(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088564
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】2-ヒドロキシ-6-((2-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-5-イル)-ピリジン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドの合成方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/04 20060101AFI20220607BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220607BHJP
C07C 47/575 20060101ALI20220607BHJP
A61K 31/4439 20060101ALN20220607BHJP
【FI】
C07D401/04
A61P7/06
C07C47/575
A61K31/4439
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022056031
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2018558768の分割
【原出願日】2017-05-11
(31)【優先権主張番号】62/335,583
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515252271
【氏名又は名称】グローバル ブラッド セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョァ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・ガズ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ・イーヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユリーアナ・コクツ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・フリーザー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ペトロス・イアニクロス
(72)【発明者】
【氏名】リアン・リャオ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】鎌状赤血球病などの疾患の治療に有用である、2-ヒドロキシ-6-((2-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-5-イル)-ピリジン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドの合成方法およびそのような方法で使用される中間体を提供する。
【解決手段】化合物(1):
を、式(3):
(式中、LGはアルキル化反応条件下での脱離基である)
と反応させることによる方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I):
(I)
の合成方法であって、
ステップ(i):式(2):
(2)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物を、酸で処理して、化合物(1):
(1)
を提供すること;
ステップ(ii):化合物(1)を式(3):
(3)
[式中、LGは、アルキル化反応条件下での脱離基である]
の化合物と反応させることによって、化合物(I)を提供すること;および
ステップ(iii):任意に、45℃+/-5℃~55℃+/-5℃にて、ヘプタンおよびメチルtert-ブチルエーテルから化合物(I)を結晶化させること;
を含む方法
【請求項2】
式(4):
(4)
の化合物をホルミル化して、式(2):
(2)
[式(2)および(4)の化合物における、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(5):
(5)
の化合物を、弱酸の存在下、式:CHR
1=CHOR
2のビニルエーテル(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよい3,4-ジヒドロ-2H-ピランと反応させて、式(4):
(4)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物を提供することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物(4)を、インサイチュでホルミル化剤で処理して、化合物(2)を提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
化合物(2)を、インサイチュで酸で処理して、化合物(1)を提供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
