(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088764
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】シリンジポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A61M5/145 508
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200773
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹▲崎▼ 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】羽畑 元晴
(72)【発明者】
【氏名】登川 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】武井 通泰
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE06
4C066QQ17
4C066QQ48
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
【課題】シリンジポンプにおいて利用者の負担を軽減するための技術を提供すること。
【解決手段】シリンジポンプは、起動スイッチを含み、さらに、シリンジを保持するためのクランプおよび駆動部を含む。シリンジポンプは、起動スイッチを操作されると(ステップS10にてYES)、当該シリンジポンプの状態を起動状態へと移行させる。シリンジポンプ100は、また、クランプおよび駆動部の中の少なくとも一方の変位を検出すると(ステップS10にてYES)、起動スイッチを操作されなくても、当該シリンジポンプの状態を起動状態へと移行させる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジを保持するための保持部を備えるシリンジポンプであって、
前記保持部の変位を検出する変位検出用センサと、
前記変位検出用センサの検出出力を取得する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記変位検出用センサによって前記保持部の変位が検出されたことに応じて、当該シリンジポンプを起動するように構成されている、シリンジポンプ。
【請求項2】
前記制御部は、前記シリンジポンプの起動時に、前記シリンジポンプの動作チェックを開始するように構成されている、請求項1に記載のシリンジポンプ。
【請求項3】
前記保持部がシリンジを保持する保持状態にあることを検出するための保持状態検出用センサをさらに備え、
前記制御部は、前記動作チェックにおいて前記保持状態検出用センサによって前記保持部が前記保持状態にあることが検出されたことに応じて、所与の情報を報知する、請求項2に記載のシリンジポンプ。
【請求項4】
前記保持部は、シリンジのバレルを保持するための第1保持部と、シリンジのロッドを保持するための第2保持部とを含み、
前記変位検出用センサは、前記第1保持部の変位を検出する第1センサと、前記第2保持部の変位を検出する第2センサとを含み、
前記制御部は、前記第1センサおよび前記第2センサの少なくとも一方によって変位が検出されたことに応じて、前記シリンジポンプを起動するように構成されている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のシリンジポンプ。
【請求項5】
前記制御部は、一定時間前記シリンジポンプに対する操作を検出しないことに応じて、前記シリンジポンプの起動を解除する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシリンジポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリンジポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジポンプの構成を開示した先行文献として、国際公開第2009/113341号(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたシリンジポンプは、種々のセンサを利用して、シリンジ本体およびシリンジ押子のそれぞれがシリンジポンプに正しくセットされていることを検知する機構を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシリンジポンプは、利用者が起動スイッチを操作することによって起動し、当該シリンジポンプの動作チェックを実行するように構成されている。一方で、シリンジポンプが使用される現場では、医療従事者などのシリンジポンプの利用者はやるべきことを多く抱えており、当該利用者の負担を軽減するための技術が求められてきた。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、シリンジポンプにおいて利用者の負担を軽減するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、シリンジを保持するための保持部を備えるシリンジポンプであって、保持部の変位を検出する変位検出用センサと、変位検出用センサの検出出力を取得する制御部と、をさらに備え、制御部は、変位検出用センサによって保持部の変位が検出されたことに応じて、当該シリンジポンプを起動するように構成されている、シリンジポンプが提供される。
