(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088840
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】パレット利用の荷搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
B65G47/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200908
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】390032274
【氏名又は名称】オムニヨシダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 正二郎
【テーマコード(参考)】
3F044
【Fターム(参考)】
3F044AA01
3F044AA11
3F044AB23
3F044AB31
3F044CA01
3F044CA05
3F044CA10
3F044CD01
3F044CD08
(57)【要約】
【課題】可動フレームの進退動作に伴う固定フレームの振動や揺動を抑え、装置の小型化やコストの低減を可能とする。
【解決手段】昇降テーブルを有する昇降機構と、昇降機構の所定の階の出入口に設置される荷搬出入装置2とを含む。昇降テーブルには荷積みパレットと空パレットとを水平搬送するための第1、第2のコンベヤが上下2段に設けられる。荷搬出入装置2を構成する荷搬出入機構200L,200Rは、荷搬送用のチェンコンベヤ3と、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4と、各チェンコンベヤ3,4が上下に平行して設けられる可動フレーム21L,21Rと、パレット積み下ろし機構と、可動フレーム21L,21Rを直立姿勢で支持するとともに直立姿勢を保った状態で作業領域に対して進退動作させる可動フレーム移動機構5とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階の間を昇降する昇降テーブルを有する昇降機構と、前記昇降機構の所定の階の出入口に設置される荷搬出入装置とを含み、前記昇降テーブルには、荷が積まれた荷積みパレットと荷が積まれていない空パレットとをそれぞれ水平搬送するための搬送コンベヤが上下2段に設けられており、
前記荷搬出入装置は、前記出入口に面する作業領域を挟んで対向する左右の荷搬出入機構よりなり、
前記各荷搬出入機構は、
前記昇降テーブルの上段の搬送コンベヤと連動して昇降テーブルに対する前記荷積みパレットの搬出入を行うための荷搬送用のチェンコンベヤと、
前記昇降テーブルの下段の搬送コンベヤと連動して昇降テーブルに対する前記空パレットの搬出入を行うための空パレット搬送用のチェンコンベヤと、
前記作業領域を向く面に前記荷搬送用のチェンコンベヤと空パレット搬送用のチェンコンベヤとが上下に平行して設けられる可動フレームと、
前記荷搬送用のチェンコンベヤに対する荷積みパレットの積み降ろし及び前記空パレット搬送用のチェンコンベヤに対する空パレットの積み降ろしを行うためのパレット積み降ろし機構と、
前記可動フレームを直立姿勢で支持するとともに、直立姿勢を保った状態で可動フレームを作業領域に対して進退動作させる可動フレーム移動機構とを備えるパレット利用の荷搬送装置。
【請求項2】
前記可動フレーム移動機構は、一対の平行リンク機構と往復動機構とからなり、各平行リンク機構は、前記可動フレームを水平を保った状態で支持する揺動自由な平行リンクを含み、各平行リンク機構の平行リンクを前記往復動機構により一体に揺動させることにより前記可動フレームを前記作業領域に対して進退動作させる請求項1に記載のパレット利用の荷搬送装置。
【請求項3】
前記往復動機構は、正逆回転が可能なモータを駆動源とし、前記モータの回転運動を往復直線運動に変換して前記各平行リンクに伝達するクランク機構を含む請求項2に記載のパレット利用に荷搬送装置。
【請求項4】
