(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088544
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】通話システム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20220607BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H04R1/00 318B
H04R1/00 328B
H04R1/02 105Z
H04R1/02 105A
H04R1/02 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054821
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2021168573の分割
【原出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2020173611
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 嘉樹
(72)【発明者】
【氏名】阪本 晋二
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和也
(72)【発明者】
【氏名】安達 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】岡 俊幸
(57)【要約】 (修正有)
【課題】互いに近距離にはいるが簡易的な遮蔽物で隔たりがある複数の話者間での通話をサポートする通話システムを提供する。
【解決手段】空間において、遮蔽材を介して対面する二者間の会話を補助する通話システムであって、遮蔽材を挟み込んで遮蔽材に装着可能な第1通話ユニットと、遮蔽材を挟み込んで遮蔽材に装着可能な第2通話ユニットとからなる、一対の通話ユニットを備える。第1通話ユニットは、第1マイクロホンと第1スピーカーとを備え、第1マイクロホンから入力される音声を増幅して第2スピーカーから出力する。第2通話ユニットは、第2マイクロホンと第2スピーカーとを備え、第2マイクロホンから入力される音声を増幅して第1スピーカーから出力する。遮蔽材は、二者のそれぞれに対向する両面を貫通する少なくとも1つの孔7を有し、孔を通じて第1通話ユニットと第2通話ユニットとを遮蔽材に自立固定する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を介して対面する二者間の会話を補助する通話システムであって、
前記遮蔽材を挟み込んで前記遮蔽材に装着可能な第1ユニットと、前記遮蔽材を挟み込んで前記遮蔽材に装着可能な第2通話ユニットとからなる、一対の通話ユニットを備え、
前記第1通話ユニットは、第1マイクロホンと第1スピーカーとを備え、
前記第2通話ユニットは、第2マイクロホンと第2スピーカーとを備え、
前記第1マイクから入力される音声を増幅して前記第2スピーカーから出力し、前記第2マイクから入力される音声を増幅して前記第1スピーカーから出力するよう構成され、
前記遮蔽材は二者のそれぞれに対向する両面を貫通する少なくとも1つの孔を有し、
前記孔を通じて前記第1通話ユニットと第2通話ユニットとを前記遮蔽材に自立固定するよう構成された通話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通話システムであって、
第1装着手段と第2装着手段とを備え、
前記第1装着手段は、前記第1通話ユニットの第1筐体の面のうち前記第1マイクロホンの収音方向と前記第1スピーカーの放音方向と略対向する面(第1背面)から延伸する延伸部を有し、
前記第2装着手段は、前記第2通話ユニットの第2筐体の面のうち前記第2マイクロホンの収音方向と前記第2スピーカーの放音方向と略対向する面(第2背面)に設けられた、前記延伸部にはめ込み可能な受け部を有し、
前記遮蔽材の前記孔を通じて、前記受け部が前記延伸部にはまり込むことで前記第1通話ユニットと前記第2通話ユニットとが前記遮蔽材に装着される通話システム。
【請求項3】
請求項2に記載の通話システムであって、
前記延伸部は雄ねじを含み、前記受け部は雌ねじを含み、前記雄ねじと雌ねじの螺合により前記受け部が前記延伸部にはまり込む通話システム。
【請求項4】
請求項2に記載の通話システムであって、
前記延伸部は雄型のプラグを含み、前記受け部は雌型のジャックを含み、前記プラグとジャックのはまり込みにより前記受け部が前記延伸部にはまり込む通話システム。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の通話システムであって、
前記第1通話ユニットの前記第1背面のうち、前記第1通話ユニットと前記第2通話ユニットとを前記遮蔽材に装着したときに前記遮蔽材と当接する位置に吸振材又は防振材が設けられ、
前記第2通話ユニットの前記第2背面のうち、前記第1通話ユニットと前記第2通話ユニットとを前記遮蔽材に装着したときに前記遮蔽材と当接する位置に吸振材又は防振材が設けられた通話ユニット。
【請求項6】
請求項4に記載の通話システムであって、
前記プラグとジャックを介して、前記第1マイクで入力された音声が前記第2スピーカーから出力されつつ、前記第2マイクで入力された音声が前記第1スピーカーから出力されるよう構成された通話システム。
【請求項7】
請求項4に記載の通話システムであって、
前記第1通話ユニットは電源を備え、前記第2通話ユニットは電源を持たず、
前記プラグとジャックを介して、前記第1通話ユニットの前記電源から前記第2通話ユニットに電力を供給するよう構成された通話システム。
【請求項8】
請求項1に記載の通話システムであって、
第1装着手段と第2装着手段とを備え、
前記第1装着手段は、前記第1通話ユニットの第1筐体の面のうち前記第1マイクロホンの収音方向と前記第1スピーカーの放音方向と略対向する面(第1背面)から延伸する第1延伸部と、前記第1通話ユニットとは独立した別体で提供される可搬性のアクセサリであって前記第1延伸部にはめ込み可能な受け部を有する第1アクセサリとを含み、
前記第2装着手段は、前記第2通話ユニットの第2筐体の面のうち前記第2マイクロホンの収音方向と前記第2スピーカーの放音方向と略対向する面(第2背面)に設けられた第2延伸部と、前記第2通話ユニットとは独立した別体で提供される可搬性のアクセサセリであって前記第2延伸部にはめ込み可能な受け部を有する第2アクセサリとを含み、
前記遮蔽材の第1孔を通じて、前記第1アクセサリの受け部が前記第1延伸部にはまり込むことで前記第1通話ユニットが前記遮蔽材に装着され、
前記遮蔽材の第2孔を通じて、前記第2アクセサリの受け部が前記第2延伸部にはまり込むことで前記第2通話ユニットが前記遮蔽材に装着される通話システム。
【請求項9】
請求項8に記載の通話システムであって、
前記第1延伸部及び第2延伸部は雄ねじを含み、前記受け部は雌ネジを含み、前記雄ねじと雌ねじの螺合により前記受け部が前記第1延伸部及び第2延伸部にはまり込む通話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話システムに関し、特に、近距離で互いに対面する話者間の会話をサポートする通話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊園地や映画館の切符売り場、役所や駅の窓口、銀行のカウンター等で来訪者と応対者が近距離で会話をする際、近距離であるためお互いに生声で会話することが一般的である。
一方、上記の売り場や窓口やカウンター等において、応対者の空間が来訪者とは区切られた個室になっており、両者の間をアクリル板等の遮蔽物で完全に区切っている場合がある。このような場合は、両者が生声で会話しても聞き取りづらいことがあるため、遮蔽物を介した会話を補助するために通話システムが設けられることがある。このような通話システムは、一般的に、応対者の空間に置かれた本体の他に、応対者用のマイク及びスピーカーと、来訪者用のマイクとスピーカーとを用意して、これらを応対者の空間と来訪者の空間にそれぞれ設置される。このような通話システムの一例が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開昭63-152344号公報
【特許文献2】特許第5006650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インフルエンザやCOVID-19といった感染症の飛沫感染を防ぐため、元々遮蔽物で完全に区切られていなかった売り場や窓口やカウンター等において、即席でアクリル板等の遮蔽物で簡易的に応対者と来訪者とを遮蔽するような環境が生まれることがある。典型的には、簡易的な遮蔽物はホームセンター等で売られているアクリル板や透明なビニールシートの中から適当な大きさのものを選択し、または適当な大きさに切り、DIY(Do It Yourself:日曜大工)の要領で話者間を遮る位置に即席で設置される。このように、元々は生声での会話を想定して話者間が完全に区切られていなかった場所に簡易的に遮蔽物で遮った場合、話者間の会話を補助することが困難である。従来の通話システムは、最初から話者間を完全に区切った空間設計を前提としたものであり、上述の通り本体の他に別体であるマイクやスピーカーを個別に、応対者の空間と来訪者の空間にそれぞれ設置する等、手間のかかる設置工事が必要である。
【0005】
上記のような課題に着目し、本発明は、互いに近距離にはいるが簡易的な遮蔽物で隔たりがある複数の話者間での通話をサポートする通話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る通話システムは、遮蔽材を介して対面する二者間の会話を補助する通話システムであって、前記遮蔽材を挟み込んで前記遮蔽材に装着可能な第1ユニットと、前記遮蔽材を挟み込んで前記遮蔽材に装着可能な第2通話ユニットとからなる、一対の通話ユニットを備え、前記第1通話ユニットは、第1マイクロホンと第1スピーカーとを備え、前記第2通話ユニットは、第2マイクロホンと第2スピーカーとを備え、前記第1マイクから入力される音声を増幅して前記第2スピーカーから出力し、前記第2マイクから入力される音声を増幅して前記第1スピーカーから出力するよう構成される。
【0007】
