄道車両のブレーキ制御システムに加圧空気の流れを提供することが示されている。別の鉄道車両のブレーキ制御システムに加圧空気を供給するために、第1のフェイルセーフ弁182および第2のフェイルセーフ弁190が開位置に動かされる。したがって、加圧空気は、バイパス導管180およびフロー導管192を介して第2の鉄道車両のブレーキ制御システムに供給される。
【0059】
図および上記の説明は、例示的な実施形態を単純かつ概略的な方法で示していることに留意されたい。特定の機械的詳細の多くについては、当業者はこれらに精通しているはずであり、またこれらは説明を不必要に複雑にするだけであるため、示されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】