【0007】
制御部は、シリンジポンプの起動時に、シリンジポンプの動作チェックを開始するように構成されていてもよい。
【0008】
シリンジポンプは、保持部がシリンジを保持する保持状態にあることを検出するための保持状態検出用センサをさらに備えていてもよい。制御部は、動作チェックにおいて保持状態検出用センサによって保持部が保持状態にあることが検出されたことに応じて、所与の情報を報知してもよい。
【0009】
保持部は、シリンジのバレルを保持するための第1保持部と、シリンジのロッドを保持するための第2保持部とを含んでいてもよい。変位検出用センサは、第1保持部の変位を検出する第1センサと、第2保持部の変位を検出する第2センサとを含んでいてもよい。制御部は、第1センサおよび第2センサの少なくとも一方によって変位が検出されたことに応じて、シリンジポンプを起動するように構成されていてもよい。
【0010】
制御部は、一定時間シリンジポンプに対する操作を検出しないことに応じて、シリンジポンプの起動を解除してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、利用者は、シリンジポンプにシリンジを装着する際にシリンジポンプの保持部を変位させることにより、シリンジポンプを起動させることができる。これにより、利用者は、シリンジポンプの起動のための特別な操作を必要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシリンジポンプ、および、シリンジポンプに取り付けられるシリンジの各々の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1のシリンジポンプを矢印II方向から見た平面図である。
【
図3】
図1のシリンジポンプを矢印III方向から見た正面図である。
【
図4】シリンジポンプにシリンジが取り付けられた状態を示す図である。
【
図5】
図1に示された状態からクランプ112が変位された状態の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示された状態からクランプ112が変位された状態の他の例を示す図である。
【
図7】
図1のシリンジポンプを矢印VII方向から見た側面図である。
【
図8】駆動部120の上面を模式的に示す図を示す。
【
図9】クラッチレバー123の変位を検出するための機構を模式的に示す図ある。
【
図10】クラッチレバー123の変位を検出するための機構を模式的に示す図ある。
【
図11】変位検出用センサ911および変位検出用センサ912の構成を説明するための図である。
【
図12】シリンジポンプ100のハードウェア構成を示す図である。
【
図13】シリンジポンプ100の制御のために実行される処理のフローチャートである。
【
図14】セルフテストの結果を表示する画面の一例を示す図である。
【
図15】セルフテストの結果を表示する画面の他の例を示す図である。
【
図16】セルフテストの結果を表示する画面のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るシリンジポンプについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0014】
[シリンジポンプの外観]
図1は、本発明の一実施形態に係るシリンジポンプ、および、シリンジポンプに取り付けられるシリンジの各々の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1のシリンジポンプを矢印II方向から見た平面図である。
図3は、
図1のシリンジポンプを矢印III方向から見た正面図である。
図4は、シリンジポンプにシリンジが取り付けられた状態を示す図である。
【0015】
図1に示すように、シリンジポンプ100は、シリンジ10に適用されるシリンジポンプである。シリンジ10は、バレル20およびプランジャロッド30を含む。
【0016】
バレル20は、略円筒状の外形を有している。バレル20の先端に注液口22が設けられている。バレル20の後端に第1フランジ21が設けられている。バレル20は、ポリプロピレンなどの透明または半透明の樹脂にて構成されている。バレル20の内側に、薬液が充填される。
【0017】
プランジャロッド30は、バレル20の内側に嵌入され、後端に第2フランジ31を有する。プランジャロッド30の先端側には、バレル20の内周面と摺接するガスケット部32が設けられている。
【0018】
シリンジポンプ100は、シリンジ10の着脱のために、シリンジを保持する要素(後述される、クランプ112および駆動部120)の変位が検出されると、起動するように構成されている。これにより、利用者(たとえば、医療従事者)は、シリンジポンプ100が起動されていない状態でシリンジを装着しようとして上記要素を変位させることにより、シリンジポンプ100を起動させることができる。以下、シリンジポンプ100の構成を詳細に説明する。
【0019】
図1~