本発明の実施形態に係る通話システムは、前記第1通話ユニットと前記第2通話ユニットとを、前記遮蔽材を挟み込んで前記遮蔽材に装着させる装着手段を備える。前記装着手段の一例は、前記第1通話ユニットの第1筐体の面のうち前記第1マイクロホンの収音方向と前記第1スピーカーの放音方向とは異なる面と、前記第2通話ユニットの第2筐体の面のうち前記第2マイクロホンの収音方向と前記第2スピーカーの放音方向とは異なる面とを接続し、内側に付勢力を有するものである。また、前記装着手段の別の例は、前記第1通話ユニットの第1筐体の面のうち前記第1マイクロホンの収音方向と前記第1スピーカーの放音方向とは異なる面に設けられた第1マグネットと、前記第2通話ユニットの第2筐体の面のうち前記第2マイクロホンの収音方向と前記第2スピーカーの放音方向とは異なる面に設けられた第2マグネット又は金属要素から構成され、前記第1マグネットと前記第2マグネットとは互いに逆極である。さらに、前記装着手段の別の例では、遮蔽材に設けられた孔を通じて前記第1通話ユニットを装着する第1装着手段と前記第2通話ユニットを装着する第2装着手段とを含み、前記第装着手段は、前記第1通話ユニットの第1筐体の面のうち前記第1マイクロホンの収音方向と前記第1スピーカーの放音方向とは異なる面から延伸する延伸部を有し、前記第2装着手段は、前記第2通話ユニットの第2筐体の面のうち前記第2マイクロホンの収音方向と前記第2スピーカーの放音方向とは異なる面に設けられた、前記延伸部にはめ込み可能な受け部を有し、前記遮蔽材の前記孔を通じて前記受け部が前記延伸部にはまり込むことで前記第1通話ユニットと前記第2通話ユニットとが前記遮蔽材に装着される。その他、本発明の実施形態に係る通話システムには種々の変形を加えることが可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、お互いに近距離にはいるが簡易的な遮蔽物で隔たりがある複数の話者間での通話をサポートする通話システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る通話システムを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る通話システムを示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、支持部11を用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、支持部11を用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、支持部11を用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、支持部11の詳細を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、磁石を用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、遮蔽材2を介し本体12同士を対向させた形で遮蔽材2に装着する構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、アクセサリー17を用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、アクセサリー17を用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12とアンプ装置5とが別体で提供される構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12とアンプ装置5とが別体で提供される構成の別例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12の筐体内にアンプと電源が備わる構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12の筐体内にアンプと電源が備わる構成の別例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、孔7が設けられた遮蔽材2の一例を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、孔7を有する遮蔽材2に本体12を装着する状態の一例を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65と受け部66とを備える本体12の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65がプラグ68を含み、受け部66がジャック69を含む例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65と受け部66とを用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65と受け部66とを用いて本体12が遮蔽材2に装着された状態を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65と受け部66を介して音声伝送される構成例を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65と受け部66を介して音声伝送と電力伝送が行われる構成の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65と受け部66を介して音声伝送と電力伝送が行われる構成の別例を示す図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12の両方が延伸部65と受け部66とを有する構成例を示す図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65とアクセサリー70とを用いて本体12を遮蔽材2に装着する構成例を示す図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、延伸部65とアクセサリー70とを用いて本体12が遮蔽材2に装着された状態を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12がアンプ装置50のケーブル40(41)と対応する受け部71を有する構成例を示す図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、孔7を介してケーブル40(41)と受け部71とが接続される状態を示す斜視図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12のマイクロホンとスピーカーとの配置を示す図である。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12に吸振材又は防振材60を設けた構成の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12に吸振材又は防振材60を設けた構成の別例を示す図である。
【
図32】
図32は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12に吸振材又は防振材60を設けた構成の別例を示す図である。
【
図33】
図33は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12に吸振材又は防振材60を設けた構成の別例を示す図である。
【
図34】
図34は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、ゴム足としての吸振材又は防振材60を本体12に設ける例を示す図である。
【
図35】
図35は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12にボイススイッチを備える例を示す図である。
【
図36】
図36は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12にボイススイッチとともにスイッチを備える例を示す図である。
【
図37】
図37は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、アンプ装置50にボイススイッチ54とスイッチ55とを備える例を示す図である。
【
図38】
図38は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12の一形態であるヘッドセット12の一例を示す図である。
【
図39】
図39は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12bがスピーカーホンとウェアラブル通話端末とを任意に使い分けることができる例を示す図である。
【
図40】
図40は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12とアンプ装置50との間の音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が物理的なケーブルである例を示す図である。
【
図41】
図41は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12bがスピーカーホンとウェアラブル通話端末とを任意に使い分けることができる例を示す図である。
【
図42】
図42は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12aと本体12bとの間の音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が物理的なケーブルである例を示す図である。
【
図43】
図43は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、一対多通話又は多対多通話を行うためのスプリッター75の一例を示す図である。
【
図44】
図44は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12とアンプ装置50とが別体である構成においてスプリッター75を用いる例を示す図である。
【
図45】
図45は、本発明の実施形態に係る通話システムにおいて、本体12同士が直接接続される構成においてスプリッター75を用いる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1~2はそれぞれ、実施形態に係る通話システム10を示す。通話システム10は、遊園地や映画館の切符売り場、役所や駅の窓口、銀行のカウンター等、応対者と来訪者とが会話する空間1に設置される。空間1の一例は、元々来訪者3と応対者4とが互いに生声で会話することが想定されたオープンな空間である。ここで、空間1には、来訪者3と応対者4との間を物理的に遮るように、遮蔽材2が設けられている。遮蔽材2は、即席で簡易的に空間1に設けられた部材である。遮蔽材2の一例は、ホームセンター等で入手可能なアクリル板や透明なビニールシートである。遮蔽材2の設置の一例として、遮蔽材2の両端に支柱を設けたり台座に固定したりして安定して自立するようにし、
図1に示すように、来訪者3と応対者4との間にあるカウンター5の上に簡易的に設置される。遮蔽材2の設置の別例として、遮蔽材2を空間1の天井6に画鋲や両面テープ等で留めたり天井6にある固定物にくくり付けたりして、
図2に示すように、天井6からカウンター5上に垂れ下がるように設置される。ここで、通話システム10は、遮蔽材2に対して着脱可能な一対のスピーカーホンを有し、各スピーカーホンは、遮蔽材2に装着されたときに、遮蔽材2に向く方向とは異なる方向に収音方向と放音方向とを有する。好適には、一方のスピーカーホンは、遮蔽材2に装着時に遮蔽材2に向く方向と略対向する方向D1に収音方向と放音方向とを有し、他方のスピーカーホンは、遮蔽材2に装着時に遮蔽材2に向く方向と略対向する方向D2に収音方向と放音方向とを有する。
【0011】
図3~6は、通話システム10の一例を示す図である。この例では、通話システム10は、マイクとスピーカーとが一つの筐体に収められた本体12a、12bを含む。本体12aと本体12bとは、一対となっており、一方が来訪者用で他方が応対者用として使用される。本体12a、12bはマイクとスピーカーとが一体となったスピーカーホンである。なお、本体12aと本体12bとを総称して本体12と呼ぶ。通話システム10は、本体12a、12bを互いに遮蔽材2を挟んで設置するための支持部11を含む。支持部11は、遮蔽材2を挟んで本体12aと本体12bとを懸架して支持するよう、本体12aと12bとの間に設けられる。支持部11は、
