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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087942
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】部品移送装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/06 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
B07C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200092
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(71)【出願人】
【識別番号】593049017
【氏名又は名称】セキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】船木 優希
(72)【発明者】
【氏名】迫田 宏治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小田 直樹
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AD01
3F079BA09
3F079CA23
3F079CC02
3F079DA06
3F079DA30
(57)【要約】
【課題】生産性の悪化の抑制しかつ簡単な構成で、正規部品と不良品との選別が可能な部品移送装置を提供する。
【解決手段】部品移送装置は、正規部品と不良部品との両方を搬送する統括経路35と、統括経路35の下流端に設けられ、正規部品と不良品とを選別する選別ゲージ70とを備える。統括経路35から分岐した排出経路37は、統括経路35の幅方向に傾斜して延びており、選別ゲージ70は、ゲージ本体71と、ゲージ本体71を貫通しかつ、正規部品が進入可能でありかつ、不良部品が進入不可な選別路72と、排出経路37に向かって広がるようにゲージ本体71に配設され、不良部品が当接したときに、該不良部品を排出経路37に案内するガイド面73と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規部品と、該正規部品とは形状が異なる不良品とを選別して供給する部品移送装置であって、
前記正規部品と前記不良品との両方を搬送する統括経路と、
前記統括経路の下流端に設けられ、前記正規部品と前記不良品とを選別する選別ゲージと、を備え、
前記統括経路は、下流端において、前記正規部品が搬送される正規搬送経路と、前記不良品を排出する排出経路とに分岐しており、
前記正規搬送経路及び前記排出経路のうち一方の経路は、前記統括経路の前記選別ゲージの近傍部分における搬送方向に対して、該統括経路の幅方向に傾斜して延びており、
前記選別ゲージは、
ゲージ本体と、
前記ゲージ本体を貫通しかつ、前記正規搬送経路及び前記排出経路の前記一方の経路に連続して形成され、前記正規部品及び前記不良品の一方の部品が進入可能でありかつ、他方の部品が進入不可な選別路と、
前記ゲージ本体における前記選別路の上流端の位置に、前記正規搬送経路及び前記排出経路のうち他方の経路に向かって広がるように配設され、前記他方の部品が当接したときに、該他方の部品を前記一方の経路に案内するガイド面と、
を有することを特徴とする部品移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品移送装置において、
前記選別路は、前記ゲージ本体の全体を貫通して形成され、
前記ガイド面は、前記ゲージ本体の外周面の一部に形成されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品移送装置において、
前記一方の経路は、溝状をなし、
前記ガイド面は、前記一方の経路の溝壁と連続するように配設されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の部品移送装置において、
前記統括経路は、少なくとも前記選別ゲージの近傍部分において、搬送方向が上下方向となるように形成され、
前記一方の経路は、前記統括経路に連続して上下方向に延びるように形成され、