前記可動フレームは、前記荷搬送用のチェンコンベヤと前記空パレット搬送用のチェンコンベヤとが設けられる側板部と、前記側板部と直角をなし互いに対向する前板部及び後板部とを含み、前記前板部及び後板部が前記各平行リンク機構の平行リンクにより支持される請求項2に記載のパレット利用の荷搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場、倉庫などにおいて、複数の階の間で荷を搬送するのに用いられる荷搬送装置に関するもので、この発明は特に、荷をパレットに載せて搬送するためのパレット利用の荷搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、その種の荷搬送装置は、
図12に示すように、複数の階の間(
図12では1階と2階との間)を昇降する昇降テーブル10を有する昇降機構1と、昇降機構1の各階の出入口G1,G2に設置され昇降テーブル10に対する荷が積まれたパレット(以下、「荷積みパレット」という。)P1及び荷が積まれていないパレット(以下、「空パレット」という。)P2の搬出入を同時に並行して行うことが可能な荷搬出入装置2とを含むものである。
【0003】
なお、以下の説明では、昇降機構1の出入口G1,G2に対向する方向、すなわち、
図12において矢印xで示す方向を前後方向、昇降機構1の出入口G1,G2の幅方向、すなわち、
図12において矢印yで示す方向を左右方向ないしは両側方向、前後方向及び左右方向と直交する方向、すなわち、
図12において矢印zで示す方向を上下方向という。
【0004】
昇降機構1の昇降テーブル10は、荷積みパレットP1と空パレットP2とをそれぞれ前後方向へ水平搬送するための搬送コンベヤ11,12が上下2段に設けられている。一方、荷搬出入装置2は、左右対をなす荷搬出入機構200L,200Rにより構成され、各荷搬出入機構200L,200Rは、昇降テーブル10の上段の搬送コンベヤ(以下「第1コンベヤ」という。)11と連動し荷積みパレットP1の搬出入を協働して行う荷搬送用のチェンコンベヤ3,3と、昇降テーブル10の下段の搬送コンベヤ(以下「第2コンベヤ」という。)12と連動し空パレットP2の搬出入を協働して行う空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4とを備えている。なお、昇降テーブル10の第1、第2の各コンベヤ11,12は、例えば、ローラコンベヤにより構成される。
【0005】
左右の荷搬送用のチェンコンベヤ3,3及び左右の空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4は、昇降機構1の出入口G1,G2に面する作業のための空間領域(以下「作業領域」という。)Sを挟んでそれぞれ対向し、作業領域Sに対して左右両側方より進退動作する。各荷搬出入機構200L,200Rには、図示していないが、荷搬送用のチェンコンベヤ3を進退動作させる第1コンベヤ移動機構と、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4を進退動作させる第2コンベヤ移動機構とがそれぞれ組み込まれている。
【0006】
各荷搬出入機構200L,200Rは、さらに、パレット積み降ろし機構7をそれぞれ備えている。各パレット積み降ろし機構7は、パレットを支持するパレット支持機構70L,70Rを含む。各パレット支持機構70L,70Rは、荷積みパレットP1及び空パレットP2の側端のフランジ部分を支持する支持爪71を有する。各支持爪71はチェン73に取り付けられ、チェン73によって各支持爪71を一斉に昇降動作させることで、荷搬送用のチェンコンベヤ3に対する荷積みパレットP1の積み降ろしと、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4に対する空パレットP2の積み降ろしとが行われる。
【0007】
各パレットを積み降ろしするに際して、荷積みパレットP1や空パレットP2を持ち上げるとき、荷搬送用及び空パレット搬送用の各チェンコンベヤ3,4は障害となるため、作業領域Sから退避させる必要がある。そのために、左右の荷搬出入機構200L,200Rのそれぞれに第1、第2の各コンベヤ移動機構が組み込まれている。しかし、荷搬出入機構200L,200R毎に2個のコンベヤ移動機構を組み込むと、構造が複雑となり、荷搬出入装置2の大型化やコスト高を招く。
【0008】
上記の課題を解決するために、出願人は先般、
