(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088136
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】運動補助具
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220607BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20220607BHJP
A63B 69/38 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
A63B69/36 501Z
A63B69/00 505A
A63B69/00 505B
A63B69/00 504B
A63B69/38 Z
A63B69/00 506
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200409
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】509097840
【氏名又は名称】エー・アンド・エー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520475274
【氏名又は名称】北川 裕規
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】北川 裕規
(57)【要約】
【課題】運動具を手で持った使用者の精神的要因を解消させてスムーズに動作させることが可能となり、また、使用者における運動具の使用感を高めることが可能な運動補助具を提供する。
【解決手段】使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具10Aに装着される運動補助具1Aであって、振動を発生する加振装置2と、加振装置2を運動具10Aに保持させる保持部材3と、を備え、加振装置2は、運動具10Aを持った使用者の手が知覚可能な振幅及び周波数の振動を発生する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具に装着される運動補助具であって、
振動を発生する加振装置と、
前記加振装置を前記運動具に保持させる保持部材と、を備え、
前記加振装置は、前記運動具を持った使用者の手が知覚可能な振幅及び周波数の振動を発生する、運動補助具。
【請求項2】
前記保持部材は、前記運動具の棒状部分に取り付けるための取り付け部を備え、
前記加振装置の振動は、前記保持部材を介して前記運動具に伝達される、請求項1に記載の運動補助具。
【請求項3】
前記取り付け部は、前記棒状部分に対して着脱可能に設けられる、請求項2に記載の運動補助具。
【請求項4】
前記保持部材は、前記加振装置が差し込まれることで前記加振装置を保持する挿入部を備え、
前記加振装置は、前記挿入部から取り出し可能である、請求項2又は請求項3に記載の運動補助具。
【請求項5】
前記加振装置は、前記運動具の重心の位置に基づいて前記保持部材により配置される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の運動補助具。
【請求項6】
前記加振装置は、前記運動具に設けられた穴部内に配置され、
前記保持部材は、前記加振装置を前記穴部内に保持させる、請求項1に記載の運動補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブ、テニス用ラケット、バドミントン用ラケット、卓球用ラケット、野球用バット、野球用ボールなどの運動具は、使用者が手に持って腕を振ることで利用される。このような運動具に装着される運動補助具としては、例えば、ゴルフクラブのシャフト又はヘッド部分に装着され、使用者がゴルフクラブを振ることでスイングスピード等を計測可能とする構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の運動補助具は、使用者における精神的要因を解消させて、動作をスムーズにさせる効果に乏しい。上記したゴルフクラブ等の運動具を用いた使用者の動作は、静止状態から開始されることが多い。このため、使用者の精神的要因から動作を開始できない、又は動作開始をスムーズにできないといった、いわゆるイップスが生じる場合がある。また、ゴルフスイングの場合、スイング開始からバックスイング後のトップ位置で一旦静止状態(又はほぼ静止状態)となり、ダウンスイングに移るが、このようなトップ位置での静止状態からダウンスイングへ切り返す際にもイップスによってスムーズな動作を行うことができないといった場合がある。さらにゴルフ競技においては、パットの重要性から使用者の精神状態を圧迫することも多く、パッティングをスムーズに行うことができなくなる場合がある。イップスが生じると、競技以外の練習時においてもスムーズな動作を行うことが難しくなり、イップスの克服に長時間を要することになる。また、ゴルフクラブ以外の他の運動具を用いた場合も、静止状態から動作が開始される場合は、ゴルフスイングと同様にイップスが生じる可能性があり、その克服に長時間を要することがある。
