(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088463
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ホイスカーの抑制を改良したプレスフィット端子
(51)【国際特許分類】
C25D 5/12 20060101AFI20220607BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20220607BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20220607BHJP
H01R 12/58 20110101ALI20220607BHJP
【FI】
C25D5/12
C25D7/00 H
H01R13/03 D
H01R12/58
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041700
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2020091094の分割
【原出願日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/859,496
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フローラ・フ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ホイスカーの抑制を改良したプレスフィット端子を提供する。
【解決手段】基板の導電性スルーホールへの挿入のためのプレスフィット端子が、外部及び内部表面を有する弾性変形部を備え、プレスフィット端子が、順に、銅又は銅合金基材40、ニッケル又はニッケル合金バリア層38、スズ又はスズ合金層36及びインジウム最上層34を備える。プレスフィット端子はホイスカー形成の低減を示す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷回路板の導電性スルーホールに挿入されるプレスフィット端子を作成する方法であって、プレスフィット端子が、第1及び第2の弾性変形部を含み、前記第1及び第2の弾性変形部がプレスフィット端子の長さに沿っており、前記第1及び前記第2の弾性変形部が外部表面及び内部表面を有し、前記第1及び第2の弾性変形部が、一方の端部でガイド部によって及び前記ガイド部の反対側の端部でネック部によって接合され、溝部が第1及び第2の弾性変形部の間に形成され、プレスフィット端子が、順に、銅又は銅合金基材、前記銅又は銅合金基材に隣接するニッケル又はニッケル合金バリア層、前記ニッケル又はニッケル合金バリア層に隣接するスズ又はスズ合金層及び前記スズ又はスズ合金層に隣接するインジウム最上層を含み、
前記スズ合金は、スズ-ビスマス及びスズ-インジウムからなる群から選択され、
前記インジウム最上層が0.25~3μmの厚さを有し、
前記ニッケル又はニッケル合金バリア層は0.5~5μmの厚さを有し、
前記方法は、
ニッケル又はニッケル合金が、前記銅又は銅合金基材に直接に隣接して堆積されて前記ニッケル又はニッケル合金バリア層を形成する工程、
スズ又はスズ合金が、前記ニッケル又はニッケル合金バリア層に直接に隣接してめっきされて前記スズ又はスズ合金層を形成する工程、
インジウム金属が、前記スズ又はスズ合金層に直接に隣接して堆積されて、前記銅又は銅合金基材、前記ニッケル又はニッケル合金バリア層、前記スズ又はスズ合金層及び前記インジウム最上層を含む金属層配列を形成する工程、
を含み、並びに、前記金属層配列が形成された後は、前記金属層配列は加熱も、アニールも、リフローもされない、方法。
【請求項2】
前記ニッケル又はニッケル合金バリア層が1~4μmの厚さを有する、請求項1に記載の基板の導電性スルーホールに挿入されるプレスフィット端子を作成する方法。
【請求項3】
前記スズ又はスズ合金層が0.5~5μmの厚さを有する、請求項1に記載の基板の導電性スルーホールに挿入されるプレスフィット端子を作成する方法。
【請求項4】