図4に示すように、シリンジポンプ100は、操作パネル180を含む。操作パネル180には、起動スイッチ170を含む各種のスイッチと、ディスプレイ181,182とが設けられている。一実現例では、ディスプレイ181には、シリンジ10に充填された薬剤の情報が表示され、ディスプレイ182には、シリンジ10に充填された薬剤の送液(流速等)に関する情報が表示される。ただし、ディスプレイ181,182に表示される情報は、これらに限定されない。ディスプレイ181,182は、タッチパネルによって構成されていてもよく、この場合、利用者は、ディスプレイ181,182をタッチすることによってシリンジポンプ100に情報を入力し得る。
【0020】
シリンジポンプ100は、バレル受け部110と、駆動部120とを含む。
【0021】
バレル受け部110には、バレル20が載置される。バレル受け部110は、バレル20の外周面の下側部分と接する凹面部を有している。バレル受け部110の後端には、溝部111が設けられている。
【0022】
溝部111には、押さえ板119が挿入されている。溝部111には、押さえ板119を
図2の左向き(駆動部120とは反対側)に向けて付勢する部材(図示略)が配置されている。バレル受け部110の本体には、ホール素子131が設けられ、押さえ板119には、磁石132が埋め込まれている。第1フランジ21は、ホール素子131と磁石132(押さえ板119)との間に挿入される。
【0023】
シリンジポンプ100は、駆動部120をさらに含む。駆動部120は、連結部124によってバレル受け部110と連結される。連結部124は、伸縮可能であり、これにより、バレル受け部110と駆動部120との間の距離は変更され得る。
【0024】
駆動部120は、第2フランジ31を押圧する押圧面121、および、第2フランジ31を押圧面121と挟持して保持する可動爪部122を有している。可動爪部122は、ばねなどの付勢機構により押圧面121に接近する方向に付勢されている。駆動部120は、バレル20に向かってプランジャロッド30を移動可能に保持する。両矢印D1は、駆動部120の移動方向を表す。駆動部120によって、プランジャロッド30がバレル20に向かって移動させられることにより、バレル20内の薬液が注液口22からチューブ内に注入される。
図1中の矢印D3は、両矢印D1で示される方向のうち、駆動部120がバレル受け部110から離れる向きを表す。矢印D3については、
図12を参照して後述する。
【0025】
シリンジポンプ100は、押圧センサ140をさらに含む。押圧センサ140は、押圧面121において、第2フリンジ31等の部材による押圧の有無を検出する。
【0026】
駆動部120は、プランジャロッド30を着脱する際に、プランジャロッド30の延在方向における、駆動部120自体の位置および可動爪部122の位置を、手動で調整するためのクラッチレバー123をさらに有している。具体的には、クラッチレバー123を一方向に回動させることにより、駆動部120は手動で移動することが規制されるロック状態になるとともに、可動爪部122は押圧面121側に付勢された状態で維持される。クラッチレバー123を他方向に回動させることにより、駆動部120はアンロック状態になるとともに、可動爪部122は付勢力に抗して押圧面121から離間するように移動させられる。
【0027】
なお、駆動部120の構成は上記に限られず、駆動部120は、第2フランジ31を押圧する押圧面121、および、第2フランジ31を押圧面121との間に収容する固定爪部を有していてもよい。
【0028】
シリンジポンプ100は、バレル受け部110の上方に、クランプ112を含む。クランプ112は、両矢印R0方向に回動し、上下方向(両矢印D2方向)に伸縮可能である。クランプ112は、伸縮部112Aと羽根部112Xを含む。
【0029】
図5は、
図1に示された状態からクランプ112が変位された状態の一例を示す図である。
図6は、
図1に示された状態からクランプ112が変位された状態の他の例を示す図である。
【0030】
利用者(たとえば、医療従事者)が、
図1に示された状態のクランプ112を両矢印R0方向に回動させると、クランプ112は、
図5に示された状態へと変位する。
図1では、羽根部112Xは、バレル受け部110の長手方向に沿うように向いていたのに対し、
図5では、羽根部112Xは、バレル受け部110の長手方向に交わる方向に向いている。
【0031】
利用者が、
図5に示された状態のクランプ112を両矢印D2方向(下向き)に移動させると、クランプ112は、
図6に示された状態へと変位する。
図6に示された状態では、
図5に示された状態に対して、伸縮部112Aが圧縮され、羽根部112Xが下方に位置している。これにより、シリンジ10が、バレル受け部110と羽根部112Xとによって、確実に保持され得る。
【0032】
次に、駆動部120の変位を検出する機構について説明する。
図7は、
図1のシリンジポンプを矢印VII方向から見た側面図である。
図7では、クラッチレバー123の回動方向が両矢印R1で示されている。
【0033】
シリンジポンプ100は、駆動部120の両矢印D1(
図1)方向の移動を検出するための変位検出用センサ921を含む。変位検出用センサ921は、投光器921Aと受光器921Bを含む。駆動部120には、板体120Xを含む。
【0034】
図8は、駆動部120の上面を模式的に示す図を示す。板体120Xの水平面における寸法は、両矢印D1方向に沿って変化している。駆動部120が両矢印D1方向に移動することにより、投光器921Aから放射された光のうち板体120Xによって遮蔽される光の量が変化し、これにより、受光器921Bにおける投光器921Aからの光の受光量が変化する。したがって、シリンジポンプ100では、変位検出用センサ921の検出出力に基づいて、駆動部120が両矢印D1方向に変位したことが検出され得る。
