(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088838
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】樹脂封止装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20220608BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C45/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200905
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 茂行
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 岳大
(72)【発明者】
【氏名】赤井 啓晟
【テーマコード(参考)】
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F206AH33
4F206AH37
4F206JA02
4F206JB12
4F206JL02
4F206JQ81
4F206JQ90
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061CA22
5F061DA13
5F061DE06
(57)【要約】
【課題】ワークを封止金型へ搬送するまでのローダの作業量やワークの予備加熱に要する時間を減らして生産効率を向上させた樹脂封止装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送機構1は、複数の搬送部が直列配置された第一搬送路1Aと、第一搬送路1Aと平行配置され複数の搬送部が直列配置された第二搬送路1Bと、移動体1cが移動する搬送路を第一搬送路1Aと第二搬送路1Bとで切り換える搬送路切換機構10と、を備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク供給部からプレス部にわたってローダの移動範囲に配置された搬送路を移動体が往復移動し、前記ワーク供給部から前記プレス部へワークを供給可能なワーク搬送機構を備えた樹脂封止装置であって、
前記ワーク搬送機構は、複数の搬送部が直列配置され前記搬送部上の移動体よりワークが前記ローダに保持されて前記プレス部に搬入される第一搬送路と、
前記第一搬送路と平行配置され複数の搬送部が直列配置され前記移動体が前記ワーク供給部へ往復移動する第二搬送路と、
前記移動体が移動する前記第一搬送路と前記第二搬送路とで搬送路を切り換える搬送路切換機構と、
を備えたことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
前記ワーク搬送機構は、周回する無端ベルト上を移動体が移動するベルトモジュールが直列配置された第一ベルト搬送路と、前記第一搬送路と平行配置され複数のベルトモジュールが直列配置された第二ベルト搬送路と、を備えたベルト搬送機構であって、
前記搬送路切換機構は、前記移動体を前記第一ベルト搬送路と前記第二ベルト搬送路との間で移載する請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記ワーク搬送機構は、移動体がレール部上を自走するリニアモジュールが直列配置されたリニア搬送機構であって、第一搬送路は複数の第一レール部が着脱自在に互いに直列接続された第一直動レールを有し、第二搬送路は複数の第二レール部が着脱自在に互いに直列接続され前記第一直動レールと平行配置された第二直動レールを有し、
前記搬送路切換機構は、前記移動体を載せた第一レール部と平行配置された第二レール部を共に平行移動させて、前記第一レール部どうしが接続する第一直動レールから第二レール部間に接続する第二直動レールとの間でレール部の接続を切り換える請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記移動体はリニアモータ可動子を有し、前記第一レール部及び前記第二レール部はリニアモータ固定子を各々有しており、前記第一レール部と第二レール部は互いに電気的及び機械的に直列接続される請求項3記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記搬送路切換機構は、前記第一レール部及び前記第二レール部が互いに連結する第一高さ位置と、前記移動体を載せた前記第一レール部が前記第二レール部と接続し第二レール部がそれより低い高さ位置となる第二高さ位置との間を昇降させる昇降機構である請求項3又は請求項4記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記第一直動レールに備えた第一レール部より前記第二直動レールに備えた第二レール部の方が前記ワーク供給部側に長くなるように延設されている請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記移動体はワークトレイを備えており、前記ワークトレイには成形前のワークを成形温度と同程度に予備加熱するヒータが内蔵されている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項8】
前記移動体は、少なくとも第一搬送路及びワーク受け取り位置において前記ヒータに通電されてワークトレイに載置された成形前のワークが成形温度と同程度に予備加熱される請求項7記載の樹脂封止装置。
【請求項9】
