(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088696
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】砂礫選別具
(51)【国際特許分類】
B03B 5/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
B03B5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196677
(22)【出願日】2020-11-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】520466386
【氏名又は名称】株式会社シンセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 祐好
【テーマコード(参考)】
4D071
【Fターム(参考)】
4D071AA02
4D071AA03
4D071AB62
4D071CA01
4D071DA20
(57)【要約】
【課題】より簡便に且つ効率的に水に含まれる土砂から所定の粒径以上の砂礫を選別することができる砂礫選別具を提供する。
【解決手段】土砂に含まれる砂礫を選別する砂礫選別具は、上流側から土砂を含む水流が流れる第一の管体と、第一の管体の分岐位置で第一の管体から分岐して接続し、第一の管体からの水流が流れる第二の管体とを備え、第一の管体は、分岐位置よりも上流側の周面に設けられ且つ第一の管体の長手方向に沿って直列に配置される複数の孔部と、各孔部を覆うように配置される第一のフィルタと、分岐位置よりも下流側の第一の管体の開口を覆うように配置される第二のフィルタとを有して構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂に含まれる砂礫を選別する砂礫選別具において、
上流側から土砂を含む水流が流れる第一の管体と、
前記第一の管体の分岐位置で前記第一の管体から分岐して接続し、前記第一の管体からの前記水流が流れ込む第二の管体とを備え、
前記第一の管体は、前記分岐位置よりも上流側の周面に設けられ且つ前記第一の管体の長手方向に沿って直列に配置される複数の孔部と、各孔部を覆うように配置される第一のフィルタと、前記分岐位置よりも下流側の前記第一の管体の開口を覆うように配置される第二のフィルタとを有して構成されることを特徴とする砂礫選別具。
【請求項2】
前記孔部の間の間隔長さは、前記第一の管体の長手方向における前記孔部の径以上であることを特徴とする請求項1に記載の砂礫選別具。
【請求項3】
前記第二の管体は前記第一の管体と90度未満の所定角度をなして分岐し、前記第二のフィルタは、前記第二の管体の長手方向に沿って前記所定角度で前記第一の管体の前記開口の横断面に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の砂礫選別具。
【請求項4】
前記所定角度は、20度~45度であることを特徴とする請求項3に記載の砂礫選別具。
【請求項5】
前記孔部は3つ以上設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の砂礫選別具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂礫を選別するために用いる砂礫選別具に関し、特に、海、河川、湖、沼などの水底に堆積する土砂を採取して土砂に含まれる砂礫を粒径に応じて分別・選別する砂礫選別具に関する。
【背景技術】
【0002】
水中の土砂を採取し、所定の粒径以上の砂礫を選別する場合、従来、ポンプで土砂を含む水を汲み上げ、その汲み上げた水に含まれる土砂を例えば網目を有する振るい装置にかけることで、所定の粒径以上の砂礫を選別して分離する作業が行われている。
【0003】
また、下記特許文献1-3には、水中の土砂から所定の粒径以上の砂礫を選別する土砂処理装置に関する発明について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-328001号公報
【特許文献2】特開平10-337418号公報
【特許文献3】特開2003-230847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者は、大掛かりな装置を用いずに、土砂に含まれる砂礫を選別する器具の研究・開発を進め、今般、より簡便に且つ効率的に水に含まれる土砂から所定の粒径以上の砂礫を選別することができる砂礫選別具を発明するに至った。
【0006】
