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特開2022-88347ステビオール配糖体の水中凝集抑制方法、及び水中での凝集が抑制されたステビア製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088347
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ステビオール配糖体の水中凝集抑制方法、及び水中での凝集が抑制されたステビア製剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220607BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195505
(22)【出願日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2020200550
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康之
(72)【発明者】
【氏名】牛谷 健作
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LB03
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF07
4B047LG32
4B047LP01
4B047LP02
(57)【要約】
【課題】ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制する方法、及びそれに使用する製剤を提供する。
【解決手段】ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集を抑制する方法であって、
当該方法は、水溶液中でステビオール配糖体Iとステビオール配糖体IIとを共存させる工程を含み、当該ステビオール配糖体IIは前記ステビオール配糖体Iと同一のステビオール配糖体ではない、前記方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集を抑制する方法であって、
当該方法は、水溶液中でステビオール配糖体Iとステビオール配糖体IIとを共存させる工程を含み、当該ステビオール配糖体IIは前記ステビオール配糖体Iと同一のステビオール配糖体ではない、前記方法。
【請求項2】
前記ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合は、前記ステビオール配糖体IIが、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ステビオサイド、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合は、前記ステビオール配糖体IIが、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載する方法。
【請求項3】
前記凝集が、ステビオール配糖体Iの水溶液中での結晶化によるものである、請求項1または2に記載する方法。
【請求項4】
ステビオール配糖体Iを50質量%以上含有するステビオール配糖体含有製剤またはステビア抽出物の水への溶解安定方法である、請求項1~3のいずれかに記載する方法。
【請求項5】
ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集を抑制するための製剤であって、
当該製剤はステビオール配糖体IIを含有し、当該ステビオール配糖体IIは前記ステビオール配糖体Iと同一のステビオール配糖体ではない、製剤。
【請求項6】
前記ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合は、前記ステビオール配糖体IIは、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ステビオサイド、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合は、前記ステビオール配糖体IIは、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種である、
請求項5に記載する製剤。
【請求項7】
ステビオール配糖体I、及び請求項5または6に記載する製剤を含有するステビア製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステビオール配糖体の水中での凝集抑制方法に関する。また、本発明はステビオール配糖体の水中での凝集を抑制するために使用される製剤に関する。さらに、本発明は、水中での凝集が抑制されたステビア製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ステビオール配糖体は、キク科ステビア属に属する植物であるステビアレバウディアナ・ベルトニ(学名:Stevia rebaudiana(Bertoni)Bertoni)の葉や茎に含まれる甘味成分として知られており、当該ステビオール配糖体やこれを含むステビア抽出物は、従来、食品添加物や医薬品添加物として広く使用されている(非特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】厚生労働省 消費者庁「第9版 食品添加物公定書2018」第725―726頁「ステビア抽出物」、第726―727頁「ステビオール配糖体」
【非特許文献2】厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課「医薬品添加物規格2018」第413-415頁「精製ステビア抽出物」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、日々研究を重ねるなかで、ステビア抽出物等、ステビオール配糖体を含有する製剤は、5%程度の濃度であっても水中での安定性が低く、経時的に結晶が析出して凝集すること、その傾向はステビオール配糖体の精製度を高くすることで顕著になることを知見した。しかしながら、ステビオール配糖体の水安定性、特に水中での凝集を抑制する技術は知られていない。
