(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088583
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ポリ塩化ビニルを塩素化するための方法
(51)【国際特許分類】
C08F 8/20 20060101AFI20220607BHJP
C08F 14/06 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
C08F8/20
C08F14/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057839
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2020004439の分割
【原出願日】2017-03-07
(31)【優先権主張番号】62/305,112
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517443831
【氏名又は名称】オキシ ビニルズ, エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】クラマー キース エス
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー ランス
(72)【発明者】
【氏名】クラウスメイヤー ロドニー エル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリ塩化ビニルの塩素化率を改善する方法を提供する。
【解決手段】下記工程a~cを含むことを特徴とするポリ塩化ビニルの塩素化方法。
a.ポリ塩化ビニル粒子を準備する工程
b.前記ポリ塩化ビニル粒子に対して、塩素化促進剤を配合する工程
c.前記ポリ塩化ビニル粒子と、前記塩素化促進剤と、を短くとも30分間会合させて、前記塩素化促進剤が会合されたポリ塩化ビニル粒子を作成する工程
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニルを塩素化するための方法であって、下記工程a~cを含むことを特徴とするポリ塩化ビニルの塩素化方法。
a.ポリ塩化ビニル粒子を準備する工程
b.前記ポリ塩化ビニル粒子に対して、塩素化促進剤を配合する工程
c.前記ポリ塩化ビニル粒子と、前記塩素化促進剤と、を短くとも30分間会合させて、前記塩素化促進剤が会合されたポリ塩化ビニル粒子を作成する工程
【請求項2】
下記工程dをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビニルの塩素化方法。
d.前記塩素化促進剤が会合した、ポリ塩化ビニル粒子を塩素化する工程であって、膨潤剤が実質的に存在しない状態で塩素化する工程であって、当該膨潤剤として、液状のハロゲン化炭化水素化合物が存在しない状態で塩素化する工程。
【請求項3】
前記塩素化促進剤が会合されたポリ塩化ビニル粒子が、50μm~750μmのメジアン径、0.19cc/g~0.46cc/gの多孔度、及び0.50~1.40dl/gの固有粘度を有することを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビニルの塩素化方法。
【請求項4】
前記工程cが、前記ポリ塩化ビニル粒子と、前記塩素化促進剤と、を短くとも6時間反応させて、会合させることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビニルの塩素化方法。
【請求項5】
ポリ塩化ビニルを塩素化するための方法であって、下記工程a~cを含むことを特徴とするポリ塩化ビニルの塩素化方法。
a.ポリ塩化ビニル粒子の水性懸濁液を準備する工程
b.第1の容器内で、前記ポリ塩化ビニル粒子に対して、塩素化促進剤を配合し、短くとも30分間会合させて、前記塩素化促進剤が会合した、ポリ塩化ビニル粒子を形成する工程であって、50μm~750μmのメジアン径、0.19cc/g~0.46cc/gの多孔度、及び0.50~1.40dl/gの固有粘度を有する、前記塩素化促進剤が会合されたポリ塩化ビニル粒子を形成する工程
c.前記第1の容器と異なる第2の容器に提供し、前記塩素化促進剤が会合されたポリ塩化ビニル粒子につき、前記ポリ塩化ビニル粒子を塩素化させる工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年3月8日に出願された米国仮特許出願第62/305,112号の利益を主張するものであり、同出願は、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、ポリ塩化ビニルを塩素化するための方法に関する。本発明の1つ以上の態様によれば、塩素化反応の前に、ポリ塩化ビニルと塩素化促進剤とを会合させることによって、塩素化率を高める。
【背景技術】
【0003】
塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)は、ポリ塩化ビニルに利点をもたらす。例えば、塩素化ポリ塩化ビニルは、60℃~70℃以上を超える温度の水にも耐久性を示すことができ、このことは、ポリ塩化ビニルの特徴であり、及び、したがって、塩素化ポリ塩化ビニルは、住宅や商業施設における水配管システムのための資材としての用途に好適である。塩素化ポリ塩化ビニルは、多くの化学物質に対しても良好な耐性を示す。
【0004】
塩素化ポリ塩化ビニルを製造するための塩化ビニル樹脂の塩素化は、当該技術分野で周知である。塩素化ポリ塩化ビニルは、ポリ塩化ビニル粒子のフリーラジカル塩素化反応を介して、製造することができる。反応は、急激に開始した反応を介して起こすことができ、塩素ラジカルが、ポリ塩化ビニルに対して付加する。例えば、塩素ガスは、紫外線光によってフリーラジカル塩素に分解することができ、及び、ラジカル塩素は、その後、ポリ塩化ビニル樹脂と反応し、本質的に、ポリ塩化ビニル分子の水素の一部を塩素で置換する。
【0005】
従来技術には、塩素化ポリ塩化ビニルの合成の改善に関する研究がある。例えば、米国特許第2,996,489号は、塩素化炭化水素などの膨潤剤または湿潤剤を使用して、ポリ塩化ビニルポリマー粒子を介して塩素の拡散を改善することを開示している。同様に、米国特許第3,334,077号は、ポリ塩化ビニル樹脂のための有機膨潤剤を含有する水性媒体においてポリ塩化ビニル樹脂を塩素化するための方法であって、塩素化反応が、アクリル酸ポリマーの存在下で行われる方法を開示している。
【0006】
さらに、従来技術は、塩化ビニル樹脂の比較的に緩慢な塩素化率の問題も認識していた。例えば、米国特許第3,100,762号は、膨潤剤の存在下で、かつ、光照射の不在下で、高温度及び高圧力で塩素化を行うことにより、米国特許第2,996,489号において提案されたものよりも迅速に塩素化できることを記載している。酸素が実質的に反応器から除去されているのであれば、所定の温度と圧力の条件下では、触媒または光照射のいずれもが必要とされていない、ことを示唆している。しかしながら、クロロメタン膨潤剤を反応混合物から省いた場合に、これらの反応条件下では、非常に粗悪な塩素化製品が製造される。
