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  • 特開-静電アクチュエータ組立体 図1
  • 特開-静電アクチュエータ組立体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088689
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】静電アクチュエータ組立体
(51)【国際特許分類】
   H02N 1/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
H02N1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019074534
(22)【出願日】2019-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】310001067
【氏名又は名称】ストローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】実吉 敬二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 輝
(72)【発明者】
【氏名】中塚 忠則
(57)【要約】
【課題】本発明は、単位面積当たりの発生力及びストローク量が大きな静電アクチュエータ組立体を提供することを目的とする。
【解決手段】
複数の静電アクチュエータ1を備えた静電アクチュエータ組立体10において、前記複数の静電アクチュエータ1は、第1の静電アクチュエータ1と、前記第1の静電アクチュエータ1に対して直列に配置された第2の静電アクチュエータ1とを含み、前記第1の静電アクチュエータ1の駆動端5と前記第2の静電アクチュエータ1の駆動端5とはロッド部3で連結されて位置関係が保持され、前記第1の静電アクチュエータ1の固定端4と前記第2の静電アクチュエータ1の固定端4とはケース部2で連結されて位置関係が保持されるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の静電アクチュエータを備えた静電アクチュエータ組立体において、
前記複数の静電アクチュエータは、第1の静電アクチュエータと、前記第1の静電アクチュエータに対して直列に配置された第2の静電アクチュエータとを含み、
前記第1の静電アクチュエータの駆動端と前記第2の静電アクチュエータの駆動端とは第1の連結部で連結されて位置関係が保持され、
前記第1の静電アクチュエータの固定端と前記第2の静電アクチュエータの固定端とは第2の連結部で連結されて位置関係が保持されたことを特徴とする、静電アクチュエータ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の静電アクチュエータ組立体において、前記第2の連結部は、前記第1の連結部の移動範囲を制限する移動制限部を有することを特徴とする、静電アクチュエータ組立体。
【請求項3】
請求項2に記載の静電アクチュエータ組立体において、前記移動制限部は、前記駆動端が前記移動制限部と前記固定端との間でのみ移動可能に前記第1の連結部の移動範囲を制限することを特徴とする、静電アクチュエータ組立体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の静電アクチュエータ組立体において、前記第1の連結部は、前記第1の静電アクチュエータ及び前記第2の静電アクチュエータを貫通することを特徴とする、静電アクチュエータ組立体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電アクチュエータ組立体において、前記第1の連結部は、前記移動制限部に形成された孔を通ることを特徴とする、静電アクチュエータ組立体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の静電アクチュエータ組立体において、前記複数の静電アクチュエータは、前記第1の静電アクチュエータと並列に隣り合って配置された第3の静電アクチュエータを含み、前記第1の静電アクチュエータの前記駆動端と前記第3の静電アクチュエータの駆動端とは前記第1の連結部で連結されて位置関係が保持され、前記第1の静電アクチュエータの前記固定端と前記第3の静電アクチュエータの固定端とは前記第2の連結部で連結されて位置関係が保持されたことを特徴とする、静電アクチュエータ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の静電アクチュエータを備えた静電アクチュエータ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極間に生じる静電引力に基づく発生力を駆動力として用いる静電アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の静電アクチュエータは、発生力が電極の面積に比例するため、大きな発生力を得るには電極の面積を大きくする必要があった。
