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特開2022-88069ずれ検知センサ、橋梁監視システム、橋梁監視方法、及び橋梁監視プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088069
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ずれ検知センサ、橋梁監視システム、橋梁監視方法、及び橋梁監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20220607BHJP
   G16Y 10/30 20200101ALI20220607BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220607BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220607BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20220607BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
E01D22/00 Z
G16Y10/30
G16Y40/10
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200309
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591216473
【氏名又は名称】一般財団法人首都高速道路技術センター
(71)【出願人】
【識別番号】513220562
【氏名又は名称】首都高技術株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507230382
【氏名又は名称】首都高メンテナンス西東京株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510106968
【氏名又は名称】首都高メンテナンス東東京株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510273798
【氏名又は名称】首都高メンテナンス神奈川株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517078057
【氏名又は名称】Innovation Farm株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】高橋 成典
(72)【発明者】
【氏名】松原 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 一貴
(72)【発明者】
【氏名】張 広鋒
(72)【発明者】
【氏名】右高 裕二
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 匡雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昇一
(72)【発明者】
【氏名】多胡 功
【テーマコード(参考)】
2D059
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2D059AA31
2D059GG39
2D059GG55
5C086AA35
5C086CA02
5C086CA06
5C086EA11
5C086FA06
5C086FA11
5C086FA18
5C086GA02
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087BB18
5C087DD33
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】省エネルギでありながら監視対象となった橋梁のずれを確実に測定することで、橋梁の異常を監視する検知センサ及び監視システム等を提供する。
【解決手段】橋梁の接合部のずれを検知するずれ検知センサ10であって、第1橋梁部に接続する第1接続部20aと、第1橋梁部と接合部を介して接続する第2橋梁部に接続する第2接続部20bと、接合部を跨ぎ第1接続部と第2接続部とに接続されるワイヤ21と、ワイヤ21の断線を検知する検知部と、検知部がワイヤの断線を検知した場合に、ワイヤが断線したことを示す断線情報を無線送信する送信部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の接合部のずれを検知するずれ検知センサであって、
第1橋梁部に接続する第1接続部と、
前記第1橋梁部と前記接合部を介して接続する第2橋梁部に接続する第2接続部と、
前記接合部を跨ぎ前記第1接続部と前記第2接続部とに接続されるワイヤと、
前記ワイヤの断線を検知する検知部と、
