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特開2022-88186電子機器、修復装置、コンピュータプログラム、データ書込方法、及びデータ修復方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088186
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】電子機器、修復装置、コンピュータプログラム、データ書込方法、及びデータ修復方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20220607BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20220607BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
G06F3/06 304B
H04N5/77 200
G11B20/10 H
G06F3/06 305Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200481
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸行
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044DE68
5D044GK19
5D044HL02
5D044JJ03
(57)【要約】
【課題】データ修復の成功可能性を向上可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係る電子機器は、記録媒体と着脱可能に接続される。電子機器は、特殊書込処理として、データ修復用の特殊データを、記録媒体に複数書き込む処理(S120,S130)を実行するように構成される。特殊書込処理によれば、複数の特殊データのそれぞれが、記録媒体内に散在配置されるように、記録媒体に書き込まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ書込可能な記録媒体と着脱可能に接続される電子機器であって、
前記記録媒体に対するデータ修復用の特殊データを、前記記録媒体に複数書き込む処理であって、複数の特殊データのそれぞれを、前記記録媒体内に散在配置するように、前記記録媒体に書き込む特殊書込処理を実行する処理部
を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器であって、
前記複数の特殊データは、同一の特殊データを重複して複数備え、
前記特殊書込処理では、複数の同一の特殊データのそれぞれが、互いに前記記録媒体内で離れて配置されるように、前記記録媒体に書き込まれる電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電子機器であって、
前記記録媒体は、データ格納領域と、前記データ格納領域に格納されるデータの格納位置を管理するための管理領域とを備え、
前記特殊書込処理では、前記特殊データとして、前記管理領域を修復するための特殊データが、前記データ格納領域に書き込まれる電子機器。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項記載の電子機器であって、
前記特殊データは、前記記録媒体を使用する機器の種類を識別するための情報、又は、前記記録媒体を使用する機器による前記記録媒体へのデータ格納方式を識別するための情報を含む電子機器。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項記載の電子機器であって、
前記処理部は、前記記録媒体に対する初期化処理に続いて前記特殊書込処理を実行するように構成される電子機器。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか一項記載の電子機器であって、
前記処理部は、予め定められた処理によって生成されるデータである生成データの前記記録媒体に対する書込動作を繰返し実行し、前記特殊書込処理では、前記生成データの書込動作に併せて、一以上の特殊データを書き込む動作を繰返し実行することにより、前記複数の特殊データを前記記録媒体に書き込む電子機器。
【請求項7】
請求項6記載の電子機器であって、
前記処理部は、前記生成データの書込動作として、カメラからの入力信号に基づき生成された映像データを前記記録媒体に書き込む動作を繰返し実行するように構成される電子機器。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項記載の電子機器であって、
前記記録媒体内の複数の領域のそれぞれにおけるデータ破損回数に基づき、前記複数の領域のそれぞれにおいて実現されるべき前記特殊データの配置密度を設定する設定部
を更に備え、
前記複数の領域のそれぞれにおいて前記設定部によって設定された配置密度に対応する個数の前記特殊データが散在配置されるように、前記処理部によって、前記複数の領域のそれぞれに、前記特殊データが書き込まれる電子機器。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一項記載の電子機器であって、
前記記録媒体内の前記特殊データに基づき修復方式を選択し、選択した前記修復方式で前記記録媒体内のデータを修復するデータ修復部