化合物(1)を、45℃±5℃~55±5℃にてへプタンおよびメチルtert-ブチルエーテルから結晶化して、13.37°、14.37°、19.95°または23.9±0.2° 2θの1つ以上におけるX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンによって特徴付けられる実質的に純粋な形態IIで化合物(I)を得る、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
化合物(I)を、45℃~55℃にて結晶化して、少なくとも95重量%の化合物(I)が、形態IIである化合物(I)を得る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
LGが、クロロである、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
Rが、-CH(CH3)-O-CH2CH3である、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
R基の除去のための酸が、無機酸である、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
酸が、塩酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
LGが、クロロであり、アルキル化反応が、重炭酸ナトリウムおよび触媒量のNaIの存在下、N-メチル-2-ピロリジノン中で行われる、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
LGが、クロロであり、アルキル化反応が、重炭酸ナトリウムおよび触媒量のNaIの存在下でN-メチル-2-ピロリジノン中で行われ、化合物(I)が、40℃~50℃にて、水の添加によって反応混合物から結晶化されて、12.82°、15.74°、16.03°、16.63°、17.60°、25.14°、25.82°および26.44°±0.2° 2θの1つ以上におけるX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンによって特徴付けられる実質的に純粋な形態Iが得られる、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
LGが、クロロであり、アルキル化反応が、重炭酸ナトリウムおよび触媒量のNaIの存在下でN-メチル-2-ピロリジノン中で行われ、化合物(I)が、40℃~46℃にて、水の添加によって反応混合物から結晶化されて、12.82°、15.74°、16.03°、16.63°、17.60°、25.14°、25.82°および26.44°±0.2° 2θの1つ以上におけるX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンによって特徴付けられる少なくとも95重量%の形態Iである化合物(I)が得られる、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
弱酸が、ピリジニウムトシレートである、請求項3~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
ホルミル化剤が、n-BuLiおよびDMFである、請求項2~15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
式(2):
(2)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)である]
の中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月12日出願の米国仮出願第62/335,583号に対する優先権を主張し、上記出願の開示の全体およびすべての目的は、参照することにより本出願に包含される。
【0002】
技術分野
2-ヒドロキシ-6-((2-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-5-イル)-ピリジン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(本明細書において、化合物(I)とも称する)の合成方法およびそのような方法で使用される中間体を開示する。化合物(I)は、ヘモグロビンに結合し、その酸素親和性を増加させ、したがって、鎌状赤血球病などの疾患の治療に有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
化合物(I)は、国際公開第WO2013/102142号の実施例17に開示されている。化合物(I)は、ヘモグロビンに結合し、その酸素親和性を増加させ、したがって、鎌状赤血球病などの疾患の治療に有用であり得る。
【0004】
一般に、化合物が治療剤、または治療剤の一部として適切であるためには、化合物の合成は、大規模な製造および単離への修正が可能でなければならない。大規模な製造および単離は、化合物の物理的特性および純度に影響を与えてはならず、製剤化された有効成分のコストまたは有効性に悪影響を及ぼすべきでもない。したがって、製造および分離のスケールアップは、これらの目標を達成するために多大な努力を必要とすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概略
