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特開2022-87831化学物質移送用途のための多層チューブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087831
(43)【公開日】2022-06-13
(54)【発明の名称】化学物質移送用途のための多層チューブ
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/04 20060101AFI20220606BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20220606BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
F16L11/04
B32B1/08 B
C08L27/06
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021194111
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】63/119,730
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ラドロウ
(72)【発明者】
【氏名】モーガン ディー.ヘスケット
(72)【発明者】
【氏名】マーク エフ.コルトン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ツィヴァニス
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3H111BA15
3H111CB04
3H111DA09
3H111DA12
3H111DB08
4F100AH01C
4F100AH01H
4F100AH10C
4F100AH10H
4F100AK15C
4F100AK19A
4F100AK51B
4F100BA03
4F100CA04C
4F100CA04H
4F100DA11
4F100EH202
4F100EH20A
4F100EH20B
4F100EH20C
4F100GB31
4F100GB51
4F100JA05C
4F100JD01
4F100JK06A
4F100JK06B
4F100JK06C
4F100JL06C
4F100JL06H
4J002BD041
4J002EH146
4J002FD026
4J002GF00
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】多層チューブ構造体を提供する。
【解決手段】内層、中間層、および、TOTM、DOA、DOTPもしくはそれらの組み合わせなどの非フタレート可塑剤を含む材料から形成された外側または第3の層を備えた多層チューブ構造体を提供することを含むシステムおよび方法が開示される。多層チューブは、それを用いて燃料またはその他の可燃性物質を運送するために好適であり得、高湿度の気候に曝されるとき層間剥離に耐性を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層チューブ構造体であって、
内層;
中間層;および
非フタレート可塑剤を含む材料から形成された第3の層
を含む、多層チューブ構造体。
【請求項2】
前記内層が耐燃料性材料から形成されている、請求項1に記載の多層チューブ構造体。
【請求項3】
前記内層がフルオロポリマーから形成されている、請求項2に記載の多層チューブ構造体。
【請求項4】
前記内層が、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマー、PVDFコポリマー、またはターポリマーから形成されている、請求項3に記載の多層チューブ構造体。
【請求項5】
前記中間層が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンアクリレートコポリマー、PVDF、THV、またはPVDF/THVコポリマーから形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項6】
前記第3の層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC材料、耐湿性PVC、耐油性PVC、またはTPUから形成されている、請求項1~5のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項7】
前記非フタレート可塑剤が、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項8】
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の少なくとも10重量%かつ95重量%以下を構成する、請求項1~7のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項9】
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記非フタレート可塑剤の50%以下が前記第3層から滲出する、請求項1~8のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項10】
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層から滲出する前記非フタレート可塑剤に起因する前記第3層の総重量の減少が25%以下である、請求項1~9のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項11】
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化が40℃以下である、請求項1~10のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項12】
前記高湿度条件が、少なくとも30℃の温度で少なくとも60%の相対湿度(RH)を含み、前記所定の期間が少なくとも60日である、請求項1~12のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項13】
多層チューブ構造体が、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)の剥離力を含む、請求項1~12のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項14】
前記内層が、20グラム/平方メートル/日(g/m/日)未満の燃料蒸発速度を含む、請求項1~14のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項15】
多層チューブ構造体を形成する方法であって、
ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはコポリマーの内層を押し出すこと;
前記内層の上方に配された熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中間層を共押出すること;および
