(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008880
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】開口部を用いた光検出器における雑音の制限
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164520
(22)【出願日】2021-10-06
(62)【分割の表示】P 2019514101の分割
【原出願日】2017-10-04
(31)【優先権主張番号】15/292,251
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ,ピエール-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ガッサン,ブレイズ
(72)【発明者】
【氏名】オナル,ケイナー
(72)【発明者】
【氏名】ハチソン,デイビッド
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084BB02
5J084BB20
5J084BB28
5J084BB35
5J084BB37
5J084DA01
5J084EA02
(57)【要約】
【課題】開口部を用いた光検出器における雑音を制限する。
【解決手段】1つの実施形態例は、システムを含む。システムは、シーンに対して配置され、シーンからの光を焦点面に集束するように構成されたレンズを含む。システムは、レンズの焦点面に配置された不透明材料内に画定された開口部も含む。開口部は断面積を有する。またシステムは、焦点面に対してレンズと反対の側に配置され、レンズによって集束され開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイを含む。発散光を遮断する光検出器のアレイの断面積は、開口部の断面積よりも大きい。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーンに対して配置され、前記シーンからの光を焦点面に集束するように構成されたレンズと、
前記レンズの前記焦点面に配置された不透明材料内に画定された、断面積を有する開口部と、
前記焦点面に対し前記レンズと反対の側に配置され、前記レンズによって集束され前記開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイであって、前記発散光を遮断する断面積が前記開口部の前記断面積よりも大きい、光検出器のアレイと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記光検出器のアレイは、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アレイ内の前記光検出器は、互いに並列に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記開口部の前記断面積は調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記不透明材料は、前記開口部の前記断面積を定めるように構成されたアイリスを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記不透明材料は、2つの偏光子を有するパターン化導電性電極アレイと、前記2つの偏光子の間に配置された1または複数のアライメント層と、前記2つの偏光子の間に配置された液晶層とを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記シーンからの前記光は、光検出測距(LIDAR)システムの送信器によって照明される1または複数の物体によって散乱された光である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記開口部を通って伝送された前記シーンからの前記光を、前記光検出器のアレイへ向けて反射するように構成された鏡を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光検出器は、ある波長範囲内の光を感知可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光検出器は、赤外波長を有する光を感知可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
1または複数の波長範囲内である前記シーンからの光が前記開口部を通過しないように、前記1または複数の波長範囲内である前記シーンからの前記光を前記開口部から逸らすように構成されたフィルタを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記不透明材料は、不透明マスクを重ねたガラス基板を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記不透明材料は金属を備え、前記金属は、前記開口部を画定するためにエッチングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
各光検出器は、200μm2~600μm2の断面積を占める、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記光検出器のアレイと前記開口部との間に配置された拡散体を更に備え、前記拡散体は、前記開口部を通って伝送された前記シーンからの前記光を、前記光検出器のアレイ全体に均等に拡散するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記開口部は、2つ以上の開口部のセットから選択可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記2つ以上の開口部のセットから選択するように前記シーンからの前記光を前記開口部へ向けるために調整可能な1または複数の微小電気機械システム(MEMS)鏡を更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記開口部は非円形状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記開口部と前記光検出器のアレイとの間に配置され、前記開口部を通って伝送された前記発散光を内面全反射する構造を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記焦点面における前記開口部の位置が調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記開口部は、選択的に切替え可能なMEMS鏡のアレイを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
シーンに対して配置されたレンズによって、前記シーンからの光を焦点面に集束することと、
前記レンズの前記焦点面に配置された不透明材料内に画定された、断面積を有する開口部を通して、前記シーンからの前記光を伝送することと、
前記開口部を通って伝送された前記シーンからの前記光によって発散することと、
前記焦点面に対して前記レンズと反対の側面に配置された光検出器のアレイによって、前記シーンからの前記発散光を遮断することであって、前記シーンからの前記発散光を遮断する前記光検出器のアレイの断面積は、前記開口部の前記断面積よりも大きいことと、
前記光検出器のアレイによって、前記遮断された光を検出することと
を備える方法。
【請求項23】
光検出測距(LIDAR)デバイスであって、
光によってシーンを照明するように構成されたLIDAR送信器と、
前記シーンをマッピングするために前記シーン内の1または複数の物体によって散乱された光を受け取るように構成されたLIDAR受信器と
を備え、前記LIDAR受信器は、
前記シーン内の前記1または複数の物体によって散乱された前記光を焦点面に集束するように構成されたレンズと、
前記焦点面に配置された不透明材料内に画定され、断面積を有する開口部と、
前記焦点面に対し前記レンズと反対の側に配置され、前記レンズによって集束され前記開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイであって、前記発散光を遮断する断面積が前記開口部の前記断面積よりも大きい光検出器のアレイとを備える、
LIDARデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2016年10月13日に出願された米国特許出願第15/292,251号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002] 特に記載されない限り、このセクションに記載される事項は、本出願のクレームに対する先行技術ではなく、またこのセクションに包含することによって先行技術として認められるものではない。
【0003】
[0003] たとえばフォトダイオード、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、または他の種類のアバランシェフォトダイオード(APD)などの光検出器は、(たとえば、光の強度に対応する電圧または電流などの電気信号を出力することによって)それらの表面に伝わる光を検出するために用いられ得る。多くの種類のそのようなデバイスは、たとえばシリコンなどの半導体材料から製造される。広い幾何面積にわたり光を検出するために、複数の光検出器が並列に接続されたアレイに配置され得る。これらのアレイは場合によっては、シリコン光電子増倍管(SiPM)またはマルチピクセル光子計数管(MPPC)と称される。