化合物(I)は、各ヒドロキシル部分が、たとえば、メチルまたはメトキシメチルなどの非分枝の直鎖アルキルまたはアルコキシアルキルで保護されている2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド(化合物1)で出発する特定の方法によって合成されている。アルデヒド基の導入後、ヒドロキシル基の脱保護のさまざまな方法を用いて、化合物(I)の合成および製造に用いた化合物(1)を合成した。しかしながら、使用される脱保護方法は、ヒドロキシ基の脱保護に使用される条件に部分的に起因する、化合物(1)の望ましくない重合および分解反応をもたらす。望ましくない副産物は、化合物(I)の収率が低い複雑な混合物を生じ、治療剤の一部としての使用に許容される程度に化合物(I)を精製するために多大な努力を要し、したがって、上記方法を、化合物(I)の商業的規模の合成にとって非実用的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
保護基シーケンスと緩やかな反応条件を用いて、不要な重合反応や分解反応を抑制し、商業スケールで化合物(I)を合成できるようにする様式で、化合物(1)が得られる、化合物(I):
(I)
の合成方法を以下に示す。
【0007】
1つの態様では、化合物(1):
(1)
の合成方法であって、
ステップ(i):式(2):
(2)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物を、酸で処理して、化合物(1)を提供すること;
ステップ(ii):任意に、化合物(1)を式(3):
(3)
[式中、LGは、アルキル化反応条件下での脱離基である]
の化合物と反応させることによって、化合物(1)を化合物(I):
(I)
に変換すること;および
ステップ(iii):任意に、40+/-5℃~55 +/-5℃、好ましくは、45+/-5℃~55+/-5℃にて、ヘプタンおよびメチルtert-ブチルエーテルから化合物(I)を結晶化させること;
を含む方法が提供される。
【0008】
本明細書に記載される態様1の実施態様および下位実施態様を含む、第1の態様のステップ(i)および(ii)を順に実施し、それにより化合物(I)を合成することを含む、化合物(I)の合成方法がさらに提供される。本明細書に記載される態様1の実施態様および下位実施態様を含む、第1の態様のステップ(i)、(ii)および(iii)を順に実施し、それにより化合物(I)を合成することを含む、化合物(I)の合成方法がさらに提供される。
【0009】
第2の態様では、式(2):
(2)
の化合物の合成方法であって、
式(4):
(4)
[式(2)および(4)の化合物における、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物をホルミル化して、上記の式(2)の化合物を提供することを含む方法が提供される。
【0010】
第3の態様では、式(4):
(4)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物の合成方法であって、
式(5):
(5)
の化合物を、弱酸の存在下、式:CHR
1=CHOR
2のビニルエーテル(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよい3,4-ジヒドロ-2H-ピランと反応させて、上記の式(4)の化合物を提供することを含む方法が提供される。
【0011】
第4の態様では、化合物(1):
(1)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の合成方法であって、
ステップ(a):式(5):
(5)
の化合物を、弱酸の存在下、式:CHR
1=CHOR
2のビニルエーテル(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよい3,4-ジヒドロ-2H-ピランと反応させて、式(4):
(4)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物を提供すること;
ステップ(b):化合物(4)をインサイチュでホルミル化剤で処理して、式(2):
(2)
の化合物を提供すること;
ステップ(c):式(2)の化合物をインサイチュで酸で処理して、上記の化合物(1)を提供すること;
ステップ(d):任意に、化合物(1)を式(3):
(3)
[式中、LGは、アルキル化反応条件下での脱離基である]
の化合物と反応させることによって、化合物(1)を化合物(I):
(I)
に変換すること;および
ステップ(e):任意に、40+/-5℃~55 +/-5℃、好ましくは、45+/-5℃~55+/-5℃にて、ヘプタンおよびメチルtert-ブチルエーテルから化合物(I)を結晶化させること;
を含む方法が提供される。
【0012】