前記中間層の上方に配された非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)の第3の層を共押出すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質移送用途のための多層チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の輸送に使用されるチューブなどの化学物質移送チューブは、多くの場合、耐薬品性(化学物質に対する耐性)および柔軟性の費用効果の高い組み合わせを必要とする。フルオロポリマーなどの耐薬品性材料は、通常、弾性率が高く、比較的高価であり、また可塑化PVCなどの柔軟で安価な材料は耐薬品性が限られているため、これらの要件のバランスを取ることは依然として困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの要件のバランスをとるために、低燃料透過性、柔軟性、フィッティング保持、および耐紫外線性という厳しい用途要件を満たす、多層チューブ構造体が頻繁に利用されている。しかし、従来の多層チューブ構造体は、高湿度条件にさらされると層間剥離する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の特徴および利点が達成される手段がより詳細に理解できるように、添付の図面に例示されている本発明の実施形態を参照することによって、より具体的な説明を行うことができる。しかしながら、これらの図面はいくつかの実施形態のみを示しており、したがって、他の同等に効果的な実施形態があり得るので、これらは本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本開示の一実施形態による多層チューブ構造体の断面図である。
図2図2は、本開示の一実施形態による多層チューブ構造体の断面図である。
図3図3は、本開示の一実施形態による多層チューブ構造体を形成する方法のフローチャートである。
図4図4は、従来のPVC材料の対照サンプルシートおよびPVC材料の例示的なシートの画像である。
図5図5は、対照多層チューブ構造体および多層チューブ構造体の例示的な実施形態の画像である。 異なる図面における同じ参照記号の使用は、類似または同一の事項を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、本開示の一実施形態による多層チューブ構造体100の断面図を示している。多層チューブ構造体100は、内層102、中間層104、および外側または第3の層106を含み得る。多層チューブ構造体100は、一般に、自動車、船舶、または燃料の輸送を必要とする他の用途に好適であり得る。したがって、層102、104、106のそれぞれは、特定の特性を有する材料から形成され得る。内層102は、内層102に形成された管腔(lumen)を通して燃料を運ぶように構成され得る。内層102から漏れるかまたは染み出る燃料および/または燃料蒸気の量を制御および/または防止するために、内層を耐燃料性材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、耐燃料性材料はフルオロポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、耐燃料性材料は、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマー、PVDFコポリマー、THVなどのターポリマー、または任意の他の適切な耐燃料性材料であり得る。いくつかの実施形態では、中間層104は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、Lotader(登録商標)AX8900などのエチレンアクリレートコポリマー、PVDF、THV、PVDF/THVコポリマー、または任意の他の適切なタイレイヤー(結合層)材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、外側または第3の層106は、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC材料、耐湿性PVC、耐油性PVC、TPU、または他の適切な材料から形成され得る。
【0007】
PVC材料は、しばしば可塑剤および/または安定剤を含み、これは、PVC材料の柔軟性および/または耐久性を改善し得る。しかし、フタレートおよび/もしくはフタレートエステル可塑剤、または[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]などの脂肪族ポリエステル可塑剤を含む従来のPVC材料は、PVCから浸出または滲出する可塑剤の傾向に起因して、高湿度条件における操業に適していないことがある。これが発生すると、PVC材料が収縮し、従来の多層チューブ構造体で層間剥離が発生する可能性がある。適切な可塑剤を含むPVC材料は、多層チューブ構造体における層間剥離を抑制、低減、および/または完全に防止し得る。したがって、いくつかの実施形態では、外側または第3の層106は、非フタレート可塑剤を含むPVCから形成され得る。いくつかの実施形態において、非フタレート可塑剤は、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせを含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、外側または第3の層106は、フタレートおよび/もしくはフタレートエステル可塑剤、または[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]などの脂肪族ポリエステル可塑剤を含まないPVCから形成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、非フタレート可塑剤は、外側または第3の層106の総重量の少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%を構成し得る。いくつかの実施形態において、非フタレート可塑剤は、外側または第3の層106の総重量の95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下を構成し得る。さらに、非フタレート可塑剤は、例えば、少なくとも10重量%から95重量%以下、あるいは少なくとも30重量%から60重量%以下など、これらの最小値および最大値の任意の値の間の所定の重量%を構成し得る。
【0009】
上述のように、フタレートおよび/もしくはフタレートエステル可塑剤または[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]などの脂肪族ポリエステル可塑剤を含む従来のPVC材料は、PVCから浸出または滲出する可塑剤の傾向に起因して、高湿度条件における操業に適していないことがある。しかしながら、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせなどの適切な非フタレート可塑剤を含む外側または第3の層106から滲出する可塑剤の量は、フタレートおよび/もしくはフタレートエステル可塑剤または[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]などの脂肪族ポリエステル可塑剤を含む従来のPVC材料と比較して、低減および/または完全に無くすことができる。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、外側または第3の層106から、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下の非フタレート可塑剤が滲出する可能性がある。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、外側または第3の層106から滲出し得る非フタレート可塑剤は全くない。
【0010】
多層チューブ構造体100が高湿度条件に曝されるときに任意の量の可塑剤が外側または第3の層106から滲出する場合、外側または第3の層106は、外側または第3の層106の総重量の減少を生じる可能性がある。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、外側または第3の層106から滲出する非フタレート可塑剤に起因する外側または第3の層106の総重量の減少は、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下であってよい。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、外側または第3の層106の総重量が減少しない場合があり得る。