【0005】
また、ゴルフクラブ等の運動具は、使用者が手に持って使用されるため、運動具に触れる手指の触感が重要である。この触感によって使用者の緊張を緩和させてリラックスさせることも可能である。このため、運動補助具は、使用者が運動具を把持して腕を振る際に、使用者における運動具の使用感を高めることが望まれている。上記した特許文献1の運動補助具は、このような使用者に対する使用感の向上を図っていない。
【0006】
本発明は、運動具を手で持った使用者の精神的要因を解消させてスムーズに動作させることが可能となり、また、使用者における運動具の使用感を高めることが可能な運動補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る運動補助具は、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具に装着される運動補助具であって、振動を発生する加振装置と、加振装置を運動具に保持させる保持部材と、を備え、加振装置は、運動具を持った使用者の手が知覚可能な振幅及び周波数の振動を発生する。
【0008】
また、上記した運動補助具において、保持部材は、運動具の棒状部分に取り付けるための取り付け部を備え、加振装置の振動は、保持部材を介して運動具に伝達されてもよい。また、上記した運動補助具において、取り付け部は、棒状部分に対して着脱可能であってもよい。また、上記した運動補助具において、保持部材は、加振装置が差し込まれることで加振装置を保持する挿入部を備え、加振装置は、挿入部から取り出し可能であってもよい。また、上記した運動補助具において、加振装置は、運動具の重心の位置に基づいて保持部材により配置されてもよい。また、上記した運動補助具において、加振装置は、運動具に設けられた穴部内に配置され、保持部材は、加振装置を穴部内に保持させてもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記した態様に係る運動補助具によれば、加振装置によって発生した振動が、運動具を持った使用者の手で知覚されるので、この運動具を持って腕を振る動作を行う際に使用者に対して運動具を動作させているのと同様の触感を与えることが可能となる。その結果、使用者の精神的要因を解消させることが可能となり、運動具を振る動作をスムーズに行うことが可能となる。また、使用者の手指には運動具から加振装置の振動が伝達されるので、運動具を持つ使用者の緊張を緩和させてリラックスさせることで運動具の使用感を高めることができる。
【0010】
また、保持部材が、運動具の棒状部分に取り付けるための取り付け部を備え、加振装置の振動が、保持部材を介して運動具に伝達される形態では、保持部材によって運動補助具を容易に運動具に取り付けることができる。また、取り付け部が、棒状部分に対して着脱可能な構成では、使用者が普段使用する運動具に運動補助具を取り付けることができ、専用の運動具を用意する必要がない。また、保持部材が、加振装置が差し込まれることで加振装置を保持する挿入部を備え、加振装置が、挿入部から取り出し可能である構成では、加振装置を容易に保持部材に保持させることができ、さらに加振装置を容易に交換することができる。また、加振装置が、運動具の重心の位置に基づいて保持部材により配置される構成では、加振装置の振動を効率よく運動具に伝達できる。また、加振装置が、運動具に設けられた穴部内に配置され、保持部材が、加振装置を穴部内に保持させる構成では、加振装置を確実に運動具に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る運動補助具をゴルフクラブ(ドライバー)に装着した例を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る運動補助具の例を示す斜視図である。
【
図4】運動補助具を装着した他の例を示し、(A)はアイアンに装着した例を示す斜視図、(B)はウェッジに装着した例を示す斜視図、(C)はパターに装着した例を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る運動補助具の例を示す斜視図である。
