(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087893
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】設置場所取得方法、通信システムおよび通信機器
(51)【国際特許分類】
H04N 21/647 20110101AFI20220607BHJP
【FI】
H04N21/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200017
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】上田 剛士
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】岡元 達哉
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164TA08S
5C164TA14S
5C164TA22S
5C164TB44P
5C164YA14
5C164YA27
(57)【要約】
【課題】 階層構造とされた共聴システムにおいて、共聴機器がどこの場所に設置されているかを自動で取得する。
【解決手段】 ゲートウェイ12がサーチコマンドの通信信号を送出すると、増幅器20~28が、マルチホップ通信により、共聴システム1内に次々に第1通信信号を第1減衰量だけ減衰させて中継していく。サーチコマンドに応答する返信をゲートウェイが受信することにより、応答した増幅器が共聴システム1に接続されていることを知り、それらの増幅器から第1通信信号の受信レベルのデータを取得する。取得した受信レベルのデータに基づいて当該増幅器の接続されている階層構造の場所を判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に向かって階層構造でネットワーク機能を備える通信機器が接続され、最も上流に公衆通信網に接続可能なゲートウェイが少なくとも接続され、該ゲートウェイおよび前記通信機器間が伝送線路を介して接続されている通信システムにおける前記通信機器の設置場所取得方法であって、
前記ゲートウェイがサーチコマンドの第1通信信号を伝送線路に送出する第1ステップと、
前記通信機器が、マルチホップ通信により、前記通信システム内において次々に前記第1通信信号を第1減衰量だけ減衰させて中継していく第2ステップと、
前記第1通信信号を受信した前記通信機器が、サーチコマンドに応答する返信を前記サーチコマンドの送信元に送る第3ステップと、
前記返信を受け取ったゲートウェイが、当該返信の送信元から前記第1通信信号の受信レベルを取得するデータ要求を送る第4ステップと、
前記データ要求を受け取った前記通信機器が、検出した前記第1通信信号の受信レベルのデータを第2通信信号として前記データ要求の送信元に送る第5ステップと、
前記通信機器からの前記第2通信信号の受信レベルのデータを受信した前記ゲートウェイが、当該受信レベルのデータおよび該データに付加された当該通信機器の識別情報に基づいて当該通信機器の接続されている場所を判断する第6ステップと、
を備えることを特徴とする設置場所取得方法。
【請求項2】
前記ゲートウェイが、サーチを行っていない通信機器の内の前記ゲートウェイに最も近い前記通信機器から、サーチコマンドの第3通信信号を伝送線路に送出させる第7ステップと、
前記第3通信信号を受信した前記通信機器が、マルチホップ通信により、前記通信システム内において次々に前記第3通信信号を第1減衰量だけ減衰させて中継していく第8ステップと、
前記第3通信信号を受信した前記通信機器が、サーチコマンドに応答する返信を前記第3通信信号の送信元に送る第9ステップと、
前記返信を受け取った前記第3通信信号の送信元の前記通信機器が、受け取った返信を前記ゲートウェイに送る第10ステップと、
前記第3通信信号の送信元の前記通信機器から返信を受け取ったゲートウェイが、当該返信の送信元から前記第3通信信号の受信レベルを取得するデータ要求を送らせる第11ステップと、
前記データ要求を受け取った前記通信機器が、検出した前記第3通信信号の受信レベルのデータを第4通信信号として前記データ要求の送信元に送る第12ステップと、
前記第4通信信号を受け取った前記データ要求の送信元の前記通信機器が、受け取った記第4通信信号を前記ゲートウェイに送る第13ステップと、
前記データ要求の送信元の前記通信機器からの前記第4通信信号の受信レベルのデータを受信した前記ゲートウェイが、当該受信レベルのデータおよび該データに付加された当該通信機器の識別情報に基づいて当該通信機器の接続されている場所を判断する第14ステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の設置場所取得方法。
【請求項3】
前記第14ステップの終了に伴い、前記ゲートウェイはサーチを行った前記通信機器にサーチ完了を示すフラグを立て、前記通信機器のすべてに前記フラグが立つまで前記第7ステップないし第14ステップが繰り返し行われることを特徴とする請求項2に記載の設置場所取得方法。
【請求項4】
前記ゲートウェイは、前記通信機器からの前記第2通信信号で送られた受信レベルの内の最大の受信レベルを検出し、検出した最大の受信レベルと前記通信機器ごとの受信レベルとの差を演算し、当該差が前記第1減衰量の値未満の前記通信機器の場所を、ゲートウェイの直下の段と判断することを特徴とする請求項1に記載の設置場所取得方法。
【請求項5】
前記ゲートウェイは、前記通信機器からの前記第4通信信号で送られた受信レベルの内の最大の受信レベルを検出し、検出した最大の受信レベルと前記通信機器ごとの受信レベルとの差を演算し、当該差が前記第1減衰量の値未満の共聴機器の場所を、前記第3通信信号を送出した前記通信機器の直下の段と判断することを特徴とする請求項2に記載の設置場所取得方法。
【請求項6】
上流から下流に向かって伝送線路を介して階層構造で接続されたネットワーク機能を備える通信機器と、
最も上流に伝送線路を介して接続された公衆通信網に接続可能なゲートウェイと、
を少なくとも備え、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の設置場所取得方法が行われることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載の通信システムに用いられるネットワーク機能を有する通信機器であって、
入力された所定の周波数帯域の伝送信号を増幅して伝送線路に出力すると共に、伝送線路から入力された前記伝送信号とは異なる周波数の通信信号を、予め定められた第1減衰量だけ減衰させて伝送線路に送出するマルチホップ通信機能を有していることを特徴とする通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層構造とされた通信システムのネットワーク機能を有する通信機器がどこの場所に設置されているかを自動で取得できる設置場所取得方法および通信システムならびに通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、階層構造とされた通信システムとしてTV共聴システムが知られている。従来のTV共聴システムの構成を示す図の一例を
図14に示す。
図14に示す従来のTV共聴システムは、高層マンションなどのビルに設置される。この場合、TVアンテナは、屋上に共聴アンテナを設置し、この共聴アンテナから各階に分配するTV共聴システムを採っている。従来のTV共聴システムは、VHFアンテナ1100とUHFアンテナ1110との受信信号をミキサー1120によってミキシングして、VUブースター1130によって増幅する。一方、BSアンテナ1140からコンバータ1150を介して入力される中間周波数とされたBS信号は、VUブースター1130から出力されるUV信号とBSブースター1160において混合増幅され、分岐・分配器1170に送られる。この分岐・分配器1170において、2分配されたBS・UV信号は、さらに分配器1180,1190においてそれぞれ3分配されて直列ユニット1200に送られる。この直列ユニット1200が各室の入力端子となる。直列ユニット1200の数は、各室のTVコンセントの数に応じて設けられる。
BSブースター1160から出力されるBS・UV信号を各戸(各室)に引き込む方法には、外壁にTV共聴用同軸ケーブルを挿入するパイプを配管し、このパイプの内部にBSブースター1160に接続したTV共聴用同軸ケーブルを挿入し、ケーブル工事によって各階にテレビ共聴機器(分岐器または分配器)を介して直列ユニットに送る方法と、電力ケーブルを配設収納するパイプシャフトを利用して、このパイプシャフトを経由してケーブル工事によって各階にテレビ共聴機器(分岐器または分配器)を介して直列ユニットに送る方法とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のTV共聴システムにおいて、増幅器に監視機能がある場合は、増幅器の情報を中央処理装置に集めそのデータを参照して監視する監視システムが知られている。監視システムでは、監視する増幅器がTV共聴システムのどこの場所に設置されているかを把握することが必要である。また、増幅器に障害が生じた際には、障害が生じた増幅器がTV共聴システムのどこの場所に設置されているかを把握して、増幅器が設定されている場所に応じた対応を行うことが必要になる。
従来のTV共聴システムにおいて、増幅器がTV共聴システムのどこの場所に設置されているかを把握する際には、TV共聴システムの構成を示す図を入手し、構成を示す図を参照して把握するようにしていた。しかしながら、TV共聴システムの構成を示す図を入手することが困難であったり、多くの時間がかかる場合があり、増幅器がTV共聴システムのどこの場所に設置されているかを迅速に把握することが困難であるという問題点があった。
そこで、本発明はテレビ共聴システムなどの階層構造とされた通信システムにおいて、通信機器にネットワーク機能を有させて、ネットワーク機能を有する通信機器がどこの場所に設置されているかを自動で取得できる設置場所取得方法および通信システムならびに通信機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の設置場所取得方法は、上流から下流に向かって階層構造でネットワーク機能を備える通信機器が接続され、最も上流に公衆通信網に接続可能なゲートウェイが少なくとも接続され、該ゲートウェイおよび前記通信機器間が伝送線路を介して接続されている通信システムにおける前記通信機器の設置場所取得方法であって、前記ゲートウェイがサーチコマンドの第1通信信号を伝送線路に送出する第1ステップと、前記通信機器が、マルチホップ通信により、前記通信システム内において次々に前記第1通信信号を第1減衰量だけ減衰させて中継していく第2ステップと、前記第1通信信号を受信した前記通信機器が、サーチコマンドに応答する返信を前記サーチコマンドの送信元に送る第3ステップと、前記返信を受け取ったゲートウェイが、当該返信の送信元から前記第1通信信号の受信レベルを取得するデータ要求を送る第4ステップと、前記データ要求を受け取った前記通信機器が、検出した前記第1通信信号の受信レベルのデータを第2通信信号として前記データ要求の送信元に送る第5ステップと、前記通信機器からの前記第2通信信号の受信レベルのデータを受信した前記ゲートウェイが、当該受信レベルのデータおよび該データに付加された当該通信機器の識別情報に基づいて当該通信機器の接続されている場所を判断する第6ステップとを備えることを主要な特徴としている。
【0006】
また、上記本発明の設置場所取得方法において、前記ゲートウェイが、サーチを行っていない通信機器の内の前記ゲートウェイに最も近い前記通信機器から、サーチコマンドの第3通信信号を伝送線路に送出させる第7ステップと、前記第3通信信号を受信した前記通信機器が、マルチホップ通信により、前記通信システム内において次々に前記第3通信信号を第1減衰量だけ減衰させて中継していく第8ステップと、前記第3通信信号を受信した前記通信機器が、サーチコマンドに応答する返信を前記第3通信信号の送信元に送る第9ステップと、前記返信を受け取った前記第3通信信号の送信元の前記通信機器が、受け取った返信を前記ゲートウェイに送る第10ステップと、前記第3通信信号の送信元の前記通信機器から返信を受け取ったゲートウェイが、当該返信の送信元から前記第3通信信号の受信レベルを取得するデータ要求を送らせる第11ステップと、前記データ要求を受け取った前記通信機器が、検出した前記第3通信信号の受信レベルのデータを第4通信信号として前記データ要求の送信元に送る第12ステップと、前記第4通信信号を受け取った前記データ要求の送信元の前記通信機器が、受け取った記第4通信信号を前記ゲートウェイに送る第13ステップと、前記データ要求の送信元の前記通信機器からの前記第4通信信号の受信レベルのデータを受信した前記ゲートウェイが、当該受信レベルのデータおよび該データに付加された当該通信機器の識別情報に基づいて当該通信機器の接続されている場所を判断する第14ステップとをさらに備えている。