【0011】
多層チューブ構造体100が高湿度条件に曝されるとき、任意の量の可塑剤が外側または第3の層106から滲出する場合、外側または第3の層106は、外側または第3の層のガラス転移温度(Tg)の変化を生じ得る。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、外側または第3の層106のガラス転移温度(Tg)の変化は、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下、または5℃以下であり得る。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、外側または第3の層106のガラス転移温度(Tg)に変化が無い場合がある。
【0012】
トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせなどの適切な非フタレート可塑剤を含む外側または第3の層106により、非フタレート可塑剤は、多層チューブ構造体100が所定の期間にわたり高湿度条件に曝されるとき、層102、104、106の層間剥離を防止することができ、それによって、フタレートおよび/もしくはフタレートエステル可塑剤または[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]などの脂肪族ポリエステル可塑剤を含む従来のPVC材料と比較して、耐久性が向上し、製品寿命(使用可能期間)が延長されうる。さらに、本明細書に開示されるように、前記の高湿度条件は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、または少なくとも70℃の温度にて、少なくとも60%の相対湿度(RH)、少なくとも65%のRH、少なくとも70%のRH、または少なくとも75%のRHを含み得、前記の所定期間は、少なくとも60日、少なくとも75日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも180日、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、または少なくとも10年であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100を形成する内層102、中間層104、および/または外側もしくは第3の層106は、共押出しされ得る。さらに、多層チューブ構造体100は、自動車、船舶、または燃料の輸送を必要とする他の用途での使用に適した剥離力を備え得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100は、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)、少なくとも7ポンド/インチ、少なくとも8ポンド/インチ、少なくとも9ポンド/インチ、少なくとも10ポンド/インチ、少なくとも11ポンド/インチ、または少なくとも12ポンド/インチの剥離力を含み得る。
【0014】
図2は、本開示の一実施形態による多層チューブ構造体200の断面図を示している。多層チューブ構造体200は、概して、多層チューブ構造体100と実質的に同様であり得、多層チューブ構造体100の内層102、中間層104、および外側または第3の層106のそれぞれと実質的に同様である内層202、中間層204、および外側または第3の層206を含む。しかしながら、多層チューブ構造体200は、外側または第3の層206の上方に配置された第4の層208を含む。いくつかの実施形態では、第4の層208は、内層202、中間層204および外側または第3の層206と共押出され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、第4の層208は、耐油性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、耐油性材料は、耐油性可塑化PVC材料、耐湿性PVC、または、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、コポリエステル熱可塑性エラストマー(COPE)もしくはコポリアミド熱可塑性エラストマー(COPA)などのいずれかの他の適切な材料であってよい。いくつかの実施形態では、第4の層208は、多層チューブ構造体200に特定の外観を与える材料から形成することができる。例えば、第4の層208の材料は、好ましい色を有する材料に基づいて選択され得る。他の実施形態では、第4の層208の材料は、多層チューブ構造体200の外側のマーキングが容易に見えることを可能にする好ましい色を有する材料に基づいて選択され得る。そのような色またはマーキングは、多層チューブ構造体200の1つまたは複数の操作パラメータおよび/または特定の用途に関連し得る。
【0016】
多層チューブ構造体100、200は、自動車、船舶、または内層102、202を通る燃料の輸送を必要とする他の用途での使用に適していることが理解されよう。したがって、内層102、202は、1日あたり1平方メートルあたり20グラム未満(20g/m/日未満)、15g/m/日未満、10g/m/日未満、9g/m/日未満、8g/m/日未満、7g/m/日未満、6g/m/日未満、5g/m/日未満、4g/m/日未満、または3g/m/未満の燃料蒸発速度(燃料蒸発率)を含み得る。いくつかの実施形態では、内層102、202の材料および/または壁の厚みは、特定の用途の特定の燃料蒸発速度の要件に基づいて選択することができる。
【0017】
さらに、多層チューブ構造体200は、自動車、船舶、または燃料の輸送を必要とする他の用途での使用に適した剥離力を備え得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体200は、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)、少なくとも7ポンド/インチ、少なくとも8ポンド/インチ、少なくとも9ポンド/インチ、少なくとも10ポンド/インチ、少なくとも11ポンド/インチ、または少なくとも12ポンド/インチの剥離力を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、層102、104、106、202、204、206のそれぞれは、多層チューブ構造体100、200を自動車、船舶、または燃料の輸送を必要とする他の用途に適したものにする壁厚を含み得る。いくつかの実施形態では、内層102、202は、少なくとも0.003インチ、少なくとも0.004インチ、少なくとも0.005インチ、少なくとも0.006インチ、少なくとも0.007インチ、少なくとも0.0008インチ、少なくとも0.009インチ、または少なくとも0.010インチの壁厚を含み得る。