【0035】
次に、クラッチレバー123の変位を検出するための機構について説明する。
図9および
図10のそれぞれは、クラッチレバー123の変位を検出するための機構を模式的に示す図ある。
【0036】
シリンジポンプ100は、クラッチレバー123と連動して移動する要素123Aと、投光器161と、受光器162とを含む。投光器161と受光器162とによって、変位検出用センサ160が構成される。要素123A、投光器161、および受光器162は、駆動部120の内部に収容されていてもよい。
【0037】
要素123Aがクラッチレバー123に連動して移動可能であるのに対し、投光器161および受光器162は固定されている。
図9および
図10において、光軸L1は、投光器161から受光器162に向けて放出される光の軸を表し、両矢印D4は、要素123Aの移動方向を表す。要素123Aは、不透明の樹脂など、投光器161から放出された光を遮蔽する部材によって構成される。
【0038】
図9は、クラッチレバー123が駆動部120のロックを解除している状態を表し、
図10は、クラッチレバー123が駆動部120をロックしている状態を表す。クラッチレバー123が駆動部120のロックを解除している状態(
図9)では、要素123Aは投光器161から放出される光を遮蔽しないが、クラッチレバー123が駆動部120をロックしている状態(
図10)では、要素123Aは投光器161から放出された光を遮蔽する。投光器161から放出された光のうち要素123Aによって遮蔽される量は、要素123Aの位置に応じて変化し得る。これにより、シリンジポンプ100では、受光器162の受光量に基づいて、クラッチレバー123の変位が検出され得る。
【0039】
次に、クランプ112の変位を検出するための機構について説明する。
図11は、変位検出用センサ911および変位検出用センサ912の構成を説明するための図である。シリンジポンプ100は、クランプ112の両矢印R0方向の回転による変位を検出するための変位検出用センサ911と、クランプ112の上下方向(両矢印D2方向)の変位を検出するための変位検出用センサ912とを含む。変位検出用センサ911,912は、バレル受け部110の内部に収容されている。
【0040】
図11に示されるように、変位検出用センサ911は、投光器911Aと受光器911Bを含み、変位検出用センサ912は、投光器912Aと受光器912Bを含む。
【0041】
図11には、クランプ112の軸112Bが示されている。軸112Bは、伸縮部112Aの下方に接続されている。軸112Bには、投光器911Aと受光器911Bとの間に位置する板体1121と、投光器912Aと受光器912Bとの間に位置する板体1122とが取り付けられている。
【0042】
板体1121において、投光器911Aと受光器911Bの間に位置する部分の面積は、クランプ112の両矢印R0方向の回転に応じて変化する。これにより、シリンジポンプ100では、変位検出用センサ911の検出出力に基づいて、クランプ112の両矢印R0方向の変位が検出され得る。
【0043】
板体1122において、投光器912Aと受光器912Bの間に位置する部分の面積は、クランプ112の両矢印D2方向の変位に応じて変化する。これにより、シリンジポンプ100では、変位検出用センサ912の検出出力に基づいて、クランプ112の両矢印D2方向の変位が検出され得る。
【0044】
[シリンジポンプのハードウェア構成]
図12は、シリンジポンプ100のハードウェア構成を示す図である。シリンジポンプ100は、当該シリンジポンプ100の動作を制御する制御ユニット150を含む。制御ユニット150は、所与のプログラムを実行するプロセッサ151と、プロセッサ151が実行するプログラムおよび当該プログラムの実行に必要な種々のデータを格納するメモリ152とを含む。シリンジポンプ100では、プロセッサ151が所与のプログラムを実行することによって、本明細書に記載された動作が実現される。なお、シリンジポンプ100は、プロセッサ151の代わりに、もしくは、プロセッサ151に加えて、ASIC(application specific integrated circuit)またはFPGA(field-programmable gate array)などの専用回路を含んでいてもよい。
【0045】
シリンジポンプ100は、外部機器と通信するためのインターフェース101を含む。通信は有線であってもよく、この場合、インターフェース101はUSB(Universal Serial Bus)インターフェースであってもよい。通信は無線であってもよく、この場合、インターフェース101はネットワークカードであってもよい。通信は無線と有線の双方であってもよい。
【0046】
シリンジポンプ100は、ポテンショメータ114,126を含む。ポテンショメータ114は、クランプ112(羽根部112X)の両矢印D2方向の位置に応じた電圧値を出力する。ポテンショメータ126は、駆動部120の両矢印D1方向の位置に応じた電圧値を出力する。ポテンショメータ114,126の双方は、制御ユニット150へ電圧値を出力する。ここで、ポテンショメータ114,126の検出出力の利用方法について説明する。
【0047】