さらに、本明細書に記載の態様4の実施態様および下位実施態様などの、第4の態様のステップ(a)、(b)および(c)、または(b)および(c)を順に実施することを含む、化合物(I)の合成方法が提供される。さらに、本明細書に記載の態様4の実施態様および下位実施態様などの、第4の態様のステップ(a)、(b)、(c)および(d)、または(b)、(c)および(d)を順に実施することを含む、化合物(I)の合成方法が提供される。さらに、本明細書に記載の態様4の実施態様および下位実施態様などの、第4の態様のステップ(a)、(b)、(c)、(d)および(e)、または(b)、(c)、(d)および(e)を順に実施することを含む、化合物(I)の合成方法が提供される。1つの実施態様では、第1および第4の態様は、さらに、本明細書に記載の第7の態様で提供される中間体化合物(6)から化合物(3)を合成することを含む。
【0013】
さらに、第5の態様では、式(4):
(4)
[式中、各Rは、1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物の中間体が提供される。
第6の態様では、式(2):
(2)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の中間体が提供される。
【0014】
第7の態様では、化合物(6):
(6)
の合成方法であって、式:
[式中、R
3およびR
4は独立してアルキルであるか、または一緒になって-(CR’R”)
2を形成し、ここでR’およびR”は独立してアルキルである]
の化合物を、式:
[式中、Xは、有機/水性反応混合物中のパラジウム触媒および塩基の存在下で、ハロまたはトリフラートである。]
のホウ酸化合物と反応させること;
を含む方法が提供される。
【0015】
上記の態様は、非限定的な実施態様を例示することを意図する以下の詳細な説明および実施例を参照することにより、より十分に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】化合物(I)の結晶形態IについてのXRPDパターンである。
【
図2】化合物(I)の結晶形態IIについてのXRPDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な記載
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される以下の用語は、本出願の目的のために定義され、以下の意味を有する:
【0018】
「アルキル」は、1~6個の炭素原子の直鎖飽和一価炭化水素基または3~6個の炭素原子の分枝飽和一価炭化水素基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルなどを意味する。
【0019】
「任意の」または「任意に」とは、その後に記載される事象または状況が生じうるが、必ずしもそうである必要はないことを意味し、その記載は、事象または状況が起こる場合と、起こらない場合を包含する。たとえば、「任意に、化合物(I)をヘプタンおよびメチルtert-ブチルエチルから結晶化させる」とは、結晶化を行うことができるが、必ずしも行う必要はないことを意味する。
【0020】
本明細書で用いる「約」は、所定の量または範囲が、他に示されない限り、実験誤差内に入る範囲または量の逸脱を含むことを意味する。
【0021】
本明細書で多形形態に関連して使用される「実質的に純粋な」は、化合物の少なくとも70重量%が所与の多形形態として存在する化合物(I)などの化合物を意味する。たとえば、「化合物(I)が、実質的に純粋な形態IまたはIIである」という語句は、化合物(I)の少なくとも70重量%が、それぞれ形態IまたはIIである化合物(I)の固体状態形態を意味する。1つの実施態様では、少なくとも80重量%の化合物(I)が、それぞれ形態IまたはIIである。1つの実施態様では、少なくとも85重量%の化合物(I)が、それぞれ形態IまたはIIである。1つの実施態様では、少なくとも90重量%の化合物(I)が、それぞれ形態IまたはIIである。1つの実施態様では、少なくとも95重量%の化合物(I)が、それぞれ形態IまたはIIである。1つの実施態様では、少なくとも99重量%の化合物(I)が、それぞれ形態IまたはIIである。
【0022】
実施態様:
(a) 実施態様(a)では、第1の態様の方法は、さらに、式(4):
(4)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物をホルミル化して、式(2):
(2)
の化合物を提供することを含む
【0023】
実施態様(a)の第1の下位実施態様では、各Rは同じである。第2の下位実施態様では、テトラヒドロピラン-2-イル部分は置換されない。実施態様(a)の第3の下位実施態様では、テトラヒドロピラン-2-イル部分は、1、2または3個のアルキルで置換される。
【0024】
(b) 実施形態(b)では、実施態様(a)の方法はさらに、化合物(5):
(5)
を弱酸の存在下、-CHR
1=CHOR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換された3,4-ジヒドロ-2H-ピランと反応させて、式(4):
(4)
[式中、各Rは、-CH(CH
2R
1)-OR
2(ここで、R
1は水素またはアルキルであり、R
2はアルキルである)または1、2または3個のアルキルで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2-イルである]