前記検知部が前記ワイヤの断線を検知した場合に、前記ワイヤが断線したことを示す断線情報を無線送信する送信部と、
を備えるずれ検知センサ。
【請求項2】
前記ワイヤは、断線しやすい部分を備えていることを特徴とする請求項1に記載のずれ検知センサ。
【請求項3】
前記断線しやすい部分は、永久磁石の磁力により結合された部分であることを特徴とする請求項2に記載のずれ検知センサ。
【請求項4】
前記断線しやすい部分は、前記ワイヤの他の部分より細い部分であることを特徴とする請求項2に記載のずれ検知センサ。
【請求項5】
前記第1橋梁部と前記第2橋梁部とは、鋼材からなる部分を備え、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、永久磁石を備え、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記永久磁石の磁力により前記第1橋梁部と前記第2橋梁部とに取り付けられることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のずれ検知センサ。
【請求項6】
前記検知部は、第1導体部と第2導体部とを備え、
前記第1導体部と前記第2導体部とは前記断線しやすい部分に接続されており、
前記断線しやすい部分が結合されている状態では、前記第1導体部と前記第2導体部とは導通しており、
前記断線しやすい部分が断線した状態では、前記第1導体部と前記第2導体部とは非導通になり、
前記検知部は、前記第1導体部と前記第2導体部とが非導通になったことを検知することで前記ワイヤの断線を検知することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のずれ検知センサ。
【請求項7】
前記断線情報は、前記ずれ検知センサに付与された前記ずれ検知センサに固有の識別コードとともに無線送信されることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載のずれ検知センサ。
【請求項8】
橋梁を監視する橋梁監視システムであって、
前記橋梁監視システムの監視対象となる橋梁の設定を受け付ける監視対象設定部と、
請求項1ないし7の何れか1項に記載のずれ検知センサが送信した前記断線情報を取得する断線情報取得部と、
前記断線情報取得部が取得した前記断線情報に基づいてユーザに前記橋梁の異常を報知する報知部と、
を備えることを特徴とする橋梁監視システム。
【請求項9】
橋梁を監視する橋梁監視方法であって、
前記橋梁監視方法の監視対象となる橋梁の設定を受け付ける監視対象設定ステップと、
請求項1ないし7の何れか1項に記載のずれ検知センサが送信した前記断線情報を取得する断線情報取得ステップと、
前記断線情報取得ステップが取得した前記断線情報に基づいてユーザに前記橋梁の異常を報知する報知ステップと、
を実行することを特徴とする橋梁監視方法。
【請求項10】
橋梁を監視する橋梁監視プログラムであって、
橋梁監視システムに用いられるコンピュータに、
前記橋梁監視システムの監視対象となる橋梁の設定を受け付ける監視対象設定機能と、
請求項1ないし7の何れか1項に記載のずれ検知センサが送信した前記断線情報を取得する断線情報取得機能と、
前記断線情報取得機能が取得した前記断線情報に基づいてユーザに前記橋梁の異常を報知する報知機能と、
を実現させることを特徴とする橋梁監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ずれ検知センサ、橋梁監視システム、橋梁監視方法、及び橋梁監視プログラムに関し、特に橋梁の構造物の状態を遠隔地で監視することができるずれ検知センサ、橋梁監視システム、橋梁監視方法、及び橋梁監視プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路を構成する橋梁を監視する場合、従来、監視対象となった橋梁の特定位置を監視カメラ(定点カメラ)が撮影し、監視カメラの撮影データに基づいて当該橋梁の特定位置の変位を測定して当該橋梁の異常を検知していた(特許文献1参照)。しかし、監視カメラを用いて橋梁を監視する方法では、監視カメラを常時駆動するため消費電力が大きいという問題があった。
【0003】
そこで、監視対象となった橋梁に傾斜計を設置して傾斜角度の変化を測定することで、当該構造物の異常を監視する方法が考案された(特許文献2参照)。しかし、構造物の傾斜角度を測定することで当該構造物の異常を監視しようとしても、車両等による振動などである、いわゆる交通振動の影響が大きく構造物の傾斜角度の変化量を確実に測定することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-158112号公報