さらに、上記本発明の設置場所取得方法においては、前記第14ステップの終了に伴い、前記ゲートウェイはサーチを行った前記通信機器にサーチ完了を示すフラグを立て、前記通信機器のすべてに前記フラグが立つまで前記第7ステップないし第14ステップが繰り返し行われる。
さらにまた、上記本発明の設置場所取得方法においては、前記ゲートウェイは、前記通信機器からの前記第2通信信号で送られた受信レベルの内の最大の受信レベルを検出し、検出した最大の受信レベルと前記通信機器ごとの受信レベルとの差を演算し、当該差が前記第1減衰量の値未満の前記通信機器の場所を、ゲートウェイの直下の段と判断している。
さらにまた、上記本発明の設置場所取得方法においては、前記ゲートウェイは、前記通信機器からの前記第4通信信号で送られた受信レベルの内の最大の受信レベルを検出し、検出した最大の受信レベルと前記通信機器ごとの受信レベルとの差を演算し、当該差が前記第1減衰量の値未満の共聴機器の場所を、前記第3通信信号を送出した前記通信機器の直下の段と判断している。
【0007】
本発明の通信システムは、上流から下流に向かって伝送線路を介して階層構造で接続されたネットワーク機能を備える通信機器と、最も上流に伝送線路を介して接続された公衆通信網に接続可能なゲートウェイとを少なくとも備え、上記本発明の設置場所取得方法が行われることを主要な特徴としている。
本発明の通信機器は、上記通信システムに用いられるネットワーク機能を有する通信機器であって、入力された所定の周波数帯域の伝送信号を増幅して伝送線路に出力すると共に、伝送線路から入力された前記伝送信号とは異なる周波数の通信信号を、予め定められた第1減衰量だけ減衰させて伝送線路に送出するマルチホップ通信機能を有していることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の設置場所取得方法、通信システムおよび通信機器は、通信機器が備えるネットワーク機能を利用して通信信号の受け渡しを行うと共に、予め定められた第1減衰量だけ減衰させて通信信号を中継していくマルチホップ通信機能を利用することにより、通信機器が接続されている場所を取得することができる。これにより、本発明は、通信システムにおいて通信機器が階層構造におけるどの場所にどのように接続されているかを自動で取得することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例の共聴システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の共聴機器の実施例とされる増幅器の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施例の共聴システムにおけるゲートウェイの構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の実施例の設置場所取得方法が実行される共聴システムにおける設置場所取得方法の第1段階を説明する図である。
【
図5】本発明の実施例の設置場所取得方法が実行される共聴システムにおける設置場所取得方法の第2段階を説明する図である。
【
図6】本発明の実施例の設置場所取得方法が実行される共聴システムにおける設置場所取得方法の第3段階を説明する図である。
【
図7】本発明の実施例の設置場所取得方法が実行される共聴システムにおける設置場所取得方法の第4段階を説明する図である。
【
図8】本発明の実施例の設置場所取得方法が実行される共聴システムにおける設置場所取得方法の第5段階を説明する図である。
【
図9】本発明の実施例の設置場所取得方法におけるデータテーブルの構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施例の設置場所取得方法におけるデータテーブルの他の構成を示す図である。
【
図11】本発明の実施例の設置場所取得方法においてゲートウェイが実行するフローチャートを示す図である。
【
図12】本発明の実施例の設置場所取得方法においてゲートウェイが実行する他のフローチャートを示す図である。
【
図13】本発明の実施例の設置場所取得方法においてゲートウェイが実行するさらに他のフローチャートを示す図である。
【
図14】従来のTV共聴システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の通信システムは、上流から下流に向かって階層構造で接続されたネットワーク機能を備える通信機器により構成されている。本発明の通信システムは、テレビ信号の共聴システムに適用することが好適とされることから、以下の説明においては、通信システムの実施例を共聴システムとした場合を説明する。なお、本発明の通信システムの実施例は共聴システムに限るものではなく、階層構造の構成を有していれば、どのような通信システムであってもよい。
また、共聴システムを実施例とした場合の説明では、本発明の通信機器の実施例を共聴システムにおける共聴機器として以下に説明する。
<本発明の実施例の共聴システム>
本発明の実施例の共聴システムの構成を示す図を
図1に示す。
図1に示す本発明の実施例の共聴システム1は、屋上に設置されたBS・CSアンテナ10とUHFアンテナ11とゲートウェイ12と混合器13および混合器14と、3階(3F)に設置された増幅器20と分岐・分配器15とが縦続接続された伝送線路と、2階(2F)に設置された増幅器21と分岐・分配器16とが縦続接続された第1系統と、増幅器22と分岐・分配器17とが縦続接続された第2系統と、一階に設置された並列に第1系統に接続された増幅器23,24,25,26と、並列に第2系統に接続された増幅器27,28とから構成されている。伝送線路で伝送される伝送信号は、伝送線路損失や分配や分岐されることで減衰され、この減衰を補償するために、本発明の共聴機器の実施例とされる増幅器20~28が設けられている。
【0011】
共聴システム1では、第1入力端子にBS・CSアンテナ10よりのBS・CS-IF信号が入力され、第2入力端子にUHFアンテナ11で受信された地上波デジタル放送信号が入力されている混合器13において、BS・CS-IF信号と地上デジタル放送信号とが混合されて出力端子から出力されている。第1入力端子にゲートウェイ12が接続されている混合器14の第2入力端子に混合器13の出力端子が接続され、混合器14においてBS・CS-IF信号と地上デジタル放送信号との混合にゲートウェイからの後述する通信信号が混合されて出力端子から出力されている。また、混合器14の出力端子から入力された通信信号は第1入力端子を介してゲートウェイ12に入力される。
【0012】
混合器14の出力端子から出力された共聴信号は増幅器20に入力されて所定のレベルになるよう増幅される。増幅器20の出力は分岐・分配器15に供給され、分岐・分配器15において複数に分岐・分配される。分岐・分配器15では少なくとも第1系統と第2系統の共聴信号に分配される。第1系統に分配された共聴信号は、増幅器21に入力されて所定のレベルになるよう増幅され、増幅器21の出力は分岐・分配器16に供給されて複数に分岐・分配される。分岐・分配器16で分岐・分配された共聴信号は並列に接続された増幅器23,24,25,26に入力されて所定のレベルになるよう増幅される。増幅器23,24,25,26の出力は、宅内の各部屋等に設けられている直列ユニットのテレビ端子にそれぞれ供給され、テレビ端子にはテレビジョン受像機等に接続されるケーブルが接続される。また、第2系統に分配された共聴信号は、増幅器22に入力されて所定のレベルになるよう増幅され、増幅器22の出力は分岐・分配器17に供給されて複数に分岐・分配される。分岐・分配器17で分岐・分配された共聴信号は並列に接続された増幅器27,28に入力されて所定のレベルになるよう増幅される。増幅器27,28の出力は、宅内の各部屋等に設けられている直列ユニットのテレビ端子にそれぞれ供給され、テレビ端子にはテレビジョン受像機等に接続されるケーブルが接続される。
【0013】
共聴システム1で用いられている本発明にかかる増幅器20~28は同じ構成とされており、共聴信号を構成するBS・CS-IF信号と地上デジタル放送信号とを少なくとも増幅できる増幅機能と、通信信号の中継器としてリレー式に通信信号を繰り返し中継していくマルチホップ通信機能を備えている。増幅器20~28は、共聴信号が入力される入力端子と、増幅された共聴信号を出力する出力端子とを少なくとも備えており、入力端子および出力端子に伝送線路が接続されることにより、本発明にかかる共聴システム1に接続されている。増幅器20~28は、通信信号を中継していくマルチホップ通信を行うが、入力端子に入力された通信信号を予め定められた所定の減衰量、例えば40dB減衰させて出力端子から出力し、出力端子から入力された通信信号も予め定められた所定の減衰量、例えば40dB減衰させて入力端子から出力することにより、通信信号を中継している。このように、増幅器20~28は上流側からの通信信号を所定の減衰量だけ減衰させて下流側へ中継し、下流側からの通信信号を所定の減衰量だけ減衰させて上流側へ中継するマルチホップ通信を行うことを特徴としている。以下の説明においては、所定の減衰量を40dBに設定した場合を例に挙げて説明するものとするが、所定の減衰量は40dBに限ることはなく所望の減衰量に設定することができる。なお、通信信号により送られるデータはデジタル信号であってパケット化されており、パケットには送信元情報と宛先情報とデータの情報とが少なくとも含まれており、通信信号は共聴信号で使用されていない周波数のキャリアを用いて伝送される。
【0014】
上記したように、増幅器20~28は、共聴信号を構成するBS・CS-IF信号と地上デジタル放送信号とを少なくとも増幅できる増幅機能を備えており、具体的にはBS・CS-IF信号を増幅する増幅ユニットと地上デジタル放送信号を増幅する増幅ユニットとを有している。また、増幅器20~28はネットワーク機能を有しており、ネットワーク上において各増幅器を識別するための一意の識別情報(以下、「ID」という)が、各増幅器に割り当てられている。このネットワーク機能を利用して、それぞれの増幅ユニットの供給電圧および供給電流や温度などの機器の状態情報と、入力レベル、出力レベル、C/Nなどの伝送信号の状態情報からなる動作データは周期的にモニタされている。モニタされるモニタ信号は、動作データにモニタされた増幅器に割り当てられたIDを付加して構成されており、モニタ信号は変調されて共聴信号では使用されていない周波数帯域(例えば、920MHz)のキャリアを用いた通信信号とされて共聴システム1内の伝送線路を上っていき、混合器14を介してゲートウェイ12で受信される。モニタ信号はデジタル信号とされており、パケット化されると共に、そのパケットで上記キャリアがFSK(frequency shift keying)変調されて通信信号が作成される。非同期通信で通信信号は通信され、通信信号のパケットは送信元情報や宛先情報のヘッダを有している。ネットワーク機能を有するネットワーク機器であるゲートウェイ12は、共聴システム1と公衆通信網であるインターネットとの間でデータの送受を行える機能を有しており、通信信号をベースバンドのパケット信号に戻してTCP(Transmission Control Protocol )やHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)によりモニタ信号をインターネット上のクラウドに送出することができる。クラウドで受信されたモニタ信号はクラウドに保存される。なお、ゲートウェイ12は、所定時間ごとにモニタ信号をクラウドに送出したり、モニタ信号が更新されるごとにモニタ信号をクラウドに送出している。
【0015】
本発明にかかる共聴システム1において、本発明にかかる主要な共聴機器はネットワーク機能を有しており、ネットワーク機能を有する共聴機器には、一意のIDがそれぞれ割り当てられている。本発明にかかる共聴システム1においては、ゲートウェイ12および増幅器20~28はネットワーク機能を有しており、それぞれIDが割り当てられている。IDとして、例えばMACアドレスを用いることができる。MACアドレスは、ネットワーク機能を有する通信機器に割り振られた固有の識別番号であり、メーカー固有のアドレスと製品個々のアドレスとで構成されている。