【0004】
[0004] 上記構成のいくつかは、比較的低い強度の光を感知可能であることによって検出品質を向上させる。ただし、それによって上記構成は、不利な背景効果の影響を不釣合に受けやすくもなり得る(たとえば、外部光源からの外来光が光検出器による測定に影響を及ぼし得る)。よって、光検出に影響を及ぼす背景効果を低減するための方法またはデバイスが、そのような光検出器によって行われる測定の精度を向上させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本明細書および図面は、開口部を用いた光検出器における雑音の制限に関する実施形態を開示する。
【0006】
[0006] 光検出システムの例は、レンズ、開口部、および光検出器のアレイを含んでよい。開口部は、レンズの焦点面に設けられてよく、レンズは、シーン内の物体によって散乱された光を集束してよい。開口部は、レンズの焦点面において伝送される光の量を制限することによって、光検出器のアレイへ伝送される光の量を制限してよい。開口部を通って伝送される光の量を制限することによって、開口部は、アレイへ伝送される背景光を低減してよい。開口部を通過した後、光は、アレイに接近するにつれて発散し得る。光はその後、アレイ内の光検出器の一部によって遮断され検出され得る。開口部を通過した後に光を発散させることによって、焦点面における光の同じ断面積と比べて、アレイの検出面積は増加する(すなわち、アレイの検出断面積は、開口部の断面積よりも大きい)。したがって、より多い数の光検出器が検出面積を覆い、光検出器のアレイの動的範囲、感度、または撮像分解能を増加させることができる。
【0007】
[0007] 第1の態様において、本開示は、システムを説明する。システムは、シーンに対して配置され、シーンからの光を焦点面に集束するように構成されたレンズを含む。システムは、レンズの焦点面に配置された不透明材料内に画定された開口部も含む。開口部は断面積を有する。システムは更に、焦点面に対してレンズと反対の側に配置され、レンズによって集束され開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイを含む。発散光を遮断する光検出器のアレイの断面積は、開口部の断面積よりも大きい。
【0008】
[0008] 第2の態様において、本開示は、方法を説明する。方法は、シーンに対して配置されたレンズによって、シーンからの光を焦点面に集束することを含む。方法は、レンズの焦点面に配置された不透明材料内に画定された開口部を通して、シーンからの光を伝送することも含む。開口部は断面積を有する。方法は更に、開口部を通って伝送されたシーンからの光によって発散することを含む。また方法は、焦点面に対してレンズと反対の側に配置された光検出器のアレイによって、シーンからの発散光を遮断することを含む。シーンからの発散光を遮断する光検出器のアレイの断面積は、開口部の断面積よりも大きい。方法は更に、光検出器のアレイによって、遮断された光を検出することを含む。
【0009】
[0009] 第3の態様において、本開示は、光検出測距(LIDAR)デバイスを説明する。LIDARデバイスは、光によってシーンを照明するように構成されたLIDAR送信器を含む。LIDARデバイスは、シーンをマッピングするためにシーン内の1または複数の物体によって散乱された光を受け取るように構成されたLIDAR受信器も含む。LIDAR受信器は、シーン内の1または複数の物体によって散乱された光を焦点面に集束するように構成されたレンズを含む。LIDAR受信器は、焦点面に配置された不透明材料内に画定された開口部も含む。開口部は断面積を有する。LIDAR受信器は更に、焦点面に対してレンズと反対の側に配置され、レンズによって集束され開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイを含む。発散光を遮断する光検出器のアレイの断面積は、開口部の断面積よりも大きい。
【0010】
[0010] 追加の態様において、本開示は、システムを説明する。システムは、シーンからの光を焦点面に集束するための手段を含む。集束するための手段は、シーンに対して配置される。システムは、レンズの焦点面に配置された不透明材料内に画定された開口部を通して、シーンからの光を伝送するための手段も含む。開口部は断面積を有する。システムは更に、開口部を通して伝送されたシーンからの光を発散するための手段を含む。またシステムは、シーンからの発散光を遮断するための手段を含む。遮断するための手段は、焦点面に対して集束するための手段と反対の側に配置される。シーンからの発散光を遮断する、遮断するための手段の断面積は、開口部の断面積よりも大きい。システムは更に、遮断された光を検出するための手段を含む。
【0011】
[0011] 上記概要は、例示的なものにすぎず、いかなるようにも限定的であることは意図されない。上述した例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、追加の態様、実施形態、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】[0012]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの図である。
【
図1B】[0013]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの図である。
【
図2】[0014]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限LIDARデバイスの図である。
【
図3】[0015]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの図である。
【
図4】[0016]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの図である。
【
図5】[0017]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの図である。
【
図6A】[0018]実施形態例に係る、様々な開口部が画定された不透明材料の図である。
【
図6B】[0019]実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの一部の図である。
【
図7A】[0020]実施形態例に係る、サイズ変更可能な開口部を有する不透明材料の図である。
【
図7B】[0021]実施形態例に係る、サイズ変更可能な開口部を有する不透明材料の図である。
【
図8】[0022]実施形態例に係る、調整可能な位置を有する開口部を有する不透明材料の図である。
【
図9】[0023]実施形態例に係る方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0024] 方法およびシステムの例が本明細書で説明される。本明細書で説明される任意の実施形態または特徴の例は、必ずしも他の実施形態または特徴よりも好適または有利であると解釈されるものではない。本明細書で説明される実施形態例は、限定的であることは意図されない。容易に理解されるように、開示されるシステムおよび方法の特定の態様は、異なる様々な構成で配置および結合されてよく、それら全てが本明細書において考慮されるものである。
【0014】
[0025] また、図に示す特定の配置は、限定的なものとみなされてはならない。理解すべき点として、他の実施形態は、所与の図に示す各要素よりも多いまたは少ない数を含んでよい。また、図示された要素のいくつかは、結合または省略され得る。同様に、実施形態例は、図に示されない要素を含んでもよい。
I.概観
【0015】
[0026] 実施形態例は、光検出器のアレイに伝わる背景光を低減するためのデバイス、システム、および方法に関連してよい。アレイ内の光検出器は、シーンからの光を感知してよい(たとえば、光検出器はLIDARシステムの感知部品であってよい)。
【0016】
[0027] 1つのシステム例は、レンズを含んでよい。レンズは、シーンからの光を焦点面に集束するために用いられ得る。ただしレンズは、焦点面において観測されることが意図されていない背景光(たとえばシーン内の太陽光)も集束し得る。光を選択的にフィルタ(すなわち、シーン内の情報に対応する光から背景光を分離)するために、不透明材料(たとえば、選択的にエッチングされた金属、またはマスクが重ねられたガラス基板)がレンズの焦点面に設けられ得る。不透明材料は、様々な実施形態において、スラブ、シート、または他の様々な形状であってよい。不透明材料内に開口部が画定され得る。開口部は、レンズによって焦点面に集束されたシーン光の一部分または全体を選択してよい。
【0017】
[0028] 不透明材料の背面(すなわち、不透明材料のレンズと反対側の面)において、開口部によって選択された光が開口部から発散してよい。光の発散方向において、システムは、開口部からある程度の距離に配置された光検出器(たとえばSPAD)のアレイを含んでよい。この光検出器のアレイは、発散光(たとえば、発散光の強度)を検出してよい。光は発散するので、検出面積に適合可能な光検出器の数は、レンズの焦点面における同じ円錐状の光に対応する検出面積に適合し得る数よりも大きくなり得る。これは、開口部からずれた距離におけるよりもレンズの焦点面において、検出面積はより緊密に集束され、小さくなるという事実に起因する。例として、200μm×200μmの断面積を有する開口部は、SPADの数百倍に等しい面積を占め得る(たとえば、各SPADが200μm2~600μm2の断面積を有する)。比較すると、直径1.33mmを有する円形断面積に対応する距離まで開口部から光が発散する場合、その平面における検出面積は、SPADの数千倍または数万倍に等しい面積を占め得る。
