(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087953
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】カバー付きUSBコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20220607BHJP
H01R 13/453 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H01R13/52 302A
H01R13/453
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200112
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】518305842
【氏名又は名称】谷下 大悟
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷 下 大 悟
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE04
5E087EE14
5E087LL02
5E087LL04
5E087LL17
5E087LL29
5E087LL34
5E087MM05
5E087PP01
5E087QQ01
5E087RR04
5E087RR05
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】 簡便な構造で、小型化・軽量化に好適なカバー付きのUSBコネクタを提供する。
【解決手段】
内枠120には、上カバー150,下カバー160を挟んで、外枠170が被せられる。外枠170には、前記内枠120の開口130に連通する開口172が設けられている。USBプラグ50は、この外枠170の開口172から、開閉カバー140を上下に開いて、内枠120の開口130内に挿入される。上カバー150,下カバー160の正面側には、それらの当接面側に向かって奥まるように傾斜面156,166が形成されている。このため、USBプラグ50が挿入されると、USBプラグ50によって、上カバー150がねじりコイルバネ128の付勢力に抗して押し上げられ、下カバー160がねじりコイルバネ128の付勢力に抗して押し下げられる。これにより、上カバー150,下カバー160が上下方向に開くようになる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内枠と外枠との間に設けられたカバーが開閉するカバー付きUSBコネクタであって、
前記内枠に設けられており、前記カバーが閉まるように付勢する付勢手段,
開閉時における前記カバーの開閉方向を規制するガイド手段,
前記カバーに設けられており、USBプラグを挿入すると、前記付勢手段による付勢力に抗して、前記ガイド手段による規制方向に前記カバーを開くための傾斜面,
を備えたことを特徴とするカバー付きUSBコネクタ。
【請求項2】
前記カバーを、開閉動作時に互いに反対方向にスライドする第1及び第2のカバーによって構成したことを特徴とする請求項1記載のカバー付きUSBコネクタ。
【請求項3】
前記付勢手段は、
前記内枠の側面に設けたバネ手段,
前記カバーの側面に設けられており、前記バネ手段の先端部を受けるバネ受け,
を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のカバー付きUSBコネクタ。
【請求項4】
前記ガイド手段は、
前記内枠のうち、前記カバー側の面に設けられており、前記カバーの開閉方向に設けられたガイド溝,
前記カバーに設けられており、前記ガイド溝にスライド可能に入り込む突起,
を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のカバー付きUSBコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)コネクタに関し、特に、カバー付きUSBコネクタの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカバーが付いたUSBコネクタとしては、例えば、下記特許文献1記載の「カバー付きUSBコネクタ」がある。これは、使用者が手動で開閉しなくともUSBプラグの挿入に伴って開き、該USBプラグを抜くと自動的に閉鎖されることを目的としたもので、USBプラグが挿通可能な矩形の開口部を有する前面パネルと、前記前面パネルの背後に、受口が前記開口部よりも後退した位置となるように配設されたUSBレセプタクルと、前記USBレセプタクルの各長辺に沿って、各先端部が共に前記開口部に出没可能となるよう揺動自在に配設され、該各先端部が前記開口部に突入することにより前記開口部を閉鎖し、該各先端部が前記開口部から後退することにより前記開口部を開放する一対のコネクタカバーと、前記各コネクタカバーをそれらの先端部が常に前記開口部に向かう方向に付勢するコイルスプリングとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近は、USBコネクタを装備する情報端末などが小型化・軽量化の傾向にあり、USBコネクタについても、同様の要求がある。