図3の矢印A1、A2で示すように、内側に向けて付勢されており、一種のクリップ状になっている。本体12それぞれには、筐体のうち、収音方向及び放音方向(D1、D2)と略対向する面である背面に支持部11が設けられる。付勢力により、本体12aの背面と本体12bの背面が互いに引き付けあうよう構成されている。
【0012】
支持部11の具体的構造の一例は、板バネを含む。
図6(a)に示すように、支持部11は、板バネを左右に折り曲げた側部11b、11cを含み、側部11bと側部11cとの間に渡る頂部11aを含む。頂部11aを貫く仮想軸Xに対して側部11bと側部11cとは略線対称である。
図6(a)に示すように、支持部11は板バネを折り曲げて構成することができる。支持部11は板バネを折り曲げることで、略円弧状やコの字状に形成することができる。本体12aは折り曲げられた支持部11の側部11bの一端であって頂部11aとは反対側の端(図中11b1)に背面で支持され、本体12bは折り曲げられた支持部11の側部11cの一端であって頂部11aとは反対側の端(図中11c1)に背面で支持されている。ユーザーは、支持部11の端11b1、11c1を手で持って互いに離間するように付勢力と逆方向に力を加えることで、本体12aと本体12bとの間隔を広げることができる。
【0013】
支持部11の具体的構造の一例は、
図6(b)に示すように、本体12a、12bをそれぞれ支持する2枚の基台11f、11gと、基台11f、11gに挟まれるバネ11hとを含む。基台11fの一端(図中11f1)に本体12aが背面で支持され、基台11gの一端(図中11g1)に本体12bが背面で支持される。バネ11hは例えばコイルバネであり、矢印A1、A2で示す内側に対して付勢力を有する。
図6(b)に示すように、バネ11hは、基台11f、11gとの間に挟まれて設けられ、基台11fにおける一端11f1とは反対側の他端(図中11f2)と、基台11gにおける一端11g1とは反対側の他端(図中11g2)とを力点とし、バネ11hを支点とし、基台11fの一端11f1と基台11gの一端11g1とを作用点として、両端を互いに離間するように付勢力と逆方向に力を加えられるように構成されている。このようにすることで、本体12aと本体12bとの間隔を広げることができる。
【0014】
図4に示すように、通話システム10は、ユーザーが支持部11を介して本体12aと本体12bとの間隔を広げて、本体12を、遮蔽材2を挟み込むように挿入できる。その後、ユーザーが支持部11の付勢力に反する力を解放することにより、
図5に示すように、本体12が遮蔽材2を挟んで、互いの背面が対向する形で自立固定される。このように支持部11により遮蔽材2を挟んで本体12を遮蔽材2に固定する構成は、特に
図1に示すように、遮蔽材2がカウンター5上に設置されていて遮蔽材2の上部が開放されている場合に好ましい。
【0015】
図7は、通話システム10の別例を示す図である。この例では、通話システム10は、マイクとスピーカーとが一つの筐体に収められた本体12a、12bを含む。本体12aと本体12bとは、一対となっており、一方が来訪者用で他方が応対者用として使用される。本体12a、12bはマイクとスピーカーとが一体となったスピーカーホンである。なお、本体12aと本体12bとを総称して本体12と呼ぶ。通話システム10は、本体12a、12bの少なくとも一方の背面に磁石15を備え、他方の背面には磁石15又は金属部16を備え、背面同士が磁石15の磁力で吸着するようになっている。本体12a、12b両方の背面にそれぞれ磁石15を備えるときは、互いに逆の磁極であればよく、一方をN極の磁石として他方をS極の磁石とし、磁石15同士が吸着するようにするとよい。磁石15は、遮蔽材2を挟んで本体12a、12bの背面同士が吸着できる程度の磁力を有する磁石から選択される。このような構成により、本体12aと本体12bとを、遮蔽材2をまたいで互いの背面同士を近づけることで、遮蔽材2を挟んで互いの背面が対向する形で本体12a、12bとを自立固定することができる。磁石15及び金属部16は、本体12の背面の中で任意の場所に設けられるとよいが、本体12の重心位置(例えば、背面の略中央位置)に設けられることや、背面が矩形である場合には四方(四隅、すなわち4つの角)部分にそれぞれに設けられることが好適な例の一つである。
【0016】
図3~7に示したように、支持部11やマグネット15を用いることにより、
図8に示すように、本体12a、12bを、遮蔽材2を挟んで互いに背面にて対向させた形で、遮蔽材2に自立するように固定することができ、また容易に取り外すことができる。この状態で、本体12aの収音方向と放音方向とは話者3に向き(D1)、本体12bの収音方向と放音方向とは話者4に向く(D2)。
【0017】
図7に示した磁石15を用いた例の変形として、本体12の背面に備わる磁石15又は金属16と対応するアクセサリーを用いて、本体12を遮蔽材2に挟み込んで自立固定するようにしてもよい。
図9は、アクセサリー17を用いて本体12を遮蔽材2に自立固定する例を示す。この例では、通話システム10は、本体12a、12bそれぞれの背面に磁石15又は金属部16を備えるとともに、磁石15又は金属部16に対応するアクセサリー17を含む。アクセサリー17は、本体12とは独立した別個のものとして提供される可搬性ものであり、本体12の付属品として提供される。アクセサリー17もまた磁石又は金属部から成っており、磁石15又は金属部16と磁力で吸着するようになっている。本体12が背面に磁石15を有する場合、アクセサリー17は金属部であるか又は磁石15と逆の磁極を有する磁石を有するとよい。本体12が背面に金属部16を有する場合、アクセサリー17は磁石を有するとよい。アクセサリー17は、対応する磁石15又は金属部16と実質的に同程度の大きさであるとよい。アクセサリー17を用いることにより、
図10に示すように、本体12a、12bをそれぞれ独立して遮蔽材2に自立固定することができる。すなわち、本体12同士の背面を対向させて遮蔽材2を挟んで互いに吸着するのではなく、
図10に示すように、本体12a、12bの個々を、アクセサリー17を用いて遮蔽材2に固定することができる。収音方向と放音方向とが話者3に向く(D1)ように本体12aの背面を遮蔽材2に当接させつつ遮蔽材2を挟んで反対側からアクセサリー17と磁石15又は金属部16とを吸着させることで、本体12aが遮蔽材2に自立固定される。同様に、収音方向と放音方向とが話者4に向く(D2)ように本体12bの背面を遮蔽材2に当接させつつ遮蔽材2を挟んで反対側からアクセサリー17と磁石15又は金属部16とを吸着させることで、本体12bが遮蔽材2に自立固定される。本体12a、12bとはそれぞれ背面でアクセサセリー17と対向する形で自立固定され、本体12同士は離間して固定される。
【0018】
図11は、通話システム10の構成の一例を示す図である。この例では、通話システム10は、本体12とは独立した筐体を有するアンプ装置50を含む。アンプ装置50は、本体12a、12bの一方から音声を受信して増幅し、他方へ伝送する装置である。すなわち、アンプ装置50は、本体12aから受信した音声を増幅して本体12bに伝送し、本体12bから受信した音声を増幅して本体12aに伝送する。本体12aは、筐体内部にマイクロホン20とスピーカー21とを備えているが、マイクロホン20で収音した音声を増幅するアンプと電源は備えていない。本体12bは、筐体内部にマイクロホン30とスピーカー31とを備えているが、マイクロホン30で収音した音声を増幅するアンプと電源は備えていない。アンプ装置50は、増幅器(アンプ)51と電源52とを備える。アンプ51は、入力された音声信号を増幅して出力するオーディオアンプである。電源52は、商用電源から本体12を駆動する電力を生成して出力する。本体12とアンプ装置50とは、音声伝送媒体40と電力伝送媒体41とを介して互いに接続されている。音声伝送媒体40は、アンプ装置50と本体12との間で音声を送受信するための伝送媒体である。本体12aとアンプ装置50との間の音声伝送媒体40を第1音声伝送媒体40と呼び、本体12bとアンプ装置50との間の音声伝送媒体40を第2音声伝送媒体40と呼ぶことがある。音声伝送媒体40は物理的なケーブルであってもよいし、NFC(Near Field Communication)やBluetoothや無線LAN等の無線通信媒体であってもよい。電力伝送媒体41は、電源52で生成された電力をアンプ装置50から本体12に伝送するための伝送媒体である。本体12aとアンプ装置50との間の電力伝送媒体41を第1電力伝送媒体41と呼び、本体12bとアンプ装置50との間の電力伝送媒体41を第2電力伝送媒体41と呼ぶことがある。電力伝送媒体41は、物理的なケーブルであってもよいし、ワイヤレス電力伝送媒体であってもよい。音声伝送媒体40と電力伝送媒体41とは、ファンタム電源に対応したケーブル(ファンタムケーブル)のように、ワンケーブルで音声信号と電力とを伝送可能なケーブルであってもよい。ファンタムケーブルの場合、アンプ装置50は本体12a、12bと対応する少なくとも2つのケーブル端子を備え、本体12a、12bそれぞれと独立して1本のケーブルで接続される。本体12aのマイクロホン20で収音された音声が音声伝送媒体40を介してアンプ装置50に入力され、アンプ51によって増幅されて、音声伝送媒体40を介して本体12bに送信され、本体12bのスピーカー31から出力される。本体12bのマイクロホン30で収音された音声が音声伝送媒体40を介してアンプ装置50に入力され、アンプ51によって増幅され、音声伝送媒体40を介して本体12aに送信され、本体12aのスピーカー21から出力される。音声伝送媒体40が無線通信媒体である場合、本体12は筐体内部に無線通信回路(不図示)を備え、アンプ装置50の筐体内部にも対応する無線通信回路(不図示)を備え、両無線通信回路により無線通信を確立する。音声伝送媒体40が無線通信媒体である場合、音声伝送媒体40は、本体12を遮蔽材2に装着してアンプ装置50をカウンター5上に置いたときに無線通信が行える無線通信範囲を有する。電力伝送媒体41がワイヤレス電力伝送媒体である場合、本体12は筐体内部にワイヤレス受電回路(不図示)を備え、アンプ装置50の筐体内部には対応するワイヤレス送電回路(不図示)を備え、受電回路と送電回路によりワイヤレス電力伝送を確立する。電力伝送媒体41がワイヤレス電力伝送媒体である場合、電力伝送媒体41は、本体12を遮蔽材2に装着してアンプ装置50をカウンター5上に置いたときにワイヤレス電力伝送が可能なワイヤレス電力伝送範囲を有する。
【0019】
図12は、通話システム10の構成の別例を示す図である。この例は、通話システム10が本体12と独立した筐体を有するアンプ装置50を含む点で
図11に示した例と類似しているが、この例では、本体12aと12bのうち一方のみがアンプ装置50と接続され、本体12同士が接続されている。ここでは、本体12aのみがアンプ装置50に接続されている例で説明する。
図12に示すように、本体12aは、音声伝送媒体40(40a)と電力伝送媒体41(41a)とを介してアンプ装置50と接続されている。本体12aと本体12bとは、別の音声伝送媒体40(40b)と電力伝送媒体41(41b)とを介して互いに接続されている。本体12aのマイクロホン20で収音した音声は、音声伝送媒体40aを介してアンプ装置50に入力されてアンプ51によって増幅され、音声伝送媒体40aを介して本体12aに戻され、続いて、音声伝送媒体40bを介して本体12aから本体12bへ入力され、スピーカー31から出力される。本体12bのマイクロホン30で収音された音声は、音声伝送媒体40bを介して本体12bから本体12aに入力され、続いて、音声伝送媒体40aを介して本体12aからアンプ装置50に入力されてアンプ51により増幅され、最後に、音声伝送媒体40aを介して本体12aに戻されてスピーカー21から出力される。このように、本体12aのマイクロホン20で収音された音声は、音声伝送媒体40aを介して増幅、出力され、本体12bのマイクロホン30で収音された音声は、音声伝送媒体40a、40bを介して増幅、出力される。また、電源52で生成された電力は、電力伝送媒体41aを介して本体12aに供給されて本体12a内の電気要素の駆動に用いられつつ、電力伝送媒体41bを介して本体12aから本体12bに供給され、本体12b内の電気要素の駆動に用いられる。