前記他方の経路は、下側に向かって、前記一方の経路から離れるように斜めに傾斜して延びていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の部品移送装置において、
前記選別ゲージは、前記ガイド面における前記排出経路から遠い側の部分に、該ガイド面から前記選別路とは反対側に向かって突出した突出部を更に有し、
前記一方の部品は、前記突出部に当接して前記ガイド面に案内された後、前記ガイド面に沿って前記一方の経路に案内されることを特徴とする部品移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、部品移送装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の組立作業においては、鋼板等をプレス成形したワークに、ボルト等の接続部品を溶接することが行われている。このボルト等は部品移送装置により移送される。部品移送装置は、大量の部品を整列させて搬送するものが知られている(例えば、特許文献1)。大量の部品の中には不良品が含まれていることがあり、部品移送装置には、不良品と正規部品とを選別する機能が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、部品搬送面に正規部品のみが通過可能な通路断面形状の模範ゲートを設け、部品搬送面の模範ゲートを設けた箇所の部品搬送面を開閉自在な開閉底部材で形成し、開閉底部材を開閉させるアクチュエータを設けた部品移送装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献1の部品移送装置は、不良品が模範ゲート内で詰まったときに、該詰まりを光電センサで検出して、アクチュエータにより開閉底部材を開閉するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-2643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように不良品を排出するために別の動力源を設ける構成では装置が複雑になる。また、搬送路が詰まったときに動力源が作動して不良品を除外するため、詰まっている時間は部品の搬送が滞るようになり、生産性が悪化するおそれがある。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生産性の悪化の抑制しかつ簡単な構成で、正規部品と不良品との選別が可能な部品移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様は、正規部品と、該正規部品とは形状が異なる不良品とを選別して供給する部品移送装置を対象として、前記正規部品と前記不良品との両方を搬送する統括経路と、前記統括経路の下流端に設けられ、前記正規部品と前記不良品とを選別する選別ゲージと、を備え、前記統括経路は、下流端において、前記正規部品が搬送される正規搬送経路と、前記不良品を排出する排出経路とに分岐しており、前記正規搬送経路及び前記排出経路のうち一方の経路は、前記統括経路の前記選別ゲージの近傍部分における搬送方向に対して、該統括経路の幅方向に傾斜して延びており、前記選別ゲージは、ゲージ本体と、前記ゲージ本体を貫通しかつ、前記正規搬送経路及び前記排出経路の前記一方の経路に連続して形成され、前記正規部品及び前記不良品の一方が進入可能でありかつ、他方が進入不可な選別路と、前記ゲージ本体における前記選別路の上流端の位置に、前記正規搬送経路及び前記排出経路のうち他方の経路に向かって広がるように配設され、前記正規部品又は前記不良品が当接したときに、該正規部品を前記正規搬送経路に案内するか又は該不良品を排出経路に案内するガイド面と、を有することを特徴とする。
【0009】
ここに開示された技術の第2の態様は、第1の態様において、前記選別路は、前記ゲージ本体の全体を貫通して形成され、前記ガイド面は、前記ゲージ本体の外周面の一部に形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここに開示された技術の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記一方の経路は、溝状をなし、前記ガイド面は、前記一方の経路の溝壁と連続するように配設されていることを特徴とする。
【0011】