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、簡便な構造で、小型化・軽量化に好適なカバー付きのUSBコネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内枠と外枠との間に設けられたカバーが開閉するカバー付きUSBコネクタであって、前記内枠に設けられており、前記カバーが閉まるように付勢する付勢手段,開閉時における前記カバーの開閉方向を規制するガイド手段,前記カバーに設けられており、USBプラグを挿入すると、前記付勢手段による付勢力に抗して、前記ガイド手段による規制方向に前記カバーを開くための傾斜面,を備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、前記カバーを、開閉動作時に互いに反対方向にスライドする第1及び第2のカバーによって構成したことを特徴とする。他の形態によれば、前記付勢手段は、前記内枠の側面に設けたバネ手段,前記カバーの側面に設けられており、前記バネ手段の先端部を受けるバネ受け,を含むことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記ガイド手段は、前記内枠のうち、前記カバー側の面に設けられており、前記カバーの開閉方向に設けられたガイド溝,前記カバーに設けられており、前記ガイド溝にスライド可能に入り込む突起,を含むことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、USBコネクタの開口に設けたカバーを閉じるバネをカバーの端部に設けるとともに、プラグを挿入したときにバネ力に抗してカバーがスライドする簡便な構造としたので、カバー付きUSBコネクタの小型化・軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例のUSBコネクタの組み立ての様子を示す図である。
【
図2】内枠120と開閉カバー140を組み立てた状態を示す図である。
【
図3】前記実施例におけるUSBプラグの着脱の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0011】
図1には、本発明の一実施例のUSBコネクタを適用した電源アダプタの外観が示されている。同図に示すように、電源アダプタ10は、コンセント(図示せず)に差し込まれる電源プラグ12を備えており、商用電源のAC100VからUSB規格の電圧DC5Vを得る機能を備えている。電圧変換を行う回路が組み込まれた回路基板14には、適宜位置に取付基板16が設けられており、本実施例のUSBコネクタ100が取り付けられている。
図1(B-1)は、取付基板16とUSBコネクタ100の部分が取り出して示されており、同図のUSBコネクタ100の開口側から見た様子が同図(B-2)に示されており、平面から見た様子が同図(B-3)に示されている。なお、以下の説明では、取付基板16側を背面側とし、USBコネクタ100の開口側を正面側として説明する。
【0012】
次に、取付基板16に対するUSBコネクタ100の取り付け手順を説明すると、まず、同図(C)に示すように、取付基板16に対して、電極端子を有するUSBレセプタクル110を取り付ける。図示の例では、取付基板16に設けたスリット18に、USBレセプタクル110の後ろ側の足112を差し込むことで、取付けが行われる。USBレセプタクル110には、ピン端子114が設けられている。
【0013】
USBレセプタクル110の開口側には、内枠120が取り付けられる。内枠120は、USBレセプタクル110の開口を覆う形状となっており、後ろ側にフランジ122を備えており、適宜個所に強度を高めるためのリブ124が設けられている。側面には、突起126がそれぞれ設けられており、これら突起126には、ねじりコイルバネ128がそれぞれ設けれている。更に、内枠120の正面側には、USBプラグが挿入される開口130が設けられており、この開口130を挟んで上側に、2つのガイド溝132,132が並列に設けられており、下側にも、2つのガイド溝134,134が並列に設けられている。
【0014】
次に、内枠120の開口130には、更に開閉カバー140が取り付けられる。開閉カバー140は、上カバー150と、下カバー160によって構成されている。上カバー150の後ろ側には、上述した内枠120の上側のガイド溝132,132にそれぞれ入り込む突起152,152が設けられている。下カバー160の後ろ側には、上述した内枠120の下側のガイド溝134,134にそれぞれスライド可能に入り込む突起162,162が設けられている(後述する
図3参照)。これらガイド溝132と突起152,ガイド溝134と突起162とによって、上カバー150,下カバー160のスライド方向が規制されている。
【0015】
