(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088729
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】触感検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 7/02 20060101AFI20220608BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G01B7/02 J
G01B7/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200702
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】503061485
【氏名又は名称】株式会社テック技販
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 和美
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA13
2F063BA29
2F063BB01
2F063BC04
2F063CA10
2F063CA34
2F063CB03
2F063DA02
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063EC00
2F063EC25
(57)【要約】
【課題】種々の太さの指に対応できるようにするとともに、コストを低減させることができるようにした触感検出装置を提供する。
【解決手段】人間の指の先端に装着され、下向きコの字状に開口する開口部20を備えた基部2と、当該基部2の両側に設けられた回動部22を中心として回動する第一検出片3と、この第一検出片3に対向するように設けられ、回動部22を中心として回動する第二検出片4と、これら第一検出片3と第二検出片4の隙間に設けられた弾性プレート5と、この弾性プレート5の歪による変化量を検出するセンサー6とを備えて構成する。そして、指幅の小さい使用者が使用する場合は、第一検出片3と第二検出片4にスペーサー7を着脱可能に取り付けられるようにする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の指の先端上部に装着される基部と、
当該基部の両側に設けられた回動部を中心に回動する第一検出片および第二検出片と、
当該第一検出片と第二検出片との隙間幅の変化に基づく変化量を検出するセンサーと、
を備えたことを特徴とする触感検出装置。
【請求項2】
前記第一検出片と第二検出片との隙間に弾性プレートを設け、前記センサーで当該弾性プレートの変形量を検出できるようにした請求項1に記載の触感検出装置。
【請求項3】
前記回動部が、基部との間に設けられたピンによって構成されるものである請求項1に記載の触感検出装置。
【請求項4】
前記センサーが、弾性プレートに貼り付けられた歪センサーによって構成されるものである請求項1に記載の触感検出装置。
【請求項5】
前記第一検出片または/および第二検出片に、当該第一検出片と第二検出片の隙間を調整するスペーサーを着脱可能に取り付けられるようにした請求項1に記載の触感検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の指による触感を検出できるようにした触感検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の指で物を触った際の感触を検知する装置として、下記の特許文献に記載されるような装置が提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献には、人間の指先を両側から挟み込むように装着されるものであって、
図6に示すように、下向きコの字状に開口する開口部を有する基部81と、この基部81の開口部から下方に延出するように設けられ、両側に人間の指を挟み込んだ際に弾性変形する第一検出片82および第二検出片83と、これらの第一検出片82および第二検出片83のそれぞれに取り付けられた歪センサー84とを備えて構成された装置が提案されている。
【0004】
そして、このような装置を用いて人間の指による触感を検出する場合、指で物を触った際に生ずる指の左右幅の増加量を、第一検出片82や第二検出片83の弾性変形による歪量として検出し、これを荷重の値に変換して、物を触った際の触感として検出できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-232165号公報
【特許文献2】特開2011-133395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような装置では、次のような問題がある。