ここに開示された技術の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記統括経路は、少なくとも前記選別ゲージの近傍部分において、搬送方向が上下方向となるように形成され、前記一方の経路は、前記統括経路に連続して上下方向に延びるように形成され、前記他方の経路は、下側に向かって、前記正規搬送経路から離れるように斜めに傾斜して延びていることを特徴とする。
【0012】
ここに開示された技術の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記選別ゲージは、前記ガイド面における前記排出経路から遠い側の部分に、該ガイド面から前記選別路とは反対側に向かって突出した突出部を更に有し、前記一方の部品は、前記突出部に当接して前記ガイド面に案内された後、前記ガイド面に沿って前記一方の経路に案内されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
ここに開示された技術の第1の態様によると、例えば、正規部品が選別路を通過可能でかつ不良品が選別路を通過不可である場合は、不良品が統括経路に沿って搬送されてきたときには、該不良品は、ゲージ本体における選別路の上流端の部分、すなわち、ガイド面と当接する。ガイド面と当接した不良品は、部品を搬送する力によってガイド面に沿って排出経路に案内される。一方で、正規部品は選別路に進入可能であるため、正規部品はガイド面と当接することなく、正規搬送経路に搬送される。このように、他の動力源を用いることなく、部品を搬送する力により正規部品と不良品とが振り分けられるため、装置構成が簡単になる。逆に、正規部品が選別路を通過不可でかつ不良品が選別路を通過可能である場合は、正規部品がガイド面と当接して、正規搬送経路に案内される一方、不良品が選別路を通って排出経路に搬送される。このように、部品を搬送する力により正規部品と不良品とが振り分けられることで、統括経路に詰まりが生じる時間がほとんどないため、生産性の悪化も抑制することができる。
【0014】
ここに開示された技術の第2の態様によると、ガイド面は、ゲージ本体の外周面の一部に形成されているため、ガイド面により案内される部品が通る部分を選別ゲージに形成する必要がない。これにより、選別ゲージの構成をかなり簡単にすることができる。したがって、装置構成をより簡単にすることができる。
【0015】
ここに開示された技術の第3の態様によると、正規部品の正規搬送経路への流れ又は不良品の排出経路への流れが円滑になる。これにより、統括経路に詰まりが生じる可能性がかなり低くなるため、生産性をより向上させることができる。
【0016】
ここに開示された技術の第4の態様によると、統括経路が上下方向を向いていることで、部品は重力を利用して搬送される。これにより、正規部品又は不良品がガイド面に当接したときに、該正規部品に正規搬送経路に向かう力がかかり易くなるか、又は該不良品に排出経路に向かう力がかかり易くなり、正規部品又は不良品が排出経路にスムーズに流れるようになる。これにより、生産性をより向上させることができる。
【0017】
ここに開示された技術の第5の態様によると、正規部品又は不良品が突出部により統括経路からずれるため、正規部品と不良品との選別がしやすくなる。これにより、生産性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1に係る部品移送装置を示す斜視図である。
図2図2は、部品移送装置を側方から見た図である。
図3図3は、ガイド板の正面図である。
図4図4は、選別ゲージの斜視図である。
図5図5は、選別ゲージを前側及び搬送方向の上流側からそれぞれ見た2面図である。
図6図6は、選別ゲージにより部品が選別される様子を示す動作図であって、部品が統括経路を搬送されている状態を示す。
図7図7は、選別ゲージにより部品が選別される様子を示す動作図であって、正規部品が選別路に進入しかつ不良品がガイド面により排出経路に案内される状態を示す。
図8図8は、正規部品が選別路に進入した状態を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態2に係る選別ゲージを前側及び搬送方向の上流側からそれぞれ見た2面図である。
図10図10は、実施形態2に係る選別ゲージにより部品が選別される様子を示す動作図であって、正規部品が選別路に進入しかつ不良品が突出部により統括経路からずれる様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