制御ユニット150のプロセッサ151は、ポテンショメータ126からの電圧値に基づいて駆動部120の両矢印D1方向の位置を特定する。駆動部120にプランジャロッド30がセットされている場合、駆動部120の位置に従ってプランジャロッド30の位置が変化する。メモリ152には、シリンジのサイズと電圧値(プランジャロッド30の位置)の組合せに応じた、シリンジ内の薬剤の残量が格納されていてもよく、プロセッサ151は、ポテンショメータ126からの電圧値に応じた薬剤の残量を出力してもよい。
【0048】
プロセッサ151は、ポテンショメータ114からの電圧値に基づいてクランプ112の両矢印D2方向の位置を特定する。メモリ152には、シリンジのサイズに応じた電圧値が格納されていてもよく、プロセッサ151は、ポテンショメータ126からの電圧値に応じたシリンジのサイズ(たとえば、10mL用シリンジ、20mL用シリンジなど)を出力してもよい。一実現例では、利用者は、シリンジ10のバレル20をバレル受け部110にセットした後、バレル20に当接する位置までクランプ112(の羽根部112X)を下降させる。これにより、クランプ112(の羽根部112X)の両矢印D2方向の位置は、バレル20の径に応じて変化し、これにより、バレル20のサイズに応じて変化する。
【0049】
シリンジポンプ100は、フォースセンサ127を含む。フォースセンサ127は、駆動部120に対して
図1の矢印D3の向きに印加される力の大きさを、検出して制御ユニット150へ出力する。ホール素子131も、また、それぞれの検出結果を制御ユニット150へ出力する。
【0050】
シリンジポンプ100は、モータ128を含む。制御ユニット150は、駆動部120を両矢印D1方向に移動させるために、モータ128を駆動する。
【0051】
シリンジポンプ100は、ロータリエンコーダ129を含む。ロータリエンコーダ129は、モータ128の回転量を、検出して制御ユニット150へ出力する。
【0052】
操作パネル180は、制御ユニット150に接続されている。プロセッサ151には、起動スイッチ170を含む、操作パネル180内の各種のスイッチへの操作に応じた信号が入力される。プロセッサ151は、ディスプレイ181,182の表示を制御する。
【0053】
変位検出用センサ160,911,912,921のそれぞれは制御ユニット150と接続されている。プロセッサ151は、変位検出用センサ160,911,912,921のそれぞれからの検出出力を取得する。
【0054】
[シリンジポンプのセルフテスト]
シリンジポンプ100において、プロセッサ151は、当該シリンジポンプ100の動作チェックを実施する。本明細書では、当該動作チェックを「セルフテスト」と呼ぶ。
【0055】
シリンジポンプ100は、セルフテストにおいていかなる項目のチェックを実行してもよいが、一実現例では、セルフテストにおいて以下の(1)~(8)の各項目のチェックを実行する。
【0056】
(1)バレル検出用センサチェック
プロセッサ151は、「バレル検出用センサチェック」として、バレル受け部110へのバレル20の載置の有無を検出するためのセンサ(ホール素子131)の動作をチェックする。
【0057】
バレル受け部110にバレル20がセットされていない状態では、磁石132の磁束がホール素子131に届く。一方、バレル受け部110にバレル20がセットされている状態では、押さえ板119がバレル20の第1フランジ21によって、
図2の右側(駆動部120が位置する側)に向けて付勢され、これにより、バレル受け部110にバレル20がセットされていない状態よりも、ホール素子131と磁石132との間の距離が長くなる。これにより、磁石132の磁束は、ホール素子131に届かなくなる。
【0058】
「バレル検出用センサチェック」において、プロセッサ151は、ホール素子131が磁石132の磁束を検出していれば、ホール素子131の動作が正常であると判断し、磁束を検出していなければ異常であると判断する。これにより、ホール素子131が磁束を検出できない状態にある場合、または、「バレル検出用センサチェック」が実行されたときにバレル受け部110にバレル20がセットされていた場合、ホール素子131の動作が異常であると判断される。
【0059】
(2)クラッチ検出用センサチェック
プロセッサ151は、「クラッチ検出用センサチェック」として、クラッチレバー123の状態(ロック/ロック解除)を検出するためのセンサ(変位検出用センサ160)の動作をチェックする。
【0060】
「クラッチ検出用センサチェック」において、プロセッサ151は、投光器161から放出された光を受光器162が検出すること、および、投光器161が光を放出しない状態で受光器162が光を検出しないこと、を確認する。より具体的には、プロセッサ151は、投光器161に光の放出を指示したときの受光器162の検出出力が投光器161からの光を検出したことを表すものであり、かつ、投光器161に光を放出しないことを指示したときの受光器162の検出出力が投光器161からの光を検出しないことを表すものである場合、変位検出用センサ160の動作が正常であると判断する。一方、プロセッサ151は、投光器161に光の放出を指示したときの受光器162の検出出力が投光器161からの光を検出しないことを表すものであるか、または、投光器161に光を放出しないことを指示したときの受光器162の検出出力が投光器161からの光を検出したことを表すものである場合、変位検出用センサ160の動作が異常であると判断する。