の化合物を提供することを含む。
【0025】
実施態様(b)の下位実施態様では、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン部分は、非置換である。実施態様(b)のもう1つの下位実施態様では、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン部分は、1、2または3個のアルキルで置換される。
【0026】
(c) 実施態様(c)では、第1の態様、ステップ(i)、第4の態様、ステップ(c)および実施態様(a)および(b)の方法は、R基の除去に使用される酸が、有機または無機酸である方法である。実施態様(c)の第1の下位実施態様では、酸は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、またはエタンスルホン酸である方法である。実施態様(c)の第2の下位実施態様では、酸は、塩酸である。実施態様(c)の第3の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は、約4、3、2、または1未満のpHで行われる。実施態様(c)の第4の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は、約1~約3のpHで行われる。実施態様(c)の第5の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は、1より大きいpHで行われる。実施態様(c)の第6の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は、1未満のpHで行われる。実施態様(c)の第7の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、化合物(2)をインサイチュで有機または無機酸で処理して化合物(1)を合成する。実施態様(c)の第8の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテルまたはジオキサンなどの有機溶媒中で行われる。実施態様(c)の第9の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中で行われる。実施態様(c)の第10の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、反応は30℃±5℃未満の温度で行われ、好ましくは、反応は、約20℃未満の温度で行われる。実施態様(c)の第11の下位実施態様(その中に含まれる下位実施態様および実施態様を含む)では、脱保護は、以前の合成経路より短時間で行われる。短縮された脱保護時間は、本明細書に記載の中間体化合物(1)および/または(2)の重合または分解を減少させることができる。
【0027】
(d) 実施態様(d)では、第1および第4の態様、実施態様(a)、(b)および(c)、ならびにそれらに含まれる下位実施態様の方法は、LGが、クロロ、ブロモ、トシレート、メシレートまたはトリフレートである方法である。LGは、クロロでありうる。実施態様(d)の第1の下位実施態様では、LGは、クロロであり、反応は、非求核性有機塩基(炭酸水素ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの弱無機塩基の存在下、ピリジン、トリメチルアミン、N-メチル-2-ピロリドン、ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で行われる。実施態様(d)の第2の下位実施態様では、弱無機塩基は、重炭酸ナトリウムである。実施態様(d)の第3の下位実施態様では、LGは、クロロであり、反応は、ピリジンおよび重炭酸ナトリウムなどの弱無機塩基の存在下で行われる。実施態様(d)の第4の下位実施態様ならびにそれに含まれる下位実施態様および実施態様では、反応は、N-メチル-2-ピロリジノン中で行われる。実施態様(d)の第5の下位実施態様では、LGは、クロロであり、反応は、重炭酸ナトリウムおよび触媒量のNaIの存在下でN-メチル-2-ピロリジノン中で行われる。実施態様(d)の第6の下位実施態様およびそれに含まれる下位実施態様では、反応は、40℃~50℃にて行われる。実施態様(d)の第7の下位実施態様およびそれに含まれる下位実施態様では、反応は、43℃~45℃にて行われる。実施態様(d)の第8の下位実施態様およびそれに含まれる下位実施態様では、反応が完了した後、反応混合物を水で処理し、次いで、化合物(I)の形態Iとともに40℃~50℃、好ましくは40℃~46℃にて播種して、実質的に純粋な形態Iとして、化合物(I)を得る(好ましくは化合物(I)は少なくとも95重量%が純粋な形態Iである)。
【0028】
(e) 実施態様(e)では、第1の態様、ステップ(iii)、第4の態様、ステップ(e) および実施態様(a)、(b)、(c)および(d)、ならびにそれらに含まれる下位実施態様の方法は、化合物(I)の結晶化が、45±5℃~55±5℃または45℃から55℃にて行われ、溶媒が、n-ヘプタンおよびメチルtert-ブチルエーテルであり、実質的に純粋な化合物(I)の形態IIを提供する方法である。1つの実施態様では、化合物の少なくとも95重量%が形態IIである。1つの実施態様では、化合物の少なくとも98重量%が形態IIである。1つの実施態様では、化合物の少なくとも99重量%が形態IIである。
