(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088227
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】遊技機のデバッグシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200545
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】720009675
【氏名又は名称】サミーデジタルセキュリティ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】臼井 淑晃
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA21
(57)【要約】
【課題】開発途中のデバッグ作業において演出表示装置に表示される表示内容に不具合を発見した場合に、同じ表示内容を容易に再現することが可能な遊技機のデバッグシステムを提供する。
【解決手段】第1演出制御CPUからPCのCPUへサブコマンドを送信し、PCのCPUは、サブコマンドを受信した時刻とともに記憶し、PCのCPUは、検査者の操作により、送信ウェイト時間を含むPCサブコマンドを作成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御手段と、副制御手段と、外部制御手段と、
を有し、
主制御手段から副制御手段へ遊技情報を送信可能であり、
副制御手段は、
主制御手段から送信された遊技情報を受信可能であり、
受信した遊技情報に基づいて演出を決定可能であり、
決定された演出を示す演出情報を外部制御手段へ送信可能であって、
外部制御手段は、
副制御手段から送信された演出情報を受信可能であり、
受信した演出情報と演出情報を受信した時刻とを記憶可能である
遊技機のデバッグシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
遊技機のデバッグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
回胴式遊技機(スロットマシン)やぱちんこ遊技機のデバッグ作業では、演出制御基板から液晶制御基板へ今回の遊技において発生する演出を示す演出コマンドが送信され、液晶制御基板に搭載される液晶制御CPUが、受信した演出コマンドを液晶表示装置に表示し、不具合が発生した際には、検査者(デバッグ作業者)が、液晶表示装置にそのとき表示されている演出コマンドを手作業で記録していた。
【0003】
しかし、演出コマンドの記録のみでは、同じ表示内容を再現するのが困難であり、不具合が発生したシーンを特定するのに時間を要するため、製品開発におけるデバッグ工数が大きな負担となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-26590号公報
【特許文献2】特開2016-105946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技機の開発時におけるデバッグ作業中に発見された不具合を容易に再現することができるシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、
主制御手段(例えば、主制御CPU)と、副制御手段(例えば、第1演出制御CPU)、
外部制御手段(例えば、パーソナルコンピュータのCPU)と、
を有し、
主制御手段から副制御手段へ遊技情報(例えば、メインコマンド)を送信可能であり、
副制御手段は、
主制御手段から送信された遊技情報を受信可能であり、
受信した遊技情報に基づいて演出を決定可能であり、
決定された演出を示す演出情報(例えば、サブコマンド)を外部制御手段へ送信可能であって、
外部制御手段は、
副制御手段から送信された演出情報を受信可能であり、
受信した演出コマンドと演出情報を受信した時刻とを記憶可能である
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本態様に係る遊技機のデバッグシステムによれば、デバッグ作業中に発見された不具合を容易に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ぱちんこ遊技機の枠部材を開放した状態の正面方向の斜視図である。
【
図3】ぱちんこ遊技機の枠部材を開放した状態の背面方向の斜視図である。
【
図4】ぱちんこ遊技機に取り付けられた遊技盤を示す斜視図である。
【
図6】演出表示装置に表示される表示物の説明図である。
【
図8】演出表示装置の表示内容に不具合が発生した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、ぱちんこ遊技機について図面を用いて説明する。ぱちんこ遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機を
図1および
図3に示すとともに、このぱちんこ遊技機に設けられる遊技盤を
図4に示しており、まず、これらの図を参照して、ぱちんこ遊技機の構成について説明する。なお、以降の説明においては、便宜上、
図2の各矢印で示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向と称して説明する。
【0010】
[ぱちんこ遊技機の構成]
始めに、ぱちんこ遊技機Pの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機Pは、
図1および
