(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088257
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】燃料電池発電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220607BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20220607BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20220607BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20220607BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200598
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱口 直大
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】斎宮 久幸
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB23
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA18
5H127BA33
5H127BB02
5H127BB18
5H127DB69
5H127DC42
5H127GG03
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】負荷検知装置と燃料電池発電装置との間に配線を要さずに、電力負荷に応じた燃料電池発電装置の出力制御が可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】出力調整が可能な燃料電池発電装置と、電力供給先における電力負荷を検知して前記燃料電池発電装置に電力負荷情報を送信する無線負荷検知装置と、前記電力負荷情報を受信して前記燃料電池発電装置の発電出力を制御する出力制御装置と、を備える、燃料電池発電システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力調整が可能な燃料電池発電装置と、電力供給先における電力負荷を検知して前記燃料電池発電装置に電力負荷情報を送信する無線負荷検知装置と、前記電力負荷情報を受信して前記燃料電池発電装置の発電出力を制御する出力制御装置と、を備える、燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記出力制御装置は、前記無線負荷検知装置から取得した過去の電力負荷変動に基づく予測値を用いて、前記燃料電池発電装置の発電出力を制御する、請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記出力制御装置は、前記予測値を用いた発電出力と、前記無線負荷検知装置から得たリアルタイムの電力負荷との差分に基づき、前記発電出力を補正する、請求項2に記載の燃料電池発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池発電システムの運転制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体酸化物形燃料電池システムなど家庭用発電システムでは、変流器のような負荷検知装置を宅内分電盤に取り付けることで家庭の電力負荷を取得し、負荷追従制御を行っている。特許文献1記載の技術では、電力負荷の履歴を蓄積し、蓄積された電力負荷履歴から、家庭や、季節ごとに異なる電力負荷パターンや、電力負荷パターンに合わせて区切った制御時間帯ごとに当該電力負荷パターンを特徴付ける項目に基づいて発電量の制御方法を選択する、という制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の家屋に燃料電池システムを新たに導入して変流器のような負荷検知装置を用いた負荷追従制御を行おうとすると、燃料電池発電装置は屋外に設置されるため、宅内分電盤に取り付ける負荷検知装置との間の配線のために、外壁に穴を開ける必要がある。また、建物の構造や環境によっては、外壁に穴を開けることができない場合もある。そのため、負荷検知装置と燃料電池発電装置との間に配線を要さずに、電力負荷に応じた燃料電池発電装置の出力制御が可能な燃料電池システムが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)第1態様