【0020】
図13は、通話システム10の構成の別例を示す図である。この例では、通話システム10は、本体12a、12bが互いに直接的に音声を増幅し、伝送しあう。本体12aは、上述したマイクロホン20とスピーカー21に加え、筐体内にアンプ22と電源23とを含む。アンプ22は、マイクロホン20で収音した音声を増幅する。電源23はアンプ22等本体12a内の電気要素に電力を供給する。本体12bは、上述したマイクロホン30とスピーカー31に加え、筐体内にアンプ32と電源33とを含む。アンプ32は、マイクロホン30で収音した音声を増幅する。本体12aは、アンプ22で増幅された音声を本体12bに伝送する。本体12bは、アンプ32で増幅された音声を本体12aに伝送する。電源33はアンプ32等本体12b内の電気要素に電力を供給する。電源23、33はそれぞれ、商用電源から電力を生成するものであってもよいし、二次電池等の電池であってもよい。本体12aと本体12bとは、音声伝送媒体40を介して互いに直接接続される。音声伝送媒体40は、上述したように、物理的なケーブルであってもよいし、NFCやBluetoothや無線LAN等の無線通信媒体であってもよい。音声伝送媒体40が無線通信媒体である場合、本体12は筐体内部に無線通信回路(不図示)を備え、アンプ装置50の筐体内部にも対応する無線通信回路(不図示)を備え、両無線通信回路により無線通信を確立する。音声伝送媒体40が無線通信媒体である場合、音声伝送媒体40は、本体12をそれぞれ遮蔽材2に装着したときに互いに無線通信が行える無線通信範囲を有する。
図7に示すように磁力により本体12が遮蔽板2を介して互いに対面して装着されるとき、音声伝送媒体40が無線通信媒体である場合、音声伝送媒体40の無線通信範囲は磁力の作用範囲と同等かそれよりも広く設定される。
【0021】
図14は、通話システム10の構成の別例を示す図である。この例は、本体12a、12bが互いに直接的に音声を増幅し、伝送しあう点で
図13に示した例と近似しているが、この例では、本体12aと12bのうち一方のみが電源を備え、他方は電源を持たない。ここでは、本体12aは電源(電源23)を備えるが、本体12bは電源を持たない例で説明する。
図14に示すように、本体12a、12bは互いに、音声伝送媒体40aと電力伝送媒体41とを介して接続されている。本体12a内の電源23で生成された電力は、本体12a内の電気要素の駆動に用いられつつ、電力伝送媒体41を介して本体12bに伝送されて、本体12b内の電気要素の駆動に用いられる。
【0022】
図15~28は、通話システム10の別例を示す図である。通話システム10は、マイクとスピーカーとが一つの筐体に収められた本体12a、12bを含む。本体12aと本体12bとは、一対となっており、一方が来訪者用で他方が応対者用として使用される。本体12a、12bはマイクとスピーカーとが一体となったスピーカーホンである。なお、本体12aと本体12bとを総称して本体12と呼ぶ。この例では、通話システム10は、遮蔽材2に設けられた孔を通じて本体12a、12bを遮蔽材2に装着する構成となっている。
図15に示すように、遮蔽材2には1つ以上の孔7が設けられている。孔7は、遮蔽材2の面のうち、話者3、4と対面する両面(すなわち本体12が装着される両面)を貫通するように設けられている。孔7は、遮蔽材2の製造者によって予め設けられている孔であってもよいし、通話システム10の設置者がDIYにてドリル等を用いて遮蔽材2に開けた孔であってもよい。
図16に示すように、孔7を通じて本体12aの背面が遮蔽材2に自立固定され、孔7を通じて本体12bの背面が遮蔽材2に自立固定される。孔7を通じて自立固定するための構造を以下、詳述する。
【0023】
図17は、孔7を通じて本体12を遮蔽材に自立固定するための構造の一例を示す。
図17に示すように、本体12の一方(
図17の例では本体12a)は背面に、背面から延伸する延伸部65を備え、本体12の他方(
図17の例では本体12b)は背面に、延伸部65に対応する受け部66を備える。延伸部65は、本体12aの背面から、背面方向(収音方向及び放音方向D1と略対向する方向)に向けて延伸し、延伸しきった端である終端を有する。受け部66は、延伸部65と対応し、延伸部65がはまり込む形状を有する。具体的には、受け部66は、延伸部65の終端を含む一部がはまり込む深さと形状を有している。延伸部65の背面から終端までの延伸長は、少なくとも遮蔽材2の幅(孔7の両開口間の距離)よりも長い。好ましくは、延伸部65の延伸長は、少なくとも遮蔽材2の幅と受け部66の深さとの合計の長さを有する。延伸部65は、本体12aの筐体と同じ材質で形成されてもよい、異なる材質で形成されてもよい。
【0024】
延伸部65と受け部66とは、雄雌の関係ではめ込まれる。一例として、延伸部65は雄ねじを含み、受け部66は雌ねじを含む。延伸部65のうち、少なくとも終端から所定の長さに渡って雄ねじが形成され、受け部66は、この雄ねじ部分の長さに対応する深さを有するとよい。このような構成により、雄ねじと雌ねじの螺合により受け部66が延伸部65にはめ込まれる。別の例として、
図18に示すように、延伸部65は電気的な接続を行うための雄型のプラグ68を含み、受け部66はプラグに対応する雌型のジャック69を含む。延伸部65のうち、少なくとも終端から所定の長さの部分にプラグ68を含む。プラグ68は、2極フォーンプラグ(TSプラグ)、3極フォーンプラグ(TRSプラグ)、4極フォーンプラグ(TRSSプラグ)、ファンタムケーブルのプラグ等、音声伝送媒体40及び/又は電力伝送媒体41として機能するプラグであってもよい。
【0025】
遮蔽材2の面の一方から本体12aの延伸部65を孔7に挿入し、遮蔽材2の面の他方から延伸部65を突出させ、突出した延伸部65に受け部66をはめ込むことにより、互いの背面同士が対向する形で本体12a、12bを遮蔽材2に自立固定することができる。
図19~20は、本体12a、12bが遮蔽材2に自立固定された状態を示す図である。遮蔽材2の孔7を通じて、本体12bの受け部66が本体12aの延伸部65にはまり込むことにより、両本体12が互いの背面で遮蔽材2に自立して固定される。
【0026】
延伸部65にプラグ68を含み、受け部66にジャック69を含む場合、プラグ68とジャック69との電気的接続を介して本体12間で音声や電力の伝送を行うようにしてもよい。
図21に示す例では、
図13に示したように本体12にそれぞれマイクロホン(20、30)、スピーカー(21、31)、アンプ(22、32)、及び電源(23、33)を備える。プラグ68とジャック69とが、音声伝送媒体40として機能する。プラグ68とジャック69との電気的接続を介し、本体12aのマイクロホン20で収音されアンプ22で増幅された音声が本体12bに伝送されてスピーカー31から出力されつつ、本体12bのマイクロホン30で収音されアンプ32で増幅された音声が本体12aに伝送されてスピーカー21から出力される。また、
図22に示す例では、
図14に示すように、本体12aはマイクロホン20とスピーカー21とアンプ22とに加えて電源23を備えるが、本体12bはマイクロホン30とスピーカー31とアンプ32とを備えるが電源を備えていない。プラグ68とジャック69とが、音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41として機能する。
図21に示したようにプラグ68とジャック69との電気的接続を介して音声伝送が行われるのに加え、この電気的接続を介して電源23で生成された電力が本体12aから本体12bに供給される。また、
図23に示す例では、
図11に示すように、音声伝送媒体40aと電力伝送媒体41aとを介して本体12aとアンプ装置50とが接続され、プラグ68とジャック69との電気的接続を介して本体12aと本体12bとが接続される。プラグ68とジャック69とが、音声伝送媒体40bと電力伝送媒体41bとして機能する。マイクロホン20で収音された音声は、音声伝送媒体40aを介しアンプ装置50に入力されてアンプ51で増幅された後、音声伝送媒体40aを介して本体12aに戻り、プラグ68とジャック69との電気的接続を介して本体12bに伝送され、スピーカー31から出力される。マイクロホン30で収音された音声は、プラグ68とジャック69との電気的接続を介し本体12aに伝送され、音声伝送媒体40aを介し本体12aからアンプ装置50に入力されてアンプ51で増幅された後、音声伝送媒体40aを介して本体12aに戻り、スピーカー21から出力される。
【0027】
図17~18に示した例の変形例として、本体12a、12bのぞれぞれに、延伸部65と受け部66とを備えるようにしてもよい。本体12aと12bとを一つの延伸部65と受け部66で接続する場合、
図21~23に示すように、この延伸部65と受け部66とを介して双方向に音声を伝送しなければならない。全二重での伝送を行うには、音声伝送のための電極を二重にして延伸部65(プラグ68)に形成する必要がありうる。一方、本体12a、12bそれぞれに延伸部65と受け部66を設け、それぞれの延伸部65と受け部66を介して本体12aから本体12bへの音声伝送と本体12bから本体12aへの音声伝送とを別経路にすれば、音声伝送のために1つの延伸部65(プラグ68)に形成する電極を減らすことができる。
図24は、本体12それぞれに延伸部65と受け部66とを備える例を示す。本体12aと12bとはそれぞれ、同じように背面の同じ位置に延伸部65と受け部66とを備える。これにより、本体12の背面同士を対面させて、本体12bの受け部66を本体12aの延伸部65にはめ込みつつ、本体12aの受け部66を本体12bの延伸部65にはめ込むことができ、2つの延伸部と受け部66とで本体12を接続することができる。この例では、遮蔽材2の面の一方から本体12aの延伸部65を第1の孔7に挿入し、遮蔽材2の面の他方から延伸部65を突出させ、突出した延伸部65に本体12bの受け部66をはめ込みつつ、遮蔽材の面の他方から本体12bの延伸部65を第1の孔7と隣接する第2の孔7に挿入し、遮蔽材2の面の一方から延伸部65を突出させ、突出した延伸部65に本体12aの受け部66をはめ込むことにより、互いの背面同士が対抗する形で本体12a、12bを遮蔽材2に自立固定することができる。この例では、本体12aから本体12bへの音声伝送は、本体12aの延伸部65と本体12bの受け部66との接続(本体12aのプラグ68と本体12bのジャック69との電気的接続)を介して行われるとよく、本体12bから本体12aへの音声伝送は、本体12bの延伸部65と本体12aの受け部66との接続(本体12bのプラグ68と本体12aのジャック69との電気的接続)を介して行われるとよい。なお、この例では、本体12aから本体12bへの電力伝送は、本体12aの延伸部65と本体12bの受け部66との接続(本体12aのプラグ68と本体12bのジャック69との電気的接続)を介して行われるとよい。
【0028】
図17に示した延伸部65を用いた例の変形として、本体12の背面に備わる延伸部65と対応するアクセサリーを用いて、本体12を遮蔽材2に挟み込んで自立固定するようにしてもよい。