【0061】
(3)押し子検出用センサチェック
プロセッサ151は、「押し子検出用センサチェック」として、第2フランジ31等の要素による押圧を検出するためのセンサ(押圧センサ140)の動作をチェックする。
【0062】
一実現例では、押圧センサ140は、0.0Vから5.0Vの範囲の電圧値を出力可能であり、押圧されていない状態にあるときには1.0Vの電圧値を出力し、そして、押圧されている状態にあるときには4.0Vの電圧値を出力する、ように構成されている。セルフテストにおいて、プロセッサ151は、押圧センサ140から出力される電圧値が1.0V~4.0Vの範囲内であれば、押圧センサ140の動作が正常であると判断し、当該範囲の外であれば異常であると判断する。
【0063】
(4)シリンジサイズ検出用センサチェック
プロセッサ151は、「シリンジサイズ検出用センサチェック」として、バレル受け部110上に載置されたシリンジのサイズを検出するためのセンサ(ポテンショメータ114)の動作をチェックする。
【0064】
一実現例では、ポテンショメータ114は、0.0Vから5.0Vの範囲の電圧値を出力可能であり、そして、バレル20のサイズに応じて1.0Vから4.0Vの電圧値を出力する、ように構成されている。セルフテストにおいて、プロセッサ151は、ポテンショメータ114から出力される電圧値が1.0V~4.0Vの範囲内であれば、ポテンショメータ114の動作が正常であると判断し、当該範囲の外であれば異常であると判断する。
【0065】
(5)駆動部位置検出用センサチェック
プロセッサ151は、「駆動部位置検出用センサチェック」として、駆動部120の両矢印D1方向の位置を検出するためのセンサ(ポテンショメータ126)の動作をチェックする。
【0066】
一実現例では、ポテンショメータ126は、0.0Vから5.0Vの範囲の電圧値を出力可能であり、そして、駆動部120の位置に応じて1.0V~4.0Vの電圧値を出力する、ように構成されている。セルフテストにおいて、プロセッサ151は、ポテンショメータ126から出力される電圧値が1.0V~4.0Vの範囲内であれば、ポテンショメータ126の動作が正常であると判断し、当該範囲の外であれば異常であると判断する。
【0067】
(6)閉塞検出用センサチェック
プロセッサ151は、「閉塞検出用センサチェック」として、シリンジ10に充填された薬剤の流路における閉塞の有無を検出するためのセンサ(フォースセンサ127)の動作をチェックする。
【0068】
一実現例では、フォースセンサ127は、0.0Vから5.0Vの範囲の電圧値を出力可能であり、上記流路において閉塞が発生していない状態では1.0Vの電圧値を出力し、そして、上記流路において閉塞が発生している状態では閉塞の程度に応じて、1.0Vを超える所与の値から4.0Vまでの電圧値を出力する、ように構成されている。セルフテストにおいて、プロセッサ151は、フォースセンサ127から出力される電圧値が1.0V~4.0Vの範囲内であれば、フォースセンサ127の動作が正常であると判断し、当該範囲の外であれば異常であると判断する。
【0069】
(7)モータ駆動チェック
プロセッサ151は、「モータ駆動チェック」としてモータ128の動作をチェックする。より具体的には、セルフテストにおいて、プロセッサ151は、モータ128に所与の駆動力を一定時間印加し、ロータリエンコーダ129の検出出力に基づいて当該一定時間におけるモータ128の回転量を特定する。メモリ152には、モータ128の回転量に関する基準値が格納されている。プロセッサ151は、特定した回転量とメモリ152内の基準値との差異が一定値未満であれば、モータ128の動作は正常であると判断シ、一定値以上であれば異常であると判断する。
【0070】
(8)シリンジ未装着状態検出
プロセッサ151は、「シリンジ未装着状態検出」として、セルフテストがシリンジポンプ100においてシリンジ10の装着状態をチェックする。
【0071】
一実現例では、プロセッサ151は、セルフテストにおいて、ホール素子131が磁石132の磁束を検出せず、かつ、押圧センサ140が出力する電圧値が4.0V(押圧されている状態に相当する電圧値)である場合には、シリンジ10が装着されていると判断する。一方、ホール素子131が磁石132の磁束を検出していること、および、押圧センサ140が出力する電圧値が4.0Vより低い値(押圧されていない状態に相当する電圧値)である場合には、シリンジ10が装着されていない状態であると判断する。
【0072】
セルフテストは、シリンジ10が装着されていない状態で行われることが好ましい場合、プロセッサ151は、セルフテスト開始時にシリンジ10が装着されていたと判断すると、
図16を参照して後述されるように、その旨のメッセージを出力してもよい。
【0073】
[処理の流れ]
図13は、シリンジポンプ100の制御のために実行される処理のフローチャートである。シリンジポンプ100では、プロセッサ151が所与のプログラムを実行することによって、
図13に示された処理が実現されてもよい。
【0074】
一実現例では、