前記ワーク供給部には、ワークを受け取る前に前記移動体のワークトレイを成形温度と同程度に予備加熱するトレイ用予備加熱部が更に設けられている請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク供給部からプレス部へワークを供給可能なワーク搬送機構を備えた樹脂封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばワークとして電源基板等のパワーカードを樹脂封止する樹脂封止装置は、基板の板厚が厚く、大型であるため、速やかな封止をするためには封止金型へ搬入する前に予備加熱する必要がある。ローダハンドはワーク供給部からワークを受け取り、予備加熱ステージへセットし、タブレット樹脂を受け取って予備加熱されたワークを予備加熱ステージから受け取って封止金型へ搬入する。ローダは、成形前のワーク(基板等)とタブレット樹脂を封止金型に搬入した後、クリーニンングされて同様の作業が繰り返えされる。封止金型で樹脂封止した後、アンローダにより成形後のワークを封止金型より搬出して不要樹脂を分離して成形品を成形品収納部に収納するようになっている。ローダ及びアンローダは共通のガイドレール上を移動可能に設けられ、プレス部に備えた封止金型に交互に移動可能に設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した樹脂封止装置においては、成形前のワークを封止金型へ搬入するまでにワークの予備加熱を含めてローダの処理動作が多いため、ローダの処理能力が低下してワークを封止金型へ搬入するまで時間を要し、生産効率が低下する。またローダの作業領域が増えれば、ローダの移動量が増えてそれだけ装置も大型化する。
また、熱容量の大きい厚手のワークを用いた場合、ワークを予備加熱しないと封止金型の成形温度が低下することから、樹脂封止に時間がかかり生産効率が低下するうえに、ワークに熱を奪われると成形品に巣が発生して成形品質が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ワークを封止金型へ搬送するまでのローダの作業量やワークの予備加熱に要する時間を減らして生産効率を向上させた樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を備える。
ワーク供給部からプレス部にわたってローダの移動範囲に配置された搬送路を移動体が往復移動してワークを前記ワーク供給部から前記プレス部へ供給可能なワーク搬送機構を備えた樹脂封止装置であって、前記ワーク搬送機構は、複数の搬送部が直列配置され前記搬送部上の移動体よりワークが前記ローダに保持されて前記プレス部に搬入される第一搬送路と、前記第一搬送路と平行配置され複数の搬送部が直列配置され前記移動体が前記ワーク供給部へ往復移動する第二搬送路と、前記移動体が移動する前記第一搬送路と前記第二搬送路とで搬送路を切り換える搬送路切換機構と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、プレス部において第一搬送路上の移動体にワークを供給する場合、搬送路切換機構によって第一搬送路から第二搬送路に移動体の搬送路が切り換えられる。これにより、移動体が第二搬送路上をワーク供給部へ移動して次の成形前のワークを受け取ってプレス部に戻ることができる。また、搬送路切換機構によって搬送路を第二搬送路から第一搬送路に切り換えることで次の成形前ワークを載置した移動体を第一搬送路に戻してローダに供給することができる。よって、ローダによる成形前のワーク搬送作業を減らして、生産効率を高めることができる。
【0007】
前記ワーク搬送機構は、周回する無端ベルト上を移動体が移動するベルトモジュールが直列配置された第一ベルト搬送路と、前記第一ベルト搬送路と平行配置され複数のベルトモジュールが直列配置された第二ベルト搬送路と、を備えたベルト搬送機構であって、前記搬送路切換機構は、前記移動体を前記第一ベルト搬送路と前記第二ベルト搬送路との間で移載するようにしてもよい。
これにより、移動体はベルトモジュールが直列配置された第一搬送路と第二搬送路上を搬送路切換機構によって移動体を載せかえれば足りるため、簡易な構成でローダによる成形前のワーク搬送作業を減らして、生産効率を高めることができる。
【0008】
前記ワーク搬送機構は、移動体がレール部上を自走するリニアモジュールが直列配置されたリニア搬送機構であって、第一搬送路は複数の第一レール部が着脱自在に互いに直列接続された第一直動レールを有し、第二搬送路は複数の第二レール部が着脱自在に互いに直列接続され前記第一直動レールと平行配置された第二直動レールを有し、前記搬送路切換機構は、前記移動体を載せた第一レール部と平行配置された第二レール部を共に平行移動させて、前記第一レール部どうしが接続する第一直動レールから第二レール部間に接続する第二直動レールとの間でレール部どうしの接続を切り換えてもよい。
これにより、移動体を載せた第一レール部を第一直動レールと第二直動レールとの間で接続を切り換えるだけで移動体が第二直動レール上を自走してワーク供給部へ移動することができる。このため、リニア搬送機構によって移動体の移動を高速かつ高精度に実現でき、ローダによる成形前のワーク搬送作業を減らして、生産効率を高めることができる。
【0009】
前記移動体はリニアモータ可動子を有し、前記第一レール部及び前記第二レール部はリニアモータ固定子を各々有しており、前記第一レール部と第二レール部は互いに電気的及び機械的に直列接続されることが好ましい。