ここで、マルチホップ通信についてさらに説明すると、ゲートウェイ12から通信信号が送出された場合は、増幅器20が通信信号を下流側へ中継し、増幅器20が中継した通信信号は増幅器21および増幅器22がそれぞれ下流側へ通信信号を中継していく。これにより、増幅器20~28はゲートウェイ12から送出された通信信号をそれぞれ受信できるようになる。ただし、増幅器20と増幅器21および増幅器22で中継する際に通信信号は所定の減衰量だけ減衰されて中継されていく。これにより、増幅器21および増幅器22が受信する通信信号は増幅器20が受信する通信信号より所定の減衰量だけ減衰された通信信号を受信し、増幅器23ないし増幅器28が受信する通信信号は増幅器20が受信する通信信号より所定の減衰量の2倍だけ減衰された通信信号を受信することになる。
また、増幅器23ないし増幅器28のいずれかの増幅器から通信信号が送出された場合は、増幅器21または増幅器22が通信信号を上流側へ中継し、増幅器21または増幅器22が中継した通信信号は増幅器20が上流側へ通信信号を中継していく。これにより、ゲートウェイ12は増幅器23ないし増幅器28から送出された通信信号を受信できるようになる。ただし、増幅器20と増幅器21および増幅器22で中継する際に通信信号は所定の減衰量だけ減衰されて中継される。これにより、増幅器23ないし増幅器28から送出された通信信号は、所定の減衰量の2倍だけ減衰されてゲートウェイ12で受信される。また、増幅器21または増幅器22から通信信号が送出された場合は、所定の減衰量だけ減衰されてゲートウェイ12で受信される。
【0016】
<増幅器の構成>
本発明の共聴機器の実施例とされる増幅器20~28は、それぞれネットワーク機能を有する制御部と複数の増幅ユニットとを備えており、同じ構成とされることから、ここでは、増幅器20~28の代表として増幅器20の構成を示す機能ブロック図を
図2に示す。
図2に示す本発明にかかる増幅器20は、ネットワーク機能を有する制御部50と、BS・CS-IF信号を増幅する増幅ユニット100と、地上デジタル放送信号を増幅する増幅ユニット110とを備えている。そして、制御部50と増幅ユニット100および増幅ユニット110とは通信バスにより相互に接続されている。
【0017】
図2に示すように増幅器20における制御部50は、マイコン51を備えており、マイコン51の記憶装置であるメモリ52とモデム53と各種センサ54がマイコン51に接続されている。マイコン51は、コンピュータの機能を有しておりCPU(Central Processing Unit)とI/OとROM(Read Only Memory)とが少なくとも内蔵されている。増幅ユニット100はマイコン101を備えており、マイコン101の記憶装置であるメモリ102と各種センサ103と増幅部104がマイコン101に接続されている。増幅部104は、入力端子から入力された共聴信号の内の地上デジタル放送信号あるいはBS・CS-IF信号を増幅して出力端子から出力している。増幅ユニット110はマイコン111を備えており、マイコン111の記憶装置であるメモリ112と各種センサ113と増幅部114がマイコン111に接続されている。増幅部114は、入力端子から入力された共聴信号の内のBS・CS-IF信号あるいは地上デジタル放送信号を増幅して出力端子から出力している。そして、マイコン51,101,111のI/OはRS485のインタフェースを備えており、相互にRS485の通信バスにより接続されている。これにより、制御部50は、2線の平衡伝送路を用いてシリアルの半二重通信で、増幅ユニット100および増幅ユニット110との間でデータの送受を行えるようになる。具体的には、制御部50は、パラメータを通信バスを通じて増幅ユニット100および増幅ユニット110の入力レベル調整部および出力レベル調整部に設定することができると共に、増幅ユニット100および増幅ユニット110の入力レベル調整部および出力レベル調整部に設定されているパラメータを通信バスを通じて取り込むことができる。
制御部50はマイコン51の制御の基でネットワーク機能を利用して、制御部50に取り込んだ増幅ユニット100および増幅ユニット110の入力レベル調整部および出力レベル調整部に設定されていたパラメータにIDを付加したパラメータの情報と、前記したモニタ信号とをパケット化して、モデム53において共聴信号では使用されていない周波数帯域(例えば、920MHz)のキャリアをパケットでFSK変調した通信信号にし、ゲートウェイ12に向けて出力端子から伝送線路に送出している。また、入力端子から入力された通信信号はマイコン51の制御の基で、所定の減衰量だけ減衰されてモデム53から出力端子に出力され、出力端子から入力された通信信号はマイコン51の制御の基で、所定の減衰量だけ減衰されてモデム53から入力端子に出力される。そして、モデム53で復号された通信信号は、パケットのデータに応じて制御部50において処理され、通信信号で応答する必要がある場合は、応答する通信信号を作成して送出する。
なお、各種センサ54および各種センサ103,113は増幅ユニットの供給電圧および供給電流や温度などの機器の状態情報と、入力レベル、出力レベル、C/Nなどの伝送信号の状態情報からなる動作データを検出するセンサとされている。増幅器21~28においても、上記したとおりの構成とされている。
【0018】
<ゲートウェイの構成>
本発明の共聴システム1におけるゲートウェイ12の構成を示す機能ブロック図を
図3に示す。
図3に示すゲートウェイ12は、MCU170と入力装置175と表示器176と広域通信I/F177と通信I/F178とを備え、ネットワーク機能を有している。また、入力装置175はI/O174に接続され、表示器176と広域通信I/F177と通信I/F178はMCU170のバス179に接続されている。広域通信I/F177は、インターネットなどの公衆通信網に接続可能な通信インタフェースである。MCU170はマイクロコントローラーであり、マイコンと同義である。MCU170は、CPU171、ROM172、RAM173、I/O174を備え、これらをバス179で接続して構成されている。CPU171は、ROM172に記憶されたゲートウェイ処理プログラムを実行することにより、以下に説明するゲートウェイ処理を実行する。
ゲートウェイ12では、通信信号で用いている通信規格(プロトコル)と、インターネット上のクラウドに接続するプロトコル(HTTPSあるいはTCP)との相互変換を行っている。増幅器20~28における制御部50からゲートウェイ12に送られた通信信号は、CPU171の制御の基でID付きのデータあるいはID付きのモニタ信号やID付きのパラメータに復調されてRAM173のテンポラリメモリ領域に格納される。そして、ID付きのデータはCPU171の制御の基でRAM173から読み出されてデータに応じて処理され、ID付きのモニタ信号およびID付きのパラメータは、CPU171の制御の基で所定時間毎にRAM173から読み出されて所定のプロトコルの書式に変更されてパケット化され、インターネット上のクラウドに送出される。
【0019】
また、ゲートウェイ12はクラウドに格納されているパラメータが変更されたかを尋ねるリクエストを送る。クラウドは、格納されているパラメータが変更されている場合は、リクエストに応えて変更されたID付きのパラメータをゲートウェイ12に送る。ゲートウェイ12はCPU171の制御の基で変更されたID付きのパラメータをRAM173に格納して、IDから識別した増幅器にパラメータを変更するコマンドと変更されたID付きのパラメータを送る。増幅器の制御部50では、マイコン51の制御の基で送られたID付きのパラメータから該当する増幅ユニットを識別して、当該増幅ユニットに変更されたパラメータを設定する。
【0020】
また、ゲートウェイ12はCPU171の制御の基で通信ルートを自動取得する通信ルート取得プログラムを実行することができる。ゲートウェイ12に通信ルート取得プログラムを実行させる指示をユーザが行うと、ゲートウェイ12はサーチコマンドの通信信号(以下、「第1通信信号」という)を伝送線路に送出する。サーチコマンドを送るパケットは、宛先情報が共聴システム1におけるすべての共聴機器とされ、送信元情報がゲートウェイ12のIDとされ、サーチコマンドのデータが含まれている。この第1通信信号は増幅器20ないし増幅器28を中継していくことにより共聴システム1に伝送されていき、共聴システム1に接続されている本発明の共聴機器の実施例とされる増幅器20ないし増幅器28が第1通信信号を受信すると、受信した第1通信信号の受信レベルを検出する。この場合、第1通信信号を受信した増幅器では、制御部50のモデム53においてマイコン51の制御の基で受信した第1通信信号の受信レベルを検出すると共に、所定の減衰量だけ第1通信信号を減衰させてモデム53から出力端子に出力する。次いで、マイコン51の制御の基でサーチコマンドに応答する返信の通信信号を当該増幅器の制御部50のモデム53から入力端子に出力する。返信を送るパケットは、宛先情報がゲートウェイ12のIDとされ、送信元情報が当該増幅器のIDとされ、返信のデータが含まれている。返信の通信信号は上流へ中継されていき、宛先のゲートウェイ12が返信の通信信号を通信I/F178を介して受信する。ゲートウェイ12は、受信した返信に含まれている送信元情報からから共聴システム1に接続されている共聴機器である増幅器を知ることができる。そして、ゲートウェイ12で検出された増幅器に受信レベルのデータのデータ要求の通信信号を送り、データ要求を受信した増幅器は受信レベルのデータの通信信号(以下、「第2通信信号」という)を当該増幅器の制御部50のモデム53からゲートウェイ12に向けて送り返す。受信レベルのデータを送るパケットは、宛先情報がゲートウェイ12のIDとされ、送信元情報が当該増幅器のIDとされ、受信レベルのデータが含まれている。第2通信信号は共聴システム1を中継されていき、宛先とされるゲートウェイ12が第2通信信号を通信I/F178を介して受信する。第2通信信号を受信したゲートウェイ12は、CPU171の制御の基で受信レベルのデータの値に基づいて、当該第2通信信号を送出した増幅器が共聴システム1のどこの段に属しているかを判断する。どこの段に属しているかを判断する処理の詳細は後述する。
【0021】
<設置場所取得方法>
本発明の実施例の設置場所取得方法の説明を
図4ないし
図10を参照して説明する。
図4は本発明の共聴システム1において設置場所取得方法の第1段階を説明する図であり、
図5は本発明の共聴システム1において設置場所取得方法の第2段階を説明する図であり、
図6,
図7,
図8は本発明の共聴システム1において設置場所取得方法の第3段階ないし第5段階を説明する図であり、
図9および
図10は設置場所取得方法におけるデータテーブルの構成を示す図である。第1段階ないし第5段階は、ゲートウェイ12および増幅器20~28のネットワーク機能と、増幅器20~28のマルチホップ通信機能を利用して行われる。
設置場所取得方法の第1段階では、ゲートウェイ12が本発明の共聴システム1内の共聴機器にサーチコマンドを送る通信信号を送出する。前述したように、この通信信号を「第1通信信号」ということにする。この第1段階を
図4を参照して説明するが、
図4ではサーチコマンドを送出するゲートウェイ12を濃いハッチングを施して示し、サーチコマンドが確実に届くゲートウェイ12の直下の段とその下の段の増幅器20,21,22を薄いハッチングを施して示している。第1通信信号は共聴システム1の伝送線路に送出され、増幅器20ないし増幅器28で中継されることにより共聴システム1の下流側へ中継されていく。この際にゲートウェイ12に記憶されるデータテーブルには、
図9(a)に示すようにゲートウェイ12のみ格納され、その検索フラグ欄にサーチの未完了を示す「False」が、MACアドレス欄にゲートウェイ12のMACアドレスが格納される。また、ゲートウェイ12は、共聴システム1の最上流に接続されていることから段数欄には「0」が格納される。伝送線路を伝送していった第1通信信号は混合器14を介して増幅器20で受信される。増幅器20は、受信した第1通信信号を中継する際に所定の減衰量である40dBだけ減衰させて下流側へ中継する。同時に、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元であるゲートウェイ12を宛先にしており、この返信の通信信号をゲートウェイ12が受信すると、ゲートウェイ12は、増幅器20が共聴システム1に接続されていることを知ることができる。