前記インジウム最上層が0.25~1μmの厚さを有する、請求項1に記載の基板の導電性スルーホールに挿入されるプレスフィット端子を作成する方法。
【請求項5】
前記インジウム最上層が0.25~0.4μmの厚さを有する、請求項4に記載の基板の導電性スルーホールに挿入されるプレスフィット端子を作成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイスカーの抑制を改良したプレスフィット端子を目的とし、そこでプレスフィット端子は基板の導電性スルーホールに挿入される。より具体的には、本発明は、ホイスカーの抑制を改良したプレスフィット端子を目的とし、そこでホイスカーの抑制を改良したプレスフィット端子は基板の導電性スルーホールに挿入され、プレスフィット端子は、外部及び内部表面を有する線形弾性変形部を備え、プレスフィット端子は順に、銅又は銅合金基材、ニッケル又はニッケル合金バリア層、スズ又はスズ合金層及びインジウム最上層を備える。
【背景技術】
【0002】
スズホイスカーは、2006年7月の有害物質の使用制限に関する欧州指令(RoHS)の法律施行のために無鉛電子部品又は製品の信頼性に対するより大きな懸念があると認識されている。この状態は、エレクトロニクスにおける精巧化及び小型化が進む傾向によって悪化している。
【0003】
プレスフィット接続は、高信頼性電子連結を製造するための無はんだ技術である。最新のプレスフィットに準拠した解決策は、無はんだ、低い熱応力、より良い信頼性、より低いコスト等、はんだ付けと比較した場合に多くの利点を提供し、それにより、それは普及した相互接続技術になる。プレスフィットコネクターは、電気通信、コンピュータの印刷回路板(PCB)及び自動車電子モジュールのためのハイエンドコネクター用途を独占し始めていると報告されている。プレスフィット技術は、プレスフィットピン又は端子を印刷回路板(PCB)のめっきスルーホール(PTH)に挿入して、特に、両方のコンタクトパートナー(ピン/ホール)の少なくとも一方のためにスズめっきが使用されるときに、はんだを使用せずに冷間圧接相互接続を独立に形成することを可能にする。弾性圧入領域を有するプレスフィット準拠ピンは、PTHに挿入されるときに変形し、準拠ピンとPTHとの間の永久的な高い接触法線力を持続する。圧入プロセスを実施する間及び後に準拠プレスフィット領域によって加えられる高い外部圧力は、特に高純度スズ仕上げのためにスズホイスカーを作る傾向を著しく増加させる。これらのホイスカーは、Cu6Sn5などの金属間相成長又はCTE(熱膨脹率)不整合によって導入される応力によってもたらされるホイスカーよりもさらに短い時間スケールで成長する。さらに、より高密度のコネクター解決策(より近いピン間/ホール間の距離、及びさらにより高い外力(すなわち、数キログラム)へと向かう技術動向は、スズホイスカーの形成による短絡のリスクをさらに増加させる。
【0004】
したがって、外部圧力又は応力によってホイスカー形成の低減を引き起こすプレスフィット端子が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基板の導電性スルーホールに挿入されるプレスフィット端子を目的とし、プレスフィット端子は、外部表面及び内部表面を有する線形弾性変形部を含み、プレスフィット端子は、順に、銅又は銅合金基材、ニッケル又はニッケル合金バリア層、スズ又はスズ合金層及びインジウム最上層を備える。本発明のプレスフィット端子は、外部圧力又は応力によってホイスカー形成の低減を引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明のスルーホールを有するプレスフィット端子及び基板を示す。
【
図2】ホイスカー形成を抑制するための本発明の金属層の配列を示す。
【