【0018】
[0029] また、光検出器アレイが開口部からずれた距離(すなわち、光検出器アレイがレンズの焦点面からずれた距離)は、様々な実施形態において様々であってよい。開口部から発散する光を検出する位置にある光検出器の数は、光検出器アレイと開口部との間の距離が長くなるほど多くなり得る。たとえば、より多くの量の背景光を有するシーンの場合、光検出器は、開口部からより長い距離にずらされ得る。
【0019】
[0030] また、いくつかの実施形態において、開口部は調整可能であってよい。たとえば、開口部の断面積が変更され得る。いくつかの実施形態において、断面積は、開口部を画定する不透明材料内の穴を大きくまたは小さくするために開閉することができるアイリスによって定められ得る。あるいは開口部は、伸縮可能シェードによって部分的に被覆された不透明材料内のスリットであってよい。伸縮可能シェードは、開口部を通って伝送される光の量を変更するために収縮または拡張されてよく、それによって開口部の有効断面積を変更する。また更に、不透明材料は、画定された複数の開口部を有してよい。複数の開口部は、様々な形状および/またはサイズを有してよい。またシステムは、レンズからの光を不透明材料へ向けて反射する1または複数の鏡(たとえば、微小電気機械システム、MEMS、鏡)を含んでよい。1または複数の鏡は、鏡のうちの様々な1つが、レンズによって集束される光の経路にあるように、レンズに対して角度を変えることができ、または配向を変えることができる。これにより、不透明材料内に画定された開口部の様々な1つが選択され、有効開口部面積を変更することが可能である。
II.システム例
【0020】
[0031]
図1Aは、実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システム100の図である。システム100は、光検出器112のアレイ110、不透明材料120内に画定された開口部122、およびレンズ130を含んでよい。システム100は、シーン内の物体140によって散乱される光102を測定してよい。光102は、少なくとも部分的に、背景光源からも到来してよい。雑音制限システム100は、様々な実施形態において、LIDARデバイス(たとえばLIDAR受信器)の一部であってよい。たとえばLIDARデバイスは、自律車両のナビゲーションのために用いられ得る。また、いくつかの実施形態において、雑音制限システム100またはその一部は、レンズ130または開口部122以外の外光に晒されないエリアに含まれ得る。これによって、周囲光が光検出器112をトリガし、任意の測定に悪影響を及ぼすことが防がれ得る。
【0021】
[0032] アレイ110は、光検出器112の配列である。様々な実施形態において、アレイ110は、様々な形状を有してよい。
図1Aに示すように、アレイ110は、長方形または正方形状であってよい。代替実施形態において、アレイ110は、円形であってよい。アレイ110のサイズは、アレイ110が位置する開口部122からの距離に基づいて、開口部122から発散する光110の断面積に対応してよい。いくつかの実施形態において、アレイ110は可動であってよい。アレイ110は、開口部122へ近づく方向へ、または開口部122から遠ざかる方向へ可動であってよい。たとえばアレイは、1、2、または3方向へ位置を変えることが可能な電気ステージ上にあってよい。
【0022】
[0033] また、アレイ110は、コンピューティングデバイスへの1または複数の出力を有してよい。コンピューティングデバイス(たとえばマイクロプロセッサ)は、光検出器112に入射する光102の強度を示す、アレイ110からの電気信号を受信してよい。コンピューティングデバイスは、物体140に関する情報(たとえば開口部122からの物体140の距離)を決定するために電気信号を用いてよい。アレイ110とコンピューティングデバイスとの間の信号接続が存在する実施形態において、アレイ110内の光検出器112は、並列に相互接続され得る。よってアレイ110は、アレイ110における光検出器112の特定の配列および種類に依存して、SiPMまたはMPPCであってよい。
【0023】
[0034] 光検出器112は、様々な種類のいずれかであってよい。たとえば、光検出器112は、SPADであってよい。SPADは、光検出器における所与の入射照明に関する出力電流を増加させるために、逆バイアスされたpn接合(すなわちダイオード)におけるアバランシェ降伏を利用してよい。また、SPADは、単一入射光子に関して複数の電子孔ペアを生成することが可能であり得る。代替実施形態において、光検出器112は、APDであってよい。APDおよびSAPDの両方が、アバランシェ降伏電圧より上でバイアスされ得る。そのようなバイアス条件は、1より大きいループゲインを有するポジティブフィードバックループをもたらし得る。したがって、閾値アバランシェ降伏電圧より上でバイアスされたAPDおよびSAPDは、単一光子感光性であってよい。またほかの実施形態において、光検出器112は、光抵抗器、電荷結合素子(CCD)、または光起電力セルであってよい。
【0024】
[0035] 様々な実施形態において、アレイ110は、アレイ全体で複数の種類の光検出器を含んでよい。たとえば、複数の波長がアレイ110によって検出される場合、アレイ110は、1つの波長範囲を感知可能であるいくつかのSPAD、および異なる波長範囲を感知可能であるいくつかのSPADを備えてよい。いくつかの実施形態において、光検出器110は、400nm~1.6μmの波長(可視および赤外波長)を感知可能であってよい。また、光検出器110は、所与の実施形態において、または様々な実施形態にわたり、様々なサイズおよび形状を有してよい。実施形態例において、光検出器112は、アレイ110の面積の1%、0.1%、または0.01%のパッケージサイズを有するSPADであってよい。
【0025】
[0036] 不透明材料120は、レンズ130によって集束されたシーンからの光102(たとえば背景光)が、アレイ110へ伝送されることを防いでよい。よって不透明材料120は、光検出器112のアレイ110によって実行される測定の精度に悪影響を及ぼし得る特定の背景光を遮るように構成され得る。不透明材料120、およびそれに伴う開口部122は、レンズ130の焦点面またはその付近に位置してよい。不透明材料120は、光102を吸収することによって伝送を防いでよい。追加または代替として、不透明材料120は、光102を反射することによって伝送を防いでよい。いくつかの実施形態において、不透明材料120は、エッチングされた金属であってよい。代替実施形態において、不透明材料120は、ポリマ基板、2軸配向ポリエチレンテレフタレート(BoPET)シート(マイラ(登録商標)シートとも称される)、または不透明マスクが重ねられたガラスであってよい。様々な代替実施形態において、他の不透明材料も可能である。
【0026】
[0037] 開口部122は、不透明材料120に出入口をもたらし、これを通って光102が伝送され得る。開口部122は、様々な方法で不透明材料120内に画定され得る。たとえば、不透明材料120が金属である場合、開口部122を画定するために金属はエッチングされ得る。あるいは、不透明材料120がマスクを重ねられたガラス基板である場合、マスクは、フォトリソグラフィを用いて画定された開口部122を含んでよい。様々な実施形態において、開口部122は、部分的または全体的に透明であってよい。たとえば、不透明材料120がマスクを重ねられたガラス基板である場合、開口部122は、マスクによって被覆されていないガラス基板の一部によって画定されてよく、すなわち開口部122は、完全な中空ではなくガラスでできている。したがって開口部122は、物体140によって散乱された光102の波長に対し、(多くのガラスは100%透明ではないため)完全ではないがほぼ透過性であってよい。
【0027】
[0038] 開口部122は(不透明材料120とともに)、焦点面においてシーンからの光102を空間的にフィルタするために機能してよい。たとえば、光102は、不透明材料120の表面において焦点面に集束されてよく、開口部122は、集束光の一部のみをアレイ110ヘ伝送させ得る。このように開口部122は、光ピンホールとして働いてよい。実施形態例において、開口部は、0.02mm2~0.06mm2(たとえば0.04mm2)の断面積を有してよい。
【0028】
[0039] 開口部122に関して上記で用いられる「開口部」という用語は、光がそこを通って伝送され得る、不透明材料における凹部または穴を表すが、理解されるように、「開口部」という用語は、幅広い光学特徴のアレイを含んでよい。たとえば、本説明および特許請求の範囲を通して用いられるように、「開口部」という用語は、光がそこを通って部分的に伝送され得る、不透明材料内に画定された透明または半透明構造を更に包括してよい。また、「開口部」という用語は、たとえば不透明材料に包囲された鏡など、(たとえば反射または屈折によって)光の通路を選択的に制限する構造を表してもよい。実施形態例の1つにおいて、不透明材料に包囲された鏡付きアレイは、特定の方向において光を反射するように配置され得ることによって反射部を画定する。この反射部は、「開口部」と称され得る。