図13の処理は、シリンジポンプ100が、商用電源に接続され、かつ、スリープ状態にあるときに開始される。スリープ状態とは、制御ユニット150、クランプ112の変位を検出するためのセンサ(変位検出用センサ911,912)、および、駆動部120の変位を検出するためのセンサ(変位検出用センサ921)には電源が投入されているが、それら以外の少なくとも一つの要素には電源が投入されていない状態を意味する。なお、後述するように、クランプ112および駆動部120のうち少なくとも一方の変位が検出されると、シリンジポンプ100は、起動され、これにより起動状態へと以降する。起動状態では、スリープ状態において電源を投入されていなかった要素にも電源が投入される。
【0075】
ステップS10にて、シリンジポンプ100は、起動スイッチ170が操作されたか、または、クランプ112および駆動部120のうち少なくとも一方の変位が検出されたか否かを判断する。シリンジポンプ100は、変位検出用センサ911および変位検出用センサ912からの検出出力に基づいてクランプ112の変位の有無を判断し、変位検出用センサ921からの検出出力に基づいて駆動部120の変位の有無を判断する。
【0076】
シリンジポンプ100は、起動スイッチ170が操作されたか、または、クランプ112および駆動部120のうち少なくとも一方の変位が検出された、と判断するまで、一定時間ごとにステップS10の制御を繰り返す(ステップS10にてNO)。シリンジポンプ100は、起動スイッチ170が操作されたか、または、クランプ112および駆動部120のうち少なくとも一方の変位が検出された、と判断すると(ステップS10にてYES)、ステップS12へ制御を進める。
【0077】
ステップS12にて、シリンジポンプ100は、当該シリンジポンプ100を起動する。これにより、シリンジポンプ100は、スリープ状態から起動状態へと移行する。
【0078】
ステップS14にて、シリンジポンプ100は、セルフテストを開始する。
【0079】
ステップS16にて、シリンジポンプ100は、セルフテストが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると(ステップS16にてYES)、ステップS18へ制御を進める。
【0080】
ステップS18にて、シリンジポンプ100は、セルフテストの結果をディスプレイ182に表示する。
【0081】
ステップS20にて、シリンジポンプ100は、指示に応じた動作を実行する。シリンジポンプ100に対する指示は、操作パネル180から入力されてもよいし、外部機器から入力されてもよい。
【0082】
ステップS22にて、シリンジポンプ100は、起動スイッチ170が操作されたか否かを判断し、操作されたと判断すると(ステップS22にてYES)、ステップS26へ制御を進め、そうでなければ(ステップS22にてNO)、ステップS24へ制御を進める。
【0083】
ステップS24にて、シリンジポンプ100は、一定時間以上シリンジポンプ100に対する操作が無い状態が発生したか否かを判断する。シリンジポンプ100は、当該状態が発生していないと判断すると(ステップS24にてNO)、ステップS20へ制御を戻し、発生したと判断すると(ステップS24にてYES)、ステップS26へ制御を進める。
【0084】
一実現例では、ステップS24における「操作」は、操作パネル180に対する操作、および、クランプ112または駆動部120の移動を含む。すなわち、利用者が、一定時間以上、操作パネル180を操作せず、クランプ112を移動させず、かつ、駆動部120を移動させなければ、制御は、ステップS24からステップS26へと進められる。
【0085】
ステップS26にて、シリンジポンプ100は、当該シリンジポンプ100の状態を起動状態からスリープ状態へと移行させる。これにより、シリンジポンプ100の起動が解除される。その後、シリンジポンプ100は、ステップS10へ制御を戻す。
【0086】
以上、
図13を参照して説明された処理では、利用者が、起動スイッチ170を操作するか、または、クランプ112または駆動部120を移動させると、シリンジポンプ100が起動し(ステップS12)、セルフテストを開始する(ステップS14)。
【0087】
図14は、セルフテストの結果を表示する画面の一例を示す図である。画面1200は、セルフテストの各項目の結果を表示する欄1210と、ボタン1222とを含む。
【0088】
シリンジポンプ100は、欄1210において、セルフテストについて上述した項目(1)~(8)の結果を表示する。より具体的には、シリンジポンプ100は、項目(1)~(7)については、チェックの結果が「正常」であれば結果として「OK」を表示し、「異常」であれば結果として「NG」を表示する。シリンジポンプ100は、項目(8)については、セルフテスト開始時にシリンジ10が装着されていなかったと判断した場合には「OK」を表示し、装着されていたと判断した場合には「NG」と判断する。
図14の例では、(1)~(8)のすべての項目の結果として「OK」が表示されている。
【0089】
ボタン1222は、セルフテストの再実施を指示するためのボタンである。シリンジポンプ100は、セルフテスト終了後、特定の時間だけ画面1200を表示した後、ディスプレイ182に他の内容を表示してもよい。これにより、利用者は、画面1200が表示されている期間だけ、ボタン1222を操作することにより、シリンジポンプ100にセルフテストの再実施を指示し得る。セルフテストの再実施が指示されると、
図13において、シリンジポンプ100は、ステップS18からステップS14へ制御を戻し、ステップS14にて、再度セルフテストを開始する。
【0090】