例えば、特定の実施形態では、内層102、202は、15g/m未満を必要とする用途のために0.003インチの壁厚、0.007インチ、0.011インチ、または0.021インチの壁厚を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、内層102、202の材料および/または壁の厚みは、特定の用途の特定の燃料蒸発速度の要件に基づいて選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、内層102、202は、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.011インチの壁厚を有するポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはPVDFコポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、内層102、202は、5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.021インチの壁厚を有するポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはPVDFコポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、内層102、202は、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.003インチの壁厚を有するTHVなどのターポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、内層102、202は、5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.007インチの壁厚を有するTHVなどのターポリマーを含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、中間層104、204は、少なくとも0.0005インチ、少なくとも0.001インチ、少なくとも0.0015インチ、少なくとも0.002インチ、少なくとも0.0025インチ、または少なくとも0.003インチの壁厚を含み得る。例えば、特定の実施形態では、中間層104、204は、0.002インチ、または0.003インチの壁厚を含み得る。いくつかの実施形態では、外層または第3の層106、206は、少なくとも0.05インチ、少なくとも0.10インチ、少なくとも0.11インチ、少なくとも0.12インチ、少なくとも0.13インチ、少なくとも0.14インチ、または少なくとも0.15インチの壁厚を含み得る。例えば、特定の実施形態では、外側または第3の層106、206は、0.11インチの壁厚を含み得る。
【0021】
多層チューブ構造体100、200は、多層チューブ構造体100、200を自動車、船舶または燃料の輸送を必要とする他の用途に適したものにする寸法をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100、200は、少なくとも0.125インチ、少なくとも0.25インチ、少なくとも0.375インチ、または少なくとも0.50インチの内径を含み得る。いくつかの実施形態では、多層チューブ構造体100、200は、少なくとも0.25インチ、少なくとも0.50インチ、少なくとも0.75インチ、または少なくとも1.0インチの外径を含み得る。例えば、特定の実施形態では、多層チューブ構造体100、200は、0.315インチの内径および0.545インチの外径を含み得る。
【0022】
例示的な一実施形態では、多層チューブ構造体100、200は、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーから形成され、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために0.011インチの壁厚を有するか、または5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために0.021インチの壁厚を有する内層102、202、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成され、0.003インチの壁厚を有する中間層104、204、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせなどの非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)材料から形成された外側または第3の層106、206、および任意選択でPVC材料から形成された第4の層208を含んでいてよい。
【0023】
例示的な別の実施形態では、多層チューブ構造体100、200は、THVなどのターポリマーから形成され、15g/m/未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために0.003インチの壁厚を有するか、または5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために0.007インチの壁厚を有する内層102、202、Lotader(登録商標)AX8900などのエチレンアクリレートコポリマーから形成され、0.002インチの壁厚を有する中間層104、204、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせなどの非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)材料から形成された外側または第3の層106、206、および任意選択でPVC材料から形成された第4の層208を含んでいてよい。
【0024】
例示的な別の実施形態では、多層チューブ構造体100、200は、THVなどのターポリマーから形成され、15g/m/未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために0.003インチの壁厚を有するか、または5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために0.007インチの壁厚を有する内層102、202、PVDF/THVコポリマーから形成され、0.002インチの壁厚を有する中間層104、204、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成された外側または第3の層106、206、および任意選択でPVC材料から形成された第4の層208を含んでいてよい。
【0025】
図3は、本開示の一実施形態による、多層チューブ構造体100、200を形成する方法300のフローチャートを示している。方法300は、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはコポリマーの内層102、202を押出(extruding)することによって、ブロック302で開始することができる。方法300は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中間層104、204を内層102、202の上方に共押出(coextruding)することによってブロック304で継続することができる。方法300は、中間層104、204の上方に非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)の外側または第3の層106、206を共押出することによってブロック306で継続することができる。更に、いくつかの実施形態では、方法300は、外側または第3の層106、206の上方に第4の層208を共押出することを含み得る。従って、層102、104、106、202、204、206、208のいずれかを共押出して、多層チューブ構造体100、200を形成し得ることが理解される。
【実施例0026】
図4は、従来のPVC材料の対照サンプルシートおよびPVC材料の例示的なシートの画像を示している。これらのシートを、高湿度条件(60℃/70%RH)に、84日間、または3年間相当の期間曝した。脂肪族ポリエステル可塑剤[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]を含む従来のPVC材料から形成された対照シート(下)は、これらの条件下で可塑剤が滲出した。滲出した可塑剤の液滴が視認される。適切な非フタレート可塑剤(ジオクチルテレフタレート(DOTP))を含むPVC材料から形成された例示的なシートは、これらの条件下で可塑剤が滲出しなかった。
【0027】