【0003】
また、ストローク量を大きくすべく、2枚の銅箔をPET等で絶縁したフィルムによるリボン状電極を交互に折り重ねた紙バネ構造により、複数の電極を積層させた積層ばね構造を有する積層型静電アクチュエータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017‐22926
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術による静電アクチュエータでは、複数の静電アクチュエータを単純に直列に連結してもストロークは伸びるが発生力は変わらないため、大きな発生力を得るためには電極の面積を大きくする必要があり、小型化が困難であった。
【0006】
また、発生力を大きくするために、電極間隔が広がり過ぎないように硬い静電アクチュエータを用いた構成が考えられるが、このような構成では発生力が大きくなる半面、ストローク量が短くなってしまう。これにより、硬い静電アクチュエータを用いた構成では、発生力が大きくて十分なストローク量を得ることができないため、細長い空間での使用には向いていなかった。
【0007】
さらに、静電アクチュエータは人工筋肉とも呼ばれており、静電アクチュエータの発生力は筋力と同じように電極の断面積に比例しており、生物学者アーチボルト・ヒルの筋収縮モデルによると、筋繊維をモデル化した「収縮要素」(収縮力は静電アクチュエータの電極間の面積に比例しており、従来技術では、並列化により水平方向の面積を増加させて収縮力を増大させていた)と、腱組織をモデル化した「直列弾性要素」(静電アクチュエータの電極積層枚数を増やしていた)と、その他結合組織をモデル化した「並列弾性要素」との3つの要素がある。ここで、従来技術による静電アクチュエータでは、人工筋肉の3つの要素のうち、水平方向の面積に比例して収縮力を増加させる「収縮要素」と、積層によりストローク量を増加させる「直列弾性要素」とを実現しているが、残りの1つの要素であり、単位面積あたりの発生力を増加させる「並列弾性要素」は実現されていなかった。
【0008】
静電アクチュエータの発生力は筋力と同じように電極の断面積に比例しているため、従来技術では、水平方向に静電アクチュエータを並列に配置して電極面積を増加させることにより収縮力(静電気力)を増加させていた。しかしながら、従来技術による並列化では「収縮要素」のみを考慮しているため、十分な発生力を得るためには、例えば1mといった電極面積が必要であり、小型化が困難であった。すなわち、十分な単位面積当たりの発生力を得ることができないという課題があった。この課題は、単純に鉛直方向に静電アクチュエータどうしを接続した場合では、ストローク量は静電アクチュエータの個数に比例して増加するが、電極面積に依存する発生力は変わらないため、解決することができなかった。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、ストローク量が大きくても単位面積当たりの発生力が大きな静電アクチュエータ組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の静電アクチュエータを備えた静電アクチュエータ組立体において、前記複数の静電アクチュエータは、第1の静電アクチュエータと、前記第1の静電アクチュエータに対して直列に配置された第2の静電アクチュエータとを含み、前記第1の静電アクチュエータの駆動端と前記第2の静電アクチュエータの駆動端とは第1の連結部で連結されて位置関係が保持され、前記第1の静電アクチュエータの固定端と前記第2の静電アクチュエータの固定端とは第2の連結部で連結されて位置関係が保持されたことを特徴とする。
【0011】
前記第2の連結部は、前記第1の連結部の移動範囲を制限する移動制限部を有していてもよい。前記移動制限部は、前記駆動端が前記移動制限部と前記固定端との間でのみ移動可能に前記第1の連結部の移動範囲を制限してもよい。前記第1の連結部は、前記第1の静電アクチュエータ及び前記第2の静電アクチュエータを貫通してもよい。前記第1の連結部は、前記移動制限部に形成された孔を通ってもよい。前記複数の静電アクチュエータは、前記第1の静電アクチュエータと並列に隣り合って配置された第3の静電アクチュエータを含み、前記第1の静電アクチュエータの前記駆動端と前記第3の静電アクチュエータの駆動端とは前記第1の連結部で連結されて位置関係が保持され、前記第1の静電アクチュエータの前記固定端と前記第3の静電アクチュエータの固定端とは前記第2の連結部で連結されて位置関係が保持されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ストローク量が大きくても単位面積当たりの発生力が大きな静電アクチュエータ組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る静電アクチュエータ組立体の断面図を示す。
