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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088143
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】マスク用スペーサ
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220607BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 Z
A41D13/11 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200427
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】520164770
【氏名又は名称】長谷川 耕三
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 耕三
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】既存のマスクに簡単に装着して使用者の鼻や口とマスクとの間に十分な隙間を形成することによって使用者の快適性を高めることができる経済性の高いマスク用スペーサを提供する。
【解決手段】マスク用スペーサ1は、幅方向に直線状に延びるプリーツ10aが上下方向に複数且つ互いに平行に形成されたマスク10の内面に着脱可能に装着される薄板状部材であって、折り曲げ可能で且つ折り曲げ時の保形性を有する材料で構成され、幅方向に延びる帯状のベース部1Aと、ベース部1Aの幅方向両端に形成された鍵状の一対の差込フック部1Bと、ベース部1Aの幅方向中央部に垂直に立設された正面視T字状の支柱部1Cを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に延びるプリーツが上下方向に複数且つ互いに平行に形成されたマスクの内面に着脱可能に装着される薄板状部材であって、
折り曲げ可能で且つ折り曲げ時の保形性を有する材料で構成され、
幅方向に延びる帯状のベース部と、該ベース部の幅方向両端に形成された鍵状の一対の差込フック部と、前記ベース部の幅方向中央部に垂直に立設された支柱部を備えることを特徴とするマスク用スペーサ。
【請求項2】
前記支柱部は、正面視略T字状であり、
前記各差込フック部は、前記ベース部の幅方向両端から垂直上方に立ち上がる垂直部と、該垂直部の上端から幅方向外側に向かって水平に延びる水平部と、該水平部の外端部から垂直下方に向かって延びる差込部とで横コの字状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスク用スペーサ。
【請求項3】
前記差込フック部の前記差込部の幅は、前記垂直部及び前記水平部の幅よりも狭く設定されていることを特徴とする請求項2に記載のマスク用スペーサ。
【請求項4】
前記差込フック部の前記垂直部と前記水平部及び前記差込部の幅は、同一に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のマスク用スペーサ。
【請求項5】
前記ベース部の幅方向中央と前記各差込フック部の基端部には、縦方向のミシン目または切込みがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のマスク用スペーサ。
【請求項6】
全体が合成樹脂材料又は紙材料からなる薄板状部材として構成されていることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のマスク用スペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに着脱可能に装着されるマスク用スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