を更に備える電子機器。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれか一項記載の電子機器によって前記複数の特殊データが書き込まれた前記記録媒体と着脱可能に接続される修復装置であって、
前記記録媒体内の前記特殊データに基づき修復方式を選択し、選択した前記修復方式で前記記録媒体内のデータを修復するデータ修復部を備える修復装置。
【請求項11】
請求項1~請求項9のいずれか一項記載の電子機器において前記処理部より実行される前記特殊書込処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項10記載の修復装置における前記データ修復部としての機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータにより実行されるデータ書込方法であって、
データ書込可能な記録媒体に、前記記録媒体に対するデータ修復用の特殊データを複数書き込む手順であって、複数の特殊データのそれぞれを、前記記録媒体内に散在配置するように、前記記録媒体に書き込む手順を含むデータ書込方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行されるデータ修復方法であって、
請求項13記載のデータ書込方法によって前記複数の特殊データが書き込まれた前記記録媒体内の前記特殊データに基づき修復方式を選択し、選択した前記修復方式で前記記録媒体内のデータを修復するデータ修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器及び修復装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体においてデータ破損が生じた際に、破損箇所を修復する技術が既に知られている。例えば、磁気ディスク装置におけるVTOC(Volume Table Of Contents)を、補助ラベルをもとに復旧する技術が既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この技術は、ファイル管理情報を磁気ディスク上の先頭に続いた領域として管理していると同時に各ファイルの先頭エリアにも、対応するファイルの管理情報を補助ラベルとして記憶している磁気ディスク装置を復旧対象とする。補助ラベルがVTOC内にファイルラベルとして書き込まれることにより、VTOCは復旧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-62624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、管理領域(例えばVTOC)とは異なるデータ領域でファイルの先頭に当該ファイルの管理情報をバックアップとして配置するだけである。このため、データ領域内で唯一バックアップされた管理情報が消失すると、管理領域を適切に修復することができない。すなわち、従来技術では、データ修復の成功可能性について改善の余地があった。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、データ修復の成功可能性を向上可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る電子機器は、データ書込可能な記録媒体と着脱可能に接続される電子機器であって、特殊書込処理として、記録媒体に対するデータ修復用の特殊データを、記録媒体に複数書き込む処理を実行するように構成された処理部を備える。特殊書込処理は、複数の特殊データのそれぞれを、記録媒体内に散在配置するように、記録媒体に書き込む処理である。
【0008】
特殊書込処理によって、予めデータ修復用の特殊データが記録媒体内で散在配置されることによれば、記録媒体内で一部の特殊データが消失しても、残りの特殊データに基づいて、記録媒体のデータ修復を実現可能である。従って、本開示の一側面によれば、記録媒体のデータ修復に関する成功可能性を向上させることができる。
【0009】
本開示の一側面によれば、上記複数の特殊データは、同一の特殊データを重複して複数備えることができる。この場合、特殊書込処理では、複数の同一の特殊データのそれぞれが、互いに記録媒体内で離れて配置されるように、記録媒体に書き込まれ得る。
【0010】
複数の同一の特殊データが記録媒体内に散在配置されることによれば、一部の特殊データが消失しても、残りの特殊データに基づき記録媒体のデータ修復を実現することができ、データ修復に成功する可能性が高まる。
【0011】
本開示の一側面によれば、電子機器の処理部は、データ格納領域と、データ格納領域に格納されるデータの格納位置を管理するための管理領域とを備える記録媒体のデータ修復のために、特殊書込処理を実行してもよい。この場合、特殊書込処理では、管理領域を修復するための特殊データが、データ格納領域に書き込まれ得る。データ格納領域において複数の特殊データを散在配置することによれば、管理領域の破損と併せて一部の特殊データが消失しても、管理領域を適切に修復できる可能性が高まる。
【0012】
本開示の一側面によれば、特殊データは、記録媒体を使用する機器の種類を識別するための情報を含むことができる。あるいは、特殊データは、記録媒体を使用する機器による記録媒体へのデータ格納方式を識別するための情報を含むことができる。本開示の一側面によれば、処理部は、こうした特殊データに含まれる情報と、記録媒体内のデータ構造に関する予備知識とに基づいて、記録媒体内を適切に修復し得る。