【特許文献2】特開2020-16115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示は、省エネルギでありながら監視対象となった橋梁のずれを確実に検知することで当該橋梁の異常を監視できるずれ検知センサ、橋梁監視システム、橋梁監視方法、及び橋梁監視プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、第1の態様に係るずれ検知センサは、橋梁の接合部のずれを検知するずれ検知センサであって、第1橋梁部に接続する第1接続部と、第1橋梁部と接合部を介して接続する第2橋梁部に接続する第2接続部と、接合部を跨ぎ第1接続部と第2接続部とに接続されるワイヤと、ワイヤの断線を検知する検知部と、検知部がワイヤの断線を検知した場合に、ワイヤが断線したことを示す断線情報を無線送信する送信部と、を備える。
【0007】
更に、第2の態様は、第1の態様に係るずれ検知センサにおいて、ワイヤは、断線しやすい部分を備えていることとしてもよい。
【0008】
更に、第3の態様は、第2の態様に係るずれ検知センサにおいて、断線しやすい部分は、永久磁石の磁力により結合された部分であることとしてもよい。
【0009】
更に、第4の態様は、第2の態様に係るずれ検知センサにおいて、断線しやすい部分は、ワイヤの他の部分より細い部分であることとしてもよい。
【0010】
更に、第5の態様は、第1ないし4の何れか1の態様に係るずれ検知センサにおいて、第1橋梁部と第2橋梁部とは、鋼材からなる部分を備え、第1接続部と第2接続部とは、永久磁石を備え、第1接続部と第2接続部とは、永久磁石の磁力により第1橋梁部と第2橋梁部とに取り付けられることとしてもよい。
【0011】
更に、第6の態様は、第1ないし5の何れか1の態様に係るずれ検知センサにおいて、検知部は、第1導体部と第2導体部とを備え、第1導体部と第2導体部とは断線しやすい部分に接続されており、断線しやすい部分が結合されている状態では、第1導体部と第2導体部とは導通しており、断線しやすい部分が断線した状態では、第1導体部と第2導体部とは非導通になり、検知部は、第1導体部と第2導体部とが非導通になったことを検知することでワイヤの断線を検知することとしてもよい。
【0012】
更に、第7の態様は、第1ないし6の何れか1の態様に係るずれ検知センサにおいて、断線情報は、ずれ検知センサに付与されたずれ検知センサに固有の識別コードとともに無線送信されることとしてもよい。
【0013】
更に、第8の態様に係る橋梁監視システムは、橋梁を監視する橋梁監視システムであって、橋梁監視システムの監視対象となる橋梁の設定を受け付ける監視対象設定部と、第1ないし7の何れか1の態様に係るずれ検知センサが送信した断線情報を取得する断線情報取得部と、断線情報取得部が取得した断線情報に基づいてユーザに橋梁の異常を報知する報知部と、を備える。
【0014】
更に、第9の態様に係る橋梁監視方法は、橋梁を監視する橋梁監視方法であって、橋梁監視方法の監視対象となる橋梁の設定を受け付ける監視対象設定ステップと、第1ないし7の何れか1の態様に係るずれ検知センサが送信した断線情報を取得する断線情報取得ステップと、断線情報取得ステップが取得した断線情報に基づいてユーザに橋梁の異常を報知する報知ステップと、を備える。
【0015】
更に、第10の態様に係る橋梁監視プログラムは、橋梁を監視する橋梁監視プログラムであって、橋梁監視システムに用いられるコンピュータに、橋梁監視システムの監視対象となる橋梁の設定を受け付ける監視対象設定機能と、第1ないし7の何れか1の態様に係るずれ検知センサが送信した断線情報を取得する断線情報取得機能と、断線情報取得機能が取得した断線情報に基づいてユーザに橋梁の異常を報知する報知機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係るずれ検知センサ、橋梁監視システム、橋梁監視方法、及び橋梁監視プログラムによれば、省エネルギでありながら監視対象となった橋梁のずれを確実に検知することで当該橋梁の異常を監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るずれ検知センサを含む橋梁監視システムの概要を示す図。
図2】ずれ検知センサのハードの構成を示す図。
図3】ずれ検知センサの切断部の拡大図。
図4】アンカー部を示し、(a)が正面図、(b)が下面図、(c)が背面図。
図5】ずれ検知センサの動作を示し、(a)が結合時、(b)が分離時を示す図。
図6】監視対象となる橋梁の断面斜視図。
図7】橋体と橋脚との接合部の拡大図。
図8】橋体同士の接合部の拡大図。
図9】ずれ検知センサの切断部の他の実施例を示す図。
図10】ずれ検知センサの機能ブロックを示す図。
図11】橋梁監視システムのハードの構成を示す図。
図12】橋梁監視システムのソフトの構成を示す図。
図13】橋梁監視プログラムのフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至図12を参照して本開示に係るずれ検知センサ10及び橋梁監視システム12の一実施形態について説明する。図1を参照して、ずれ検知センサ10を含む橋梁監視システム12の構成について説明する。
【0019】