【
図6】第3実施形態に係る運動補助具を野球用バットに装着した例を示す図である。
【
図7】第4実施形態に係る運動補助具をテニス用ラケットに装着した例を示す図である。
【
図8】第5実施形態に係る運動補助具をバドミントン用ラケットに装着した例を示す図である。
【
図9】第6実施形態に係る運動補助具を卓球用ラケットに装着した例を示す図である。
【
図10】第7実施形態に係る運動補助具を野球用ボールに装着した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法が異なる場合がある。
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る運動補助具1Aについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る運動補助具1Aを、運動具であるゴルフクラブ(ドライバー)10Aに装着した例を示す斜視図である。ゴルフクラブは、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具である。なお、以下の説明では、
図1に示すゴルフクラブをドライバー10Aと称して説明する。ドライバー10Aは、グリップ11と、シャフト12と、ヘッド13と、を備えている。グリップ11は、シャフト12の一端側に形成されている。
【0014】
グリップ11は、使用者の手で把持されることで、使用者の身体の一部と接触する接触部Sを形成している。シャフト12は、グリップ11から一方向に延びており、ステンレス、カーボン等で形成されている。ヘッド13は、シャフト12の他端側に形成されている。ヘッド13は、ステンレス、チタンを含む合金などの金属材料、樹脂、木などで形成され、ゴルフボールを打撃する打撃部Hを形成している。
【0015】
図1に示すように、運動補助具1Aは、ドライバー10Aに装着される。運動補助具1Aは、加振装置2と、保持部材3Aと、を備えている。加振装置2は、ドライバー10Aに保持部材3Aによってシャフト12の一部に保持される。加振装置2は、予め設定された振幅及び周波数の振動が、シャフト12を介して接触部Sであるグリップ11に伝達されるように、ドライバー10Aに振動を印加する。
【0016】
図2は、加振装置2の構成を示す断面図である。
図2に示すように、加振装置2は、ハウジング201と、振動子202と、モータ203と、バッテリ204と、スイッチ205と、を備えている。ハウジング201は、加振装置2の外殻を形成している。ハウジング201は、例えば、樹脂、金属等により形成されている。本実施形態において、ハウジング201は、例えば、両端が半球状に形成された筒状に形成されている。なお、ハウジング201の形状については、図示した形状に限定するものではなく、適宜他の形状が用いられてもよい。
【0017】
振動子202、モータ203、及びバッテリ204は、ハウジング201内に収容されている。振動子202は、回転軸202aと、回転軸202aに対して偏心して取り付けられたウェイト202bと、を一体に備えている。ウェイト202bは、例えば金属で刑されている。回転軸202aは、モータ203の回転駆動軸に連結されている。モータ203は、例えば電動回転モータが用いられ、回転軸202aを回転駆動することで、ウェイト202bを軸AX周りに回転させる。
【0018】
バッテリ204は、モータ203に電力を供給する。なお、バッテリ204は、交換可能な一次電池であってもよいし、充電器に接続されて充電することが可能な二次電池であってもよい。スイッチ205は、ハウジング201の外表面に設けられている。スイッチ205は、モータ203の作動のオン・オフを切り換える。また、スイッチ205は、モータ203の回転数を多段階又は無段階に切り換え可能な操作を行える機能を備えてもよい。加振装置2は、モータ203によってウェイト202bを軸AX周りに偏心回転運動させることで、所定の振幅及び周波数の振動を発生させる。
【0019】
なお、加振装置2による振動の振幅は、ウェイト202bの交換、又はウェイト202bの偏心位置の変更により調整される。また、加振装置2による振動の振動数は、モータ203による単位時間あたり回転数によって調整される。加振装置2は、ドライバー10Aに装着されて使用されるので、使用者による違和感等を軽減するために小型かつ軽量であることが好ましい。
【0020】
図3は、運動補助具1Aの例を示す斜視図である。保持部材3Aは、加振装置2をドライバー10Aに装着する。