第1態様に係る燃料電池発電システムは、出力調整が可能な燃料電池発電装置と、電力供給先における電力負荷を検知して前記燃料電池発電装置に電力負荷情報を送信する無線負荷検知装置と、前記電力負荷情報を受信して前記燃料電池発電装置の発電出力を制御する出力制御装置と、を備える。
【0006】
本態様の燃料電池発電システムは、無線負荷検知装置から無線送信された電力負荷情報を受信した出力制御装置が、その電力負荷情報に基づいて燃料電池発電装置の発電出力を制御する。
【0007】
電力供給先とは、燃料電池発電装置で発電した電力が供給されてその電力が消費されるところであり、例えば、家庭、事業所、又は工場等を挙げることができる。電力供給先では、燃料電池発電装置が発電した電力とともに、実際の電力負荷に対する不足分はその他の電力供給元、例えば電力供給会社又は、電力供給先が備えるその他の発電施設(例えば、太陽光発電若しくは燃料電池発電装置以外の自家発電装置、バッテリー等)から得られた電力により賄われる。
【0008】
無線負荷検知装置とは、電力供給先における電力負荷を検知して、電力負荷情報を燃料電池発電装置に無線で送信する装置である。たとえば、電力供給先の分電盤に取り付けられて、電力負荷を無線で送信する無線変流器又は電力スマートメーターを、この無線負荷検知装置とすることができる。なお、燃料電池発電装置と無線負荷検知装置との無線通信は、直接電波を送信する通信であっても、また、インターネット等のネットワークを介した通信であっても、いずれでも良い。
【0009】
出力制御装置は、無線負荷検知装置から無線で送信された電力負荷情報を受信して、その電力負荷情報に基づいて燃料電池発電装置の発電出力を制御する装置である。例えば、燃料電池発電装置に装着された、CPU、RAM及びROM等を備えたコンピュータをこの出力制御装置とすることができる。この出力制御装置は、無線負荷検知装置と無線で接続され、有線負荷検知装置が検知した電力供給先の電力負荷変動が随時入力される。
【0010】
この構成によると、無線負荷検知装置と燃料電池発電装置との間には物理的な配線は存在しない。したがって、例えば、既存の家屋に燃料電池システムを新たに導入して負荷追従制御を行おうとする場合であっても、負荷検知装置と燃料電池発電装置とを連絡する配線のために外壁に穴を開ける工事が不要となる。これにより、ユーザが燃料電池発電システムを導入する際の費用負担が幾分かでも軽減される。
【0011】
(2)第2態様
上記第1態様の燃料電池発電システムに用いられる無線負荷検知装置は、負荷取得精度に課題があり、出力制御装置がリアルタイムで正確な電力負荷を取得できない場合がある。また、通信環境が不安定な場合にも同様である。
【0012】
そこで、第2態様に係る燃料電池発電システムは、第1態様の構成に加え、前記出力制御装置は、前記無線負荷検知装置から取得した過去の電力負荷変動に基づく予測値を用いて、前記燃料電池発電装置の発電出力を制御する。
【0013】
本態様の燃料電池発電システムは、リアルタイムで正確な電力負荷情報を得られない可能性のある無線負荷検知装置からの電力負荷情報を、過去の情報として将来の発電出力制御に用いることとしている。
【0014】
たとえば、前日の電力負荷の変動や、曜日ごとの電力負荷の変動や、過去一定期間(例えば、1週間又は1箇月)の電力負荷実績の平均に基づいて、当日の燃料電池発電装置の出力制御を実行することも可能である。
【0015】
この構成によると、過去の電力負荷実績に基づいて、当日の電力負荷変動を予測して燃料電池発電装置の出力制御が可能となるため、時間帯ごとに妥当な出力で燃料電池発電装置を稼働させることが可能となる。
【0016】
(3)第3態様
上記第2態様に係る燃料電池発電システムでは、過去の電力負荷実績に基づいて、当日の電力負荷変動を予測して燃料電池発電装置の出力制御を行うが、現実の電力負荷との乖離が大きい場合には、発電寄与率が低下したり、あるいは逆に過剰となる場合がある。
【0017】
そこで、第3態様に係る燃料電池発電システムは、第2態様の構成に加え、前記出力制御装置は、前記予測値を用いた発電出力と、前記無線負荷検知装置から得たリアルタイムの電力負荷との差分に基づき、前記発電出力を補正する。