【0007】
塩素化率を高めるためのさらなる研究において、米国特許第4,412,898号は、高圧及び高温を採用することで、膨潤剤を使用することなく、水性懸濁液でのポリ塩化ビニル粒子の光塩素化を行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2996489号(特許請求の範囲等)
【特許文献2】米国特許第3334077号(特許請求の範囲等)
【特許文献3】米国特許第3100762号(特許請求の範囲等)
【特許文献4】米国特許第4412898号(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
様々な改善が試行されてきたにもかかわらず、PVCの塩素化率を改善する、との願望が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態は、ポリ塩化ビニルを塩素化するための方法であって、方法は、塩素化促進剤が会合したポリ塩化ビニル粒子を提供し、同粒子が、水に懸濁していること、及び、同粒子に会合した塩素化促進剤を有するポリ塩化ビニル粒子を塩素化することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の方法の1つ以上を示す流れ図である。
【
図2】本発明の方法の1つ以上を示す流れ図であり、ポリ塩化ビニル懸濁液を調製するための下位の実施形態を含み、塩素化促進剤は、ポリ塩化ビニル粒子と会合している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、少なくとも一部分が、塩素とポリ塩化ビニルとを反応させることによって、ポリ塩化ビニルを塩素化するためのプロセスの発見に基づいており、ポリ塩化ビニルは、塩素化促進剤が会合している粒子の形態である。予期せぬことに、まず、ポリ塩化ビニル粒子を塩素化促進剤と会合した時に、塩素化率を改善することが発見された。好都合なことに、塩素化促進剤は、塩素化反応が起こる同じ水性懸濁液で、ポリ塩化ビニル粒子と会合することができる。
【0013】
1.PVC粒子
本発明の実施形態は、本発明の実施形態にしたがって塩素化され得るPVC粒子に限定されない。したがって、本発明の実施は、従来の手順によって製造されたそれらPVC粒子を採用し得る。この点に関連して、米国特許第2,662,867号、同第4,081,248号、同第4,487,899号、同第4,797,443号、同第5,155,189号、同第5,157,076号、及び、同第5,244,995号の内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0014】
1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤が会合している乾燥PVC粒子42は、小さくとも30μm超、他の実施形態において、50μm超、他の実施形態において、70μm超、他の実施形態において、90μm超、他の実施形態において、110μm超、及び、他の実施形態において、130μm超の平均粒径としてのメジアン径によって特徴づけることができる。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、PVC粒子42は、大きくとも900μm未満、他の実施形態において、750μm未満、及び、他の実施形態において、500μm未満のメジアン径によって特徴づけることができる。
したがって、1つ以上の実施形態において、PVC粒子42は、約30~約900μmの範囲内、他の実施形態において、約50~約750μmの範囲内、他の実施形態において、約70~約500μmの範囲内、他の実施形態において、約90~約500μmの範囲内、及び、他の実施形態において、約110~約500μmの範囲内のメジアン径によって特徴づけることができる。
なお、当業者であれば、PVCの平均粒径としてのメジアン径(D50)は、レーザー回折分析によって測定し、決定することができる。
【0015】
1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤が会合している乾燥PVC粒子42は、ASTM D 3367-75に準拠して測定した多孔性を示す値(単位重量当たりの吸着量)によって、それが少なくとも0.18cc/g超、他の実施形態において、0.19cc/g超、及び、他の実施形態において、0.20cc/g超を示す値とすることによって特徴づけることができる。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、PVC粒子42の多孔性を示す値によれば、多くとも0.48cc/g未満、他の実施形態において、0.46cc/g未満、他の実施形態において、0.44cc/g未満、他の実施形態において、0.42cc/g未満、他の実施形態において、0.40cc/g未満、他の実施形態において、0.38cc/g未満、及び、他の実施形態において、0.36cc/g未満の値とすることによって特徴づけることができる。
したがって、1つ以上の実施形態において、PVC粒子42の多孔性を示す値は、約0.18~約0.48の範囲内、他の実施形態において、約0.19~約0.46の範囲内、及び、他の実施形態において、約0.20~約0.44cc/gの範囲内の吸着量によって特徴づけることができる。
【0016】
1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤が会合している乾燥PVC粒子42は、ASTM D 1243-79(1984)によって測定したように、0.46dl/g超、他の実施形態において、0.50dl/g超、及び、他の実施形態において、0.55dl/g超の固有粘度によって特徴づけることができる。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、PVC粒子42は、1.55dl/g未満、他の実施形態において、1.40dl/g未満、及び、他の実施形態において、1.15dl/g未満の固有粘度によって特徴づけることができる。
したがって、1つ以上の実施形態において、PVC粒子42は、約0.46~約1.55dl/gの範囲内、他の実施形態において、約0.50~約1.40の範囲内、及び、他の実施形態において、約0.55~約1.15dl/gの範囲内の固有粘度によって特徴づけることができる。
【0017】
2.プロセス概説
1つ以上の本発明の実施形態が、
図1を参照して説明することができ、そこでは、塩素化促進剤が会合したポリ塩化ビニル粒子(別名、PVC粒子)の水性懸濁液を提供するステップ21を含む塩素化プロセス11が示されている。そして、この懸濁液でのPVC粒子は、次に、後続の塩素化ステップ(塩素化工程)41において塩素化される。
以下に詳述するように、PVC粒子の水性懸濁液を提供するステップ21には、PVC粒子を、水及び促進剤と組み合わせることを含めることができる。