【0005】
そこで本発明は、ステビオール配糖体の水中での凝集を抑制する方法を提供することを課題とする。また本発明は、当該方法に使用する製剤を提供すること、さらに水中での凝集が抑制されたステビオール配糖体含有製剤(ステビア製剤)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、水溶液中で、対象とするステビオール配糖体に、それとは異なるステビオール配糖体を共存させることで、対象ステビオール配糖体の水中での結晶化及び凝集が有意に抑制され、保存安定性が良好なステビオール配糖体含有水溶液が調製できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて、さらに検討を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである。
【0007】
(I)ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制する方法
(I-1)ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集を抑制する方法であって、
当該方法は、水溶液中でステビオール配糖体Iとステビオール配糖体IIとを共存させる工程を含み、当該ステビオール配糖体IIは前記ステビオール配糖体Iと同一のステビオール配糖体ではない、前記方法。
(I-2)前記ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合は、前記ステビオール配糖体IIが、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ステビオサイド、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合は、前記ステビオール配糖体IIが、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種である、(I-1)に記載する方法。
(I-3)前記凝集が、ステビオール配糖体Iの水溶液中での結晶化によるものである、(I-1)または(I-2)に記載する方法。
(I-4)ステビオール配糖体Iを85質量%以上、好ましくは90質量%以上含有するステビオール配糖体含有製剤またはステビア抽出物の水への溶解安定方法である、(I-1)~(I-3)のいずれかに記載する方法。
【0008】
(II)ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制するための製剤
(II-1)ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集を抑制するための製剤であって、当該製剤はステビオール配糖体IIを含有し、当該ステビオール配糖体IIは前記ステビオール配糖体Iと同一のステビオール配糖体ではない、製剤。
(II-2)前記ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合は、前記ステビオール配糖体IIは、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ステビオサイド、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合は、前記ステビオール配糖体IIは、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種である、
(II-1)に記載する製剤。
【0009】
(III)ステビア製剤
(III-1)ステビオール配糖体I、及び(II-1)または(II-2)に記載する製剤を含有するステビア製剤。
(III-2)前記ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAであり、前記(II-1)または(II-2)に記載する製剤がレバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ステビオサイド、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する製剤であるか、または、
前記ステビオール配糖体Iがステビオサイドであり、前記(II-1)または(II-2)に記載する製剤がレバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する製剤である、
(III-1)に記載するステビア製剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制する方法、または当該方法に使用される製剤を提供することができる。また、本発明の方法及び製剤によれば、ステビオール配糖体の水溶液中での結晶化及び凝集を抑制され、水溶液に調製した場合でも保存安定性が良好なステビア配糖体含有製剤(ステビア製剤)を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(I)ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制する方法
本発明のステビオール配糖体の水溶液中での凝集抑制方法(以下、単に「本発明の方法」と称する)は、対象とするステビオール配糖体(本発明では、これを「ステビオール配糖体I」と称する)と、これとは別のステビオール配糖体(本発明では、これを「ステビオール配糖体II」と称する)とを、水溶液中で共存させることを特徴とする。
【0012】
共存させる方法は、特に制限されず、ステビオール配糖体Iを含有する水溶液にステビオール配糖体IIを添加し溶解する方法、ステビオール配糖体IIを含有する水溶液にステビオール配糖体Iを添加し溶解する方法、及び水溶媒にステビオール配糖体I及びステビオール配糖体IIを添加し溶解する方法を例示することができる。なお、水溶液の調製に使用される水溶媒は、体内に摂取可能なものであればよく、例えば、飲料水、水道水、天然水、ミネラルウォーター、精製水、蒸留水、海洋深層水、アルカリイオン水、水素水、及び純水等が例示されるが、これらに制限されるものではない。