【0013】
本開示の一側面によれば、処理部は、記録媒体に対する初期化処理に続いて特殊書込処理を実行するように構成され得る。初期化処理に続いて、特殊データを散在的に書き込むことによれば、その後に発生し得るデータ破損(データ消失を含む)に適切に備えることができる。
【0014】
本開示の一側面によれば、処理部は、予め定められた処理によって生成されるデータである生成データの記録媒体に対する書込動作を繰返し実行するように構成され得る。処理部は、生成データの書込動作に併せて、一以上の特殊データを書き込む動作を繰返し実行することにより、複数の特殊データを記録媒体に書き込むように構成され得る。こうした書込方式によれば、特殊データの書込に関する処理負荷を抑えることができる。
【0015】
本開示の一側面によれば、処理部は、生成データの書込動作として、カメラからの入力信号に基づき生成された映像データを記録媒体に書き込む動作を繰返し実行するように構成されてもよい。映像データを記録する電子機器に、本開示の技術を提供することによっては、データ修復ができないことにより、記録媒体内に格納された映像データの閲覧が不可能になる可能性を抑制することができる。
【0016】
本開示の一側面によれば、電子機器は、記録媒体内の複数の領域のそれぞれにおけるデータ破損回数に基づき、複数の領域のそれぞれにおいて実現されるべき特殊データの配置密度を設定する設定部を更に備えてもよい。
【0017】
本開示の一側面によれば、電子機器は、複数の領域のそれぞれにおいて設定部によって設定された配置密度に対応する個数の特殊データが散在配置されるように、処理部によって、複数の領域のそれぞれに、特殊データが書き込まれてもよい。こうした領域毎の密度設定によれば、データ修復能力を高めることができる。
【0018】
本開示の一側面によれば、電子機器は更に、記録媒体内の特殊データに基づき修復方式を選択し、選択した修復方式で記録媒体内のデータを修復するデータ修復部を備えることができる。
【0019】
本開示の一側面によれば、上記電子機器によって複数の特殊データが書き込まれた記録媒体と着脱可能に接続される修復装置であって、記録媒体内の特殊データに基づき修復方式を選択し、選択した修復方式で記録媒体内のデータを修復するデータ修復部を備える修復装置が提供されてもよい。この修復装置によれば、記録媒体内のデータ修復を、記録媒体内に散在配置された特殊データに基づいて、適切に実行することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、上記電子機器又は修復装置が有する機能の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、上記処理部より実行される特殊書込処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、修復装置におけるデータ修復部としての機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【0021】
本開示の一側面によれば、上記電子機器又は修復装置で実行される方法に関するコンピュータ実行方法が提供されてもよい。例えば、本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行されるデータ書込方法であって、データ書込可能な記録媒体に、記録媒体に対するデータ修復用の特殊データを複数書き込む手順であって、複数の特殊データのそれぞれを、記録媒体内に散在配置するように、記録媒体に書き込む手順を含むデータ書込方法が提供されてもよい。このデータ書込方法によれば、記録媒体のデータ修復に関する成功可能性を向上させることができる。
【0022】
本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行されるデータ修復方法であって、上記データ書込方法によって複数の特殊データが書き込まれた記録媒体内の特殊データに基づき修復方式を選択し、選択した修復方式で記録媒体内のデータを修復するデータ修復方法が提供されてもよい。このデータ修復方法によれば、記録媒体のデータ修復に関する成功可能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ドライブレコーダの構成を表すブロック図である。
図2】制御部が実行するフォーマット関連処理を表すフローチャートである。
図3】フォーマットにより記録メディアに生成される領域を説明する図である。
図4】記録メディアに書き込まれるマーカの配置に関する説明図である。
図5】制御部が保存対象データの書き込み時に実行する処理を表すフローチャートである。
図6】保存対象データが書き込まれた後のマーカの第一の配置を説明する図である。
図7】保存対象データが書き込まれた後のマーカの第二の配置を説明する図である。
図8】修復装置の構成を表すブロック図である。
図9】修復装置のプロセッサが実行する分析修復処理を表すフローチャートである。
図10】第二実施形態において制御部10が保存対象データの書き込み時に実行する処理を表すフローチャートである。
図11図11A及び図11Bは、保存対象データ及びマーカの書き込みに関する説明図である。