これにより、リニアモジュールを構成する第一レール部及び第二レール部の配線が省略されているため、第一直動レール及び第二直動レールの配置構成の自由度は高く、ローダの作業領域を減らしてコンパクトな設計とすることができる。
【0010】
前記搬送路切換機構は、前記第一レール部及び前記第二レール部が互いに連結する第一高さ位置と、前記移動体を載せた前記第一レール部が前記第二レール部と接続し第二レール部がそれより低い高さ位置となる第二高さ位置との間を昇降させる昇降機構であってもよい。
これにより、リニアモジュールを構成する第一レール部及び第二レール部上を自走可能な移動体と昇降機構による昇降動作を組み合わせて、移動体をプレス部とワーク供給部との間を往復移動させることができるので、ローダによるワーク搬送作業を減らして生産効率を高めることができるうえに、設置面積を増やさずコンパクトな装置構成でワーク搬送作業を行なえる。
【0011】
前記第一直動レールに備えた第一レール部より前記第二直動レールに備えた第二レール部の方が前記ワーク供給部側に長くなるように延設されていてもよい。
これにより、第二直動レールに沿ってワーク供給部へ移動した移動体を載せた第二レール部を、昇降機構によってワーク受け取り位置へ昇降させることができる。
【0012】
前記移動体はワークトレイを備えており、前記ワークトレイには成形前のワークを成形温度と同程度に予備加熱するヒータが内蔵されていることが好ましい。
これによりワークの昇温時間及び予備加熱する場所を減らして生産効率を高め、ワークに熱を奪われて金型温度が低下し難くなるので成形品質を向上させることができる。
【0013】
前記移動体は、少なくとも第一搬送路及びワーク受け取り位置において前記ヒータに通電されてワークトレイに載置された成形前のワークが成形温度と同程度に予備加熱されるようにしてもよい。
これにより成形前のワークを複数箇所で予備加熱して温度低下を可及的に防ぐことで成形前のワークを効率良く予備加熱することができる。
【0014】
前記ワーク供給部には、ワークを受け取る前に前記移動体のワークトレイを成形温度と同程度に予備加熱するトレイ用予備加熱部が更に設けられていてもよい。
これにより移動体がワークを受け取りに行く移動中にワークトレイが温度低下し易いため、トレイ用予備加熱部でワークトレイを予備加熱することによりワークトレイの温度低下を低減しワークの予備加熱時間を減らして生産効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
ワークを封止金型へ搬送するまでのローダの作業量やワークの予備加熱に要する時間を減らして生産効率を向上させた樹脂封止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】樹脂封止装置の平面レイアウト構成図である。
【
図3】ワーク搬送機構によるワーク搬送動作を示す模式図である。
【
図4】
図1の樹脂封止装置の樹脂封止動作を示す説明図である。
【
図5】プレス部B1に対するワーク搬送動作を示す説明図である。
【
図6】
図5に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図7】
図6に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図8】
図7に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図9】
図8に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図10】
図9に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図11】
図10に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図12】
図11に続くプレス部B1に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図13】
図12に続くプレス部B2に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図14】
図13に続くプレス部B2に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図15】
図14に続くプレス部B2に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図16】
図15に続くプレス部B2に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図17】
図16に続くプレス部B2に対するワーク搬送動作の説明図である。
【
図18】
図17に続くプレス部B2に対するワーク搬送動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本実施形態における樹脂封止装置について説明する。
図1はワーク搬送機構Dを備えた樹脂封止装置2の平面レイアウト構成図である。ワークWは、板状のキャリア(例えばリードフレーム、樹脂基板、銅板、ガラス板、樹脂積層基板等)に半導体チップなどの電子部品が搭載されたものを想定して説明する。ワークWは短冊状であっても、個片が複数あっても良い。
【0018】
図1において、樹脂封止装置2は、一例としてワーク供給部A、プレス部B(B1~B4)、成形品収納部Cが分離可能なユニットとして横並びに配置された構成を示す。尚、これらのユニットが一体となった装置構成であってもよい。ワーク供給部Aには、成形前のワークWを供給可能に収納する供給マガジン5、タブレット樹脂Rを供給するタブレット供給部6を備えている。ワーク供給部Aは、複数のワークWを収納する供給マガジン5から一枚ずつワークWを取り出してワーク搬送機構Dに供給される。またタブレット供給部6は、封止金型3のポット孔に対応した配列でタブレット樹脂Rがホルダ機構11に保持され、当該ホルダ機構11よりタブレット樹脂Rがローダ4に受け渡される(