【0022】
また、40dB減衰されて増幅器20で中継された第1通信信号は伝送線路を伝送していき、分岐・分配器15を介して第1系統の増幅器21で受信される。増幅器21は、受信した第1通信信号を中継する際に所定の減衰量である40dBだけさらに減衰させて下流側へ中継する。すなわち、2度の所定の減衰量を受けた第1通信信号が増幅器21から下流側へ中継される。同時に、増幅器21はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信の通信信号は上流側へ中継されていく。すなわち、ゲートウェイ12を宛先にした返信の通信信号は、分岐・分配器15を介して増幅器20が受信し、増幅器20は、通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して上流側へ中継する。中継された返信の通信信号をゲートウェイ12が受信すると、ゲートウェイ12は、増幅器21が共聴システム1に接続されていることを知ることができる。ところで、合計80dB減衰された第1通信信号は増幅器21で中継されるが、ここでは、受けた減衰量が大きくなるため分岐・分配器16を介した増幅器23~26では正常に受信されないものとしている。すなわち、増幅器23~26は中継せず返信も行われない。
さらに、40dB減衰されて増幅器20で中継された第1通信信号は伝送線路を中継されていき、分岐・分配器15を介して第2系統の増幅器22で受信される。増幅器22は、受信した第1通信信号が中継される際に所定の減衰量である40dBだけさらに減衰させて下流側へ中継する。すなわち、2度の所定の減衰量を受けた第1通信信号が増幅器21から下流側へ中継される。同時に、増幅器22はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信の通信信号は上流側へ中継されていく。すなわち、ゲートウェイ12を宛先にした返信の通信信号は、分岐・分配器15を介して増幅器20が受信し、増幅器20は、受信した返信の通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して上流側へ中継する。中継された返信の通信信号をゲートウェイ12が受信すると、ゲートウェイ12は、増幅器22が共聴システム1に接続されていることを知ることができる。ところで、合計80dB減衰された第1通信信号は増幅器22で中継されるが、ここでは、減衰量が大きくなるため分岐・分配器17を介した増幅器27,28では受信されないものとしている。すなわち、増幅器27,28は中継せず返信も行われない。
【0023】
上記のようにして、増幅器20,21,22の共聴機器が共聴システム1に接続されていることを知ったゲートウェイ12は、増幅器20,21,22のそれぞれに第1通信信号を受信した際の受信レベルのデータ要求を個別に行う。このデータ要求には、増幅器20,21,22のIDが宛先情報とされた個別のデータ要求とされており、この個別のデータ要求の通信信号が伝送線路に送出される。このデータ要求の通信信号は下流側へ中継されていく。中継された自機宛のIDを含むデータ要求を受け取った増幅器は、第1通信信号を受信した際の受信レベルのデータをゲートウェイ12に送る通信信号(以下、「第2通信信号」という)を伝送線路に送出する。この第2通信信号は上流側へ中継されていく。第2通信信号は宛先情報がゲートウェイ12のIDとされ送信元情報が自機のIDとされている。ゲートウェイ12では、増幅器20から送出された第2通信信号が直接受信されるが、増幅器21,22から送出された第2通信信号は増幅器20で所定の減衰量だけ減衰されて中継され、中継された第2通信信号をゲートウェイ12が受信する。ゲートウェイ12は、増幅器20,21,22のそれぞれから受信した第2通信信号に基づいて受信レベルのデータを取得する。すなわち、ゲートウェイ12は、増幅器20,21,22のそれぞれで受信された第1通信信号の受信レベル値であるRSSI値を知ることができる。
【0024】
このように、ゲートウェイ12は、増幅器20,21,22とされる共聴機器が共聴システム1に接続されていることを知ると共に、増幅器20,21,22からRSSI値を取得して、データテーブルを
図9(b)に示すように更新する。すなわち、ゲートウェイ12の検索フラグ欄はサーチ完了を示す「True」となり、増幅器20,21,22の検索フラグ欄はサーチの未完了を示す「False」となり、MACアドレス欄にゲートウェイ12のMACアドレスないし増幅器20,21,22のMACアドレスがそれぞれ格納される。また、RSSI値欄では、増幅器20のRSSI値として-34dBが、増幅器21のRSSI値として-75dBが、増幅器22のRSSI値として-77dBが格納される。このRSSI値は一例を示している。
そして、ゲートウェイ12は、
図9(b)に示すデータテーブルから増幅器20,21,22のRSSI値を読み出してその最大値(MAX_A)を検出する。この場合、MAX_Aは-34dBと検出される。そして、検出されたMAX_Aと増幅器20,21,22のRSSI値のそれぞれとの差が所定の減衰量である40dB未満か否かが判定される。ここでは、MAX_Aが増幅器20のRSSI値であることから、増幅器20はゲートウェイ12の直下の段である1段目に接続されているとゲートウェイ12は判断する。また、RSSI値が-75dBと-77dBの場合は、MAX_Aとの差が40dB以上と判定されるから増幅器21,22は増幅器20より下の段に接続されていると判断する。これにより、
図9(b)に示すように段数欄においては、増幅器20に1段目を示す「1」が格納され、増幅器21,22の段数欄は未定とされる。
上記したように、ゲートウェイ12がサーチコマンドを送出するサーチにおいて検出できる共聴機器は共聴システム1の範囲Aの増幅器20,21,22となる。
【0025】
次に、設置場所取得方法の第2段階において、ゲートウェイ12は、現時点における
図9(b)に示すデータテーブルの検索フラグ欄において「False」とされている共聴機器の内のゲートウェイ12に一番近い共聴機器を選択する。ここでは、段数欄が「1」の増幅器20が選択され、ゲートウェイ12は増幅器20に、本発明の共聴システム1内の共聴機器にサーチコマンドを送る指示を行う。この指示は、増幅器20を宛先とする通信信号を伝送線路に送出することにより行われる。この指示を受信した宛先とされる増幅器20は、指示に対応するサーチコマンドの通信信号を送出する。ここでは、この通信信号を「第3通信信号」ということにする。この第2段階を
図5を参照して説明するが、
図5ではサーチコマンドを送出する増幅器20を濃いハッチングを施して示し、サーチコマンドが確実に届くゲートウェイ12と増幅器20の直下の段とその下の段の増幅器21~28を薄いハッチングを施して示している。第3通信信号は共聴システム1の伝送線路に増幅器20から送出され、伝送線路を伝送していった第3通信信号は混合器14を介してゲートウェイ12で受信される。ゲートウェイ12は、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器20を宛先にしており、この返信を増幅器20が受信する。
【0026】
また、増幅器20から伝送線路に送出された第3通信信号は下流側へ中継されていき、分岐・分配器15を介して第1系統の増幅器21で受信される。増幅器21は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して下流側へ中継する。同時に、増幅器21はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器20を宛先にしており、分岐・分配器15を介して増幅器20が受信する。増幅器21から下流側へ中継された第3通信信号は、分岐・分配器16を介して第1系統の増幅器23ないし増幅器26のそれぞれで受信される。増幅器23ないし増幅器26のそれぞれは、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。また、増幅器23ないし増幅器26は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけさらに減衰させて下流側へ中継する。ただし、増幅器23ないし増幅器26の下流には中継された第3通信信号を受信する共聴機器は存在しない。
さらに、増幅器20から下流側へ中継された第3通信信号は伝送線路を伝送されていき、分岐・分配器15を介して第2系統の増幅器22で受信される。増幅器22は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して下流側へ中継する。同時に、増幅器22はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器20を宛先にしており、分岐・分配器15を介して増幅器20が受信する。増幅器22から下流側へ中継された第3通信信号は、分岐・分配器17を介して第2系統の増幅器27および増幅器28でそれぞれ受信される。増幅器27および増幅器28のそれぞれは、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。また、増幅器27および増幅器28は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけさらに減衰させて下流側へ中継する。ただし、増幅器27および増幅器28の下流には中継された第3通信信号を受信する共聴機器は存在しない。
【0027】
ゲートウェイ12および増幅器21ないし増幅器28のそれぞれから送出された返信の通信信号を受信した増幅器20は、それぞれの返信をゲートウェイ12を宛先とする通信信号でゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器21ないし増幅器28のそれぞれから送出された返信を受け取ることができ、返信の送信元情報に基づいて増幅器23ないし増幅器28が共聴システム1に接続されていることを新たに知ることができる。
上記のようにして、増幅器23ないし増幅器28の共聴機器が共聴システム1に接続されていることを新たに知ったゲートウェイ12は、返信を受け取った共聴機器の内のサーチが完了している共聴機器を除くそれぞれから第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを取得するデータ要求のコマンドを増幅器20に送る。このデータ要求のコマンドを受信した増幅器20は、サーチが完了しているゲートウェイ12を除く増幅器21~28のそれぞれに、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータ要求を送る。このデータ要求は、増幅器21~28のそれぞれのIDが宛先情報とされる個別のデータ要求とされる。この個別のデータ要求の通信信号は、増幅器20から伝送線路に送出される。このデータ要求の通信信号は増幅器20を拠点としてマルチホップ通信により下流側へ中継されていく。自機宛のIDを含むデータ要求の通信信号を受信した増幅器21~28のそれぞれは、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを増幅器20を宛先とする通信信号(以下、「第4通信信号」という)を伝送線路に送出する。第4通信信号には自機のIDが送信元情報として付されている。増幅器20では、増幅器21,22から送出された第4通信信号が受信される。また、増幅器23~26から送出された第4通信信号は増幅器21で中継されて増幅器20が受信し、増幅器27,28から送出された第4通信信号は増幅器22で中継されて増幅器20が受信する。増幅器20は、受信した増幅器21,22からと増幅器23~26および増幅器27,28からの第4通信信号をゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器21~28からの第4通信信号を受信する。ゲートウェイ12が受信する増幅器23~26からの第4通信信号は、増幅器21による所定の減衰量の減衰を受けており、増幅器27,28からの第4通信信号は、増幅器22による所定の減衰量の減衰を受けている。ゲートウェイ12は、増幅器21~28のそれぞれから第4通信信号として受信した受信レベルのデータから増幅器21~28のそれぞれで受信された第3通信信号の受信レベル値であるRSSI値を知ることができる。
【0028】