図5は、対照の多層チューブ構造体および多層チューブ構造体100、200の例示的な実施形態の画像を示す。多層チューブ構造体は、84日間または3年相当の期間、高湿度条件(60℃/70%RH)に曝された。脂肪族ポリエステル可塑剤[ポリ(1,4-ブチレンアジペート)]を含む従来のPVC材料から形成された外層を有する対照の多層チューブ構造体(上)は、これらの条件下で可塑剤が滲出した。これらの条件下でわずか2週間後、液体の膜が対照の多層チューブ構造体の表面に形成された。対照の多層チューブ構造体はまた、57℃から90℃へのガラス転移温度の変化、72.9から80.9への硬度の増加、および1.31から1.33への比重の増加を示したが、これは可塑剤の損失の結果としての非可塑化PVC相の形成と整合している。さらに、可塑剤が失われると外層が収縮し、それによって対照の多層チューブ構造体の層間剥離が引き起こされる。対照の多層チューブ構造体は剥離しており、フルオロポリマーのライナーが外層から突き出ているのが視認される。しかしながら、多層チューブ構造体100、200の例示的な実施形態は、これらの条件下で可塑剤が滲出しなかった。多層チューブ構造体100、200の例示的な実施形態はまた、層間剥離しなかった。
【0028】
なお他の実施形態において、多層チューブ構造体100、200、および/または多層チューブ構造体100、200を形成するための方法300は、以下の項目群の1つまたは複数を包含し得る。
【0029】
実施形態1.
内層;中間層;および非フタレート可塑剤を含む材料から形成された第3の層を含む、多層チューブ構造体。
実施形態2.
前記内層が耐燃料性材料から形成されている、実施形態1の多層チューブ構造体。
実施形態3.
前記内層がフルオロポリマーから形成されている、実施形態2の多層チューブ構造体。
実施形態4.
前記内層が、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマー、PVDFコポリマー、またはTHVなどのターポリマーから形成されている、実施形態3の多層チューブ構造体。
実施形態5.
前記中間層が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、Lotader(登録商標)AX8900などのエチレンアクリレートコポリマー、PVDF、THV、またはPVDF/THVコポリマーから形成されている、実施形態1~4のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態6.
前記第3の層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC材料、耐湿性PVC、耐油性PVC、またはTPUから形成されている、実施形態1~5のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態7.
前記非フタレート可塑剤が、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1~6のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態8.
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%を構成する、実施形態1~7のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態9.
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下を構成する、実施形態1~8のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態10.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記非フタレート可塑剤の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下または0.5%以下が前記第3層から滲出する、実施形態1~9のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態11.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層から滲出する前記非フタレート可塑剤が存在しない、実施形態10の多層チューブ構造体。
実施形態12.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層から滲出する前記非フタレート可塑剤に起因する前記第3層の総重量の減少が25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下である、実施形態1~11のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態13.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層の総重量の減少がない、実施形態12の多層チューブ構造体。
実施形態14.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化が40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下、または5℃以下である、実施形態1~13のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態15.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化がない、実施形態14の多層チューブ構造体。
実施形態16.
多層チューブ構造体が所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、非フタレート可塑剤が層間剥離を防止する、実施形態1~15のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態17.
前記の高湿度条件が、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、または少なくとも70℃の温度にて、少なくとも60%の相対湿度(RH)、少なくとも65%のRH、少なくとも70%のRH、または少なくとも75%のRHを含み、前記の所定期間が、少なくとも60日、少なくとも75日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも180日、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、または少なくとも10年である、実施形態10~16のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態18.
前記内層、前記中間層、および前記第3の層が共押出されている、実施形態1~17のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態19.
前記多層チューブ構造体が、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)、少なくとも7ポンド/インチ、少なくとも8ポンド/インチ、少なくとも9ポンド/インチ、少なくとも10ポンド/インチ、少なくとも11ポンド/インチ、または少なくとも12ポンド/インチの剥離力を含む、実施形態1~18のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態20.
前記第3の層の上方に配置された第4の層をさらに含む、実施形態1~19のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態21.
前記第4の層が耐油性材料から形成されている、実施形態20の多層チューブ構造体。
実施形態22.