図15は、セルフテストの結果を表示する画面の他の例を示す図である。画面1300は、画面1200の欄1210の代わりに、欄1310を含む。欄1310は、結果「NG」を含む。より具体的には、欄1310では、「(8)シリンジ未装着状態検出」の結果が「NG」であり、このことは、セルフテスト開始時にシリンジ10が装着されていたことを表す。
【0091】
欄1310は、枠1311をさらに含む。枠1311は、結果が「NG」であった項目を強調する。
【0092】
図16は、セルフテストの結果を表示する画面のさらに他の例を示す図である。画面1400は、「(8)シリンジ未装着状態検出」の結果が「NG」であることを表すメッセージ1401をさらに含む。シリンジポンプ100では、シリンジ10が装着されていない状態でセルフテストが実施されることが好ましいと考えられる場合があり、このような場合、メッセージ1401の表示によって、利用者は、シリンジ10が装着されていない状態でセルフテストを再度開始する指示を入力することを促される。
【0093】
[まとめ]
以上説明された本実施の形態では、クランプ112によって、シリンジ10を保持するための保持部の一例が構成される。また、駆動部120によって、保持部の他の例が構成される。
【0094】
スリープ状態において、クランプ112および駆動部120の少なくとも一方の変位が検出されると、起動スイッチ170が操作されなくても、シリンジポンプ100の状態が起動状態へと移行される。これにより、利用者は、シリンジ10をシリンジポンプ100にセットするためにクランプ112または駆動部120を変位させることによって、起動スイッチ170を操作しなくても、シリンジポンプ100を起動させることができる。
【0095】
図13の処理では、シリンジポンプ100は、起動すると、利用者からの指示を必要とすることなくセルフテストを開始したが、起動後、利用者からの指示を待ってセルフテストを開始してもよい。
【0096】
スリープ状態におけるクランプ112の変位は、変位検出用センサ911,912以外のセンサによって検出されてもよい。より具体的には、変位検出用センサ911,912は省略されてもよく、スリープ状態におけるクランプ112の変位は、バレル20の寸法を検出するためのセンサ(ポテンショメータ114)からの検出出力を用いて判断されてもよい。すなわち、シリンジポンプ100は、スリープ状態においてポテンショメータ114からの出力値が変化したときに、クランプ112が変位したと判断してもよい。この場合、板体1121,1122も省略され得る。
【0097】
スリープ状態における駆動部120の変位は、変位検出用センサ921以外のセンサによって検出されてもよい。より具体的には、変位検出用センサ921は省略されてもよく、スリープ状態における駆動部120の変位は、駆動部120の位置を検出するためのセンサ(ポテンショメータ126)の検出出力を用いて判断されてもよい。すなわち、シリンジポンプ100は、スリープ状態においてポテンショメータ126からの出力値が変化したときに、駆動部120が変位したと判断してもよい。この場合、板体120Xも省略され得る。
【0098】
本実施の形態では、セルフテストの開始時のホール素子131および押圧センサ140の検出出力に基づいて、セルフテストの開始時にシリンジポンプ100にシリンジ10が装着されていたか否かが判断され、その結果表示される。この意味において、ホール素子131と押圧センサ140とによって、保持状態検出用センサの一例が構成される。
【0099】
押圧センサ140を利用した第2フリンジ31等の部材による押圧の有無の検出は、
図9および
図10を参照して説明されたような投光器と受光器を利用した検出に代用されるように変形されてもよい。
【0100】
この変形例では、押圧センサ140が設けられていた面に、押圧センサ140の代わりに、ボタンが設けられる。当該ボタンは、第2フリンジ31等の部材による押圧によって、駆動部120の内部に収納されるように変位する。駆動部120内部には、当該ボタンの変位(駆動部120の内部への収納)に応じて変位する板体が設けられる。駆動部120内部には、さらに、投光器と受光器とが設けられる。
【0101】
この変形例における投光器、受光器、および板体の関係は、
図9および
図10を参照して説明された例における投光器161、受光器162、および要素123Aの関係と同じである。この変形例では、上記ボタンが、押圧されることなく駆動部120外に位置するときには、板体は投光器から放出された光を遮らない。これにより、受光器は投光器から放出された光を検出できる。一方、上記ボタンが押圧されることにより駆動部120内に収容されると、板体は投光器から放出された光を遮る。これにより、受光器は投光器から放出された光の少なくとも一部を検出できなくなる。すなわち、この変形例では、プロセッサ151は、駆動部120内の投光器に光を放出させた状態での受光器の検出出力に基づいて、上記ボタンが何らかの部材に押圧されているか否かを判断することができ、これにより、駆動部120に第2フリンジ31等の部材がセットされているか否かを判断できる。
【0102】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0103】
10 シリンジ、100 シリンジポンプ、112 クランプ、120 駆動部、131 ホール素子、132 磁石、140 押圧センサ、150 制御ユニット。