【0007】
すなわち、上記特許文献に示す装置では、下向きコの字状に開口する開口部に、弾性体で構成された第一検出片82や第二検出片83を延出させるようにしているが、指の太さは人によって異なるため、開口部に太い指を挟み込ませると、第一検出片82や第二検出片83が左右に大きく広がってしまい、塑性変形してしまう。このため、あらかじめ人の指の太さに対応した開口幅を有する装置を複数用意しておかなければならず、コストが高くつくという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献に記載される装置では、第一検出片82と第二検出片83のそれぞれに歪センター84を取り付けるようにしているが、左右両側の第一検出片82や第二検出片83に歪センサー84を取り付けると、製造工程が多くなるばかりでなく、コストが高くつくといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、種々の太さの指に対応できるようにするとともに、コストを低減させることができるようにした触感検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の指の触感検出装置は、上記課題を解決するために、人間の指の先端に装着される基部と、当該基部の両側に設けられた回動部を中心として回動する第一検出片および第二検出片と、当該第一検出片と第二検出片の回動による変化量を検出するセンサーとを備えて構成するようにしたものである。
【0011】
このように構成すれば、第一検出片や第二検出片を回動させて変化量を検出するため、太い指に装着した場合であっても、第一検出片や第二検出片が塑性変形することがなく、指による触感を検出することができるようになる。
【0012】
また、このような発明において、前記第一検出片と第二検出片の隙間に弾性プレートを架橋させ、当該弾性プレートの撓みによる変形量を検出できるようにする。
【0013】
このように構成すれば、最も変化量の大きい部分での撓み量で検出することができるため、その大きな変化量を用いて触感を検出することができるようになる。
【0014】
さらに、前記回動部を、基部との間に設けられたピンで構成する。
【0015】
このように構成すれば、ピンによって第一検出片や第二検出片の位置を固定することができるため、弾性プレートが第一検出片や第二検出片の位置ずれによる誤検出を防止することができる。
【0016】
さらに、前記センサーを、弾性プレートに貼り付けられた歪センサーで構成する。
【0017】
このように構成すれば、一か所に設けられた弾性プレートだけで、指の触感を検出することができ、歪センサーの数を減らしてコストを低減させることができるようになる。
【0018】
また、前記第一検出片または/および第二検出片に、当該第一検出片と第二検出片の隙間を調整するスペーサーを着脱可能に取り付けるようにする。
【0019】
このように構成すれば、細い指に装着して使用する場合であっても、スペーサーを取り付けるだけで触感を検出することができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、人間の指の先端に装着される基部と、当該基部の両側に設けられた回動部を中心として回動する第一検出片および第二検出片と、当該第一検出片と第二検出片の回動による変化量を検出するセンサーとを備えて構成するようにしたので、太い指に装着した場合であっても、第一検出片や第二検出片が塑性変形することがなく、指による触感を検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態における触感検出装置の概略図
【
図2】同形態における指の幅が広がった状態を示す触感検出装置を示す図
【
図3】同形態におけるスペーサーを取り付けた状態を示す図
【
図4】同形態におけるスペーサーの取り付け状態を示す図
【
図5】他の実施の形態における触感検出装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
この実施の形態における触感検出装置1は、
図1に示すように、人間の手の指先に装着して使用されるものであって、指の上から被せるように装着される基部2と、この基部2の左右両側に設けられた回動部22を中心として回動するL字状の第一検出片3および第二検出片4と、この第一検出片3と第二検出片4の間に架橋するように設けられた弾性プレート5と、この弾性プレート5の歪による変形を検出するセンサー6とを備えて構成されたものである。そして、このように構成することによって、人間の指で物を触った際に生ずる指の左右幅の増加量をセンサー6で検出し、これを指の荷重として出力できるようにしたものである。以下、本実施の形態における指の触感検出装置1について詳細に説明する。