このように、ゲートウェイ12は、増幅器23ないし増幅器28とされる共聴機器が新たに共聴システム1に接続されていることを知ると共に、増幅器21~28からRSSI値を取得したゲートウェイ12に記憶されるデータテーブルは
図9(c)に示すように更新される。すなわち、増幅器20の検索フラグ欄はサーチ完了を示す「True」となり、増幅器23ないし増幅器28が追加される。そして、増幅器21~28の検索フラグ欄はサーチの未完了を示す「False」となり、MACアドレス欄にゲートウェイ12のMACアドレスないし増幅器20ないし増幅器28のMACアドレスがそれぞれ格納される。また、RSSI値欄では、増幅器21のRSSI値として-35dBが、増幅器22のRSSI値として-37dBが、増幅器23のRSSI値として-85dBが、増幅器24のRSSI値として-86dBが、増幅器25のRSSI値として-88dBが、増幅器26のRSSI値として-84dBが、増幅器27のRSSI値として-81dBが、増幅器28のRSSI値として-83dBが格納される。このRSSI値は一例を示している。
【0029】
そして、ゲートウェイ12は、
図9(c)に示すデータテーブルから増幅器21ないし増幅器28のRSSI値を読み出してその最大値(MAX_B)を検出する。この場合、MAX_Bは-35dBと検出される。そして、検出されたMAX_Bと増幅器21ないし増幅器28のRSSI値のそれぞれとの差が所定の減衰量である40dB未満か否かが判定される。ここでは、MAX_Bとの差から、ゲートウェイ12は、増幅器21が増幅器20の直下の段である2段目に接続されていると判断する。また、MAX_Bとの差から、ゲートウェイ12は、増幅器22が増幅器20の直下の段である2段目に接続されていると判断する。すなわち、増幅器21と増幅器22とは2段目に並列に接続されていることを、ゲートウェイ12は知ることができる。さらに、RSSI値が-81dBないし-88dBの場合は、MAX_Bとの差が40dB以上と判定されるから増幅器23ないし増幅器28は増幅器21,22より下の段に接続されていると判断する。これにより、
図9(c)に示すように段数欄においては、増幅器21,22に2段目を示す「2」が格納され、増幅器23ないし増幅器28の段数欄は未定とされる。
上記したように、増幅器20がサーチコマンドを送出するサーチにおいて検出できる共聴機器は共聴システム1の範囲Bのゲートウェイ12および増幅器21ないし増幅器28となる。
【0030】
次に、設置場所取得方法の第3段階において、ゲートウェイ12は、現時点における
図9(c)に示すデータテーブルの検索フラグ欄において「False」とされている共聴機器の内のゲートウェイ12に一番近い共聴機器を選択する。ここでは、段数欄が「2」の増幅器21が選択されたとし、ゲートウェイ12は増幅器21に、本発明の共聴システム1内の共聴機器にサーチコマンドを送る指示を、増幅器20を介してのマルチホップ通信により行う。この指示は、増幅器21を宛先とする通信信号を伝送線路に送出することにより行われる。この指示を増幅器20のマルチホップ通信を介して受信した増幅器21は、サーチコマンドの通信信号を送出する。ここでは、この通信信号を「第3通信信号」ということにする。この第3段階を
図6を参照して説明するが、
図6ではサーチコマンドを送出する増幅器21を濃いハッチングを施して示し、サーチコマンドが確実に届くゲートウェイ12と増幅器20と、増幅器21の直下の段の増幅器23~28と増幅器22と増幅器22の下の段の増幅器27,28とを薄いハッチングを施して示している。第3通信信号は共聴システム1の伝送線路に増幅器21から送出され、伝送線路を伝送していった第3通信信号は増幅器20で受信される。増幅器20は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して上流側へ中継する。同時に、増幅器20はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器21を宛先にしており、分岐・分配器15を介して増幅器21が受信する。増幅器20から上流側へ中継された第3通信信号は、混合器14を介してゲートウェイ12で受信される。ゲートウェイ12は、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器21を宛先にしており、この返信は増幅器20で受信されて下流側へ中継され、宛先とされる増幅器21が受信する。
【0031】
また、増幅器21から伝送線路に送出された第3通信信号は、分岐・分配器16を介して第1系統の増幅器23ないし増幅器26のそれぞれで受信される。増幅器23ないし増幅器26のそれぞれは、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器21を宛先にしており、分岐・分配器16を介して増幅器21が受信する。また、増幅器23ないし増幅器26は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰させて下流側へ中継する。ただし、増幅器23ないし増幅器26の下流には中継された第3通信信号を受信する共聴機器は存在しない。
さらに、増幅器21から伝送線路に送出された第3通信信号は分岐・分配器15を介して第2系統の増幅器22で受信される。増幅器22は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して下流側へ中継する。同時に、増幅器22はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器21を宛先にしており、分岐・分配器15を介して増幅器21が受信する。増幅器22から下流側へ中継された第3通信信号は、分岐・分配器17を介して第2系統の増幅器27および増幅器28でそれぞれ受信される。増幅器27および増幅器28のそれぞれから、サーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器21を宛先にしており、増幅器22で中継されて分岐・分配器15を介して増幅器21が受信する。増幅器27および増幅器28は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけさらに減衰して下流側へ中継する。ただし、増幅器27および増幅器28の下流には中継された第3通信信号を受信する共聴機器は存在しない。
【0032】
ゲートウェイ12および増幅器20ならびに増幅器22ないし増幅器28のそれぞれから送出された返信の通信信号を受信した増幅器21は、それぞれの返信をゲートウェイ12を宛先とする通信信号で、増幅器20を介してのマルチホップ通信によりゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は、ゲートウェイ12および増幅器20ならびに増幅器22ないし増幅器28のそれぞれから送出された返信を受け取ることができる。
上記のようにして、ゲートウェイ12および増幅器20ならびに増幅器22ないし増幅器28からの返信を受け取ったゲートウェイ12は、返信を受け取った共聴機器の内のサーチが完了した共聴機器を除くそれぞれから第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを取得するデータ要求のコマンドを増幅器21に送る。このデータ要求のコマンドを受信した増幅器21は、サーチが完了したゲートウェイ12および増幅器20を除く増幅器22~28のそれぞれに、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータ要求を送る。このデータ要求は、増幅器22ないし増幅器28のそれぞれのIDが宛先情報とされる個別のデータ要求とされる。この個別のデータ要求の通信信号は、増幅器21から伝送線路に送出され、分岐・分配器16を介して増幅器23~26が受信する。また、増幅器21から送出されたデータ要求の通信信号は、増幅器20によるマルチホップ通信にて上流側へ中継されていき増幅器20およびゲートウェイ12が受信すると共に、増幅器22にて下流側へ中継されていき増幅器22および増幅器27,28が受信する。自機宛のIDを含むデータ要求を受け取った増幅器22ないし増幅器28のそれぞれは、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを増幅器21を宛先とする第4通信信号で伝送線路に送出する。第4通信信号には自機のIDが送信元情報として付されている。増幅器21では、増幅器22および増幅器23~26から送出された第4通信信号が受信されると共に、増幅器22で中継された増幅器27,28から送出された第4通信信号が受信される。この第4通信信号は、中継される際に所定の減衰量だけ減衰を受けている。増幅器21は、受信された増幅器22からと増幅器23~26および増幅器27,28からの第4通信信号を、増幅器20によるマルチホップ通信にてゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器22~28からの第4通信信号を受信する。ゲートウェイ12は、増幅器22~28のそれぞれから受信した受信レベルのデータから増幅器22~28のそれぞれで受信された第3通信信号の受信レベル値であるRSSI値を知ることができる。
【0033】
このように、ゲートウェイ12が、増幅器22ないし増幅器28からRSSI値を取得すると、ゲートウェイ12に記憶されるデータテーブルは
図9(d)に示すように更新される。すなわち、増幅器21の検索フラグ欄はサーチ完了を示す「True」となる。そして、増幅器22~28の検索フラグ欄はサーチの未完了を示す「False」となり、MACアドレス欄にゲートウェイ12のMACアドレスないし増幅器20ないし増幅器28のMACアドレスがそれぞれ格納される。また、RSSI値欄では、増幅器22のRSSI値として-37dBが、増幅器23のRSSI値として-35dBが、増幅器24のRSSI値として-36dBが、増幅器25のRSSI値として-38dBが、増幅器26のRSSI値として-34dBが、増幅器27のRSSI値として-81dBが、増幅器28のRSSI値として-83dBが格納される。このRSSI値は一例を示している。
【0034】
そして、ゲートウェイ12は、
図9(d)に示すデータテーブルから増幅器23ないし増幅器28のRSSI値を読み出してその最大値(MAX_C)を検出する。この場合、MAX_Cは-34dBと検出される。そして、検出されたMAX_Cと増幅器23ないし増幅器28のRSSI値のそれぞれとの差が所定の減衰量である40dB未満か否かが判定される。ここでは、MAX_Cが-34dBと検出されるからRSSI値が-34dBないし-38dBの場合は、MAX_Cとの差が40dB未満と判定され、ゲートウェイ12は、増幅器23ないし増幅器26は増幅器21の直下の段である3段目に並列に接続されていると判断する。また、RSSI値が-81dBないし-83dBの場合はMAX_Cとの差が40dB以上と判定されるから増幅器27,28は増幅器21の直下の段には接続されていないと判断する。これにより、
図9(d)に示すように段数欄においては、増幅器23ないし増幅器26に3段目を示す「3」が格納され、増幅器27,28の段数欄は未定とされる。
上記したように、増幅器21がサーチコマンドを送出するサーチにおいて検出できる共聴機器は共聴システム1の範囲Bのゲートウェイ12、増幅器20および増幅器22ないし増幅器28となる。
【0035】
次に、設置場所取得方法の第4段階において、ゲートウェイ12は、現時点における
図9(d)に示すデータテーブルの検索フラグ欄において「False」とされている共聴機器の内のゲートウェイ12に一番近い共聴機器を選択する。ここでは、段数欄が「2」の増幅器22が選択され、ゲートウェイ12は増幅器22に、本発明の共聴システム1内の共聴機器にサーチコマンドを送る指示を、増幅器20を介したマルチホップ通信により行う。この指示は、増幅器22を宛先とする通信信号を伝送線路に送出することにより行われる。この指示を増幅器20のマルチホップ通信を介して受信した増幅器22は、サーチコマンドの通信信号を送出する。ここでは、この通信信号を「第3通信信号」ということにする。この第4段階を
図7を参照して説明するが、
図7ではサーチコマンドを送出する増幅器22を濃いハッチングを施して示し、サーチコマンドが確実に届くゲートウェイ12と増幅器20と、増幅器22の直下の段の増幅器27,28と増幅器21と増幅器21の下の段の増幅器23~28とを薄いハッチングを施して示している。