【0029】
[0040] レンズ130は、シーンからの光102を(たとえば、開口部122が位置する)焦点面に集束してよい。このように、レンズ130において、光が投射される断面積を低減しながら、シーンから収集された光強度は維持され得る(すなわち、光102の空間電力密度が増加する)。このように、レンズ130は、集光レンズであってよい。
図1Aに示すように、レンズ130は、両凸レンズであってよい。たとえばレンズは、球面レンズであってよい。代替実施形態において、レンズは、順に配置されたレンズの連続的セット(たとえば、第1の方向に光を集束する両凸レンズ、および第1の方向に直交する第2の面に光を集束する追加の両凸レンズ)であってよい。他の種類のレンズも可能である。加えて、レンズ130に入射する光を不透明材料120に集束することを補助するために、レンズ130の付近に他の自由空間光学部品(たとえば鏡)があってよい。
【0030】
[0041] 物体140は、雑音制限システム100を取り巻くシーン内に位置する任意の物体であってよい。雑音制限システム100がLIDARシステムの受信器の部品である場合、物体140は、同じLIDARシステムの送信器によって光102を用いて照明され得る。LIDARシステムが自律車両におけるナビゲーションに用いられる実施形態例において、物体140は、歩行者、他車両、障害物(たとえば木)、または道路標識であってよい。
【0031】
[0042] 上述したように、光102は、LIDARデバイス内の送信器によって生成され得る。図示したように、光102は、物体140によって散乱され、レンズ130によって集束され、不透明材料120内の開口部122を通って伝送され、光検出器112のアレイ110によって測定され得る。このシーケンスは、物体140に関する何らかを決定するために(たとえばLIDARデバイス内で)発生してよい。いくつかの実施形態において、アレイによって測定される光は、複数の物体から散乱される光または物体から散乱されない光であってもよい(たとえば、LIDARデバイスの送信器によって伝送される光がLIDARデバイスへ反射されず、レンズは、たとえば太陽光などの周囲光のみを集束する)。
【0032】
[0043] また、物体140を分析するために用いられる光102の波長は、シーン内にあると予想される物体の種類およびレンズ130からのそれらの予想距離に基づいて調整され得る。たとえば、シーン内にあると予想される物体が、500nm波長の入来光全てを吸収する場合、物体140を照明し、雑音制限システム100によって分析されるために、500nm以外の波長が選択され得る。光102の波長は(たとえばLIDARデバイスの送信器によって伝送される場合)、光102を生成する光源に対応してよい。たとえば、光がダイオードレーザによって生成される場合、光102は、900nmを中心とする波長範囲の光であってよい。多数の様々な光源(たとえば光ファイバ増幅器、様々な種類のレーザ、フィルタを有する広帯域光源など)が、光102を生成することができる。
【0033】
[0044]
図1Bは、
図1Aに示す雑音制限システム100の図である。図示したように、物体140とレンズ130との間の距離は「d」であり、レンズ130と(
図1Aに示す円形開口部122ではなく、長方形開口部126が画定された)不透明材料120との間の距離は「f」であり、不透明材料120とアレイ110との間の距離は「x」である。図示した実施形態において、不透明材料120および開口部126は、レンズの焦点面に位置してよい(すなわち、「f」は、レンズの焦点距離に等しくなり得る)。また、レンズ130と不透明材料120との間に配置されたフィルタ160があってよい。また、アレイ110によって測定される信号を放出するエミッタ150(たとえばLIDAR送信器を有するレーザ)も物体140から距離「d」に位置する。
【0034】
[0045] 以下は、アレイ110によって検出される背景光の量と、アレイ110によって検出される信号光の量とを比較する数学的例である。例示のために、物体140は、直角入射で太陽光によって全体が照明されるものとし、太陽光は背景光源を表す。また、物体140を照明する光は全て、ランバートの余弦法則に従って散乱されるものとする。加えて、アレイ110の平面に到達する光(背景光および信号光の両方)は全て、アレイ110によって完全に検出されるものとする。
【0035】
[0046] エミッタ150によって放出され、開口部124に到達し、アレイ110に到達する信号の電力は、以下のように計算され得る。
【数1】
式中、P
signalは、エミッタ150によって放出されアレイ110に到達する光信号の放射束を(たとえばW単位で)表し、P
txは、エミッタ150によって伝送される電力を(たとえばW単位で)表し、Tは、(たとえばランバートの余弦法則を考慮して)物体140の反射率を表し、A
lensは、レンズ130の断面積を表す。
【0036】
[0047] また、レンズ130に到達する背景光は、以下のように計算され得る。
【数2】
式中、
【数3】
は、フィルタ160を選択的に通過する波長帯域内にある、物体140から散乱しレンズ130に到達する太陽光によって生じる背景信号の放射輝度を(たとえば
【数4】
単位で)表し、
【数5】
は、太陽による照射密度を(たとえば
【数6】
単位で)表し、T
filterは、フィルタ160(たとえばバンドパス光フィルタ)の透過係数を表す。因数
【数7】
は、直角入射による物体140からのランバート散乱を前提とするものである。
【0037】
[0048] 開口部124は、アレイ110へ伝送されることが可能な背景光の量を低減する。開口部124を通って伝送した後、アレイ110に到達する背景光のパワーを計算するために、開口部124の面積が考慮される。開口部の断面積は、以下のように計算され得る。
A
aperture=w×h
式中、A
apertureは、物体140に対する開口部126の表面積を表し、wおよびhは、それぞれ開口部124の幅および高さを表す。また、レンズ130が円形レンズである場合、レンズの断面積は、
【数8】
であり、式中、d
lensは、レンズの直径を表す。
【0038】
[0049] 開口部124を通ってアレイ110へ伝送される背景電力を計算するために、以下の式が用いられ得る。
【数9】
式中、P
backgroundは、アレイ110に入射する背景電力を表し、
【数10】
は、受光立体角をステラジアン単位で表す。上記式が示すように、P
backgroundは、レンズ130およびその後の開口部124によって低減された後の背景信号における発光量である。
【0039】
[0050] 上で決定した値を
【数11】
、A
aperture、およびA
lensに代入すると、以下が導出され得る。
【数12】
【0040】
[0051] また、数量
【数13】
は、レンズ130の「F値」と称され得る。したがって、もう一度代入すると、背景電力に関して、以下を導き出すことができる。
【数14】
【0041】
[0052] 同様の代入を行うと、エミッタ150から伝送されアレイ110に到達する信号電力に関して、以下を導き出すことができる。
【数15】
【0042】
[0053] PsignalとPbackgroundとを比較することによって、信号対雑音比(SNR)が決定され得る。論証したように、開口部124、特に小さなwおよび/または小さなhを有する開口部を包含することにより、背景電力は、信号電力に対して著しく低減され得る。開口部面積の低減に加えて、エミッタ150による伝送電力の増加、透過係数の低減(すなわち、フィルタを通って伝送される背景光量の低減)、および物体140の反射率の増加が、SNRを増加させる方法であり得る。パルス信号の場合、背景の電力ではなく背景のショット雑音が、SNRを計算する際に主に関連し得る。
【0043】
[0054] 上述したように、開口部124を通って伝送される光は、アレイ110に接近するにつれて発散し得る。発散により、光検出器のアレイ110における検出面積は、焦点面における開口部124の断面積よりも大きくなり得る。所与の(たとえばW単位で測定される)光電力に関する(たとえばm
2単位で測定される)検出面積の増加は、アレイ110に入射する(たとえば
【数16】
単位で測定される)光強度の低下をもたらす。
【0044】
[0055] 光強度の低下は、アレイ110が、SPADまたは高い感度を有する他の光検出器を含む実施形態において、特に有益であり得る。たとえば、SPADは、半導体におけるアバランシェ降伏をもたらす大きな逆バイアス電圧から感度を得る。このアバランシェ降伏は、単一光子の吸収によってトリガされ得る。SPADが単一光子を吸収し、アバランシェ降伏が始まると、SPADは、(たとえば逆バイアス電圧を回復させることによって)抑圧されるまで、追加の光子を検出することができない。SPADが抑圧されるまでの時間は、回復時間と称され得る。回復時間に近い時間間隔で(たとえば回復時間の10倍以内に)追加の光子が到来する場合、SPADは飽和し始め、SPADによる測定は、SPADに入射する光の電力に直接関連しなくなり得る。したがって、アレイ110における任意の個々の光検出器(たとえばSPAD)に入射する光電力を低減することによって、アレイ110内の光検出器(たとえばSPAD)は、未飽和状態を保ち得る。よって、各個々のSPADによる光測定は、より高い精度を有し得る。
【0045】
[0056]
