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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088127
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
B65F3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200395
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】秋山 優二
(72)【発明者】
【氏名】今岡 大策
(72)【発明者】
【氏名】中谷 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】大仁 惇平
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA04
3E024HB04
3E024HB05
3E024HC01
3E024HD05
(57)【要約】
【課題】作業装置近傍の危険エリアに侵入した人を精度良く検知できる作業車両を提供する。
【解決手段】作業装置と、作業エリアを撮像する撮像手段と、画像に基づいて制御をする制御部と、作業エリアに画像に影響を及ぼす光を照射する照射手段と、を備え、画像には危険エリアの境界を示す境界ラインが設定され、制御部は、画像の被撮像物から人物像を枠で囲んで特定する人特定手段と、枠の一部が境界ラインを越えたかを判断する越境判断手段と、越境判断手段が境界ラインを越えたと判断した場合に、作業実行の停止、又は、報知手段による警告を指示する指示手段と、を備え、撮像手段はレンズと撮像素子とを有し、照射手段はで光を出射する発光体と出射光を画像の境界ラインを挟んで危険エリアの内外に対応する一部と重なる範囲に亘り、略同等の輝度となるように拡散する拡散手段と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を実行する作業装置と、
前記作業装置に対して作業者が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像に基づいて制御をする制御部と、
前記作業エリアに、前記撮像手段が撮像する画像に影響を及ぼす光を照射する照射手段と、を備え、
前記画像には、前記作業エリアにおける前記作業装置近傍で、前記作業者に危険の及ぶ可能性がある危険エリアの境界を示す境界ラインが設定され、
前記制御部は、
前記画像の被撮像物から人物像を幾何学形状の枠で囲んで特定する人特定手段と、
前記人特定手段が特定した前記枠の一部が前記境界ラインを前記危険エリア側に越えたか否かを判断する越境判断手段と、
前記越境判断手段が前記境界ラインを前記危険エリア側に越えたと判断した場合に、前記作業装置の作業実行を停止させる、又は、警告を発することが可能に設けられた報知手段に警告を発するように指示する指示手段と、を備え、
前記撮像手段は、
レンズと、
前記レンズを通じて作業エリアを撮像する撮像素子と、を有し
前記照射手段は、
前記光を出射する発光体と、
前記発光体から出射される光を、前記画像の少なくとも前記境界ラインを挟んで前記危険エリアの内外に対応する一部と重なる範囲に亘り、略同等の輝度となるように拡散する拡散手段と、を有する、作業車両。
【請求項2】
前記発光体の光軸は、前記画像のうち前記危険エリアに対応する方向を向いている、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記境界ラインは、前記制御部が前記作業装置の作業実行を停止するよう制御するための停止境界ラインを含み、
前記画像内で、前記停止境界ラインと前記発光体の光軸が交差する、請求項1又は請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
該停止境界ラインは、前記画像における前記作業装置に近い側の近側停止境界ラインと、前記画像における前記作業装置から遠い側の遠側停止境界ラインとを含み、
前記越境判断手段が、前記枠における前記作業装置に近い側の近端部が前記近側停止境界ラインを越え、かつ、前記枠における前記作業装置に遠い側の遠端部が前記遠側停止境界ラインを越えていると判断した場合に、前記指示手段が前記作業装置の作業を停止させる指示を行い、
前記画像内で、前記近側停止境界ライン、前記遠側停止境界ライン、及び、前記近側停止境界ラインと遠側停止境界ラインとの間のいずれかと前記発光体の光軸が交差する、請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記照射手段は、水平方向に並ぶ一対の照射体を含み、
前記画像内で、前記一対の照射体のうち一方の照射体の照射範囲の一部と、前記一対の照射体のうち他方の照射体の照射範囲の一部が重なる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、塵芥収集車のような作業車両であって、人の危険エリアへの侵入を監視する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、塵芥収集車のような車両であって、作業者の手の巻き込みを防ぐための制御が行われる車両が知られている(特許文献1)。この車両は、収容箱と、収容箱の投入口から収容箱に塵芥を押し込む押し込み装置と、投入口にそれぞれ設けられた発光部、反射板、及び受光部と、を備える。この車両では、発光部からの出射光は、反射板で反射されて受光部に到達可能であり、この反射された光が受光部に到達しているときには、押し込み装置を作動させる。一方、この反射された光が受光部に到達しないときには、押し込み装置を停止させて、作業者の手の巻き込みを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-31005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、前記作業車両において、監視カメラで投入口の周辺を撮像した画像に基づいて、作業者が投入口に近い場所に滞在している場合に押し込み装置を停止させて作業者の手の巻き込みを防ぐことも考えられる。また、この構成では、ランプにより投入口の周辺を照射することで、夜間等において作業者の監視を行うことも考えられる。しかしながら、ランプにより投入口の周辺のみを照射すると、ランプによる照射範囲と非照射範囲との明暗の差により、監視カメラによる撮像画像における照射範囲が白飛びして、投入口に接近した作業者を検知できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、作業装置近傍の危険エリアに侵入した人を精度良く検知できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の作業を実行する作業装置と、前記作業装置に対して作業者が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像に基づいて制御をする制御部と、前記作業エリアに、前記撮像手段が撮像する画像に影響を及ぼす光を照射する照射手段と、を備え、前記画像には、前記作業エリアにおける前記作業装置近傍で、前記作業者に危険の及ぶ可能性がある危険エリアの境界を示す境界ラインが設定され、前記制御部は、前記画像の被撮像物から人物像を幾何学形状の枠で囲んで特定する人特定手段と、前記人特定手段が特定した前記枠の一部が前記境界ラインを前記危険エリア側に越えたか否かを判断する越境判断手段と、前記越境判断手段が前記境界ラインを前記危険エリア側に越えたと判断した場合に、前記作業装置の作業実行を停止させる、又は、警告を発することが可能に設けられた報知手段に警告を発するように指示する指示手段と、を備え、前記撮像手段は、レンズと、前記レンズを通じて作業エリアを撮像する撮像素子と、を有し、前記照射手段は、前記光を出射する発光体と、前記発光体から出射される光を、前記画像の少なくとも前記境界ラインを挟んで前記危険エリアの内外に対応する一部と重なる範囲に亘り、略同等の輝度となるように拡散する拡散手段と、を有する。
【0007】
この構成によれば、照射手段は、拡散手段による光の拡散により、撮像手段が撮像する撮像範囲の少なくとも一部を満遍なく同等の輝度で照射することができるため、画像内の越境を判断する際に関係する範囲の明暗の差を小さくできる。このため、制御部が越境を判断する精度を向上することができる。
【0008】
また、前記作業車両では、前記発光体の光軸は、前記画像のうち前記危険エリアに対応する方向を向いていてもよい。