(実施形態1)
〈装置構成〉
図1図3は、部品移送装置としてのボルト移送装置1を示す。ボルト移送装置1は、基台5の上に固定された投入シュート2と、装置本体3と、基台5の側方に設けられたレール6と、不良品を回収するボックス7とを備える。投入シュート2には、ばらの状態の多数のボルトBが投入される。装置本体3は、投入シュート2に投入されたボルトBのヘッドの向きを統一した姿勢に変換させて、レール6に搬送する。レール6は、ボルトBをボルト供給装置(図示省略)までボルトBを搬送する。尚、以下の説明では、投入シュート2側を前側といい、装置本体3側を後側ということがある。また、前側から後側を見たときの右側を右側といい、左側を左側ということがある。
【0021】
投入シュート2は、上下に開口するホッパー筒部2aと、上面が開口する略半円形状の横断面形状を有する桶状のシュート部2bと、を有する。シュート部2bは、基台5の上面にブラケット5bにより固定されている。ホッパー筒部2aは、シュート部2bと一体になっている。ここで、基台5の上面は、後側に向かって下側に傾斜した傾斜面5aで構成されている。このため、シュート部2bは、傾斜面5aに沿って傾斜する姿勢となっている。シュート部2bの前部は、ホッパー筒部2aの下端の開口に連通している。この開口を通じて、ホッパー筒部2aに投入されたボルトBがシュート部2bに移動する。シュート部2bに移動したボルトBは、シュート部2bの傾斜に沿って後側に移動する。
【0022】
装置本体3は、傾斜面5aの低い位置(後側の位置)に固定されている。装置本体3は、面板20を備える。面板20は、シュート部2bの傾斜方向に直交して広がる矩形状をなす。面板20は、その前面が投入シュート2の側(前側)を向き且つ斜め上向きに傾斜して配置される。面板20の前面の下部には、シュート部2bの先端部(後端部)が接続される。これにより、図1に示すように、面板20の前面側の下部に、面板20とシュート部2bとに囲まれたボルト溜まり部60が設けられる。ボルト溜まり部60には、複数のボルトBが無整列の状態で溜められる。
【0023】
装置本体3は、図2に示すように、複数の吸着手段40を備える。吸着手段40は、面板20の後側に設けられている。吸着手段40は、磁界を形成することで、ボルト溜まり部60に位置するボルトBのうち、面板20に近いボルトBを、面板20に吸着させる。
【0024】
吸着手段40は、図3に示すように、回転ヘッド41を有する。回転ヘッド41は、磁界を形成するための一対の略円柱状の永久磁石43を有する。
【0025】
装置本体3は、回転駆動手段50を備える。回転駆動手段50は、図2に示すように、保持部51と、駆動部としてのモータ52と、を有する。保持部51は、面板20に直交する中心軸Xを中心に2つの板材を十字状に組んで構成されている。保持部51の4つの先端部には、吸着手段40がそれぞれ取り付けられている。モータ52は、回転軸が中心軸X上に延びるように、配置されている。モータ52の回転軸は、面板20の後面22側に設けられた支持板8を貫通する。モータ52の回転軸の前端部は、保持部51の中心位置に固定されている。
【0026】
モータ52は、保持部51を中心軸X回りに回転させる。これにより、吸着手段40は、中心軸X周りに回転移動する。このとき、吸着手段40における一対の永久磁石43の中点は、中心軸Xを中心とする特定円周線Pを通る回転軌跡を描く。すなわち、回転駆動手段50の保持部51は、特定円周線P上で、吸着手段40を、保持する。また、回転駆動手段50のモータ52は、保持部51を中心軸X回りに回転させることで、吸着手段40を特定円周線Pに沿って回転移動させる。これにより、吸着手段40の磁界に引き寄せられて面板20に吸着されたボルトBは、面板20の前面の上部における所定位置まで回転移動する。
【0027】
本実施形態において、吸着手段40は、前側から見て反時計回りに回転する。ボルト溜まり部60は、特定円周線Pの下側部分に位置する。すなわち、吸着手段40は、ボルト溜まり部60の後側を通る。具体的には、吸着手段40は、ボルト溜まり部60に対して面板20を挟んで後側を通る。これにより、ボルト溜まり部60に溜められたボルトBは、面板20を介して、吸着手段40によって吸着される。
【0028】