そこで、本発明は、より簡便に且つ効率的に水に含まれる土砂から所定の粒径以上の砂礫を選別することができる砂礫選別具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の砂礫選別具は、土砂に含まれる砂礫を選別する砂礫選別具において、上流側から土砂を含む水流が流れる第一の管体(本体管)と、前記第一の管体の分岐位置で前記第一の管体から分岐して接続し、前記第一の管体からの前記水流が流れ込む第二の管体(分岐管)とを備え、前記第一の管体は、前記分岐位置よりも上流側の周面に設けられ且つ前記第一の管体の長手方向に沿って直列に配置される複数の孔部と、各孔部(を覆うよう)に配置される第一のフィルタと、前記分岐位置よりも下流側の前記第一の管体の開口(を覆うよう)に配置される第二のフィルタとを有して構成されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記孔部の間隔長さは、前記第一の管体の長手方向における前記孔部の径以上である。また、前記第二の管体は前記第一の管体と90度未満の所定角度をなして分岐し、前記第二のフィルタは、前記第二の管体の長手方向に沿って前記所定角度で前記第一の管体の横断面に配置される。さらに、前記所定角度は、20度~45度である。前記孔部は3つ以上設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の砂礫選別具によれば、より簡便に且つ効率的に水に含まれる土砂から所定の粒径以上の砂礫を選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態における砂礫選別具を用いた土砂処理装置の全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における砂礫選別具の構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における砂礫選別具のより具体的な構成例を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態における砂礫選別具の変形構成例を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態における砂礫選別具の別の変形構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態における砂礫選別具を用いた土砂処理装置の全体構成を示す図である。土砂処理装置は、海、河川、湖、沼などの水底に堆積する土砂を採取して、それに含まれる砂礫を粒径に応じて仕分け・分別するための構成体であり、水中に設置される水中ポンプ(サンドポンプ)10、その水中ポンプ10により吸い上げた土砂を含む水を流すホース20、及びホース20の先端に取り付けられる砂礫選別具30を備えて構成される。
【0013】
水中ポンプ(サンドポンプ)10は、水とともに土砂を吸い上げるために用いるポンプであり、例えばいわゆるターボ型ポンプが用いられ、ホース20は、水中ポンプ10の排出口に取り付けられ、水中ポンプ10からの土砂を含む水を作業場まで送る流路を形成する管状部材である。
【0014】
砂礫選別具30は、水中ポンプ10により水とともに吸い上げられた砂をその粒径に応じて選別する管状部材であり、ホース20の先端に取り付けられる。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態における砂礫選別具の構成例を示す図である。砂礫選別具30は、本体管(第一の管体)31と、本体管31の所定の分岐位置313から分岐して延びる分岐管(第二の管体)32とを備える。本体管31と分岐管32は、好ましくは鋼製の円管であるが、アルミニウム管、塩化ビニル製など合成樹脂管など他の材質でもよく、また、断面形状も円形に限らず、矩形など他の形状でもよい。本体管31において、ホース20と連結する側の開口端を上流側開口端311、その反対側であって土砂を含むを排出する側の開口端を下流側開口端312とする。
【0016】
本体管31の上流側開口端31aにはホース20が連結され、本体管31の上流側開口端311から、ホース20を経由して水中ポンプ10で汲み上げられた土砂を含む水が本体管31内を流れる。本体管31の口径は、水中ポンプ10の排出能力によって適宜設計され、通常5cm~20cm程度のものが用いられる。
【0017】
本体管31は、分岐管32が分岐する分岐位置313よりも上流側の周面に複数の孔部33が設けられる。複数の孔部33は、本体管31の長手方向に沿って直列に配置される。そして、各孔部33には、それを覆うように網状のフィルタ34が配置される。
【0018】
本体管31の孔部33は、例えば矩形、円形、楕円形の穴であり、例えば、本体管31の長手方向の径は10cm程度、それに垂直な縦方向の径は5cm程度の矩形穴である。