図12】制御部が実行する破損記録処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示す本実施形態のドライブレコーダ1は、四輪自動車等の車両に搭載されて使用されるドライブレコーダである。ドライブレコーダ1は、例えば車室内において車両前方を撮影可能な位置に配置される。
【0025】
このドライブレコーダ1は、制御部10、カメラ21、マイクロフォン23、画像処理回路25、メディアリーダ/ライタ30、ディスプレイ40、スピーカ50、及び入力インタフェース60を備える。
【0026】
制御部10は、プロセッサ11と、メモリ13とを備える。プロセッサ11は、メモリ13が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、ドライブレコーダ1の各部を制御する。以下において説明する制御部10が実行する処理は、プロセッサ11が、コンピュータプログラムに従って実行する処理と理解されてもよい。
【0027】
メモリ13は、RAM、ROM、及び不揮発性RAMであるNVRAMを備える。ROMは、コンピュータプログラムを記憶する。RAMは、コンピュータプログラムに従う処理実行時に作業領域として使用される。NVRAMは、設定データを記憶するために使用される。
【0028】
カメラ21は、車両前方を撮影可能に設けられる。カメラ21は、車両周囲及び車室内の複数箇所を撮影するために、複数のカメラを備えてもよい。マイクロフォン23は、ドライブレコーダ1が設置された空間の音声を収集可能に設けられる。
【0029】
画像処理回路25は、カメラ21から入力される映像信号及びマイクロフォン23から入力される音声信号に基づいて、音声を含む記録用の映像データを生成し、制御部10に入力する。制御部10は、この映像データを記録メディア35に記録するように動作する。
【0030】
記録メディア35は、汎用の記録メディアであり、ユーザの手作業により、メディアリーダ/ライタ30に装着される。記録メディア35は、例えば、NAND型フラッシュメモリ及びメモリコントローラICを内蔵する記録メディアであり得る。この記録メディア35の例には、SDカードが含まれる。
【0031】
メディアリーダ/ライタ30は、制御部10が、記録メディア35に映像データを記録したり、再生対象の映像データを読み出したりするために使用される。メディアリーダ/ライタ30は、記録メディア35を着脱可能に構成され、制御部10に制御されて、記録メディア35に対するデータ読込及びデータ書込を行うように構成される。
【0032】
データ書込に際しては、メディアリーダ/ライタ30を通じて、制御部10から指定されたデータ格納先アドレスに対応する記録メディア35内の領域に、制御部10から指定されたデータが書き込まれる。記録メディア35では、制御部10から指定された論理アドレスに対応する物理アドレスに、制御部10から指定されたデータが書き込まれ得る。
【0033】
ディスプレイ40は、例えば液晶ディスプレイであり、制御部10に制御されて、設定画面や再生画面等のユーザ向けの各種画面を表示する。スピーカ50は、制御部10に制御されて、各種音声を出力する。
【0034】
入力インタフェース60は、ドライブレコーダ1を操作するユーザからの操作信号を制御部10に入力するように構成される。入力インタフェース60は、操作スイッチやディスプレイ40上のタッチパネルを構成要素として備えることができる。
【0035】
本実施形態のドライブレコーダ1は、主目的である映像データの記録に記録メディア35を必要とする。このため、ドライブレコーダ1の使用に先駆けては、ユーザの手作業により、記録メディア35がメディアリーダ/ライタ30に装着される。記録メディア35は、映像データの記録に先駆けて、予め初期化すなわちフォーマットされる。
【0036】
制御部10は、メディアリーダ/ライタ30に装着された記録メディア35を認識している状態で、フォーマット指示が入力インタフェース60を通じて入力されると、図2に示すフォーマット関連処理を実行する。
【0037】
フォーマット関連処理を開始すると、制御部10は、記録メディア35をフォーマットする(S110)。フォーマットは、例えば所定のファイルシステムを構築するために実行され得る。ファイルシステムは、専用のファイルシステム、又は、汎用のファイルシステムであり得る。フォーマットによって、記録メディア35内には、例えば図3に示すように管理領域35A及びデータ格納領域35Bが生成される。
【0038】
管理領域35Aは、データ格納領域35Bに格納されるデータを管理するための領域であり、例えば、データ格納領域35Bにおけるデータの格納位置を記憶及び管理するために使用される。管理領域35Aは、例えば記録メディア35の先頭番地に続く領域に生成される。データ格納領域35Bは、記録メディア35内の管理領域35Aに続く領域に生成される。
【0039】
既知のファイルシステム、例えばFATシステムが採用される場合、フォーマットによっては、管理領域35Aとして、ファイルアロケーションテーブルを含む領域が生成される。この場合、ファイルアロケーションテーブルが、データ格納領域35Bにおけるファイル単位の各データの格納位置を記憶する。
【0040】
本実施形態においては特徴的なことに、S110における記録メディア35のフォーマット後、制御部10が、記録メディア35において発生し得るデータ破損に備えて、データ修復用の特殊データであるマーカを、記録メディア35内、特には管理領域35Aに続くデータ格納領域35B内に複数、散在的に書き込むように動作する(S120,130)。