また、他の実施形態において、促進剤と組み合わせたPVC粒子を用いて開始することを含み得る。
ともかく、一旦、促進剤と会合させたPVC粒子を含んでいるPVC粒子の水性懸濁液が準備されれば、PVC粒子は、水性懸濁液に対する塩素化剤44の添加と開始剤48の投入を含む塩素化ステップ41で塩素化される。このようなプロセス処理の結果、塩素化PVC粒子50が得られる。
【0018】
3.PVCの水性懸濁液
本発明の実施形態によると、PVC粒子の水性懸濁液は、水に懸濁したPVC粒子を含む。 1つ以上の実施形態において、水性懸濁液を撹拌することによって、懸濁液を維持する(すなわち、粒子同士が容易に合体することが難しくなっている)。
【0019】
1つ以上の実施形態において、PVC粒子の水性懸濁液は、少なくとも0.9:1、他の実施形態において、少なくとも1.0:1、他の実施形態において、少なくとも1.3:1、及び、他の実施形態において、少なくとも1.5:1のポリマーに対する水の重量比を有する。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、PVC粒子の水性懸濁液は、多くとも20:1、他の実施形態において、多くとも10:1、他の実施形態において、多くとも7:1、及び、他の実施形態において、多くとも5:1のポリマーに対する水の重量比を有する。
したがって、1つ以上の実施形態において、 PVC粒子の水性懸濁液は、約0.9:1~約20:1の範囲内、他の実施形態において、約1:1~約10:1の範囲内、他の実施形態において、約1.3:1~約7:1の範囲内、及び、他の実施形態において、約1.5:1~約5:1の範囲内のポリマーに対する水の重量比を有することが好適である。
【0020】
また、1つ以上の実施形態において、懸濁液のPVC粒子は、小さくとも30μm超、他の実施形態において、50μm超、他の実施形態において、70μm超、他の実施形態において、90μm超、他の実施形態において、110μm超、及び、他の実施形態において、130μm超の平均粒径としてのメジアン径によって特徴づけられる。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、懸濁液のPVC粒子は、大きくとも900μm未満、他の実施形態において、750μm未満、及び、他の実施形態において、500μm未満の平均粒径としてのメジアン径によって特徴づけられる。
したがって、1つ以上の実施形態において、懸濁液のPVC粒子は、約30~約900μmの範囲内、他の実施形態において、約50~約750μmの範囲内、及び、他の実施形態において、約90~約500μmの範囲内の平均粒径としてのメジアン径によって特徴づけられる。
なお、当業者であれば、PVCの平均粒径としてのメジアン径(D50)は、レーザー回折分析によって測定し、決定することができる。
【0021】
1つ以上の実施形態において、PVC粒子それ自体を含むPVC粒子の水性懸濁液は、塩化ビニルモノマーを実質的に欠いている。本明細書において使用したように、実質的に欠いているとは、本発明の組成物またはプロセスに関して明確な影響を与えない量の、または、与えるほどでない塩化ビニルモノマーのことを指す。
1つ以上の実施形態において、PVC粒子の水性懸濁液は、百万重量部のPVC粒子あたり、15未満、他の実施形態において、10未満、及び、他の実施形態において、8未満重量部の塩化ビニルモノマーを含むことができる。
【0022】
上記で示唆したように、塩素化促進剤は、PVC粒子と会合する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、塩素化促進剤は、PVC粒子に吸収及び/または吸着するものと考えられる。1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤は、PVCポリマーまたは粒子とは化学的に結合しない(すなわち、化学的に取り込まれない)。1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤は、PVC粒子から実質的に抽出可能である。
【0023】
PVC粒子に会合した塩素化促進剤の量は、PVC粒子の質量に対する反応促進剤の質量に基づいて定量することができる。
1つ以上の実施形態において、PVC懸濁液に存在する(すなわち、PVC粒子に会合した)促進剤の量は、百万重量部のPVC粒子あたり(PVC粒子の重量に対する重量ppm)、少なくとも50重量部、他の実施形態において、少なくとも500重量部、他の実施形態において、少なくとも750重量部、他の実施形態において、少なくとも1,000重量部、及び、他の実施形態において、少なくとも1,250重量部の反応促進剤であることが好適である。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、PVC懸濁液に存在する促進剤の量は、PVC粒子に対して、多くとも10,000重量ppm、他の実施形態において、多くとも7,500重量ppm、他の実施形態において、多くとも5,000重量ppm、及び、他の実施形態において、多くとも2,500重量ppmであることが好適である。
したがって、1つ以上の実施形態において、PVC懸濁液に存在する促進剤の量は、PVC粒子の重量に対して、約50~約10,000重量ppmの範囲内、他の実施形態において、約500~約7,500重量ppmの範囲内、及び、他の実施形態において、約750~約5,000重量ppmの範囲内であることが好適である。
【0024】
塩素化促進剤として、PVC粒子と会合して、PVC粒子が塩素化したときに、高い塩素化率を提供する化合物を含むことが好ましい。
したがって、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤、別名、塩素処理促進剤とは、非イオン性のオリゴマーまたはポリマーであり、非イオン性のオリゴマーまたはポリマーは脂肪族主鎖、及び/または、エーテル結合主鎖に機能的に結合した水酸基を含有することが好適である。
すなわち、1つ以上の実施形態において、オリゴマーまたはポリマーは、少なくとも10個、他の実施形態において、少なくとも15個、及び、他の実施形態において、少なくとも20個の炭素原子を有する主鎖を含むことが好適である。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、オリゴマーまたはポリマーは、少なくとも1個、他の実施形態において、少なくとも2個、及び、他の実施形態において、少なくとも3個の水酸基を含むことが好適である。
なお、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤は、少なくとも水に容易に溶解することが好適である。
【0025】