【0018】
ここで、前述の通り、無線負荷検知装置は、負荷取得精度に課題はあるものの、リアルタイムでの参考値としての電力負荷を検知する程度のことは可能である。そしてその参考値が、過去の電力負荷実績に基づいて制御されている発電出力との間で乖離がある場合には、発電出力を予測値よりも低下させたり、あるいは逆に発電出力を予測値より上昇させたりするような補正が可能となる。
【0019】
ここで、出力制御装置による発電出力の補正の方法としては、例えば、予測値に基づく出力制御とリアルタイムの電力負荷との差分に対し、段階的な補正(例えば、100Wごと)を行うことも可能であり、また、電力が余らない程度にリアルタイムの電力負荷より低めの値に補正することも可能である。また、このような補正は、予測値に基づく出力制御とリアルタイムの電力負荷との差分が所定の閾値を超えた場合にのみ行うこととしてもよい。その場合、差分の全てを埋める補正(補填する補正)、換言すると、リアルタイムの電力負荷まで発電出力を上げる(又は下げる)という補正を行ってもよい。
【0020】
ただし、本態様の補正は、出力制御装置と無線負荷検知装置との通信品質がある程度良好な場合にのみ行うこととしてもよい。たとえば、出力制御装置が、無線負荷検知装置との通信速度を測定し、この通信速度が所定の閾値以上の場合に限り、本態様の補正を行うようにしてもよい。また、本態様の補正は、通信速度に代えて、通信成功率や通信速度の測定結果に基づいて行うこともできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記のように構成されているので、負荷検知装置と燃料電池発電装置との間に配線を要さずに、電力負荷に応じた燃料電池発電装置の出力制御が可能な燃料電池システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態の燃料電池発電システムを模式的に示す。
【
図2】本実施形態の出力制御の第1例における出力制御装置における処理を示すフローチャートである。
【
図3】第1例の制御による電力負荷変動の例を示すグラフである。
【
図4】本実施形態の出力制御の第2例及び第3例における出力制御装置における処理を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態の出力制御の第2例における出力制御装置における処理を示すフローチャートである。
【
図6】第2例の制御による電力負荷変動の例を示すグラフである。
【
図7】第2例の制御による電力負荷変動の別の例を示すグラフである。
【
図8】本実施形態の出力制御の第3例における出力制御装置における処理を示すフローチャートである。
【
図9】第3例の制御による電力負荷変動の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下で言及する各図面における各部位の大きさ及び各部位間の比率は、模式的に表現されており、実際の各部位の大きさ及び各部位間の比率を必ずしも反映していない。
【0024】
<燃料電池発電システム10>
図1は、本実施形態の燃料電池発電システム10の一例を模式的に示すものである。本実施形態の燃料電池発電システム10は、出力調整が可能な、固体酸化物型の燃料電池発電装置20と、電力供給先90における電力負荷を検知して燃料電池発電装置20に電力負荷情報を送信する無線負荷検知装置30と、電力負荷情報を受信して燃料電池発電装置20の発電出力を制御する出力制御装置40とを備える。燃料電池発電システム10はその他、貯湯タンク50及びバックアップ熱源機55も備える。
【0025】
[燃料電池発電装置20]
燃料電池発電装置20内の図示しない気化器には、都市ガス供給路60から脱硫器61を経たメタンガスが供給され、また、改質水ポンプ77により改質水貯留槽76から改質水供給路75を経た改質水も供給される。気化器では、改質水は気化され水蒸気となる。メタンガス及び水蒸気は燃料電池発電装置20内の図示しない改質器に搬送され、ここでメタンガスは水蒸気改質を受け水素ガスが生成される。この水素ガスが燃料電池発電装置20内の図示しない燃料電池スタックで酸素と反応することで、発電が行われる。発電により生じた電力はインバータ81を経て電力供給路80により、家庭、事業所又は工場等の電力供給先90に配電盤82を介して供給される。また、発電により生じた電力の一部は、後述する自立ヒータ53へも供給される。