衛生用や医療用マスクは、使用者の口や鼻に張り付くために息苦しさ、発汗や暑い時期における熱気のこもりによる不快感、口の動きを阻害することによる会話の不便さ、漏れる吐息によってメガネがくもる不具合などを使用者に与えるという問題を有している。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、可撓性及び屈曲させたときの保形性を有する金属またはプラスチック製の板材によって構成され、マスクの内面上部に接着されるマスク用ノーズフィット部材が提案されている。このマスク用ノーズフィット部材を用いれば、マスクの上端縁を使用者の鼻の形状に沿って屈曲させ、且つ、その屈曲形状を維持することができるため、息漏れが防がれ、メガネのくもりなどを防ぐことができる。
【0004】
また、特許文献2には、マスクが使用者の鼻と口を覆いつつ側面視においてマスクに膨らみを持たせるためのマスク用補助具が提案されており、このマスク用補助具は、マスクの内面に面ファスナーによって取り付けられる。
【0005】
さらに、特許文献3には、使用者の鼻背を覆って鼻の高さと角度に対応する接合部と、折込みギャザーを設けて鼻の高さと鼻部の空間を広げる細長パッドと、該細長パッドを肌に密着させる形状固定材を備え、鼻部と口部を別々に覆う立体マスクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3121403号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227260号公報
【特許文献3】実用新案登録第3207842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において提案されたマスク用ノーズフィット部材は、マスクからの息漏れを防ぐことはできるが、マスクを装着することによる息苦しさ、発汗や暑い時期における熱気のこもりによる不快感、口の動きを阻害することによる会話の不便さなどの問題を解決することは不可能である。また、このマスク用ノーズフィット部材は、マスクの内面に接着されるため、これを別のマスクに対して繰り返して使用することができず、不経済である。
【0008】
また、特許文献2において提案されたマスク用補助具及び特許文献3において提案された立体マスクによれば、使用者の鼻や口とマスクとの間に隙間(空間)が形成されるため、マスクを装着することによる息苦しさ、発汗や暑い時期における熱気のこもりによる不快感、口の動きを阻害することによる会話の不便さなどの問題は解決される。
【0009】
ところが、特許文献2において提案されたマスク用補助具は、それ自体が略椀状に成形されているために製造コストが高くなる他、当該マスク用補助具をマスクに取り付けるための面ファスナーが必要になる。
【0010】
また、特許文献3において提案された立体マスクは、構造が複雑である他、現在多く流通している市販のマスクを流用することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、既存のマスクに簡単に装着して使用者の鼻や口とマスクとの間に十分な隙間を形成することによって使用者の快適性を高めることができる経済性の高いマスク用スペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るマスク用スペーサ(1)は、幅方向に延びるプリーツ(10a)が上下方向に複数且つ互いに平行に形成されたマスク(10)の内面に着脱可能に装着される薄板状部材であって、折り曲げ可能で且つ折り曲げ時の保形性を有する材料で構成され、幅方向に延びる帯状のベース部(1A)と、該ベース部(1A)の幅方向両端に形成された鍵状の一対の差込フック部(1B)と、前記ベース部(1A)の幅方向中央部に垂直に立設された支柱部(1C)を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、マスク用スペーサは、そのベース部の幅方向中央部と幅方向両端の各差込フック部の基端部をそれぞれ所定角度だけ折り曲げ、折り曲げられた一対の差込フック部をマスク内面のプリーツの1つまたは隣接する2つに差し込んで引っ掛ければ、マスクの内面にワンタッチで簡単に取り付けられる。このようにマスク用スペーサがマスクの内面に取り付けられると、マスクは、マスク用スペーサの折り曲げ形状に倣って椀状に膨らむ。このとき、マスク用スペーサの支柱部は、使用者の鼻の前方においてマスクの幅方向中央を前方へと突き出すため、マスクの内面が使用者の鼻や口に接触することがなく、両者の間に十分な隙間(空間)が形成される。このため、マスクが使用者の口や鼻に張り付くための息苦しさ、発汗や暑い時期における熱気のこもりによる不快感、口の動きを阻害することによる会話の不便さ、漏れる吐息によってメガネが曇る不具合などを使用者に与えることがなく、使用者の快適性が高められる。そして、マスク用スペーサは、装着状態においてマスクに隠れて外側からは見えないため、マスクの外観性を損なうことがない。