図2に示すように、外郭方形に構成され、遊技施設において固定される外枠P1の開口前面に、外枠P1の開口に合わせたサイズで方形に構成された前枠P2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられる。
【0011】
前枠P2には、遊技盤P5とガラス枠P3とが着脱可能にセットされている。ガラス枠P3は方形状であり、前枠P2の前面側に上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられて保持される。遊技盤P5は、前枠P2の前面側に着脱可能にセットされ、閉鎖保持されるガラス枠P3のガラスP301を通して遊技盤P5の正面側に設けられた遊技領域P501を遊技者が視認可能に構成されている。また前枠P2およびガラス枠P3は、ぱちんこ遊技機Pの正面右側縁部に設けられた施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入し、左右方向のいずれかに回転させることで、回転方向に応じて、外枠P1と前枠P2の施錠が解除または前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除される。具体例としては、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して右方向に回転させると外枠P1と前枠P2の施錠が解除され、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して左方向に回転させると前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除される。
【0012】
ガラス枠P3の下部には、遊技球を貯留する上下の球皿P340(上球皿P341及び下球皿P342)が設けられる。またガラス枠P3には、遊技の展開状況に応じて発光する演出ランプP350や、遊技の展開状況に応じて効果音などの音を出力可能なスピーカP83が設けられている。ガラス枠P3の下部中央には、所定の演出操作を行うための演出操作手段P81が取り付けられ、ぱちんこ遊技機Pが有する演出操作手段P81は、押下入力式のボタンP381と傾倒操作式のレバーP382とを備えており、ボタンP381は常時遊技者による操作を可能とする一方、レバーP382はガラス枠に備えられた可動物(枠可動役物P360)の1つであり、操作手段自体が上方に突出した状態(入力許可状態)に変位した場合に操作入力を可能とする(1の演出操作手段にて、複数の操作が可能となっている)。
【0013】
前枠P2の右下部には、遊技球の発射操作および発射強度の調整を行うハンドルP204が設けられている。前枠P2の下部には、さらに発射装置ユニットP240を備え、図示を省略するが、上球皿P341に貯留された遊技球を1球ずつ送り出す球送り機構P241、この球送り機構から送り出された遊技球を遊技領域P501へ向けて打ち出す発射機構(ロータリーソレノイドで駆動される打球槌)を有する発射装置P242、球送り機構P241や発射装置P242の作動を同期的に制御する発射制御基板P243などが設けられている。
【0014】
遊技盤P5(遊技盤ユニット)は、
図4に示すように、透明な合成樹脂や木材を用いて矩形の平板状に形成された基材をベースとして構成されている。なお、
図1は遊技盤P5を含むぱちんこ遊技機Pを前面側から見た正面図であり、
図4は遊技盤ユニットの斜視図を示す。
図4は遊技盤ユニットに備えられた演出可動役物P560(「可動演出装置」「演出可動体」「演出可動役物」等とも呼ぶ)が動作している状態を図示している。遊技盤P5の前面には、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レールP502と、遊技盤の下部中央付近から外レールP502の内側における左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レールP503と、右上部の外レールP502の端部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾りP504とを備えており、外レールP502と内レールP503とレール飾りP504とで囲まれた内側に略円形の遊技領域P501が区画形成されている。この遊技領域P501は、略中央に配設される後述のセンター役物P540を基準として、センター役物P540の左側の領域である左側領域P501L(左打ち領域)と、センター役物の右側の領域である右側領域P501R(右打ち領域)とを有している。また、外レールと内レールとにより、発射装置ユニットP240により打ち出された遊技球を遊技領域P501へ案内するための案内通路が形成される。
【0015】
遊技領域P501には、図示しない多数本の遊技釘P510や風車P511とともに、第1始動入賞口P711(第1始動口)、第2始動入賞口P721(第2始動口)、一般入賞口P731、普図作動口P741(普図作動ゲート装置)、大入賞口P751(アタッカー)、等の各種入球装置(賞球が発生する場合は「入賞装置」と称する)が配設されている。なお、大入賞口は1つとしてもよいし、複数有するよう構成してもよい。また、本明細書において、入球装置の構成上、遊技球が入球装置に入球した後に排出されるもの、入球装置に入球した後にさらに遊技領域P501を流下するもの(ゲートタイプ)に対し、遊技球が内部の検出スイッチで検出されることを「入球」「入賞(特に賞球が発生するもの)」と称し、ゲートタイプの入球口のように下流の遊技領域に流下するものついては、特に「通過」と区別して記載する場合を有する。また、入球装置を入球口、入賞装置を入賞口と称することがある。
【0016】