ずれ検知センサ10は、橋梁監視システム12の監視対象となる橋梁13に設置される。ずれ検知センサ10が検知した断線情報はLPWA(Low Power Wide Area)の無線通信を介して橋梁監視システム12に送信される。
【0020】
断線情報とは、ずれ検知センサ10の後述する導体19の断線に基づく信号のことである。橋梁13の後述する接合部17(若しくは18)のずれが所定の大きさに達したときに導体19が断線する。「ずれの所定の大きさ」は、ユーザによって設定され得る。
【0021】
本実施形態では、導体19には常時、微弱な電流を流し、導体19の両端に発生する電圧を測定する。この電圧の測定値がゼロになったときに導体19が断線したとする。これは導体19の断線により導体19に微弱電流が流れなくなることに基づく。導体19は、第1導体部19aと第2導体部19bとを備える。
【0022】
橋梁監視システム12は、ユーザによって運用される情報処理システムであり、LPWAのプラットフォーム14に有線若しくは無線により通信接続されている。プラットフォーム14とは、基地局設備などLPWAを運用するのに必要な基盤設備のことである。橋梁監視システム12はLPWAのプラットフォーム14にインターネット14aを介して有線若しくは無線により通信接続されてもよい。
【0023】
図2及び図3を参照して、ずれ検知センサ10の構成について説明する。図2は、ずれ検知センサ10のハードの構成を示す図である。図3は、ずれ検知センサ10の切断部23の拡大図である。
【0024】
図2に示すように、ずれ検知センサ10は、センサ本体11、第1導体部19a、第2導体部19b、第1接続部に相当する第1アンカー部20a、第2接続部に相当する第2アンカー部20b、及びワイヤ21を備える。
【0025】
ワイヤ21は、第1ワイヤ部21a、第2ワイヤ部21b、及び切断部23を備える。第1ワイヤ部21aと第2ワイヤ部21bとは紐状のワイヤである。切断部23は、第1切断部23aと第2切断部23bとに分離する。第1導体部19a、第2導体部19b、及び切断部23は導電性を備えている。なお、ワイヤ21は、劣化及び温度変化などによる伸び縮みの少ない特性を有するものが適しており、可撓性は必須の特性ではないので棒状のものでもよい。
【0026】
第1導体部19aは、センサ本体11から伸びて、その先端が第1切断部23aに接続される。第2導体部19bは、センサ本体11から伸びて、その先端が第2切断部23bに接続される。切断部23が結合されている状態、即ち、第1切断部23aと第2切断部23bとが分離されていない状態では、第1導体部19aと第2導体部19bとは導通する。切断部23が断線した状態、即ち、第1切断部23aと第2切断部23bとが分離した状態では、第1導体部19aと第2導体部19bとは非導通になる。
【0027】
センサ本体11は、第1導体部19aと第2導体部19bとが導通しているか、若しくは、第1導体部19aと第2導体部19bとが導通していない(非導通)かを検知することができる。
【0028】
センサ本体11は、後述する送信部29に接続されたアンテナ部22を備える。アンテナ部22はLPWAによる無線通信の空中線として用いられる。
【0029】
図3を参照して、ワイヤ21の切断部23の構成について説明する。切断部23は、第1切断部23aと第2切断部23bとに分離する。第1切断部23aと第2切断部23bとは、それぞれ永久磁石を備えている。
【0030】
第1切断部23aの永久磁石と第2切断部23bの永久磁石とは、図3に示すようにワイヤ21が伸びる方向に沿って異なる磁極が並ぶように着磁されている。第1切断部23aは、第2切断部23bと対向する面に永久磁石のN極を備えている。第2切断部23bは、第1切断部23aと対向する面に永久磁石のS極を備えている。
【0031】
なお、これに限らず、第1切断部23aは第2切断部23bと対向する面に永久磁石のS極を備え、第2切断部23bは第1切断部23aと対向する面に永久磁石のN極を備えてもよい。
【0032】
ワイヤ21に引っ張り力が加わり、即ち、第1ワイヤ部21aと第2ワイヤ部21bとが引き離される力が加わり、当該力が所定の大きさを超えると、第1切断部23aと第2切断部23bとは分離する。第1切断部23aと第2切断部23bとは、一旦分離しても、両者が永久磁石の吸着力の及ぶ範囲に置かれることで再び結合することができる。
【0033】
図4を参照してアンカー部20の構成について説明する。第1アンカー部20aと第2アンカー部20bとは同じ構成をしているため、第1アンカー部20aと第2アンカー部20bとをアンカー部20と記す。図4は、アンカー部20を示し、(a)が正面図、(b)が下面図、(c)が背面図である。
【0034】
アンカー部20は、ヨーク部24、永久磁石25、ベース部26、及びフック部27を備える。ベース部26は、金属製プレートであり永久磁石25のヨークとしても機能し、永久磁石25を含む磁気回路の一部を構成する。
【0035】