また、有用な塩素化促進剤の例は、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルホモポリマー、部分的に加水分解された酢酸ビニル系コポリマーであって、前記酢酸ビニル系コポリマーは酢酸ビニルとコモノマーの酢酸ビニル系コポリマーである、加熱処理して部分的に加水分解したポリ酢酸ビニルホモポリマー、加熱処理して部分的に加水分解された酢酸ビニル系コポリマーであって、前記酢酸ビニル系コポリマーは酢酸ビニルとコモノマーの酢酸ビニル系コポリマーである、ポリエチレングリコール、ポリ(アルキレン)オキサイド(例えば、ポリ(エチレン)オキサイド及びポリ(プロピレン)オキサイド)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、水溶性セルロースエステル等であることが好適である。
【0026】
また、塩素化促進剤は、分子内に不飽和結合を含み得ることができる。
すなわち、当業者は、不飽和結合は、特に、ポリ(酢酸ビニル)の場合において、コモノマーから、または、ポリマーの熱処理を介して、誘導し得るものと理解する。
なお、幾つかの有用な塩素化促進剤は、米国特許第4,226,966号、同第7,070,731号、及び、同第8,222,325号、ならびに、米国公報第2010/0234508号、及び、同第2012/0309880号に開示されており、これらの文献の内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0027】
また、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤(例えば、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル))は、60モル%超の加水分解、他の実施形態において、70モル%超の加水分解、他の実施形態において、72モル%超の加水分解、他の実施形態において、80モル%超の加水分解、他の実施形態において、85モル%超の加水分解、他の実施形態において、90モル%超の加水分解、他の実施形態において、95モル%超の加水分解、及び、他の実施形態において、99モル%超の平均加水分解の程度によって特徴づけられる。
一方、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤(例えば、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル))は、99.5モル%未満の加水分解、他の実施形態において、99モル%未満の加水分解、他の実施形態において、98モル%未満の加水分解、他の実施形態において、95モル%未満の加水分解、他の実施形態において、90モル%未満の加水分解、他の実施形態において、85モル%未満の加水分解、他の実施形態において、80モル%未満の加水分解、及び、他の実施形態において、75モル%未満の平均加水分解の程度によって特徴づけられる。
したがって、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤(例えば、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルは、約60モル%~約99.5モル%の範囲内の加水分解、他の実施形態において、約70モル%~約98モル%の範囲内の加水分解、及び、他の実施形態において、約70モル%~約80モル%の範囲内の平均加水分解の程度を有することによって特徴づけられる。
【0028】
また、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)は、約3~約15重量%の範囲内、及び、他の実施形態において、約5~約12重量%の範囲内のヒドロキシプロポキシル含量を有することによって特徴づけられる。
さらに、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)は、約15~約35重量%の範囲内、及び、他の実施形態において、約18~約30重量%の範囲内のメトキシル含量を有することによって特徴づけられ、その範囲内の値が好適である。
【0029】
また、1つ以上の実施形態において、PVC粒子それ自体を含むPVC粒子の懸濁液は、PVC膨張剤を欠いている、または実質的に欠いている。当業者が理解しているように、本発明の脈絡において、膨張剤は、PVC粒子を溶媒和、膨張、及び/または、開放することができ、それにより、粒子内への物質の拡散を促すそれら化合物を含むことができる。
【0030】
1つ以上の実施形態において、これらの膨張剤は、ハロゲン化炭化水素を含む。
また、膨張剤の好適な具体例としては、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン (クロロホルム)、及び、テトラクロロメタン(四塩化炭素)の少なくとも一つが挙げられる。
なお、用語として、実質的に欠いているとは、本発明の組成物またはプロセスに関して明確な影響を与えない量の、または、与えるほどでない膨張剤のことを意味する。
【0031】
4.PVC粒子の塩素化工程
上記で示したように、塩素化促進剤と会合している懸濁したPVC粒子を、塩素化する塩素化工程を実施する。
この反応は、フリーラジカル塩素化などの従来技術を使用することによって進行し得る。特定の実施形態において、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用する米国特許第4,412,898号に開示された技術などの公知の塩素化技術を利用することができる。
【0032】
例えば、1つ以上の実施形態において、塩素などの塩素化剤を水性媒体に分散させることができ、その中にPVC粒子を同様に分散させる。塩素化剤、または、その誘導体が、吸収または吸着のいずれかによって、PVC粒子と会合しているものと考えられる。PVCと塩素化剤またはその誘導体との間の反応は、化学的、光化学的、または、熱的開始剤などの開始剤の導入によって開始される。例えば、UV光は、塩素をフリーラジカル塩素へと分解し、その後、PVCと反応して、塩素化PVCを生成するものと考えられている。
【0033】
1つ以上の実施形態において、水性PVC懸濁液に対して導入する塩素化剤(例えば、塩素ガス)の量は、PVCの重量に対して導入した塩素の重量に基づいて定量することができる。
すなわち、1つ以上の実施形態において、PVC懸濁液に対して導入する塩素の量は、重量当たり100重量部のPVC粒子につき、少なくとも20重量部、他の実施形態において、少なくとも40重量部、及び、他の実施形態において、少なくとも60重量部の塩素であることが好適である。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、PVC懸濁液に存在する塩素の量は、重量当たり100重量部のPVCにつき、多くとも100重量部、他の実施形態において、多くとも90重量部、及び、他の実施形態において、多くとも80重量部の塩素化剤の量であることが好適である。
したがって、1つ以上の実施形態において、PVC懸濁液に存在する塩素の量は、重量当たり100重量部のPVCにつき、約20~約100重量部の範囲内、他の実施形態において、約40~約90重量部の範囲内、及び、他の実施形態において、約60~約80重量部の塩素化剤の量である。