図2参照)。
【0019】
プレス部B(B1~B4)は、上型及び下型キャビティタイプの封止金型3(3a~3d)を有する。本実施例では4つのプレス部B1~B4を併設した場合を例示したがこれより少なくても多くてもよい。封止金型3にはローダ4の一回の進退動作によりワークW及び樹脂Rが搬入され、成形後のワークWが搬出される。ローダ4は、ワーク供給部A、プレス部B、成形品収納部Cにわたって架設されたレール部7に沿って往復動する。
【0020】
成形品収納部Cには、成形後のワークWから不要樹脂を分離するディゲート部8、不要樹脂が除去された成形後のワークW(成形品)を収納する成形品収納マガジン9が設けられている。封止金型3よりローダ4により搬出された成形後のワークWは、ピックアップ12(
図2参照)に受け渡されてディゲート部8に移送される。ディゲート部8においてゲートブレイクされた成形後のワークWは不要樹脂が分離され、成形品のみが成形品収納マガジン9に収納される。
【0021】
図1に示すように、ローダ4はワーク供給部Aからプレス部Bを経て成形品収納部Cまでレール部7に沿って往復移動可能に設けられている。具体的には、樹脂封止装置2内の奥側(
図1の上側)に配置されたレール部7に沿って左右方向に移動し、装置手前側に(
図1の下側)に向かって進退移動することができる。ワーク供給部Aから供給された成形前のワークWはワーク搬送機構Dによりプレス部B(B1~B4)に搬送され、ローダ4によってワークWが保持されて樹脂Rと共に封止金型3(3a~3d)に搬入される。また、封止金型3において、成形後のワークWはローダ4により搬出されて成形品収納部Cへ収納されるようになっている。尚、ローダ4とは別にアンローダを設け、成形後のワークWはアンローダによりプレス部Bより取り出して成形品収納部Cへ搬送するようにしてもよい。
【0022】
ワーク搬送機構Dは、ワーク供給部Aからプレス部B(B1~B4)にわたってローダ4の移動範囲に配置された搬送路を移動体1c(1c0~1c4)が往復移動してワークWをワーク供給部Aからプレス部Bへ供給する。
ワーク搬送機構Dは、複数の搬送部が直列配置され搬送部上の移動体1c(1c0~1c4)よりワークWがローダ4に保持されてプレス部B(B1~B4)に搬入される第一搬送路(後述する第一直動レール1A)と、第一搬送路と平行配置され複数の搬送部が直列配置され移動体1c(1c0~1c4)がワーク供給部Aへ往復移動する第二搬送路(後述する第二直動レール1B)と、移動体1c(1c0~1c4)が移動可能な第一搬送路と第二搬送路とで搬送路を切り換える搬送路切換機構(後述する昇降機構10等)を備えている。
【0023】
ワーク搬送機構Dとしては、
図2に示すように、例えばリニア搬送機構1が用いられる。リニア搬送機構1は、複数の第一レール部1a0~1a4が着脱自在に互いに直列接続された第一直動レール1A(第一搬送路)と、複数の第二レール部1b00~1b4が着脱自在に互いに直列接続された第二直動レール1B(第二搬送路)を有している。第一直動レール1Aと第二直動レール1Bは異なる高さに平行配置されている。これら第一直動レール1Aと第二直動レール1Bは、リニアモータレール部1Cを構成する。リニアモータレール部1Cは、ワーク供給部Aからプレス部B(B1~B4)にわたってローダ4の移動範囲に架設されている。
【0024】
移動体1c(1c0~1c4)は、リニアモータ可動子を各々有し、リニアモータレール部1C(第一レール部1a0~1a4、第二レール部1b00~1b4)はリニアモータ固定子を各々有している。第一直動レール1Aを構成する第一レール部1a0~1a4と第二直動レール1Bを構成する第二レール部1b00~1b4は互いに組み換えて電気的及び機械的に直列接続される。第一レール部1a0~1a4及び第二レール部1b00~1b4は、図示しないリニアモータ固定子(電磁石)、一対のガイドレール、磁気センサ等を含む。移動体1c0~1c4は、図示しない一対のガイドレールと連繋する一対のガイドブロックや、リニアモータ固定子に対向して設けられたリニアモータ可動子(永久磁石)や磁気センサに対向して設けられた磁気スケール等を含む。
【0025】
上記リニアモータ可動子とリニアモータ固定子とでリニアモータを形成する。図示しないモータコントローラにより、互いに位相が異なるU相、V相、W相のうちの何れかの相の電流がリニアモータ固定子(電磁石のコイル)に供給される。これにより電磁石の通電が制御されると、当該電磁石に生じる磁束と対向する永久磁石の磁束との相互作用により移動体1c(1c0~1c4)に推進力が生成され、この推進力により一対のガイドレールに沿って走行する。移動体1c(1c0~1c4)の停止位置は、第一レール部1a0~1a4、第二レール部1b00~1b4に各々備えた磁気センサにより検出されている。リニアモータ固定子の電磁石のコイルへの通電を制御することで、移動体1c(1c0~1c4)がリニアモータレール部1Cの目標位置へ移動して停止させることができる。
【0026】
第一レール部1a0~1a4と第二レール部1b00~1b4は、通信線及び給電線等が省略されて互いに接続されるようになっている。レール部どうしの電気的接続は、互いの端子間接続により行ってもよいし、中継部材を介して端子間接続を行ってもよい。このように、第一レール部1a0~1a4と第二レール部1b00~1b4は配線が省略されたモジュール構造を有していることから、第一直動レール1A及び第二直動レール1Bの配置構成の自由度は高くローダ4の作業領域を減らしてコンパクトな設計とすることができる。