【0013】
本発明が対象とするステビオール配糖体は、ステビオール骨格の1または2の部位に単糖または2糖ないし3糖以上のオリゴ糖が結合した化合物である。当該ステビオール配糖体には、ステビアレバウディアナ・ベルトニ(学名:Stevia rebaudiana(Bertoni)Bertoni)(以下、「ステビア植物」とも称する)の葉や茎に含まれるステビオール配糖体が含まれ、制限されないものの、例えば、ステビオサイド、レバウディオサイドA、B、C、D、及びF、並びに、ズルコサイドA、ルブソサイド、及びステビオールビオサイド等を挙げることができる。好ましくは、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドである。
【0014】
例えば、一態様として、ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合、これと組み合わせるステビオール配糖体IIは、レバウディオサイドAの水溶液中での凝集を抑制する効果を奏するものであればよく、好ましくはステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドを挙げることができる。好ましくはステビオサイド、及びルブソサイドである。この場合、水溶液中のステビオール配糖体I(レバウディオサイドA)の濃度は、制限されないものの、下限値が0.5質量%以上、好ましくは0.75質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、上限値が20.0質量%以下、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。
【0015】
また、レバウディオサイドAと併用するステビオール配糖体IIの水溶液中の濃度として、ステビオサイドについては、制限されないものの、下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が15.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。また、水溶液中のレバウディオサイドA100質量部に対するステビオサイドの割合として、制限されないものの0.5~100質量部の範囲から選択することができる。好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部である。
【0016】
同様に、レバウディオサイドAと併用するステビオール配糖体IIがレバウディオサイドBである場合、レバウディオサイドBの水溶液中の濃度については、制限されないものの、下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。また、水溶液中のレバウディオサイドA100質量部に対するレバウディオサイドBの割合として、制限されないものの0.2~10質量部の範囲から選択することができる。好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部である。
【0017】
さらに、レバウディオサイドAと併用するステビオール配糖体IIがレバウディオサイドDである場合、レバウディオサイドDの水溶液中の濃度については、制限されないものの、下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。また、水溶液中のレバウディオサイドA100質量部に対するレバウディオサイドDの割合として、制限されないものの0.2~10質量部の範囲から選択することができる。好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部である。
【0018】
さらに、レバウディオサイドAと併用するステビオール配糖体IIがルブソサイドである場合、ルブソサイドの水溶液中の濃度については、制限されないものの、下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。また、水溶液中のレバウディオサイドA100質量部に対するルブソサイドの割合として、制限されないものの、0.5~100質量部の範囲から選択することができる。好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部である。
【0019】
また、別の態様として、ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合、これと組み合わせるステビオール配糖体IIは、ステビオサイドの水溶液中での凝集を抑制する効果を奏するものであればよく、好ましくはレバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドを挙げることができる。好ましくはレバウディオサイドA、及びレバウディオサイドBである。この場合、水溶液中のステビオール配糖体I(ステビオサイド)の濃度としては、制限されないものの、下限値が0.5質量%以上、好ましくは0.75質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、上限値が15.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下である。
【0020】
また、ステビオサイドと併用するステビオール配糖体IIの水溶液中の濃度として、レバウディオサイドAについては、制限されないものの、下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が15.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。また、水溶液中のステビオサイド100質量部に対するレバウディオサイドAの割合として、制限されないものの0.5~100質量部の範囲から選択することができる。好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部である。