【0024】
まず、基部2は、人間の指の上から装着できるようようにしたものであって、コの字形状に開口した開口部20を有するように設けられる。この開口部20の内側には、後述するL字状の第一検出片3や第二検出片4を取り付けるための溝21が形成されており、また、前面および後面を有するように半割されたパーツの対向する溝21に、第一検出片3や第二検出片4を回動可能に取り付けるためのピン22pや穴部22aが設けられている。
【0025】
一方、この基部2に取り付けられる第一検出片3や第二検出片4は、左右対称となるように取り付けられるものであって、略L字形状をなす硬質の部材で構成される。この硬質の部材としては、例えば、セラミック、硬質樹脂、金属などで構成され、指に装着した際に、撓みを生じないような素材が用いられる。この第一検出片3や第二検出片4のうち、回動部22の下方に設けられる挟持片31、41には、指の側面に当接するための当接部31a、41aが設けられており、この当接部31a、41aを基部2の開口部20から内側に表出させて、指を挟み込めるようにしている。また、この当接部31a、41aには、指を挟み込ませる際の左右幅を調整できるようにした穴部32、42が設けられており、この穴部32に種々の大きさのスペーサー7を取り付けられるようにしている。このスペーサー7を取り付ける場合、
図5に示すように、スペーサー7に設けられた突起71を穴部32に嵌合させて、着脱可能に取り付けるようにする。なお、このようなスペーサー7を取り付けていない初期状態においては、左右の当接部31a、41aの隙間を、平均的な指の太さよりも若干広くしておき(隙間幅w)、太い指を挟み込めるようにしておく。
【0026】
一方、この第一検出片3や第二検出片4における回動部22から水平方向に設けられる回動片34、44は、当接部31a、41aによる指の挟み込みによって、上下方向に揺動できるようにしたものであって、対向する回動片34、44の先端に所定の隙間を空けて設けられる。このとき、この回動片34、44は、指を挟み込んでいない初期状態において、回動片34、44の先端側の上面を上向きに傾斜させるようにしておき、その回動片34、44の上面に弾性プレート5を湾曲させた状態で取り付けるようにしている。
【0027】
これらの第一検出片3や第二検出片4を回動可能に支持する回動部22を構成するピン22pは、第一検出片3や第二検出片4のコーナー近傍に設けられた穴部33、43と、基部2に設けられた穴部22aとの間に設けられるものであって、回動中心を固定した状態で第一検出片3や第二検出片4を回動させるようにしている。
【0028】
なお、
図1から
図3においては、ヒンジを構成するピン22pによって回動中心を固定できるようにしているが、
図4に示すように、L字状に屈曲する第一検出片3や第二検出片4の外側コーナー部分や内側コーナー部分を、基部2の溝21のコーナー部24に当接させ、このコーナー部24を中心に第一検出片3や第二検出片4を回動させるようにしてもよい。
【0029】
このように基部2に取り付けられた第一検出片3や第二検出片4の回動片34、44の隙間には、薄板状の弾性プレート5が取り付けられる。この弾性プレート5は、第一検出片3や第二検出片4の回動による撓み量を大きく確保できるように、傾斜する回動片34、44の上面に貼り付けられており、また、傾斜する回動片34、44から円弧状に湾曲するように取り付けられている。これにより、回動部22の回動中心から弾性プレート5までの回転半径を大きくし、回動片34、44を回動させた際における弾性プレート5の撓み量を大きく確保できるようにしている。
【0030】
このように取り付けられた弾性プレート5には、その弾性プレート5の撓み量を検出するためのセンサー6が設けられる。このセンサー6としては、撓み量を検出できるものであれば、どのようなものでも良いが、この実施の形態では、指先の左右幅に収まる大きさを有し、かつ、弾性プレート5の変形量を検出できるものとして、歪ゲージ(歪センサー)が用いられる。この歪ゲージで構成されたセンサー6は、弾性プレート5の撓みに基づく電圧の変化を検出できるようにしたものであって、歪に基づいた抵抗値を変化させ、これをブリッジ回路による電圧の変化として検出できるようにしたものである。このセンサー6は、弾性プレート5の上面と下面の両側に貼り付けられており、これによって、小さな歪量を大きな電圧値として出力できるようにしている。
【0031】
この歪量に基づく電圧値は、荷重の値に変換されて出力される。この電圧の値を荷重に変換する場合、この触感検出装置1を装着した指で荷重計を押圧し、その押圧によって生じた荷重と電圧値とを対応させて記憶させる。そして、これらの値が線形に変化するとみなして、電圧の変化量から荷重を検出して出力させるようにする。