【0027】
また、移動体1c(1c0~1c4)は、上面部にワークWを搭載可能なステンレス金属系のワークトレイ1eが設けられている。ワークトレイ1eにはヒータ1dが内蔵されている(
図1参照)。ヒータ1dは、例えば赤外線ヒータ、シーズヒータ、カートリッジヒータ等が用いられる。これにより、移動体1c(1c0~1c4)とこれが載置された第一レール部1a0~1a4のプローブどうしが接続されるとヒータ1dに給電され、ワークトレイ1eを介してワークWを成形温度(例えば170°程度)と同程度に予備加熱することができる。
図2中梨地状に囲まれた部分はヒータ1dに通電されてワークトレイ1eを介してワークWが予備加熱されていることを示す。よって、ワークWの予備加熱の時間を減らして生産効率を高め、ワークWに熱を奪われて金型温度が低下し難くなるので成形品質を向上させることができる。
【0028】
図4に示すように、移動体1c(1c0~1c4)は、少なくとも第一直動レール1A(第一搬送路)上及びワーク受け取り位置Eにおいてヒータ1dに通電されて成形前のワークWが成形温度(例えば170°程度)と同程度に予備加熱されるようになっている。これにより、ワークWの供給からプレス部Bへの搬入までに複数回予備加熱されるので、ワークWの予備加熱が短時間で行える。
【0029】
図2において、第一直動レール1Aは、ローダ4が成形前のワークWを保持してプレス部B(B1~B4)に対して進退動する高さ位置において、ワーク供給部Aとの間に架設されている。第二直動レール1Bは、第一直動レール1Aより高さが低く平行な第二高さ位置においてワーク供給部Aとの間に架設されている。尚、第二直動レール1Bは第一直動レール1Aより高い位置に平行配置されていてもよい。
【0030】
また、
図2において、昇降機構10(搬送路切換機構)は、移動体1cを載せた第一レール部1a0~1a4と平行配置された第二レール部1b01~1b4を共に平行移動させて、第一レール部1a0~1a4どうしが接続する第一直動レール1Aから第一レール部1a0~1a4を第二レール部1b00~1b4と接続する第二直動レール1Bとの間で搬送路を切り換える。
【0031】
具体的には、
図3において、昇降機構10は、第一レール部1a0~1a4どうし及び第二レール部1b00~1b4どうしが互いに連結する第一高さ位置と、互いの連結を外して第一レール部1a0~1a4が第二レール部1b00~1b4と接続する第二高さ位置との間を昇降させる。更には移動体1c(1c0~1c4)を載せた第二レール部1b00を第二直動レール1Bの高さ位置とワーク受け取り位置Eとの間、移動体1c(1c0~1c4)を載せた第一レール部1a0を第二直動レール1bの高さ位置と後述するトレイ用予備加熱部Fとの間を昇降させる。昇降機構10の構成は様々なものが採用できるが、上下に平行配置された第一レール部1a0~1a4及び第二レール部1b00~1b4をアーム等に平行支持するか或いはハンド等で把持してモータ駆動等により昇降させるようにしてもよい。
【0032】
昇降機構10は、第二高さ位置に下降させた第一レール部1a0~1a4より第二直動レール1Bに沿ってワーク供給部Aへ移動した移動体1c(1c0~1c4)を第二レール部1b00と共にワーク受け取り位置Eまで下降させ、成形前のワークWを受け取った移動体1c(1c0~1c4)を載せた第二レール部1b00を再度第二直動レール1Bと接続する位置まで上昇させる。そして、移動体1c(1c0~1c4)が自走して移動した第一レール部1a1~1a4及びその直下の第二レール部1b1~1b4をもとの第一直動レール1Aと第二直動レール1Bと再度接続する第一高さ位置まで上昇させる。この動作を繰り返すことで、移動体1c(1c0~1c4)をプレス部Bとワーク供給部Aとの間を往復移動させるようになっている。
【0033】
これにより、第一直動レール1A上の移動体1c0~1c4にワークWを供給する場合、昇降機構10によって移動体1c(1c0~1c4)を載せた第一レール部1a0~1a4を第一高さ位置から第二高さ位置へ平行移動させて第二レール部1b00~1b4と接続することにより、移動体1c0~1c4が第二直動レール1B上を自走してワーク供給部Aへ移動させて次の成形前のワークWを供給することができる。よって、ローダ4によるワーク搬送作業を減らして、生産効率を高めることができる。
【0034】
図2に示すように、第一直動レール1Aに備えた第一レール部1a0~1a4より第二直動レール1Bに備えた第二レール部1b00~1b4の方がワーク供給部A側に長くなるように延設されている。具体的には、第一直動レール1Aは、プレス部B1に設けられた第一レール部1a1よりワーク供給部A側に第一レール部1a0が延設されている。第二直動レール1Bはプレス部B1に設けられた第二レール部1b1よりワーク供給部A側に第二レール部1b01及び第二レール部1b00が第二レール部1b1より延設されている。よって第二直動レール1Bが第一直動レール1Aより第二レール部1b00だけワーク供給部A側に長く形成されている。これにより、
図3に示すように第二直動レール1Bに沿ってワーク供給部Aへ移動した移動体1c0~1c4は昇降機構10によって第二レール部1b00と共にワーク受け取り位置Eへ昇降させることができる(
図3は移動体1c1を昇降する場合を例示した)。
【0035】