第4段階においては、第3通信信号が共聴システム1の伝送線路に増幅器22から送出され、伝送線路を伝送していくが、その動作は第3段階における増幅器21を増幅器22に置き換えた動作と同様となるので、その詳細は省略する。
【0036】
第4段階により、ゲートウェイ12および増幅器20,21ならびに増幅器23ないし増幅器28のそれぞれから送出された返信の通信信号を受信した増幅器22は、それぞれの返信を、増幅器20を介したマルチホップ通信によりゲートウェイ12を宛先とする通信信号でゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は、ゲートウェイ12および増幅器20,21ならびに増幅器23ないし増幅器28のそれぞれから送出された返信を受け取ることができる。
上記のようにして、ゲートウェイ12および増幅器20,21ならびに増幅器23ないし増幅器28からの返信を受け取ったゲートウェイ12は、返信を受け取った共聴機器の内のサーチが完了した共聴機器を除くそれぞれから第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを取得するデータ要求のコマンドを増幅器22に送る。このデータ要求のコマンドを受信した増幅器22は、サーチが完了したゲートウェイ12および増幅器20,21を除く増幅器23~26および増幅器27,28のそれぞれに、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータ要求を送る。このデータ要求は、増幅器23ないし増幅器28のそれぞれのIDが宛先情報とされた個別のデータ要求とされる。この個別のデータ要求の通信信号は、増幅器22から伝送線路に送出され、分岐・分配器17を介して増幅器27,28が受信する。また、増幅器22から送出されたデータ要求の通信信号は、増幅器20によるマルチホップ通信にて上流側へ中継されていき増幅器20およびゲートウェイ12が受信すると共に、増幅器21にて下流側へ中継されていき増幅器23~26が受信する。自機宛のIDを含むデータ要求の通信信号を受信した増幅器23ないし増幅器28のそれぞれは、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを増幅器22を宛先とする第4通信信号を伝送線路に送出する。第4通信信号には自機のIDが送信元情報として付されている。増幅器22では、増幅器27,28から送出された第4通信信号が受信されると共に、増幅器21で中継された増幅器23~26から送出された第4通信信号が受信される。この第4通信信号は、中継される際に所定の減衰量だけ減衰を受けている。増幅器22は、受信された増幅器23~26および増幅器27,28からの第4通信信号を、増幅器20によるマルチホップ通信にてゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器23~28からの第4通信信号を受信する。ゲートウェイ12は、増幅器23~28のそれぞれから受信した受信レベルのデータから増幅器23ないし増幅器28のそれぞれで受信された第3通信信号の受信レベル値であるRSSI値を知ることができる。
【0037】
このように、ゲートウェイ12が、増幅器23ないし増幅器28からRSSI値を取得すると、ゲートウェイ12に記憶されるデータテーブルは
図10(a)に示すように更新される。すなわち、増幅器22の検索フラグ欄はサーチ完了を示す「True」となる。そして、増幅器23~28の検索フラグ欄はサーチの未完了を示す「False」となり、MACアドレス欄にゲートウェイ12のMACアドレスないし増幅器20ないし増幅器28のMACアドレスがそれぞれ格納される。また、RSSI値欄では、増幅器23のRSSI値として-85dBが、増幅器24のRSSI値として-86dBが、増幅器25のRSSI値として-88dBが、増幅器26のRSSI値として-84dBが、増幅器27のRSSI値として-31dBが、増幅器28のRSSI値として-33dBが格納される。このRSSI値は一例を示している。
【0038】
そして、ゲートウェイ12は、
図10(a)に示すデータテーブルから増幅器27,28のRSSI値を読み出してその最大値(MAX_D)を検出する。この場合、MAX_Dは-31dBと検出される。そして、検出されたMAX_Dと増幅器27,28のRSSI値のそれぞれとの差が所定の減衰量である40dB未満か否かが判定される。ここでは、MAX_Dが-31dBと検出されるからRSSI値が-31dBないし-33dBの場合はMAX_Dとの差が40dB未満と判定され、ゲートウェイ12は、増幅器27,28は増幅器22の直下の段である3段目に並列に接続されていると判断する。これにより、
図10(a)に示すように段数欄においては、増幅器27,28に3段目を示す「3」が格納され、共聴システム1に接続されているすべての共聴機器の段数が決定される。
上記したように、増幅器22がサーチコマンドを送出するサーチにおいて検出できる共聴機器は共聴システム1の範囲Bのゲートウェイ12、増幅器20,21および増幅器23ないし増幅器28となる。
【0039】
次に、設置場所取得方法の第5段階において、ゲートウェイ12は、現時点における
図10(a)に示すデータテーブルの検索フラグ欄において「False」とされている共聴機器の内のゲートウェイ12に一番近い共聴機器を選択する。ここでは、段数欄が「3」の増幅器23が選択され、ゲートウェイ12は増幅器23に、本発明の共聴システム1内の共聴機器にサーチコマンドを送る指示を、増幅器20および増幅器21を介したマルチホップ通信により行う。この指示は、増幅器23を宛先とする通信信号が増幅器20および増幅器21によるマルチホップ通信にて伝送線路を中継されていくことにより行われる。この指示を受信した増幅器23は、サーチコマンドの通信信号を送出する。ここでは、この通信信号を「第3通信信号」ということにする。この第5段階を
図8を参照して説明するが、
図8ではサーチコマンドを送出する増幅器23を濃いハッチングを施して示し、サーチコマンドが確実に届く増幅器21および増幅器24~26と、増幅器20と増幅器22とを薄いハッチングを施して示している。第3通信信号は共聴システム1の伝送線路に増幅器23から送出され、この第3通信信号は上流側へ中継されていく。第3通信信号は増幅器21および増幅器24,25,26で受信される。増幅器21は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけ減衰して上流側へ中継する。同時に、増幅器21はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器23を宛先にしており、分岐・分配器16を介して増幅器23が受信する。また、増幅器24,25,26は、サーチコマンドに応答する返信の通信信号をそれぞれ伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器23を宛先にしており、分岐・分配器16を介して増幅器23が受信する。
【0040】
増幅器21から上流側へ中継された第3通信信号は、分岐・分配器15を介して増幅器20および増幅器22で受信される。増幅器20は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけさらに減衰して上流側へ中継する。同時に、増幅器20はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器23を宛先にしており、増幅器21で中継されて宛先とされる増幅器23が受信する。また、増幅器22は、受信した第3通信信号を所定の減衰量である40dBだけさらに減衰して中継する。同時に、増幅器22はサーチコマンドに応答する返信の通信信号を伝送線路に送出する。この返信はサーチコマンドの送信元である増幅器23を宛先にしており、増幅器21で中継されて宛先とされる増幅器23が受信する。ところで、増幅器20および増幅器22で中継されて所定の減衰量を2度受けた第3通信信号は、ここでは、減衰量が大きくなるためゲートウェイ12および分岐・分配器17を介した増幅器27,28では受信されないものとしている。
【0041】
増幅器21および増幅器24,25,26ならびに増幅器22のそれぞれから送出された返信の通信信号を受信した増幅器23は、それぞれの返信をゲートウェイ12を宛先とする通信信号でゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は、増幅器21および増幅器20を介したマルチホップ通信により、増幅器21および増幅器24,25,26ならびに増幅器22のそれぞれから送出された返信を受け取ることができる。
上記のようにして、増幅器21および増幅器24,25,26ならびに増幅器22からの返信を受け取ったゲートウェイ12は、返信を受け取った共聴機器の内のサーチが完了した共聴機器を除くそれぞれから第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを取得するデータ要求のコマンドを増幅器23に送る。このデータ要求のコマンドを受信した増幅器23は、サーチが完了したゲートウェイ12および増幅器20~22を除く増幅器24~26のそれぞれに、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータ要求を送る。このデータ要求は、増幅器24,25,26のそれぞれのIDが宛先情報とされた個別のデータ要求とされる。この個別のデータ要求の通信信号は、増幅器23から伝送線路に送出され、分岐・分配器16を介して増幅器21および増幅器24,25,26が受信する。また、増幅器21によるマルチホップ通信にて上流側へ中継されていき増幅器20および増幅器22が受信する。自機宛のIDを含むデータ要求の通信信号を受信した増幅器24,25,26のそれぞれは、第3通信信号を受信した際の受信レベルのデータを増幅器23を宛先とする第4通信信号を伝送線路に送出する。増幅器23では、増幅器24,25,26から送出された第4通信信号が受信される。増幅器23は、受信された増幅器24,25,26からの第4通信信号を、増幅器21および増幅器20によるマルチホップ通信にてゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器24,25,26からの第4通信信号を受信する。ゲートウェイ12は、増幅器24,25,26のそれぞれから受信した第4通信信号における受信レベルのデータから増幅器24,25,26のそれぞれで受信された第3通信信号の受信レベル値であるRSSI値を知ることができる。
【0042】
このように、ゲートウェイ12が、増幅器24ないし増幅器26からRSSI値を取得すると、ゲートウェイ12に記憶されるデータテーブルは
図10(b)に示すように更新される。すなわち、増幅器23の検索フラグ欄はサーチ完了を示す「True」となる。そして、増幅器24~28の検索フラグ欄はサーチの未完了を示す「False」となり、MACアドレス欄にゲートウェイ12のMACアドレス、増幅器20ないし増幅器28のMACアドレスがそれぞれ格納される。また、RSSI値欄では、増幅器24のRSSI値として-36dBが、増幅器25のRSSI値として-38dBが、増幅器26のRSSI値として-34dBが格納される。このRSSI値は一例を示している。
上記したように、増幅器23がサーチコマンドを送出するサーチにおいて検出できる共聴機器は共聴システム1の範囲Cの増幅器20,21,22および増幅器24ないし増幅器26となる。
【0043】
上記説明した第5段階が終了すると、増幅器24が選択されて増幅器24がサーチを行うことになるが、第5段階の増幅器23を増幅器24に置きかえたサーチと同様となるのでその説明は省略する。また、増幅器24のサーチが終了すると増幅器25,26がサーチを行うことになるが、第5段階の増幅器23を増幅器25,26に置きかえたサーチと同様となるのでその説明も省略する。さらに、増幅器26のサーチが終了すると、増幅器27,28がサーチを行うことになるが、第5段階の増幅器21を増幅器22に置きかえると共に増幅器23を増幅器27,28に置きかえたサーチと同様となるのでその説明も省略する。
そして、増幅器24ないし増幅器28の内の増幅器がサーチを行う毎に、
図10(b)に示すデータテーブルにおいてサーチを行った増幅器の検索フラグ欄がサーチ完了を示す「True」とされる。従って、増幅器28がサーチを終了した時点においては、
図10(b)に示すデータテーブルにおいて、増幅器22ないし増幅器28の検索フラグ欄がサーチ完了を示す「True」となる。
【0044】