次に、上カバー150,下カバー160の側面には、左右一対のバネ受け154,164がそれぞれ設けられている。バネ受け154,164は、上カバー150と下カバー160の当接面側に向かって傾斜している。一方、上述したねじりコイルバネ128は、先端側が内側に多少曲折しており、これら曲折部128A,128Bが、前記バネ受け154,164にそれぞれ当接するようになっている。
【0016】
図2(A)には、内枠120の開口130に、上カバー150と下カバー160を取り付けた状態が示されている。内枠120の上側のガイド溝132,132に、上カバー150の突起152,152がスライド可能に入り込んでおり、内枠120の下側のガイド溝134,134に、下カバー160の突起162,162がスライド可能に入り込んでいる。更に、上カバー150,下カバー160のバネ受け154,164に、ねじりコイルバネ128の曲折部128A,128Bが当接する。これにより、上カバー150が下方に、下カバー160が上方に付勢され、上カバー150,下カバー160が閉じた状態で保持されるようになる。
【0017】
上カバー150,下カバー160の正面側には、それらの当接面側に向かって奥まるように傾斜面156,166が形成されている。このため、外部からUSBプラグ50が挿入されると、
図2(B)に示すように、USBプラグ50によって、上カバー150がねじりコイルバネ128の付勢力に抗して押し上げられ、下カバー160がねじりコイルバネ128の付勢力に抗して押し下げられるようになる。これにより、上カバー150,下カバー160が上下方向に開くようになる。
【0018】
内枠120には、
図2(A)に示すように、上カバー150,下カバー160を挟んで、外枠170が被せられる。外枠170には、前記内枠120の開口130に連通する開口172が設けられている。USBプラグ50は、この外枠170の開口172から、開閉カバー140を上下に開いて、内枠120の開口130内に挿入されるようになっている。
【0019】
次に、
図3の主要断面図も参照しながら、本実施例の動作を説明する。まず、USBコネクタ100に対して、USBプラグ50が挿入されていない状態では、
図3(A)に示すように、ねじりコイルバネ128に付勢されて開閉カバー140が閉じた状態となっている。この状態で、開閉カバー140にUSBプラグ50を、外枠170の開口172に挿入すると、USBプラグ50の先端が上カバー150,下カバー160の傾斜面156,166に当たるようになる。すると、上カバー150の背面側の突起152,152が、内枠120のガイド溝132,132に沿ってスライドし、上カバー150は、ねじりコイルバネ128の付勢力に抗して押し上げられる。同様に、下カバー160の背面側の突起162,162が、内枠120のガイド溝134,134に沿ってスライドし、下カバー160は、ねじりコイルバネ128の付勢力に抗して押し下げられる。これにより、
図3(B)に示すように、開閉カバー140が上下方向に開くようになる。
【0020】
そして、更に、USBコネクタ100に対してUSBプラグ50を挿入すると、
図3(C)に示すように、USBプラグ50のピン端子52が、USBレセプタクル110のピン端子114と接触する。これにより、USBコネクタ100にUSBプラグ50が機械的・電気的に結合する。逆に、USBコネクタ100からUSBプラグ50を引き抜くと、
図3(B)→同図(A)に示すように、上カバー150,下カバー160がねじりコイルバネ128に付勢されて閉じるようになる。
【0021】
以上のように、本実施例によれば、開閉カバー140が取り付けられる。開閉カバー140を、上カバー150と下カバー160で構成して、プラグ非接続時は閉じた状態となるようにねじりコイルバネ128で付勢する。そして、プラグ挿入時は、ねじりコイルバネ128の付勢力に抗して開閉カバー140を開くこととしたので、構造が簡略化され、カバー付きUSBコネクタの小型化・軽量化を図ることができる。
【0022】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した各部の形状や寸法は一例であり、同様の機能を奏するように設計変更可能である。
(2)前記実施例では、2つのガイド溝132と2つの突起152を組み合わせ、2つのガイド溝134と2つの突起162の組み合わせとしたが、ガイド溝と突起の組み合わせ数は、適宜増減してよい。
(3)前記実施例では、上カバー150と下カバー160が上下方向に開閉するようにしたが、一つのカバーが上下のいずれか一方にのみ開閉するようにしてもよい。
(4)前記実施例では、ねじりコイルバネ128を用いたが、板バネなど、各種のバネを使用してよい。
(5)前記実施例は、図の上下方向に対応して、上カバー150,下カバー160と便宜的に表現したが、USBコネクタ100は、本来的に上下左右といった概念がないものであり、本発明においても方向性を問うものではない。
本発明によれば、USBコネクタの開口に設けたカバーを閉じるバネをカバーの端部に設けるとともに、プラグを挿入したときにバネ力に抗してカバーがスライドする簡便な構造としたので、小型化・軽量化に好適なカバー付きのUSBコネクタを提供することができる。