図2は、実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限LIDARデバイス210の図である。LIDARデバイス210は、レーザエミッタ212、コンピューティングデバイス214、光検出器のアレイ110、開口部が画定された不透明材料120、およびレンズ130を含んでよい。LIDARデバイス210は、シーン内の物体140をマッピングするために光102を用いてよい。LIDARデバイス210は、実施形態例において、自律車両においてナビゲーション用に用いられ得る。
【0046】
[0057] レーザエミッタ212は、光検出器(たとえば、
図1Aに示す光検出器102)のアレイ110によって最終的に測定される、シーン内の物体140によって散乱される光102を放出してよい。いくつかの実施形態において、レーザエミッタ212は、レーザエミッタ212の電力出力を増加させるために、光ファイバ増幅器または他の増幅システムを含んでよい。また、レーザエミッタ212は、等しく継続的な電力出力を維持しながら増加したピーク電力を可能にするために、(連続波、CW、レーザではなく)パルスレーザであってよい。
【0047】
[0058] コンピューティングデバイス214は、LIDARデバイス210の構成要素を制御し、LIDARデバイス210の構成要素(たとえば光検出器112のアレイ110)から受け取った信号を分析するように構成され得る。コンピューティングデバイス214は、様々なアクションを実行するためにメモリ内に格納された命令を実行するプロセッサ(たとえばマイクロコントローラのマイクロプロセッサ)を含んでよい。コンピューティングデバイス214は、物体140の位置(たとえばLIDARデバイス210からの距離)を決定するために、アレイ110によって測定された信号に関連するタイミングを用いてよい。たとえば、レーザエミッタ212がパルスレーザである実施形態において、コンピューティングデバイス214は、出力光パルスのタイミングを監視し、これらのタイミングを、アレイ110によって測定された信号パルスのタイミングと比較してよい。この比較により、コンピューティングデバイス214は、光の速度および光パルスの移動時間に基づいて、物体140の距離を計算することができる。出力光パルスのタイミングと、アレイ110によって測定された信号パルスのタイミングとの正確な比較を行うために、コンピューティングデバイス214は、(たとえば、レーザエミッタ212およびレンズ130が空間内の同じ位置にはないので)視差を考慮するように構成され得る。
【0048】
[0059] いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス214は、LIDARデバイス210のレーザエミッタ212を変調するように構成され得る。たとえば、コンピューティングデバイス214は、(たとえば、レーザエミッタ212が機械式ステージに搭載され、または機械式ステージを含む場合)レーザエミッタ212の投射方向を変更するように構成され得る。コンピューティングデバイス214は、レーザエミッタ212によって放出される光102のタイミング、パワー、または波長を変調するようにも構成され得る。そのような変調は、様々な実施形態において、光102の経路におけるフィルタを追加または除去することを含んでよい。
【0049】
[0060] また、コンピューティングデバイス214は、レンズ130、不透明材料120、およびアレイ110の位置を互いに対して調整するように構成され得る。たとえばレンズ130は、レンズ130の位置、およびそれに伴うレンズ130の焦点面の位置を調整するためにコンピューティングデバイス214によって制御される可動ステージ上にあってよい。またアレイ110は、アレイ110が不透明材料120および開口部122に対して動かされることを可能にする別のステージ上にあってよい。アレイ110は、アレイ110における検出面積を変更するために、コンピューティングデバイス214によって動かされ得る。アレイ110が不透明材料120から離れる方向へ動くと、開口部122からの距離が増加して光102が発散するので、アレイ110における検出断面積は増加し得る。したがって、コンピューティングデバイス214は、光102を発散させることによって照明される光検出器112の数を変更するために、アレイ110を動かしてよい。
【0050】
[0061] いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、開口部を制御するようにも構成され得る。たとえば開口部は、いくつかの実施形態において、不透明材料内に画定された複数の開口部から選択可能であってよい。そのような実施形態において、レンズと不透明材料との間にあるMEMS鏡は、複数の開口部のどれに光が向けられるかを決定するために、コンピューティングデバイスによって調整可能であってよい。いくつかの実施形態において、様々な開口部が異なる形状およびサイズを有してよい。また他の実施形態において、開口部は、アイリス(または他の種類のダイアフラム)によって画定され得る。アイリスは、たとえば開口部のサイズを制御するために、コンピューティングデバイスによって拡張または収縮され得る。
【0051】
[0062]
図3は、実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システム300の図である、
図1Aに示すシステム100と同様、システム300は、光検出器112のアレイ110、不透明材料120内に画定された開口部122、およびレンズ130を含んでよい。加えてシステム300は、光フィルタ302を含んでよい。システム300は、シーン内の物体140によって散乱される光102を測定してよい。レンズ130、開口部122を有して画定された不透明材料120、および光検出器112のアレイ110は、
図1Aに関して説明したものと同様に作用してよい。
【0052】
[0063] 光フィルタ302は、特定の波長の光をアレイ110から逸らすように構成され得る。たとえば、雑音制限システム300がLIDARデバイスの構成要素(たとえば、LIDARデバイスの検出器)である場合、光フィルタ302は、LIDARデバイスのレーザエミッタによって発光される波長範囲ではない全ての光をアレイ110から逸らしてよい。したがって、光フィルタ302は、周囲光または背景光がアレイ110による測定に悪影響を及ぼすことを少なくとも部分的に防ぎ得る。
【0053】
[0064] 様々な実施形態において、光フィルタ302は、アレイ110に対して様々な位置にあってよい。
図3に示すように、光フィルタ302は、レンズ130と不透明材料120との間にあってよい。あるいは光フィルタは、レンズと物体との間、不透明材料とアレイとの間、またはアレイ自体にあってもよい(たとえば、アレイは、アレイの表面を被覆する、光フィルタを含むスクリーンを有してよく、あるいは光検出器の各々が、個別の光フィルタによって個々に被覆され得る)。
【0054】
[0065] 光フィルタ302は、吸収フィルタであってよい。追加または代替として、光フィルタ302は、反射フィルタであってよい。光フィルタ302は、定められた波長範囲内の波長を選択的に伝送(すなわち、たとえば単色光フィルタなどのバンドパス光フィルタとして機能)し、定められた波長範囲外の波長を選択的に伝送(すなわち、帯域阻止光フィルタとして機能)し、定められた閾値を下回る波長を選択的に伝送(すなわち、ローパス光フィルタとして機能)し、あるいは定められた閾値を上回る波長を選択的に伝送(すなわち、ハイパス光フィルタとして機能)してよい。また、いくつかの実施形態において、最適なフィルタリング特性をもたらすために、複数の光フィルタがカスケード接続され得る(たとえば、バンドパスフィルタ特性をもたらすためにローパスフィルタおよびハイパスフィルタがカスケード接続される)。光フィルタ302は、いくつかの実施形態において、ダイクロイックフィルタまたはカスケードダイクロイックフィルタであってよい。代替実施形態において、光フィルタ302は、回析フィルタであってよい。回析フィルタは、背景光および信号光の光経路を分割し得る。これによって、いくつかの実施形態において、独立した背景追跡が可能であり得る。
【0055】
[0066] また、光フィルタ302は、波長以外の光の品質に基づいて選択的に伝送してよい。たとえば光フィルタ302は、偏波(たとえば、水平偏波または垂直偏波)に基づいて光を選択的に伝送してよい。他の種類の光フィルタも可能である。
【0056】
[0067]
図4は、実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システム400の図である。
図1Aに示すシステム100と同様、システム400は、光検出器112のアレイ110、不透明材料120内に画定された開口部122、およびレンズ130を含んでよい。システム400は、光拡散体402も含んでよい。システム400は、シーン内の物体140によって散乱される光102を測定してよい。レンズ130、開口部122を有して画定された不透明材料120、および光検出器112のアレイ110は、
図1Aに関して説明したものと同様に作用してよい。
【0057】
[0068] 光拡散体402は、光102を拡散することによって、開口部122を通って伝送される光のパワー密度を光検出器112に均等に拡散してよい。光拡散体402は、様々な実施形態において、サンドブラストガラス拡散体、すりガラス拡散体、またはホログラフィック拡散体を含んでよい。他の種類の光拡散体も可能である。光拡散体402は、光102が開口部122を通って伝送されると、光102の発散の性質を高めることができる構成要素のグループの1つである。発散を高める他の構成要素は、たとえば光導波路または単一ではない屈折率を有する流体を含んでよい。