以上の通り、ゲートウェイ12に格納されているデータテーブルが更新され、更新されたデータテーブルを参照することにより、ゲートウェイ12を0段目とした時に、増幅器20はゲートウェイ12の直下の1段目に接続されており、増幅器21および増幅器22は増幅器20の直下の2段目に並列に接続されており、増幅器23ないし増幅器26は増幅器21の直下である3段目に並列に接続されており、増幅器27および増幅器28は増幅器22の直下である3段目に並列に接続されていることが分かる。これにより、共聴システム1において、増幅器20ないし増幅器28が接続されている場所とされる階層構造におけるどの段に接続されているかを、ゲートウェイ12は把握することができるようになる。
【0045】
<ルーティング処理のフローチャート>
次に、通信ルートを取得するためにゲートウェイ12が実行するルーティング処理のフローチャートを
図11ないし
図13に示す。
ユーザがゲートウェイ12にルーティング処理の開始を指示すると、ステップS10でゲートウェイ12はサーチコマンドの通信信号とされる第1通信信号を伝送線に送出する。この場合の処理は
図4に示す第1段階の動作処理に相当する。この第1通信信号は、増幅器20~28のマルチホップ通信によりゲートウェイ12が接続されている
図1に示す本発明の実施例の共聴システム1を伝送していく。次いで、ステップS11にてゲートウェイ12は、第1通信信号に応答する返信があるか否かを判断する。ここで、ゲートウェイ12が返信の通信信号を受信した場合は「YES」と判断されてステップS13に進み、ステップS13にて返信のデータが壊れているか否かが判断される。ここで、返信の通信信号が他の通信信号と衝突したりしてデータを正常に復号できない場合は「NO」と判断されてステップS10に戻り、ステップS10ないしステップS12の処理が繰り返し行われる。そして、ステップS12において返信の通信信号を受信してデータを正常に復号できた場合は「YES」と判断されてステップS13に進む。ステップS13では、返信のデータがゲートウェイ12に格納されているデータテーブルに格納されているか否かが判断される。この場合は、データテーブルには
図9(a)に示すようにゲートウェイ12のデータしか格納されていないため、ステップS13にて「YES」と判断されてステップS14に進み、ステップS14にて返信のデータがデータテーブルに格納され、ステップS15に進む。また、返信のデータがゲートウェイ12に格納されている場合はステップS13にて「NO」と判断されてステップS14をスキップしてステップS15に進む。ステップS15では、ゲートウェイ12が返信の通信信号を受信した増幅器に対してコマンド停止指示の通信信号を送出して、ステップS10に戻る。この通信信号の宛先情報は当該増幅器のIDとされており、自機宛のIDを含むコマンド停止指示を受け取った増幅器は、第1通信信号に対する返信を行う処理を停止する。
【0046】
上記したようにゲートウェイ12は、返信のデータを受信する毎に当該データをデータテーブルに格納していき、データテーブルに格納されたデータに対応する増幅器にコマンド停止指示を送る。これにより、第1通信信号に応答する増幅器がなくなった時にステップS11において「NO」と判断されてステップS16に進む。ステップS16にてゲートウェイ12は、データテーブルにおけるゲートウェイ12の検索フラグ欄をサーチ完了を示す「True」として、ステップS17に進む。このときのデータテーブルは
図9(b)に示すようにゲートウェイ12および増幅器20,21,22のデータが格納されており、ゲートウェイ12では検索フラグ欄が「True」、RSSI値欄は値なし、段数欄は「0」となっており、増幅器20,21,22では検索フラグ欄が「False」、RSSI値欄および段数欄は未定となっている。なお、第1通信信号に応答する増幅器は増幅器20,21,22であることは、設置場所取得方法の第1段階で説明した通りである。
ステップS17では、格納されているデータテーブルの検索フラグ欄において「False」となっている増幅器があるか否かが判断される。この場合は、検索フラグ欄が「False」の増幅器があることから「YES」と判断されてステップS18に進む。ステップS18では、検索フラグ欄が「False」の増幅器にRSSI値のデータ要求の通信信号を送るが、ここでは、データ要求の宛先情報を増幅器20のIDとして増幅器20にデータ要求を送り、データ要求の宛先である増幅器20からRSSI値のデータを取得する。そして、ステップS19に進み、検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてからRSSI値を取得したか否かが判断されるが、この場合は、検索フラグ欄が「False」の増幅器21,22が存在することから「NO」と判断されてステップS18に戻る。2度目のステップS18の処理では増幅器21からRSSI値のデータが取得され、ステップS19の処理では再度「NO」と判断されてステップS18に戻る。そして、3度目のステップS18の処理で増幅器22からRSSI値のデータが取得されて、検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてからRSSI値が取得されることから、ステップS19の処理では「YES」と判断されてステップS20に進む。そして、
図9(b)に示すデータテーブルのRSSI値欄に取得したRSSI値がそれぞれ格納される。
【0047】
ステップS20では、増幅器20,21,22から取得されたRSSI値をデータテーブルから読み出して、その内の最大値(MAX_A)のRSSI値が検出される。
図9(b)に示すデータテーブルの場合は、MAX_Aが-34dBと検出され、
図12に示すルーティング処理の続きのステップS21に進む。ステップS21では、検索フラグ欄において「False」の増幅器が順次選択されるが、最初は増幅器20が選択されてステップS22に進む。ステップS22では、(MAX_A)-RSSI<40[dB]の演算が行われる。この処理では、増幅器20のRSSI値欄から-34dBのRSSI値が読み出されて上記演算の左式では0dBが得られることから「YES」と判断されてステップS23に進む。ステップS23では、増幅器20の段数が指定されるが、この場合は、増幅器20はゲートウェイ12がサーチした増幅器であることから、増幅器20はゲートウェイ12の直下にあると判断されて増幅器20の段数は1段目を示す「1」と指定され、データテーブルの増幅器20の段数欄に「1」が格納される。そして、ステップS24に進み検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてが選択されたか否かが判断されるが、この場合は、選択されていない検索フラグ欄が「False」の増幅器21,22が存在することから「NO」と判断されてステップS21に戻る。2度目のステップS21の処理では増幅器21が選択され、ステップS22において増幅器21のRSSI値欄から-75dBが読み出され、上記演算の左式では41dBが得られることから、「NO」と判断されてステップS23をスキップしてステップS24に進む。ステップS24では、選択されていない検索フラグ欄が「False」の増幅器22が存在することから再度「NO」と判断されてステップS21に戻る。そして、3度目のステップS21の処理で増幅器22が選択され、ステップS22において増幅器22のRSSI値欄から-77dBが読み出され、上記演算の左式では43dBが得られることから、「NO」と判断されてステップS23をスキップしてステップS24に進む。ステップS24では、選択されていない検索フラグ欄が「False」の増幅器は存在しないことから「NO」と判断されてステップS25に進む。
上記したステップS21ないしステップS24の処理では、最大値(MAX_A)のRSSI値と増幅器毎のRSSI値との差がマルチホップ通信における中継する際に受ける所定の減衰量である40dB未満と判断された増幅器は、サーチコマンドを送出したゲートウェイ12の直下の段に存在すると指定している。
【0048】
ステップS25では、ゲートウェイ12から段数が近い順に増幅器が選択される。この場合は、
図9(b)に示すデータテーブルにおいてゲートウェイ12に最も近い段とされる段数欄が「1」の増幅器20が選択されて、ステップS26に進む。この場合の処理は
図5に示す第2段階の動作処理に相当する。ステップS26では、ゲートウェイ12は増幅器20にサーチコマンドを送る指示を行う。このサーチコマンドを送る指示を受けた増幅器20は、サーチコマンドの通信信号とされる第3通信信号を伝送線に送出する。そして、ステップS27にて第3通信信号に応答する返信があるか否かを増幅器20が判断する。ここで、増幅器20が返信の通信信号を受信した場合は「YES」と判断されてステップS28に進み、増幅器20は返信をゲートウェイ12を宛先とする通信信号でゲートウェイ12に送り、ゲートウェイ12はステップS28にて返信のデータが壊れているか否かを判断する。ここで、返信の通信信号が他の通信信号と衝突したりしてゲートウェイ12においてデータを正常に復号できない場合は「NO」と判断されてステップS26に戻り、ステップS26ないしステップS28の処理が繰り返し行われる。そして、ステップS28において返信の通信信号を受信してデータを正常に復号できた場合は「YES」と判断されてステップS29に進む。ステップS29では、返信のデータがゲートウェイ12に格納されているデータテーブルに格納されているか否かが判断される。この場合は、データテーブルには
図9(b)に示すデータが格納されており、返信のデータが未格納とされている場合はステップS29にて「YES」と判断されてステップS30に進み、ステップS30にて返信のデータがデータテーブルに格納され、ステップS31に進む。また、返信のデータがゲートウェイ12に格納されている場合はステップS29にて「NO」と判断されてステップS30をスキップしてステップS31に進む。ステップS31では、返信の通信信号を受信した増幅器に対するコマンド停止指示の通信信号を、ゲートウェイ12が増幅器20に送る。このコマンド停止指示を受信した増幅器20は、ゲートウェイ12が返信の通信信号を受信した増幅器に対するコマンド停止指示を送出して、ステップS26に戻る。この通信信号の宛先情報は当該増幅器のIDとされており、自機宛のIDを含むコマンド停止指示を受け取った増幅器は、第3通信信号に対する返信を行う処理を停止する。
【0049】
上記したようにゲートウェイ12は、返信のデータを増幅器20から受信する毎に新たな返信のデータをデータテーブルに格納していき、データテーブルに格納されたデータに対応する増幅器へのコマンド停止指示を増幅器20に送る。増幅器20は、受信したコマンド停止指示を該当する増幅器に送出する。この場合、ステップS27において「NO」と判断されるまで、ステップS26ないしステップS31の処理が繰り返し行われて、増幅器20は、増幅器21,22から返信を受け取ると共に、新たに増幅器23ないし増幅器26および増幅器27,28から返信を受け取るようになる。そして、返信を受け取った増幅器にコマンド停止指示が送られる。これにより、第3通信信号に応答する増幅器がなくなった時にステップS27において「NO」と判断される。この時、ゲートウェイ12は、データテーブルに増幅器23ないし増幅器26および増幅器27,28からの返信のデータを格納しているようになる。
【0050】
ステップS27において「NO」と判断されると、
図13に示すルーティング処理の続きのステップS32に進む。ステップS32では、サーチ完了した増幅器20の検索フラグを「True」にしてステップS33に進む。このときのデータテーブルは