図13に示す構造の荷搬出入装置2を提案した(例えば、特許文献1参照)。図示の荷搬出入装置2では、各荷搬出入機構200L,200Rに可動フレーム150L,150Rをそれぞれ設け、各可動フレーム150L,150Rに荷搬送用のチェンコンベヤ3と空パレット搬送用のチェンコンベヤ4とを上下に平行して設けている。各可動フレーム150L,150Rは、上端部が支点となって内外へスウィング動作し、この動作によって、左右の荷搬送用及び空パレット搬送用の各チェンコンベヤ3,4が作業領域Sに対して一斉に進退動作する。なお、図中、70L,70Rはパレット積み降ろし機構7のパレット支持機構であり、71は荷積みパレットP1や空パレットP2を支持するための支持爪である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の荷搬出入装置2においては、可動フレーム150L,150Rは、固定フレーム160L,160Rの上部に設けられた回転軸を支点としてスウィング動作するので、この振れに伴って固定フレーム160L,160Rが振動ないしは揺動し、チェンコンベヤ3,4に対する荷積みパレットP1や空パレットP2の積み降ろしに支障が生じるおそれがある。固定フレーム160L,160Rの振動や揺動を抑制するには、固定フレーム160L,160Rを堅牢なものにする必要があるが、それでは装置の大型化やコスト高を招く。
【0011】
また、荷搬送用のチェンコンベヤ3に対して荷積みパレットP1を積み降ろしする際、荷搬送用のチェンコンベヤ3は、退避のために必要最小限の距離だけ後退させることができるものの、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4の方は、後退する距離が必要以上に大きなものとなり、退避のための大きな空間が必要であり、荷搬出入装置2が大型化する。
【0012】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、可動フレームの進退動作に伴う固定フレームの振動や揺動を抑制し、装置の小型化やコストの低減を可能としたパレット利用の荷搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によるパレット利用の荷搬送装置は、複数の階の間を昇降する昇降テーブルを有する昇降機構と、昇降機構の所定の階の出入口に設置される荷搬出入装置とを含む。昇降テーブルには、荷が積まれた荷積みパレットと荷が積まれていない空パレットとをそれぞれ水平搬送するための搬送コンベヤが上下2段に設けられる。荷搬出入装置は、出入口に面する作業領域を挟んで対向配置される左右の荷搬出入機構よりなる。各荷搬出入機構は、昇降テーブルの上段の搬送コンベヤと連動して昇降テーブルに対する荷積みパレットの搬出入を行うための荷搬送用のチェンコンベヤと、昇降テーブルの下段の搬送コンベヤと連動して昇降テーブルに対する空パレットの搬出入を行うための空パレット搬送用のチェンコンベヤと、作業領域を向く側に荷搬送用のチェンコンベヤと空パレット搬送用のチェンコンベヤとが上下に平行して設けられる可動フレームと、荷搬送用のチェンコンベヤに対する荷積みパレットの積み降ろし及び空パレット搬送用のチェンコンベヤに対する空パレットの積み降ろしを行うためのパレット積み降ろし機構と、可動フレームを直立姿勢で支持するとともに、直立姿勢を保った状態で可動フレームを作業領域に対して進退動作させる可動フレーム移動機構とを備える。
【0014】
上記した構成において、望ましい形態の「パレット」は、水平な荷積み面の両側端部に垂直な側壁が、各側壁の上端部に水平な外向きのフランジが、それぞれ形成されたものであるが、両側端部を支持することが可能な構成のものであれば、必ずしもそのような形態に限定されない。
【0015】
上記した構成のパレット利用の荷搬送装置において、昇降機構の所定の階の出入口では、荷搬出入装置により昇降テーブルに対する荷積みパレットの搬出入と空パレットの搬出入とが同時に並行して行われる。
まずは、床面上に置かれた荷積みパレットを荷搬出入装置により昇降テーブル上へ搬出する動作を説明する。
【0016】
まず、荷積みパレットをパレット積み降ろし機構により荷搬送用のチェンコンベヤの上方位置まで持ち上げる(後述する