【0058】
[0069] 様々な実施形態において、光拡散体402は、アレイ110に対して様々な位置にあってよい。
図4に示すように、光拡散体402は、不透明材料120とアレイ110との間にあってよい。あるいは光拡散体は、アレイ自体にあってもよい(たとえば、アレイは、アレイの表面を被覆する、光拡散体を含むスクリーンを有してよく、あるいは光検出器の各々が、個別の光拡散体によって個々に被覆され得る)。
【0059】
[0070]
図5は、実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システム500の図である。
図1Aに示すシステム100と同様、システム500は、光検出器112のアレイ110、不透明材料120内に画定された開口部122、およびレンズ130を含んでよい。システム500は更に、鏡502を含んでよい。レンズ130、開口部122を有して画定された不透明材料120、および光検出器112のアレイ110は、
図1Aに関して説明したものと同様に作用してよい。
【0060】
[0071] 鏡502は、開口部122を通って伝送され、(
図5において細かい破線で示す)アレイ110から逸れた光102のいずれかを反射してよい。このプロセスは、「光子リサイクル」と称され得る。光の逸脱は、アレイ110の面による光の反射に起因して(たとえば、光検出器112の面の部分反射特性によって、または光検出器112の面間の介在領域から)生じ得る。そのような場合、鏡502は、アレイ110の面から反射した光を再びアレイ110へ向け直してよい。意図的ではない光逸脱の原因は他にも考えられる。
【0061】
[0072]
図5に示すように、鏡502は、曲面鏡であってよい。代替実施形態において、より多いまたは少ない数の鏡があってよい。たとえばいくつかの実施形態において、光をアレイの方へ向ける一連の平面鏡があってよい。他の代替実施形態において、光をアレイの方へ向け直すための反射内面を有し、開口部とアレイとの間の光経路を内包する、単一の中空円筒体または中空円錐体が代わりにあってよい。あるいは、
図5に示す鏡502の形状を有し、開口部とアレイとの間の光経路の周囲に位置する鏡が2つではなく4つあってもよい。また、いくつかの実施形態は、鏡ではなく、開口部からアレイへ進行する光を内面全反射する構造を開口部とアレイとの間に含んでよい(たとえば、構造は、内面全反射を誘発するために、周囲材料の屈折率と比較して十分大きい屈折率を有する)。そのような構造は、光パイプと称され得る。他の様々な構成、形状、およびサイズの鏡も可能である。
【0062】
[0073] いくつかの実施形態は、
図3~5に関して説明した複数の特徴を含んでよい。たとえば、実施形態例は、レンズと不透明材料との間の光フィルタ、不透明材料とアレイとの間の光拡散体、および光拡散体とアレイとの間の鏡を含んでよい。また、
図2に示す雑音制限LIDARデバイス210内の構成要素と同様、
図3~5に示す追加の構成要素(たとえば光フィルタ302、光拡散体402、および鏡502)は、コンピューティングデバイスに接続可能かつコンピューティングデバイスによって制御可能な可動ステージ上にあってもよい。これらの構成要素の他の特徴(たとえば、光拡散体402の拡散率または鏡502の角度)は、様々な実施形態において、コンピューティングデバイスによって制御されてもよい。
【0063】
[0074]
図6Aは、実施形態例に係る、様々な開口部が画定された不透明材料610の図である。開口部は、様々なサイズの円形開口部612であってよい。追加または代替として、開口部は、不規則開口部614であってよい。様々な円形開口部612および不規則開口部614は、選択可能であってよい。たとえば不透明材料610は、開口部の1つを選択するために、レンズ(たとえば、
図1Aに示すレンズ130)および光検出器のアレイ(たとえば、
図1Aに示す光検出器112のアレイ110)に対して動くことができる機械式ステージ(たとえば、回転ステージまたは並進ステージ)上にあってよい。
【0064】
[0075] 円形開口部612は、半径が様々であってよく、それによって、様々な量の光がそれぞれの開口部を通過することができる。いくつかの実施形態において、より大きな半径の開口部は、光検出器のアレイの照明を増加させることができ、これは、対応する雑音制限システム(たとえば、
図1Aに示す雑音制限システム110)の感度の増加をもたらし得る。ただし、より多い背景光量を有するシーンを測定する場合、より大きい割合の背景光を遮るためにより小さい半径を有する円形開口部612が用いられ得る。また、円形開口部612の各々は、(たとえば、それぞれの開口部に重なり、それぞれの開口部に組み込まれた)様々な関連光フィルタを有してよい。たとえば、円形開口部612の1つは、可視波長範囲内の光を選択的に伝送してよく、円形開口部612の他の1つは、赤外波長範囲内の光を選択的に伝送してよい。よって、複数の円形開口部612が画定された、単一の不透明材料610は、様々な光源(たとえば、
図2に示すような様々なレーザエミッタ212)から放出された光を選択的に伝送することができる。様々な関連光フィルタを有する様々な円形開口部612は、同様のまたは様々な半径を有してよい。
【0065】
[0076] 不規則開口部は、システム内の光学収差を許容するために特別に設計され得る。たとえば、
図6Aに示す鍵穴形状の不規則開口部614は、エミッタ(たとえば、
図2に示すレーザエミッタ212)と受信器(たとえば、不透明材料610が間に位置する、
図2に示すレンズ130および光検出器のアレイ110)との間で生じる視差を許容するために役立ち得る。視差は、たとえばエミッタおよび受信器が同じ位置にない場合、生じ得る。たとえば、特定のシーン内にあると予想される特定の物体に対応する特定の形状の開口部、または特定の偏波(たとえば、水平偏波または垂直偏波)の光を選択する不規則開口部など、他の不規則開口部も可能である。
【0066】
[0077]
図6Bは、実施形態例に係る、開口部を含む雑音制限システムの一部を示す図である。
図1Aの雑音制限システム100と同様、雑音制限システムは、レンズ130を含んでよい。雑音制限システムは更に、開口部652が画定された不透明材料650、および調整可能なMEMS鏡660を含んでよい。システムは、シーン内の物体140によって散乱される光102を測定してよい。
【0067】
[0078] 不透明材料650は、
図1Aに示す不透明材料120と同様、レンズ130によって集束されたシーンからの光102(たとえば背景光)がアレイ(たとえば、
図1Aに示すアレイ110)へ伝送されることを防いでよい。不透明材料650、およびそれに伴う開口部652は、不透明材料650の表面がレンズ130の焦点面またはその付近に位置するように、MEMS鏡660およびレンズ130に対して配置され得る。
図1Aに示す不透明材料120の実施形態と同様、不透明材料650は、金属層、ポリマ基板、BoPETシート、または不透明マスクが重ねられたガラスを含んでよい。
【0068】
[0079] 開口部652は、図示するように、円形であってよい。代替実施形態において、開口部は、様々な形状またはサイズであってよい。追加または代替として、いくつかの実施形態において、
図6Bに示す数より多いまたは少ない数の開口部があってよい。開口部652は、MEMS鏡660によって反射される光102の一部が開口部652の1つを通過し、その後、光検出器のアレイ(たとえば、
図1Aに示す光検出器112のアレイ110)を捕えるように、MEMS鏡660に対して位置合わせされ得る。
【0069】
[0080] MEMS鏡660は、レンズ130によって集束される光102を反射してよい。MEMS鏡660は、反射光102が開口部652の特定の1つまたは複数へ向けられるように、複数の軸に対して回転してよい。いくつかの実施形態において、MEMS鏡660の回転は、コンピューティングデバイス(たとえばマイクロコントローラ)によって制御され得る。また、代替実施形態において、開口部の1つまたは複数へ光を向けるために光を連続的に反射するMEMS鏡のセットが存在してよい。複数のMEMS鏡は、たとえば単一のMEMSマイクロチップに、または複数のMEMSマイクロチップにあってよい。
【0070】
[0081] 代替実施形態において、MEMS鏡(または他の種類の鏡)は、複数の開口部を有する不透明材料の代わりに用いられ得る。たとえば、MEMS鏡(またはMEMS鏡アレイ)の反射表面は、不透明材料に包囲されてよく、反射表面が開口部を画定するように作用してよい。よってMEMS鏡は、レンズによって集束される光の一部を、アレイへ向けて反射するために選択してよい。光の選択されなかった部分は、たとえば不透明材料によって吸収され得る。そのような実施形態例において、レンズおよびアレイは、鏡の同じ側に配置され得る。また、鏡がMEMS鏡アレイであるそのような実施形態において、MEMS鏡アレイ内の要素は、開口部を画定する反射表面の形状、位置、またはサイズを動的に定めるために選択的に切り替えられ得る。
【0071】
[0082]
図7Aは、実施形態例に係る、サイズ変更可能な開口部を有する不透明材料710の図である。不透明材料710は、画定されたスリット712を有してよい。不透明材料710に重なるように、不透明シャッタ714が存在してよい。開口部は、不透明材料710に対して不透明シャッタ714を動かすことによってスリット712の被覆部分を変えることにより、サイズを調整され得る。そのような方法において、開口部サイズは、雑音制限システム100内で(たとえば、