【0029】
(f) 実施態様(f)では、第1、2、3、4、5および6の態様、実施態様(a)-(e)、ならびにそれらに含まれる下位実施態様の方法は、各Rが、-CH(CH3)-O-CH2CH3、-CH(C2H5)-O-CH2CH3である方法である。(g)の1つの実施態様では、各Rは、-CH(CH3)-O-CH2CH3である。
【0030】
(g) 実施態様(g)では、第1、2、3、4、5および6の態様、実施態様(a)-(e)、ならびにそれらに含まれる下位実施態様の方法は、各Rが、1または2個のメチルで任意に置換されたテトラヒドロピラン-2-イルである方法である。(g)の第1の実施態様では、Rは、(g)の第1の実施態様では、各Rは、1個のメチルで置換されたテトラヒドロフラン-2-イルである。
【0031】
(h) 実施態様(h)では、第3および4の態様、実施態様(a)-(e)、ならびにそれらに含まれる下位実施態様の方法は、化合物(5)の式(4)の化合物への変換に使用される酸が、p-トルエンスルホン酸またはピリジニウムトシレートなどの弱酸である方法である。実施態様(h)の第1の下位実施態様では、酸は、ピリジニウムトシレートである。
【0032】
(i) 実施態様(i)では、第2および4の態様、ステップ(b)、実施態様(a)-(i)、ならびにそれらに含まれる下位実施態様の方法は、ホルミル化剤が、n-BuLiおよびDMF、またはn-ホルミルモルホリンである方法である。実施態様(i)の第1の下位実施態様では、ホルミル化剤は、n-BuLiおよびDMFである。実施態様(i)の第2の下位実施態様では、反応は、THF中で行われる。
【0033】
(j) 実施態様(j)では、第7の態様の方法は、パラジウム触媒が、ジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)またはそのジクロロメタン付加物である方法である。実施態様(j)の第1の下位実施態様では、R3およびR4は一緒になって、-C(CH3)2-C(CH3)2-を形成し、Xはハロである。実施態様(j)の第1の下位実施態様を含む、実施態様(j)の第2の下位実施態様では、R3およびR4は一緒になって、-C(CH3)2-C(CH3)2-を形成し、Xはクロロである。
【0034】
(k) 実施態様(j)では、第5および6の態様の中間体は、各Rが、-CH(CH3)-O-CH2CH3である中間体である。
【0035】
(l) 実施態様(l)では、第5および6の態様の中間体は、各Rが、テトラヒドロピラン-2-イルである中間体である。
【0036】
化合物(I)の形態Iは、12.94°、15.82°、16.11°、16.74°、17.67°、25.19°、25.93°および26.48°±0.2° 2θの1つ以上でのX線粉末回折ピーク(CuKα放射線)を含むXRPDパターンによって特徴付けることができる。1つの実施態様では、化合物(I)の形態Iは、
図1と実質的に類似したX線粉末回折パターン(CuKα放射線)によって特徴付けることができる。もう1つの実施態様では、化合物(I)の遊離塩基の形態Iは、12.94°、15.82°、16.11°、16.74°、17.67°、25.19°、25.93°および26.48°(それぞれ±0.2° 2θ)から選択される少なくとも2つのX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。もう1つの実施態様では、化合物(I)の形態Iは、12.94°、15.82°、16.11°、16.74°、17.67°、25.19°、25.93°および26.48°(それぞれ±0.2° 2θ)から選択される少なくとも3つのX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。もう1つの実施態様では、形態Iは、化合物(I)の形態IのXRPDピーク位置および主要なXRPDピークの相対強度を列挙する以下の表1に示すように、1、2、3、4、またはそれ以上を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0037】
【0038】
化合物(I)の形態IIは、13.44°、14.43°、19.76°、23.97°±0.2° 2θの1つ以上でのX線粉末回折ピーク(CuKα放射線)を含むXRPDパターンによって特徴付けることができる。もう1つの実施態様では、化合物(I)の形態IIは、
図2と実質的に類似したX線粉末回折パターン(CuKα放射線)によって特徴付けることができる。もう1つの実施態様では、化合物(I)の形態IIは、13.44°、14.43°、19.76°、23.97°(それぞれ±0.2° 2θ)から選択される少なくとも2つのX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。もう1つの実施態様では、化合物(I)の形態IIは、13.44°、14.43°、19.76°、23.97°(それぞれ±0.2° 2θ)から選択される少なくとも3つのX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。もう1つの実施態様では、化合物(I)の形態IIは、13.44°、14.43°、19.76°、23.97°(それぞれ±0.2° 2θ)から選択されるX線粉末回折ピーク(CuKα線)を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0039】