装置本体3は、ガイド板30を有する。ガイド板30は、面板20と同様の矩形状をなす。ガイド板30は、面板20の前面に重ね合わされており、面板20に対して固定される。吸着手段40によって面板20の前面に吸着したボルトBは、吸着手段40の回転移動に伴い、該吸着手段に引き寄せされて面板20の前面を移動する。ガイド板30の厚みは、ボルトBの長さよりも小さい。
【0029】
図3に示すように、ガイド板30の中央付近には、板厚方向に貫通する開口部33が設けられる。開口部33の開口縁部33aの下部は、シュート部2bの横断面形状に対応した略円弧状になっている。開口縁部33aは、前記特定円周線Pよりも外周側に位置する。開口縁部33aは、吸着手段40により吸着されたボルトBを後述の搬送経路34に案内する。
【0030】
ガイド板30の開口部33の左側には、ボルトBをレール6に搬送するための搬送経路34が設けられている。搬送経路34は、全てのボルトBが通る統括経路35を有する。統括経路35は、前側が開口した溝状をなしている。統括経路35の溝の底部は面板20により形成されている。つまり、統括経路35は、ガイド板30と面板20とが協働して形成されている。図示は省略するが、統括経路35の後側の半部(面板20側の部分)は、ボルトBのヘッドが通る程度の幅になっている一方で、統括経路35の前側の半部は、ボルトBのヘッドよりは狭くかつボルトBの軸部よりは広い幅になっている。統括経路35は、上流端に開口縁部33aに開口する投入口35aを有する。投入口35aには、吸着手段40に引き寄せられて搬送されたボルトBが投入される。投入口35aも、前述したような溝形状をなしているため、投入口35aから投入されるボルトBは、ヘッドが後側(面板20側)に位置し、軸部が前側に位置する姿勢になる。ガイド板30の厚みがボルトBの長さよりも小さいため、統括経路35に進入したボルトBは、軸部の先端側の部分が統括経路35から前側に突出した状態となる(図8参照)。尚、統括経路35を通る全てのボルトBは、所定の形状基準を満たす正規ボルトRBと、該形状基準を満たさない不良ボルトBBとを含む。
【0031】
統括経路35における投入口35aの近傍部分は、開口縁部33aの接線方向に沿って延びている。統括経路35は、投入口35aから左側に向かって下側に湾曲して延びた後、下側に向かって真っ直ぐに延びている。つまり、統括経路35の一部は、搬送方向が上下方向となるように形成されている。
【0032】
統括経路35の下流端は、正規搬送経路36と、排出経路37とに分岐している。正規搬送経路36は、正規ボルトRBが搬送される経路である。排出経路37は、不良ボルトBBを排出するための経路である。正規搬送経路36及び排出経路37は、統括経路35と同様に、前側が開口された溝状をなしている。正規搬送経路36及び排出経路37の溝の底部も、統括経路35と同様に、面板20によりそれぞれ形成されている。つまり、正規搬送経路36及び排出経路37も、ガイド板30と面板20とが協働して形成されている。正規搬送経路36及び排出経路37は、統括経路35と同様に、後側の部分は、ボルトBのヘッドが通る程度の幅になっている一方で、前側の部分は、ボルトBのヘッドよりは狭くかつボルトBの軸部よりは広い幅になっている。また、ガイド板30の厚みがボルトBの長さよりも小さいため、正規搬送経路36を通る正規ボルトRB及び排出経路37を通る不良ボルトBBは、各軸部の先端側の部分が正規搬送経路36及び排出経路37から前側に突出した状態となる(図8参照)。
【0033】
正規搬送経路36は、統括経路35の下流端に連続して、下側に向かって真っ直ぐに延びている。正規搬送経路36の下流端は、ガイド板30の下端部に開口している。
【0034】
排出経路37は、正規搬送経路36から離れるように、統括経路35の溝幅方向に傾斜して延びている。具体的には、排出経路37は、下側に向かって左側に傾斜して延びている。排出経路37の下流端は、ガイド板30の側端、より詳しくは、左側側端部に開口した排出口37aとなっている。
【0035】
正規搬送経路36と排出経路37との分岐部分、すなわち、統括経路35の下流端には、正規ボルトRBと不良ボルトBBとを選別する選別ゲージ70が設けられている。選別ゲージ70の構成については後述する。
【0036】