【0021】
同様に、ステビオサイドと併用するステビオール配糖体IIがレバウディオサイドBである場合、レバウディオサイドBの水溶液中の濃度については、制限されないものの、下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。また、水溶液中のステビオサイド100質量部に対するレバウディオサイドBの割合として、制限されないものの0.2~10質量部の範囲から選択することができる。好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部である。
【0022】
さらに、ステビオサイドと併用するステビオール配糖体IIがレバウディオサイドDである場合、レバウディオサイドDの水溶液中の濃度については、制限されないものの、下限値が0.05質量%以上、好ましくは0.075質量%以上、より好ましくは0,1質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。また、水溶液中のステビオサイド100質量部に対するレバウディオサイドDの割合として、制限されないものの1~10質量部の範囲から選択することができる。好ましくは1.5~10質量部、より好ましくは2~10質量部である。
【0023】
さらに、ステビオサイドと併用するステビオール配糖体IIがルブソサイドである場合、ルブソサイドの水溶液中の濃度については、制限されないものの、下限値が0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、上限値が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。また、水溶液中のレバウディオサイドA100質量部に対するルブソサイドの割合として、制限されないものの、2~100質量部の範囲から選択することができる。好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~100質量部である。
【0024】
なお、各種ステビオール配糖体の定量は、公定書記載の方法に従って実施することができる(非特許文献1及び2参照)。
【0025】
本発明で使用するステビオール配糖体は、その由来は問わず、前記ステビア植物に由来するものであっても、また発酵技術により製造されたものであってもよい。制限されないものの、例えば特表2018-521636号公報には、組換え酵母菌を用いてグルコール含有組成物からステビオール配糖体を製造する方法が記載されている。各種のステビオール配糖体は、ステビア植物から調製することもできるが、簡便には、市販の製品を用いることができる。
【0026】
市販の製品として、制限されないものの、レバウディオサイドAを含有する製品としては、レバウディオJ-100(≧95%)(守田化学工業(株)製);を例示することができる。括弧内の数値は、製剤中のレバウディオサイドAの含有量(製品の規格値)を示す。
また、ステビオサイドを含有する製品としては、制限されないものの、ステビロンS-100(≧90%)(守田化学工業(株)製)を例示することができる。括弧内の数値は、製剤中のステビオサイドの含有量(製品の規格値)を示す。
【0027】
本発明の方法によれば、少なくとも室温条件下での水溶液中におけるステビオール配糖体の凝集を抑制することができる。当該凝集は、ステビオール配糖体が水溶中で析出(結晶化)し、それが集合または堆積することで生じ得る。このため、本発明の方法は、ステビオール配糖体の水溶中での析出(結晶化)抑制方法、または水溶液中での溶解安定化方法と言い換えることもできる。当該凝集の有無及び抑制効果は、後述する実験例に記載する方法に従って、目視により評価することができる。
【0028】
(II)ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制するための製剤
本発明は、ステビオール配糖体の水溶液中での凝集を抑制するための製剤(以下、便宜上「凝集抑制剤」と称する。)を提供する。
本発明の凝集抑制剤は、水溶液中での凝集を抑制する対象のステビオール配糖体(本発明では、これを「ステビオール配糖体I」と称する)とは異なるステビオール配糖体(本発明では、これを「ステビオール配糖体II」と称する)を有効成分として含有することを特徴とする。
【0029】
例えば、一態様として、ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合、これに対する凝集抑制剤は、レバウディオサイドAの水溶液中での凝集を抑制する効果を奏するステビオール配糖体IIを含有するものであればよい。制限されないものの、ステビオール配糖体IIとして、好ましくはステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドを挙げることができる。好ましくはステビオサイド、及びルブソサイドである。
【0030】
また、別の態様として、ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合、これに対する凝集抑制剤は、ステビオサイドの水溶液中での凝集を抑制する効果を奏するステビオール配糖体IIを含有するものであればよい。制限されないものの、ステビオール配糖体IIとして、好ましくはレバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドを挙げることができる。好ましくはレバウディオサイドA、及びレバウディオサイドBである。
なお、凝集抑制剤中のステビオール配糖体IIの含有割合は、後述する使用量に支障がない範囲であれば特に制限されず、100%を限度として適宜選択調製することができる。
【0031】
当該凝集抑制剤は、ステビオール配糖体IIを1種単独で、または2種以上含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわないことを限度として、ステビオール配糖体II以外(但し、ステビオール配糖体Iを除く)のステビオール配糖体を任意に組み合わせて含むものであってもよい。また、本発明の凝集抑制剤は、ステビオール配糖体IIを精製した状態で含むものであってもよいし、また粗精製状態で含むものであってよい。なお、ステビオール配糖体IIの由来は問わず、前記ステビア植物に由来するものであっても、また発酵技術により製造されたものであってもよい。