また、移動体1c0~1c4が成形前のワークWを受け取りに行く移動中にワークトレイ1eが温度低下し易い。このためワーク供給部Aには、成形前のワークWを受け取る前に移動体1c0~1c4のワークトレイ1eを成形温度と同程度に予備加熱するトレイ用予備加熱部Fが更に設けられている。具体的には、
図3において、昇降機構10によって第一レール部1a0及びこれと平行配置された第二レール部1b01を昇降させることで、ワーク供給部A側に延設された第一レール部1a0上に自走した移動体1c1~1c4を第一直動レール1Aと接続する高さ位置においてヒータ1dに給電してワークトレイ1eを成形温度(例えば170°程度)と同程度に予備加熱する。
図3では、トレイ用予備加熱部Fに移動体1c0が配置されてワークトレイ1eが予備加熱された状態を例示している。
【0036】
これにより、トレイ用予備加熱部Fでワークトレイ1eを予備加熱することによりワークトレイ1eの温度低下を低減しワークWの予備加熱時間を減らして生産効率を高めることができる。尚、プレス部B1~B4の数より多い移動体1c0を更に備えることにより、成形が終了したいずれかのプレス部Bに対して予めワーク供給部Aのトレイ用予備加熱部Fでワークトレイ1eが予備加熱され成形前のワークWを受け取って予備加熱された移動体1c0を用いて迅速に供給できるので、プレス部B1~B4の稼働率が向上し生産効率を高めることができる。
【0037】
ここで、樹脂封止装置2の動作例についてローダ4によるワーク搬送動作と共に
図4に示す。図中梨地状に囲まれた部分はワークトレイ1eを介してワークWが予備加熱されていることを示す。ローダ4はワーク供給部Aにおいてホルダ機構11よりタブレット樹脂Rを受け渡され、所要のプレス部Bに移動して、移動体1c(1c0~1c4)より成形温度と同程度に予備加熱された成形前のワークWを受け取って封止金型3(例えば下型)へ搬入する。ワークW及び樹脂Rが搬入された封止金型3は、型閉じして圧縮成形が行われる。成形後、ローダ4は型開きした封止金型3(例えば上型)より成形後のワークWを受け取って搬出する。ローダ4は、成形後のワークWを保持したままプレス部Bから成形品収納部Cへ搬送しピックアップ12に受け渡す。以上の動作をローダ4は繰り返し行う。尚、ワークW及びタブレット樹脂Rの搬入をローダ4で行い、成形後のワークWの搬出をアンローダ(図示せず)で行ってもよい。
【0038】
次に、リニア搬送機構1による成形前のワークWのプレス部B(B1~B4)への搬送動作の一例について
図5乃至
図18を参照して説明する。
図2に示すように、プレス部B1~B4に架設された第一直動レール1A(第一レール部1a1~1a4)に載置された移動体1c1~1c4は、プローブがヒータ配線と接続されヒータ1dに通電されるため、ワークトレイ1eを介してワークWが成形温度と同程度(例えば170°程度)に予備加熱されて待機している。同様に、ワーク供給部Aに設けられたトレイ用予備加熱部Fにおいても、第一レール部1a0上に移載された移動体1c0のワークトレイ1eもプローブがヒータ配線と接続されヒータ1dに通電されるため、成形温度と同程度に予備加熱される。
【0039】
以下、プレス部Bに対する成形前のワーク供給動作について説明する。
図2のプレス部B1~B4の第一直動レール1A上にある移動体1c0~1c4がワーク供給部Aへ成形前のワークWを受け取りに行く動作例について説明する。
図5に示すように、トレイ用予備加熱部Fにおいて予備加熱された移動体1c0から成形前のワークWを受け取りに行く動作が開始される。図中梨地状に囲まれた部分は予備加熱されていることを示す。
【0040】
図5に示すように、昇降機構10が、移動体1c0を載せた第一レール部1a0とその下方に平行配置された第二レール部1b01を下降させ、第一レール部1a0を第二レール部1b00と第二レール部1b1との間に接続する。
図6に示すように移動体1c0は第一レール部1a0から第二レール部1b00に自走する。
図7に示すように昇降機構10は、移動体1c0を載せた第二レール部1b00をワーク受け取り位置Eへ下降させる。そして、移動体1c0は供給マガジン5よりワークトレイ1e上に成形前のワークWを受け取り(
図1参照)、ワークWはワークトレイ1eに内蔵したヒータ1dにより成形温度と同程度に予備加熱される。
【0041】
図8において、昇降機構10によってプレス部B1において移動体1c1を載せた第一レール部1a1とその下方の第二レール部1b1を下降させ、第一レール部1a1を第一レール部1a0と第二レール部1b2との間に接続する。移動体1c1は、第二直動レール1B上を第一レール部1a0に向かって自走する。次いで、
図9に示すように、昇降機構10は移動体1c1を載置した第一レール部1a0及びこれと平行な第二レール部1b01と共に上昇させて第二レール部1b01が第一レール部1a1と接続させる。このとき、トレイ用予備加熱部Fに移動した移動体1c1のワークトレイ1eが第一レール部1a0上で成形温度と同程度に予備加熱される。
【0042】
次いで、
図10に示すように、昇降機構10はワークWを受け取った移動体1c0を載せた第二レール部1b00をワーク受け取り位置Eから第二レール部1b01と接続する高さ位置まで上昇させる。そして、
図11に示すように、移動体1c0を第二レール部1b00から第二レール部1b01を経て第一レール部1a1上まで自走させる。
【0043】
図12に示すように、移動体1c0を載置した第一レール部1a1及びこれと平行配置された第二レール部1b1を昇降機構10により上昇させて、第一レール部1a1を第一レール部1a2と接続させ、第二レール部1b1を第一レール部1a0と第二レール部1b2間接続させる。これにより、ワークWを載置した移動体1c0のワークトレイ1eは、第一レール部1a1上で成形温度と同程度に予備加熱される。尚、ワークトレイ1e上で予備加熱されたワークWは、樹脂Rを保持したローダ4によってプレス部B1の封止金型3aに搬入される(