図2】第2実施形態に係る静電アクチュエータ組立体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る静電アクチュエータ組立体の断面図を示す。
本実施形態に係る静電アクチュエータ組立体10は、図1に示すように、複数の静電アクチュエータ1(第1乃至3の静電アクチュエータ)と、ケース部(第2の連結部)2と、ロッド部(第1の連結部)3とを備えている。
【0015】
静電アクチュエータ1は、電極を積層させた積層型静電アクチュエータである。この静電アクチュエータ1は、例えば、電気伝導体を電気絶縁体で絶縁したフィルム状の電極を、折り重ねや接合によって積層した構造を有している。電気伝導体には、例えば、銅箔等を使用することが可能であり、また電気絶縁体には、PET(Polyethylene Terephthalate)等を使用することが可能である。これにより、静電アクチュエータ1は、積層数に比例した複数の電極を有した構造になっている。静電アクチュエータ1単体のストローク量は、電極積層枚数に比例するため、複数の電極を積層させることによりロングストロークを得ることができる。静電アクチュエータ1は、一端の固定端4がケース部2に固定され、他端の駆動端5がロッド部3に固定されている。静電アクチュエータ1の固定端4は、ケース部2や駆動端5と固定し易くするために、強度の高い板状部材で形成されていてもよい。静電アクチュエータ1は、積層された各々の電極間に電圧が印加されたときに、電極間にクーロン力が発生し、電極間の空気層が積層された方向Sに収縮できるようになっている。なお、本実施形態では、同じ構造の複数の静電アクチュエータ1を用いている。
【0016】
ケース部2は、壁部6と天井部(移動制限部)7とを有している。このケース部2内には、2つの静電アクチュエータ1,1が並列に隣り合って並んでおり、これら2つの静電アクチュエータ1,1は、図中に伸縮方向Sで示す同じ方向に伸縮するように配置されている。静電アクチュエータ組立体10は、静電アクチュエータ1,1の伸縮方向Sに複数のケース部2が直列に積層されており、各ケース部2の静電アクチュエータ1は全て同じ伸縮方向Sに伸縮するように配置されている。これにより、各ケース部2内の静電アクチュエータ1の固定端4どうしはケース部2で連結されて位置関係が保持されるようになっている。すなわち、1つの静電アクチュエータ1の駆動端5が移動したときに、全てのケース部2内の静電アクチュエータ1の固定端4は同じ間隔を維持したまま同じように移動するようになっている。
【0017】
静電アクチュエータ組立体10は、伸縮方向Sの一端側はケース部2の天井部7が位置している一方、伸縮方向Sの他端側は底部パネル12がケース部2に取り付けられて塞がれている。これにより、各静電アクチュエータ1は、底部パネル12または隣接するケース部2の天井部7にそれぞれ固定されている。
【0018】
ロッド部3は、剛体で形成されており、伸縮方向Sに延在する軸部8と、軸部8に対して垂直方向に直径が広がる複数の拡径部9とを有している。ロッド部3は、ケース部2内に配置されている。
【0019】
軸部8は、直列に積層された各ケース部2の天井部7に形成された孔7aを貫通して伸縮方向Sに延在しており、先端11が外部に突出している。
【0020】
拡径部9は、それぞれ各ケース部2内に設けられており、各ケース部2内に配置された2つの静電アクチュエータ1,1のそれぞれの駆動端5に接着剤等で固定されている。これにより、各ケース部2内の静電アクチュエータ1の駆動端5どうしはロッド部3で連結されて互いに対する位置関係が保持されるようになっている。すなわち、いずれか1つの静電アクチュエータ1の駆動端5が移動するときは、他のケース部2内の静電アクチュエータ1の駆動端5も同じ量だけ移動するようになっている。
【0021】
ロッド部3は、静電アクチュエータ1が伸びたときに駆動端5が拡径部9を介して天井部7に当たることにより、ケース部2によって移動範囲が制限されるように設けられている。すなわち、ロッド部3及び駆動端5は、固定端4と天井部7との間の範囲内でのみ移動するようになっている。
【0022】