【0026】
配電盤82には、電力供給先90における電力負荷を検知する無線負荷検知装置30が装着される。無線負荷検知装置30は、検知した電力負荷に関する情報を無線にて出力制御装置40へ送信する。出力制御装置40は、受信した電力負荷に関する情報に基づき、後述するように燃料電池発電装置20の発電出力を制御する。
【0027】
発電により生じた水蒸気を含む排ガスは、排気路70から排気熱交換器71へ送られここで冷却され、水蒸気は凝結して再び改質水となり改質水貯留槽76へ貯留される。水蒸気が除かれた排ガスは排気路70から外部へ放出される。
【0028】
[貯湯タンク50]
開放式の貯湯タンク50には、発電により生じた排ガスによって加熱された湯が貯留される。貯湯タンク50の湯は、貯湯循環路51を通って上水熱交換器66へ送られ、ここで上水供給路65から供給された上水を加熱する。換言すると、貯湯タンク50の湯は、上水熱交換器66で上水により冷却される。冷却後の湯は予熱ポンプ52により貯湯循環路51からラジエータ72に送られ、必要に応じここで冷却され、熱回収ポンプ73により前記した排気熱交換器71へ送られ、ここで排ガスの熱により再び加熱される。加熱された湯は、必要に応じ自立ヒータ53で追加加熱された上で、再び貯湯タンク50へ貯留される。
【0029】
[バックアップ熱源機55]
上水熱交換器66で加熱された上水は、上水混合弁68を介してバックアップ熱源機55へ送られ、図示しない貯湯タンクに貯留される。そして、必要に応じ、都市ガス供給路60から供給された都市ガスを熱源とする図示しない加熱器で適温に加熱され、給湯路56を通じて電力供給先90へ給湯される。また、上水供給路65からの加熱されていない上水が、上水混合弁68を介して、バックアップ熱源機55を通って常温水として電力供給先90へ給湯路56を通じて供給される場合もある。なお、加熱された上水の一部は補水弁67を介して貯湯タンク50へ補充される。
【0030】
<出力制御>
以下、本実施形態の燃料電池発電システム10における出力制御の具体例を示す。
【0031】
[第1例]
図2は、本実施形態の出力制御の第1例における出力制御装置40における処理を示すフローチャートである。出力制御の第1例では、出力制御装置40は、無線負荷検知装置30から取得した過去の電力負荷変動に基づく予測値を用いて、燃料電池発電装置20の発電出力を制御する。
【0032】
まず、無線負荷検知装置30は、電力供給先90における実際の電力負荷の値を検知してこれを実測値とし、時刻の情報と対にして出力制御装置40に無線で送信する。この送信は単位時間(例えば10分、5分又は1分)ごとに行うことが望ましい。そして、S100に示す段階において、出力制御装置40は、時刻の情報(日付の情報も含む。以下同じ)と対になった現在値を受信して、それを、出力制御装置40の一部を構成する記憶装置に格納する。
【0033】
次に、S110に示す段階において、出力制御装置40は、記憶装置から、当該時刻に対応する過去の電力負荷を予測値として取得する。ここで、この予測値としては、例えば、前日の電力負荷変動における当該時刻の電力負荷の値とすることができる。また、この予測値として、直近の同じ曜日の電力負荷変動における当該時刻の電力負荷の値とすることもできる。また、この予測値として、過去の一定期間(例えば、1週間又は1箇月)における、当該時刻の電力負荷の平均値とすることもできる。この平均値は、出力制御装置40の一部を構成する演算装置によって算出される。
【0034】
そして、S130に示す段階において、出力制御装置40は、燃料電池発電装置20の発電出力が取得した予測値となるよう、燃料電池発電装置20を制御する。この燃料電池発電装置20の予測値に基づく制御は、S140に示す段階で、単位時間が経過すると判断されるまで継続する。そして、単位時間が経過すると、再びS100に示す段階以降が繰り返される。
【0035】
このような第1例の制御による電力負荷変動の例を、
図3のグラフに示す。図中の破線のグラフは実測値を示し、また、一点鎖線のグラフは予測値を示す。各グラフにおいて横軸に平行な段の幅は単位時間を示す。実測値は、上述のように
図2のS100に示す段階にて無線負荷検知装置30により単位時間ごとに検知され、出力制御装置40へ無線送信されて記憶される。一方、予測値は、上述のように