ベース部26は、その両端にヨーク部24と永久磁石25とを備える。永久磁石25はヨーク部24とベース部26とに挟まれている。ベース部26は、その中央部においてフック部27を備えている。フック部27はベース部26の面に対して立設している。フック部27にはワイヤ21が接続される。
【0036】
アンカー部20は、永久磁石25の磁力により橋体15若しくは橋脚16の鋼材からなる部分に取り付けられる。ベース部26の背面のふち26a及びヨーク部24の背面が当接部となり橋体15若しくは橋脚16に当接する。橋体15の鋼材からなる部分は、第1橋梁部若しくは第2橋梁部に相当する。橋脚16の鋼材からなる部分は、第1橋梁部若しくは第2橋梁部に相当する。
【0037】
次に図5を参照してずれ検知センサ10の動作について説明する。図5(a)は、ずれ検知センサ10の切断部23が結合している状態を示している。図5(b)は、ずれ検知センサ10の切断部23が分離している状態を示している。
【0038】
橋体15と橋脚16との接合部17(図7参照)、若しくは隣接する二つの橋体15同士の接合部18(図8参照)がずれて、第1アンカー部20aと第2アンカー部20bとの間の距離が拡がった場合に、第1ワイヤ部21aは第1アンカー部20aに引っ張られ、第2ワイヤ部21bは第2アンカー部20bに引っ張られる。
【0039】
第1アンカー部20aと第2アンカー部20bとの間が所定距離を超えた場合に切断部23が分離する(図5(b)参照)。なお、ワイヤ21の長さは、第1アンカー部20aと第2アンカー部20bとの間の距離を考慮して決定され、ずれ検知センサ10を設置する際に橋梁13の周囲の温度変化に起因する伸縮をも考慮して調整される。更に、ワイヤ21の断線が生じる際の橋梁13のずれの大きさの設定は、ずれ検知センサ10を設置する際のワイヤ21の長さを調整することで行うことができる。
【0040】
図5(a)の状態では、センサ本体11から流される微弱電流により導体19の両端に電圧が生じる。図5(b)の状態では、ワイヤ21は分離されるためセンサ本体11の第1導体部19a及び第2導体部19bには微弱電流は流れず、導体19に生じる電圧はゼロになる。ずれ検知センサ10の後述する検知部28は導体19に生じる電圧がゼロになったことを測定することでワイヤ21が断線したことを検知する。
【0041】
図6を参照して橋梁13の構造について説明する。図6は監視対象となる橋梁13の断面斜視図である。橋梁13は、上部構造としての橋体15と下部構造としての橋脚16とを備える。橋梁13は、2以上の橋体15を連結させて、橋体15同士の連結部を橋脚16が支持することで構成される。
【0042】
橋梁13が地震を受けた場合、及び橋梁13の経年劣化が進んだ場合など、橋梁13の接合部17(若しくは18(図8参照))がずれることがある。即ち、橋体15と橋脚16との接合部17、若しくは、隣接する橋体15同士の接合部18にずれが生じることがある。
【0043】
ずれ検知センサ10は、橋体15と橋脚16との接合部17に設置され、この接合部17に生じるずれが所定の閾値に達したことに起因するワイヤ21の断線を検知する。ずれ検知センサ10は、隣接する橋体15同士の接合部18に設置され、この接合部18に生じるずれが所定の距離を超えたことに起因するワイヤ21の断線を検知する。
【0044】
図7を参照して、ずれ検知センサ10が、橋体15と橋脚16との接合部17に設置された状態について説明する。図7は橋体15と橋脚16との接合部17の拡大図である。
【0045】
ずれ検知センサ10の第1接続部である第1アンカー部20aは接合部17近傍の橋体15の鋼材でできた部分(第1橋梁部に相当)に取り付けられる。ずれ検知センサ10の第2接続部である第2アンカー部20bは接合部17近傍の橋脚16の鋼材でできた部分(第2橋梁部に相当)に取り付けられる。
【0046】
ワイヤ21は接合部17を跨ぐようにして配置される。つまり、接合部17の接合が離間した際にワイヤ21に引っ張り力が加わるように、ワイヤ21の一端は第1橋梁部に接続され、ワイヤ21の他端は第2橋梁部に接続される。センサ本体11は、橋体15若しくは橋脚16に設置される。センサ本体11は、第1導体部19a及び第2導体部19bに微弱電流を流す。橋体15と橋脚16とが離間する方向は、横方向、縦方向、若しくは斜め方向があり得る。
【0047】
センサ本体11は、図示しない背面に永久磁石を備えており、この永久磁石の吸着力により橋体15若しくは橋脚16の鋼材でできた部分に取り付けられる。従って、センサ本体11を橋体15若しくは橋脚16に取り付ける際、その施工などを容易に行うことができ、橋梁13側に別途部材などを準備する必要がない。
【0048】
図8を参照して、ずれ検知センサ10が、隣り合う橋体15同士の接合部18に設置された状態について説明する。図8は橋体15同士の接合部18の拡大図である。ずれ検知センサ10の第1接続部である第1アンカー部20aは接合部18近傍の橋体15の鋼材でできた部分(第1橋梁部に相当)に取り付けられる。ずれ検知センサ10の第2接続部である第2アンカー部20bは接合部18近傍の橋体15の鋼材でできた部分(第2橋梁部に相当)に取り付けられる。