前記第4の層が、耐油性可塑化PVC材料、耐湿性PVC、または、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、コポリエステル熱可塑性エラストマー(COPE)もしくはコポリアミド熱可塑性エラストマー(COPA)などの他の任意の適切な材料から形成されている、実施形態21の多層チューブ構造体。
実施形態23.
前記第4の層が、前記内層、前記中間層、および前記第3の層と共押出されている、実施形態20~22のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態24.
前記多層チューブ構造体が、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)、少なくとも7ポンド/インチ、少なくとも8ポンド/インチ、少なくとも9ポンド/インチ、少なくとも10ポンド/インチ、少なくとも11ポンド/インチ、または少なくとも12ポンド/インチの剥離力を含む、実施形態20~23のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態25.
前記内層が、1日あたり1平方メートルあたり20グラム未満(20g/m/日未満)、15g/m/日未満、10g/m/日未満、9g/m/日未満、8g/m/日未満、7g/m/日未満、6g/m/日未満、5g/m/日未満、4g/m/日未満、または3g/m/未満の燃料蒸発速度を含む、実施形態1~24のいずれかの多層チューブ構造体。
実施形態26.
前記内層が、少なくとも0.003インチ、少なくとも0.004インチ、少なくとも0.005インチ、少なくとも0.006インチ、少なくとも0.007インチ、少なくとも0.0008インチ、少なくとも0.009インチ、または少なくとも0.010インチの壁厚を含む、実施形態25の多層チューブ構造体。
実施形態27.
前記内層が、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.011インチの壁厚を有するポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはPVDFコポリマーを含む、実施形態26の多層チューブ構造体。
実施形態28.
前記内層が、5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.021インチの壁厚を有するポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはPVDFコポリマーを含む、実施形態26の多層チューブ構造体。
実施形態29.
前記内層が、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.003インチの壁厚を有するTHVなどのターポリマーを含む、実施形態26の多層チューブ構造体。
実施形態30.
前記内層が、5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.007インチの壁厚を有するTHVなどのターポリマーを含む、実施形態26の多層チューブ構造体。
実施形態31.
多層チューブ構造体を形成する方法であって、
ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはコポリマーの内層を押し出すること;
前記内層の上方に配された熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中間層を共押出すること;および
前記中間層の上方に配された非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)の第3の層を共押出すること
を含む、方法。
実施形態32.
前記非フタレート可塑剤が、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態31の方法。
実施形態33.
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%を構成する、実施形態31~32のいずれかの方法。
実施形態34.
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下を構成する、実施形態31~33のいずれかの方法。
実施形態35.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記非フタレート可塑剤の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下または0.5%以下が前記第3層から滲出する、実施形態31~34のいずれかの方法。
実施形態36.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3の層から滲出する非フタレート可塑剤が存在しない、実施形態35の方法。
実施形態37.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層から滲出する前記非フタレート可塑剤に起因する前記第3層の総重量の減少が25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下である、実施形態31~36のいずれかの方法。
実施形態38.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層の総重量の減少がない、実施形態37の方法。
実施形態39.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化が40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下、または5℃以下である、実施形態31~38のいずれかの方法。
実施形態40.
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化がない、実施形態39の方法。
実施形態41.
多層チューブ構造体が所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、非フタレート可塑剤が層間剥離を防止する、実施形態31~40のいずれかの方法。
実施形態42.
前記の高湿度条件が、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、または少なくとも70℃の温度にて、少なくとも60%の相対湿度(RH)、少なくとも65%のRH、少なくとも70%のRH、または少なくとも75%のRHを含み、前記の所定期間が、少なくとも60日、少なくとも75日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも180日、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、または少なくとも10年である、実施形態35~41のいずれかの方法。
実施形態43.
前記第3の層の上方に第4の層を配置して共押出することをさらに含む、実施形態31~42のいずれかの方法。
実施形態44.
前記第4の層が耐油性材料から形成されている、実施形態43の方法。
実施形態45.
前記第4の層が、耐油性可塑化PVC材料、耐湿性PVC、または、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、コポリエステル熱可塑性エラストマー(COPE)もしくはコポリアミド熱可塑性エラストマー(COPA)などの他の任意の適切な材料から形成されている、実施形態44の方法。
実施形態46.
前記多層チューブ構造体が、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)、少なくとも7ポンド/インチ、少なくとも8ポンド/インチ、少なくとも9ポンド/インチ、少なくとも10ポンド/インチ、少なくとも11ポンド/インチ、または少なくとも12ポンド/インチの剥離力を含む、実施形態31~45のいずれかの方法。
実施形態47.