【0009】
この構成によれば、照射手段が、危険エリアを確実に照射することができるため、作業者が作業装置に接近したときの検知を精度良く行うことができる。
【0010】
また、前記作業車両では、前記境界ラインは、前記制御部が前記作業装置の作業実行を停止するよう制御するための停止境界ラインを含み、前記画像内で、前記停止境界ラインと前記発光体の光軸が交差してもよい。
【0011】
この構成によれば、照射手段が、停止境界ラインを確実に照射することができるため、作業者が作業装置に接近したときの作業実行の停止を精度良く行うことができる。
【0012】
また、前記作業車両では、該停止境界ラインは、前記画像における前記作業装置に近い側の近側停止境界ラインと、前記画像における前記作業装置から遠い側の遠側停止境界ラインとを含み、前記越境判断手段が、前記枠における前記作業装置に近い側の近端部が前記近側停止境界ラインを越え、かつ、前記枠における前記作業装置に遠い側の遠端部が前記遠側停止境界ラインを越えていると判断した場合に、前記指示手段が前記作業装置の作業を停止させる指示を行い、前記画像内で、前記近側停止境界ライン、前記遠側停止境界ライン、及び、前記近側停止境界ラインと遠側停止境界ラインとの間のいずれかと前記発光体の光軸が交差してもよい。
【0013】
この構成によれば、照射手段が、近側停止境界ラインや遠側停止境界ラインを照射することができるため、作業者が作業装置に接近したときの作業実行の停止を精度良く行うことができる。
【0014】
また、前記作業車両では、前記照射手段は、水平方向に並ぶ一対の照射体を含み、前記画像内で、前記一対の照射体のうち一方の照射体の照射範囲の一部と、前記一対の照射体のうち他方の照射体の照射範囲の一部が重なってもよい。
【0015】
この構成によれば、一対の照射体による照射範囲の死角を小さくすることで、撮像手段が撮像する撮像範囲を満遍なく同等の輝度で照射することができるため、画像内の明暗の差を確実に小さくできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、作業装置近傍の危険エリアに侵入した人を精度良く検知できる作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】本発明の一実施形態に係る作業車両の側面側の模式図であり、前記作業車両の側面図である。
図1b】本発明の一実施形態に係る作業車両の側面側の模式図であり、前記作業車両のランプ周辺の拡大図である。
図2a】前記作業車両の背面側の模式図であり、前記作業車両の背面図である。
図2b】前記作業車両の背面側の模式図であり、前記作業車両のランプ周辺の拡大図である。
図3】前記作業車両における作業装置の動作説明図であり、図3(a)は初期状態を示し、図3(b)は反転後の状態を示し、図3(c)は二次圧縮後の状態を示し、図3(d)は一次圧縮後の状態を示す。
図4】前記作業車両の撮像手段の模式図である。
図5】前記作業車両のブロック図である。
図6】前記作業車両の撮像手段が撮像した画像を示す模式図であって、人物像を特定した枠が警告ラインの外側にある状態の模式図である。
図7】前記作業車両の撮像部が撮像した画像を示す模式図であって、人物像を特定した枠が危険ラインの内側に進入した状態の模式図である。
図8】前記作業車両における処理を示すフローチャート図である。
図9】変形例に係る撮像手段が撮像した画像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る作業車両の一実施形態について、図1図8を参照しつつ説明する。
【0019】
作業車両は、所定の作業を実行する作業装置と、作業装置に対して作業者等が作業を行う作業エリアを撮像する撮像手段と、撮像手段が撮像した画像に基づいて制御する制御部と、作業エリアに光を照射する照射手段と、を備える。照射手段による光は、撮像手段が撮像する画像に影響を及ぼす光である。本実施形態の作業車両は、図1図2及び図4に示すように、ごみ等の塵芥を収集して処分施設まで運搬する塵芥収集車1であり、撮像手段は、塵芥収集車1の後方を撮像可能なカメラ61であり、作業装置は、塵芥収集車1への塵芥の積込作業を行うための積込装置5である。以下、塵芥収集車1の具体的な構成を説明する。
【0020】
塵芥収集車1は、運転室21を有する車台2と、車台2上において運転室21の後方に配置される塵芥収容箱3と、塵芥収容箱3の後部に連接される塵芥投入箱4と、塵芥投入箱4内に配置される積込装置(作業装置)5と、カメラ61を有し且つ塵芥投入箱4に取り付けられる撮像部6と、積込装置5を制御可能な制御部7と、作業エリアに光を照射する照射ランプ(照射手段)8と、を備える(図1参照)。
【0021】
塵芥収容箱3は、塵芥を収容する箱状の部位であり、後方に向けて開口する開口部31を有する。
【0022】
塵芥投入箱4は、後端部において後方に向けて開口する投入開口部(投入部)41を有し、該投入開口部41から塵芥を投入される。この塵芥投入箱4の内部において、底部45は、車幅方向から見て下方に凸となる円弧状の曲面形状を有する。また、塵芥投入箱4は、上下方向にスライドすることによって投入開口部41を開閉する蓋42も有する。この塵芥投入箱4は、上部に設けられ且つ車幅方向に延びる回動軸43を介して塵芥収容箱3に接続されてある。塵芥投入箱4は、該回動軸43周りに回動可能であり、この回動によって塵芥収容箱3の開口部31を開閉する。例えば、塵芥投入箱4は、図1(a)の実線で示す位置では塵芥収容箱3の開口部31を閉鎖し、図1(a)の二点鎖線で示す位置のように上方に回動した位置では、塵芥収容箱3の開口部31を開放して塵芥収容箱3に収容された塵芥を外部に排出できる状態である。
【0023】
積込装置5は、投入開口部41から投入された塵芥を塵芥収容箱3に押し込む押込板(押込部材)53を有し、塵芥投入箱4内に配置される。この積込装置5は、制御部7に接続され、該制御部7によって制御される。具体的に、積込装置5は、塵芥投入箱4の両側壁に沿い且つ傾斜方向に延びる一対のガイドレール51と、各ガイドレール51に沿ってスライド可能な(案内される)一対のスライダ52と、一対のスライダ52間に配置される上述の押込板53と、各スライダ52と押込板53とを接続するピン54と、を有する。このピン54は、車幅方向に延び、該ピン54周りに押込板53が回動自在となるように該押込板53を各スライダ52に接続している。この押込板53は、塵芥投入箱4内に投入された塵芥を圧縮すると共に、塵芥収容箱3に押し込む部材であり、押込板53の先端53aは、車幅方向に真っ直ぐに延びている。
【0024】
また、積込装置5は、押込板53を駆動する一対のプッシュシリンダ(圧縮駆動手段)55及び一対のプレスシリンダ(押込駆動手段)56を有し、これら一対のプッシュシリンダ55及び一対のプレスシリンダ56のそれぞれは、シリンダ55c、56cと、該シリンダ55c、56cに対して進退するピストン55p、56pと、を有する。一対のプッシュシリンダ55のそれぞれは、塵芥投入箱4内の両側壁に沿って配置され、一対のプレスシリンダ56のそれぞれも、塵芥投入箱4内の両側壁に沿って配置されている。
【0025】
各プッシュシリンダ55において、シリンダ55c側の端部がピン551を介して塵芥投入箱4の側壁に接続され、ピストン55p側の端部がピン552を介してスライダ52(車幅方向において対応する側のスライダ52)の上端部に接続されている。このプッシュシリンダ55が、伸長動作することで、該プッシュシリンダ55が接続されているスライダ52がガイドレール51に沿って斜め上方に移動し、収縮動作することで、該プッシュシリンダ55が接続されているスライダ52がガイドレール51に沿って斜め下方に移動する。
【0026】
また、各プレスシリンダ56において、シリンダ56c側端部がピン561を介して押込板53に接続され、ピストン56p側端部が、プッシュシリンダ55のピストン55p側端部と共にピン552を介してスライダ52の上端部に接続されている。一対のプッシュシリンダ55が長さを維持した状態、即ち、シリンダ55cに対してピストン55pが進退しない状態で、これら一対のプレスシリンダ56が、互いに同期した状態で伸長動作することで、押込板53がピン54周りに回動(図1(a)における時計回りの方向に回動)し、互いに同期した状態で収縮動作することで、押込板53がピン54周りに回動(図1(a)における反時計回りの方向に回動)する。
【0027】