【0049】
ワイヤ21は接合部18を跨ぐようにして配置される。センサ本体11は、隣接する橋体15の何れかの橋体15に設置される。センサ本体11は、第1導体部19a及び第2導体部19bに微弱電流を流す。隣接する二つの橋体15同士が離間する方向は、横方向、縦方向、若しくは斜め方向があり得る。
【0050】
図9を参照してワイヤ21の他の実施例について説明する。ワイヤ21の切断部23は、ワイヤ21の他の部分より細い部分である。ワイヤ21は、引っ張り力を受けた場合、切断部23において切断され、第1ワイヤ部21aと第2ワイヤ部21bとに分離する。
【0051】
次に、図10を参照してずれ検知センサ10の機能について説明する。図10はずれ検知センサ10の機能ブロックを示す図である。ずれ検知センサ10は、第1アンカー部20a、第2アンカー部20b、ワイヤ21、検知部28、送信部29、制御部30、電源部31、及び記憶部32などを備える。
【0052】
第1アンカー部20a、即ち、第1接続部は、第1橋梁部に接続する。
第1橋梁部は鋼材からなる部分を備えており、第1アンカー部20aは永久磁石25を備えている。第1アンカー部20aは、永久磁石25の磁力により第1橋梁部に取り付けられる。
【0053】
第2アンカー部20bは、即ち、第2接続部は、第1橋梁部と接合部17(若しくは18)を介して接続する第2橋梁部に接続する。
【0054】
第2橋梁部は鋼材からなる部分を備え、第2アンカー部20bは永久磁石25を備えている。第2アンカー部20bは永久磁石25の磁力により第2橋梁部に取り付けられる。
【0055】
ワイヤ21は、接合部17(若しくは18)を跨ぎ第1接続部(第1アンカー部20a)と第2接続部(第2アンカー部20b)とに接続される。
【0056】
ワイヤ21は、断線しやすい部分(切断部23)を備えている。断線しやすい部分(切断部23)は、永久磁石の磁力により結合された部分である。また、断線しやすい部分(切断部23)は、ワイヤ21の他の部分より細い部分であることとしてもよい。
【0057】
検知部28は、ワイヤ21の断線を検知する。
検知部28は、導体19の両端に発生する電圧を測定する。検知部28がワイヤ21の断線を検知するとは、検知部28が導体19の両端に発生した電圧の測定値がゼロになることを測定することである。
【0058】
送信部29は、検知部28がワイヤ21の断線を検知した場合に、ワイヤ21が断線したことを示す断線情報を無線送信する。
【0059】
断線情報とは、ワイヤ21の断線に基づく信号のことである。断線情報は、ずれ検知センサ10に付与された後述するずれ検知センサ10に固有の識別コードとともに無線送信される。
【0060】
制御部30は、ずれ検知センサ10の各機能部の動作制御を行う。
制御部30は、検知部28を制御し導体19の両端に生じる電圧を測定するとともに、送信部29を制御し検知部28が検知した断線情報の無線送信を行う。
【0061】
電源部31は、ずれ検知センサ10の各機能部に電力を供給する。
電源部31には、一次リチウム電池の電池パックが用いられる。電源部31が備える一次リチウム電池の数は、ずれ検知センサ10の継続使用期間などの使用状況によって適宜変更でき1個でも2個以上でもよい。
【0062】
記憶部32は、検知部28の断線情報を送信部29が無線送信するまでの間、一時的に記録し、ずれ検知センサ10の各機能部の動作制御に必要なプログラム及び初期設定情報などを記録する。
【0063】
ずれ検知センサ10は、自機を識別する識別コードを記憶部32に記憶している。この識別コードは、n桁のコードであり、n桁のうち先頭のm桁が対応する橋梁13を示す橋梁識別コードとしてよい。
【0064】
本実施形態では、ずれ検知センサ10は1個のワイヤ21を備えている。しかしこれに限定されるものではなく、ずれ検知センサ10は2個のワイヤ21を備え、2個のワイヤ21はそれぞれ橋梁13の異なる接合部17(若しくは18)に設置されていてもよい。また、2個のワイヤ21は同じ接合部17(若しくは18)に設置されてもよい。この場合、1つの接合部17(若しくは18)に2個のワイヤ21を設置するので断線情報の確度が向上する、
【0065】
例えば、ずれ検知センサ10が、2個のワイヤ21を備えた場合、2個のワイヤ21の各々に固有の識別コードが割当てられて、それぞれの識別コードは記憶部32に記憶される。この場合、送信部29は、断線が検出されたワイヤ21に割当てられた識別コードと供に、断線情報を送信する。
【0066】
送信部29は、ずれ検知センサ10が検知した断線情報をLPWAによる無線通信により橋梁監視システム12へ送信する。LPWAは低消費電力で長距離の通信ができる通信規格である。
【0067】