図3に示すように、保持部材3Aは、外形が直方体状の本体部301を有している。本体部301は、例えば、樹脂材料、金属材料等により形成されている。本体部301は、例えば、軟質な発泡系の樹脂材料により形成されてもよいし、硬質なステンレスなどにより形成されてもよい。保持部材3Aは、加振装置2とともにドライバー10Aに装着されて使用されるので、使用者による違和感等を軽減するために軽量であることが好ましい。従って、本体部301は、発泡系の樹脂材料により形成されることが好ましい。
【0021】
本体部301は、ドライバー10Aのシャフト12が挿通されるシャフト挿通部301aと、加振装置2が保持される挿入部301bと、を有している。シャフト挿通部301aは、本体部301を一方向に貫通して形成されている。シャフト挿通部301aは、一対の取り付け部301cを有している。保持部材3Aは、シャフト12をシャフト挿通部301aに入れた状態で、取り付け部301cに設けられている締め付けネジ301dを締め付けることで、シャフト12に固定される。シャフト挿通部301aは、締め付けネジ301dを緩めることで、一対の取り付け部301cの間が開き、シャフト12に対して着脱可能となっている。
【0022】
挿入部301bは、シャフト挿通部301aと平行な方向に本体部301を貫通して形成されている。加振装置2の直径と同一又はやや小さい内径に形成されている。挿入部301bは、加振装置2が挿入された状態で固定ネジ301eを締め付けることで、加振装置2を保持する。挿入部301bは、固定ネジ301eを緩めれば、加振装置2が挿入部301bに対して着脱可能となっている。保持部材3Aは、加振装置2の振動をシャフト12に伝達する。従って、加振装置2とシャフト12との間の距離や、本体部301の材質は、加振装置2の振動を適切にシャフト12に伝達できるように設定される。
【0023】
運動補助具1Aは、ドライバー10Aの重心Gの位置に基づいて装着される。
図1に示すように、運動補助具1Aは、例えば、ドライバー10Aの重心Gの近傍に装着される。この形態により、使用者がドライバー10Aを振ったときに、シャフト12に対して不要なねじれが生じるのを低減でき、ドライバー10Aの使用時における使用者の違和感を抑えることができる。なお、運動補助具1Aは、ドライバー10Aの重心Gの近傍に装着されることに限定されず、例えば、グリップ11の近傍、ヘッド13の近傍など、他の位置に装着されてもよい。
【0024】
このような運動補助具1Aは、ドライバー10Aの使用時に、加振装置2のスイッチ205を操作し、モータ203を作動させる。この操作により、振動子202のウェイト202bが回転軸202a周りに回転駆動され、加振装置2が振動する。加振装置2の振動の振幅及び周波数は、上記したようにウェイト202b及びモータ203の回転数に応じたものとなる。例えば、加振装置2は、スイッチ205でモータ203の回転数を、弱モードと強モードとの例えば2段階に切り換えることで、発生する振動の周波数を2段階に設定することも可能である。
【0025】
本実施形態において、加振装置2は、単体として、例えば、弱モードの場合に周波数約131Hz、振幅0.120mmの振動を発生し、強モードの場合に周波数約153Hz、振幅0.063mmの振幅の振動を発生する。加振装置2がこのような振動を発生させる場合、ドライバー10Aに装着した運動補助具1Aでは、例えば、弱モードの場合に周波数約105Hz、振幅0.095mmの振動を発生し、強モードの場合に周波数約135Hz、振幅0.031mmの振幅の振動を発生する。なお、この形態は一例であり、他の振動モードが適用されてもよい。
【0026】
運動補助具1Aからシャフト12に伝達された振動は、使用者が手指で把持するグリップ11(接触部S)に伝播される。使用者は、グリップ11に伝播された振動を感じることで、グリップ11が振動しない場合とは異なる感触を得ることができる。使用者は、この振動を感じることで静止状態のドライバー10Aとは異なる感触を持つため、ドライバー10Aに対する使用感を高めることが可能となり、さらに以下に示すような作用効果が期待される。
【0027】
(イップス対策)
スポーツ等のプレーヤーにおいて、それまで実行可能であったプレーが、緊張等の精神的要因により、急に思うようにできなくなる、イップスという現象が知られている。イップスは、脳の誤作動と、誤作動記憶が原因であると言われている。特に、脳・神経系の誤作動が、無意識の筋肉の緊張や感覚の異常に影響していると言われている。プレーヤーは、繰り返し行うトレーニング等によって、神経反応が自動化されており、特に意識せずとも、トレーニングで習得した高度なプレーが行える。イップスは、例えば過度なトレーニングや緊張等によって、脳や神経反応の誤作動が起き、自動化された神経回路が正常に機能しなくなることで生じると考えられる。
【0028】