図3】実施例のホイスカー分析において使用される押込試験装置の略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書にわたって使用されるとき、以下の略語は、文脈が明確に他に指示しない限り、以下の意味を有するものとする:℃=摂氏度;g=グラム;kg=キログラム;MPa=メガパスカル;1MPa=1×106パスカル;cm=センチメートル;mm=ミリメートル;μm=ミクロン;μm=1×10-6メートル;dm=デシメートル;A=アンペア;ASD=アンペア/dm2;MSA=メタンスルホン酸;In=インジウム;Sn=スズ;Ni=ニッケル;Cu=銅;黄銅=銅-亜鉛合金;ENIG=無電解ニッケル浸漬金;窒化ケイ素=Si3N4;sec=秒;min=分;wt%=重量パーセント;SEM=走査電子顕微鏡;OSP=有機はんだ付け性防腐剤;及びDI=脱イオン。
【0008】
用語「堆積」、「めっき」及び「電気めっき」は、本明細書を通じて相互に置き換え可能として使用される。用語「隣接した」は、2つの表面の間で、それらが共通の境界面を形成するような直接的な物理的接触を意味する。用語「艶消し」は、無光沢で、輝きがなく又は艶がないことを意味する。用語「アニール」は、金属を加熱し、次いでゆっくりと冷却し、内部応力を除去して金属を強化することを意味する。特に断りがない限りめっき浴用の溶剤は水である。全ての数値範囲は、包含的であり、且ついかなる順序でも組み合わされ得るが、ただし、そのような数値範囲を合計したものが100%となるように制約されることが論理的である場合を例外とする。
【0009】
本発明は、基板の導電性スルーホールに挿入するためのプレスフィット端子を目的としており、そこでプレスフィット端子は、外部及び内部表面を有する線形弾性変形部を備え、プレスフィット端子は、順に、銅又は銅合金基材、ニッケル又はニッケル合金バリア層、スズ又はスズ合金層及びインジウム最上層から構成される。1000MPa以上の外部圧力などの高い外部圧力によるホイスカー形成は抑制される。
【0010】
図1は、本発明のプレスフィット端子10の好ましい実施形態を示す。プレスフィット端子は、銅又は銅合金の金属板上でプレス加工することによって形成される。基板接続部12は、印刷回路板などの基板16のスルーホール14に挿入されるように構成される。多数の導電路18は基板の表面上に形成され、複数のスルーホール14は基板16上に形成される。このような導電路は好ましくは銅又は銅合金製である。スルーホール14の内部表面上に、接触部20は、めっき又は当技術分野に公知の他の従来の金属堆積法によって形成される。接触部20は、導電路18と接合されるか又は連続している。接触部は好ましくは、導電路と同じ金属製である。
【0011】
プレスフィット端子10の基板接続部12の一方の端部に、スルーホール14に挿入されるプレスフィット端子を案内するガイド部22が形成され、ガイド部22の上に、一対の弾性変形部24が基板接続部12の長さに沿って形成される。第1の弾性変形部24A及び第2の弾性変形部24Bを含む弾性変形部24は厚いストリップの形状であり、外側に広がって略弧形状を生じ、溝部26がその中に形成される。弾性変形部24は、外部表面24C及び内部表面24Dをさらに備える。一対の弾性変形部24は、ガイド部22の反対側の第2の端部のネック部28を終端とし、それに接合する。プレスフィット端子がスルーホールに挿入されるとき、一対の弾性変形部は互いに向かって圧縮され、したがって1000MPa以上の相当な外部圧力が一対の弾性変形部上に加えられる。
【0012】
一実施形態において、
図1に示されるように、縦方向の中心のわずかに上のプレスフィット端子の外部表面は、互いに平行であるように全長の約3分の1の長さにわたって近似直線部分30A及び30Bを形成し、且つゆるやかな弧を形成する。近似直線部分30A及び30Bに相当する部分は、プレスフィット接続部として機能し、スルーホール14の接触部20と電気的接触する。任意選択により、接触部20は、ENIG層、浸漬スズ、浸漬銀及びOSPなどの最終仕上げ最上層(図示せず)を備えることができる。このような最終仕上げは慣例的であり、当技術分野に公知である。市販のENIG法はSunstone Circuitsから入手可能である。
【0013】
プレスフィット端子10全体は、複数層金属物品32であって、順に、図 2に示されるように、インジウム金属の最上層34からなり、インジウム金属層34はスズ又はスズ合金層36に隣接しており、スズ又はスズ合金層36はニッケル又はニッケル合金バリア層38に隣接しており、及びニッケル又はニッケル合金バリア層38は銅又は銅合金層40に隣接している。銅又は銅合金層は、プレスフィット端子10全体がそれからなる卑金属である。