また、遊技領域P501の右下には、第1特別図柄表示装置P51、第2特別図柄表示装置P52、普通図柄表示装置P53など、後述の主制御基板にて点灯制御される主制御表示装置P50が集約的に配設されている。遊技領域P501の略中央にはセンター役物P540が配設されており、このセンター役物P540の開口を通して演出表示装置P80の画面が視認可能に設けられている。このセンター役物P540の上部等には、遊技の展開状況に応じた演出動作を行う演出可動役物P560(可動役物装置)が設けられている。遊技領域P501の下端部には、各種入球装置の入賞口に入球せずに流下した遊技球が通過可能なアウト口P790が設けられている。各種入賞装置の入賞口に入球した遊技球又はアウト口P790に流入した遊技球は、遊技盤P5に前後貫通して形成された貫通孔(図示せず)を通じて遊技盤P5の後面側へ流下し、前枠P2下部の回収流路(遊技済み球通路)に収集され、発射した遊技球の総数を検出するための前枠下部に備えられたアウト球センサP792(発射球数センサ)を通過したのち遊技機外へ排出される。
【0017】
第1始動入賞装置P710は、第1特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第1始動入賞装置P710には、遊技球が入球可能な第1始動入賞口P711が設けられている。第1始動入賞口P711への遊技球の入球は、第1特別図柄に係る抽選に使用される乱数の取得契機となっており、第1始動入賞口P711への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第1特別図柄に係る抽選が実行される。
【0018】
第2始動入賞装置P720は、第2特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第2始動入賞装置P720には、遊技球が入球可能な第2始動入賞口P721および後述する普通図柄抽選に当選した場合に第2始動入賞口P721への入球を容易となる状態に切り替える可動体である普通電動役物P770が設けられている。第2始動入賞口P721への遊技球の入球は、第2特別図柄に係る抽選に使用される乱数の契機となっており、第2始動入賞口P721への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第2特別図柄に係る抽選が実行される。第2始動入賞口P721は、普通電動役物P770の作用により遊技球が第2始動入賞口P721へ入球可能又は入球容易な開状態と、遊技球が第2始動入賞口P721へ入球不能又は入球困難な閉状態とに変化する。つまり、第2始動入賞装置P720は、開状態に変位しなければ遊技球が第2始動入賞口へ入球し難い構造となっており、後述の所定の契機(普通図柄抽選に当選する契機)で開状態となると遊技球の入球容易性が高くなる。なお、普通電動役物P770の構造は様々な態様が知られており、可動体P771が開くことによる入球容易性の変化がなされる構造ではない場合があるため、「開状態」「閉状態」をそれぞれ「入球容易状態(入球容易態様)」「入球困難状態(入球困難態様)」と表記する場合を有する。
【0019】
一般入賞装置P730は、左打ち領域P501Lに配置された左側一般入賞装置P730Lと、右打ち領域P501Rに配置された右側一般入賞装置P730Rとを有している。ぱちんこ遊技機Pにおいては、左側一般入賞装置P730Lとして、3つの一般入賞口P731La~P731Lcが1のユニットとして構成されている一方、右側一般入賞装置P730Rは後述する大入賞装置P750の一部として構成されている。一般入賞口P731への遊技球の入球は、他の入賞装置と同じく賞球払出の契機となる。なお、ぱちんこ遊技機Pの一般入賞口P731の個数や位置はあくまで一例であり、右打ち領域P501Rにのみ配置されるよう構成する等としてもよい。
【0020】
普図作動ゲート装置P740(普図作動口)は、普通図柄遊技に対応する始動入球口として設けられている。この普図作動ゲート装置P740には、遊技球が通過可能な普図作動口P741が設けられており、入球した遊技球は遊技盤の遊技領域の下流をさらに流下可能に構成されている。普図作動口P741への遊技球の通過は、第2始動入賞装置P720を開状態とするか否か、すなわち普通電動役物P770を作動させるか否かを決定するための普通図柄抽選の契機となる。なお、変形例として普通図柄抽選の契機となる機能を前述した一般入賞口P731に備えるように構成することも可能であり、この場合には、普通図柄抽選を実行する機能に加えて、賞球を発生させる機能を1の入賞装置として設けることも可能である(普図作動入賞口)。
【0021】
大入賞装置P750は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の抽選結果が大当りや小当りとなった場合に開閉動作する大入賞口P751(特別電動役物P755)を有して構成されており、「アタッカー(装置)」などと呼称する場合もある。大入賞装置P750は、遊技球が大入賞口P751へ入球可能又は入球容易な開状態(例として特別電動役物P755が作動した状態)と、遊技球が大入賞口P751へ入球不能又は入球困難な閉状態(例として特別電動役物P755が非作動の状態)とに変化する。大当り遊技においては、大入賞口P751の開閉動作を伴う複数回のラウンド遊技(単位遊技)が行われる。なお、特別電動役物P755が作動した状態であっても、一連の作動パターン(「開放パターン」とも呼ぶ)により、大入賞口P751を構成する可動体P756が入球困難な閉態様となる場合を有する。
【0022】