【0032】
ステビオール配糖体IIの粗精製物としては、ステビア抽出物を挙げることができる。当該ステビア抽出物には、前記ステビア植物の葉や茎等を原料として、水又は有機溶媒で抽出される抽出物が含まれる。当該抽出物には、ステビア植物から水等で抽出された抽出液、及びその濃縮または乾燥物、並びに、当該抽出液からステビオール配糖体IIを含む画分を分離又は濃縮する等して、高濃度または高純度のステビオール配糖体IIが含まれるように精製処理されたものも含まれる。さらに、前記ステビア抽出物には、ステビア植物から得られた抽出物にグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理ステビアも含まれる。こうしたステビオール配糖体IIの粗精製物として、制限されないものの、乾燥物換算で、ステビオール配糖体4種(ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、及びズルコサイドA)の合計量が80.0質量%以上であるステビア抽出物;前記ステビオール配糖体4種の合計量が80.0質量%以上で、且つステビオール配糖体9種(ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソサイド、及びステビオールビオサイド)の合計量が95.0質量%以上であるステビア抽出物;並びにステビオール配糖体5種(ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドA、及びステビオールビオサイド)の合計量が90.0~96.0質量%であるステビア抽出物が含まれる。なお、各種ステビオール配糖体の定量は、公定書記載の方法に従って実施することができる(非特許文献1及び2参照)。
【0033】
ステビオール配糖体IIは、ステビア植物から調製することもできるが、簡便には、前述する市販の製品を用いることができる。
【0034】
本発明の凝集抑制剤の使用量は、有効成分として含むステビオール配糖体IIを、凝集抑制する対象のステビオール配糖体Iと水溶液中で共存させることで、ステビオール配糖体Iの凝集を抑制できる量であればよく、それを限度として特に制限されるものではない。
【0035】
例えば、ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合、凝集抑制剤の使用量は、ステビオール配糖体IIの種類に応じて、下記の範囲になるように調整することができる。なお、この場合の水溶液中のステビオール配糖体I(レバウディオサイドA)の濃度は、制限されないものの、下限値が0.5質量%以上、好ましくは0.75質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、上限値が20.0質量%以下、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。
【0036】
[ステビオサイド]
水溶液の濃度:下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が15.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下。
レバウディオサイドA100質量部に対する割合:0.5~100質量部、好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部。
【0037】
[レバウディオサイドB]
水溶液の濃度:下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下。
レバウディオサイドA100質量部に対する割合:0.2~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部。
【0038】
[レバウディオサイドD]
水溶液の濃度:下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下。
レバウディオサイドA100質量部に対する割合:0.2~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部。
【0039】
[ルブソサイド]
水溶液の濃度:下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下。
レバウディオサイドA100質量部に対する割合:0.5~100質量部、好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部。
【0040】
また別の態様として、ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合、凝集抑制剤の使用量は、ステビオール配糖体IIの種類に応じて、下記の範囲になるように調整することができる。なお、この場合の水溶液中のステビオール配糖体I(ステビオサイド)の濃度は、制限されないものの、下限値が0.5質量%以上、好ましくは0.75質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が15.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下である。
【0041】
[レバウディオサイドA]
水溶液の濃度:下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が15.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下。
ステビオサイド100質量部に対する割合:0.5~100質量部、好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部。
【0042】
[レバウディオサイドB]
水溶液の濃度:下限値が0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下。