【0014】
また、マスク用スペーサは、一般に普及している既製のマスクに対して接着剤による接着や粘着テープによる貼り付けなどをすることなく簡単に装着することができ、その後に使用される複数のマスクに対して繰り返して使用することができるために経済的である。或いは、マスク用スペーサ自体が安価であるため、使用後はマスク用スペーサをマスクと共に廃棄するようにしてもよい。
【0015】
さらに、マスク用スペーサは、使用前においては平面的な薄板状を成しているため、これの保管や輸送に場所を取らず、通信販売などの形態で販売する際の送料も安価で済む。
【0016】
ここで、前記支柱部(1C)は、正面視略T字状であり、前記各差込フック部(1B)は、前記ベース部(1A)の幅方向両端から垂直上方に立ち上がる垂直部(1a)と、該垂直部(1a)の上端から幅方向外側に向かって水平に延びる水平部(1b)と、該水平部(1b)の外端部から垂直下方に向かって延びる差込部(1c)とで横コの字状に形成されていてよい。
【0017】
この場合、前記差込フック部(1B)の前記差込部(1c)の幅(b1)は、前記垂直部(1a)及び前記水平部(1b)の幅(b2,b3)よりも狭く設定されていても良い。あるいは、前記差込フック部(1B)の前記垂直部(1a)と前記水平部(1b)及び前記差込部(1c)の幅(B)は、同一に設定されていても良い。
【0018】
上記のようにマスク用スペーサの差込フック部を構成することによって、この差込フック部の差込部をマスク内面のプリーツの1つまたは隣接する2つに差し込むことによって、該差込部と垂直部によってプリーツを挟持する形で当該マスク用スペーサがマスクに簡単に取り付けられて保持される。
【0019】
また、市販の不織布製マスクには、プリーツ形状が異なるマスクとして、一般に、複数のプリーツがすべて同一の向き(下向き)に折り曲げられたタイプのマスク(実施形態の図2に示すタイプのマスク)と、上下方向の中央部を境に上下対象の向きに折り曲げられたプリーツを有するタイプのマスク(実施形態の図6に示すタイプのマスク)があるが、本発明のマスク用スペーサは、上記構成を備えることで、これらいずれのタイプのプリーツを有するマスクにも装着が可能である。したがって、マスクの種類を選ばず装着することができ、市販の不織布製のマスクに広く適用が可能なマスク用スペーサとなる。
【0020】
また、前記ベース部(1A)の幅方向中央と前記各差込フック部(1B)の基端部には、縦方向のミシン目または切込み(2,3)がそれぞれ形成されていても良い。
【0021】
上記構成によれば、マスク用スペースのマスクへの装着に際して、そのベース部の幅方向中央と各差込フック部の基端部をミシン目や切込みの部分で簡単に折り曲げることができ、当該マスク用スペーサを所要の形状に折り曲げることができる。なお、マスク用スペーサは、これをマスクに装着した後にマスクと共に折り曲げるようにしても良い。
【0022】
さらに、マスク用スペーサ(1)は、その全体が合成樹脂材料又は紙材料からなる薄板状部材として構成されていても良い。
【0023】
上記構成によれば、マスク用スペーサのコストを低く抑えることができ、特にリサイクル可能な紙でマスク用スペーサを構成する場合には、使用後のマスク用スペーサを可燃ごみとして廃棄することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、マスク用スペーサを既存のマスクに簡単に装着して使用者の鼻や口とマスクとの間に十分な隙間を形成することによって使用者の快適性を高めることができるとともに、当該マスク用スペーサの経済性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るマスク用スペーサの正面図である。
図2】(a)はマスクを内面側から見た斜視図、(b)は(a)のX-X矢視断面を示す概略図である。
図3】本発明に係るマスク用スペーサの使用時の状態を示す斜視図である。