LPWAは、IoT(Internet of Things)機器による無線通信に適しているとされ、低消費電力でありながら広域的な無線通信が可能である。本実施形態では、LPWAの中でもSIGFOX(登録商標)の通信規格を用いている。SIGFOX(登録商標)は、伝送距離が最大50km程度であり、他のLPWAの通信規格の伝送距離1km~10数km程度に比べて長距離なのが特徴である。
【0068】
なお、LPWAの通信規格には、他にもLoRaWAN(登録商標)、エルトレス(ELTRES:登録商標)などがあり、橋梁監視システム12の使用状況によってはこれらの通信規格を用いてもよい。
【0069】
また、LPWAの他に第三世代(3G)、第四世代(4G)移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、LTE-M(Long Term Evolution for machine-Type-communication)などの無線通信方式があり、橋梁監視システム12の使用状況によってはこれらの無線通信を用いてもよい。
【0070】
次に、図11及び12を参照して本実施形態にかかる橋梁監視システム12について説明する。橋梁監視システム12は、コンピュータなどを含む情報処理システムの一種であり主にユーザに操作され、I/Oインターフェース70、Read Only Memory(ROM)71、Random Access Memory(RAM)72、記憶部73、Central Processing Unit(CPU)74等を備えている。
【0071】
橋梁監視システム12は、I/Oインターフェース70を介してインターネット14aを含む外部のネットワークに対してデータなどの送受信を行う。若しくは、I/Oインターフェース70を介してLPWAのプラットフォーム14に対してデータなどの送受信を行う。
【0072】
橋梁監視システム12は、後述する橋梁監視プログラムをROM71若しくは記憶部73に保存し、RAM72などで構成されるメインメモリに橋梁監視プログラムを取り込む。そして、CPU74は、橋梁監視プログラムを取り込んだメインメモリにアクセスして橋梁監視プログラムを実行する。
【0073】
橋梁監視システム12の記憶部73は、橋梁監視プログラムを実行するために利用されるアプリケーション、各種データ、その他の関連アプリケーション、及び関連データなどが記憶される。
【0074】
次に図12を参照して、橋梁監視システム12における各機能構成について説明する。
橋梁監視システム12は、橋梁監視プログラムを実行することで、監視対象設定部81、断線情報取得部82、及び報知部83をCPU74に備える。
【0075】
監視対象設定部81は、橋梁監視システム12の監視対象となる橋梁13の設定を受け付ける。
ユーザがずれ検知センサ10のそれぞれに紐付けられた識別コードを監視対象設定部81に入力することで、監視対象設定部81は監視対象となる橋梁13の設定を受け付ける。橋梁監視システム12は複数のずれ検知センサ10を用いてもよく、この場合、ユーザは複数のずれ検知センサ10の各々に紐付けられた識別コードを監視対象設定部81に入力する。
【0076】
監視対象となる橋梁13は、1つであっても良いし複数であってもよい。ずれ検知センサ10は、自機を識別する識別コードをそれぞれずれ検知センサ10の記憶部32に記憶している。この識別コードは、n桁のコードであり、n桁のうち先頭のm桁が対応する橋梁13を示す橋梁識別コードになる。
【0077】
本実施形態では、ずれ検知センサ10は自機に固有の識別コードを記憶部32に記憶している。これに限るものではなく、例えば、ずれ検知センサ10は、ワイヤ21を識別する識別コードを記憶部32に記憶してもよい。
【0078】
また、本実施形態では、識別コードとして、n桁のコードを用い、n桁のうち先頭のm桁が対応する橋梁13を示す橋梁識別コードとしている。これに限るものではなく、例えば、識別コードのn桁のうち先頭のm桁が対応する橋体15に固有の橋体識別コード、若しくは橋脚16に固有の橋脚識別コードとしてもよい。
【0079】
ずれ検知センサ10が2個のワイヤ21を備えた場合、2個のワイヤ21各々に固有の識別コードを割当てる。監視対象設定部81は、ワイヤ21毎に対応した識別コードを記憶部73に記憶することで、監視対象となる橋梁13の設定を受け付ける。
【0080】
断線情報取得部82は、ずれ検知センサ10が送信した断線情報を取得する。
ずれ検知センサ10は、断線情報と自機の識別コードとを一組にし、断線情報と識別コードとを紐付けて、橋梁監視システム12に送信する。
【0081】
断線情報取得部82は、断線情報と識別コードとを一組にして取得する。取得した断線情報は、識別コードを参照することで、どの橋梁13のどのずれ検知センサ10によって検知されたのか判別することができる。本実施形態では、無線通信はLPWAを用いる。
【0082】
報知部83は、断線情報取得部82が取得した断線情報に基づいてユーザに橋梁13の異常を報知する。
報知部83は、ユーザに対して橋梁監視システム12に備えられた図示しないモニタ、スピーカなどにより映像、音声により異常を報知する。若しくは、報知部83は、ユーザが持つ図示しないスマートフォンなどの携帯通信端末に電子メールを送信することで異常を報知する。