【0019】
フィルタ34は、メッシュ状の金網やパンチングメタルなど網状又はメッシュ状の隙間がある部材であり、その隙間間隔の大きさにより、選別される砂礫の大きさが設定される。
【0020】
例えば、設定粒径として粒径5mm以上の砂礫を選別したい場合、隙間間隔5mmのフィルタ34を孔部33に配置することで、土砂を含む水が本体管31を流れる間に、孔部33からは5mm未満の砂礫は排出され、孔部33のフィルタ34を通過しない5mm以上の砂礫は、分岐管32より排出され、分岐管32から排出される砂礫を収集することにより、設定粒径である5mm以上の砂礫を選別することができる。
図1に示されるように、設定粒径未満の砂礫(
図1では「細砂」と記載)は、孔部33のフィルタ34及び下流側開口端312のフィルタ35を通過して排出され、設定粒径以上の砂礫(
図1では「粗砂」と記載)は、分岐管32の先端開口から排出され、砂礫がその粒径に応じて選別される。
【0021】
図3は、孔部33の設置間隔を説明する図である。孔部33は、本体管31の長手方向に沿って直列に複数箇所配置され、その孔部33の設置間隔L1は、本体管31の長手方向の径L2と同一又はそれより長くなるように設定される。発明者らの実験・研究によれば、
孔部33の設置間隔L1≧本体管31の長手方向の径L2
となるように、本体管31に孔部33を設けることで、より効率的に孔部33から土砂を排出することができるようになった。また、設置される孔部33の数は、3つ以上であることが好ましく、孔部33を3つ以上設けることにより、分岐管32から排出される砂礫に、孔部33で通過しきれずに分岐管32から排出される設定粒径未満の砂礫が混じる量が少なくなり、より選別精度の向上を図ることができる。
【0022】
選別作業においては、孔部33が下向きになるように本体管31は設置され、水とともにフィルタ34を通過する土砂は地面に向かって流れ落ちる。
【0023】
また、本体管31において、分岐管32が分岐する分岐位置313よりも下流側の本体管31の下流側開口端312の横断面を覆うように網状のフィルタ35が配置される。フィルタ35は、孔部33に配置されるフィルタ34と同一のフィルタである。フィルタ35は、メッシュ状の金網やパンチングメタルなど網状又はメッシュ状の隙間がある部材であり、その隙間間隔フィルタ34と同一である。選別作業において、本体管31を流れる土砂は、本体管31の上流側(水中ポンプ10側)から下流側(分岐管32側)に流れる過程において、所定の設定粒径未満の砂礫は、孔部33のフィルタ34フィルタ34を通過して排出され、さらに、本体管31の下流開口端312において、下流側開口端312を覆うように配置されるフィルタ35を通過して排出される。フィルタ34とフィルタ35を通過しなかった砂礫は、分岐管32から排出され、設定粒径以上の砂礫が選別される。
【0024】
分岐管32は、本体管31に対して、その下流方向斜めに延びて分岐し、すなわち、本体管31と90度未満の所定の取り付け角度θをなして分岐して接続している。分岐管32の取り付け角度θは、好ましくは、45度以下、特に20度~45度程度の小さい角度が好ましい。比較的小さい角度とすることで、管路抵抗の分岐損失をより小さくすることができ、本体管31内の土砂を含む水がスムーズに流れるようにすることができる。
【0025】
上述したフィルタ35は、好ましくは、分岐管の長手方向に沿って、分岐管32の取り付け角度で本体管31の下流側開口端31の横断面に配置される。フィルタ35が分岐管32の取り付け角度と同じ角度で、下流側開口端312の横断面を斜めに塞ぐように配置することで、フィルタ35の表面積が増大し、フィルタ35による設定粒径未満の砂礫の濾過能力が向上するとともに、本体管31の下流側開口端312に達した水流が、その流れる方向を変えて分岐管32に流れ込む際の管路損失の曲がり抵抗を小さくすることができる。
【0026】
本発明の砂礫選別具30では、分岐管32から設定粒径以上の砂礫が排出され、分岐管32から排出される砂礫を収集することで、設定粒径以上の砂礫を選別して得ることができるようになる。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態における砂礫選別具のより具体的な構成例を示す図である。
図4(a)に示されるように、砂礫選別具30は、本体管31を分岐位置313の上流側手前位置で2つに分離可能に構成され、互いに連結可能に分離された上流側管部材30Aと下流側管部材30Bとで構成される。
【0028】
図5は、上流側管部材30Aの試作品の写真を示す。
図4及び
図5において、上流側管部材30Aには、長手方向に直列に配置された3個所の孔部33が設けられ、網状のフィルタ34が上流側管部材30Aの周面に巻かれて、孔部33を覆うように取り付けられる。上流側管部材30Aに巻かれるフィルタ34は固定具36により固定される。