図4】(a),(b)は本発明に係るマスク用スペーサのマスクへの装着手順をその工程順に示す斜視図である。
図5】使用者がマスクを装着した状態を示す側面図である。
図6】(a)は種類の異なる別のマスクを内面側から見た斜視図、(b)は(a)のY-Y矢視断面を示す概略図である。
図7】(a),(b)は本発明に係るマスク用スペーサの図6に示すマスクへの装着手順をその工程順に示す斜視図である。
図8】本発明の別形態に係るマスク用スペーサの正面図である。
図9図8に示すマスク用スペーサの使用時の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は本発明に係るマスク用スペーサの正面図、図2(a)はマスクを内面側から見た斜視図、(b)は(a)のX-X矢視断面を示す概略図、図3は本発明に係るマスク用スペーサの使用時の状態を示す斜視図、図4(a),(b)は同マスク用スペーサのマスクへの装着手順をその工程順に示す斜視図、図5は使用者がマスクを装着した状態を示す側面図である。
【0028】
本実施の形態に係るマスク用スペーサ1は、折り曲げ可能で且つ折り曲げ時の保形性(折り曲げるとその形状を保持する性質)を有する材料、具体的にはプラスチック(合成樹脂材料)または紙で構成された薄板状部材であって、図1に示すように、幅方向に延びる帯状のベース部1Aと、該ベース部1Aの幅方向両端に形成された鍵状の一対の差込フック部1Bと、前記ベース部1Aの幅方向中央部に垂直に立設された正面視T字状の支柱部1Cを備えている。
【0029】
上記マスク用スペーサ1の左右一対の各差込フック部1Bは、ベース部1Aの幅方向両端から垂直上方に立ち上がる垂直部1aと、該垂直部1aの上端から幅方向外側に向かって水平に延びる水平部1bと、該水平部1bの外端部から垂直下方に向かって延びる差込部1cとで横コの字状に形成されている。そして、本実施の形態に係るマスク用スペーサ1においては、左右一対の各差込フック部1Bの差込部1cの幅b1は、垂直部1aの幅b2及び水平部1bの幅(最大幅)b3よりも狭く設定されている(b1<b2,b3)。
【0030】
なお、必要に応じて、マスク用スペーサ1のベース部1Aの幅方向中央と各差込フック部1Bの基端部に、その位置での折り曲げを容易にするための縦方向のミシン目または切込み2,3をそれぞれ形成しても良い。なお、ここでいう切込みとは、縦方向の折曲線の上限端それぞれに設けたV字型の切込み(ノッチ)などであってよい。あるいは、所定位置での折り曲げを容易にすることができるものであれば、これらミシン目または切込み以外にも、例えば、ベース部1Aの表裏面に形成した窪み線などであってもよい。マスク用スペーサ1が厚紙などの紙材からなる場合には、型押しなどによって窪み線を形成することができる。
【0031】
ここで、マスク用スペーサ1が装着されるマスク10の構成を図2に基づいて説明すると、マスク10は、一般に普及している既製のものであって、不織布によって構成された横長長方形のシート状の本体部10Aと、該本体部10Aの左右両端縁の上下に取り付けられた左右の紐10Bによって構成されている。このマスク10を使用する場合には、使用者は、本体部10Aで自身の鼻と口を覆うように顔に当て、左右の紐10Bを左右の耳にそれぞれ掛けて本体部10Aを顔に密着させて保持する。なお、以下の説明においては、「マスク10」とは、特に断らない限り「本体部10A」を意味するものとする。
【0032】
そして、マスク10(本体部10A)には、幅方向に直線状に延びる複数(図示例では、3つ)のプリーツ(折り重ねられた部分)10aが上下方向に複数且つ互いに平行に形成されている。図2のマスク10は、複数のプリーツ10aがすべて同一の向き(下向き)に折り曲げられたタイプのマスクである。
【0033】
次に、以上のように構成されたマスク10に本実施の形態に係るマスク用スペーサ1を装着する要領を図3及び図4に基づいて説明する。
【0034】
マスク用スペーサ1を図2に示すタイプのマスク10に装着するには、図3に示すように、該マスク用スペーサ1のベース部1Aの幅方向中央(支柱部1Cの根元部分)と各差込フック部1Bの基端部を平面視「く」の字状に所定角度だけ折り曲げる。ここで、マスク用スペーサ1は、前述のように折り曲げ時の保形性を有するプラスチックまたは紙で構成されているため、折り曲げ後においても図3に示す形状を保持している。この場合、マスク用スペーサ1のベース部1Aの幅方向中央と各差込フック部1Bの基端部に、縦方向のミシン目または切込み2,3をそれぞれ形成しておくと、当該マスク用スペーサ1の折り曲げを容易且つ正確に行うことができる。