【0034】
また、塩素化反応を開始するために紫外線光を使用しているそれらの実施形態では、紫外線光は、約2,000~約4、000オングストロームの波長によって特徴づけることができる。
【0035】
また、1つ以上の実施形態において、塩素化反応は、低くとも10℃、他の実施形態において、低くとも20℃、及び、他の実施形態において、低くとも30℃の温度で行われることが好適である。
一方、これらの実施形態、または、他の実施形態において、塩素化反応は、高くとも95℃、他の実施形態において、高くとも80℃、及び、他の実施形態において、高くとも60℃の温度で行われることが好ましい。
したがって、1つ以上の実施形態において、塩素化反応が行われる好適温度は、約10~約95℃の範囲内、他の実施形態において、約20~約80℃の範囲内、及び、他の実施形態において、約30~約60℃℃の範囲内である。
【0036】
5.促進剤とPVC粒子との会合方法
上記したように、塩素化促進剤は、幾つかの技術を利用することによって、PVC粒子と有利に会合し得る。その結果、本発明に関連した有利な恩恵を、複数の経路を介して、享受することができる。
【0037】
1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤を、塩素化反応が行われる水性媒体に対して導入する。換言すれば、塩素化促進剤を、別個かつ個々に、水性媒体に導入する。1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤を、この媒体に懸濁したPVC粒子と会合させる。1つ以上の実施形態において、塩素化反応を、最終的には、この水性媒体において行う。
【0038】
ここで、例えば、
図2を参照すると、プロセス13は、PVC粒子30、水32、及び、塩素化促進剤34を混合させる(すなわち、導入する)ステップ31を含み、それにより、PVC粒子の水性懸濁液38(別名、混合物38のプレ会合懸濁液)を提供する。
これらの実施形態、または、他の実施形態において、ステップ31は、混合させた物質を撹拌する、あるいは、機械的エネルギーを導入することを含み、PVC懸濁液を形成、及び/または、その形成を促す。1つ以上の実施形態において、機械的エネルギーの負荷を継続して、PVCの懸濁状態を維持することができる。
【0039】
また、1つ以上の実施形態において、各々の成分(例えば、PVC粒子及び塩素化促進剤)は、段階的に導入し得る。他の実施形態において、成分は、同時に合わせ得る。なおも他の実施形態において、2つ以上の成分は予め合わせ得る。
例えば、1つ以上の実施形態において、PVC粒子を、水に導入して、プレ反応促進剤PVC懸濁液を形成することができ、及び、次に、塩素化促進剤を、プレ反応促進剤懸濁液に対して、続いて、添加し得る。
【0040】
これらの成分の導入は、例えば、継続撹拌を行う反応器などの反応器を含む、あらゆる適切な容器内で、ならびに、さらに大きな反応槽及び/または貯蔵タンクへと送給し得る様々な管路または供給管内で行い得る。
したがって、上記で示唆したように、1つ以上の実施形態において、成分を混合させて、PVC懸濁液を形成し、そこでは、塩素化反応が行われる同じ容器内でPVC粒子は塩素化促進剤と会合する。他の実施形態において、第1の容器内で、PVC粒子と塩素化促進剤を、混合(合流)させて懸濁液を形成し、次いで、第2の容器内で、塩素化反応を行うことができる。
【0041】
また、1つ以上の実施形態において、塩素化促進剤と、PVC粒子と、を水性媒体に導入し、それにより、プレ会合懸濁液38を形成した後に、塩素化促進剤及びPVC粒子が、会合ステップ37において塩素化反応する前に会合させるのに十分な時間を提供した。
それにより、PVC粒子が促進剤と会合させてなる懸濁液が生成されるが、この懸濁液42は、会合懸濁液または会合混合物と称される場合がある。
【0042】
ここで、会合させるための反応時間は、別名、会合時間と称するが、短くとも10分間、他の実施形態において、短くとも30分間、他の実施形態において、短くとも60分間、及び、他の実施形態において、短くとも6時間である。
したがって、1つ以上の実施形態において、会合時間は、約10分間~約24時間の範囲内、他の実施形態において、約30分間~約12時間の範囲内、及び、他の実施形態において、約1時間~約10時間の範囲内の値であることが好ましい。
【0043】
また、1つ以上の実施形態において、会合時間における温度は、約10~約95℃の範囲内、他の実施形態において、約15~約70℃の範囲内、及び、他の実施形態において、約20~約50℃の範囲内の温度で行われ得る。
また、これらの実施形態、または、他の実施形態において、会合時間における圧力としては、約0.2~約5気圧の範囲内、他の実施形態において、約0.5~約3気圧の範囲内、及び、他の実施形態において、約1~約2気圧の範囲内で行われ得る。
但し、特定の実施形態において、会合時間における温度や圧力は、標準条件の温度及び圧力で行われることになる。
【0044】
上記したように、会合混合物42は、次に、塩素化ステップ41で塩素化されて、塩素化PVC50を効果的に製造することができる。
【0045】
本発明の実施を実証するために、以下の実施例が調製され、そして、試験が行われた。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限縮するものと見るべきではない。特許請求の範囲が、発明を定義する役割を担っている。
【実施例0046】
[実施例1(コントロール)]
実施例1において、約0.235cc/gの多孔性を示す値、約0.665dl/gの固有粘度、及び、約119μmの平均粒径としてのメジアン径(粒径中央値、D50、レーザー回折測定)を特徴とするPVC粒子を準備した後、塩素化反応を実施した。
この実験セクションの目的のために、ASTM D3367-75と同等の技術に準拠して、多孔性を示す値である、単位重量あたりの所定物の吸着量を決定し、また、ASTM D1243-79(1984)と同等の技術を用いて固有粘度を決定し、そして、双方の方法に変更を加えて技術的効率を獲得させた。
【0047】
より具体的には、PVC粒子を、以下の手順によって塩素化して、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)を製造した。
すなわち、30グラムのPVC粒子及び500グラムの蒸留水を、1リットルのガラス製光塩素化反応器に充填した。素早く撹拌して、PVC粒子の水性懸濁液を製造した。
次いで、窒素ガスを、熱式質量流量コントローラを使用して、スラリーに対して夜通し散布をして、システムから酸素を除去した。液体の表面から約2インチ下方で、窒素散布をした。夜通しで窒素散布をした後に、反応器及び内容物を、40℃にまで加熱した。
一旦、温度が安定したら、窒素流を止め、そして、塩素ガスの導入を開始した。
塩素ガスは、スラリーに対して、及び、スラリーを介して、10.3~11.0グラム/時間の速度で散布した。また、液体の表面から約2インチ下方となる位置で、塩素散布をした。