【0041】
具体的に、制御部10は、記録メディア35のフォーマットに続いて、複数のマーカのデータ格納領域35Bにおける書込位置を決定する処理を実行する(S120)。制御部10は、例えばデータ格納領域35B内の全域に亘って予め設定された密度でマーカが散在配置されるように、マーカを書き込むデータ格納領域35B内の位置を決定することができる。
【0042】
例えば、制御部10は、上記密度に対応する一定間隔で複数のマーカが離れて配置されるように、マーカを書き込むデータ格納領域35B内の位置を決定することができる。あるいは、制御部10は、データ格納領域35Bの領域サイズと密度との掛け算に対応する個数の書込位置を、乱数発生器を用いてランダムに決定することができる。マーカの書込位置の決定は、例えばマーカを書き込むデータ格納領域35B内のクラスタ又はセクタを決定することにより実現することができる。
【0043】
その後、制御部10は、記録メディア35内のS120の処理で決定された各書込位置に、マーカを書き込む処理を実行する(S130)。図4には、マーカが散在配置されたデータ格納領域35Bを概念的に示す。図4、並びに、後述する図6及び図7において斜線でハッチングされた部位は、マーカが格納された位置を示す。
【0044】
各書込位置に書き込まれるマーカは、全て同一データであり得る。すなわち、データ格納領域35Bには、複数の同じマーカが重複して配置され得る。マーカは、マーカであることを示すヘッダを有し得る。マーカは、ヘッダに続いてドライブレコーダ1の機種の識別コード(以下、「機種ID」という)を記述するデータを有し得る。
【0045】
あるいは、マーカは、データ格納領域35Bにおけるデータ格納方式を説明するデータ、例えば、データ格納領域35Bに書き込まれるデータの種類又は配列を説明するデータを有し得る。マーカは、データ量の少ないシンプルなデータであり得て、データ格納領域35Bにおけるセクタサイズより小さいサイズのデータであり得る。
【0046】
本実施形態によれば、上述のように、記録メディア35の初期化と併せて、記録メディア35に、データ修復用のマーカが、データ格納領域35Bの全体に亘って散在的に書き込まれる。
【0047】
制御部10は、フォーマット関連処理の実行後、記録メディア35に保存すべき映像データを、記録メディア35のデータ格納領域35Bに書き込むに際し、図5に示す処理を実行することにより、マーカを記録メディア35内に維持しながら、映像データをデータ格納領域35B内に書き込む。映像データは、例えば所定データサイズ又は所定時間間隔などの所定単位ごとに生成される。映像データの生成に合わせて、制御部10は、図5に示す処理を繰返し実行する。
【0048】
すなわち、記録メディア35に保存すべきデータが発生する度に、制御部10は図5に示す処理を開始する。この処理を開始すると、制御部10は、保存対象データの書込先領域がマーカを間に含むか否かを判断する(S210)。ここでいう「マーカを間に含む」とは、連続した書込先領域内にマーカが書き込まれた領域が含まれることを意味する。
【0049】
制御部10は、書込先領域がマーカを間に含まないと判断すると(S210でNo)、書込先領域に、保存対象データを書き込む(S220)。一方、制御部10は、書込先領域がマーカを間に含むと判断すると(S210でYes)、保存対象データにマーカを含ませた書込対象データを生成し、対応する書込先領域に、生成した書込対象データを書き込む(S230)。
【0050】
周知のように、フラッシュメモリを含む記録メディア35では、データ消去単位がセクタサイズよりも大きい。このため、書込先領域がマーカを間に含むときには、この領域を、マーカを含めて所定の消去単位で消去した後、マーカと保存対象データを書き込むことで、保存対象データの書き込みを実現しながら、マーカが記録メディア35に書き込まれた状態を維持する。
【0051】
S230では、マーカが再度同一位置に書き込まれるように上記書込対象データを生成して、これを記録メディア35に書き込むことができる。図6は、保存対象データが書き込まれたときのデータ格納領域35Bの状態を概念的に示している。図6及び後述する図7において黒く塗りつぶされた部位は、保存対象データが書き込まれた部位に対応する。
【0052】
別例として、制御部10は、S230でマーカを保存対象データの末尾又は先頭に配置するように、マーカの位置を変更して、保存対象データとマーカとをデータ格納領域35Bに書き込むように動作してもよい。
【0053】
図7に示す例によれば、マーカは、保存対象データの末尾に再配置される。マーカを保存対象データの前後に配置することによっては、保存対象データの区切りをマーカで示すことができる。制御部10は、このようにして、マーカが格納された状態を維持するように、保存対象データをデータ格納領域35Bに書き込む。
【0054】
続いて、マーカを用いた記録メディア35の修復方法について説明する。記録メディア35のデータ修復は、例えば、ドライブレコーダ1とは別の修復装置100にて実現される。
【0055】
図8に示す修復装置100は、汎用のパーソナルコンピュータに、データ修復用のコンピュータプログラムがインストールされて構成される。データ修復用のコンピュータプログラムは、例えば、広域ネットワークを通じてユーザに提供される。
【0056】