もう1つの実施態様では、形態IIは、化合物(I)の形態IIのXRPDピーク位置および主要なXRPDピークの相対強度を列挙する以下の表2に示すように、1、2、3、4、またはそれ以上を含むXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0040】
【0041】
本明細書に記載の方法は、製造規模の合成(たとえば、少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、20、25、50、100、またはそれ以上のkg量)で化合物(I)を合成するために使用することができる。本明細書に記載の方法は、化合物(I)の物理的性質、純度、有効性、それらの組み合わせ、またはそれらの全てを保持する大規模合成(たとえば、少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、20、25、50、100、またはそれ以上のkg量)に有用でありうる。
【0042】
本明細書に記載の方法は、驚くべきことに、化合物(1)の重合を減少させ、驚くべきことに、化合物(I)の合成中の重合中間体を減少させる。1つの実施態様では、重合は、本明細書に記載の従来の合成経路と比較して、少なくとも5%、10%、20%、25%、50%、75%、80%、90%、95%またはそれ以上まで減少されうる。
【0043】
本明細書に記載の方法は、驚くべきことに、化合物(1)の合成(および脱保護)中の分解反応を減少させる。分解反応は、本明細書に記載の以前の合成経路と比較して、少なくとも5%、10%、20%、25%、50%、75%、80%、90%、95%またはそれ以上まで減少されうる。本明細書に記載の方法は、化合物(I)の最終生成物の純度は、本明細書に記載の以前の合成経路と比較して、少なくとも5%、10%、20%、25%、50%、75%、80%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上まで増加されうる。
【0044】
XRPD分析:
CuKα線(Kα1(Å):1.540598、Kα2(Å):1.544426、Kα2/Kα1強度比:0.50、45kV、40mAでの管設定)の入射ビームを用いて、PANalytical X'Pert3 X線粉末回折計でXRPDパターンを収集した。反射モードでのステップサイズ50秒/ステップサイズ0.0263(°2Θ)で3~40(° 2θ)の連続スキャンモードを使用した。回折計は対称Bragg-Brentanoジオメトリを用いて構成された。データ収集は、Data Collectorバージョン(登録商標)4.3.0.161およびHighscore Plus(登録商標)バージョン3.0.0を使用した。
【実施例0045】
2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド(化合物(1))の合成
ステップ1:
【0046】
不活性ガス保護下でテトラヒドロフラン(700mL)をレゾルシノール(170g、1.54mol、1当量)に添加し、続いて、ピリジニウムトシレート(3.9g、15.4mmol、0.01当量)、THF 65mLを添加し、反応混合物を0~5℃に冷却した。1~1.5時間以内に、5℃以下の温度を維持しながらエチルビニルエーテル(444mL、4.63mol、3.0当量)を添加した。添加が完了した後、反応混合物を1.5時間以内に室温に到達させた。反応物を一晩撹拌し、10~15℃に冷却し、510mLの1/2塩を加えた。反応液を20℃以下に保ちながらNaHCO3を加えた。相を分離した。有機相を425mLの水で1回、12.5%NaCl溶液425mLで1回洗浄し、蒸発させ、THFと共沸させて、ビス-EOE保護レゾルシノール(401.2g、1.55mol、未補正102%)を無色透明から黄色の油状物で得た。
【0047】
ステップ2:
6Lガラス容器に、不活性ガス保護下で、ビス-EOE保護レゾルシノール(390g、実量:398.6g =1.53mol、1当量、100%変換率に補正)を加え、THF(1170mL)を添加した。反応混合物を-10℃~-5℃に冷却し、n-BuLi(625mL、ヘプタン中2.7M、1.687mol、1.1当量)を加えた。反応混合物を-5℃~0℃にて30~40分間撹拌し、次いで、-10℃~-5℃にて開始して、DMF(153.4mL、1.99mmol、1.3当量)を添加した。反応混合物を完了するまで撹拌し、次いで、1N HCl/EtOAcを加えて反応を停止させた。とりわけ、EOE基による保護が、副生成物を少なくするだけでなく、ホルミル化反応の速度を上げて、2,6-ビス(1-エトキシエトキシ)ベンズアルデヒド(化合物(2))を提供するように見えることも見出された。
【0048】
混合物を後処理し、相分離させ、水性相をMTBEで洗浄した。水性洗浄して塩を除去した後、有機相をニートオイルに濃縮して化合物(2)を黄色油状物として得た(ほぼ定量的)。