図6Bに示す実施形態において行われるように)光の投射方向を変えることなく、調整され得る。
【0072】
[0083] 不透明材料710は、
図1Aに示す不透明材料120と同様、シーンからの光がアレイ(たとえば、
図1Aに示すアレイ110)へ伝送されることを防いでよい。不透明材料710は、いくつかの実施形態において、レンズの焦点面に位置してよい。
【0073】
[0084] 不透明シャッタ714を有さないスリット712は、他の実施形態の開口部と類似する。たとえば、不透明材料710が、不透明マスクを重ねられたガラス片である場合、スリット712は、マスクの負領域(すなわち、たとえばフォトリソグラフィによってマスク材料が除去されたマスク領域)である。また、スリット712の寸法は、対応する雑音制限システムに関して最大の開口部サイズを定める。よって、スリット712のサイズは、不透明シャッタ714がスリット712の被覆から完全に後退した時の開口部のサイズに等しい。代替実施形態において、スリットは様々な形状を有してよい。たとえばスリットは、不透明シャッタがスリットの上を直線的に移動すると、スリットのサイズが指数関数的に増加または減少するような形状であってよい。あるいはスリットは、円形状または不規則形状(たとえば、
図6Aに示す不規則開口部614のような鍵穴形状)であってよい。また他の実施形態において、不透明シャッタの位置に基づいてサイズ調整または選択され得る複数のスリットが存在してもよい。
【0074】
[0085] 不透明シャッタ714は、光の波長範囲に対して吸収性および/または反射性であり得る材料である。波長範囲は、(たとえば、不透明シャッタ714がLIDARデバイス内の雑音制限システムの構成要素である場合)シーン内の背景光の波長を含んでよい。いくつかの実施形態において、不透明シャッタ714は、金属シート、BoPETシート、またはポリマ基板を含んでよい。不透明シャッタ714は、不透明材料710およびスリット712に対して動くように構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態において、不透明シャッタ714は、不透明材料710およびスリット712に対して並進移動することができる機械式ステージに取り付けられ得る。そのような動きは、コンピューティングデバイス(たとえばマイクロコントローラ)によって制御され得る。代替実施形態において、代わりに不透明材料およびスリットが不透明シャッタに対して動いてもよい(たとえば、不透明シャッタではなく不透明材料およびスリットが機械式ステージに取り付けられる)。
【0075】
[0086]
図7Bは、実施形態例に係る、サイズ変更可能な開口部を有する不透明材料760の図である。不透明材料760にアイリス762が組み込まれ得る。アイリス762および不透明材料760は、同じまたは異なる材料から製造され得る。開口部は、アイリス762によって画定された穴であってよい。またアイリス762は、開口部のサイズを調整するために拡張または収縮してよい。そのような方法において、開口部サイズは、雑音制限システム100内で(たとえば
図6Bに示す実施形態において行われるように)光の投射方向を変えることなく、調整され得る。いくつかの実施形態において、アイリスは、不透明材料に組み込まれるのではなく、独立型自由空間光学部品であってよい。
【0076】
[0087] アイリス762は、アイリス762によって画定された開口部のサイズを調整するために拡張または収縮する複数の不透明フィン(たとえば、
図7Bに示すような16の不透明フィン)によって画定され得る。アイリス762は、いくつかの実施形態において、MEMSアイリスであってよい。不透明フィンは、たとえば金属であってよい。また、いくつかの実施形態において、アイリス762のフィンの拡張または収縮は、コンピューティングデバイス(たとえばマイクロコントローラ)によって制御され得る。不透明フィンの最大限の拡張は、最小サイズを有する開口部をもたらし得る。逆に、不透明フィンの最大限の収縮は、最大サイズを有する開口部をもたらし得る。
【0077】
[0088] 代替実施形態において、不透明材料は、アイリスではなく、液晶光変調器の能動または受動マトリックスを含んでよい。いくつかの実施形態において、マトリックスは、2つの偏光子を有するパターン化導電性電極を含んでよい。2つの偏光子の間に、アライメント層および液晶層があってよい。そのような構成は、液晶ディスプレイデバイスと類似し得る。マトリックスは、不透明材料内に開口部を画定してよい。たとえばマトリックスは、開口部のサイズ、位置、または形状を選択するために(たとえばコンピューティングデバイスによって)任意に調整され得る。また、いくつかの実施形態において、光フィルタは、(たとえば、マトリックスの頂部または底部に、あるいはマトリックスの層間に挟まれて)マトリックスに統合され得る。
【0078】
[0089]
図8は、実施形態例に係る、調整可能な位置を有する開口部812を有する不透明材料810の図である。たとえば不透明材料810は、開口部812を動かすために、レンズおよび光検出器のアレイ(たとえば、
図1Aに示す雑音制限システム100内のレンズ130および光検出器112のアレイ110)に対して2次元面において移動してよい。不透明材料810は、様々な実施形態において、ステージまたは電気モータによって駆動され得る。また、そのようなステージまたは電気モータは、コンピューティングデバイス(たとえばマイクロコントローラ)によって制御され得る。
図1Aに示す不透明材料120と同様、不透明材料810は、エッチングされた金属、BoPETシート、または不透明マスクが重ねられたガラスであってよい。他の材料も可能である。
【0079】
[0090] 開口部812は、
図8に示すように、円形開口部であってよい。あるいは開口部は、たとえば楕円形、長方形、または不規則形(たとえば、
図6Aに示す不規則開口部614の形状と同様の鍵穴形)など、他の形状を有してよい。また、いくつかの実施形態において、不透明材料は、(たとえば、
図6Aに示す不透明材料610と同様に)画定された複数の開口部を有してよい。
III.プロセス例
【0080】
[0091]
図9は、実施形態例に係る方法900のフローチャート図である。方法900は、たとえば
図1Aに示す雑音制限システム100によって実行され得る。
【0081】
[0092] ブロック902において、方法900は、シーンに対して配置されたレンズ(たとえば、
図1Aに示すレンズ130)によって、シーンからの光を焦点面に集束することを含む。シーンからの光は、いくつかの実施形態において、シーン内の物体(たとえば、
図1Aに示す物体140)によって散乱され得る。
【0082】
[0093] ブロック904において、方法900は、レンズの焦点面に配置された不透明材料(たとえば、
図1Aに示す不透明材料120)内に画定された開口部(たとえば、
図1Aに示す開口部122)を通して、シーンからの光を伝送することを含む。開口部は断面積を有する。
【0083】
[0094] ブロック906において、方法900は、開口部を通って伝送されたシーンからの光によって発散することを含む。
【0084】
[0095] ブロック908において、方法900は、焦点面に対してレンズの反対の側に配置された光検出器のアレイによって、シーンからの発散光を遮断することを含む。シーンからの発散光を遮断する光検出器のアレイの断面積は、開口部の断面積よりも大きい。
【0085】
[0096] ブロック910において、方法900は、光検出器のアレイによって、遮断された光を検出することを含む。
IV.結論
【0086】
[0097] 上記発明を実施するための形態は、添付図面を参照して、開示されるシステム、デバイス、および方法の様々な特徴および機能を説明するものである。様々な態様および実施形態が本明細書において開示されたが、他の態様および実施形態が明らかである。本明細書に開示された様々な態様および実施形態は、例示を目的としたものにすぎず、限定的であることは意図されておらず、適正な範囲は、以下の特許請求の範囲によって示されるものである。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーンに対して配置され、前記シーンからの光を焦点面に集束するように構成されたレンズと、
前記レンズの前記焦点面に配置された不透明材料内に画定された、断面積を有する開口部と、
前記焦点面に対し前記レンズと反対の側に配置され、前記レンズによって集束され前記開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイであって、前記発散光を遮断する断面積が前記開口部の前記断面積よりも大きい、光検出器のアレイと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記光検出器のアレイは、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アレイ内の前記光検出器は、互いに並列に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記開口部の前記断面積は調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記不透明材料は、前記開口部の前記断面積を定めるように構成されたアイリスを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記不透明材料は、2つの偏光子を有するパターン化導電性電極アレイと、前記2つの偏光子の間に配置された1または複数のアライメント層と、前記2つの偏光子の間に配置された液晶層とを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記シーンからの前記光は、光検出測距(LIDAR)システムの送信器によって照明される1または複数の物体によって散乱された光である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記開口部を通って伝送された前記シーンからの前記光を、前記光検出器のアレイへ向けて反射するように構成された鏡を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光検出器は、ある波長範囲内の光を感知可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光検出器は、赤外波長を有する光を感知可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