図9(c)に示すようにゲートウェイ12および増幅器20,21,22に加えて新たに増幅器23ないし増幅器28のデータが格納されており、増幅器20の検索フラグ欄が「True」となり、増幅器21ないし増幅器28の検索フラグ欄は「False」、RSSI値欄および段数欄は未定となっている。ステップS33では、格納されているデータテーブルの検索フラグ欄において「False」となっている増幅器があるか否かが判断される。この場合は、検索フラグ欄が「False」の増幅器があることから「YES」と判断されてステップS34に進む。ステップS34では、ゲートウェイ12は、検索フラグ欄が「False」の増幅器へのRSSI値のデータ要求の通信信号を増幅器20に送る。データ要求の通信信号を受信した増幅器20は、受信したデータ要求の通信信号を送出するが、データ要求の通信信号は、最初は増幅器21に送られ、データ要求を受信した増幅器21は増幅器20にRSSI値のデータを送る。増幅器20は増幅器21のRSSI値のデータを受信し、受信した幅器21のRSSI値のデータをゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器21のRSSI値のデータを取得する。そして、ステップS35に進み、検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてからRSSI値を取得したか否かが判断されるが、この場合は、検索フラグ欄が「False」の増幅器22ないし増幅器28が存在することから「NO」と判断されてステップS34に戻る。2度目のステップS34の処理では上記したように増幅器20がデータ要求の通信信号を増幅器22へ送出して、増幅器22からRSSI値のデータを増幅器20が受信する。増幅器20は、受信した増幅器22のRSSI値のデータをゲートウェイ12に送る。これにより、ゲートウェイ12は増幅器22のRSSI値のデータを取得する。ステップS35の処理では再度「NO」と判断されてステップS34に戻る。そして、ステップS34およびステップS35の処理が繰り返し行われることにより、増幅器23ないし増幅器28からRSSI値のデータがゲートウェイ12でそれぞれ取得されて、検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてからRSSI値が取得されることから、ステップS35の処理では「YES」と判断されてステップS36に進む。そして、
図9(c)に示すデータテーブルのRSSI値欄に取得したRSSI値がそれぞれ格納される。
【0051】
ステップS36では、増幅器21ないし増幅器28から取得されたRSSI値の内の最大値(MAX_B)のRSSI値が検出される。
図9(c)に示すデータテーブルの場合は、MAX_Bが-35dBと検出され、ステップS37に進む。ステップS37では、検索フラグ欄において「False」の増幅器が順次選択されるが、最初は増幅器21が選択されてステップS38に進む。ステップS22では、(MAX_B)-RSSI<40[dB]の演算が行われる。この処理では、増幅器21のRSSI値欄から-35dBのRSSI値が読み出されて上記演算の左式では0dBが得られることから「YES」と判断されてステップS39に進む。ステップS39では、増幅器21の段数が指定されるが、この場合は、増幅器21は増幅器20がサーチした増幅器であることから、増幅器21は増幅器20の直下にあると判断されて増幅器21の段数は2段目を示す「2」と指定され、データテーブルの増幅器21の段数欄に「2」が格納される。そして、ステップS40に進み検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてが選択されたか否かが判断されるが、この場合は、選択されていない検索フラグ欄が「False」の増幅器22ないし増幅器28が存在することから「NO」と判断されてステップS37に戻る。2度目のステップS37の処理では増幅器22が選択され、ステップS37において増幅器22のRSSI値欄から-37dBが読み出され、上記演算の左式では2dBが得られることから、「YES」と判断されてステップS39に進む。ステップS39では、増幅器22の段数が指定されるが、この場合は、増幅器22は増幅器20がサーチした増幅器であることから、増幅器22は増幅器20の直下にあると判断されて増幅器22の段数は2段目を示す「2」と指定され、データテーブルの増幅器22の段数欄に「2」が格納される。すなわち、増幅器22は増幅器21と並列に増幅器20の直下に接続されていることが分かる。そして、ステップS40に進み再度「NO」と判断されてステップS37に戻る。そして、ステップS37で増幅器23ないし増幅器28のRSSI値が順次取得されて、ステップS38で上記演算が行われるが、RSSI値欄から読み出されるRSSI値が-81~-88dBとされて、上記演算の左式は46dB~53dBが得られることから、いずれも「NO」と判断されてステップS39をスキップしてステップS40に進む。ステップS37およびステップS38が繰り返し行われて検索フラグ欄が「False」の増幅器のすべてが選択されると、ステップS40で「YES」と判断されて
図12に示すルーティング処理のステップS25に戻る。
【0052】
2度目に行われるステップS25では、増幅器21が選択されて、ステップS26に進む。この場合の処理は
図6に示す第3段階の動作処理に相当する。ステップS26以降の処理は繰り返しの処理となるため、処理の概要を説明するものとする。ステップS26ないしステップS31の処理が繰り返し行われて、増幅器21は、増幅器23ないし増幅器26ならびに増幅器22および増幅器27,28から返信を受け取るようになる。そして、返信を受け取った増幅器にコマンド停止指示が送られる。これにより、第3通信信号に応答する増幅器がなくなった時にステップS27において「NO」と判断される。この時、新たな増幅器からの返信はないため、ゲートウェイ12に格納されるデータテーブルに新たな増幅器は追加されない。そして、ステップS32にて増幅器21の検索フラグ欄が「True」となり、増幅器22および増幅器23ないし増幅器28の検索フラグ欄は依然として「False」となる。次いで、ステップS34ないしステップS40の処理が繰り返し行われて、増幅器23ないし増幅器26の段数はサーチを行った増幅器21の直下の段と指定され、増幅器23ないし増幅器26は増幅器21の直下に並列に接続されていることがわかる。これにより、
図9(d)に示すデータテーブルのように増幅器23ないし増幅器26の段数欄に3段目を示す「3」が格納されてデータテーブルが更新される。そして、ステップS40で「YES」と判断されて
図12に示すルーティング処理のステップS25に戻る。
【0053】
3度目に行われるステップS25では、増幅器22が選択されて、ステップS26に進む。この場合の処理は
図7に示す第4段階の動作処理に相当する。ステップS26以降の処理は繰り返しの処理となるため、処理の概要を説明するものとする。ステップS26ないしステップS31の処理が繰り返し行われて、増幅器22は、増幅器27,28ならびに増幅器21および増幅器23ないし増幅器26から返信を受け取るようになる。そして、返信を受け取った増幅器にコマンド停止指示が送られる。これにより、第3通信信号に応答する増幅器がなくなった時にステップS27において「NO」と判断される。この時、新たな増幅器からの返信はないため、ゲートウェイ12の格納されるデータテーブルに新たな増幅器は追加されない。そして、ステップS32にて増幅器22の検索フラグ欄が「True」となり、増幅器23ないし増幅器28の検索フラグ欄は依然として「False」となる。次いで、ステップS34ないしステップS40の処理が繰り返し行われて、増幅器27,28の段数はサーチを行った増幅器22の直下の段と指定され、増幅器27,28は増幅器22の直下に並列に接続されていることがわかる。これにより、
図10(a)に示すデータテーブルのように増幅器27,28の段数欄に3段目を示す「3」が格納されてデータテーブルが更新される。そして、ステップS40で「YES」と判断されて
図12に示すルーティング処理のステップS25に戻る。
【0054】
4度目に行われるステップS25では、増幅器23が選択されて、ステップS26に進む。この場合の処理は
図8に示す第5段階の動作処理に相当する。ステップS26以降の処理は繰り返しの処理となるため、処理の概要を説明するものとする。ステップS26ないしステップS31の処理が繰り返し行われて、増幅器23は、増幅器21および増幅器24ないし増幅器26ならびに増幅器22から返信を受け取るようになる。そして、返信を受け取った増幅器にコマンド停止指示が送られる。これにより、第3通信信号に応答する増幅器がなくなった時にステップS27において「NO」と判断される。この時、新たな増幅器からの返信はないため、ゲートウェイ12の格納されるデータテーブルは更新されない。そして、ステップS32にて増幅器23の検索フラグ欄が「True」となり、増幅器24ないし増幅器28の検索フラグ欄は依然として「False」となる。次いで、ステップS34ないしステップS40の処理が繰り返し行われるが、新たに段数が指定される増幅器は存在しない。これにより、
図10(b)に示すデータテーブルのようにデータテーブルが更新される。そして、ステップS40で「YES」と判断されて
図12に示すルーティング処理のステップS25に戻る。
そして、ステップS25ないしステップS40の処理がさらに繰り返し行われることにより、増幅器24ないし増幅器28が順次選択されて選択された増幅器の検索フラグ欄が「True」となる。そして、増幅器28が選択された処理が終了すると、ルーティング処理のステップS25に戻り、ステップS25からの処理が行われるが、選択できる増幅器は存在せずステップS27では「NO」と判断されて、その後のステップS33において「NO」と判断されてルーティング処理は終了する。
【0055】
以上説明したルーティング処理をゲートウェイ12が実行することにより、ゲートウェイ12に格納されているデータテーブルが更新され、更新されたデータテーブルを参照することにより、ゲートウェイ12を0段目とした時に、増幅器20はゲートウェイ12の直下の1段目に接続されており、増幅器21および増幅器22は増幅器20の直下の2段目に並列に接続されており、増幅器23ないし増幅器26は増幅器21の直下である3段目に並列に接続されており、増幅器27および増幅器28は増幅器22の直下である3段目に並列に接続されていることが分かる。これにより、共聴システム1において、増幅器20ないし増幅器28が接続されている場所とされる階層構造におけるどの段に接続されているかを、ゲートウェイ12は把握することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明した本発明の通信システムの実施例をテレビ信号の共聴システムとして、共聴システムにおける設置場所取得方法を説明すると共に、本発明の通信機器の実施例を共聴システムの共聴機器として説明したが、これに限ることはなく、階層構造の構成を有していれば、どのような通信システムであってもよい。
本発明の設置場所取得方法、通信システムおよび通信機器は、通信機器が備えるネットワーク機能を利用して通信信号の受け渡しを行うと共に、予め定められた減衰量だけ減衰させて通信信号を中継していくマルチホップ通信機能を利用することにより、通信機器が接続されている場所を取得することができる。これにより、本発明は、上流から下流に向かって階層構造でネットワーク機能を備える通信機器が接続されている通信システムにおいて、通信機器が接続されている場所とされる階層構造におけるどの段に接続されているかを自動で取得することができるようになる。
また、本発明の実施例においては、共聴機器が他の共聴機器をサーチするサーチコマンドを送出する際に、共聴機器の上流側と下流側とにサーチコマンドを送出していたが、共聴機器の上流側のサーチは完了していることから、下流側へのみサーチコマンドを送出するようにしてもよい。
以上説明した本発明において、所定の減衰量を40dBとしたが、所定の減衰量は40dBの減衰量に限るものではなく、本発明の設置場所取得方法において、以上説明したように通信ルートを取得できる所定の減衰量であればどのような減衰量に設定されていてもよい。
以上説明した本発明の実施例の共聴システムにおける本発明にかかる共聴機器において、増幅機能を有する共聴機器は接続されている段にかかわらず、同じ構成で同じ機能を有している。
【符号の説明】
【0057】
1 共聴システム、10 BS・CSアンテナ、11 UHFアンテナ、12 ゲートウェイ、13 混合器、14 混合器、15 分岐・分配器、16 分岐・分配器、17 分岐・分配器、20~28 増幅器、50 制御部、51 マイコン、52 メモリ、53 モデム、54 各種センサ、100 増幅ユニット、101 マイコン、102 メモリ、103 各種センサ、104 増幅部、110 増幅ユニット、111 マイコン、112 メモリ、113 各種センサ、114 増幅部、171 CPU、172 ROM、173 RAM、174 I/O、175 入力装置、176 表示器、177 広域通信I/F、178 通信I/F、179 バス、1100 VHFアンテナ、1110 UHFアンテナ、1120 ミキサー、1130 VUブースター、1140 BSアンテナ、1150 コンバータ、1160 BSブースター、1170 分岐・分配器、1180,1190 分配器、1200 直列ユニット