図25は、アクセサリー70を用いて本体12を遮蔽材2に自立固定する例を示す。この例では、通話システム10は、本体12a、12bそれぞれの背面に延伸部65を備えるとともに、延伸部65に対応するアクセサリー70を含む。アクセサリー70は、本体12とは独立した別個のものとして提供される可搬性ものであり、本体12の付属品として提供される。アクセサリー70は、延伸部65の終端がはまり込む受け部70aを有しており、上述した受け部66と同様の構成を有している。アクセサリー70を用いることにより、
図26に示すように、本体12a、12bをそれぞれ独立して遮蔽材2に自立固定することができる。すなわち、本体12同士の背面を対向させて遮蔽材2を挟んで互いに延伸部65と受け部66とで接続するのではなく、
図25に示すように、本体12a、12bの個々を、個々の延伸部65とアクセサリー70をはめ込ませて遮蔽材2に固定することができる。遮蔽材2の面の一方から本体12aの延伸部65を孔7に挿入し、遮蔽材2の面の他方から延伸部65を突出させ、突出した延伸部65にアクセサセリー70の受け部70aをはめ込むことにより、本体12aが遮蔽材2に自立固定される。同様に、遮蔽材2の面の他方から本体12bの延伸部65を孔7に挿入し、遮蔽材2の面の一方から延伸部65を突出させ、突出した延伸部65にアクセサセリー70の受け部70aをはめ込むことにより、本体12bが遮蔽材2に自立固定される。本体12a、12bとはそれぞれ背面でアクセサセリー70と対向する形で自立固定され、本体12同士は離間して固定される。
【0029】
遮蔽板2に設けた孔7の利用の別の形態として、音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41がケーブルである場合、
図27~28に示すように、孔7を通じてケーブルを渡し、本体12とアンプ装置50とを接続するように構成してもよい。
図27に示すように、アンプ装置50は、それぞれ本体12a、12bに対応する個別のプラグ40p(41p)を有する。アンプ装置50から延びる各ケーブル40(41)は、上述したプラグ68と同様にプラグ40p(41p)を有する。本体12a、12bそれぞれの背面には、上述した受け部66と同様に、プラグ40p(41p)に対応する受け部71を有する。
図28に示すように、収音方向と放音方向とが話者3に向く(D1)ように本体12aの背面を遮蔽材2に当接させ、第1の孔7を介して本体12aの受け部71を露出させ、遮蔽材2の反対側から一方のプラグ40p(41p)を受け部71に接続する。同様に、収音方向と放音方向とが話者4に向く(D2)ように本体12bの背面を遮蔽材2に当接させ、第1の孔7から離間した第2の孔7を介して本体12bの受け部71を露出させ、遮蔽材2の反対側から他方のプラグ40p(41p)を受け部71に接続する。このようにすることで、2つの孔7を通じ、ケーブル40(41)を介して本体12とアンプ装置50とを接続することができる。
【0030】
本体12の筐体内において、マイクロホン20、30とスピーカー21、31とは、前者の収音方向と後者の放音方向とが略同一である(D1、D2)。したがって、マイクロホン20、30とスピーカー21、31間で音声がループしてハウリングが起きやすい。そこで、ハウリングの発生を抑えるため、スピーカー21、31の指向性を調整してスピーカー21、31から出力された音声がなるべくマイクロホン20、30で収音されないように構成されている。具体的には、
図29に示すように、本体12において、放音方向(D1、D2)からみてスピーカー21,31を、縦方向にアレイ状に並べた複数のスピーカーユニットから構成し、このアレイ方向(図中D3)に沿ってマイクロホン20、30を配置する。すなわち、スピーカー21、31におけるアレイ方向D3の端部からアレイ方向D3に沿って離間した位置に、マイクロホン20、30が配置される。このような構成により、スピーカー21、31はアレイ効果によって線音源となり、アレイ方向D3に指向性が弱まり、指向性が弱まったアレイ方向D3の延長線上にマイクロホン20、30が配置されることにより、スピーカー21、31から出力された音声がマイクロホン20、30に収音されることを抑制することができる。
【0031】
遮蔽板2を挟んで本体12aと本体12bとを互いに背面同士で対向させて固定したとき、一方の本体12の振動が遮蔽材2に伝わり、この振動を他方の本体12のマイクロホン(マイクロホン20又は30)が拾って、ハウリングを引き起こすことがある。これを防止するため、本体12a、本体12bそれぞれの背面に、振動を吸収する吸振材、又は振動を防止する防振材を設けることが好ましい。吸振材又は防振材は、例えば、スポンジやゴムのようにクッション性を有する部材から構成されたものであるとよい。吸振材又は防振材は、本体12の背面の外側に露出するよう背面の略全体にわたり設けられるとよい。吸振材又は防振材は、本体12の背面の外側に露出するように、背面の四方(四隅)に設けられるとよい。吸振材又は防振材は、磁石15又は金属部16を露出させるように、本体12の背面のうち、磁石15又は金属部16が配置された位置を除く部分に設けられるとよい。吸振材又は防振材は、本体12の背面において、磁石15又は金属部16を覆って設けられてもよく、この場合、磁石15は、少なくとも本体12に設けられた吸振材又は防振材と遮蔽材2とを介して、対応する磁石15、金属部16、又はアクセサリー17と吸着することができる程度の磁力を有するものから選択される。また、吸振材又は防振材は、本体12の背面のうち、延伸部65や受け部66が配置された位置を除く部分に設けられるとよい。また、吸振材又は防振材は、本体12の背面のうち、受け部71が配置された位置を除く部分に設けられるとよい。
図30は、支持部11を用いて本体12が背面の一端(下端)で遮蔽材2に当接して自立固定される例を示しており、この場合、遮蔽材2に当接する背面の一端に吸振材又は防振材60が設けられている(遮蔽材2と当接する本体12aの背面の一端に設けられた60aと、遮蔽材2と当接する本体12bの背面の一端に設けられた60b)。
図31は、磁石15を用いて本体12が背面の略全体(略全面)で遮蔽材2に当接して自立固定される例を示しており、この場合、遮蔽材2に当接する背面のうち磁石15又は金属部16が設けられた部分以外の部分に吸振材又は防振材60(60aと60b)が設けられている。
図32は、磁石15を用いて本体12が背面の略全体(略全面)で遮蔽材2に当接して自立固定される別例を示しており、この場合、遮蔽材2に当接する背面の略全面にわたって磁石15又は金属部16が設けられている。
図32に示す例では、最も背面側に吸振材又は防振材60を設け、その内側に磁石15又は金属部16が設けられる。
図33は、延伸部65と受け部66とを用いて本体12が背面の略全体(略全面)で遮蔽材2に当接して自立固定される例を示しており、この場合、遮蔽材2に当接する背面のうち延伸部65や受け部66が設けられた部分以外の部分に吸振材又は防振材60(60aと60b)が設けられている。
図34は、磁石15を用いて本体12を遮蔽材2に固定する構成において、ゴム足としての吸振材又は防振材60を本体12の背面の四方(四隅)に設ける例を示している。この場合、ゴム足60によって本体12と遮蔽材2との間に所定の隙間が生じするため、磁石15は、少なくとも、本体12aのゴム足60によって生じる隙間と本体12bのゴム足60によって生じする隙間と遮蔽材2とを介して、対応する磁石15、金属部16、又はアクセサリー17と吸着することができる程度の磁力を有するものから選択される。
【0032】
通話システム10において、本体12aのマイクロホン20から収音された音声が本体12bのスピーカー31から出力されるが、この音声が本体12bのマイクロホン30から収音されて本体12aのスピーカー20から出力されることがある。逆もまたしかりである。このように音声が本体12aと本体12bとの間でループすると、音響エコーやハウリングを起こす恐れがある。このため、通話システム10は、ボイススイッチを用いてマイクロホン20、30のオン/オフを行い、声を発している話し手側の本体12a又は12bのマイクロホン20又はマイクロホン30がオンになり、声を発していない聞き手側の本体12a又は12bのマイクロホン20又はマイクロホン30はオフになるように構成するとよい。
図35に示すように、本体12aは、ボイススイッチ24を備え、本体12bは、ボイススイッチ34を備える。ボイススイッチ24は、マイクロホン20が収音する音声(マイクロホン20から入力される音声)の音声レベルを監視し、閾値(第1オン閾値)と比較し、第1オン閾値以上の音声レベルを有する音声が入力されると、マイクロホン20からの出力をオンにし、マイクロホン20が収音した音声が出力されるようにする電子スイッチである。また、ボイススイッチ24は、いったんマイクロホン20からの出力をオンにした後、マイクロホン20から入力される音声の音声レベルの監視を続け、閾値(第1オフ閾値)と比較し、所定時間(第2オフ閾値)以上にわたって入力される音声の音声レベルが第1オフ閾値以下である場合(すなわち所定時間以上にわたって実質的に無音状態が続いた場合)、マイクロホン20からの出力をオフにし、マイクロホン20が収音した音声が出力されないようにする。また、ボイススイッチ24は、スピーカー21に入力される音声(本体12bのマイクロホン30から入力されて音声伝送媒体40を介して伝送された音声)の音声レベルを監視し、閾値(第2オン閾値)以上の音声レベルがある場合は、第1オン閾値の条件を満たしていてもマイクロホン20の出力をオンにしないようにしてもよい。同様に、ボイススイッチ34は、マイクロホン30が収音する音声(マイクロホン30から入力される音声)の音声レベルを監視し、閾値(第1オン閾値)と比較し、第1オン閾値以上の音声レベルを有する音声が入力されると、マイクロホン30からの出力をオンにし、マイクロホン30が収音した音声が出力されるようにする電子スイッチである。また、ボイススイッチ34は、いったんマイクロホン30からの出力をオンにした後、マイクロホン30から入力される音声の音声レベルの監視を続け、閾値(第1オフ閾値)と比較し、所定時間(第2オフ閾値)以上にわたって入力される音声の音声レベルが第1オフ閾値以下である場合(すなわち所定時間以上にわたって実質的に無音状態が続いた場合)、マイクロホン30からの出力をオフにし、マイクロホン30が収音した音声が出力されないようにする。また、ボイススイッチ34は、スピーカー31に入力される音声(本体12aのマイクロホン20から入力されて音声伝送媒体40を介して伝送された音声)の音声レベルを監視し、閾値(第2オン閾値)以上の音声レベルがある場合は、第1オン閾値の条件を満たしていてもマイクロホン30の出力をオンにしないようにしてもよい。
【0033】
さらに、通話システム10は、ボイススイッチ24、34の動作パラメーター(第1オン閾値、第2オン閾値、第1オフ閾値、第2オフ閾値)を変更する変更手段を備え、適宜動作パラメーターを変更できるようにしてもよい。一例として、