また、積込装置5は、塵芥を投入開口部41から塵芥投入箱4に投入する作業者等が該積込装置5を操作するための操作部57を有する。この操作部57は、積込装置5のON・OFFボタン(動作入力部)やスイッチ等の各種の入力を行うための入力部、積込装置5の緊急停止ボタン、リセットボタン等が配置されている。また、この操作部57には、積込装置5の制御についての設定や該設定の変更等のスイッチ、ボタン、ダイヤル等の各種の入力部も配置されている。
【0028】
なお、本実施形態の積込装置5は、モーメンタリ式(自動復帰型)で動作する。例えば、この積込装置5は、前記入力部がON操作されるとこれをトリガーとしてシーケンス動作が始動し、一連のシーケンス動作が終了すると自動的に停止する。なお、積込装置5は、入力部がON操作されるとOFF操作されるまで動作が継続するオルタネイト式(保持型)で動作するものであってもよい。
【0029】
操作部57は、塵芥の投入開口部41への投入作業中に作業者等が操作できるよう、塵芥投入箱4の後端部、詳しくは、車幅方向における投入開口部41の両側に配置されている。本実施形態の塵芥収集車1では、後方から見て投入開口部41の左側に配置された操作部57には、ボタン等の操作に必要な構成が複数配置され、投入開口部41の右側に配置された操作部57には、緊急停止ボタンのみが配置されている。
【0030】
以上のように構成される積込装置5の塵芥の積込動作の詳細について、図3(a)~図3(d)も参照しつつ、以下において説明する。ここで、図3(a)~図3(d)は、押込板53、プッシュシリンダ55、及びプレスシリンダ56のみを抜き出した動作説明図である。尚、図面を見易くするために各図においてプッシュシリンダ55の位置をずらしている。
【0031】
先ず、各構成53、55、56が初期状態(図3(a)に示す状態)のときに、各プレスシリンダ56が収縮動作することによって、押込板53の先端53aが塵芥収容箱3から離れる方向(図3(a)における反時計回りの方向)に押込板53がピン54周りに回動して(即ち、「反転」の行程が行われ)、図3(b)に示す状態となる。
【0032】
この状態から、各プッシュシリンダ55が収縮動作することによって、押込板53が、ピン54周りの回動方向における姿勢を維持しつつ、ガイドレール51の延びる方向に沿って斜め下方に移動し(即ち、「一次圧縮」の行程が行われ)、図3(d)に示す状態となる。即ち、押込板53が投入開口部41に接近する。
【0033】
続いて、各プレスシリンダ56が伸長動作することによって、押込板53の先端53aが塵芥収容箱3に近づく方向(図3(d)における時計回りの方向)に押込板53がピン54周りに回動して(即ち、「二次圧縮」の行程が行われ)、図3(c)に示す状態となる。この押込板53がピン54周りに回動することで、押込板53の先端53aは、塵芥投入箱4内の底部45に沿って移動する。即ち、塵芥投入箱4内の底部45は、二次圧縮行程において回動する押込板53の先端53aの軌跡に沿った曲面形状である。
【0034】
その後、各プッシュシリンダ55が伸長動作することによって、押込板53が、ピン54周りの回動方向における姿勢を維持しつつ、ガイドレール51の延びる方向に沿って斜め上方に移動し(即ち、「押込」の行程が行われ)、図3(a)に示す状態に戻る。即ち、押込板53は、一次圧縮及び二次圧縮された後の塵芥を開口部31から塵芥収容箱3内に押し込む。
【0035】
以上のようにして各プッシュシリンダ55及び各プレスシリンダ56が交互に伸縮動作することによって、押込板53は、1サイクルの行程動作(反転、一次圧縮、二次圧縮、押込)を行う。これにより、投入開口部41から塵芥投入箱4内に投入された塵芥が、塵芥収容箱3に収容される(積み込まれる)。この1サイクルの行程動作において、押込板53の先端53aの車幅方向から見た動作軌跡は、4点を結ぶ閉じた形状となる(図3(a)~図3(d)における二点鎖線参照)。
【0036】
撮像部6は、図4にも示すように、作業者等が塵芥投入箱4内の積込装置5に対して投入開口部41から塵芥の投入作業が行われる作業エリアを撮像可能なカメラ61と、カメラ61を支持する支持部62と、を有する。また、本実施形態の撮像部6は、カメラ61での撮像内容に基づいて作業者等に報知可能な報知部(報知手段)63を有する。
【0037】
カメラ61は、レンズ611と、該レンズ611を通じて作業エリアを撮像する撮像素子612と、を有する。本実施形態のカメラ61は、動画の撮像を行い、作業エリアを撮影する際に十分な範囲(広い範囲)を撮像できるような広角レンズ611を有している。また、カメラ61が撮像した画像は、例えば、危険エリアAr1を上方から撮像した画像である。
【0038】
この撮像素子612は、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等であり、撮像された画像(本実施形態の例では、動画像)の画像データを出力する。また、カメラ61は、制御部7に接続されており、該制御部7に画像データを出力する。また、カメラ61は、運転室21内に配置されたバックモニタM(図1(a)参照)にも接続されており、該バックモニタMにも画像データを出力する。
【0039】
支持部62は、投入開口部41の上方にカメラ61が位置するように該カメラ61を支持(保持)する。この支持部62は、塵芥投入箱4における投入開口部41の上側に固定される基部621と、基部621にカメラ61を接続するブラケット622と、基部621の周囲に取り付けられるカバー板624と、を有する。
【0040】
基部621は、長尺な板部材、パイプ等が組み合わされることによって構成されたフレーム状の部位であり、塵芥投入箱4における投入開口部41の上方部位から後方側(詳しくは、斜め上方)に向けて延びている。
【0041】
ブラケット622は、基部621の先端と、該先端の下方に配置されるカメラ61とを接続する。このブラケットの基端部(基部621側の端部)622aは、車幅方向に延びる軸部材623を介して基部621の先端に接続され、先端部(基端部と反対側の端部)622bは、カメラ61に接続されている。該ブラケット622は、軸部材623周りに回動可能である。この回動により、カメラ61の撮像可能な範囲を変更することができる。
【0042】
カバー板624は、塵芥収集車1の走行中等に飛んでくるゴミ等からカメラ61を保護等するために基部621の周囲に配置されている板状の部材である。
【0043】
報知部63は、投入開口部41から塵芥投入箱4内への塵芥の投入作業を行っている作業者等やその周囲の人(積込装置5の周囲)に対し、作業者等の安全についての報知を行う。本実施形態の報知部63は、発光したときの色が異なる複数の報知ランプ63a、63b、63cを有し、発光するランプによって作業者等の安全についての報知を行う。例えば、報知部63では、作業者が作業エリアにおける安全エリア(積込装置5等への巻き込み事故が発生し難いエリア)で作業しているときには、第一の報知ランプ63aが緑色に発光し、危険エリア(積込装置5等への巻き込み事故が発生する可能性の高いエリア)Ar1に接近したときには、第二の報知ランプ63bが黄色に発光し、危険エリアAr1に進入したときには、第三の報知ランプ63cが赤色に発光する。発光態様は、連続発酵であってもよいし、点滅であってもよい。
なお、報知部63は報知ランプ63a~63cに加えまたは代えて音(ブザー又は音声)により報知してもよい。
【0044】
制御部7は、カメラ61が撮像した画像Im1に基づいて積込装置5を制御可能である。この制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。
【0045】
このように構成される制御部7では、図5に示すように、当該制御部7がプログラムを実行することによって、機能的に、人特定手段71と、境界設定手段72と、越境判断手段73と、指示手段74と、試運転制御手段75と、が構成される。即ち、制御部7は、人特定手段71と、境界設定手段72と、越境判断手段73と、指示手段74と、試運転制御手段75と、を備える。
【0046】
人特定手段71は、図6及び図7にも示すように、カメラ61が撮像した画像(動画像)Im1の被撮像物から人物像Im2を幾何学形状の枠Frで囲んで特定する。この人特定手段71は、枠Frで囲まれた人物像Im2が画像Im1内を移動すると、この人物像Im2の移動に伴って枠Frを移動させる。また、人物像Im2の姿勢の変化、作業エリアにおける位置等によって画像Im1に占める人物像Im2の領域(大きさ、形等)が変化するが、人特定手段71は、この変化に応じて枠Frの大きさを変化させる。なお、人物像Im2の変化に応じて枠Frの形状を変更してもよい。また、人特定手段71は、カメラ61からの画像Im1に複数の人物像Im2が含まれているときには、人物像Im2毎に枠Frで囲む。本実施形態の人特定手段71は、人物像Im2を四角の枠Frで囲む。なお、カメラ61が撮像した画像(動画像)Im1の被撮像物から人物像Im2を幾何学形状の枠Frで囲んで特定することは、カメラ61が撮像した画像(動画像)Im1の被撮像物のうち人物像Im2に幾何学形状を当てはめて、その幾何学形状の端縁を枠Frとすることや、人物像Im2と背景との境界(人物像の輪郭)に沿って不定形状に取り囲みその不定形状の端縁を枠Frとすることも含む。