このような状況下において、上記の運動補助具1Aでは、加振装置2で発生する振動がグリップ11を介して使用者(プレーヤー)に伝わることで、使用者は、通常と異なる刺激を感じながらゴルフスイング、パット等の動作を行うことが可能となる。その結果、使用者は、より多くの神経が刺激されながら動作を行うことで、自動化された神経回路とは異なる別の回路の構築が行われ、イップスから脱却できる可能性がある。
【0029】
(トレーニングの質向上)
また、上記の運動補助具1Aでは、加振装置2で発生する振動が、グリップ11を介して使用者に伝わることで、これまでにない刺激が追加される。その結果、使用者の体性感覚が、より多く刺激される。例えば、ドライバー10Aを鉛直方向に立てて手で把持した際には、手のひらに加わる力は手のひらに対して水平方向になってしまうため、手のひらで活動する神経は少なくなってしまうと考えられる。このとき、グリップ11が加振装置2により振動していると、振動情報として手のひらに刺激が加わる。このため、使用者は、例えば、ドライバー10Aの微細な傾きを認識できるようになる可能性が高い。このように、これまで認識できなかったドライバー10Aの状態に関する情報を使用者に知覚させることで、感覚的に状況を理解できるようになり、より微細な操作を身に着けることが可能になると考えられる。
【0030】
上記した第1実施形態では、運動補助具1Aがドライバー10Aに装着された例を示したが、この形態に限定されない。
図4は、運動補助具1Aを装着した他の例を示し、(A)はゴルフクラブのうちアイアン10Bに装着した例を示す斜視図、(B)はゴルフクラブのうちウェッジ10Cに装着した例を示す斜視図、(C)はゴルフクラブのうちパター10Dに装着した例を示す斜視図である。
図4(A)に示すように、運動補助具1Aは、アイアン10Bのシャフト12に装着されている。また、
図4(B)に示すように、運動補助具1Aは、ウェッジ10Cのシャフト12に装着されている。なお、ウェッジ10Cは、サンドウェッジ、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジと称される場合がある。
【0031】
また、
図4(C)に示すように、運動補助具1Bは、パター10Dのシャフト12に装着されている。パター10Dに装着される運動補助具1Bは、パター10Dが他のドライバー10A等と異なり、大きく振られるものではないため、別符号を付して区別している。すなわち、パター10Dに装着される運動補助具1Bは、運動補助具1Aよりも重く又は大きく(例えば、モータ203、バッテリ204が大きく)てもよく、専用の保持部材3Bが用いられている。ただし、運動補助具1Bは、運動補助具1Aと同一の形態であってもよい。
【0032】
これらの運動補助具1A、1Bにおいても、上記した実施形態と同様の作用効果が得られる。また、これらの運動補助具1A、1Bにおいても、アイアン10B、ウェッジ10C、パター10Dのそれぞれ重心Gの位置に応じてシャフト12に装着されてもよいし、グリップ11の近傍又はヘッド13の近傍に装着されてもよい。特に、パター10Dに装着される運動補助具1Bは、ヘッド13の近傍又はヘッド13に装着される形態であってもよい。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る運動補助具1Cについて説明する。上記した実施形態の運動補助具1A、1Bでは、保持部材3Aを用いてドライバー10A等のシャフト12に装着されているが、この形態に限定されない。
図5は、第2実施形態に係る運動補助具1Cの例を示す斜視図である。なお、上記した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0034】
図5に示すように、運動補助具1Cは、加振装置2と、バンド(保持部材)3Cと、を備える。バンド3Cは、帯状に形成され、加振装置2及びシャフト12を巻き付けた状態で保持する。バンド3Cは、例えば、ゴムなどの伸縮可能な弾性材料によって形成されてもよい。また、バンド3Cは、弾性材料によって環状に形成されてもよい。この運動補助具1Cにおいても、上記した実施形態と同様の作用効果が得られる。また、バンド3Cは、複数用いられてもよい。
【0035】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る運動補助具1Dについて説明する。