図36に示すように、本体12aは、スイッチ25を備える。スイッチ25は、ディップスイッチ等の手動スイッチであり、通話システム10のユーザーによって操作される。スイッチ25は、ボイススイッチ24に接続されており、ボイススイッチ24は、スイッチ25の操作に応じて動作パラメーターを変更する。例えば、ボイススイッチ24は、第1オン閾値と第2オン閾値と第1オフ閾値と第2オフ閾値の組み合わせを複数種類保持しており、スイッチ25の操作に応じて選択された組み合わせを用いてマイクロホン20の音声出力のオン/オフを行う。例えば、ボイススイッチ24は、よりマイクロホン20の出力をオンしやすいように低めの第1オン閾値と長めの第2オフ閾値とを有する第1閾値組み合わせと、よりマイクロホン20の出力をオンしにくいように高めの第1オフ閾値と短めの第2オフ閾値とを有する第2閾値組み合わせとを保持し、スイッチ25の操作に応じて第1閾値組み合わせと第2閾値組み合わせのうちいずれかを用いてマイクロホン20の音声出力のオン/オフを行う。同様に、本体12bは、スイッチ35を備える。スイッチ35は、ディップスイッチ等の手動スイッチであり、通話システム10のユーザーによって操作される。スイッチ35は、ボイススイッチ34に接続されており、ボイススイッチ34は、スイッチ35の操作に応じて動作パラメーターを変更する。例えば、ボイススイッチ34は、第1オン閾値と第2オン閾値と第1オフ閾値と第2オフ閾値の組み合わせを複数種類保持しており、スイッチ35の操作に応じて選択された組み合わせを用いてマイクロホン30の音声出力のオン/オフを行う。例えば、ボイススイッチ34は、よりマイクロホン30の出力をオンしやすいように低めの第1オン閾値と長めの第2オフ閾値とを有する第1閾値組み合わせと、よりマイクロホン30の出力をオンしにくいように高めの第1オフ閾値と短めの第2オフ閾値とを有する第2閾値組み合わせとを保持し、スイッチ35の操作に応じて第1閾値組み合わせと第2閾値組み合わせのうちいずれかを用いてマイクロホン30の音声出力のオン/オフを行う。
【0034】
図11に示したように、本体12とアンプ装置50が分離している場合、
図37に示すように、アンプ装置50に共通のボイススイッチ54とスイッチ55とを備えてもよい。ボイススイッチ54は、本体12aから送信される音声の入力と本体12bから送信される音声の入力とを受け付け、本体12bへの音声出力と本体12aへの音声出力を制御する。ボイススイッチ54は、信号処理回路としてDSP(Digital Signal Processor)により構成されるとよい。ボイススイッチ54は、音声伝送媒体40を介して本体12aから受信した音声(マイクロホン20から入力された音声)の音声レベルを監視し、閾値(第1オン閾値)と比較し、第1オン閾値以上の音声レベルを有する音声が入力されると、本体12aからの音声出力をオンにし、音声伝送媒体40を介してこの音声を本体12bに送信する。同様に、ボイススイッチ54は、音声伝送媒体40を介して本体12bから受信した音声(マイクロホン30から入力された音声)の音声レベルを監視し、閾値(第1オン閾値)と比較し、第1オン閾値以上の音声レベルを有する音声が入力されると、本体12bからの音声出力をオンにし、音声伝送媒体40を介してこの音声を本体12aに送信する。ボイススイッチ54は、いったん本体12aからの出力をオンにした後、本体12aから受信する音声の音声レベルの監視を続け、閾値(第1オフ閾値)と比較し、所定時間(第2オフ閾値)以上にわたって入力される音声の音声レベルが第1オフ閾値以下である場合(すなわち所定時間以上にわたって実質的に無音状態が続いた場合)、本体12aからの出力をオフにする。同様に、ボイススイッチ54は、いったん本体12bからの出力をオンにした後、本体12bから受信する音声の音声レベルの監視を続け、閾値(第1オフ閾値)と比較し、所定時間(第2オフ閾値)以上にわたって入力される音声の音声レベルが第1オフ閾値以下である場合(すなわち所定時間以上にわたって実質的に無音状態が続いた場合)、本体12bからの出力をオフにする。ボイススイッチ54は、本体12aからの音声受信と本体12bからの音声受信とが競合することがあるが、先に音声受信を開始した方を優先するとよい。すなわち、先に本体12aの音声出力がオンになっている間は、本体12bの入力音声の音声レベルが第1オン閾値を超えた場合であっても本体12bの音声出力をオンにはしなくてよい。逆もまたしかりである。
【0035】
スイッチ55は、ボイススイッチ54の動作パラメーター(第1オン閾値、第1オフ閾値、第2オフ閾値)を変更する変更手段である。スイッチ55は、ディップスイッチ等の手動スイッチであり、通話システム10のユーザーによって操作される。スイッチ55は、ボイススイッチ54に接続されており、ボイススイッチ54は、スイッチ55の操作に応じて動作パラメーターを変更する。例えば、ボイススイッチ54は、第1オン閾値と第1オフ閾値と第2オフ閾値の組み合わせを複数種類保持しており、スイッチ55の操作に応じて選択された組み合わせを用いて本体12a、12bの音声出力のオン/オフを行う。例えば、ボイススイッチ54は、より音声出力をオンしやすいように低めの第1オン閾値と長めの第2オフ閾値とを有する第1閾値組み合わせと、より音声出力をオンしにくいように高めの第1オフ閾値と短めの第2オフ閾値とを有する第2閾値組み合わせとを保持し、スイッチ55の操作に応じて第1閾値組み合わせと第2閾値組み合わせのうちいずれかを用いて本体12a、12bの音声出力のオン/オフを行う。
【0036】
ボイススイッチ54の動作パラメーター(第1オン閾値、第1オフ閾値、第2オフ閾値)は、本体12a用と本体12b用で異なるパラメーターを保持してもよい。例えば、ボイススイッチ54は、本体12aからの入力音声に応じて本体12aの音声出力のオン/オフを行うための第1オン閾値と第1オフ閾値と第2オフ閾値の組み合わせ(本体12a用パラメーター)と、本体12bからの入力音声に応じて本体12bの音声出力のオン/オフを行うための第1オン閾値と第1オフ閾値と第2オフ閾値の組み合わせ(本体12b用パラメーター)とを保持し、本体12a用パラメーターを用いて本体12aの音声出力のオン/オフを行い、本体12b用パラメーターを用いて本体12bの音声出力のオン/オフを行う。例えば、応対者3側に設けられた本体12aに適した本体12a用パラメーターは、より音声出力をオンしやすいよう低めの第1オン閾値と長めの第2オフ閾値とを有し、来訪者4側に設けられた本体12bに適した本体12b用パラメーターは、より音声出力をオンしにくいよう高めの第1オン閾値と短めの第2オフ閾値とを有するようにするとよい。
【0037】
通話システム10において、本体12の一方は、マイクロホン20(30)及びスピーカー21(31)が一つの筐体に収められて遮蔽材2に装着されるスピーカーホンの代わりに、遮蔽材2に装着されず使用者に装着されるウェアラブル通話端末であってもよい。ウェアラブル通話端末の一例は、ヘッドセットである。ヘッドセットは、マイクとスピーカーを備え、使用者の頭部に装着して用いる通話装置であり、スピーカーホンの代わりに用いることができる。例えば、遊園地の映画館や切符売り場、役所や駅の窓口、銀行のカウンター等、来訪者3と応対者4とが会話する環境では、来訪者3は遮蔽材2に装着されたスピーカーホン12を使用し、応対者4は予め提供されたヘッドセット12を装着して使用することが想定される。応対者4側はヘッドセットを用いることで、特に周囲の雑音を気にせず応対することができる。
図38は、ヘッドセット12の一例を示す図である。
図38(a)に示すヘッドセット12は、ヘッドバンド80と、スピーカー21(31)に相当するヘッドホン部21(31)と、マイクロホン20(30)と、アーム81とを含む。ヘッドバンド80は、使用者の頭部において一方の耳から他方の耳までの間にわたって装着される。ヘッドバンド80の両端部にはそれぞれヘッドホン部21(31)が備わり、ヘッドバンド80を装着した際に一対のヘッドホン部21(31)が使用者の両耳の耳元に位置する。アーム81の一端は、一方のヘッドホン部21(31)に接続され、他端はマイクロホン20(30)に接続される。アーム81は、ヘッドバンド80を装着した際にマイクロホン20(30)の収音部が使用者の口元付近に位置するように調整される。
図38(b)に示すヘッドセットは、耳掛け部82と、スピーカー21(31)に相当するイヤホン部21(31)と、マイクロホン20(30)とを含む。耳掛け部82は、使用者の頭部において一方の耳に装着される。耳掛け部82の一端にイヤホン部21(31)が接続され、イヤホン部21(31)にはマイクロホン20(30)が接続される。イヤホン部21(31)は、耳掛け部82を耳にかけた際に使用者の一方の耳元に位置し、放音部が耳の穴に挿入される。マイクロホン20(30)は、イヤホン部21(31)からアーム上に伸びており、耳掛け部82を耳にかけた際にマイクロホン20(30)の収音部が口元に位置するように調整される。
【0038】
通話システム10において、本体12の一方は、マイクロホン20(30)及びスピーカー21(31)が一つの筐体に収められて遮蔽材2に装着されるスピーカーホンと、遮蔽材2に装着されず使用者に装着されるウェアラブル通話端末とを、任意に使分けることができるにようにしてもよい。
図39は、一例として、本体12bがスピーカーホンとウェアラブル通話端末とを任意に使い分けることができる通話システム10の一例を示す。
図39に示す例では、通話システム10は、
図11に示すように、本体12とアンプ装置50とが別体である。本体12aは、遮蔽材2に装着されるスピーカーホンである。一方、本体12bは、遮蔽材2に装着されるスピーカーホンタイプの本体12bsと、ウェアラブル通話端末タイプの本体12bwとを含む。使用者は、本体12bsと本体12bwとを任意に使い分けることができる。すなわち、使用者の意思に応じて、本体12bs又は本体12bwがアンプ装置50に接続される。本体12bs、12bw共に、音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41を介してアンプ装置50に接続される。アンプ装置50は、イコライザー56とスイッチ57を備える。イコライザー56は、本体12aから受信して本体12bに出力する音声、及び本体12bから受信して本体12aに出力する音声の周波数特性を調整する周波数特性手段である。イコライザー56は、信号処理回路としてDSPにより構成されるとよい。イコライザー56は、周波数特性を調整するにあたって、調整を行う周波数帯や調整するレベル等を調整パラメーターとして保持する。例えば、イコライザー56は、第1周波数(例えば800Hz)以上の高音域の音声レベルを、第1レベル(例えば10dB)上げるような周波数特性調整処理を行い、この第1周波数や第1レベルの組み合わせを調整パラメーターとして保持している。また、イコライザー56は、条件に応じて使い分け可能な複数の調整パラメーターを保持してもよい。すなわち、異なる第1周波数や第1レベルの組み合わせを、複数の調整パラメーターとして保持する。一例として、イコライザー56は、本体12aから受信して本体12bに出力する音声の周波数特性を調整する際に用いる第1調整パラメーターと、本体12bから受信して本体12aに出力する音声の周波数特性を調整する際に用いる第2調整パラメーターとを保持する。一例として、イコライザー56は、スピーカーホンである本体12bsから受信して本体12aに出力する音声の周波数特性の調整に適したスピーカーホン用調整パラメーターと、ウェアラブル通話端末である本体12bwから受信して本体12aに出力する音声の周波数特性の調整に適したウェアラブル通話端末用調整パラメーターとを保持する。
【0039】
図40は、一例として、本体12とアンプ装置50との間の音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が物理的なケーブルである例を示す。本体12は音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41としてのケーブルCを備える。アンプ装置50は、本体12aのケーブルCを接続する端子T1と、本体12b(本体12bs又は本体12bw)のケーブルCを接続する端子T2とを備える。通話システム10の使用者は、本体12bsと本体12bwのいずれかのケーブルを端子T2に接続することにより、本体12bsと本体12bwの使い分けができる。