【0047】
本実施形態のカメラ61が撮像した画像(動画像)Im1において、人が通常の姿勢である(例えば、背中を伸ばした状態で立っている)場合、人物像Im2のうち人の頭は上方に位置する部位である。なお、この枠Frは、四角形の枠(バウンディングボックス)であるが、楕円形状を含む円形状の枠等の他の幾何学形状の枠であってもよい。
【0048】
境界設定手段72は、カメラ61からの画像Im1内での所定のライン(境界ライン)Lの設定を行う。例えば、境界設定手段72は、カメラ61からの画像Im1に対してラインLを付加する。また、境界設定手段72は、カメラ61からの画像Im1内でのラインLの位置(境界位置)及び形状(線形状)の少なくとも一方を設定可能である。この境界設定手段72は、機能的に、境界付加手段721と、境界位置設定手段722と、境界曲率設定手段723と、を有する。なお、境界設定手段72はカメラ61からの画像Im1に対して、モニタ上に映した状態でラインLを設定するものであってもよいし、データ上でラインLを設定するものであってもよい。
【0049】
境界付加手段721は、カメラ61からの画像Im1(画像データ上)にラインLを付加する。このラインLは、作業エリアにおける塵芥投入箱4の投入開口部(積込装置5)近傍で、作業員等に危険の及ぶ可能性がある危険エリアAr1の境界又は該境界に沿った境界領域を示す線状のラインである。即ち、ラインLは、投入開口部41(積込装置5)の縁又はその近傍に設定され、積込装置5に起因する危険が作業者等に及ぶ可能性がある危険エリアAr1と他のエリア(危険エリアAr1以外のエリア)Ar2との境界又は境界領域を示す(図1(a)参照)。
【0050】
本実施形態の境界付加手段721は、カメラ61からの画像Im1(画像データ上)に、危険ライン(停止境界ライン)L1と警告ラインL2との二種類のラインを付加する。即ち、ラインLは、危険ラインL1と、警告ラインL2と、を含む。この危険ラインL1は、制御部7が積込装置5の作業実行を停止するよう制御するためのラインである。また、警告ラインL2は、作業者等が危険エリアAr1(危険ラインL1)に接近していることを報知部63が報知するよう制御するためのラインであり、投入開口部41からの距離が危険ラインL1より大きくなる位置に設定されたラインである。本実施形態の警告ラインL2は、画像Im1において危険ラインL1の上側(危険ラインL1の積込装置5よりも遠い側)に設定されている。
【0051】
これら各ラインL1、L2は、左右方向に延びる直線、または、左右方向に延びる曲線である。本実施形態の各ラインL1、L2は、カメラ61が有するレンズ611の歪曲収差に基づいて設定された曲線である。具体的には、各ラインL1、L2は、地面等に引かれた車幅方向と平行な直線をカメラ61が撮像したときに、撮像された画像Im1における前記直線(即ち、レンズ611の歪曲収差によって湾曲した状態の前記直線)に即した形状の曲線である。カメラ61は塵芥収集車1の後部に設けられその後方を撮像しているため、車幅方向と平行な直線はレンズ611による歪みが発生しない場合には水平方向に延びる直線として画像Imに撮像される。しかしながらレンズ611は広角レンズを用いているため、本実施形態の危険ラインL1及び警告ラインL2では、画像Im1におけるレンズ611の光軸A1(詳しくは、レンズ611の光軸A1に相当する位置(以下、「光軸相当位置」とも称する。))からの距離に基づいてラインL1、L2の各部位の曲率が設定されている。仮に、危険ラインを撮像された画像Imに鉛直方向の線(車両前後方向と平行な直線)に基づいて危険ラインL1や警告ラインL2を設定する場合も光軸A1に相当する位置からの距離に基づいてラインL1、L2の各部位の曲率が設定される。
【0052】
境界位置設定手段722は、カメラ61からの画像Im1内での各ラインL1、L2の位置を設定(変更)する。また、境界位置設定手段722は、各ラインL1、L2の形状を変えることなく、画像Im1に対する上下方向及び左右方向の少なくとも一方における相対位置を変更する。
【0053】
詳しくは、操作部57がカメラ61からの画像Im1内でのラインL1、L2の位置(境界位置)を入力することができる境界位置入力部(境界位置入力手段)571を有し、境界位置設定手段722は、操作部57の境界位置入力部571からの入力に基づいて、画像Im1における各ラインL1、L2の位置(本実施形態の例では、上下方向の位置)を変更する。本実施形態の境界位置設定手段722は、画像Im1内での各ラインL1、L2の位置を上下方向(積込装置5の遠近方向)に変更できる。この境界位置設定手段722は、画像Im1内における各ラインL1、L2の位置を個別に変更する構成でもよく、両ラインL1、L2を一緒に(同時に)変更する構成でもよい。
【0054】
境界曲率設定手段723は、カメラ61からの画像Im1内での各ラインL1、L2の曲率を設定(変更)する。また、境界曲率設定手段723は、各ラインL1、L2の任意の一点(例えば、各ラインL1、L2の延伸方向における中央の一点)の画像Im1に対する上下方向及び左右方向における相対位置を保持したまま、各ラインL1、L2の曲率を変更する。
【0055】
詳しくは、境界位置設定手段722によって設定された(位置を変更された)各ラインL1、L2の画像Im1内における光軸相当位置からの距離に基づき、各ラインL1、L2の画像Im1内での曲率(詳しくは、各ラインL1、L2の各部位の曲率)を設定(変更)する。これにより、カメラ61からの画像Im1内におけるラインL1、L2の位置が境界位置設定手段722によって変更されたときに、この位置の変更に応じて(画像Im1における光軸相当位置からの距離の変化に応じて)ラインL1、L2の形状(各部位の曲率)が変化する。即ち、画像Im1内での位置が変更された各ラインL1、L2は、レンズ611の歪曲収差に応じて変形する。
【0056】
なお、前記「光軸A1からの距離」とは、レンズ611の光軸A1の光軸中心を基準とした径方向距離である。レンズ611の歪曲収差により、光軸中心からの径方向距離が小さい(近い)被写体に比べ、径方向距離が大きい(遠い)被写体の方が画像上での湾曲が大きくなる。具体的には、図6に示すように、画像Im1上で、塵芥投入箱4の投入開口部(投入部)41が大きく湾曲して映る。
【0057】
また、境界曲率設定手段723は、境界位置設定手段722による画像Im1内での各ラインL1、L2の位置の設定の有無にかかわらず、各ラインL1、L2の曲率を設定(変更)できる。具体的には、操作部57がカメラ61からの画像Im1内での各ラインL1、L2の曲率を入力することができる境界曲率入力部(境界曲率入力手段)572を有し、境界曲率設定手段723は、操作部57の境界曲率入力部572からの入力に基づいて、各ラインL1、L2の画像Im1内での曲率を設定(変更)する。
【0058】
越境判断手段73は、カメラ61からの画像Im1において人物像Im2が各ラインL1、L2を危険エリアAr1側に越えたか否かを判断し、越えたと判断したときに指示信号を出力する。本実施形態の越境判断手段73は、人特定手段71が特定した枠Frの少なくとも一部(例えば、枠Frの一部)が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたか否かと、人特定手段71が特定した枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側(危険ラインL1側)に越えたか否かのそれぞれを判断する。この越境判断手段73は、枠Frが越えたと判断したラインL1、L2によって、指示信号の出力先が異なる。
【0059】
指示手段74は、越境判断手段73の判断に基づいて、積込装置5及び報知部(報知手段)63の少なくとも一方に指示する。この指示手段74は、機能的に、停止指示手段741と警告指示手段742とを有する。
【0060】