ステビオサイド100質量部に対する割合:0.2~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部。
【0043】
[レバウディオサイドD]
水溶液の濃度:下限値が0.05質量%以上、好ましくは0.075質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、上限値が1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下。
ステビオサイド100質量部に対する割合:1~10質量部、好ましくは1.5~10質量部、より好ましくは2~10質量部。
【0044】
[ルブソサイド]
水溶液の濃度:下限値が0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、上限値が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下。
ステビオサイド100質量部に対する割合:2~100質量部の範囲から選択することができる。好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~100質量部。
【0045】
本発明の凝集抑制剤の形状は、特に制限されず、粉末、顆粒、錠剤、及び丸剤などの固体、並びに液体が含まれるが、好ましくは粉末または顆粒形状である。本発明の凝集抑制剤は、ステビオール配糖体Iを水に溶解してステビオール配糖体I含有水溶液を調製する際に、当該水溶液に一緒に添加配合して使用される。斯くして、水溶液中でステビオール配糖体Iとステビオール配糖体IIとを共存させることで、ステビオール配糖体Iの水溶液中での析出(結晶化)、及び凝集を抑制することができる。言い換えれば、本発明の凝集抑制剤は、ステビオール配糖体Iの水溶液中での安定性(溶解安定性)を維持または向上するために好適に使用することができる。
【0046】
(III)ステビア製剤
本発明のステビア製剤は、製剤中に、前述するステビオール配糖体Iと凝集抑制剤として前述するステビオール配糖体IIを含有するステビオール配糖体含有製剤である。
その製剤形態には、粉末、顆粒、錠剤、及び丸剤等の固体、並びに液体が含まれる。好ましくは粉末または顆粒である。
【0047】
当該ステビア製剤は、形態に応じて、定法に従って調製することができる。例えば、粉末または顆粒の形態を有するステビア製剤は、前述するステビオール配糖体Iとステビオール配糖体IIの粉体同士を混合して粉体混合物として調製する方法、ステビオール配糖体I及びステビオール配糖体IIを含有する溶液を噴霧乾燥して粉末状に調製する方法、ステビオール配糖体Iとステビオール配糖体IIを混合して溶液中に分散させてスラリー状に調製した後、押し出し造粒する方法などを挙げることができる。なお、上記乾燥は任意の方法で行うことができ、例えばスプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥など種々の方法を挙げることができる。
【0048】
本発明のステビア製剤の一態様として、ステビオール配糖体IがレバウディオサイドAである場合、ステビオール配糖体IIとしてレバウディオサイドA以外のステビオール配糖体、好ましくはステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドからなる群より選択される少なくとも1つのステビオール配糖体を含有する製剤を挙げることができる。
当該ステビア製剤には、レバウディオサイドA100質量部に対して、ステビオサイドを0.5~100質量部、好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部の範囲で含有する製剤:レバウディオサイドA100質量部に対して、レバウディオサイドBを0.2~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部の範囲で含有する製剤:レバウディオサイドA100質量部に対して、レバウディオサイドDを0.2~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部の範囲で含有する製剤:レバウディオサイドA100質量部に対して、ルブソサイドを0.5~100質量部、好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部の範囲で含有する製剤が含まれる。
【0049】
本発明のステビア製剤の別の態様として、ステビオール配糖体Iがステビオサイドである場合、ステビオール配糖体IIとしてステビオサイド以外のステビオール配糖体、好ましくはレバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドからなる群より選択される少なくとも1つのステビオール配糖体を含有する製剤を挙げることができる。当該ステビア製剤には、ステビオサイド100質量部に対して、レバウディオサイドAを0.5~100質量部、好ましくは1~100質量部、より好ましくは2~100質量部の範囲で含有する製剤:ステビオサイド100質量部に対して、レバウディオサイドBを0.2~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~10質量部の範囲で含有する製剤:ステビオサイド100質量部に対して、レバウディオサイドDを1~10質量部、好ましくは1.5~10質量部、より好ましくは2~10質量部の範囲で含有する製剤:ステビオサイドA100質量部に対して、ルブソサイドを2~100質量部、好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~100質量部の範囲で含有する製剤が含まれる。
【0050】
本発明のステビア製剤は、甘味料として通常使用される砂糖やその他の甘味料に代替する目的で、それ自身調理用甘味料又は卓上甘味料として用いることができるとともに、あらゆる可食性製品(例えば、飲食品、経口医薬品、口内清涼剤、口内洗浄剤、歯磨き剤等)の甘味料としてそれらに配合して用いることができる。