【0040】
イコライザー56は、所定の条件に応じて、複数の調整パラメーターの中から使用する調整パラメーターを切り替える。一例として、イコライザー56は、スイッチ57の操作に応じて調整パラメーターを切り替える。スイッチ57は、イコライザー56の調整パラメーターを手動で変更するための変更手段である。スイッチ57は、ディップスイッチ等の手動スイッチであり、通話システム10のユーザーによって操作される。スイッチ57は、イコライザー56に接続されており、イコライザー56は、スイッチ57の操作に応じて調整パラメーターを変更する。一例として、イコライザー56は、本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかを検出して、本体12bsが接続されていることを検出したときはスピーカーホン用調整パラメーターを選択し、本体12bwが接続されていることを検出したときはウェアラブル通話端末用調整パラメーターを選択する。
図40に示したようにケーブルCを介して本体12bとアンプ装置50とを接続する場合、アンプ装置50の端子T2に本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかを判定し、判定結果に応じて調整パラメーターを切り替えるとよい。例えば、本体12bsのインピーダンスと本体12bwのインピーダンスとの違いを利用し、アンプ装置50は端子T2に接続された本体12bのインピーダンスを測定する測定手段を備え、所定の閾値以上のインピーダンスが測定されたときは本体12bwが接続されたと判定し、所定の閾値よりも低いインピーダンスが測定されたときは本体12bsが接続されたと判定するとよい。
【0041】
また、アンプ装置50は、上述したボイススイッチ54を備え、動作パラメーター(第1オン閾値、第1オフ閾値、第2オフ閾値)として、スピーカーホンである本体12bsから受信した音声の出力のオン/オフを行うのに適したスピーカーホン用動作パラメーターと、ウェアラブル通話端末である本体12bwから受信した音声の出力のオン/オフを行うのに適したウェアラブル通話端末用動作パラメーターとを保持してもよい。アンプ装置50は、上述したスイッチ55を備え、スイッチ55の操作に応じてスピーカーホン用動作パラメーターとウェアラブル通話端末用動作パラメーターのいずれかを選択して使用するとよい。または、ボイススイッチ54は、上述したように本体12bsと本体12bwのいずれかが接続されているかを検出して、本体12bsが接続されていることを検出したときはスピーカーホン用動作パラメーターを選択し、本体12bwが接続されていることを検出したときはウェアラブル通話端末用動作パラメーターを選択するとよい。
【0042】
さらに、アンプ装置50は、ボイススイッチ54用の動作パラメーターとイコライザー56用の調整パラメーターとの組み合わせを保持してもよい。この場合、例えば、ボイススイッチ54のスピーカーホン用動作パラメーターとイコライザー56のスピーカーホン用調整パラメーターとの組み合わせ(第1組み合わせ)が保持され、ボイススイッチ54のウェアラブル通話端末用動作パラメーターとイコライザー56のウェアラブル端末用調整パラメーターとの組み合わせ(第2組み合わせ)が保持されるとよい。この場合、スイッチ55とスイッチ57とは一体化され、アンプ装置50は、スイッチ操作に応じて、第1組み合わせ又は第2組み合わせを選択して使用する。第1組み合わせが選択されると、ボイススイッチ54は、スピーカーホン用動作パラメーターを使用して本体12bから受信する音声の出力のオン/オフを行い、イコライザー56は、スピーカーホン用調整パラメーターを使用して本体12bから受信する音声の周波数特性を調整する。第2組み合わせが選択されると、ボイススイッチ54は、ウェアラブル通話端末用動作パラメーターを使用して本体12bから受信する音声の出力のオン/オフを行い、イコライザー56は、ウェアラブル通話端末用調整パラメーターを使用して本体12bから受信する音声の周波数特性を調整する。または、アンプ装置50は、上述したように本体12bsと本体12bwのいずれかが接続されているかを検出して、本体12bsが接続されていることを検出したときは第1組み合わせを選択し、本体12bwが接続されていることを検出したときは第2組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0043】
さらにまた、本体12aから受信した音声の出力のオン/オフを行うボイススイッチ54の動作パラメーターとして、相手方がスピーカーホンである本体12bsであるときに適したスピーカーホン向け動作パラメーターと、相手方がウェアラブル通話端末である本体12bwであるときに適したウェアラブル通話端末向け動作パラメーターとが保持されてもよい。ボイススイッチ54は、上述したようにスイッチ55による操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかの検出に応じて、スピーカーホン向け動作パラメーター又はウェアラブル通話端末向け動作パラメーターを選択して使用し、本体12aから受信した音声の出力のオン/オフを行う。同様に、本体12aから受信した音声の周波数特性の調整を行うイコライザー56の調整パラメーターとして、相手方がスピーカーホンである本体12bsであるときに適したスピーカーホン向け調整パラメーターと、相手方がウェアラブル通話端末である本体12bwであるときに適したウェアラブル通話端末向け調整パラメーターとが保持されてもよい。イコライザー56は、上述したようにスイッチ57による操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかの検出に応じて、スピーカーホン向け調整パラメーター又はウェアラブル通話端末向け調整パラメーターを選択して使用し、本体12aから受信した音声の周波数特性を調整する。
【0044】
さらにまた、ボイススイッチ54において、スピーカーホン用動作パラメーターとスピーカーホン向け動作パラメーターとは組み合わせて保持され、ウェアラブル通話端末用動作パラメーターとウェアラブル通話端末向け動作パラメーターとは組み合わせて保持されるとよい。これにより、上述したようにスイッチ55による操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかの検出に応じて、ボイススイッチ54は、スピーカーホン用動作パラメーターを使用して本体12bから受信した音声の出力のオン/オフを行うとともにスピーカーホン向け動作パラメーターを使用して本体12aから受信した音声の出力のオン/オフを行うか、又は、ウェアラブル通話端末用動作パラメーターを使用して本体12bから受信した音声の出力のオン/オフを行うとともにウェアラブル通話端末向け動作パラメーターを使用して本体12aから受信した音声の出力のオン/オフを行う。同様に、イコライザー56において、スピーカーホン用調整パラメーターとスピーカーホン向け調整パラメーターとは組み合わせて保持され、ウェアラブル通話端末用調整パラメーターとウェアラブル通話端末向け動作パラメーターとは組み合わせて保持されるとよい。これにより、上述したようにスイッチ57による操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかの検出に応じて、イコライザー56は、スピーカーホン用調整パラメーターを使用して本体12bから受信した音声の周波数特性の調整を行うとともにスピーカーホン向け調整パラメーターを使用して本体12aから受信した音声の周波数特性の調整を行うか、又は、ウェアラブル通話端末用調整パラメーターを使用して本体12bから受信した音声の周波数特性の調整を行うとともにウェアラブル通話端末向け調整パラメーターを使用して本体12aから受信した音声の周波数特性の調整を行う。
【0045】
さらにまた、ボイススイッチ54におけるスピーカーホン用動作パラメーターとスピーカーホン向け動作パラメーターと、イコライザー56におけるスピーカーホン用調整パラメーターとスピーカーホン向け調整パラメーターとが一体として組み合わせて保持され(スピーカーホンパラメーター組み合わせ)、かつ、ボイススイッチ54におけるウェアラブル通話端末用動作パラメーターとウェアラブル通話端末向け動作パラメーターと、イコライザー56におけるウェアラブル通話端末用調整パラメーターとウェアラブル通話端末向け調整パラメーターとが一体として組み合わせて保持されるとよい(ウェアラブル通話端末パラメーター組み合わせ)。上述したようにスイッチ操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかの検出に応じて、スピーカーホンパラメーター組み合わせ又はウェアラブル通話端末パラメーター組み合わせが選択される。スピーカーホンパラメーター組み合わせが選択されると、ボイススイッチ54は、スピーカーホン用動作パラメーターを用いて本体12bから受信した音声の出力のオン/オフを行いつつスピーカーホン向け動作パラメーターを用いて本体12aから受信した音声の出力のオン/オフを行うとともに、イコライザー56は、スピーカーホン用調整パラメーターを用いて本体12bから受信した音声の周波数特性を調整しつつスピーカーホン向け調整パラメーターを用いて本体12aから受信した音声の周波数特性を調整する。一方、ウェアラブル通話端末パラメーター組み合わせが選択されると、ボイススイッチ54は、ウェアラブル通話端末用動作パラメーターを用いて本体12bから受信した音声の出力のオン/オフを行いつつウェアラブル通話端末向け動作パラメーターを用いて本体12aから受信した音声の出力のオン/オフを行うとともに、イコライザー56は、ウェアラブル通話端末用調整パラメーターを用いて本体12bから受信した音声の周波数特性を調整しつつウェアラブル通話端末向け調整パラメーターを用いて本体12aから受信した音声の周波数特性を調整する。
【0046】
図41は、他の例として、
図13~14に示したように、本体12a、12bが互いに直接的に音声を増幅し、伝送しあう通話システム10において、本体12bがスピーカーホンとウェアラブル通話端末とを任意に使い分けることができる例を示す。本体12aは、遮蔽材2に装着されるスピーカーホンである。一方、本体12bは、遮蔽材2に装着されるスピーカーホンタイプの本体12bsと、ウェアラブル通話端末タイプの本体12bwとを含む。使用者は、本体12bsと本体12bwとを任意に使い分けることができる。すなわち、使用者の意思に応じて、本体12bs又は本体12bwが本体12aに接続される。本体12bs、12bw共に、音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41を介して本体12aに接続される。本体12aは、ボイススイッチ24とスイッチ25とイコライザー26とスイッチ27を備える。ボイススイッチ24及びスイッチ25の概略構成、及び機能は上述した通りである。ボイススイッチ24は、条件に応じて使い分け可能な複数の動作パラメーター(第1オン閾値、第2閾値、第1オフ閾値、第2オフ閾値)を保持してもよい。一例として、ボイススイッチ24は、接続されている本体12bがスピーカーホンである本体12bsであるときにマイク20の入力音声の出力オン/オフを行うのに適したスピーカーホン向け動作パラメーターと、接続されている本体12bがウェアラブル通話端末である本体12bwであるときにマイク20の入力音声の出力オン/オフを行うのに適したウェアラブル通話端末向け動作パラメーターとを保持する。イコライザー26は、本体12aから本体12bに出力する音声の周波数特性を調整する周波数特性手段である。イコライザー26は、信号処理回路としてDSPにより構成されるとよい。イコライザー26は、周波数特性を調整するにあたって、調整を行う周波数帯や調整するレベル等を調整パラメーターとして保持する。例えば、イコライザー26は、第1周波数(例えば800Hz)以上の高音域の音声レベルを、第1レベル(例えば10dB)上げるような周波数特性調整処理を行い、この第1周波数や第1レベルの組み合わせを調整パラメーターとして保持している。また、イコライザー26は、条件に応じて使い分け可能な複数の調整パラメーターを保持してもよい。すなわち、異なる第1周波数や第1レベルの組み合わせを、複数の調整パラメーターとして保持する。一例として、イコライザー26は、接続される本体12bがスピーカーホンである本体12bsであるときに適したスピーカーホン向け調整パラメーターと、接続される本体12bがウェアラブル通話端末である本体12bwであるときに適したウェアラブル通話端末向け調整パラメーターとを保持する。