【0029】
図6は、下流側管部材30Bの試作品の写真を示す。
図4及び
図6において、下流側管部材30Bには、分岐管32が接続し、分岐管32は例えば溶接加工により下流側管部材30Bに取り付けられる。下流側管部材30Bの下流側開口端312には、フランジ37が取り付けられ、網状のフィルタ35は、2枚のフランジ37に挟まれてボルト・ナットなどの固定具38により、下流側開口端312の横断面を覆うようにして取り付けられる。フランジ37の一方は、例えば溶接加工により下流側開口端312に形成される。
図4(b)に、フィルタ35がフランジ37に取り付けられている状態を示す図であって、下流側開口端312の横断面を正面から見た
図4(a)のA-A線に沿った模式的な図が示される。
【0030】
図7は、本発明の実施の形態における砂礫選別具の変形構成例を示す図である。
図7の構成例では、砂礫選別具30は、フィルタ35の下流側に延長管39が取り付けられる。作業場での周囲環境に応じて、フィルタ35を通過する水流が流れる管状流路を形成することができる。
【0031】
図8は、本発明の実施の形態における砂礫選別具の別の変形構成例を示す図である。
図8の構成例では、フィルタ35は、分岐管32の取り付け角度に沿った角度で取り付けられることに代わって、下流側開口端312の垂直横断面に取り付けられる。より簡便に製作することができる。
【0032】
上述した本発明の砂礫選別具は、本体管31とそこから分岐する分岐管32とを備える構成として説明したが、分岐管32が本体管31から折れ曲がって(若しくは湾曲して)延びる本体管31の一部としての延長管として理解することもできる。その場合、フィルタ35が配置される下流側開口端312は本体管31の周面に設けられる孔部とみなすことができる。本体管31と分岐管32とを備える本発明の砂礫選別具の構成は、上記理解による構成も含むものである。
【0033】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
10:水中ポンプ、20:ホース、30:砂礫選別具、30A:上流側管部材、30B:下流側管部材、31:本体管、32:分岐管、33:孔部、34:フィルタ、35:フィルタ、36:固定具、37:フランジ、38:固定具、39:延長管、311:上流側開口端、312:下流側開口端、313:分岐位置
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂に含まれる砂礫を選別する砂礫選別具において、
上流側から土砂を含む水流が流れる第一の管体と、
前記第一の管体の分岐位置で前記第一の管体から分岐して接続し、前記第一の管体からの前記水流が流れ込む第二の管体とを備え、
前記第一の管体は、前記分岐位置よりも上流側の周面に設けられ且つ前記第一の管体の長手方向に沿って直列に配置される複数の孔部と、各孔部を覆うように配置される第一のフィルタと、前記分岐位置よりも下流側の前記第一の管体の開口を覆うように配置される第二のフィルタとを有して構成されることを特徴とする砂礫選別具。
【請求項2】
前記孔部の間の間隔長さは、前記第一の管体の長手方向における前記孔部の径以上であることを特徴とする請求項1に記載の砂礫選別具。
【請求項3】
前記第二の管体は前記第一の管体と90度未満の所定角度をなして分岐し、前記第二のフィルタは、前記第二の管体の長手方向に沿って前記所定角度で前記第一の管体の前記開口の横断面に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の砂礫選別具。
【請求項4】
土砂に含まれる砂礫を選別する砂礫選別具において、
上流側から土砂を含む水流が流れる第一の管体と、
前記第一の管体の下流側の末端位置に開口が形成された状態で前記末端位置から前記第一の管体と90度未満の所定角度をなして折れ曲がって接続し、前記第一の管体からの前記水流が流れ込む第二の管体とを備え、
前記第一の管体は、前記末端位置よりも上流側の周面に設けられ且つ前記第一の管体の長手方向に沿って直列に配置される複数の孔部と、各孔部を覆うように配置される第一のフィルタと、前記末端位置の前記第1の管体の前記開口を覆うように配置される第二のフィルタとを有して構成され、
前記第二のフィルタは、前記第二の管体の長手方向に沿って前記所定角度で前記第一の管体の前記開口の横断面に配置されることを特徴とする砂礫選別具。
【請求項5】
前記所定角度は、20度~45度であることを特徴とする請求項3又は4に記載の砂礫選別具。
【請求項6】
前記孔部は3つ以上設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の砂礫選別具。