【0048】
次いで、1時間の塩素ガス散布の後に、UVランプを照射して、PVC粒子の塩素化を開始した。UVランプは、液体の表面から約4分の1インチ上方に適切に設置されたジャケット形UVランプとした。450ワットの中圧Ace7825浸漬UVランプで、ランプをしっかり塞いだ。1時間の時間枠に基づいて、紫外線光が照射される前に、水と塩化ビニル樹脂スラリーを、完全に塩素で飽和させた。
【0049】
一方、反応器通気孔を苛性溶液へ向けて散布することによって、溶液からの塩素発生を連続的にモニターした。
あらゆる所定の時点でのPVC粒子と反応した塩素の量は、供給量から通気孔で回収した塩素の量を控除することによって決定した。
【0050】
なお、上述の手順の他の詳細として、以下の手順を含んでいた。
すなわち、恒温槽から出た調節された水は、反応器及びランプウェルジャケットを通って循環させた。通気ガスは、水冷コンデンサーを介して排出されて、あらゆる取り込んだ液体を反応器に戻すことを補助し、次いで、約7%NaOHの水溶液を含有するガス吸収ビンへと送った。重量増加、そして、次に、反応器からの塩素発生率の連続測定が可能なデジタル式実験用秤に、吸収ビンを置いた。そして、反応器をアルミ箔とガラス繊維断熱材で包んだ。
【0051】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。複数の試験から、12.0グラムの塩素が、平均5.67時間、樹脂と反応することを決定した。30.0グラムのポリ塩化ビニルと12.0グラムの塩素との反応は、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂において、64.24%の最終塩素含有量を示した。コントロール試料として、表に記載したように、この塩素化率を、100%基準点とした。
【0052】
【0053】
[実施例2]
実施例2において、5.48重量%の加水分解したポリ(酢酸ビニル)(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する0.57グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例1で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4~1/2インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は無くなっていた。
【0054】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、5.23時間、反応した。
よって、この塩素化率は、表に示した実施例1(コントロール)の塩素化率に対して108%であった。
【0055】
[実施例3(コントロール)]
実施例3において、約0.262cc/gの多孔性を示す値、約0.922dl/gの固有粘度、及び、約129μmのメジアン径を有するPVC粒子を準備し、水に懸濁させ、及び、実施例1で示したのと同様の塩素化手順で塩素化を行った。
【0056】
また、塩素ガス散布流量は、10.5グラム/時間であった。複数の試験から、12.0グラムの塩素が、平均3.04時間、樹脂と反応することを決定した。コントロール試料として、表1に記載したように、この塩素化率を100%基準点とした。
【0057】
[実施例4]
実施例4において、5.25重量%の加水分解したポリ酢酸ビニル(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する0.06グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に発泡層は存在していなかった。
【0058】
また、塩素ガス散布流量は、10.7グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.77時間、反応した。
よって、実施例4の塩素化率は、実施例3(コントロール)の塩素化率の109%であった。
【0059】
[実施例5]
実施例5において、5.25重量%の加水分解したポリ酢酸ビニル(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する0.13グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4~1/2インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は無くなっていた。
【0060】
また、塩素ガス散布流量は、10.7グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.58時間、樹脂と反応した。
よって、実施例5の塩素化率は、実施例3(コントロール)の塩素化率の115%であった。
【0061】
[実施例6]
実施例6において、5.25重量%の加水分解したポリ酢酸ビニル(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する0.57グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4~1/2インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は無くなっていた。
【0062】
また、塩素ガス散布流量は、10.7グラム/時間であった。複数の試験において、12.0グラムの塩素が、2.53時間、樹脂と反応した。
よって、実施例6の平均塩素化率は、表1に示した実施例3(コントロール)の塩素化率の117%であった。
【0063】
[実施例7]
実施例7における5.25重量%の加水分解したポリ酢酸ビニル(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する2.84グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/2インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は、ほとんどが無くなっていた。
【0064】
また、塩素ガス散布流量は、10.6グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.48時間、樹脂と反応した。
よって、実施例7の塩素化率は、表1に示した実施例3の塩素化率の118%であった。
【0065】
[実施例8]
実施例8における3.33重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(5~12重量%の間のヒドロキシプロポキシル含量、及び、18~29重量%の間のメトキシル含量)を含有する0.91グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/8インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は、ほとんどが無くなっていた。