【0049】
バッチ調製は、溶媒交換を用いて行われ、より良好な純度および収率で、化合物(I)を合成するための他の既知の方法より速く完了した。脱保護シーケンスは、化合物(2)のインサイチュでの使用を可能にした。
【0050】
ステップ3:
ステップ2の反応液に、温度を20℃未満に維持しながら、1N HCl(1755mL)を添加した。溶液のpHを、6M HClでpH=0.7~0.8に調整した。反応混合物を16時間撹拌した。反応が完了した後、有機相を分離し、1560mLのメチルtert-ブチルエーテルを添加した。有機相を1170mLの1N HClで1回、780mLの1/2塩で1回洗浄した。NaCl溶液および780mLの水で1回洗浄し、次いで、~約280mLの容量に濃縮する。この溶液に780mLのメチルtert-ブチルエーテルを添加し、再び280mLに濃縮した[温度<45℃、減圧]。スラリーに780mLのアセトニトリルを添加し、溶液をT<45℃にて真空下で濃縮して、約280mLの最終体積にした。スラリーを加熱して固体を再溶解させた。溶液をゆっくりと室温に冷却し、60~65℃にて播種して生成物の結晶化を開始させた。スラリーを-20℃~-15℃に冷却し、この温度で1~2時間攪拌した。生成物をろ過により単離し、DCM(予め-20℃~-15℃に冷却)で洗浄し、窒素気流下で乾燥して、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを黄色固体として得た。収量:138.9g(1.00mol、65.6%)。
【0051】
実施例1A
2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド(化合物(1))の別合成
ステップ1:
適切な反応器中、窒素下、テトラヒドロフラン(207L)をレゾルシノール(46kg、0.42kmol、1当量)に添加し、次いで、ピリジニウムトシレート(1.05kg、4.2mol、0.01当量)を添加し、反応混合物を0~5℃まで冷却した。温度≦5℃を維持しながら、エチルビニルエーテル(90.4kg、120.5L、125kmol、3.0当量)を1~1.5時間のうちに添加した。添加が完了した後、反応混合物を1.5時間以内に室温に到達させた。反応液を一晩攪拌し、10-15℃に冷却し、反応液を20℃以下に保ちながら、4%NaHCO
3水溶液138Lを加えた。相を分離した。有機相を115Lの水で1回、125.2kgの12.5%NaCl溶液で1回洗浄した。有機層を、THFとの共沸蒸留により水分含有量<0.05%(重量比)まで乾燥させて、THF中の溶液として、ビス-EOE-保護レゾルシノール(106.2kg、0.42kmol)を得た。以前に報告された保護手順に対する利点は、ビス-EOE保護レゾルシノール生成物が、ニート生成物として単離する必要がないことである。生成物含有THF溶液は、次の反応工程で直接使用することが可能であり、したがって、スループットが向上し、不純物形成が減少する。
【0052】
ステップ2:
ビス-EOE保護レゾルシノール溶液(仮定は100%変換率である)を不活性ガス保護下で適当な反応器に加えた。反応混合物を-10℃~-5℃に冷却し、n-BuLi(117.8kg、ヘプタン中25%、1.1当量)を添加した。反応混合物を-5℃~0℃にて30~40分間攪拌し、次いで、-10℃~-5℃にてDMF(39.7kg、0.54kmol、1.3当量)を添加した。反応混合物を完了するまで撹拌し、次いで、HCl水溶液(1M、488.8kg)を加えて反応を停止し、2,6-ビス(1-エトキシエトキシ)ベンズアルデヒドを得た。EOE保護基を使用する以前に報告された手順よりも有利な点は、HCl反応停止溶液を脱保護段階で直接使用することができ、2,6-ビス(1-エトキシエトキシ)ベンズアルデヒドをニートオイルとして単離する必要がないことである。
【0053】
ステップ3:
反応を停止した溶液のpHを、HCl水溶液(6M、約95.9kg)で<1に調整し、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応が完了した後、有機相を分離し、279.7kgのメチルtert-ブチルエーテルを添加した。有機相を1N HCl水溶液(299kg)で1回、12.5%NaCl水溶液(205.8kg)で1回、189kgの水で1回洗浄し、次いで、約69Lの体積まで濃縮した。スラリーに164kgのアセトニトリルを加え、溶液をT <45℃にて真空中で濃縮して最終体積約69Lとした。スラリーを加熱して、固体を再溶解させた。この溶液に、60~65℃にて播種して生成物の結晶化を開始させ、8時間かけて室温までゆっくりと冷却した。スラリーを-20℃~-15℃に冷却し、この温度で1~2時間撹拌した。生成物をろ過により単離し、DCM(50.3kg、予め-20℃~-15℃に冷却)で洗浄し、窒素気流下で乾燥して、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒドを黄色固体として得た。収量:37.8kg(0.27kmol、収率65.4%)。記載された脱保護から結晶化へのテレスコープアプローチ(telescoped approach)は、生成物のスループットおよび完全性を増加させる。