図2のS110に示す段階にて出力制御装置40により単位時間ごとに取得され、当該単位時間の間、燃料電池発電装置20の発電出力が当該予測値となるよう制御する。すなわち、第1例の制御では、横軸の単位時間ごとに、一点鎖線のグラフに示す予測値に従った出力制御を行う一方、同じく単位時間ごとに、破線のグラフに示す実測値が記憶されていく。
【0036】
[第2例]
図4及び
図5は、本実施形態の出力制御の第2例における出力制御装置40における処理を示すフローチャートである。出力制御の第2例では、出力制御装置40は、予測値を用いた発電出力と、無線負荷検知装置30から得たリアルタイムの電力負荷との差分に基づき、発電出力を補正する。具体的には、当該差分が所定の閾値を超える場合、出力制御装置40は実測値に基づいて燃料電池発電装置20の発電出力を制御する。
【0037】
まず、無線負荷検知装置30は、第1例と同様に、電力供給先90における実際の電力負荷の値を検知してこれを実測値とし、時刻の情報と対にして出力制御装置40に無線で送信する。そして、S100に示す段階において、第1例と同様に、出力制御装置40は、時刻の情報と対になった現在値を受信して、それを、出力制御装置40の一部を構成する記憶装置に格納する。
【0038】
次に、S110に示す段階において、第1例と同様に、出力制御装置40は、記憶装置から、当該時刻に対応する過去の電力負荷を予測値として取得する。この予測値については第1例と同様である。
【0039】
次いで、S120に示す段階において、出力制御装置40は、実測値と予測値との差の絶対値が、所定の閾値(T)を超えているかどうかを判断する。超えていないと判断したときはS130に示す段階に、また、超えていると判断したときはS200に示す段階に、それぞれ進む。
【0040】
S130に示す段階では、第1例と同様に、出力制御装置40は、燃料電池発電装置20の発電出力が取得した予測値となるよう、燃料電池発電装置20を制御する。すなわち、この燃料電池発電装置20の予測値に基づく制御は、S140に示す段階で、単位時間が経過すると判断されるまで継続する。そして、単位時間が経過すると、再びS100に示す段階以降が繰り返される。
【0041】
一方、
図4のS120に示す段階において、出力制御装置40が、実測値と予測値との差の絶対値が、所定の閾値(T)を超えていると判断したときには、S200に示す補正出力処理が行われる。
【0042】
具体的には、
図5のS220に示す段階に進み、出力制御装置40は、当該時点における実測値を補正値とする。そして、S240に示す段階において、出力制御装置40は、燃料電池発電装置20の発電出力が補正値となるよう、燃料電池発電装置20を制御する。すなわち、この燃料電池発電装置20の予測値に基づく制御は、S250に示す段階で、単位時間が経過すると判断されるまで継続する。そして、単位時間が経過すると、再び
図4のS100に示す段階以降が繰り返される。
【0043】
このような第2例の制御による電力負荷変動の例を、
図6のグラフに示す。図中の破線のグラフは実測値を示し、一点鎖線のグラフは予測値を示し、また、実線のグラフは補正値を示す。実測値は、上述のように
図4のS100に示す段階にて無線負荷検知装置30により単位時間ごとに検知され、出力制御装置40へ無線送信されて記憶される。一方、予測値は、上述のように
図4のS110に示す段階にて出力制御装置40により単位時間ごとに取得され、当該単位時間の間、燃料電池発電装置20の発電出力が当該予測値となるよう制御する。しかし、予測値と実測値との差が所定の閾値(T)を超えているときには、次の単位時間では実測値に一致する値を補正値として、燃料電池発電装置20の発電出力が当該補正値となるよう制御する。
【0044】
なお、補正値を定める際には、
図6のように実測値を補正値にするのではなく、
図7のように、余剰電力が発生しない程度に、実測値よりも所定の値(図中のα。ただしT>α)だけ低い値を補正値とすることも可能である。
【0045】
[第3例]
図4及び
図8は、本実施形態の出力制御の第3例における出力制御装置40における処理を示すフローチャートである。出力制御の第3例では、出力制御装置40は、予測値を用いた発電出力と、無線負荷検知装置30から得たリアルタイムの電力負荷との差分に基づき、発電出力を補正する。具体的には、当該差分が所定の閾値を超える場合、実測値が予測値以下であるときには出力制御装置40は実測値に基づいて燃料電池発電装置20の発電出力を制御し、一方、実測値が予測値を上回るときには、予測値から段階的に発電出力を上昇させる。