例示的な修復装置100は、プロセッサ110、メモリ120、ストレージ130、ユーザインタフェース140、通信インタフェース150、及びメディアリーダ/ライタ160を備える。
【0057】
プロセッサ110は、ストレージ130に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。メモリ120は、プロセッサ110による処理実行時に作業領域として使用される。
【0058】
ユーザインタフェース140は、ユーザに対して各種情報を表示するためのディスプレイ及びユーザの操作信号を入力するための入力デバイスを備える。通信インタフェース150は、外部のサーバ装置と広域ネットワークを通じて通信可能に構成される。
【0059】
メディアリーダ/ライタ160は、ドライブレコーダ1のメディアリーダ/ライタ30と同様に、記録メディア35を着脱可能な構成にされ、装着された記録メディア35に対するデータ読込及びデータ書込を実現可能な構成にされる。
【0060】
ユーザは、ドライブレコーダ1から記録メディア35を取り外し、修復装置100のメディアリーダ/ライタ160に記録メディア35を装着する作業を行ったのちに、ユーザインタフェース140を通じて修復指示を入力することにより、修復装置100に記録メディア35のデータ修復に関する処理を実行させることができる。
【0061】
修復装置100のプロセッサ110は、修復指示がユーザインタフェース140を通じて入力されると、図9に示す分析修復処理を実行する。分析修復処理を開始すると、プロセッサ110は、記録メディア35のデータ格納領域35Bに記録されたマーカを読み取る(S1010)。
【0062】
その後、プロセッサ110は、マーカが記述する機種ID又はデータ格納方式に基づいて、記録メディア35における管理領域35A及びデータ格納領域35Bの正常なデータ構造を判別する(S1020)。
【0063】
この判別のために、データ修復用のコンピュータプログラムは、マーカを記録する機能を有する機種のそれぞれにおける正常なデータ構造を説明するデータと共に配布され得る。あるいは、プロセッサ110は、外部のサーバ装置から正常なデータ構造を説明するデータを取得することができる。
【0064】
その後、プロセッサ110は、記録メディア35内のデータ構造を分析し、正常なデータ構造との比較により、記録メディア35におけるデータ破損箇所の判別を行う(S1030)。
【0065】
プロセッサ110は、この分析により破損箇所がないと判断した場合(S1040でNo)、分析修復処理を終了する。一方、破損箇所があると判断した場合(S1040でYes)、対応する機種のデータ修復処理を実行し、記録メディア35内のデータ破損箇所を修復する(S1050)。
【0066】
具体的に、プロセッサ110は、機種、破損箇所、及び破損状態の組合せに対応する予め定められた修復方式に従って、破損箇所を修復することができる(S1050)。修復方式は、機種、破損箇所、及び破損状態の組合せ毎に予め定義され得る。
【0067】
破損箇所の修復には、管理領域35Aの修復及びデータ格納領域35Bの修復が含まれる。管理領域35Aにおいてデータ破損が生じた場合、データ格納領域35B内に格納された映像データが破損していなくても、管理領域35A内の情報に基づいて映像データの格納位置を特定することができなくなるため、映像データを記録メディア35から読み出すことができなくなる。
【0068】
本実施形態によれば、マーカが示す機種ID又はデータ格納方式に基づいて管理領域35Aを修復することができるため、管理領域35Aの破損が生じた場合に、従来よりも高い確率で、映像データを読出可能に記録メディア35を修復することができる。管理領域35Aの修復は、データ格納方式の予備知識に基づいて、データ格納領域35Bの状態と管理領域35Aが記憶する情報との不整合を解消するように実現され得る。
【0069】
本実施形態によれば、データ格納領域35Bにおける映像データに破損が生じている場合にも、映像データの記録形式やデータサイズ等のデータ格納方式に関する予備知識に基づいた修復方式で、映像データを適切に修復し得る。修復は、例えばデータ破損部位を取り除き、映像データに対する末端処理を実行することにより、実現され得る。
【0070】
付言すると、ここでいう修復は、記録メディア35をデータ破損前の状態に完全に戻すことを必須としない。記録メディア35の正常利用を妨げる異常データを取り除き、記録メディア35を再び正常利用可能な状態に置くこと、例えばファイルシステムを復旧させることも、ここでいう修復に含まれる。
【0071】
別例によれば、プロセッサ110は、S1010において読み取ったマーカが示す機種ID又はデータ格納方式に基づいて、S1020以降の処理を、機種ID又はデータ格納方式に対応する検査プログラム及び修復プログラムを用いて実行することができる。
【0072】
すなわち、検査プログラム及び修復プログラムが、機種毎又はデータ格納方式毎に用意されてもよく、プロセッサ110は、これらの検査プログラム及び修復プログラムを、マーカから得られる情報に基づいて選択的に用いて、記録メディア35内の破損データを修復することができる。
【0073】
更に言えば、ドライブレコーダ1は、修復装置100にインストールされるデータ修復用のコンピュータプログラムと同様の機能をプロセッサ11に実現させるためのコンピュータプログラムを備えていてもよい。
【0074】