前記内層が、1日あたり1平方メートルあたり20グラム未満(20g/m/日未満)、15g/m/日未満、10g/m/日未満、9g/m/日未満、8g/m/日未満、7g/m/日未満、6g/m/日未満、5g/m/日未満、4g/m/日未満、または3g/m/未満の燃料蒸発速度を含む、実施形態31~46のいずれかの方法。
実施形態48.
前記内層が、少なくとも0.003インチ、少なくとも0.004インチ、少なくとも0.005インチ、少なくとも0.006インチ、少なくとも0.007インチ、少なくとも0.0008インチ、少なくとも0.009インチ、または少なくとも0.010インチの壁厚を含む、実施形態47の方法。
実施形態49.
前記内層が、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.011インチの壁厚を有するポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはPVDFコポリマーを含む、実施形態48の方法。
実施形態50.
前記内層が、5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.021インチの壁厚を有するポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはPVDFコポリマーを含む、実施形態48の方法。
実施形態51.
前記内層が、15g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.003インチの壁厚を有するTHVなどのターポリマーを含む、実施形態48の方法。
実施形態52.
前記内層が、5g/m/日未満の燃料蒸発速度を必要とする用途のために、少なくとも0.007インチの壁厚を有するTHVなどのターポリマーを含む、実施形態48の方法。
【0030】
ここに記載された発明の詳細な説明は、例を使用して、ベストモードを含む諸実施形態を開示し、また、当業者が本発明を実施し使用することを可能にする。特許性がある発明の範囲は、特許請求の範囲の各請求項によって定義され、当業者に想起される他の例を含み得る。そのような他の例は、請求項の文言と異ならない構造要素を有する場合、または請求項の文言と非実質的な相違を備えた均等な構造要素を包含する場合、請求項に係る発明の範囲内にあることを意図している。
【0031】
上記の一般的な記述または例で説明されたアクティビティ(行為)のすべてが必要とされるわけではなく、特定のアクティビティの一部が必要とされないことがあり、また、説明されたアクティビティに加えて1つ以上の更なるアクティビティを実行されてよいことに注目されたい。さらに、アクティビティが掲載されている順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0032】
前述の明細書では、諸概念は、特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを認識する。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な開示として見なされるべきであり、そのようなすべての修正は、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「含む」(“ccomprises”)、「含む」(“comprising”)、「含む」(“includes”)、「含む」(“including”)、「有する」(“has”)、「有する」(“having”)、またはそれらの他の任意の変形は、非排他的な包含を保護範囲内とすることを意図する。例えば、特定事項のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特定事項だけに限定されるわけではなく、明示的にリストされていない、あるいはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有ではない他の特徴を包含し得る。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「または」は、包括的論理和を指し、排他的論理和を指さない。たとえば、条件AまたはBは、次のいずれかによって満たされる:Aが真(すなわち存在)およびBが偽(すなわち非存在)、Aが偽(すなわち非存在)およびBが真(すなわち存在)、および、AとBの両方が真(すなわち存在)。
【0034】
そして、“a”(「単数」)または“an”(「単数」)の使用は、本明細書で記載される要素および構成成分を説明するために使用される。これは、単に便宜上、そして本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、1つまたは少なくとも1つを包含するよう解されるべきであり、また、別の意味であることが明らかでない限り、単数形には複数形も包含される。
【0035】
利益、他の利点、および課題に対する解決策は、特定の実施形態に関して上述されてきた。しかし、利益、利点、課題に対する解決策、および、いずれかの利益、利点、または課題に対する解決策を生じさせあるいはより顕著にさせ得るいずれかの特徴(単数もしくは複数)は、いずれかまたは全ての請求項の極めて重要な特徴、必要とされる特徴、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0036】
本明細書を読んだ後、当業者は、明確化の観点から、本明細書にて別個の実施形態群の文脈中に記載されているある所定の複数の特徴が、単一の実施形態として組み合わせて提供されてもよいことを理解するであろう。逆に、簡潔化の観点から、単一の実施形態の文脈中で説明されている様々な特徴はまた、個別にまたは任意のサブコンビネーションで提供され得る。さらに、ある範囲にて記述されている値に言及することには、その範囲内の各々の全ての値が包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層チューブ構造体であって、
内層;
中間層;および
非フタレート可塑剤を含む材料から形成された第3の層
を含む、多層チューブ構造体。
【請求項2】
前記内層が耐燃料性材料から形成されている、請求項1に記載の多層チューブ構造体。
【請求項3】
前記内層がフルオロポリマーから形成されている、請求項2に記載の多層チューブ構造体。
【請求項4】
前記内層が、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマー、PVDFコポリマー、またはターポリマーから形成されている、請求項3に記載の多層チューブ構造体。
【請求項5】
前記中間層が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンアクリレートコポリマー、PVDF、THV、またはPVDF/THVコポリマーから形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項6】
前記第3の層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC材料、耐湿性PVC、耐油性PVC、またはTPUから形成されている、請求項1~5のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項7】
前記非フタレート可塑剤が、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項8】