【0047】
図42は、一例として、本体12aと本体12bとの間の音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が物理的なケーブルである例を示す。本体12b(本体12bs及び本体12bw)は音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41としてのケーブルCを備える。本体12aは、本体12bのケーブルCを接続する端子Tを備える。通話システム10の使用者は、本体12bsと本体12bwのいずれかのケーブルを端子Tに接続することにより、本体12bsと本体12bwの使い分けができる。
【0048】
ボイススイッチ24は、上述したボイススイッチ54の動作と同様に、所定の条件に応じて、複数の動作パラメーターの中から使用する動作パラメーターを切り替える。一例として、ボイススイッチ24は、スイッチ25による操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかの検出に応じて、スピーカーホン向け動作パラメーター又はウェアラブル通話端末向け動作パラメーターを選択して使用し、マイク20の入力音声の出力のオン/オフを行う。
図42に示したようにケーブルCを介して本体12bと本体12aとを接続する場合、本体12aは、端子Tに本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかを判定し、判定結果に応じて動作パラメーターを切り替えるとよい。すなわち、例えば、本体12bsのインピーダンスと本体12bwのインピーダンスとの違いを利用し、本体12aは端子Tに接続された本体12bのインピーダンスを測定する測定手段を備え、所定の閾値以上のインピーダンスが測定されたときは本体12bwが接続されたと判定し、所定の閾値よりも低いインピーダンスが測定されたときは本体12bsが接続されたと判定するとよい。
【0049】
イコライザー26は、所定の条件に応じて、複数の調整パラメーターの中から使用する調整パラメーターを切り替える。一例として、イコライザー26は、スイッチ27の操作に応じて調整パラメーターを切り替える。スイッチ27は、イコライザー26の調整パラメーターを手動で変更するための変更手段である。スイッチ27は、ディップスイッチ等の手動スイッチであり、通話システム10のユーザーによって操作される。スイッチ27は、イコライザー26に接続されており、イコライザー26は、スイッチ27の操作に応じて調整パラメーターを変更する(例えば、スイッチ27の操作に応じてスピーカーホン向け調整パラメーター又はウェアラブル通話端末向け調整パラメーターを選択して使用する)。一例として、イコライザー26は、本体12aに本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかを検出して、本体12bsが接続されていることを検出したときはスピーカーホン向け調整パラメーターを選択し、本体12bwが接続されていることを検出したときはウェアラブル通話端末向け調整パラメーターを選択する。
図42に示したようにケーブルCを介して本体12bと本体12aとを接続する場合、本体12aの端子Tに本体12bsと本体12bwのいずれが接続されているかを判定し、判定結果に応じて調整パラメーターを切り替えるとよい。例えば、本体12bsのインピーダンスと本体12bwのインピーダンスとの違いを利用し、本体12aは端子Tに接続された本体12bのインピーダンスを測定する測定手段を備え、所定の閾値以上のインピーダンスが測定されたときは本体12bwが接続されたと判定し、所定の閾値よりも低いインピーダンスが測定されたときは本体12bsが接続されたと判定するとよい。
【0050】
また、ボイススイッチ24におけるスピーカーホン向け動作パラメーターとイコライザー6におけるスピーカーホン向け調整パラメーターとが一体として組み合わせて保持され(スピーカーホン向け組み合わせ)、ボイススイッチ24におけるウェアラブル通話端末向け動作パラメーターとイコライザー26におけるウェアラブル通話端末向け調整パラメーターとが一体として組み合わせて保持されていてもよい(ウェアラブル通話端末向け組み合わせ)。上述したようにスイッチ操作に応じて、又は本体12bsと本体12bwのいずれが本体12aに接続されているかの検出に応じて、スピーカーホン向け組み合わせ又はウェアラブル通話端末向け組み合わせが選択される。スピーカーホン向け組み合わせが選択されると、ボイススイッチ24は、スピーカーホン向け動作パラメーターを用いてマイク20の入力音声の出力オン/オフを行うとともに、イコライザー26は、スピーカーホン向け調整パラメーターを用いてマイク20の入力音声の周波数特性を調整する。一方、ウェアラブル通話端末向け組み合わせが選択されると、ボイススイッチ24は、ウェアラブル通話端末向け動作パラメーターを用いてマイク20の入力音声の出力オン/オフを行うとともに、イコライザー26は、ウェアラブル通話端末向け調整パラメーターを用いてマイク20の入力音声の周波数特性を調整する。
【0051】
通話システム10において、複数の本体12を用いて一対一の通話だけでなく、一対多又は多対多の通話を行えるようにしてもよい。すなわち、1つ以上の本体12aと1つ以上の本体12bとを接続して通話が行えるようにするとよい。一例として、音声信号を分配するスプリッターを用いて一対多又は多対多の通話を行えるようにしてもよい。
図43は、スプリッター75の一例を示す図である。スプリッター75は、信号入出力のための端子を複数備え、一つの端子から入力された信号を他の全ての端子から出力する信号分配器である。
図43に示す例では、スプリッター75は3つの端子(端子T11~端子T13)を備える。
【0052】
図44は、
図11~12に示すように本体12とアンプ装置50とが別体である構成においてスプリッター75を用いる例を示す。
図44に示す例では、2台のスプリッター75(75-1、75-2)を用いている。アンプ装置50の端子T1とスプリッター75-1の端子T11を接続し、スプリッター75-1の端子T12と一台目の本体12a(本体12a―1)と接続し、スプリッター75-1の端子T13と二台目の本体12a(本体12a―2)とを接続する。スプリッター75-1を介して、アンプ装置50と本体12a―1との間に音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が形成され、スプリッター75-1を介して、アンプ装置50と本体12a―2との間に音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が形成される。また、アンプ装置50の端子T2とスプリッター75-2の端子T11を接続し、スプリッター75-2の端子T12と一台目の本体12b(本体12b-1)と接続し、スプリッター75-2の端子T13と二台目の本体12b(本体12b-2)とを接続する。スプリッター75-2を介して、アンプ装置50と本体12b-1との間に音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が形成され、スプリッター75-2を介して、アンプ装置50と本体12b―2との間に音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が形成される。この構成によって、二台の本体12aと二台の本体12bとの間で多対多通話を行うことができる。また、スプリッター75の一つの端子と別のスプリッター75の一つの端子を接続して数珠つなぎにしていくことで、より多くの本体12同士で多対多通話を行うことができる。
【0053】
図45は、
図13~14に示すように本体12同士が直接接続される構成においてスプリッター75を用いる例を示す。本体12aの端子Tとスプリッター75の端子T11とを接続し、スプリッター75の端子T12と一台目の本体12b(本体12b-1)とを接続し、スプリッター75の端子T13と二台目の本体12b(本体12b-2)とを接続する。スプリッター75を介して、本体12aと本体12b-1との間に音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が形成され、スプリッター75を介して本体12aと本体12b-2との間に音声伝送媒体40及び電力伝送媒体41が形成される。この構成によって、本体12aと二台の本体12bとの間で一対多通話を行うことができる。また、スプリッター75の一つの端子と別のスプリッター75の一つの端子を接続して数珠つなぎにしていくことで、本体12aとより多くの本体12bとの間で一対多通話を行うことができる。
【0054】
上述した構成の他、通話システム10の構成には種々の変更を加えることが可能である。上述した例では、磁石15又は金属部16を設けて本体12を遮蔽材2に直接自立固定するようにした例や、延伸部65と受け部66とを設けて本体12を遮蔽材2に直接自立固定するようにした例等について説明したが、これらに限定されるものではなく、他の手段を用いてもよい。例えば、本体12の背面に両面テープを設けて本体12の背面を遮蔽材2に直接貼り付けるようにしてもよい。
【0055】
このように、スプリッター75を用いることで、通話システム10は、遊園地や映画館の切符売り場、役所や駅の窓口、銀行のカウンター等における応対者4と来訪者3との間の一対一の通話だけでなく、例えば、3人以上での会議や集団面接といった状況での遮蔽材2を挟んだ一対多通話や多対多通話に適用することができる。
【0056】
上述した構成の他、通話システム10の構成には種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図3~6に示す例では、本体12の背面に支持部11を設ける構成となっているが、方向D1やD2と略直交する本体12の上面や側面に支持部11が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 空間
2 遮蔽物
3 応対者(話者)
4 来訪者(話者)
7 孔
10 通話システム
11 支持部
12 本体(スピーカーホン)
15 磁石
16 金属部
17 アクセサリー
20 マイクロホン
21 スピーカー
22 アンプ
23 電源
24 ボイススイッチ
25 スイッチ
26 イコライザー
27 スイッチ
30 マイクロホン
31 スピーカー
32 アンプ
33 電源
40 音声伝送媒体
41 電力伝送媒体
50 アンプ装置
51 アンプ
52 電源
54 ボイススイッチ
55 スイッチ
56 イコライザー
57 スイッチ
60 吸振材又は防振材
65 延伸部
66 受け部
68 プラグ
69 ジャック
70 アクセサリー
71 受け部