1または複数の波長範囲内である前記シーンからの光が前記開口部を通過しないように、前記1または複数の波長範囲内である前記シーンからの前記光を前記開口部から逸らすように構成されたフィルタを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記不透明材料は、不透明マスクを重ねたガラス基板を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記不透明材料は金属を備え、前記金属は、前記開口部を画定するためにエッチングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
各光検出器は、200μm2~600μm2の断面積を占める、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記光検出器のアレイと前記開口部との間に配置された拡散体を更に備え、前記拡散体は、前記開口部を通って伝送された前記シーンからの前記光を、前記光検出器のアレイ全体に均等に拡散するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記開口部は、2つ以上の開口部のセットから選択可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記2つ以上の開口部のセットから選択するように前記シーンからの前記光を前記開口部へ向けるために調整可能な1または複数の微小電気機械システム(MEMS)鏡を更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記開口部は非円形状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記開口部と前記光検出器のアレイとの間に配置され、前記開口部を通って伝送された前記発散光を内面全反射する構造を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記焦点面における前記開口部の位置が調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出測距(LIDAR)デバイスであって、
光のパルスによってシーンを照明するように構成されたLIDAR送信器と、
前記シーン内の1または複数の物体によって散乱された前記光のパルスを受け取るように構成されたLIDAR受信器と
を備え、前記LIDAR受信器は、
前記シーン内の前記1または複数の物体によって散乱された前記光のパルスを焦点面に集束するように構成されたレンズと、
前記焦点面に配置された不透明材料内に画定され、断面積を有する円形開口部と、
前記焦点面に対し前記レンズと反対の側に配置され、前記レンズによって集束され前記円形開口部を通って伝送された発散光を遮断し検出するように構成された光検出器のアレイとを備え、
前記光検出器のアレイは、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を備え、
前記アレイ内の前記光検出器が、前記1または複数の物体によって散乱された前記光のパルスにより未飽和状態を保つように、前記発散光を遮断する前記光検出器のアレイの断面積は、前記円形開口部の前記断面積よりも大きい、
LIDARデバイス。
【請求項2】
前記光は、前記円形開口部から前記レンズによって画定される光経路に沿って前記光検出器のアレイまで発散する、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項3】
前記アレイ内の前記光検出器は、互いに並列に接続される、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項4】
前記レンズと前記不透明材料との間に位置する波長選択フィルタをさらに備える、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項5】
前記不透明材料と前記光検出器のアレイとの間に位置する波長選択フィルタをさらに備える、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項6】
光拡散体をさらに備え、前記光拡散体は、前記円形開口部を通って伝送される前記光を前記光検出器のアレイに均等に拡散するように構成される、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項7】
前記円形開口部の前記断面積は調整可能である、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項8】
前記焦点面における前記円形開口部の位置が調整可能である、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項9】
前記不透明材料は、不透明マスクを重ねたガラス基板を備える、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項10】
前記不透明材料は金属を備え、前記金属は、前記円形開口部を画定するためにエッチングされる、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項11】
光検出測距(LIDAR)デバイスの送信器によって、光のパルスでシーンを照明することと、
前記LIDARデバイスの受信器によって、前記シーン内の1または複数の物体によって散乱された前記光のパルスを受け取ることであって、前記受信器は、レンズ、不透明材料、および光検出器のアレイを備えることと、
前記レンズによって、前記シーン内の前記1または複数の物体によって散乱された前記光のパルスを焦点面に集束することと、
前記不透明材料内に画定され、かつ前記焦点面に配置された円形開口部を通して、前記レンズによって収束された前記光を伝送することであって、前記円形開口部は断面積を有することと、
前記円形開口部を通って伝送された前記光によって前記円形開口部から前記光検出器のアレイへと発散することと、
前記光検出器のアレイによって、前記円形開口部から発散する前記光を遮断することと、
前記光検出器のアレイによって、前記円形開口部から発散し、前記遮断された光を検出することであって、前記光検出器のアレイは、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を備え、前記アレイ内の前記光検出器が、前記1または複数の物体によって散乱された前記光のパルスにより未飽和状態を保つように、前記光を遮断する前記光検出器のアレイの断面積は、前記円形開口部の前記断面積よりも大きいことと、
を備える方法。
【請求項12】
前記光は、前記円形開口部から前記レンズによって画定される光経路に沿って前記光検出器のアレイまで発散する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アレイ内の前記光検出器は、互いに並列に接続される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記レンズと前記不透明材料との間に位置する波長選択フィルタによって、前記レンズによって収束された前記光をフィルタすることをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記不透明材料と前記光検出器のアレイとの間に位置する波長選択フィルタによって、前記円形開口部から発散する前記光をフィルタすることをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
光拡散体によって、前記円形開口部を通って伝送される前記光を前記光検出器のアレイに均等に拡散する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記円形開口部の前記断面積は調整可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記焦点面における前記円形開口部の位置が調整可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記不透明材料は、不透明マスクを重ねたガラス基板を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記不透明材料は金属を備え、前記金属は、前記円形開口部を画定するためにエッチングされる、請求項11に記載の方法。
【外国語明細書】