【0083】
異常の報知を受けたユーザは、橋梁13の異常の元になった断線情報と紐付けられた識別コードを参照することで、どの橋梁13のどのずれ検知センサ10においてワイヤ21の断線が検知されたのかを認識することができる。
ユーザは、橋梁13の異常が報知される状況では、車両が橋梁13を通行することは危険と断定し得る。
【0084】
次に、図13を参照して、橋梁監視プログラムの流れを示すフローチャートを用い、本開示に係る橋梁監視方法を橋梁監視プログラムとともに説明する。本開示の橋梁監視方法は、橋梁監視プログラムに基づいて、橋梁監視システム12のCPU74により実行される。
【0085】
橋梁監視プログラムは、図12のCPU74に対して、監視対象設定機能、断線情報取得機能、報知機能の各機能を実行させる。これらの機能は図13に示す順に実行されるが、適宜、順番を入れ替えて実行することもできる。なお、各機能は前述の橋梁監視システム12の説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0086】
監視対象設定機能は、橋梁監視システム12の監視対象となる橋梁13の設定を受け付ける(S81:監視対象設定ステップ)。
【0087】
断線情報取得機能は、ずれ検知センサ10が送信した断線情報を取得する(S82:断線情報取得ステップ)。
【0088】
報知機能は、断線情報取得機能が取得した断線情報に基づいてユーザに橋梁13の異常を報知する(S83:報知ステップ)。
【0089】
上記した実施形態によれば以下のことが可能となる。
即ち、ずれ検知センサ10は、橋梁13の接合部17(若しくは18)のずれをワイヤ21の断線によって検知している。ワイヤ21の断線の検知は、導体19に微弱電流を流し、導体19の両端に生じた電圧を測定することで行われる。すなわち、単純な構造で有りながらも確実に橋梁13のずれを検知することができる。
【0090】
また、導体19の両端に生じる電圧は導体19に流す微弱電流による。従って、ずれ検知センサ10は省電力性能に優れる。
【0091】
本実施形態によれば、ワイヤ21の切断部23は永久磁石により結合される。切断部23は第1切断部23aと第2切断部23bとに分離しても、再び永久磁石の吸引力により第1切断部23aと第2切断部23bとは結合する。従って、ワイヤ21は、一旦切断したとしても、再利用することができる。
【0092】
更に、本実施形態では、ずれ検知センサ10は、橋梁監視システム12へ断線情報を送信する際に無線通信としてLPWAを用いる。LPWAは他の通信方式と比べて消費電力が小さい。
【0093】
ずれ検知センサ10の無線送信の消費電力が小さいので、実際にずれ検知センサ10が断線を検知し断線情報を無線送信しようとした際に電力が不足して断線情報の無線送信が出来なくなるという可能性を低減することができる。
【0094】
更に、本実施形態では、アンカー部20は永久磁石25の吸引力により橋梁13の鋼材部に設置することとしている。このため、ワイヤ21を橋梁13に取り付ける際、その施工などを容易に行うことができ、橋梁13側に別途部材などを準備する必要がない。
【0095】
本開示は上記した実施形態に係る橋梁監視システム12に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【0096】
上記した実施形態では、ずれ検知センサ10は、橋梁監視システム12へ検知情報を送信する際に無線通信としてLPWAを用いた。しかし、LPWAに代えて第三世代(3G)、第四世代(4G)移動通信システム、LTEなどの無線通信方式による無線通信を用いてもよい。
【0097】
上記した実施形態では、導体19は、ワイヤ状の電線を用いた。これに限定されるものではなく、例えば、扁平導体を導体19として用いてもよい。導体19に扁平導体を用いた場合、可撓性に優れるとともに未使用時にコンパクトに収納することが可能になる。
【符号の説明】
【0098】
10 ずれ検知センサ
11 センサ本体
12 橋梁監視システム
13 橋梁
14 LPWAのプラットフォーム
14a インターネット
15 橋体
16 橋脚
17 接合部
18 接合部
19 導体
19a 第1導体部
19b 第2導体部
20 アンカー部
20a 第1アンカー部(第1接続部)
20b 第2アンカー部(第2接続部)
21 ワイヤ
21a 第1ワイヤ部
21b 第2ワイヤ部
22 アンテナ部
23 切断部
23a 第1切断部
23b 第2切断部
24 ヨーク部
25 永久磁石
26 ベース部
26a ふち
27 フック部
28 検知部
29 送信部
30 制御部
31 電源部
32 記憶部
70 I/Oインターフェース
71 ROM
72 RAM
73 記憶部
74 CPU
81 監視対象設定部
82 断線情報取得部
83 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13