図6は、第3実施形態に係る運動補助具1Dを、運動具である野球用バット10Eに装着した例を示す図である。なお、上記した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。野球用バット10Eは、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具である。野球用バット10Eは、その一端側にグリップ21を有している。グリップ21は、使用者の手で把持されることで、使用者の手指と接触する接触部Sを形成している。打撃部23(H)は、野球用バット10Eの他端側に形成されている。打撃部23は、ボールを打撃する部分として用いられる。
【0036】
図6に示すように、運動補助具1Dは、加振装置2と、保持部材3Dと、を備えている。加振装置2は、野球用バット10Eに設けられている。加振装置2は、野球用バット10Eのグリップ21側の端部に形成された穴部24内に設置される。穴部24は、野球用バット10Eのグリップ21の端部から長手方向に沿ってグリップ21の部分にわたって形成されている。従って、加振装置2は、グリップ21の内側に配置される。穴部24の内径は、例えば、加振装置2の外径とほぼ同一に設定されている。保持部材3Dは、加振装置2が設置された穴部24を塞ぐように設けられている。その結果、加振装置2は、穴部24内において保持される。
【0037】
この運動補助具1Eにおいても、上記した第1実施形態と同様、野球用バット10Eの使用時に、加振装置2を作動させて振動を発生させる。加振装置2の振動は、使用者が手指で把持するグリップ21に伝播される。使用者は、グリップ21に伝播する振動を感じることで、スイング動作において上記と同様にイップスから脱却できる可能性がある。また、加振装置2の振動がグリップ21を介して使用者に伝わることで、使用者の体性感覚がより多く刺激され、上記と同様に、より微細な野球用バット10Eの動作を身に着けることが可能になる。また、加振装置2が接触部Sであるグリップ21の内部に形成された穴部24に設置されるので、加振装置2の振動がグリップ21を介して使用者の手指にダイレクトに伝わる。その結果、使用者は、加振装置2の振動をより高い感度で感じることができる。
【0038】
なお、第3実施形態では、加振装置2を穴部24内に設置しているが、この形態に限定されない。例えば、運動補助具1Eは、上記した第1実施形態又は第2実施形態と同様に、野球用バット10Eの一部(例えば、グリップ21と打撃部23との間の部分など)に装着されてもよい。
【0039】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る運動補助具1Eついて説明する。
図7は、第4実施形態に係る運動補助具1Eを、運動具であるテニス用ラケット10Fに装着した例を示す図である。なお、上記した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。テニス用ラケット10Fは、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具である。テニス用ラケット10Fは、その一端側にグリップ31を有している。グリップ31は、使用者の手で把持されることで、使用者の手指と接触する接触部Sを形成している。ガット部33は、テニス用ラケット10Fの他端側に形成されている。ガット部33は、テニスボールを打撃する打撃部Hである。
【0040】
図7に示すように、運動補助具1Eは、加振装置2と、保持部材3Eと、を備えている。運動補助具1Eは、テニス用ラケット10Fにおいてグリップ31とガット部33との間に装着されている。運動補助具1Eは、テニス用ラケット10Fの重心Gの位置に基づいて装着される。加振装置2は、保持部材3Eを介してテニス用ラケット10Fに保持されている。加振装置2は、保持部材3Aを介して接触部Sであるグリップ31に振動を伝達し、テニス用ラケット10Fに振動を印加する。
【0041】
保持部材3Eは、テニス用ラケット10Fの一部を挟むことで固定されている。保持部材3Eは、上記した保持部材3Aと同様に発泡性の樹脂材料等で形成されてもよいし、上記したバンド(保持部材)3Cであってもよい。運動補助具1Eがテニス用ラケット10Fの重心Gの位置に合わせて装着されることで、テニス用ラケット10Fを振ったときの違和感を軽減できる。また、運動補助具1Eは、図示した位置に装着されることに限定されず、例えば、グリップ31に装着されてもよい。また、上記した第3実施形態のように、運動補助具1Eがグリップ31内に埋め込まれる形態であってもよい。
【0042】
この運動補助具1Eにおいても、上記した第1実施形態と同様、テニス用ラケット10Fの使用時に、加振装置2を作動させて振動を発生させる。加振装置2の振動は、使用者が手指で把持するグリップ31に伝播されるので、スイング動作において上記と同様にイップスから脱却できる可能性がある。また、加振装置2の振動がグリップ31を介して使用者に伝わることで、使用者の体性感覚がより多く刺激され、上記と同様に、より微細なテニス用ラケット10Fの動作を身に着けることが可能になる。