レール6は、正規搬送経路36における下流端の開口の下側に位置している。レール6の溝幅は、正規ボルトRBの軸部より大きくかつヘッドよりも小さい幅に設定されている。正規搬送経路36を通って、レール6に落下した正規ボルトRBは、ヘッドがレール6の上面部に引っ掛かって、引っ掛かったヘッドを支点に軸部が溝に入るように回転する。これにより、レール6に正規ボルトRBがセットされる。レール6にセットされた正規ボルトRBは、レール6に沿って部品供給装置に搬送される。
【0037】
ボックス7は、排出経路37を通って、排出口37aから排出された不良ボルトBBが投入される。排出口37aから排出された不良ボルトBBは、排出経路37の延長線に沿って、レール6の上側を通って、ボックス7に投入される。ボックス7は、基台5に対して取外可能に構成されている。
【0038】
〈選別ゲージ〉
次に、選別ゲージ70の構成について詳細に説明する。尚、以下の説明における、前後、上下、及び左右方向は、選別ゲージ70が前述したボルト移送装置1に取り付けられた場合の前後、上下、及び左右方向であり、選別ゲージ70の取り付け方を限定するものではない。
【0039】
図4及び図5に示すように、選別ゲージ70は、金属製のブロック体を加工して構成されている。選別ゲージ70は、ゲージ本体71と、ゲージ本体71を貫通して形成された選別路72と、ゲージ本体71の外周面の一部に形成されたガイド面73とを有する。選別ゲージ70は、図3に示すように、統括経路35の下流端に配置されている。
【0040】
ゲージ本体71は、図5に示すように、正面視で台形状をなす。ゲージ本体71は、選別路72の一部を構成する一対の脚部71aを有する。左側の脚部71aの上面は、ガイド面73の一部を構成する。左側の脚部71aの後面は、図8に示すように、ガイド板30の前面に着脱可能に固定される。右側の脚部71aは、左側の脚部71aと比較して長い。右側の脚部71aは、詳細な図示は省略するが、ガイド板30に設けられた凹部に挿入される。該凹部に挿入された状態で、右側の脚部71aの左側の面(選別路72を形成する部分)は、統括経路35の右前側の面及び正規搬送経路36の右前側の面と面一になる。これにより、排出経路37の分岐部分以外は、統括経路35、選別路72、及び正規搬送経路36が連続した状態となる。右側の脚部71aもガイド板30に着脱可能に固定される。
【0041】
選別路72は、ゲージ本体71全体を貫通して(ここでは、上下方向に貫通して)形成されている。選別路72は、正規ボルトRBが進入可能である一方、不良ボルトBBが進入不可な形状に加工されている。具体的には、図5に示すように、選別路72は、上流側から見て、正規ボルトRBにおける軸部の先端部の形状を模した形状をなしている。本実施形態では、正規ボルトRBの形状として、先端部がとがった形状を想定しているため、選別路72は、前側に向かって僅かに真っ直ぐに延びる平行部72aと、前側に向かって左右の幅が狭くなるテーパー部72bとを有する。選別路72の形状は、正規ボルトRBの形状に合わせて設定することができる。平行部72aは、ゲージ本体71の各脚部71aにより構成されている。平行部72aの左右の幅は、正規搬送経路36の前端部の幅と同じである。テーパー部72bは、正規ボルトRBの先端部よりも僅かに広く形成されている。選別路72は、正規搬送経路36に連続するように配設される。
【0042】
ガイド面73は、ゲージ本体71の上側の斜面により構成されている。つまり、ガイド面73は、ゲージ本体71における選別路72の上流端の位置に形成されている。図6図8に示すように、ガイド面73は、排出経路37に向かって広がるように配設されている。より具体的には、ガイド面73は、排出経路37の下前側の溝壁と連続するように配設されている。特に、排出経路37の前側に位置するガイド面73は、排出経路37の下前側の溝壁と面一になるように配設されている。ガイド面73は、統括経路35の溝幅方向全体に亘って配設されている。
【0043】
次に、選別ゲージ70による正規ボルトRBと不良ボルトBBとの選別について説明する。尚、不良ボルトBBは、図8に示すように、先端が円錐台形状になった形状をなしていると仮定している。
【0044】
まず、図6に示すように、正規ボルトRBと不良ボルトBBとが統括経路35を流れてくる。このとき、正規ボルトRB及び不良ボルトBBは、先端部が統括経路35から突出した状態になっている。正規ボルトRB及び不良ボルトBBは、重力により自然落下するように、統括経路35を移動する。
【0045】