【0066】
また、塩素ガス散布流量は、10.5グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.62時間、樹脂と反応した。
よって、実施例8の塩素化率は、表1に示した実施例3(コントロール)の塩素化率の114%であった。
【0067】
[実施例9]
実施例9における3.33重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(5~12重量%の間のヒドロキシプロポキシル含量、及び、18~29重量%の間のメトキシル含量)を含有する1.79グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、厚みが約1/8インチの発泡層がまだ残っていた。
【0068】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.35時間、樹脂と反応した。よって、実施例9の塩素化率は、表1に示した実施例3(コントロール)の塩素化率の123%であった。
【0069】
[実施例10(比較例相当)]
実施例10(比較例相当)において、30.1重量%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含有する0.11グラムの水溶液を、懸濁液に加えた以外は、実施例3で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/8インチである気泡の層が、液体の表面上に存在したが、30分後には無くなっていた。
【0070】
また、塩素ガス散布流量は、10.5グラム/時間であった。複数の試験において、12.0グラムの塩素が、平均3.62時間、樹脂と反応した。
よって、実施例10(比較例相当)の平均塩素化率は、表1に示した実施例3(コントロール)の塩素化率の81%であった。
【0071】
[実施例11(コントロール)]
実施例11において、約0.316cc/gの多孔性を示す値、約0.945dl/gの固有粘度、及び、約146μmのメジアン径を有するPVC粒子を準備し、水に懸濁させ、及び、実施例1で示したのと同様の塩素化手順で塩素化を行った。
【0072】
また、塩素ガス散布流量は、10.7グラム/時間であった。複数の試験において、12.0グラムの塩素が、平均2.53時間、樹脂と反応した。12.0グラムの塩素と30.0グラムのPVCとの反応は、CPVC樹脂での最終塩素含量が64.24%であることを示す。コントロール試料として、この塩素化率を、100%基準点とした。
【0073】
[実施例12]
実施例12において、5.25重量%の加水分解したポリ(酢酸ビニル)(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する0.56グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例11で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は、ほとんどが無くなっていた。
【0074】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、1.90時間、樹脂と反応した。
よって、実施例12の平均塩素化率は、実施例11(コントロール)の塩素化率の125%であった。
【0075】
[実施例13]
実施例13において、3.33重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(5~12重量%の間のヒドロキシプロポキシル含量、及び、18~29重量%の間のメトキシル含量)を含有する0.90グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例11で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4~1/2インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、厚みが約1/8インチの発泡層がまだ残っていた。
【0076】
また、塩素ガス散布流量は、10.5グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、1.68時間、樹脂と反応した。
よって、実施例13の塩素化率は、実施例11(コントロール)の塩素化率の134%であった。
【0077】
[実施例14(比較例相当)]
実施例14(比較例相当)において、30.1重量%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含有する0.10グラムの水溶液を、懸濁液に加えた以外は、実施例11で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/8インチである気泡の層が、液体の表面上に存在したが、15分後には無くなっていた。
【0078】
また、塩素ガス散布流量は、10.8グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、4.08時間、樹脂と反応した。
よって、実施例14(比較例相当)の塩素化率は、実施例11(コントロール)の塩素化率の39%であった。
【0079】
[実施例15(コントロール)]
実施例15において、約0.316cc/gの多孔性を示す値、約0.945dl/gの固有粘度、及び、約146μmのメジアン径を有するPVC粒子を準備し、水に懸濁させ、及び、実施例1で示したのと同様の塩素化手順で塩素化を行った。
【0080】
また、塩素ガス散布流量は、10.7グラム/時間であった。複数の試験において、12.0グラムの塩素が、平均2.19時間、樹脂と反応した。12.0グラムの塩素と30.0グラムのPVCとの反応は、CPVC樹脂での最終塩素含量が64.24%であることを示す。そして、コントロール試料として、表1に示したように、この塩素化率を、100%基準点とした。
【0081】
[実施例16]
実施例16において、5.48重量%の加水分解したポリ酢酸ビニル(PVA)(約72%の平均加水分解)を含有する0.55グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例11で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は、無くなっていた。
【0082】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、1.74時間、樹脂と反応した。
よって、実施例16の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の121%であった。
【0083】
[実施例17]
実施例17において、0.03グラムのプロピレングリコール(Prop Glycol)を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に気泡は存在していなかった。