図1参照)。
【0044】
また、トレイ用予備加熱部Fにおいてワークトレイ1eが予備加熱された移動体1c1は、
図12に示すように昇降機構10によって第一レール部1a0及びこれと平行な第二レール部1b01を下降させて第一レール部1a0を第二レール部1b00と第二レール部1b1との間に接続させる。次いで、
図13に示すように移動体1c1は第一レール部1a0から第二レール部1b00へ自走する。
また、プレス部B2において昇降機構10は、移動体1c2を載置した第一レール部1a2及びこれと平行配置された第二レール部1b2を下降させ、第一レール部1a2が第二レール部1b1と第二レール部1b3との間に接続させる。
【0045】
図14において、昇降機構10によって移動体1c1を載せた第二レール部1b00をワーク受け取り位置Eへ下降させる。そして、移動体1c1は供給マガジン5よりワークトレイ1e上に成形前のワークWを受け取り(
図1参照)、ワークWはワークトレイ1eに内蔵したヒータ1dにより成形温度と同程度に予備加熱される。また、移動体1c2は、第一レール部1a2より第二レール部1b1を経て第一レール部1a0上に自走する。
【0046】
図15において、昇降機構10は移動体1c2を載置した第一レール部1a0及びこれと平行配置された第二レール部1b01を上昇させて第一レール部1a0を第一レール部1a1と接続させ、第二レール部1b01を第二レール部1b1と接続させる。このとき、トレイ用予備加熱部Fに移動した移動体1c2のワークトレイ1eが第一レール部1a0上で成形温度と同程度に予備加熱される。
【0047】
次いで、
図16に示すように、昇降機構10はワークWを受け取った移動体1c1を載せた第二レール部1b00をワーク受け取り位置Eから第二レール部1b01と接続する高さ位置に上昇させる。そして、
図17に示すように、移動体1c1を第二レール部1b00から第二レール部1b01及び第二レール部1b1を経て第一レール部1a2上まで自走させる。
【0048】
図18に示すように、移動体1c1を載置した第一レール部1a2及びこれと平行配置された第二レール部1b2を昇降機構10により上昇させて、第一レール部1a2を第一レール部1a1と第一レール部1a3との間に接続させ、第二レール部1b2を第二レール部1b1と第二レール部1b3との間に接続させる。これにより、移動体1c1のワークトレイ1eに載置されたワークWは、第一レール部1a2上で成形温度と同程度に予備加熱される。尚、ワークトレイ1e上で予備加熱されたワークWは、樹脂Rを保持したローダ4によってプレス部B2の封止金型3bに搬入される(
図1参照)。
【0049】
また、
図18においてトレイ用予備加熱部Fにおいてワークトレイ1eが予備加熱された移動体1c2は、昇降機構10によって第一レール部1a0及びこれと平行配置された第二レール部1b01を下降させ、第一レール部1a0を第二レール部1b00と第二レール部1b1との間に接続させる。
そして、移動体1c2は、第一レール部1a0から第二レール部1b00へ自走する(
図6、
図13参照)。次いで昇降機構10は移動体1c2を載せた第二レール部1b00をワーク受け取り位置Eへ下降させる(
図7、
図14参照)。そして、移動体1c2は供給マガジン5よりワークトレイ1e上に成形前のワークWを受け取り(
図1参照)、ワークWはワークトレイ1eに内蔵したヒータ1dにより成形温度と同程度に予備加熱される(
図7、
図14参照)。
【0050】
プレス部B3に備えた移動体1c3及びプレス部B4に備えた移動体1c4によるワーク搬送動作も、移動体1c2に続いてトレイ用予備加熱部Fにおけるワークトレイ1eの予備加熱とワーク受け取り位置EにおけるワークWの予備加熱が交互に行われてプレス部B3,B4に対してワークWが搬送される。詳細な説明は移動体1c0及び移動体1c1と同様であるため省略する。
【0051】
以上説明したように、第一直動レール1Aを形成する第一レール部1a0~1a4上の移動体1c0~1c4を載せた第一レール部1a0~1a4と平行配置された第二レール部1b01~1b4を平行移動させて第一レール部1a0~1a4を第二レール部1b00~1b4と接続することにより、移動体1c(1c0~1c4)が第二直動レール1B上を自走してワーク供給部Aへ移動させて次の成形前のワークWを供給することができる。これにより、ローダ4によるワーク搬送作業を減らして、生産効率を高めることができる。
また、第一レール部1a0~1a4と第二レール部1b00~1b4は互いに組み換えて電気的及び機械的に接続されるモジュール構造を有していることから、第一直動レール1A及び第二直動レール1Bの配置構成の自由度は高くローダ4の作業領域を減らしてコンパクトな設計とすることができる。
また、第一直動レール1Aにおいては移動体1c1~1c4のワークトレイ1eが加熱されワーク成形前のワークWを成形温度と同程度に予備加熱するので、ワークWの予備加熱の時間を減らして生産効率を高め、ワークWに熱を奪われて金型温度が低下し難くなるので成形品質を向上させることができる。
【0052】