また、大入賞装置P750には、遊技機の仕様(スペック)によっては、遊技球が通過可能な特定領域P760(「Vゾーン」、「V領域」と呼ばれ、機能によっては「確率変動機能作動領域」、「継続領域」などと呼ぶ)が設けられる場合を有する。この「特定領域」に関する機能として、(ア)大当り遊技中の特定領域に対する通過を契機として大当り遊技の後に確率変動機能(後述)を作動させること、(イ)小当り遊技中の特定領域の通過を契機として役物連続作動装置(特別電動役物を連続的に作動させるためのフラグ)を作動させ、大当り遊技を実行する権利を付与すること、(ウ)大当り遊技中の特定のラウンドにおいて特定領域を通過したか否かに基づいて、後続のラウンドの実行を確定的としたり、実行しないものとしたりすること、などが例として挙げられる。なお、「特定領域」に対し、通過の容易性を変化させるための構造体である開閉部材P761(弁部材)が設けられてもよく、開閉部材P761の作用により流下経路を振り分けられることで、特定領域P760又はそれ以外の非特定領域を通過するように構成してもよい。また、大当り遊技中や小当り遊技中において、特定領域P762の遊技球の通過が有効となる期間と無効となる期間とを有してもよい。
【0023】
なお、ぱちんこ遊技機Pにおいて、大入賞装置P750は、遊技領域P501における右側領域P501R(右打ち領域)に設けられている。そのため、大当り遊技又は小当り遊技では、遊技領域P501に向けて遊技球を発射する際に、右側領域P501Rを狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで大入賞口P751への入球が容易となっている。
【0024】
続いて、ぱちんこ遊技機Pの背面側の基本構造を説明する。前枠の背面側には、中央に遊技盤ユニットを取り付けるために前後連通する窓口を有した裏セットユニットP4が取り付けられている。裏セットユニットP4には、遊技施設側から供給される多数個の遊技球を貯留する貯留タンクP401、貯留タンクP401からの遊技球を流下させる樋部材P402、樋部材により導かれた遊技球を払い出す賞球装置P410、賞球装置P410から払い出された遊技球を上球皿P341又は下球皿P342へ流下させる裏側通路部材P403などが設けられている。また、貯留タンクP401から球皿P340までの遊技球流下経路上には、球抜き機構(球抜き操作レバーP405、操作レバーに連動して遊技球を流路上から排除する流路を形成する弁部材P406)が設けられている。
【0025】
遊技盤P5の背面側には、ぱちんこ遊技機Pの遊技進行を統括的に制御する主制御基板P40や、主制御基板P40の制御に伴う遊技進行に合わせた演出全般の制御を行う第1演出制御基板P41、第1演出制御基板P41の制御に伴う演出進行に合わせた画像の表示制御を行う第2演出制御基板P46(図示せず)、遊技展開に応じた画像表示の制御を行う画像制御基板P42などが取り付けられている。なお、ぱちんこ遊技機Pでは、第1演出制御基板P41、第2演出制御基板P46および画像制御基板P42は、演出表示装置P80(液晶表示装置)と一体化されたアッセンブリ状態で演出表示ユニットを構成している。これに対して、裏セットユニットP4の背面側には、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板P43や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板P44(図示せず)などが取り付けられている。なお、これらの制御基板は、不正改造防止のため、カシメ構造及び封印シール構造を有する透明樹脂製の基板ケースに収容されたアッセンブリ状態で遊技盤P5の背面又は裏セットユニットP4の背面の所定位置にそれぞれ配設される。これらの制御基板とぱちんこ遊技機各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)を介して相互に接続されて、ぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行や、演出の実行が可能に構成されている。
【0026】
[機能ブロック]
図5は、ぱちんこ遊技機Pの機能ブロックを示す。
【0027】
ぱちんこ遊技機Pは、遊技機外部から供給される交流電源に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板P44と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御基板P40(主制御CPU)と、賞球の払出しや遊技球の発射を制御する枠制御装置としての払出制御基板P43(払出制御CPU)と、演出的な動作や処理を制御する第1演出制御基板P41(第1演出制御CPU)と、画像の表示を制御する第2演出制御基板P46(第2演出制御CPU)とに機能を分担させた形態で構成される。なお、図中に示す矢印は機能別に、上方の送受信の関係を実線矢印で示し、電気的接続の関係を破線矢印にて示している。
【0028】
電源基板P44は、基板上に設けられた電源スイッチP47を操作することによって、後述する主制御基板P40、第1演出制御基板P41、払出制御基板P43、並びにそれらに電気的に接続する各種遊技用装置に対し、動作に必要となる電力を生成して供給する。詳細は後述するが、電源スイッチP47の電源投入操作は、遊技機の設定に係る情報の処理の開始契機となるスイッチ操作であるため、電源スイッチは不正な操作を防止するため開閉カバーに覆われた状態で保護されている。
【0029】
主制御基板P40は、第1始動入賞口P711(特
図1始動口スイッチP712)、第2始動入賞口P721(特