次に、図7に示すように、正規ボルトRBと不良ボルトBBとが選別ゲージ70の位置に到達する。このとき、正規ボルトRBは、選別路72内に進入する。その後、正規搬送経路36に進入する。正規ボルトRBは、正規搬送経路36を通った後、レール6に入って搬送される。
【0046】
一方で、不良ボルトBBは、先端がガイド面73に当接する。不良ボルトBBには、ガイド面73に当接することで、横向きの力がかかる。これにより、不良ボルトBBは、ガイド面73に沿って左斜め下側に、すなわち、排出経路37に向かって案内される。不良ボルトBBは、排出経路37に進入した後は、重力により排出経路37に沿って進み、排出口37aから排出される。不良ボルトBBは、排出口37aから排出された後、ボックス7に入る。
【0047】
以上のように、ボルト溜まり部60から統括経路35に投入されたボルトBは、統括経路35を移動する力を利用して、選別ゲージ70により正規ボルトRBと不良ボルトBBとに選別される。
【0048】
〈まとめ〉
したがって、本実施形態1によると、ボルト移送装置1は、正規ボルトRBと不良ボルトBBとの両方を搬送する統括経路35と、統括経路35の下流端に設けられ、正規ボルトRBと不良ボルトBBとを選別する選別ゲージ70とを備える。統括経路35は、下流端において、正規ボルトRBが搬送される正規搬送経路36と、不良ボルトBBを排出する排出経路37とに分岐しており、排出経路37は、統括経路35の選別ゲージ70の近傍部分における搬送方向に対して、統括経路35の溝幅方向に傾斜して延びており、選別ゲージ70は、ゲージ本体71と、ゲージ本体71を貫通しかつ正規搬送経路36に連続して形成され、正規ボルトRBが進入可能である一方、不良ボルトBBが進入不可な選別路72と、ゲージ本体71における選別路72の上流端の位置に、排出経路37に向かって広がるように配設され、不良ボルトBBが当接したときに、該不良ボルトBBを排出経路37に案内するガイド面73と、を有する。これにより、ボルトBが統括経路35に沿って搬送されてきたときには、正規ボルトRBは、選別路72を通り抜けて正規搬送経路36に進入する一方、不良ボルトBBはガイド面73に当接して、不良ボルトBBを搬送する力によってガイド面73に沿って排出経路37に案内される。このように、ボルトBを搬送する力により正規ボルトRBと不良ボルトBBと自動的に選別されるため、他の動力源が不要となり、装置構成を簡単にすることができる。また、統括経路35に詰まりが生じる時間がほとんどないため、生産性の悪化も抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態1では、選別路72は、ゲージ本体71の全体を貫通して形成され、ガイド面73は、ゲージ本体71の外周面の一部に形成されている。これにより、ガイド面73により案内される不良ボルトBBが通る部分を選別ゲージ70に形成する必要がない。この結果、選別ゲージ70の構成をかなり簡単にすることができる。したがって、装置構成をより簡単にすることができる。
【0050】
また、本実施形態1では、ガイド面73は、排出経路37の溝壁と連続するように配設されている。不良ボルトBBの排出経路37への流れが円滑になる。これにより、統括経路35に詰まりが生じる可能性がかなり低くなるため、生産性をより向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態1では、統括経路35は、選別ゲージ70の近傍部分において、搬送方向が上下方向となるように形成され、正規搬送経路36は、統括経路35に連続して延びるように形成され、排出経路37は、下側に向かって、正規搬送経路36から離れるように斜めに傾斜して延びている。これにより、ボルトBは重力を利用して搬送されるため、不良ボルトBBがガイド面73に当接したときに、該不良ボルトBBに排出経路37に向かう力がかかり易くなる。この結果、不良ボルトBBが排出経路37にスムーズに流れるようになり、生産性をより向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態1では、選別路72は、正規ボルトRBと不良ボルトBBとの共通部分である軸部に対応する部分(平行部72a)と、正規ボルトRBと不良ボルトBBとの相違部分である先端部に対応する部分(テーパー部72b)とを有する。これにより、不良ボルトBBがガイド面73と接触する面積を出来る限り広くすることができる。この結果、不良ボルトBBを排出経路37に案内しやすくなり、生産性をより向上させることができる。