【0032】
次に、このように構成された指の触感検出装置1の使用方法について説明する。
【0033】
まず、この触感検出装置1を使用するに際して、およその指の太さを計測し、その太さに応じた開口幅を有するかどうかをチェックする。このとき、指が開口幅に対して細い場合は、第一検出片3と第二検出片4の穴部31a、41aに対応した大きさのスペーサー7を取り付け、左右の開口幅を狭くしておく(
図3参照)。一方、指の太さが開口幅に対して適正である場合は、スペーサー7を取り付けることなく、そのまま指先に装着する(
図2参照)。
【0034】
このように触感検出装置1を装着すると、基部2の開口部20の上面が爪の上部に接触した状態となり、また、左右の挟持片が指の側面に当たった状態となる。
【0035】
このように指が当たると、第一検出片3と第二検出片4の挟持片31、41は、左右に広がり、回動部22を中心に第一検出片3と第二検出片4が下方に移動する。
【0036】
このように第一検出片3と第二検出片4の回動片34、44が下方に移動すると、第一検出片3や第二検出片4の間に架橋して設けられた弾性プレート5が下向きに湾曲していく。
【0037】
すると、この弾性プレート5の両面に貼り付けられたセンサー6の抵抗値が変化し、これによって、初期の電圧値が出力される。このとき、この初期の電圧値を初期値として記憶させておく。
【0038】
次に、このように初期値を設定した状態で、その指で物を押し付けるように触ると、その接触によって、
図2に示すように、指先の左右幅が増加し、これに伴って、第一検出片3や第二検出片4の挟持片31、41が左右に広がる。
【0039】
すると、回動部22を中心に回動片34、44の先端部分が下方に向けて移動し、弾性プレート5が下向きに大きく湾曲する。
【0040】
このように弾性プレート5が湾曲すると、その弾性プレート5に貼り付けられたセンサー6からの電圧値が変化し、これと初期状態の電圧値の差分をとることによって、その電圧の差を荷重として変換して出力する。
【0041】
このように上記実施の形態によれば、人間の指の先端に装着される基部2と、当該基部2の両側に設けられた回動部22を中心として回動する第一検出片3および第二検出片4と、当該第一検出片3と第二検出片4の回動による変化量を検出するセンサー6とを備えて構成するようにしたので、太い指に装着した場合であっても、第一検出片3や第二検出片4を塑性変形させるようなことがなくなり、指による触感を検出することができるようになる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0043】
例えば、上記実施の形態では、指先に装着して指先の左右幅の変位を検出するようにしたが、左右幅の変位する位置は、指先や第一関節付近では非常に小さくなり、正確な変位を検出することができなくなる。このため、指先の変位幅が大きくなる位置に挟持片31、41を位置させるように、例えば、指先(もしくは爪先)に当接する位置決め部などを設けておき、この位置決め部で指先の装着位置を決めた状態で、挟持片31、41を最も変位しやすい場所に位置させてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、弾性プレート5を変形させて歪ゲージによる電圧変化を検出するようにしたが、光学センサーや荷重センサーなどのような他の種類のセンサーを用いるようにしてもよい。このとき、光センサーを用いる場合は、回動片の変位量などを検出し、また、荷重センサーを用いる場合は、回動片34、44の隙間に荷重センサーを挟み込ませておき、回動片34、44の回動によって隙間幅が狭くなったことによって、荷重を検出できるようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、基部2として下向きコの字状に開口部20を有するものを用いたが、これに限らず、どのような第一検出片3や第二検出片4を保持させるものであれば、どのような形状のものであってもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、触感としての値を、荷重として出力するようにしたが、電圧や歪量など、他のパラメータで出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1・・・触感検出装置
2・・・基部
20・・・開口部
21・・・溝
22・・・回動部
22a・・・穴部
22p・・・ピン
23・・・コーナー
3・・・第一検出片
31・・・挟持片
31a・・・当接部
32・・・穴部
33・・・穴部
34・・・回動片
4・・・第二検出片
41・・・挟持片
41a・・・当接部
42・・・穴部
43・・・穴部
44・・・回動片
5・・・弾性プレート
6・・・センサー
7・・・スペーサー
71・・・突起