【0035】
図3に示すように折り曲げられたマスク用スペーサ1は、図4(a)に示すように、マスク10の内面のプリーツ10aの1つ(図示例では、一番下のもの)に左右の差込フック部1Bの差込部1cを上方から差し込む。すると、図4(b)に示すように、マスク10のプリーツ10aの1つがマスク用スペーサ1の左右の差込フック部1Bの差込部1cと垂直部1aによって挟持される形で、マスク用スペーサ1がマスク10の内面に引っ掛けられてワンタッチで簡単に取り付けられる。
【0036】
上述のようにマスク用スペーサ1がマスク10の内面に装着された状態で、本体部10Aの上下端辺の中央部を持って上下に引っ張ることでマスク10のプリーツ10aを広げると、マスク10は、マスク用スペーサ1の折り曲げ形状に倣って椀状に膨らんだ状態で開かれる。このとき、マスク用スペーサ1の支柱部1Cは、使用者の鼻の前方においてマスク10の幅方向中央を前方へと突き出すため、図5に示すように、マスク10を装着した使用者の鼻や口にマスク10の内面が直接接触することがなく、両者の間に十分な隙間(空間)が形成される。このため、マスク10が使用者の口や鼻に張り付くための息苦しさ、発汗や暑い時期における熱気のこもりによる不快感、口の動きを阻害することによる会話の不便さ、漏れる吐息によってメガネがくもる不具合などを使用者に与えることがなく、使用者の快適性が高められる。そして、マスク用スペーサ1は、装着状態においてマスク10に隠れて外側からは見えないため、マスク10の外観性を損なうことがない。
【0037】
なお、本実施の形態では、マスク用スペーサ1をマスク10に取り付ける前に折り曲げるようにしたが、マスク用スペーサ1をマスク10に装着した後に該マスク用スペーサ1をマスク10と共に折り曲げるようにしても良い。
【0038】
また、マスク用スペーサ1は、一般に普及している既製のマスク10に対して接着剤による接着や粘着テープによる貼り付けなどをすることなく簡単に装着することができ、その後に使用される複数のマスク10に対しても繰り返し使用することができるために経済的である。或いは、マスク用スペーサ1自体が安価であるため、使用後はマスク用スペーサ1をマスク10と共に廃棄するようにしてもよい。特に、マスク用スペーサ1が焼却可能な紙で構成されている場合には、使用後のマスク用スペーサ1をマスク10に装着したまま可燃ごみとして廃棄することができるため衛生的である。
【0039】
さらに、マスク用スペーサ1は、使用前においては図1に示すように平面的な薄板状を成しているため、これの保管や輸送に場所を取らず、通信販売などの形態で販売する際の送料も安価で済む。
【0040】
ところで、本実施の形態に係るマスク用スペーサ1は、図2に示すマスク10とは種類の異なる図6に示すマスク20にも同様に装着して前記と同様の効果を得ることができる。
【0041】
ここで、マスク20の構成と該マスク20へのマスク用スペーサ1の装着要領を図6図7(a),(b)に基づいて以下に説明する。
【0042】
すなわち、図6(a)は図2に示すマスク10とは種類の異なる別のマスク20を内面側から見た斜視図、(b)は(a)のY-Y矢視断面を示す概略図、図7(a),(b)はマスク用スペーサ1のマスク20への装着手順をその工程順に示す斜視図であり、これらの図においては図1図5において示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0043】
図6に示すマスク20は、本体部20Aの高さ方向(上下方向)中央に横方向に延びる平面部20bが形成されており、この平面部20bの上下に、折り返し方向が互いに逆のプリーツ20aがそれぞれ形成されている。すなわち、図6のマスク20は、複数のプリーツ20aが本体部20Aの上下方向の中央部を境に上下対象の向きに折り曲げられたタイプ(詳細には、中央部よりも上側のプリーツ20Aは上向きに折り曲げられ、下側のプリーツ20Aは下向きに折り曲げられたタイプ)のマスクである。なお、図7において、20Bは本体部20Aの左右に取り付けられた紐である。
【0044】
マスク用スペーサ1の図6に示すマスク20への装着は図7(a),(b)に示す手順に従ってなされる。