図7(A)(B)参照)。この荷積みパレットの持ち上げ時、荷搬送用及び空パレット搬送用の各チェンコンベヤは作業領域より退避しており、各チェンコンベヤが荷積みパレットの持ち上げの妨げとなることはない。
【0017】
次に、可動フレームを可動フレーム移動機構により直立姿勢を保った状態で移動させ、荷搬送用のチェンコンベヤ及び空パレット搬送用のチェンコンベヤを作業領域に向けて前進させる。その後、荷積みパレットを降下させて荷搬送用のチェンコンベヤ上に降ろす(後述する
図8(A)(B)参照)。
上記した可動フレームの進退動作において、可動フレームは、直立姿勢を保った状態で移動するので、固定フレームが振動ないしは揺動せず、チェンコンベア上へ荷積みパレットを積むのに支障をきたさない。
【0018】
次に、荷搬送用のチェンコンベヤと昇降テーブルの上段の搬送コンベヤとを連動させ、同方向(荷を昇降テーブル上へ搬出する方向)へ駆動させる。一方、空パレット搬送用のチェンコンベヤと昇降テーブルの下段の搬送コンベヤとを連動させ、同方向(パレットを昇降テーブル上から搬入する方向)へ駆動させる。これにより、荷搬送用のチェンコンベヤ上の荷積みパレットは昇降テーブルの上段の搬送コンベヤ上へ搬出され、これと同時に並行して、昇降テーブルの下段の搬送コンベヤ上の空パレットは空パレット搬送用のチェンコンベヤに搬入される(後述する
図9参照)。
【0019】
なお、空パレットを床面上に降ろして荷積みする場合は、空パレット搬送用のチェンコンベヤ上の空パレットをパレット積み降ろし機構により上方へ持ち上げた後、左右の可動フレームを可動フレーム移動機構により直立姿勢を保った状態で移動させて空パレット搬送用のチェンコンベヤを作業領域より後退させ、持ち上げた空パレットを床面上に降ろす。
【0020】
次に、昇降テーブル上の荷積みパレットを荷搬出入装置に搬入する動作を説明する。
まず、昇降テーブルの上段の搬送コンベヤと荷搬送用のチェンコンベヤとを同方向(荷を昇降テーブル上から搬入する方向)へ駆動させる。一方、空パレット搬送用のチェンコンベヤと昇降テーブルの下段の搬送コンベヤとを同方向(パレットを昇降テーブル上へ搬出する方向)へ駆動させる。これにより、昇降テーブルの上段の搬送コンベヤ上の荷積みパレットは荷搬送用のチェンコンベヤ上に搬入され、これと同時に、空パレット搬送用のチェンコンベヤ上の空パレットが昇降テーブルの下段の搬送コンベヤ上に搬出される(後述する
図10(A)参照)。
【0021】
次に、荷搬送用のチェンコンベヤ上の荷積みパレットをパレット積み降ろし機構により支持して持ち上げた後(後述する
図10(B)参照)、可動フレームを可動フレーム移動機構により移動させて荷搬送用のチェンコンベヤ及び空パレット搬送用のチェンコンベヤを作業領域より後退させた後、荷積みパレットを降下させて床面上に降ろす(後述する
図11(A)参照)。
この場合、荷搬送用及び空パレット搬送用の各チェンコンベヤは作業領域より退避しているので、各チェンコンベヤが荷積みパレットの下降動作の妨げとなることはない。床面上に降ろされた荷積みパレット上の荷はフォークリフト等により持ち運ばれる(後述する
図11(B)参照)。
【0022】
この発明の好ましい実施態様においては、可動フレーム移動機構は、一対の平行リンク機構と往復動機構とからなり、各平行リンク機構は、可動フレームを水平を保った状態で支持する揺動自由な平行リンクを含み、平行リンク機構の各平行リンクを往復動機構により一体に揺動させることにより可動フレームを作業領域に対して進退動作させる。
【0023】
この実施態様によると、各平行リンク機構の平行リンクが一体に揺動するとき、可動フレームは直立姿勢を保った状態で作業領域に対して進退動作するもので、固定フレームが振動ないしは揺動せず、チェンコンベヤに対する荷積みパレットの積み降ろしに支障をきたさない。
【0024】
好ましい実施態様の往復動機構は、正逆回転が可能なモータを駆動源とし、モータの回転運動を往復直線運動に変換して各平行リンクに伝達するクランク機構を含む。
【0025】