【0046】
まず、
図4のS100~S140に示す段階については、第2例と同様である。そして、
図4のS120に示す段階において、出力制御装置40が、実測値と予測値との差の絶対値が、所定の閾値(T)を超えていると判断したときには、S200に示す補正出力処理が行われる。
【0047】
具体的には、
図8のS210に示す段階に進み、出力制御装置40は、実測値が予測値以下であるかどうかを判断する。実測値が予測値以下である場合には、S220に示す段階に進み、出力制御装置40は、当該時点における実測値を補正値とする。そして、S240に示す段階において、出力制御装置40は、燃料電池発電装置20の発電出力が補正値となるよう、燃料電池発電装置20を制御する。すなわち、この燃料電池発電装置20の予測値に基づく制御は、S250に示す段階で、単位時間が経過すると判断されるまで継続する。そして、単位時間が経過すると、S260に示す段階で、実測値と補正値との差が、予測値を段階的に上昇させる値(Δ、ただしT>Δ)を上回っているかどうかが判断されるが、この場合は補正値と実測値とは一致しているはずなので、再び
図4のS100に示す段階以降が繰り返される。
【0048】
一方、
図8のS210に示す段階において、出力制御装置40が、実測値が予測値を上回っていると判断した場合には、S230に示す段階に進み、出力制御装置40は、予測値をΔだけ段階的に加算した値を補正値とする。そして、S240に示す段階において、出力制御装置40は、燃料電池発電装置20の発電出力が補正値となるよう、燃料電池発電装置20を制御する。すなわち、この燃料電池発電装置20の予測値に基づく制御は、S250に示す段階で、単位時間が経過すると判断されるまで継続する。そして、単位時間が経過すると、S260に示す段階で、実測値と補正値との差が、予測値を段階的に上昇させる値(Δ、ただしT>Δ)を上回っているかどうかが判断される。上回っていないと判断されたときは、再び
図4のS100に示す段階以降が繰り返される。
【0049】
一方、S260に示す段階で、実測値と補正値との差がΔを上回っていると判断されたときは、S270に示す段階に進み、補正値にさらにΔを加算した値が新たな補正値とされる。そして、再びS240以降の段階が繰り返される。
【0050】
このような第3例の制御による電力負荷変動の例を、
図9のグラフに示す。図中の破線のグラフは実測値を示し、一点鎖線のグラフは予測値を示し、また、実線のグラフは補正値を示す。実測値は、上述のように
図4のS100に示す段階にて無線負荷検知装置30により単位時間ごとに検知され、出力制御装置40へ無線送信されて記憶される。一方、予測値は、上述のように
図4のS110に示す段階にて出力制御装置40により単位時間ごとに取得され、当該単位時間の間、燃料電池発電装置20の発電出力が当該予測値となるよう制御する。しかし、予測値と実測値との差が所定の閾値(T)を超えているときには、次の単位時間では予測値にΔを加算した値を補正値として、燃料電池発電装置20の発電出力が当該補正値となるよう制御する。
【0051】
本発明は、上記実施形態の燃料電池発電システム10に限らず、他の構成の燃料電池発電システムにも適用可能である。例えば、燃料電池発電システム10は、コージェネレーションでなく、熱回収を行わない発電のみのシステムであってもよい。
また、上記実施形態の燃料電池発電システム10では、貯湯タンク50の内部が大気に開放されていたが、貯湯タンク50は密閉されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、特に固体酸化物型の燃料電池発電装置を用いる燃料電池発電システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 燃料電池発電システム
20 燃料電池発電装置
30 無線負荷検知装置
40 出力制御装置
50 貯湯タンク 51 貯湯循環路 52 予熱ポンプ
53 自立ヒータ
55 バックアップ熱源機 56 給湯路
60 都市ガス供給路 61 脱硫器
65 上水供給路 66 上水熱交換器 67 補水弁
68 上水混合弁
70 排気路 71 排気熱交換器 72 ラジエータ
73 熱回収ポンプ
75 改質水供給路 76 改質水貯留槽 77 改質水ポンプ
80 電力供給路 81 インバータ 82 配電盤
90 電力供給先