【0043】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る運動補助具1Fついて説明する。
図8は、第5実施形態に係る運動補助具1Fを、運動具であるバドミントン用ラケット10Gに装着した例を示す図である。なお、上記した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。バドミントン用ラケット10Gは、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具である。バドミントン用ラケット10Gは、その一端側にグリップ41を有している。グリップ41は、使用者の手で把持されることで、使用者の手指と接触する接触部Sを形成している。ガット部43は、バドミントン用ラケット10Gの他端側に形成されている。ガット部43は、シャトル(シャトルコック)を打撃する打撃部Hである。
【0044】
図8に示すように、運動補助具1Fは、加振装置2と、保持部材3Fと、を備えている。運動補助具1Fは、バドミントン用ラケット10Gにおいてグリップ41とガット部43との間に装着されている。運動補助具1Fは、バドミントン用ラケット10Gの重心Gの位置に基づいて装着される。加振装置2は、保持部材3Fを介してバドミントン用ラケット10Gに保持されている。加振装置2は、保持部材3Fを介して接触部Sであるグリップ41に振動を伝達し、バドミントン用ラケット10Gに振動を印加する。
【0045】
保持部材3Fは、バドミントン用ラケット10Gの一部である棒状部分44を挟むことで固定されている。保持部材3Fは、上記した保持部材3Aと同様に発泡性の樹脂材料等で形成されてもよいし、上記したバンド(保持部材)3Cであってもよい。運動補助具1Fがバドミントン用ラケット10Gの重心Gの位置に合わせて装着されることで、バドミントン用ラケット10Gを振ったときの違和感を軽減できる。また、運動補助具1Fは、図示した位置に装着されることに限定されず、例えば、グリップ41に装着されてもよい。また、上記した第3実施形態のように、運動補助具1Fがグリップ41内に埋め込まれる形態であってもよい。
【0046】
この運動補助具1Fにおいても、上記した第1実施形態と同様、バドミントン用ラケット10Gの使用時に、加振装置2を作動させて振動を発生させる。加振装置2の振動は、使用者が手指で把持するグリップ41に伝播されるので、スイング動作において上記と同様にイップスから脱却できる可能性がある。また、加振装置2の振動がグリップ41を介して使用者に伝わることで、使用者の体性感覚がより多く刺激され、上記と同様に、より微細なバドミントン用ラケット10Gの動作を身に着けることが可能になる。
【0047】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る運動補助具1Gについて説明する。
図9は、第6実施形態に係る運動補助具1Gを、運動具である卓球用ラケット10Hに装着した例を示す図である。なお、上記した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。卓球用ラケット10Hは、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具である。卓球用ラケット10Hは、その一端側にグリップ51を有している。グリップ51は、使用者の手で把持されることで、使用者の手指と接触する接触部Sを形成している。ラバー部53は、卓球用ラケット10Hの他端側に形成されている。ラバー部53は、卓球用ボールを打撃する打撃部Hである。
【0048】
図9に示すように、運動補助具1Gは、加振装置2と、保持部材3Gと、を備えている。加振装置2は、卓球用ラケット10Hのグリップ51側の端部に形成された穴部54内に設置される。穴部54は、グリップ51の端部から長手方向に沿って形成されている。従って、加振装置2は、グリップ51の内側に配置される。穴部54の内径は、例えば、加振装置2の外径とほぼ同一に設定されている。保持部材3Gは、加振装置2が設置された穴部54を塞ぐように設けられている。その結果、加振装置2は、穴部54内において保持される。
【0049】
この運動補助具1Gにおいても、上記した第1実施形態と同様、卓球用ラケット10Hの使用時に、加振装置2を作動させて振動を発生させる。加振装置2の振動は、使用者が手指で把持するグリップ51に伝播されるので、スイング動作において上記と同様にイップスから脱却できる可能性がある。また、加振装置2の振動がグリップ51を介して使用者に伝わることで、使用者の体性感覚がより多く刺激され、上記と同様に、より微細な卓球用ラケット10Hの動作を身に着けることが可能になる。