図2始動口スイッチP722)、大入賞口P751(大入賞口スイッチP752)、普図作動口P741(普図作動口スイッチP742)や、その他の検出スイッチである一般入賞口P731(左側一般入賞口,右側一般入賞口)、アウト口P790などの各種の遊技進行に係る検出スイッチや、設定キースイッチP49、振動検知センサP72、磁石センサP73などの各種遊技の管理や不正監視に用いられるスイッチやセンサと接続される。主制御基板P40は、これらのスイッチから各種の遊技状態の発生に係る情報の入力を得て、遊技進行に係る制御内容の決定をするとともに、ソレノイド等で構成され、大当りや小当りの際に大入賞口P751を拡開させるために駆動される特別電動役物駆動手段P70や、普通図柄抽選に当選した場合に普通電動役物P770を入球容易状態とするために駆動される普通電動役物駆動手段P71といった遊技用装置に対して、駆動態様に係る情報の出力を行う。
【0030】
主制御基板P40に接続するセンサ等は、主制御基板P40上の入出力ポートに接続されており、センサ検出に基づく各種遊技状態の発生の有無を主制御基板P40に情報として通知する。特別電動役物駆動手段P70や、普通電動役物駆動手段P71、その他、発射装置P242等は、入出力ポートから出力された情報(駆動信号や発射許可信号等)を受け取ってそれぞれの装置、デバイスを制御する。
【0031】
また、主制御基板P40は、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置P51、P52や大当りや小当りの種類(ラウンド数)を報知するラウンド表示灯P54、遊技状態を報知する状態表示灯P55などの各種表示を行う主制御表示装置P50や、遊技機の性能(例えば通常遊技中におけるベース値、すなわち発射総数に対する賞球数の割合)を表示する性能表示装置P59などと接続する。
【0032】
主制御基板P40は、上記の他に外部情報出力端子(図示せず)や試験端子(図示せず)等により遊技機外部の装置と電気的に接続可能に構成されており、各種制御信号を送信する。また、主制御基板P40は、遊技機内の他の制御基板である第1演出制御基板P41、払出制御基板P43とも電気的に接続している。
【0033】
払出制御基板P43は、主制御基板P40から送信される賞球払出や主制御基板P40の制御状態を示す信号等に基づいて、払出装置P410による賞球の払出を制御するほか、遊技者によるハンドルP204の操作を受けて発射装置ユニットP240による遊技球の発射に係る制御を行う。払出装置P410は、一例として払出モータP411と球計数センサP412有するものであり、払出モータP411の回転により、遊技球を1球ずつ払出可能に構成される。発射装置(発射装置ユニット)P240は、球皿P340(上球皿P341)に滞留している遊技球を1球ずつ球送り機構P241によって発射可能位置へ移動させた後、打球槌を遊技球にぶつけることで遊技球を発射させるよう構成されている。なお、払出制御基板P43には、主として遊技機の初期化や、遊技中に発生したエラーの解除に用いられるラムクリアスイッチP48が配設されており、払出制御基板P43と主制御基板P40の接続に使用されるハーネスやコネクタを介して、ラムクリアスイッチP48の操作情報が主制御基板P40に入力されるようになっている。
【0034】
第1演出制御基板P41は、第2演出制御基板P46(第2演出制御CPU)、演出可動役物P560の駆動源や位置検出センサ(例えば、駆動モータや、初期位置検出センサ、演出位置検出センサ)、演出入力装置P380(例えば演出操作手段P81であるボタンP381、レバーP382、十字キーP383など)、演出ランプP82(「装飾ランプ」「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」とも称する)、スピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。
【0035】
また、第2演出制御基板P46と演出表示装置P80の接続は、演出表示装置P80(例えば液晶表示装置などの画像を表示する装置)の表示制御を行う画像制御基板P42(VDP)を介して接続される。また、ぱちんこ遊技機Pでは、スピーカP83を第1演出制御基板P41にて制御するように構成するものであるが、音声制御用のIC等を備えた音声制御基板を別途設けてスピーカP83を制御するように構成してもよい。
【0036】
主制御基板P40と第1演出制御基板P41の間におけるデータ(メインコマンドとも称する)の送受信は、主制御基板P40から第1演出制御基板P41への一方向となるよう一方向でのデータ送受信にて行われる。主制御基板P40から第1演出制御基板P41へのデータ送信の一方向性が保たれるため、第1演出制御基板P41に含まれる構成から主制御基板P40に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、第1演出制御基板P41は、主制御基板P40で生成された情報が送信されない限りその情報を参照することはできない。なお、ぱちんこ遊技機Pにおいては、主制御基板P40と払出制御基板P43の間は、双方向でデータ送受信がなされる。ただし、主制御基板P40と第1演出制御基板P41の間と同様、主制御基板P40から払出制御基板P43への一方向でのデータ送受信とする構成にしてもよい。
【0037】
また、第1演出制御基板P41は、遊技機外部に設けられたPCP90(パーソナルコンピュータP90)ともコネクタケーブル等を介して接続可能に構成されている。第1演出制御基板P41とPCP90とは、コネクタケーブル等により直接接続されてもよいし、接続用の基板を介して接続されてもよい。
【0038】
第1演出制御基板P41と第2演出制御基板P46の間におけるデータの送受信は、第1演出制御基板P41と第2演出制御基板P46との間で相互に送受信が可能となっている。なお、第1演出制御基板P41から第2演出制御基板P46へ送信されるデータをサブコマンドと称する。
【0039】
[主制御基板P40(主制御CPU)の機能]