【0045】
すなわち、マスク用スペーサ1を図6に示すマスク20に装着するには、上記の図2に示すマスク10に装着する場合と同様、図3に示すように、マスク用スペーサ1のベース部1Aの幅方向中央(支柱部1Cの根元部分)と各差込フック部1Bの基端部を平面視「く」の字状に所定角度だけ折り曲げる。
【0046】
図2に示すように折り曲げられたマスク用スペーサ1は、図7(a)に示すようにマスク20の内面のプリーツ20aの1つ(図示例では、3段目のもの)に左右の差込フック部1Bの差込部1cを上方から差し込む。その状態で、マスク用スペーサ1を幾分上方へ持ち上げて左右の差込フック部1Bの各水平部1bをマスク20の2段目のプリーツ20aに下方から差し込む。すると、図7(b)に示すように、マスク用スペーサ1の左右の差込フック部1Bの差込部1cと水平部1b及び垂直部1aによってマスク20の2段目と3段目のプリーツ20aが挟持される形で、マスク用スペーサ1がマスク20の内面に引っ掛けられてワンタッチで簡単に取り付けられる。
【0047】
上述のようにマスク用スペーサ1がマスク20の内面に装着された状態で、本体部20Aの上下端辺の中央部を持って上下に引っ張ることでマスク20のプリーツ20aを広げると、マスク20は、マスク用スペーサ1の折り曲げ形状に倣って椀状に膨らむ。このとき、マスク用スペーサ1の支柱部1Cは、使用者の鼻の前方においてマスク20の幅方向中央を前方へと突き出すため、図5に示す場合と同様に、マスク20を装着した使用者の鼻や口にマスク20の内面が直接接触することがなく、両者の間に十分な隙間(空間)が形成される。
【0048】
ここで、本発明の別形態に係るマスク用スペーサ1-2を図8及び図9に示す。
【0049】
図8は本発明の別形態に係るマスク用スペーサの正面図、図9は同マスク用スペーサの使用時の状態を示す斜視図であり、図8に示すマスク用スペーサ1-2の基本構成は、図1に示すマスク用スペーサ1のそれと同じであるが、該マスク用スペーサ1-2の左右に設けられた各差込フック部1Bの垂直部1aと水平部1b及び差込部1cの幅寸法Bが全て同じである点のみが図1に示すマスク用スペーサ1とは異なっている。図1及び図3に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0050】
図8に示すマスク用スペーサ1-2を使用する際には、図9に示すように、該マスク用スペーサ1-2のベース部1Aの幅方向中央を平面視「く」の字状に所定角度だけ折り曲げる。そして、この状態で該マスク用スペーサ1-2をマスク用スペーサ1と同じ要領で図2に示すマスク10と図6に示すマスク20の何れにもワンタッチで簡単に装着して前述と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、以上の実施の形態では、マスク用スペーサ1、1-2を不織布製のマスクに装着する場合を例として説明したが、織布性のマスクに対しても本発明に係るマスク用スペーサを装着して前記と同様の効果を得ることができる。
【0052】
市販の不織布製マスクには、プリーツ形状が異なるマスクとして、一般に、図2に示すタイプのプリーツ10aを有するマスク10と、図6に示すタイプのプリーツ20aを有するマスク20があるが、本実施の形態のマスク用スペーサ1、1-2は、上記構成を備えることで、これらいずれのタイプのプリーツを有するマスクにも装着が可能である。したがって、マスクの種類を選ばず装着することができるので、市販の不織布製のマスクに広く適用が可能なマスク用スペーサとなる。
【0053】
本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,1-2 マスク用スペーサ
1A マスク用スペーサのベース部
1B マスク用スペーサの差込フック部
1C マスク用スペーサの支柱部
1a 差込フック部の垂直部
1b 差込フック部の水平部
1c 差込フック部の差込部
2,3 ミシン目または切込み
10,20 マスク
10a,20a マスクのプリーツ
B マスク用スペーサの差込フック部の幅
b1 差込フック部の差込部の幅
b2 差込フック部の垂直部の幅
b3 差込フック部の水平部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9