【0084】
また、塩素ガス散布流量は、10.7グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.11時間、樹脂と反応した。
よって、実施例17の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の104%であった。
【0085】
[実施例18]
実施例18において、0.03グラムのポリエチレングリコール(平均分子量200)(PEG200 ovnt)を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に気泡は存在していなかった。
【0086】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、1.88時間、樹脂と反応した。
よって、実施例18の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の114%であった。
【0087】
[実施例19]
実施例19において、夜通しの窒素パージを行った後に、翌朝、反応器と内容物を40℃にまで加熱し、次いで、0.03グラムのポリエチレングリコール(平均分子量200)(PEG200 late)を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に気泡は存在していなかった。
【0088】
また、塩素ガス散布流量は、10.8グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.09時間、樹脂と反応した。
よって、実施例19の塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の105%であった。このことは、実施例18と比較して、促進剤をPVCスラリーに加え、かつ、一晩かけて撹拌をすることで、ポリエチレングリコールを添加したことによる有益な効果が、さらに高められることを示した。
【0089】
[実施例20]
実施例20における0.03グラムのポリエチレングリコール(平均分子量8000)(PEG8000)を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/16インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。
【0090】
また、塩素ガス散布流量は、10.9グラム/時間であった。複数の試験において、12.0グラムの塩素が、平均1.87時間、樹脂と反応した。
よって、実施例20における平均塩素化率は、表1に示した実施例15(コントロール)の塩素化率の115%であった。
【0091】
[実施例21]
実施例21における約98重量%の加水分解したポリ酢酸ビニル(約72%の平均加水分解)(98%PVA)を含有する0.03グラムの水溶液を、塩素化促進剤として、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に気泡は存在していなかった。
【0092】
また、塩素ガス散布流量は、10.8グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、1.86時間、樹脂と反応した。
よって、実施例21の平均塩素化率は、表1に示した実施例15(コントロール)の塩素化率の115%であった。
【0093】
[実施例22(比較例相当)]
実施例22において、0.03グラムのラウリルアルコール(Lauryl Alc)を、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に気泡は存在していなかった。
【0094】
また、塩素ガス散布流量は、10.8グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.19時間、樹脂と反応した。
よって、実施例22の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の100%であった。
【0095】
[実施例23(比較例相当)]
実施例23において、0.03グラムの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HDTMAB)を、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/8インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は、無くなっていた。
【0096】
また、塩素ガス散布流量は、11.0グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、3.38時間、樹脂と反応した。
よって、実施例23の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の46%であった。
【0097】
[実施例24(比較例相当)]
実施例24において、0.03グラムのジオクチルスルホサクシネート(DOSS)のナトリウム塩を、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、厚みが約1/4~1/2インチである気泡の層が、液体の表面上に存在した。夜通しパージを行った後には、発泡層は、無くなっていた。
【0098】
また、塩素ガス散布流量は、11.0グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、3.52時間、樹脂と反応した。
よって、実施例24の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の39%であった。
【0099】
[実施例25(比較例相当)]
実施例25において、0.1重量%のポリアクリル酸、商品名Carbopol 942(Carbopol)、を含有する30.0グラムの水溶液を、懸濁液に加えた以外は、実施例15で示したようにして、PVC粒子の水性懸濁液を調製した。
次いで、実施例1で示したのと同様の手順を用いて、塩素化を行った。窒素パージを開始した際に、液体の表面上に気泡は存在していなかった。
【0100】
また、塩素ガス散布流量は、10.8グラム/時間であった。単一の試験において、12.0グラムの塩素が、2.39時間、樹脂と反応した。
よって、実施例25の平均塩素化率は、実施例15(コントロール)の塩素化率の91%であった。
【0101】
本明細書で引用した全文献は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。本発明の実施形態について多くを説明してきた。それでもなお、本発明の要旨と範囲から逸脱することなく、様々な変更をし得ることが理解される。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。