主制御基板P40(主制御CPU)は、主に遊技の進行を制御するための機能を備える。例えば、当否抽選、変動時間を決定するための変動パターン抽選、当りの種類を示す当り図柄やハズレの種類を示すハズレ図柄を決定する図柄抽選等を有する。抽選結果を示すメインコマンドを第1演出制御基板P41(第1演出制御CPU)へ送信する。
【0040】
[メインコマンド]
主制御基板P40から第1演出制御基板P41へ送信されるメインコマンドには、当否抽選の結果を示すコマンド、変動パターン抽選の結果を示すコマンド、図柄抽選の結果を示すコマンド等が含まれる。なお、当否抽選の結果を示すコマンド、変動パターン抽選の結果を示すコマンド、図柄抽選の結果を示すコマンド等は主制御基板P40から第1演出制御基板P41へ別個に送信されるが、説明の便宜上、これらのコマンドを包含する場合にはメインコマンドとして記載する。
【0041】
[第1演出制御基板P41(第1演出制御CPU)の機能]
第1演出制御基板P41(第1演出制御CPU)は、主に演出を制御するための機能を備える。例えば、メインコマンドに基づいて、演出表示装置P80に表示する演出内容を決定する。より具体的には、メインコマンドである当否抽選の結果を示すコマンド、変動パターン抽選の結果を示すコマンド、図柄抽選の結果を示すコマンド等に基づいて、所謂バトル演出を演出表示装置P80に表示するか否か、いずれのキャラクタでバトル演出を行うか、所謂保留表示(後述する保留オブジェクトP811等)を演出表示装置P80に表示するか否か等を決定する。決定した演出内容を示すコマンド(サブコマンド)を第2演出制御基板(第2演出制御CPU)へ送信する。第1演出制御基板P41は、第2演出制御基板P46へ送信するサブコマンドと同様のコマンドをPCP90へも送信可能である。
【0042】
[サブコマンド]
サブコマンドは、第1演出制御基板P41(第1演出制御CPU)が決定した演出内容を示すコマンドである。例えば、キャラクタAでバトル演出を行うことを示すコマンド、装飾図柄の変動開始を示すコマンド、保留を表示する個数を示すコマンド等が含まれる。なお、キャラクタAでバトル演出を行うことを示すコマンド、装飾図柄の変動開始を示すコマンド、保留を表示する個数を示すコマンド等は第1演出制御基板P41から第2演出制御基板P46へそれぞれ別個に送信されるが、説明の便宜上、これらのコマンドを包含する場合にはサブコマンドとして説明する。
【0043】
[第2演出制御基板P46の機能]
第2演出制御基板P46(第2演出制御CPU)は、受信したサブコマンドに基づいて、画像制御基板P42へ画像表示に関する制御データを送信する。例えば、サブコマンドに基づいて、変動開始直後にキャラクタAの画像と「チャンス!」の文字を表示させるための制御データをVDP(Video Display Processor)へ送信する。また、複数の画像のレイヤー情報なども制御データとして送信する。例えば、第1レイヤー(遊技者側)に保留表示、第2レイヤーにキャラクタAの画像と「チャンス!」の文字、第3レイヤーに装飾図柄のスクロール変動、を表示するといったような制御データが送信される。また、演出の表示開始タイミング等も第2演出制御CPUで管理される。なお、第2演出制御CPUとVDPとを同一の基板上に備える構成であってもし、別個の基板上に備える構成であってもよい。
【0044】
[画像制御基板P42(VDP)の機能]
画像制御基板P42は、第2演出制御基板P46(第2演出制御CPU)から受信した制御データに基づいて演出表示装置P80に演出に係る画像を表示する。
【0045】
[PCP90(パーソナルコンピュータP90)]
PCP90(パーソナルコンピュータP90)は、一般的なパーソナルコンピュータであってよい。主に、CPU、RAM等を備える。PCP90は、遊技機外部に設けられ、コネクタケーブル等を介してぱちんこ遊技機P等の遊技機と接続される。
図5にて示すように本明細書では、PCP90は、第1演出制御基板P41と接続されている。PCP90のCPU92は、第1演出制御基板P41から送信されたサブコマンドを受信し、受信したサブコマンドを記憶することができる。また、検査者の操作によりサブコマンドを記録したり、検査者の操作によりサブコマンドを後述するPCサブコマンドに変換したりする機能を備える。
【0046】
<デバッグ作業の説明>
次に、本明細書におけるデバッグ作業について説明する。検査者は、演出表示装置P80に表示される表示内容を確認する。演出表示装置P80に表示された表示内容が設計通りでない場合、言い換えると不具合が発生した場合、検査者は、当該不具合が発生したタイミングにおいて、第1演出制御CPUから第2演出制御CPUへ送信されたサブコマンドによる表示内容を再現するためのコマンド(以降、PCサブコマンドと称する)を生成するためにPCP90の操作を行う。PCP90で生成したPCサブコマンドを第2演出制御CPUへ送信することにより、第1演出制御CPUから送信されたサブコマンドによる表示内容を演出表示装置P80で再現し、不具合を再度確認する。
【0047】
図6は、ある一の状況における演出表示装置P80の表示画面を示している。ここでは、装飾図柄P801、簡易装
図P802、保留表示領域P810、保留オブジェクトP811、当該変動オブジェクト表示領域P812、当該変動オブジェクトP813、簡易保留表示P814が表示されている。
【0048】
ここで、
図6の演出表示装置P80に表示されている表示物について説明する。
【0049】
[装飾図柄P801]