【0053】
(実施形態2)
以下、実施形態2について詳細に説明する。以下の説明において実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施形態2では、選別ゲージ70に、ガイド面273から選別路72とは反対側に向かって突出した突出部274が設けられている点で実施形態1とは異なる。具体的には、ガイド面273は、図9及び図10に示すように、ガイド面273における排出経路37から遠い側の端部(ここでは、右側の端部)に突出部274を有する。
【0055】
突出部274は、正面視で、左側に向かって下側に滑らかに湾曲した湾曲面を有する。突出部274は、前後方向において、ガイド面273の全体に亘って形成されている。突出部274は、統括経路35に侵入するように配設される。
【0056】
図10に示すように、突出部274が設けられていることにより、統括経路35を移動した不良ボルトBBは、まず突出部274と当接する。不良ボルトBBが統括経路35を移動する力は、突出部274により排出経路37に向かう力に変換される。これにより、不良ボルトBBは、排出経路37側にずれながら、ガイド面273に案内される。その後、不良ボルトBBは、ガイド面273と当接して、該ガイド面273に沿って排出経路37に案内される。
【0057】
したがって、本実施形態2では、不良ボルトBBが突出部274により統括経路35からずれるため、正規部品と不良品との選別がしやすくなる。これにより、生産性をより向上させることができるとともに、選別精度を向上させることができる。
【0058】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0059】
例えば、前述の実施形態1及び2では、正規搬送経路36は統括経路35に連続して形成され、選別路72は、正規ボルトRBが通過可能になっていた。これに限らず、排出経路37は統括経路35に連続して形成され、選別路72は不良ボルトBBが通過可能な構成になっていてもよい。この場合、正規搬送経路36は、統括経路35の溝幅方向に傾斜して、排出経路37から離れるように延びる。また、排出口37aは、ガイド板30の下面に開口し、ボックス7は該排出口37aの直下に配置される。さらに、レール6は、ガイド板30の左側側面部から投入される正規ボルトRBを受け止め可能に配設される。そして、正規ボルトRBは、ガイド面73に案内されて正規搬送経路36に向かって移動する。
【0060】
また、前述の実施形態1及び2では、選別路72は、ゲージ本体71の全体を貫通して形成され、ガイド面73,273は、ゲージ本体71の外周面に構成されていた。これに限らず、選別路72が、ゲージ本体71の途中から形成され、その選別路72の上流端の位置にガイド面73,273が形成されるように、ゲージ本体71が加工されていてもよい。
【0061】
また、前述の実施形態2では、突出部274は、左側に向かって下側に湾曲傾斜していた。これに限らず、突出部274は、例えば、ガイド面273よりも勾配の大きい傾斜面で構成されていてもよい。
【0062】
また、前述の実施形態1及び2では、統括経路35、正規搬送経路36、及び排出経路37は、上下方向に延びていた。これに限らず、水平方向に延びる構成であってもよい。この場合、エア供給装置や振動装置のように、ボルトBを統括経路35、正規搬送経路36、及び排出経路37に沿って移動させる装置が別途必要になる。
【0063】
また、前述の実施形態1及び2では、部品はボルトBであった。これに限らず、ナットやリベットなどを対象にしてもよい。
【0064】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
ここに開示された技術は、正規部品と、正規部品とは形状が異なる不良品とを選別して供給する部品移送装置として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 ボルト移送装置(部品移送装置)
35 統括経路
36 正規搬送経路
37 排出経路
70 選別ゲージ
71 ゲージ本体
72 選別路
73 ガイド面
273 ガイド面
274 突出部
B ボルト(部品)
RB 正規ボルト(正規部品)
BB 不良ボルト(不良品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10