また、停止指示手段741は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部(例えば、枠Frの一部)が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断したときに、積込装置5に該積込装置5の動作(作業実行)を停止するように指示する。即ち、停止指示手段741は、越境判断手段73からの指示信号を受信したときに、積込装置5の動作を停止させる。このとき、停止指示手段741は、第三の報知ランプ63cが発光するように報知部63にも指示する。
【0061】
警告指示手段742は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部(例えば、枠Frの一部)が警告ラインL2を危険エリアAr1側(積込装置5側)に越えたと越境判断手段73が判断したときに、報知部63に警告を発するように指示する。即ち、警告指示手段742は、越境判断手段73からの指示信号を受信したときに、報知部63に報知させる。本実施形態の警告指示手段742は、枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに、第二の報知ランプ63bが発光するように報知部63に指示する。
【0062】
尚、警告指示手段742は、試運転制御手段75が機能(作動)している間、即ち、制御部7の試運転が行われている間は、枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えると、報知部63には指示を出力する。また、停止指示手段741は、制御部7の試運転が行われている間は、枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えても、積込装置5に指示を出さない。
【0063】
試運転制御手段75は、制御部7の試運転を実行する。詳しくは、操作部57が制御部7を試運転状態(設定モード)に切り替える試運転スイッチ(試運転入力手段)573を有し、試運転制御手段75は、操作部57の試運転スイッチ573からの入力に基づいて、制御部7の試運転を実行する。この試運転制御手段75は、機能的に、停止維持手段751と、報知指示手段752と、を有する。
【0064】
停止維持手段751は、積込装置5を停止維持させる。具体的に、停止維持手段751は、操作部57の試運転スイッチ573からの入力によって制御部7の試運転が実行されている間、積込装置5の停止状態を維持する。即ち、停止維持手段751は、制御部7の試運転が実行されている間は、作業者が操作部57を操作して積込装置5を作動させようとしても積込装置5を作動させない。つまり、試運転制御手段75は、試運転実行中の操作部57からの動作入力を無視する。
【0065】
報知指示手段752は、停止維持手段751が積込装置5を停止維持させた状態で(即ち、制御部7の試運転が実行されている間)枠Frが各ラインL1、L2を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断したときに、報知部63に報知を指示する。具体的に、報知指示手段752は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに、報知部63において対応する報知ランプ63bを発光させるように指示し、さらに、画像Im1において枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたときは、報知部63において対応する報知ランプ63cを発光させるように指示する。
【0066】
ランプ8は、図2(b)に示すように、光を出射する発光体80と、発光体80から出射される光を拡散する拡散手段81と、を有する。また、本実施形態の照射ランプ(照射手段)8は、図2(a)に示すように、水平方向に並ぶ第一の照射ランプ及び第二の照射ランプ(一対の照射体)8a、8bを含む。なお、このランプ8は、図1(b)に示すように、照射方向を上下・左右に変更するように姿勢を変更可能である。
【0067】
発光体80は、例えば、LED等の発光素子の集合体であり、9つの発光素子の集合体である。なお、発光体80は、発光素子単体(具体的には、板状の発光素子)であってもよい。また、発光体80は、例えば、可視光を出射するが、カメラ61の仕様によっては赤外光や紫外光を出射してもよい。
【0068】
さらに、本実施形態の塵芥収集車1では、発光体80は、その姿勢を変更することにより光軸A1と平行な光軸A2で光を出射する。また、発光体80の光軸A2は、画像Im1のうち危険エリアAr1に対応する方向を向いている。
【0069】
拡散手段81は、発光体80が出射する可視光を所定の範囲において略同等の輝度となるように拡散するもので、画像Im1の少なくともライン(境界ライン)Lを挟んで危険エリアAr1の内外に対応する一部と重なる範囲に亘り、略同等の輝度となるように拡散する(図6参照)。
【0070】
例えば、拡散手段81は、発光体80を外側から覆う拡散カバー810と、発光体80が配置される拡散ベース811と、を含む。なお、拡散手段は、拡散カバー810及び拡散ベース811のうち一方のみを含むものであってもよい。
【0071】
拡散カバー810は、光透過性の材質で構成されており、例えば、無色透明の材質で構成されている。また、拡散カバー810は、樹脂製のカバーであるが、ガラス製のカバーであってもよい(図2(b)参照)。拡散カバー810は一般的な光拡散機能を有するものであり、例えば、表面に微細な凹凸を備えたりカバーそのものに光屈折率の異なる材料製の粒子を封入することで、これら凹凸や粒子がレンズとして機能し、光の屈折作用により輝度を均一化する。拡散カバー810は光拡散機能を有さないカバーに光拡散シートを貼付することで構成してもよい。
【0072】
拡散ベース811は、発光体80が配置される基台である。また、拡散ベース811の表面は、反射面である。例えば、拡散ベース811の表面には金属メッキが施されているが、拡散ベース811が金属製であってもよい。
【0073】
また、本実施形態の塵芥収集車1では、画像Im1内で、危険ライン(停止境界ライン)L1と発光体80の光軸A2が交差する(図6参照)。
【0074】
さらに、画像Im1内で、第一の照射ランプ及び第二の照射ランプ8a、8bのうち第一の照射ランプ(一方の照射体)8aの照射範囲である第一の照射範囲R1の一部と、第二の照射ランプ(他方の照射体)8bの照射範囲である第二の照射範囲R2の一部が重なる(図2(a)参照)。具体的に、第一の照射範囲R1の一部と第二の照射範囲R2の一部とは、投入開口部41の下縁から所定の範囲において重なっており、その範囲は投入開口部41の下縁である開口下縁411から投入開口部41の上下方向における寸法(投入開口部41の上縁である開口上縁410と開口下縁との間の距離)の1/3以上1/2以下の寸法において重なっている
【0075】
以上のように構成される塵芥収集車1では、作業者等が投入開口部41から塵芥投入箱4内(積込装置5)への塵芥の投入作業を行っているときに、作業者や作業中の塵芥収集車1の近くにいる人(作業員等)が、危険エリアAr1に接近又は入ったことを的確に捉え、報知や積込装置5の停止(緊急停止)によって、巻き込み事故等の積込装置5に起因する事故を防ぐことができる。具体的には、以下の通りである。
【0076】
操作部57が操作されることで積込装置5が作動し、投入開口部41からの塵芥の投入作業が開始されると、図8に示すように、撮像部6のカメラ61による撮像が開始され(ステップS1)、撮像された画像(動画像データ)Im1が制御部7に出力される。
【0077】
制御部7がカメラ61からの画像Im1を受信すると、境界付加手段721が該画像(画像データ)Im1にラインL(危険ラインL1及び警告ラインL2)を付加する(ステップS2)。
【0078】
また、人特定手段71がカメラ61からの画像Im1において人物像Im2を枠Frで囲むことにより特定する(ステップS3)。この特定後、人特定手段71は、特定した人物像Im2の動き(作業エリアでの作業者等の移動、姿勢の変化等)に追従して枠Frの位置や形大きさ、縦横の寸法等を変化させる。
【0079】
続いて、越境判断手段73が、危険ラインL1と警告ラインL2とが付加された画像Im1において、枠Frの少なくとも一部がいずれかのラインL1、L2を危険エリアAr1側に越えたか否かの判断を行う。尚、画像Im1中に複数の枠Frが設定されている(即ち、複数の人物像Im2が在る)場合には、越境判断手段73は、ラインL1、L2を危険エリアAr1側に越えたか否かの判断を複数の人物像Im2の枠Fr毎に行う。
【0080】