装飾図柄P801は、演出表示装置P80の表示画面の略中央に表示され、3つの数字の図柄で構成される。この3つの図柄(左図柄P801a、中図柄P801b、右図柄P801c)は装飾図柄や装図等と呼ばれており、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)の結果に対応して表示される演出的な表示物であり、特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の変動表示に合わせて変動表示される。
【0050】
[簡易装図(P802)]
簡易装
図P802は、「ミニ装図」と呼ばれることもある。簡易装
図P802は、演出表示装置P80の表示画面の右上(右端且つ上段)に表示され、装飾図柄P801と同様に特別図柄の変動表示に合わせて、特別図柄の抽選結果を示す表示物として表示される。簡易装
図P802(ミニ装図)は、装飾図柄P801が停止表示されない特殊な演出が行われている場合であっても、特別抽選の結果を示す特別図柄が特別図柄表示装置P51、P52に表示されるのに合わせて、特別図柄抽選1回に対して必ず1回の停止表示を行う。
【0051】
[保留オブジェクトP811]
保留オブジェクトP811は、演出表示装置P80の表示画面の下段に表示され、遊技者が獲得した特別図柄抽選の権利であって、未行使の権利に対応する保留(乱数値)に対応して演出表示装置P80に表示される表示物である。特別図柄抽選の実行時期が早い保留(すなわち先に発生した保留)であるほど、画面下部の略中央方向に近い位置に表示される。
【0052】
[保留表示領域P810]
保留表示領域P810は、演出表示装置P80の表示画面の下部に表示され、保留オブジェクトP811を表示するための表示領域である。
【0053】
[当該変動オブジェクトP813]
当該変動オブジェクトP813は、演出表示装置P80の表示画面の下段に表示され、現在の特別図柄変動表示の当り期待度を示すために表示する表示物である。特別図柄の変動が開始すると乱数値を保留している状態ではなくなっているため、保留表示としては表示されない。しかし、当該変動において当りとなる期待度を示す予告として使用するため、当該変動の実行中に表示される。当該変動オブジェクトP813は、保留表示領域P810に保留オブジェクトP811として表示された表示態様を継続して表示する。例えば、保留オブジェクトP811として青色で表示された場合には、当該変動オブジェクトP813として青色で表示が開始される。また、当該変動オブジェクトP813は、「当該保留表示」などと称する場合がある。なお、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と差別化するために「当該」という頭文字をつけている。
【0054】
[当該変動オブジェクト表示領域P812]
当該変動オブジェクト表示領域P812は、演出表示装置P80の表示画面の下段に表示され、当該変動オブジェクトP813を表示するための表示領域である。保留表示領域P810の右側近傍に設けられ、保留表示領域P810に表示される保留オブジェクトP811よりも一段高い位置に当該変動オブジェクトP813を表示可能となっている。
【0055】
[簡易保留表示P814]
簡易保留表示P814は、演出表示装置P80の表示画面の左端且つ中段に表示され、現在の遊技状況における第1特別図柄の保留数および第2特別図柄の保留数を表す表示物である。演出表示装置P80の左端且つ高さ方向の略中央の位置には、2つの数字が縦方向に並んで表示されている。保留オブジェクトP811や当該変動オブジェクトP813は、バトル演出等の演出内容によっては演出表示装置P80に表示されないことがある。一方、簡易保留表示P814は、常に演出表示装置P80に表示される。
【0056】
次に、
図7乃至
図9を用いて、デバッグ作業中において演出表示装置P80に表示される表示内容に不具合があった場合について説明する。
【0057】
<概要>
前述した通り、第1演出制御CPUから第2演出制御CPUへサブコマンドが送信されるとともに、第1演出制御CPUからPCP90へもサブコマンドが送信される。PCP90のCPU92は、受信したサブコマンドのコマンド情報及び受信時刻を記憶する。検査者は、演出表示装置P80の表示内容に不具合を発見すると、PCP90を操作する。検査者の操作によりPCP90(CPU92)は、受信したコマンド情報を演出表示装置P80に表示するためのデータに変換する。検査者の操作によりPCP90(CPU92)は、変換したデータを演出表示装置P80に表示する制御(コマンド送信)を行う。これにより、サブコマンドによって表示された表示内容を、PCP90で変換されたデータに基づいて再現する。
【0058】
(状況説明)
以降では、本来保留が3個表示されなければならない状況にもかかわらず、演出表示装置P80には保留が表示されていない状況が発生した場合を例に説明する。
【0059】
まず、
図7を参照しながら説明する。初めに、主制御CPUは、第1演出制御CPUへメインコマンドを送信する。次に、第1演出制御CPUは、受信したメインコマンドに基づいて実行する演出を決定し、実行する演出に関するサブコマンドを第2演出制御CPU及びPCP90へ送信する。次に、第2演出制御CPUは、受信したサブコマンドに基づいて、演出表示装置P80に演出に係る画像等を表示する制御を行う。PCP90(CPU92)は、受信したサブコマンドを受信した時刻とともに(以降において受信時刻付きデータと称する)記憶する。
【0060】
次に、検査者が
図8に示すような演出表示装置P80で不具合を発生した場合について説明する。なお、
図8では、本来表示されなければならない保留の表示と実際に表示されている保留の表示とが異なっている。
【0061】