すなわち、ドライブレコーダ1の制御部10は、ユーザからの指令に従って、当該コンピュータプログラムに従う処理として、図9に示す分析修復処理を実行することにより、メディアリーダ/ライタ30に装着された記録メディア35内のデータを修復するように構成されてもよい。
【0075】
この他、修復装置100は、ドライブレコーダ1の製造者又は販売者側の施設に設けられてもよい。ドライブレコーダ1のユーザは、例えばカスタマーサービスを提供する施設に記録メディア35を送ることができる。施設では、修復装置100を用いてユーザから受け取った記録メディア35内のデータを修復し、修復後の記録メディア35をユーザに返送することができる。
【0076】
第一実施形態の技術は、メディアリーダ/ライタ30に着脱可能な記録メディア35に限らず、ドライブレコーダ1に内蔵されるメモリ13のデータ修復に利用されてもよい。すなわち、メモリ13内にマーカが書き込まれ、マーカに基づいてデータ修復が実現されてもよい。
【0077】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態のドライブレコーダ1の構成を説明する。但し、第二実施形態のドライブレコーダ1は、記録メディア35に対するマーカの書込時期が、第一実施形態のドライブレコーダ1と異なる程度である。従って、以下では、第二実施形態のドライブレコーダ1の構成のうち、第一実施形態とは異なる構成を選択的に説明し、第一実施形態と共通する構成の説明を省略する。
【0078】
本実施形態によれば、ドライブレコーダ1の制御部10は、記録メディア35のフォーマット指示が入力されると、記録メディア35のフォーマットのみを実行する。すなわち、制御部10は、図2に示すフォーマット関連処理のうち、S110の処理を実行するが、S120,S130の処理を実行しないように動作する。
【0079】
代わりに、制御部10は、映像データの書き込みと併せて段階的にマーカを記録メディア35に書き込むように動作する。このために、制御部10は、映像データを、記録メディア35のデータ格納領域35Bに書き込むに際して、図5に示す処理に代えて、図10に示す処理を実行する。
【0080】
すなわち、制御部10は、記録メディア35に保存すべきデータが発生する度に、図10に示す処理を開始し、まずは、第一実施形態と同様に、保存対象データの書込先領域がマーカを間に含むか否かを判断する(S410)。
【0081】
制御部10は、書込先領域がマーカを間に含むと判断すると(S410でYes)、S230での処理と同様に、保存対象データにマーカを含ませた書込対象データを生成し、対応する書込先領域に、生成した書込対象データを書き込む(S430)。
【0082】
一方、制御部10は、書込先領域がマーカを間に含まないと判断すると(S410でNo)、書込先領域に隣接する所定範囲の領域(以下、隣接領域という)に、既にマーカが書き込まれているか否かを判断する(S450)。所定範囲は、データ格納領域35Bにおいて実現されるべきマーカの密度に応じた範囲に予め定められる。
【0083】
制御部10は、隣接領域にマーカが書き込まれていないと判断すると(S450でNo)、保存対象データにマーカを付加した書込対象データを生成し、対応する書込先領域に、生成した書込対象データを書き込む(S460)。例えば、書込対象データは、保存対象データの先頭及び/又は末尾にマーカを付加したデータであり得る。
【0084】
図11A及び図11Bは、保存対象データの末尾にマーカを付加する方式で、制御部10が順次、保存対象データの書き込みと併せてマーカを書き込む例を説明した図である。第一実施形態と同様に、図11A及び図11Bにおいて黒く塗りつぶされた部位は、保存対象データの書込位置を示し、斜線で示された部位は、マーカの書込位置を示す。図11Bは、データ格納領域35Bに対し、図11Aに示される状態から、更にデータが書き込まれた状態を示している。
【0085】
マーカは、保存対象データの先頭及び/又は末尾に付加される例に限定されず、保存対象データの先頭から末尾までの中間地点に挿入されるように配置されてもよい。S450では、仮にマーカを書き込む場合のマーカの書込位置を基準とした所定範囲の隣接領域に、既にマーカが書き込まれているかどうかを判断することができる。
【0086】
この他、制御部10は、隣接領域に既にマーカが書き込まれていると判断すると(S450でYes)、マーカを付加することなく、保存対象データを書込先領域に書き込む(S470)。
【0087】
本実施形態は、フォーマットに続いて複数のマーカをデータ格納領域35B全体に散在的に配置する処理を一括実行する第一実施形態と比較して、処理負荷を分散させながら効率的にマーカをデータ格納領域35Bに書き込むことができる点で有利である。
【0088】
[その他の実施形態]
以上に本開示の例示的実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0089】
例えば、第二実施形態では、隣接するマーカとの間隔に基づいて、保存対象データと共にマーカを書き込むべきかを判断するように制御部10を構成した。しかしながら、制御部10は、確率的にマーカを書き込むべきかを判断してもよい。
【0090】
例えば、制御部10は、S450の処理に代えて、乱数を取得し、取得した乱数が当たり値であるときには、マーカを保存対象データと共に記録メディア35に書き込む処理(S460)を実行し、乱数がはずれ値であるときには、マーカを書き込まずに保存対象データのみを記録メディア35に書き込む処理(S470)を実行するように構成されてもよい。当たり値は、記録メディア35内で実現されるべきマーカの密度に応じた個数設定され得る。