【0050】
なお、第6実施形態では、加振装置2を穴部54内に設置しているが、この形態に限定されない。例えば、運動補助具1Gは、上記した第1実施形態等と同様に、卓球用ラケット10Hの一部(例えば、グリップ51の一部など)に装着されてもよい。
【0051】
[第7実施形態]
第7実施形態に係る運動補助具1Hについて説明する。
図10は、第7実施形態に係る運動補助具1Hを、運動具である野球用ボール10Jに装着した例を示す図である。なお、上記した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。野球用ボール10Jは、使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具である。野球用ボール10Jの表面62は、使用者の手で把持されることで、使用者の手指と接触する接触部Sを形成している。
【0052】
図10に示すように、運動補助具1Hは、加振装置2と、保持部材3Hと、を備えている。加振装置2は、野球用ボール10Jの表面62の一部から形成された穴部64内に設置される。穴部64は、野球用ボール10Jの中心(重心G)に向けて形成されている。従って、加振装置2は、野球用ボール10Jの内側に配置される。穴部64の内径は、例えば、加振装置2の外径とほぼ同一に設定されている。保持部材3Hは、加振装置2が設置された穴部64を塞ぐように設けられている。その結果、加振装置2は、穴部64内において保持される。
【0053】
この運動補助具1Hにおいても、上記した第1実施形態と同様、野球用ボール10Jの使用時に、加振装置2を作動させて振動を発生させる。加振装置2の振動は、使用者が手指で把持する表面62に伝播されるので、投球動作において上記と同様にイップスから脱却できる可能性がある。また、加振装置2の振動が表面62を介して使用者に伝わることで、使用者の体性感覚がより多く刺激され、投球時において野球用ボール10Jを変化させる動作を身に着けることが可能になる。
【0054】
なお、第7実施形態では、運動補助具1Hを野球用ボール10Jに装着しているが、使用者が手に持って腕を振ることで使用されるボールであれば、野球用ボール10Jに限定されない。例えば、ソフトボール用ボール、ハンドボール用ボール、ボウリング用の球などに運動補助具1Hが装着されてもよい。
【0055】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上記した実施形態などで説明した態様に限定されない。上記した実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、上記した実施形態において、加振装置2は、モータ203により振動子202を回転させる形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。加振装置2は、振動を発生可能であれば、様々な形状、構成の装置、部材等を用いることが可能である。
【0056】
また、運動補助具1A~1Hは、上記した運動具(10A~10J)に装着されて使用されることに限定されない。使用者が手に持って腕を振ることで使用される運動具であれば、他の運動具であってもよい。例えば、ホッケー又はアイスホッケー用スティック、新体操競技用のバトン、スキー用スティックなどの運動具に、上記した運動補助具1A~1Hが装着されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H・・・運動補助具
2・・・加振装置
3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3H・・・保持部材
3C・・・バンド(保持部材)
10A・・・ドライバー(ゴルフクラブ、運動具)
10B・・・アイアン(ゴルフクラブ、運動具)
10C・・・ウェッジ(ゴルフクラブ、運動具)
10D・・・パター(ゴルフクラブ、運動具)
10E・・・野球用バット(運動具)
10F・・・テニス用ラケット(運動具)
10G・・・バドミントン用ラケット(運動具)
10H・・・卓球用ラケット(運動具)
10J・・・野球用ボール(運動具)
11、21、31、41、51・・・グリップ
12・・・シャフト(棒状部分)
13・・・ヘッド
23・・・打撃部
33、43…ガット部
53・・・ラバー部
24、54、64・・・穴部
301・・・本体
301b・・・挿入部
301c・・・取り付け部
G・・・重心
H・・・打撃部
S・・・接触部