拡径部9は、同じケース部2内に配置された2つの静電アクチュエータ1,1のそれぞれの駆動端5に固定されていることにより、同じケース部2内で隣り合う静電アクチュエータ1,1の駆動部5どうしの互いに対する位置関係を保持するようになっている。
【0023】
拡径部9は、軸部8の同じ位置から広がっており、同じケース部2内の静電アクチュエータ1,1は常に同じ全長になっている。また、拡径部9は、静電アクチュエータ1,1が伸びたときに、天井部7に当接するように設けられている。このとき、拡径部9は、同じケース部2内の静電アクチュエータ1,1の駆動端5,5と天井部7との間隔が同じ長さになるように設けられており、例えば、各静電アクチュエータ1,1の駆動端5,5に固定される面と天井部7に当接する面とが略平行に形成されている。
【0024】
以下、静電アクチュエータ組立体10の動作について説明する。
静電アクチュエータ組立体10を用いる際には、駆動させる装置がロッド部3の先端11に連結される一方、駆動させる装置とは別の装置がケース部2の底部パネル12に固定される。
【0025】
静電アクチュエータ1は、電圧が付与されて通電されると、積層された電極間で発生力が生じる。これにより、突出していたロッド部3の先端11は、ケース部2内に引き込まれるように移動して静電アクチュエータ組立体10の全長が収縮することにより、連結された装置に駆動力を生じさせるようになっている。このとき、各静電アクチュエータ1は、ロッド部3で結合されている。これにより、結合された静電アクチュエータ1の個数倍だけ、静電アクチュエータ組立体10は1つの静電アクチュエータ1よりも発生力が大きくなっている。すなわち、N個の静電アクチュエータ1が組み込まれた静電アクチュエータ組立体10は、1つの静電アクチュエータ1のN倍の発生力を生じさせるようになっている。静電アクチュエータ1に電圧を印加したときの発生力は、静電アクチュエータ1に電圧を印加していないときに電極を形成しているフィルム等により生じる弾性力よりもはるかに大きく、発生力と弾性力との差に基づく仕事が連結された装置に付与されるようになっている。
【0026】
一方、静電アクチュエータ1は、電圧が付与されていないときには発生力が生じないため、ロッド部3の先端11が引っ張られると、先端11がケース部2から突出する方向にロッド部3がケース部2から引っ張り出される。これにより、静電アクチュエータ組立体10の全長は伸張するようになっている。ロッド部3は、先端11側にある程度移動すると、各拡径部9が各ケース部2の天井部7に当接してそれ以上先端11側に移動できないようになっている。これにより、静電アクチュエータ1のストローク量が調節されてロッド部3の位置制御を可能にしている。すなわち、静電アクチュエータ組立体10のストローク量は、静電アクチュエータ1のストローク量と等しくなっている。また、静電アクチュエータ1が伸長する方向に最も伸びたときに、拡径部9と天井部7との間に隙間が形成されるように各寸法を設定することにより、拡径部9が天井部7に衝突するときの衝撃音の発生を防止することができる。
【0027】
本実施形態に係る静電アクチュエータ組立体10は、複数の静電アクチュエータ1の駆動端5どうしがロッド部3で連結されて位置関係が保持され、複数の静電アクチュエータ1の固定端4どうしがケース部2で連結されて位置関係が保持されている。これにより、ロッド部3で結合された静電アクチュエータ1の個数倍だけ、静電アクチュエータ組立体10は静電アクチュエータ1よりも発生力が大きくなるようになっている。このため、ストローク量が大きくても単位面積当たりの発生力を大きくすることができる。
【0028】
また、ロッド部3は、先端11側にある程度移動すると、各拡径部9が各ケース部2の天井部7に当接してそれ以上先端11側に移動できないようになっている。このため、クランクシャフト等の直動運動を回転運動に変換する機構にロッド部3の先端11を連結したときに、回転運動の位置制御が可能になる。また、静電アクチュエータ組立体10を直動運動のみを行う装置に連結した場合に、拡径部9がケース部2の天井部7に当接することによる位置合わせにより、静電アクチュエータ1単体が伸びすぎることを防止することができる。
【0029】