【0091】
この他、第二実施形態において、マーカの書込位置は予め定められていてもよく、制御部10は、S450の処理に代えて、書込先領域が予め定められたマーカの書込位置を含むか否かを判断する処理を実行し、書込先領域がマーカの書込位置を含む場合には、S460に移行して、保存対象データの書き込みと併せて、マーカを当該書込位置に書き込む処理を実行してもよい。制御部10は、書込先領域がマーカの書込位置を含まない場合には、S470に移行して、書込先領域に保存対象データを書き込むことができる。
【0092】
この他、実現されるべきマーカの密度は、固定値でなくてもよい。例えば、密度は、データ格納領域35Bにおけるデータ破損の発生回数に応じた値に設定されてもよい。例えば、密度は、データ破損の発生回数が多いほど、大きい値に設定され得る。
【0093】
更に言えば、実現されるべきマーカの密度は、データ格納領域35Bを複数に分割したときの区画ごとに定められてもよい。各区画のマーカの密度は、対応する区画におけるデータ破損の発生回数に応じて定められ得る。すなわち、マーカの密度は、データ破損の多い区画ほど大きい値に設定されてもよい。
【0094】
発生回数に応じたマーカの密度設定のために、制御部10は、図12に示す破損記録処理を繰返し実行することができる。例示的な破損記録処理において、制御部10は、記録メディア35にデータ破損が発生したか否かを判断する(S510)。
【0095】
制御部10は、データ破損が発生したと判断すると(S510でYes)、破損履歴を更新し(S520)、更には区画毎のマーカ密度の設定値を更新する(S530)。制御部10は、例えば、NVRAMに、区画毎のデータ破損回数及びマーカ密度の設定値を記憶することができる。
【0096】
具体的に、制御部10は、データ破損が発生した区間のデータ破損回数を1増加させるように、NVRAMが記憶するデータ破損回数を更新し(S520)、更新後のデータ破損回数に対応する設定値に、マーカ密度の設定値を更新する(S530)ことができる。NVRAMにおけるデータ破損回数及び設定値の更新は、同時に実行され得る。
【0097】
あるいは、記録メディア35に、区画毎のデータ破損回数及びマーカ密度の設定値を記憶する領域が設けられてもよく、制御部10は、記録メディア35が記憶する区画毎のデータ破損回数及びマーカ密度の設定値を更新するように動作してもよい。
【0098】
この他、マーカの書込は、フォーマット直後、映像データの書き込み時以外のタイミングで実行されてもよい。例えば、プロセッサ11の使用率が低い時期に、マーカの書込処理が実行されてもよい。
【0099】
上記実施形態によれば、データ格納領域35Bに書き込まれるマーカが全て同一データであるが、一つのマーカに記述されるべき情報が、複数のマーカに分けて記述されてもよい。
【0100】
例えば、第一の情報が、第一のマーカに記述され、第一の情報に続く第二の情報が、第二のマーカに記述されてもよい。第一のマーカ及び第二のマーカがそれぞれ複数用意され、これら複数の第一のマーカ及び第二のマーカが、一定の規則で、あるいは無秩序に、分散して記録メディア35内に記録されてもよい。第二のマーカは、第一のマーカから離れた位置に配置され得る。
【0101】
データ格納領域35Bに書き込まれるマーカは、互いに異なる情報を有するデータとして構成されてもよい。例えば、各マーカは、記録メディア35における配列順に、連続する識別番号を有していてもよい。各マーカは、対応するマーカの作成時刻の情報を有していてもよい。
【0102】
各マーカは、マーカに続く領域に格納されるデータの種類に関する情報を有していてもよい。各マーカは、マーカに続く領域に格納される映像データの記録形式(フォーマット)に関する情報を有していてもよい。マーカは、次のマーカまでの大きさを説明する情報を有していてもよい。
【0103】
ドライブレコーダ1には、第一実施形態のようにフォーマット直後にマーカを書き込む手法、及び、第二実施形態のように保存対象データと共にマーカを書き込む手法の両者が採用されてもよい。例えば、フォーマット直後には、目標とする密度の半分のマーカを記録メディア35に書き込み、残りのマーカを保存対象データと共に書き込む手法が考えられる。
【0104】
上記実施形態において開示される技術が、ドライブレコーダ1への適用に限定されないことは言うまでもない。この技術は、データ書込可能な記録媒体と着脱可能に接続される様々な電子機器に適用され得る。記録媒体は、フラッシュメモリに限定されない。
【0105】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0106】
1…ドライブレコーダ、10…制御部、11…プロセッサ、13…メモリ、21…カメラ、23…マイクロフォン、25…画像処理回路、30…メディアリーダ/ライタ、35…記録メディア、35A…管理領域、35B…データ格納領域、40…ディスプレイ、50…スピーカ、60…入力インタフェース、100…修復装置、110…プロセッサ、120…メモリ、130…ストレージ、140…ユーザインタフェース、150…通信インタフェース、160…メディアリーダ/ライタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12