詳しくは、越境判断手段73は、カメラ61からの画像Im1において、枠Frが危険エリアAr1に接近して枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側(図6及び図7における下側)に越えたと判断したときは(ステップS4:Yes)、警告指示手段742に指示信号を出力する。この指示信号を受信した警告指示手段742は、報知部63に報知をさせる(ステップS5)。本実施形態の警告指示手段742は、報知部63に第二の報知ランプ63bを発光させ、作業員等に警告ラインL2を越えたことを報知する。このとき、積込装置5は作動し続けている。
【0081】
また、カメラ61からの画像Im1において、枠Frが警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えていない間は(ステップS4:No)、越境判断手段73は、枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えるか否かの判断(監視)を続ける。
【0082】
また、報知部63の報知によって作業員等が危険エリアAr1から離れる、即ち、カメラ61からの画像Im1において警告ラインL2を越えたと判断された枠Frが越境状態(枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えた状態)を解消したと越境判断手段73が判断すると(ステップS6:Yes)、該越境判断手段73は、警告指示手段742への指示信号の出力を停止する。これにより、警告指示手段742は、報知部63に報知を停止させ(ステップS9)、越境判断手段73は、枠Frの少なくとも一部が警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えるか否かの判断(監視)を再開する。
【0083】
一方、報知部63による報知があったにもかかわらず、作業員等が危険エリアAr1から離れずにさらに接近し、即ち、カメラ61からの画像Im1において、枠Frが危険エリアAr1から離れずに(ステップS6:No)さらに接近し、越境判断手段73が枠Frの少なくとも一部が危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたと判断したときは(ステップS7:Yes)、該越境判断手段73は、停止指示手段741に指示信号を出力するとともに警告指示手段742に指示信号を出力(第三の報知ランプ63cを発光)する。この指示信号を受信した停止指示手段741は、積込装置5の動作を停止させる(即ち、緊急停止させる:ステップS8)。これにより、作業員等が危険エリアAr1に接近し過ぎ又は危険エリアAr1に進入したことによる巻き込み等の積込装置5に起因する事故が防がれる。尚、緊急停止した積込装置5は、作業員等が危険エリアAr1から離れた状態で、操作部57のリセットボタンが押されることで、再始動可能となる。
【0084】
また、カメラ61からの画像Im1において、枠Frが警告ラインL2を危険エリアAr1側に越え且つ危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えていない状態(ステップS7:No)、即ち、枠Frにおける最も危険エリアAr1側に位置する部位が警告ラインL2と危険ラインL1との間に位置している状態では、越境判断手段73は、枠Frが警告ラインL2を越えた状態(越境状態)が解消されたか否か、及び、危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたか否かの判断(監視)を続ける。
【0085】
また、本実施形態の塵芥収集車1では、画像Im1内での危険ラインL1及び警告ラインL2の位置及び曲率の設定(変更)が可能である。この設定(変更)の際に、操作部57の試運転スイッチ573が押下される、即ち、制御部7が試運転状態(設定モード)になることで、積込装置5を作動させずに、作業員等が投入開口部41又は投入開口部41内の積込装置5に対してどの位置まで接近したときに報知部63が警告ラインL2を越えた旨の報知を行い、及び積込装置5の緊急停止が行われるかを、作業員等が実際に投入開口部41又は積込装置5に接近して試すことができる。具体的には、以下の通りである。
【0086】
操作部57の試運転スイッチ573が押下されると、制御部7の試運転が実行され(設定モードに切り替わり)、撮像部6のカメラ61による撮像が開始される。このとき、積込装置5は作動しないが、制御部7において、境界設定手段72、越境判断手段73、及び試運転制御手段75が、機能(作動)している。このように、制御部7の試運転が実行されている間は、試運転制御手段75(詳しくは、停止維持手段751)が機能しているため、操作部57に配置された積込装置5のON・OFFボタンが操作されて積込装置5がON(運転状態)になっても、停止維持手段751によって積込装置5の停止状態が維持される、即ち、積込装置5が作動しない。なお、積込装置5が作動中であれば停止することで停止状態に移行し維持させる。
【0087】
続いて、操作部57の境界位置入力部571からの入力によって、画像Im1内での各ラインL1、L2の位置が設定(変更)され、又は、操作部57の境界曲率入力部572によって、画像Im1内での各ラインL1、L2の曲率が設定(変更)される(ステップS12)。尚、本実施形態の塵芥収集車1では、制御部7の試運転を実行することなく、境界位置入力部571又は境界曲率入力部572からの入力によって、各ラインL1、L2の画像Im1内での位置及び曲率の変更が可能である。
【0088】
ここで、境界位置入力部571からの入力によって画像Im1内での各ラインL1、L2の位置が移動すると、境界曲率入力部572からの入力がなくても、境界曲率設定手段723が画像Im1における光軸相当位置からの距離(即ち、レンズ611の歪曲収差)に応じて、各ラインL1、L2の曲率を自動的に設定(調整)する。
ここで、光軸相当位置を画像Im1の中心と合致している場合において、該中心より下方に配置された水平方向に延びるラインLを例に説明する。このラインLを上方(光軸A1に接近する側)に移動させると曲率を小さくし(曲率半径を大きくし)、逆に下方(光軸A1から遠ざかる側)に移動させると曲率を大きくする(曲率半径を小さくする)。なお、曲率は1本のラインLにおいてひとつの曲率(真円に近似)としてもよく、複数の曲率の曲線の組み合わせであってもよい。複数の曲線の組み合わせの場合は、そのすべてもしくは1の曲線に対し曲率を設定(調整)する。また、境界曲率入力部572の指示により境界曲率設定手段723が位置変更前のラインLの曲率を設定している場合は、その設定済みの曲線に対しさらに曲率を設定(調整)する。
【0089】
このように位置、曲率が設定(変更)された状態で、作業者等が、例えば、投入開口部41への塵芥の投入作業の再現等を行って投入開口部41へ接近する。このとき、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部が新たに設定された警告ライン(画像Im1中の位置や曲率が設定(変更)された警告ライン)L2を越えると、試運転制御手段75の報知指示手段752が、報知部63に、対応する報知ランプ63bを発光させるように指示する。また、カメラ61からの画像Im1において枠Frの少なくとも一部が新たに設定された危険ライン(画像Im1中の位置や曲率が設定(変更)された危険ライン)L1を越えると、試運転制御手段75の報知指示手段752が、報知部63に、対応する報知ランプ63cを発光させるように指示する。
【0090】
このようにして、本実施形態の塵芥収集車1では、積込装置5が停止した状態(巻き込み事故等の積込装置5に起因する事故が発生しない状態)で、画像Im1中の各ラインL1、L2の位置及び曲率の設定を行うことが可能である。
【0091】
以上の塵芥収集車1では、人特定手段が画像の被撮像物から人物を幾何学形状の枠で囲んで特定するよう構成され、該特定した人物の枠Frが、危険エリアAr1の危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたときに警告がなされるとともに、枠Frが、危険エリアAr1の警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに積込装置5の作業の停止がなされるため、危険エリアAr1に侵入した人が積込装置5に巻き込まれることを精度良く防止することができる。具体的に、本実施形態の塵芥収集車1では、人物が上体をのけぞった姿勢で手を伸ばした場合であっても、人物の危険エリアAr1側への越境があると判断され、積込装置5の作業の停止や警告がなされる。
【0092】