本発明のステビア製剤は、これを水に溶解して、例えば20質量%以下の濃度、好ましくは10質量%以下の濃度の水溶液として調製した場合に、ステビオール配糖体の水溶液中での安定性(溶解安定性)が良好であり、ステビオール配糖体の析出(結晶化)、及び凝集が抑制されていることを特徴とする。
【0051】
以上、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
【実施例0052】
以下、本発明の構成及び効果について、その理解を助けるために、実験例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実験例によって何ら制限を受けるものではない。以下の実験は、特に言及しない限り、室温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。なお、特に言及しない限り、以下に記載する「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
【0053】
以下の実験で使用した製剤は、下記の通りである。
(1)レバウディオサイドA製剤:レバウディオJ-100(守田化学工業(株)製)
レバウディオサイドAを95%以上含有する製剤
(2)レバウディオサイドB製剤:
レバウディオサイドBを95%以上含有する製剤
(3)レバウディオサイドD製剤:
レバウディオサイドDを95%以上含有する製剤
(4)ステビオサイド製剤:ステビロンS-100(乾燥粉末、守田化学工業(株)製) ステビオサイドを90%以上含有する製剤
(5)ルブソサイド製剤:
ルブソサイドを85%以上含有する製剤
【0054】
実験例1 ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集とそれに対する抑制(その1)
ステビオール配糖体Iとして「レバウディオサイドA」の水溶液中での凝集と、それに対するステビオール配糖体II(ステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ルブソサイド)の抑制効果を評価した。
【0055】
レバウディオサイドAとして、前記レバウディオサイドA製剤を使用した。また、ステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドとして、前述する各製剤を用いた。
【0056】
(1)実験方法
レバウディオサイドA製剤を5%濃度で含有する水溶液20mLに、凝集抑制剤として、ステビオサイド製剤(凝集抑制剤1a)、レバウディオサイドB製剤(凝集抑制剤1b)、レバウディオサイドD製剤(凝集抑制剤1c)、ルブソサイド製剤(凝集抑制剤1d)、及び砂糖(凝集抑制剤1e)をそれぞれ表1に記載する濃度(%)になるように添加、室温で溶解して、蓋付き透明ガラス容器(胴径27mm×高さ55mm)にいれた状態で暗所、室温条件下で1~7日静置した。
【0057】
静置から1日後、3日後、及び7日後に結晶の析出及びその凝集の有無を目視にて確認した。白濁した凝集物の量から、下記の6段階の判断基準に従って、使用した凝集抑制剤1a~1eの効果を評価した。
【0058】
[凝集抑制]
0:凝集物なし
1:溶液の下(容器底)から1/5程度まで凝集物が堆積
2:溶液の下(容器底)から2/5程度まで凝集物が堆積
3:溶液の下(容器底)から3/5程度まで凝集物が堆積
4:溶液の下(容器底)から4/5程度まで凝集物が堆積
5:溶液全体に凝集物が堆積
【0059】
(2)実験結果
結果を表1に示す。
【表1】
【0060】
表1に示すように、レバウディオサイドAは、水溶液中での安定性が低く、早期に結晶化し凝集する(Blank)。これに対して、レバウディオサイドAを含有する水溶液に、ステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、またはルブソサイドといった、他のステビオール配糖体を配合して、共存させておくことで、レバウディオサイドAの結晶化及び凝集が有意に抑制できることが確認された。こうした効果は、砂糖ではほとんど認められなかった。
【0061】
実験例2 ステビオール配糖体Iの水溶液中での凝集とそれに対する抑制(その2)
ステビオール配糖体Iとして「ステビオサイド」の水溶液中での凝集と、それに対するステビオール配糖体II(レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、ルブソサイド)の抑制効果を評価した。
【0062】
ステビオサイドとして、前記製剤を使用した。また、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドD、及びルブソサイドとして、前述する各製剤を用いた。
【0063】
(1)実験方法
ステビオサイド製剤を5%濃度で含有する水溶液20mLに、凝集抑制剤として、レバウディオサイドA製剤(凝集抑制剤2a)、レバウディオサイドB製剤(凝集抑制剤2b)、レバウディオサイドD製剤(凝集抑制剤2c)、及びルブソサイド製剤(凝集抑制剤2d)をそれぞれ表2に記載する濃度(%)になるように添加、室温で溶解して、蓋付き透明ガラス容器(胴径27mm×高さ55mm)にいれた状態で暗所、室温条件下で1~7日静置した。
【0064】
静置から1日後、3日後、及び7日後に結晶の析出及びその凝集の有無を目視にて確認し、白濁した凝集物の量から、実験例1と同じ判断基準に従って、使用した凝集抑制剤2a~2dの効果を評価した。
【0065】
(2)実験結果
結果を表2に示す。
【表2】
【0066】
表2に示すように、ステビオサイドは、水溶液中での安定性が高くなく、凝集しやすい(Blank)。これに対して、ステビオサイドを含有する水溶液に、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドDまたはルブソサイドといった、他のステビオール配糖体を配合して、共存させておくことで、ステビオサイドの結晶化及び凝集が有意に抑制できることが確認された。特に、ステビオサイドの凝集抑制剤として、レバウディオサイドA、及びレバウディオサイドBが有用であることが確認された。