さらに、静電アクチュエータ組立体10のストローク量は、静電アクチュエータ組立体10内の静電アクチュエータ1のうち最もストローク量の短い静電アクチュエータ1のストローク量と同等となる。または、静電アクチュエータ組立体10のストローク量は、静電アクチュエータ組立体10内の静電アクチュエータ1のうち最もストローク量の短い静電アクチュエータ1のストローク量と同等となるように、拡径部9および天井部7が構成されている。静電アクチュエータ組立体10内部の静電アクチュエータ1は、荷重により伸長する際に、並列ばねとして機能するため、静電アクチュエータ組立体10のばね力は、各静電アクチュエータ1のばね力の総和となる。したがって、静電アクチュエータ組立体10のばね力は、各静電アクチュエータ1のばね力よりも大きくなる。しかしながら、静電アクチュエータ組立体10は、各静電アクチュエータ1のストローク範囲内での、静電アクチュエータ1の各電極間のばね力を小さくしておくことで、軽い負荷でも、静電アクチュエータ組立体10が伸長する距離を長くすることができる。これにより、静電アクチュエータ組立体10は、負荷の大きさによらず大きなストローク量を得ることができ、かつ、重い負荷でも駆動することが可能である。
【0030】
また、静電アクチュエータ1の各電極間の距離は、静電アクチュエータ1の最大の伸長時であっても、周囲の静電アクチュエータ1との距離に比べて十分短い。このため、電極間に電圧印加された際に生じる電場は、各静電アクチュエータ1のそれぞれの電極間で閉じており、この電極間から漏れる電気力線の影響は無視することができる。このため、伸縮方向Sまたはそれと直交するいずれの方向であっても、隣り合う静電アクチュエータ1どうしは互いのクーロン力による影響をほとんど受けず、静電アクチュエータ組立体10全体の単位体積当たりの発生力の高集積化が可能になる。
【0031】
さらに、静電アクチュエータ組立体10、収縮力が伸長力よりも非常に大きく、外力に対して釣り合いの関係を有している。このため、静電アクチュエータ組立体10は、従来技術による静電アクチュエータの組立体では取り出すことができなかった仕事を体積力として取り出すことができる。さらに、従来技術による静電アクチュエータの組立体と比較して、単位面積当たりの発生力および単位面積当たりの仕事を増加させることができる。
【0032】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る静電アクチュエータ組立体の断面図を示す。以下、第1実施形態と実質的に同じ部材に同じ符号を用いて説明する。
第2実施形態に係る静電アクチュエータ組立体20は、図2に示すように、各ケース部2内に1つのみの静電アクチュエータ(第1及び2の静電アクチュエータ)1が組み込まれている構成が第1実施形態に係る静電アクチュエータ組立体10(図1参照)と異なっている。
【0033】
本実施形態に係る静電アクチュエータ組立体20に組み込まれた静電アクチュエータ1は、伸縮方向Sに貫通する孔13が形成されている。これにより、ロッド部3が静電アクチュエータ1を貫通して往復移動可能になっている。第2実機形態に係るロッド部3は、静電アクチュエータ1内を貫通するため、絶縁性材料で形成されている。
【0034】
また、静電アクチュエータ1は、例えば、切り込みが形成されており、静電アクチュエータ組立体20を、組み立てる際には、ロッド部3の軸部8がこの切り込みを通って孔13内に差し込まれるようになっている。
【0035】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれに限定しない。例えば、上記実施形態では、真っ直ぐなロッド部3を用いているが、これに限定されない。直列に配列された複数の静電アクチュエータを用いてロッド部に発生力を付与することができれば、ロッド部は湾曲形状を有していてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、ケース部2は、ロッド部3の拡径部9が天井部7に当接することにより、ロッド部3の移動範囲を制限されているが、本発明はこれに限定されない。ケース部は、ロッド部の移動範囲を制限することができれば、その他の構成であってもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態では、静電アクチュエータ1は、各ケース部2に1つまたは2つ配置されているが、これに限定されず、3つ以上が並列に配置されていてもよい。また、静電アクチュエータ1は、直列に2つ以上配置されていればよく、その個数は任意である。
【0038】
さらにまた、上記実施形態では、同じ発生力及びストローク量の静電アクチュエータ1を方向Sに積層させているが、これに限定されず、異なる発生力や異なるストローク量の静電アクチュエータを方向Sに積層させてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…静電アクチュエータ(第1乃至3の静電アクチュエータ)
2…ケース部(第2の連結部)
3…ロッド部(第1の連結部)
4…固定端
5…駆動端
6…壁部
7…天井部(移動制限部)
7a…孔
8…軸部
9…拡径部
10…静電アクチュエータ組立体
11…先端
12…底部パネル
13…孔
20…静電アクチュエータ組立体
図1
図2