また、本実施形態の塵芥収集車1では、塵芥収集車1の作業環境や撮像画像に応じて、各ラインL1、L2のカメラ61が撮像した画像Im1内における位置及び形状(線形状)の少なくとも一方(例えば、位置及び線形状の両方)を変更することで、危険エリアAr1に侵入した人が積込装置5に巻き込まれることをさらに精度良く防止することができる。
【0093】
さらに、本実施形態の塵芥収集車1では、枠Frの形状を四角形状や円形状のように単純な形状とすることで、人特定手段71による特定処理や越境判断手段73による判断処理を容易に行うことができる。
【0094】
本実施形態の塵芥収集車1では、ランプ8は、拡散手段81による光の拡散により、カメラ61が撮像する撮像範囲の少なくとも一部(画像Im1の少なくともライン(境界ライン)Lを挟んで危険エリアAr1の内外に対応する一部と重なる範囲)を満遍なく同等の輝度で照射することができるため、画像Im1内の越境を判断する際に関係する範囲の明暗の差を小さくできる。このため、制御部7が越境を判断する精度を向上することができる。
【0095】
また、本実施形態の塵芥収集車1では、発光体80の光軸A2が危険エリアAr1に向いていることにより、ランプ8は危険エリアAr1を確実に照射することができるため、作業者が積込装置5に接近したときの検知を精度良く行うことができる。
【0096】
さらに、本実施形態の塵芥収集車1では、画像Im1内で危険ライン(停止境界ライン)L1と発光体80の光軸A2が交差することにより、ランプ8が、危険ラインL1を確実に照射することができるため、作業者が積込装置5に接近したときの作業実行の停止を精度良く行うことができる。
【0097】
本実施形態の塵芥収集車1では、第一のランプ8a及び第二のランプ8bによる照射範囲R1、R2が少なくとも部分的に重なることにより(図2(a)参照)、この照射範囲R1、R2の死角を小さくすることで、カメラ61が撮像する撮像範囲を満遍なく同等の輝度で照射することができるため、画像Im1内の明暗の差を確実に小さくできる。
【0098】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。
【0099】
上記実施形態の塵芥収集車1では、境界ラインLとして危険ラインL1及び警告ラインL2の両方が設けられていたが、境界ラインLとして危険ラインL1のみが設けられていてもよく、この場合、特定した人物の枠Frが、危険エリアAr1の危険ラインL1を危険エリアAr1側に越えたときに積込装置5の作業の停止のみがなされることとなる。また、境界ラインLとして、警告ラインL2のみが設けられていてもよく、この場合、枠Frが、危険エリアAr1の警告ラインL2を危険エリアAr1側に越えたときに警告のみがなされることとなる。
【0100】
さらに、上記実施形態の塵芥収集車1では、危険ラインL1は一本設けられていたが、危険ラインL1は複数設けられていてもよい。また、警告ラインL2は一本設けられていたが、警告ラインL2は複数設けられていてもよい。以下、危険ラインL1及び警告ラインL2が二本ずつ設けられる場合について説明する。
【0101】
本実施形態の境界付加手段721は、図9に示すように、カメラ61からの画像Im1(画像データ上)に、危険ライン(停止境界ライン)L1と警告ラインL2との二種類のラインを付加する。即ち、ラインLは、危険ラインL1と、警告ラインL2と、を含む。
【0102】
この危険ラインL1は、制御部7が積込装置5の作業実行を停止するよう制御するためのラインであり、カメラ61からの画像Im1における危険エリアAr1(積込装置5)に近い側の第一危険ライン(近側停止境界ライン)L11と、画像Im1における危険エリアAr1(積込装置5)から遠い側の第二危険ライン(遠側停止境界ライン)L12と、を含む。
【0103】
また、警告ラインL2は、作業者等が危険エリアAr1(危険ラインL1)に接近していることを報知部63が報知するよう制御するためのラインであり、カメラ61からの画像Im1における危険エリアAr1(積込装置5)に近い側の第一警告ラインL21と、画像Im1における危険エリアAr1(積込装置5)から遠い側の第二警告ラインL22と、を含む。
【0104】
これら二つの警告ラインL21、L22は、対応する危険ラインL11、L12より投入開口部41からの距離が大きくなる位置にそれぞれ設定されている。具体的には、画像Im1において、第一警告ラインL21が第一危険ラインL11の上側で且つ第二危険ラインL12より下側に設定され、第二警告ラインL22が第二危険ラインL12の上側に設定されている。
【0105】
境界位置設定手段722は、カメラ61からの画像Im1内での各ラインL11、L12、L21、L22の位置を設定(変更)する。詳しくは、操作部57がカメラ61からの画像Im1内でのラインL11、L12、L21、L22の位置(境界位置)を入力することができる境界位置入力部(境界位置入力手段)571を有し、境界位置設定手段722は、操作部57の境界位置入力部571からの入力に基づいて、画像Im1における各ラインL11、L12、L21、L22の位置(本実施形態の例では、上下方向の位置)を変更する。本実施形態の境界位置設定手段722は、画像Im1内での各ラインL11、L12、L21、L22の位置を上下方向に変更できる。この境界位置設定手段722は、画像Im1内における各ラインL11、L12、L21、L22の位置を個別に変更する構成でもよく、全てのラインL11、L12、L21、L22を一緒に(同時に)変更する構成でもよい。
【0106】
境界曲率設定手段723は、カメラ61からの画像Im1内での各ラインL11、L12、L21、L22の曲率を設定(変更)する。境界位置設定手段722によって設定された(位置を変更された)各ラインL11、L12、L21、L22の画像Im1内における光軸相当位置からの距離に基づき、各ラインL11、L12、L21、L22の画像Im1内での曲率(詳しくは、各ラインL11、L12、L21、L22の各部位の曲率)を設定(変更)する。これにより、カメラ61からの画像Im1内におけるラインL11、L12、L21、L22の位置が境界位置設定手段722によって変更されたときに、この位置の変更に応じて(画像Im1における光軸相当位置からの距離の変化に応じて)ラインL11、L12、L21、L22の形状(各部位の曲率)が変化する。即ち、画像Im1内での位置が変更された各ラインL11、L12、L21、L22は、レンズ611の歪曲収差に応じて変形する。
【0107】
また、境界曲率設定手段723は、境界位置設定手段722による画像Im1内での各ラインL11、L12、L21、L22の位置の設定の有無にかかわらず、各ラインL11、L12、L21、L22の曲率を設定(変更)できる。具体的には、操作部57がカメラ61からの画像Im1内での各ラインL11、L12、L21、L22の曲率を入力することができる境界曲率入力部(境界曲率入力手段)572を有し、境界曲率設定手段723は、操作部57の境界曲率入力部572からの入力に基づいて、各ラインL11、L12、L21、L22の画像Im1内での曲率を設定(変更)する。
【0108】
越境判断手段73は、カメラ61からの画像Im1において人物像Im2が各ラインL11、L12、L21、L22を危険エリアAr1側に越えたか否かを判断する。
【0109】
具体的に、越境判断手段73は、画像Im1において人特定手段71が特定した枠Frにおける危険エリアAr1(積込装置5)に近い側の端部(近端部)Fr1が第一危険ラインL11を危険エリアAr1側に越え、且つ、枠Frにおける危険エリアAr1(積込装置5)から遠い側の端部(遠端部)Fr2が第二危険ラインL12を危険エリアAr1側に越えていると判断したときに、指示手段74の停止指示手段741に指示信号を出力する。このため、越境判断手段73は、画像Im1において枠Frの近端部Fr1が第一危険ラインL11を危険エリアAr1側に越えても、枠Frの遠端部Fr2が第二危険ラインL12を危険エリアAr1側に越えない場合には、指示手段74の停止指示手段741に指示信号を出力しない。尚、越境判断手段73が指示信号を出力する場合において、枠Frの遠端部Fr2は、第一危険ラインL11と第二危険ラインL12との間に位置している。
【0110】
また、越境判断手段73は、枠Frの近端部Fr1が第一警告ラインL21を危険エリアAr1側に越え、且つ、枠Frの遠端部Fr2が第二警告ラインL22を危険エリアAr1側に越えていると判断したときに、指示手段74の警告指示手段742に指示信号を出力する。このため、越境判断手段73は、画像Im1において枠Frの近端部Fr1が第一警告ラインL21を危険エリアAr1側に越えても、枠Frの遠端部Fr2が第二警告ラインL22を危険エリア側に越えない場合には、指示手段74の警告指示手段742に指示信号を出力しない。尚、越境判断手段73が指示信号を出力する場合において、枠Frの遠端部Fr2は、第一警告ラインL21と第二警告ラインL22との間に位置している。