【0014】
それぞれの金属層の厚さは変化することができる。好ましくは、インジウム層は0.1~3μmの範囲、より好ましくは、インジウム層は0.2~1μmの範囲、さらにより好ましくは、インジウム層の厚さは0.2~0.5μmであり、最も好ましくは、インジウム層は0.2~0.4μmの厚さを有する。好ましくは、スズ又はスズ合金層は0.5~5μmの範囲であり、より好ましくは、スズ又はスズ合金層は厚さ0.5~4μmであり、最も好ましくは、スズ又はスズ合金層は厚さ0.5~1μmである。好ましくは、ニッケル又はニッケル合金バリア層は0.5~5μm、より好ましくは、厚さ1~4μm、最も好ましくは、厚さ1~2μmである。
【0015】
基板上に金属及び金属合金を堆積させるための1つ又は複数の慣用方法を使用して金属を堆積させることができる。このような慣用方法には、限定されないが、めっき、例えば電気めっき、無電解めっき又は浸漬めっき、化学蒸着又は物理蒸着などが含まれる。好ましくは、金属又は金属合金を電気めっきするための従来のパラメーターを含む、従来の金属又は金属合金電気めっき浴を使用して電気めっきすることによって金属及び金属合金層が堆積される。
【0016】
好ましくは、金属層が電気めっきによって堆積されるとき、銅又は銅合金基材は清浄化される。従来の金属清浄化方法を使用することができる。好ましくは、銅又は銅合金は、清浄化溶液中で又はカソード脱脂によって超音波清浄化される。このような清浄化溶液には、ケイ酸塩化合物、アルカリ金属炭酸塩の他、アルカリ金属水酸化物、グリコールエーテル及び1つ又は複数の従来の金属キレート化剤などの化合物が含まれ得る。市販の清浄化配合物の例は、RONACLEAN(商標)GP-300電気清浄化組成物(DuPont Electronic Solutions,Wilmington,DEから入手可能)である。清浄化は、30℃~80℃の温度で行うことができる。銅基材又はプレスフィット端子は、銅合金基材又はプレスフィット端子よりも好ましい。基材が銅合金であるとき、銅-スズ又は銅亜鉛合金が好ましい。
【0017】
好ましくは、清浄化工程の後、銅又は銅合金基材は鉱酸などの適した酸で活性化される。鉱酸の希釈濃度が使用される。このような酸の例は、硫酸、例えば硫酸の希釈水溶液(98wt%)である。しかしながら、他の鉱酸、例えば塩酸及び硝酸を使用することができる。酸は当技術分野に公知の慣例的な濃度で使用される。活性化は典型的に室温~30℃の温度で行われる。
【0018】
金属層は、金属層を堆積させるために使用される方法に関係なく同じ配列で銅又は銅合金上に堆積される。電気めっきを使用して金属層を堆積させるとき、ニッケル又はニッケル合金バリア層を銅又は銅合金基材上にめっきし、ニッケル又はニッケル合金バリア層を銅又は銅合金に直接に隣接して電気めっきするようにする。従来のニッケル又はニッケル合金電気めっき浴を使用して、ニッケル又はニッケル合金をめっきすることができる。好ましいニッケル合金はニッケルリンである。ニッケルリンめっき浴は当技術分野に公知である。銅又は銅合金上にニッケルをメッキするために使用され得る市販のニッケルめっき浴の例は、DuPont Electronic Solutions,Wilmington,DEから入手可能な硫酸塩系ニッケルめっき浴であるNIKAL(商標)MP-200ニッケル電解浴である。この浴は明るいニッケル堆積物を提供する。ニッケル電気めっきは、1~10ASD、好ましくは、1~5ASDの電流密度で行うことができる。ニッケル電気めっき浴温は、30~60℃、好ましくは、50~60℃の範囲であり得る。ニッケル電気めっきは、好ましくは、0.5~5μmのニッケル厚さが銅又は銅合金基材上に堆積されるまで行われる。
【0019】