また、好ましい実施態様の可動フレームは、荷搬送用のチェンコンベヤと空パレット搬送用のチェンコンベヤとが設けられる側板部と、側板部と直角をなし互いに対向する前板部及び後板部とを含み、前板部及び後板部が各平行リンク機構の平行リンクにより支持される。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、可動フレームの進退動作に伴う固定フレームの振動や揺動が抑えられ、パレットの積み降ろし動作に支障をきたすおそれがない。また、振動や揺動の発生を抑えるのに固定フレームを殊更堅牢にする必要がなく、荷搬出入装置の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】荷搬出入装置の一方の荷搬出入機構を作業領域の側から見た側面図である。
【
図2】一方の荷搬出入機構を作業領域と反対側から見た側面図である。
【
図3】一方の荷搬出入機構のパレット支持機構を正面から見た図である。
【
図4】可動フレーム移動機構の構成を示す斜視図である。
【
図5】可動フレーム移動機構の構成を示す正面図である。
【
図6】可動フレーム移動機構の主要部の構成を示す斜視図である。
【
図7】荷搬出入装置から昇降テーブルへ荷を搬出する動作を示す正面図である。
【
図8】荷搬出入装置から昇降テーブルへ荷を搬出する動作を示す正面図である。
【
図9】荷搬出入装置から昇降テーブルへ荷を搬出する動作を示す正面図である。
【
図10】昇降テーブルから荷搬出入装置に荷を搬入する動作を示す正面図である。
【
図11】昇降テーブルから荷搬出入装置に荷を搬入する動作を示す正面図である。
【
図12】パレット利用の荷搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図13】従来のパレット利用の荷搬送装置の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明に係る荷搬送装置は、パレットに荷を載せて水平、垂直の各方向へ荷を搬送するものであり、装置全体の構成は、概ね
図12に示したものと同じである。
図12に示す荷搬送装置は、複数の階の間を昇降する昇降テーブル10を有する昇降機構1と、昇降機構1の各階の出入口G1,G2の近傍に設置される荷搬出入装置2とを含む。荷搬出入装置2は、昇降機構1の昇降テーブル10に対する荷積みパレットP1の搬出入と空パレットP2の搬出入とを同時に並行して行うことができるものである。
図12は、2階建ての昇降機構1を示すが、この発明の荷搬送装置は、3階建て以上の昇降機構1であっても実施可能である。
【0029】
昇降テーブル10は、図示しない昇降駆動装置によって昇降動作される。昇降駆動装置は、各階の出入口G1,G2の位置で昇降テーブル10が停止するように動作が制御される。昇降テーブル10には、各階の荷搬出入装置2との間で、荷積みパレットP1を水平搬送するための第1コンベヤ11と、空パレットP2を水平搬送するための第2コンベヤ12とが上下2段に設けられている。なお、第2コンベヤ12は
図12に図示されていないが、点線の引出線で示してある。
【0030】
第1,第2の各コンベヤ11,12はローラコンベヤにより構成されている。図示しないコンベヤ駆動装置は、各コンベヤ11,12を個別に駆動するもので、各コンベヤは正逆いずれの方向にも回転駆動する。なお、第1、第2の各コンベヤ11,12として、ローラコンベヤに代えて、チェンコンベアを用いることもできる。
【0031】
荷搬送装置に用いられるパレットは、金属製であって、水平な荷積み面15の両側端部に垂直な側壁16,16が、また、各側壁16の上端部に外向きの水平なフランジ17が、それぞれ屈曲形成されている。荷積みパレットP1や空パレットP2を昇降動作させるとき、左右のフランジ17の前後の各位置が、左右の荷搬出入機構200L,200Rに設けられたパレット支持機構70L,70Rの支持爪71,71によって支持される。
【0032】
各階に設置される荷搬出入装置2は、左右の荷搬出入機構200L,200Rにより構成される。各荷搬出入機構200L,200Rは、昇降機構1の各階の出入口G1,G2に面する作業領域Sを挟む両側位置に互いに対向して配置される。なお、符号の「200L」は、出入口G1,G2に向かって左側に位置する荷搬出入機構を、符号の「200R」は、出入口G1,G2に向かって右側に位置する荷搬出入機構を、それぞれ表している。以下、左側の荷搬出入機構200Lに関わる構成には必要に応じて「L」を、右側の荷搬出入機構200Rに関わる構成には必要に応じて「R」を、それぞれ付する。