図7に戻り、検査者は、演出表示装置P80に表示された内容に不具合を発見すると、PCP90を操作する。PCP90(CPU92)は、検査者の操作により、受信時刻付きデータのファイル(記録)を作成する。さらに、PCP90(CPU92)は、検査者の操作により、作成したファイルの受信時刻付きデータを変換する。これにより、データの送信ウェイト時間が含まれた新たなサブコマンド(PCサブコマンド)を作成する。
【0062】
図7では、PCP90のCPU92は、「80H」「00H」「08H」「ABH」「00H」「03H」の6つのデータを「10:22:12.001(10時22分12秒10ミリ秒)」に受信し、「C0H」「00H」「00H」を「10:22:12.006(10時22分12秒60ミリ秒)」に受信している。なお、本明細書では、サブコマンド(及びPCサブコマンド)は、3バイト構成となっており、シリアルデータ通信により、1バイトずつ送信される。つまり、3つの1バイトデータが、1つのサブコマンド(1つのPCサブコマンド)として機能する。したがって、「800008H」、「AB0003H」、「C00000H」がそれぞれ1つのサブコマンドとして機能する。
【0063】
なお、「800008H」は、変動パターン8番で変動を開始することを示す。「AB0003H」は、保留オブジェクトを3つ表示すること(つまり、保留が3個ある状態)を示す。「T50」は、50msの送信ウェイト時間であることを示す。「C00000H」及び「B00000H」は、予告のパターンを示す。例えば、「C00000H」は、所謂ステップアップ予告のパターン1を示し、「B00000H」は、所謂コメント予告(セリフ予告ともいう)のパターン1を示す。
【0064】
このように、検査者が、演出表示装置P80に表示される表示内容に不具合を発見し、PCP90を操作することにより、PCP90のCPU92は、受信しているサブコマンドの受信時刻付きのデータを記録して変換し、PCサブコマンドを生成する。これにより、1バイトずつの受信時刻付きのデータが、3バイトの1つのPCサブコマンドとして作成される。さらに、受信時刻に基づいて、コマンドの送信ウェイト時間を指定するコマンドが作成される。これにより、第1演出制御CPUから送信されたサブコマンドにより演出表示装置P80に表示された表示内容を、PCサブコマンドにて再現することが可能となる。
【0065】
次に、
図9を用いて、PCサブコマンドにより、演出表示装置P80に演出を表示する流れを説明する。まず、PCP90のCPU92は、検査者の操作により、第1演出制御CPUへPCサブコマンドを送信する。第1演出制御CPUは、受信したPCサブコマンドをそのまま第2演出制御CPUへ送信する。第2演出制御CPUは、受信したPCサブコマンドに基づいて、演出表示装置P80に演出を表示するための制御を行う。
【0066】
第2演出制御CPUが受信したPCサブコマンドは、コマンドの内容がサブコマンドと同一であり、第2演出制御CPUが受信したPCサブコマンドの受信間隔は、サブコマンドの受信間隔とほぼ同様となる。このように、第2演出制御CPUは、PCサブコマンドにより、サブコマンドとほぼ同様の表示制御を実行することができる。
【0067】
したがって、PCサブコマンドを用いて不具合を再現することが可能になり、サブコマンドによる不具合を解消することが容易になる。
【0068】
(まとめ)
このように構成されるデバッグシステムにより、不具合が発生した時点で検査者がPCの操作を行うと、PCは、受信したサブコマンドとほぼ同一の内容となるPCサブコマンドを作成することができ、その後、検査者がさらにPCの操作を行い、PCが、PCサブコマンドを第2演出制御CPUへ送信することで、不具合を容易に再現することができる。
【0069】
これにより、不具合が発生したサブコマンドの組合せや時間等を正確に把握することができるため、修正作業にかかる時間を大幅に削減することができる。
【0070】
<変形例>
デバッグ作業は、検査者が演出表示装置P80を直接視認できる状況にて行うことに限られない。例えば、PCP90と遊技機とが直接ケーブル等で接続されているのではなく、ネットワークを介して接続されているケースが挙げられる。この場合、PCP90と第1演出制御基板P41(第1演出制御CPU)とが、ネットワークを介して接続され、さらに、PCP90と演出表示装置P80の表示画面を撮影するための撮影装置P96(例:カメラ)が、ネットワークを介して接続される。第1演出制御CPUが第2演出制御CPUへ送信するコマンドと同じコマンドが、第1演出制御CPUからPCP90(CPU92)へネットワークを介して送信される。撮影装置P96が撮影した映像は、ネットワークを介してPCP90に入力され、PCP90に接続されたPCモニタP93(一般的な液晶表示装置であってよい)に出力される。
【0071】
このように、ネットワークを介することで、遠隔地で検査者が作業することが可能な構成とすることも可能である。
【0072】
また、不具合の再現だけではなく、正常に表示された演出も同様に容易に再現することができる。
【0073】
例えば、チェックすべき項目を見落としていた場合等において、同じ演出を容易に再現することができるため、不具合が発生した場合だけでなく、正常に表示された演出に対してもデバッグ作業の工数を削減することに繋がる。
【符号の説明】
【0074】
P ぱちんこ遊技機、 P1 外枠、 P2 前枠、 P3 ガラス枠、
P4 裏セットユニット、 P5 遊技盤、 P40 主制御基板(主制御CPU)、
P41 第1演出制御基板(第1演出制御CPU)、
P42 第2演出制御基板(第2演出制御CPU)、
P42 画像制御基板、 P43 払出制御基板、
P44 電源基板、 P47 電源スイッチ、 P48 ラムクリアスイッチ、
P49 設定キースイッチ、 P50 主制御表示装置、
P51 第1特別図柄表示装置、 P52 第2特別図柄表示装置、
P80 演出表示装置、
P90 PC