ニッケル又はニッケル合金が銅又は銅合金に直接に隣接して堆積された後、スズ又はスズ合金がニッケル又はニッケル合金層に直接に隣接してめっきされる。従来のスズ又はスズ合金電気めっき浴を並びに従来のめっきパラメーターを使用することができる。好ましいスズ合金は、スズ-ビスマス、スズ-インジウム又はスズ-銀である。スズ-ビスマス、スズ-インジウム及びスズ-銀合金めっき浴は、当業者に公知である。市販の高純度スズ電気めっき浴及びプロセスの例は、SOLDERON(商標)ST-200スズ電解浴、及びDuPont Electronic Solutions,Wilmington,DEから入手可能なMSA系浴であるプロセスである。この浴は、艶消しスズ堆積物を提供する。スズ電気めっきは、0.5~30ASD、好ましくは、10~30ASDの電流密度で行うことができる。スズ電気めっき浴温は、30~60℃、好ましくは、40~60℃の範囲であり得る。ニッケル又はニッケル合金層上のスズ電気めっきは、好ましくは、0.5~5μmの範囲のニッケル層が達成されるまで行われる。
【0020】
インジウム金属は、スズ又はスズ合金層に直接に隣接して堆積される。インジウム金属は一切の合金金属を含有しない。インジウム金属層は、インジウム合金堆積物でなく、インジウム金属堆積物を提供する当技術分野に公知の任意の従来のインジウム電気めっき浴から電気めっきされ得る。市販のインジウム金属電気めっき浴は、MSA系浴であるINDIPALTE(商標)APFインジウム電解浴である。この浴は、艶消しインジウム層をスズ又はスズ合金層上に堆積させる。インジウム電気めっきは、1~20ASD、好ましくは、1~15ASDの電流密度で行われる。インジウム電気めっきは、0.1~3μmの厚さを有するインジウム層がスズ又はスズ合金層上に堆積されるまで行われる。0.1~0.4μmの厚さを有するインジウムストライク層がスズ又はスズ合金層上にめっきされるとき、電流密度は、好ましくは、15~20ASDである。インジウムめっき温度は、30~60℃、好ましくは40~55℃の範囲であり得る。
【0021】
任意選択により、金属層がプレスフィット端子上に堆積されるとき、プレスフィット端子は、125~160℃、好ましくは145~155℃の温度でアニールされ得る。好ましくは、プレスフィット端子金属層は加熱もリフローもされない。金属層配列は、加熱も、アニールも、リフローもせずにホイスカー形成を抑えることができる。プレスフィット端子の金属層は加熱も、アニールも、リフローもされないのが最も好ましい。
【0022】
以下の実施例において使用される押込試験装置100は、図 3の略図において示され、内部シャフト110、ステンレス鋼シャフトホルダー120、矩形試料台130、ホイール140、4つのレベル調整脚150(4つのうち2つだけが示される)、3個のステンレス鋼重り及びベアリング(図示せず)を備える。内部シャフト110は、ステンレス鋼ロッド160及び0.8mm~6.35mmの範囲の直径を有する窒化ケイ素のセラミックボール(図示せず)とともに取り外し可能先端部170を備える。内部シャフト110の長さは約200mmである。内部にベアリングを有するステンレス鋼ホルダー120を使用して、内部シャフトを縦に維持するのを助け、摩擦を最小にする。ホイール140を使用して、平らな防振テーブル(図示せず)上に設置される矩形試料台130上の試料の表面と接触している重りを使用して又は使用せずにシャフトに荷重をかけ及び荷重を除く。シャフト自体の重さは500gであり、荷重は、付加的な重さをそれの上に加えることによって2000gに達し得る。4つのレベル調整脚150を調節して、矩形試料台130上の試料がシャフトに向かって垂直な位置であることを確実にする。ステンレス鋼シャフトホルダー120は、ポスト200によって矩形試料台130に接合される。セラミックボールの重さ及びサイズの組合せによって決められる予め設定された圧力が予め選択された時間の間試料上に加えられる。ホイスカーを生成するのに3日で十分であることがわかった。
【0023】
装置を較正するために第1の工程は、デバイスを水平にし、次にデジタル表示を有する小さな従来の電子はかりを使用して基本的な荷重(全く重りを有さない)を検査することである。基本的な荷重が統計学的に500gに非常に近い場合、調整は必要とされず、それは使用できる状態にある。基本的な荷重が500gよりもさらに少ない場合、内部のベアリングがきつく、ベアリングとロッドとの間に若干の抵抗をもたらすことを意味する。ベアリングは、わずかに緩められる必要がある。