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の少なくとも10重量%かつ95重量%以下を構成する、請求項1~7のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項9】
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記非フタレート可塑剤の50%以下が前記第3層から滲出する、請求項1~8のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項10】
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層から滲出する前記非フタレート可塑剤に起因する前記第3層の総重量の減少が25%以下である、請求項1~9のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項11】
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化が40℃以下である、請求項1~10のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項12】
前記高湿度条件が、少なくとも30℃の温度で少なくとも60%の相対湿度(RH)を含み、前記所定の期間が少なくとも60日である、請求項1~11のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項13】
多層チューブ構造体が、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)(107kg/m)の剥離力を含む、請求項1~12のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項14】
前記内層が、20グラム/平方メートル/日(g/m/日)未満の燃料蒸発速度を含む、請求項1~13のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
【請求項15】
多層チューブ構造体を形成する方法であって、
ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはコポリマーの内層を押し出すこと;
前記内層の上方に配された熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中間層を共押出すること;および
前記中間層の上方に配された非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)の第3の層を共押出すること
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
本明細書を読んだ後、当業者は、明確化の観点から、本明細書にて別個の実施形態群の文脈中に記載されているある所定の複数の特徴が、単一の実施形態として組み合わせて提供されてもよいことを理解するであろう。逆に、簡潔化の観点から、単一の実施形態の文脈中で説明されている様々な特徴はまた、個別にまたは任意のサブコンビネーションで提供され得る。さらに、ある範囲にて記述されている値に言及することには、その範囲内の各々の全ての値が包含される。
本発明の一態様を以下に示す。
[発明1]
多層チューブ構造体であって、
内層;
中間層;および
非フタレート可塑剤を含む材料から形成された第3の層
を含む、多層チューブ構造体。
[発明2]
前記内層が耐燃料性材料から形成されている、発明1に記載の多層チューブ構造体。
[発明3]
前記内層がフルオロポリマーから形成されている、発明2に記載の多層チューブ構造体。
[発明4]
前記内層が、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマー、PVDFコポリマー、またはターポリマーから形成されている、発明3に記載の多層チューブ構造体。
[発明5]
前記中間層が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンアクリレートコポリマー、PVDF、THV、またはPVDF/THVコポリマーから形成されている、発明1~4のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明6]
前記第3の層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、可塑化PVC材料、耐湿性PVC、耐油性PVC、またはTPUから形成されている、発明1~5のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明7]
前記非フタレート可塑剤が、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、またはそれらの組み合わせを含む、発明1~6のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明8]
前記非フタレート可塑剤が、前記第3の層の総重量の少なくとも10重量%かつ95重量%以下を構成する、発明1~7のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明9]
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記非フタレート可塑剤の50%以下が前記第3層から滲出する、発明1~8のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明10]
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層から滲出する前記非フタレート可塑剤に起因する前記第3層の総重量の減少が25%以下である、発明1~9のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明11]
前記多層チューブ構造体が、所定の期間、高湿度条件に曝されるとき、前記第3層のガラス転移温度(Tg)の変化が40℃以下である、発明1~10のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明12]
前記高湿度条件が、少なくとも30℃の温度で少なくとも60%の相対湿度(RH)を含み、前記所定の期間が少なくとも60日である、発明1~12のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明13]
多層チューブ構造体が、少なくとも6ポンド/インチ(lb/in.)の剥離力を含む、発明1~12のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明14]
前記内層が、20グラム/平方メートル/日(g/m /日)未満の燃料蒸発速度を含む、発明1~14のいずれかに記載の多層チューブ構造体。
[発明15]
多層チューブ構造体を形成する方法であって、
ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)ポリマーまたはコポリマーの内層を押し出すこと;
前記内層の上方に配された熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中間層を共押出すること;および
前記中間層の上方に配された非フタレート可塑剤を含むポリ塩化ビニル(PVC)の第3の層を共押出すること
を含む、方法。
【外国語明細書】