【0111】
報知指示手段752は、停止維持手段751が積込装置5を停止維持させた状態で(即ち、制御部7の試運転が実行されている間)枠Frの近端部Fr1と遠端部Fr2とがそれぞれ対応する各ラインL11、L12、L21、L22を危険エリアAr1側に越えたと越境判断手段73が判断したときに、報知部63に報知を指示する。
【0112】
具体的に、報知指示手段752は、カメラ61からの画像Im1において枠Frの近端部Fr1が第一警告ラインL21を危険エリアAr1側に越え、且つ、枠Frの遠端部Fr2が第二警告ラインL22を危険エリアAr1側に越えたときに、報知部63において対応する報知ランプ63bを発光させるように指示する。さらに、報知指示手段752は、画像Im1において枠Frの近端部Fr1が第一危険ラインL11を危険エリアAr1側に越え、且つ、枠Frの遠端部Fr2が第二危険ラインL12を危険エリアAr1側に越えたときに、報知部63において対応する報知ランプ63cを発光させるように指示する。
【0113】
この構成によれば、カメラ61からの画像Im1に含まれる人物の枠Frの近端部Fr1が積込装置5に近い側の第一危険ラインL11を越え、且つ、この人物の枠Frの遠端部Fr2が積込装置5から遠い側の第二危険ラインL12を越えたとき、即ち、この人物が確実に危険エリアAr1に浸入したと判断できる場合に、積込装置5の作業を確実に停止することができる。
【0114】
さらに、この構成では、画像Im1内で、第一危険ライン(近側停止境界ライン)L11、第二危険ライン(遠側停止境界ライン)L12、及び、第一危険ラインL11と第二危険ラインL12との間のいずれかと発光体80の光軸A2が交差してもよい。
【0115】
この構成によれば、照射手段8が、第一危険ラインL11や第二危険ラインL12を照射することができるため、作業者が積込装置5に接近したときの作業実行の停止を精度良く行うことができる。
【0116】
なお、上記実施形態のカメラ61は、危険エリアAr1を上方から撮影していたが、危険エリアAr1を上方以外の方向から撮影してもよく、例えば、側方から撮影してもよい。この場合、各ラインL1、L2は、上下方向に延び且つ左右方向に離間して並ぶこととなる。具体的に、カメラ61からの画像Im1において、危険エリアAr1が左側に配置されている場合、危険ラインL1は、警告ラインL2よりも左側に位置することになる。また、カメラ61は、危険エリアAr1を正面や下方から撮像してもよい。
【0117】
また、前記実施形態では、レンズ611の形状(立体形状)は上下左右対称とされている。このため、光軸A1(画像Im1にゆがみのない部分に対応)は画像Im1の中心に一致する。一方、非対称形状のレンズ611を用いることもできる。この場合には、画像にゆがみのない部分が光軸A1に相当する。
【0118】
また、ライン(境界ライン)Lの曲率の設定に関し、任意の1点(前記実施形態では画像Im1の中央)の上下左右相対位置は保持したまま、ラインLまでの距離(すなわち曲率半径)を大きくしたり小さくしたりしてもよい。
【0119】
また、ライン(境界ライン)Lは、前記実施形態では湾曲した線状であったが、例えばレンズ611の光軸A1と一致するようにラインLが設定される場合には、直線状となることもある。また、ラインLが、複数の曲率半径の曲線が組み合わせされたものであってもよい。例えば、画像の中央と画像の左右両端部でラインLの曲率(曲率半径)が異なる場合である。また、ラインLの形状は画像Im1において左右非対称であってもよい。
【0120】
また、前記実施形態の指示手段74は、機能的に、停止指示手段741と警告指示手段742とを有するものであった。しかし、停止指示手段741、警告指示手段742の一方のみを有するものであってもよい。また、前記実施形態の指示手段74は、停止指示手段741と警告指示手段742とを有する不可分のひとつの手段であった。しかし、停止指示手段741と警告指示手段742が独立した別個の手段であってもよい。
【0121】
また、画像Im1内に更に、危険エリアを設定しないエリアである無視エリアを画定することもできる。無視エリアを画定する端部ラインは直線状で、画像Im1内で少なくとも左右いずれかの端部に設定される。ライン(境界ライン)Lは端部ラインに交わるように設定される。端部ラインは、例えば、図6等に示す画像Im1の左右いずれかの辺に平行な直線とできる。このようにして無視エリアを画定することにより、無視エリアに位置する操作部57を操作する作業者の人物像に対して危険判断はされない。このため、作業者が操作部57を操作するたびに警告がされることを防止できる。
【0122】
作業車両1は、ダンプトラック・車両運搬車(作業装置は傾斜やスライド移動する荷台が相当)、コンテナの積込装置を有するコンテナ運搬車(作業装置はコンテナの積み下ろしを行う積込装置が相当)、荷受台昇降装置付き車両(作業装置は昇降する荷受台と荷受台を昇降させる昇降機構が相当)、コンクリートミキサー車(作業装置はコンクリートドラム)、コンクリートポンプ車(コンクリート圧送ポンプやコンクリート分配用ブーム装置)クレーン車・高所作業車(ブーム)、掘削車(ブームや掘削用ドリル)、その他の作業車両であってもよく、特にPTO等を介して駆動源の回転を油空圧ポンプやブロワへ伝達することにより稼働する装置を有する場合は、作業装置5は当該稼働する装置、駆動源や油空圧ポンプ等のみならずそれらを連結する動力伝達シャフトも相当する。
【0123】
また、作業車両1が、例えばコンテナ運搬車、車両運搬車等であり、作業装置5が例えば荷受台昇降装置等であって、モーメンタリ式で動作される場合には、入力部がON操作されている場合に限って作業装置5が動作するものであってもよい。この場合の作業装置5は、モーメンタリ式ではなく、入力部がON操作されるとOFF操作されるまで動作が継続するオルタネイト式(保持型)で動作するものであってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…塵芥収集車(作業車両)、2…車台、3…塵芥収容箱、4…塵芥投入箱、5…積込装置(作業装置)、6…撮像部、7…制御部、21…運転室、31…開口部、41…投入開口部(投入部)、42…蓋、45…底部、51…ガイドレール、52…スライダ、53…押込板(押込部材)、53a…先端、54…ピン、55…プッシュシリンダ(圧縮駆動手段)、55c…シリンダ、55p…ピストン、56…プレスシリンダ(押込駆動手段)、56c…シリンダ、56p…ピストン、57…操作部、61…カメラ、62…支持部、63…報知部(報知手段)、63a…第一の報知ランプ(報知ランプ)、63b…第二の報知ランプ(報知ランプ)、63c…第三の報知ランプ(報知ランプ)、71…人特定手段、72…境界設定手段、73…越境判断手段、74…指示手段、75…試運転制御手段、8…照射ランプ(照射手段)、8a…第一の照射ランプ(照射体)、8b…第二の照射ランプ(照射体)、80…発光体、81…拡散手段、410…開口上縁、411…開口下縁、551、552、561…ピン、571…境界位置入力部(境界位置入力手段)、572…境界曲率入力部(境界曲率入力手段)、573…試運転スイッチ(試運転入力手段)、611…広角レンズ(レンズ)、612…撮像素子、621…基部、622…ブラケット、622a…基端部、622b…先端部、623…軸部材、624…カバー板、721…境界付加手段、722…境界位置設定手段、723…境界曲率設定手段、741…停止指示手段、742…警告指示手段、751…停止維持手段、752…報知指示手段、810…拡散カバー、811…拡散ベース、A1、A2…光軸、Ar1…危険エリア、Ar2…危険エリアAr1以外のエリア、Fr…枠、Fr1…近端部(端部)、Fr2…遠端部(端部)、Im1…画像(画像データ、動画像、動画像データ)、Im2…人物像、L…ライン(境界ライン)、L1…危険ライン(ライン、停止境界ライン)、L2…警告ライン(ライン)、L11…第一危険ライン(近側停止境界ライン、危険ライン、ライン)、L12…第二危険ライン(遠側停止境界ライン、危険ライン、ライン)、L21…第一警告ライン(警告ライン、ライン)、L22…第二警告ライン(警告ライン、ライン)、M…バックモニタ、R1…第一の照射範囲、R2…第二の照射範囲
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9