またプレス部B1~B4の移動体1c1~1c4がワークWを受け取りに行く移動中にワークトレイ1eが温度低下し易い。このため、ワーク供給部Aにトレイ用予備加熱部Fが設けられていると、トレイ用予備加熱部Fでワークトレイ1eを成形温度と同程度に予備加熱することによりワークトレイ1eの温度低下を低減しワークWの予備加熱時間を減らして生産効率を高めることができる。また、プレス部B1~B4の数より多い移動体1c0を更に備えることにより、成形が終了したいずれかのプレス部Bに対して移動体1c0を用いて予めワーク供給部Aで成形前のワークWを受け取って予備加熱されたワークWを供給することができるので、プレス部Bの稼働率が向上し生産効率を高めることができる。
【0053】
尚、上述したリニア搬送機構1に備えた第一直動レール1Aと第二直動レール1Bは、異なる高さ位置に平行配置されていたが、この態様に限定されない。例えば、第一直動レール1Aと第二直動レール1Bは同じ高さで水平方向に異なる位置に平行配置されていてもよい。この場合には、搬送路切換機構は昇降機構10に替えて水平移動機構を用いて第一レール部1a0~1a4及び第二レール部1b00~1b4を同一平面上で装置手前側若しくは装置奥側へスライド移動させることで、移動体1c(1c0~1c4)を載せた第一レール部1a0~1a4を第二レール部1b00~1b4と互いに接続することができる。
また、第一直動レール1Aと第二直動レール1Bは高さ方向及び水平方向に異ななる位置に平行配置されていてもよい。この場合には、搬送路切換機構は、三次元移動ロボットアーム等で第一レール部1a0~1a4及び第二レール部1b00~1b4を移動するようにしてもよい。
【0054】
更には、ワーク供給部Aにおいて第二レール部1b00上に移動した移動体1c(1c0~1c4)を第二直動レール1Bからワーク受け取り位置Eまで第二レール部1b00と共に下降させたが、第二レール部1b00上に移動した移動体1cに対して第二直動レール1Bの延長上に配置した供給マガジン5より成形前のワークWをワークトレイ1eに供給するようにしてもよい。或いは第二レール部1b00の上方に配置された供給マガジン5より成形前のワークWを移動体1c(1c0~1c4)に供給するようにしてもよい。
【0055】
上述した実施例は、ワーク搬送機構Dとしてリニア搬送機構1を用いてがこれに限定されるものではない。ワーク搬送機構Dは、ベルト搬送機構であってもよい。具体的にはベルト搬送機構は、周回する無端ベルト上を移動体1cが移動するベルトモジュールが直列配置された第一ベルト搬送路(第一直動レール1Aに相当)と、第一ベルト搬送路と平行配置され複数のベルトモジュールが直列配置された第二ベルト搬送路(第二直動レール1Bに相当)を備えていてもよい。例えば、
図2において第一レール部1a0~1a4の代わりにベルトモジュールを配置し、第二レール部1b00~1b4の代わりにベルトモジュールを各々配置してもよい。尚、第一ベルト搬送路と第二ベルト搬送路は、異なる高さ位置に平行配置されていても良いし、同じ高さで水平方向に異なる位置に平行配置されていてもよく、高さ位置及び水平方向位置が異なるように配置されていてもよい。
【0056】
移動体1c(1c0~1c4)は、上面部にワークWを搭載可能なステンレス金属系のワークトレイ1eが設けられ、ワークトレイ1eにはヒータ1dが内蔵されている点は同様である(
図1参照)。ヒータ1dは、例えば赤外線ヒータ、シーズヒータ、カートリッジヒータ等が用いられる。移動体1c0~1c4は第一ベルト搬送路に設けられたストッパに突き当たって停止し、移動体1c0~1c4に設けられたプローブを第一ベルト搬送路に設けられたヒータ配線と接続することでヒータ1dに給電してワークトレイ1eを介してワークWを成形温度(例えば170°程度)と同程度に予備加熱する構成も同様である。また、ワーク供給部Aにもトレイ用予備加熱部Fを備えている点も同様である。この場合、搬送路切換機構は、移動体1cのみを第一ベルト搬送路と第二ベルト搬送路との間で移載して搬送路を切り換えることが好ましい。
これにより、移動体1cはベルトモジュールが直列配置された第一搬送路と第二搬送路上とで搬送路切換機構によって移動体1cを載せ換えれば足りるため、簡易な構成でローダ4による成形前のワークWの搬送作業を減らして、生産効率を高めることができる。
【0057】
また、上述したプレス部Bには4つのプレス部B1~B4を併設した実施例を開示したが、プレス部Bの数はこれより多くても少なくてもいずれでもよい。また、プレス部Bに備えた封止金型3は、トランスファ成形装置であっても圧縮成形装置であってもいずれでもよい。
また、ローダ4は成形前のワーク及び樹脂Rを供給すると共に成形後のワークWを取り出すようになっているが、これに限定されず、成形前のワークWを供給するローダと成形後のワークWを取りだすアンローダを備えていてもよい。
また、樹脂Rはタブレット樹脂を例示したが、顆粒状樹脂、粉状樹脂、液状樹脂等他の形態の樹脂であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
W ワーク A ワーク供給部 B,B1,B2,B3,B4 プレス部 C 成形品収納部 D ワーク搬送機構 E ワーク受け取り位置 F トレイ用予備加熱部 R タブレット樹脂 1 リニア搬送機構 1A 第一直動レール 1B 第二直動レール 1C リニアモータレール部 1a0,1a1,1a2,1a3,1a4 第一レール部 1b00,1b01,1b1,1b2,1b3,1b4 第二レール部 1c,1c0,1c1,1c2,1c3,1c4 リニアモータ可動部 1d ヒータ 1e ワークトレイ 2 樹脂封止装置 3,3a,3b,3c,3d 封止金型 3e 金型キャビティ 3f ポット 4 ローダ 5 供給マガジン 6 樹脂供給部 7 レール 8 ディゲート部 9 成形品収納マガジン 10 昇降機構 11 ホルダ機構 12 ピックアップ