【0024】
荷重の測定及びホイスカー試験は2つの別個の工程である。荷重の測定を使用して、ホイスカー試験の前に荷重を検査する。荷重が目標荷重を満たすことが確認された後、試料をホイスカー試験のために試料台上に置く。荷重の測定又はホイスカー試験の手順は以下の通りである。
1)ホイールを逆時計廻りに回転させてロッドを上げる;
2)はかり又は試料をロッド下に置く;
3)(500g超の荷重下での試験のために)重りをロッド上に置く;
4)ホイールを時計廻りにゆるやかに回転させて、はかり又は試料上に荷重を加える(はかり又は試料上に荷重が完全に加えられるときホイールは緩い感じがする);及び
5)ホイールを逆時計廻りにゆるやかに回転させて、荷重を除去し、次いではかり又は試料を取り出す。
【0025】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために含まれるが、その範囲を限定することを意図しない。
【実施例0026】
実施例において使用される基板は3cm×3cmの黄銅(Hull Cell Plates)であった。黄銅板を以下の表2~9に示されるようにインジウム、スズ及びニッケルでめっきした。最上層又は外層はインジウム又はスズのどちらかであった。
【0027】
金属層を黄銅板上に堆積させる前に、RONACLEAN(商標)GP-300電気清浄化組成物(DuPont Electronic Solutions,Wilmington,DEから入手可能)を使用して黄銅板を電気清浄化した。電気清浄化後に、黄銅板を1~2秒間室温の10wt%硫酸水溶液に浸した。
【0028】
黄銅板上にインジウム、スズ及びニッケルを堆積させるために使用される金属めっき浴並びに厚さの範囲、電流密度及びめっき温度が以下の表1に開示される。
【0029】
【0030】
黄銅板を金属層でめっきした後、それらを脱イオン水で洗浄し、室温で乾燥させた。
【0031】
それぞれの金属めっきした黄銅板は、ホイスカーの性能比較のために押込試験を受けた。押込は1cm×1cmの中央領域内で行われた。ホイスカー試験装置(上述した、DuPont Electronic Solutions,Hong Kongから入手可能)は、500~2000gの重量変化がある、重量変化し得る縦型ハウジングと直径0.8~6.35mmの範囲のセラミックボールとを備える。ホイスカー試験のための荷重は、1mmの窒化ケイ素セラミックボールを使用して2000gであった。中央領域に加えられる外部圧力は約1300MPaであった。2000gの静荷重を3日間の間めっき試料上に適用し、次いで荷重を取り除き、試料を取り出して、SEM(Zeiss、Sigma 300顕微鏡)を使用して押込の周りのホイスカーの検査(ホイスカーの実際の長さを測定した)及び粒形態の観察を実施した。In/Sn/Ni/黄銅(加熱されない)及びSn/In/Ni/黄銅(加熱されない)の金属層配列を有する2つのめっき黄銅板並びに同じ金属層配列を有する第2の組の2つのめっき黄銅板を一晩150℃で焼成し、次いで室温に冷却させた。
【0032】
押込試験を実施した3日後にそれぞれのめっき金属黄銅板をホイスカー形成のために観察し、インジウム粒形態のためにさらに調べた。均一な粒度を有する最密充填粒は、良い粒形態として定義された。多量のホールを有するか又は粒のようなワーム及び有意な間隙を有するコーティングは、好ましくない粒形態を有するものとして分類された。結果は
、以下の表においてそれぞれの金属層配列について示される。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
最良の結果は、表2の金属層配列によって達成され、そこでインジウムは、最上層であって、スズ層に隣接し、それはニッケルバリア層に隣接し、それは黄銅板銅合金に隣接していた。ホイスカー形成は観察されず、インジウム堆積物が0.5μm及び1μmの厚さを有する若干の観察可能なピンホールを除いてインジウムの粒形態は良かった。In/Sn/Ni/黄銅の金属層配列の焼成は、ホイスカー抑制を妨げたが、合金形成による粒形態の著しい変化があった。