【0033】
図1~
図3は、左右の荷搬出入機構200L,200Rのうちの右側の荷搬出入機構200Rの構成を示している。以下、主として、右側の荷搬出入機構200Rの構成を説明するが、左側の荷搬出入機構200Lの構成もこれと同様であり、図示並びに説明を省略する。
【0034】
荷搬出入機構200Rは、床面上に支持される固定フレーム20Rと、全体が一体に動く可動フレーム21Rとを有する。固定フレーム20Rは、床面上に支持される矩形状の下部フレーム24と、下部フレーム24の上方の所定の高さに位置する矩形状の上部フレーム25とを備える。下部フレーム24と上部フレーム25との間は縦フレーム26により連結される。
【0035】
可動フレーム21Rは、
図4~
図6に示される可動フレーム移動機構5により直立姿勢で支持される。また、可動フレーム移動機構5は、直立姿勢を保った状態で可動フレーム21Rを作業領域Sに対して進退動作させる。可動フレーム移動機構5の構成は後で詳述する。
【0036】
可動フレーム21Rの作業領域Sの側を向く面(以下「内側の面」といい、反対側の面を「外側の面」という。)には、昇降テーブル10の上段の第1コンベヤ11と連動して昇降テーブル10に対する荷積みパレットP1の搬出入を行うための荷搬送用のチェンコンベヤ3と、昇降テーブル10の下段の第2コンベヤ12と連動して昇降テーブル10に対する空パレットP2の搬出入を行うための空パレット搬送用のチェンコンベヤ4とが上下2段に平行して設けられている。
【0037】
荷搬送用および空パレット搬送用の各チェンコンベヤ3,4は、他方の荷搬出入機構200Lの可動フレーム21Lの荷搬送用および空パレット搬送用の各チェンコンベヤ3,4とそれぞれ同じ高さに位置する。左右の可動フレーム21L,21Rの荷搬送用のチェンコンベヤ3,3は協働して荷積みパレットP1の搬出入を実行し、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4は協働して空パレットP2の搬出入を実行する。
荷積みパレットP1や空パレットP2は、左右の対をなす荷搬送用のチェンコンベヤ3,3及び空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4上に両側端の外向きのフランジ17がそれぞれ下方より支持され、各チェンコンベヤ3,4と昇降テーブル10の第1、第2の各コンベヤ11,12との間で水平搬送される。
【0038】
図示例の可動フレーム21Rは、金属製の板材を曲げ加工して形成されており、作業領域Sの側を向く側板部21aと、側板部21aと直角をなし前後に対向する前板部21b及び後板部21cとを含む。側板部21aは、他方の可動フレーム21Lの側板部21aと作業領域Sを挟んで対向する。各側板部21aの内側の面には、横長のチェンコンベヤボックス22、23が上下2段に水平かつ平行に取り付けられている。上段のチェンコンベヤボックス22内には荷搬送用のチェンコンベヤ3を構成する無端状のチェン30が、下段のチェンコンベヤボックス23内には空パレット搬送用のチェンコンベヤ4を構成する無端状のチェン40が、それぞれ水平走行する上辺部のみが上方へ露出するように収容されている。
【0039】
荷搬送用のチェンコンベヤ3は、昇降テーブル10が停止したときの第1コンベヤ11の位置に対応する高さに位置する。また、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4は、昇降テーブル10が停止したときの第2コンベヤ12の位置に対応する高さに位置する。この実施例では、昇降テーブル10の第1,第2の各コンベヤ11,12はローラコンベヤにより構成されているので、昇降テーブル10の停止時の各コンベヤ11,12の上面の高さは各チェンコンベヤ3,4により支持されたパレットの荷積み面15の高さに一致する。
【0040】
可動フレーム移動機構5は、可動フレーム21Rを直立姿勢で支持するとともに、直立姿勢を保った状態で可動フレーム21Rを作業領域Sに対して進退動作させるもので、
図4~
図6に示されるように、前後一対の平行リンク機構50A,50Bと往復動機構8とからなる。
【0041】
前側(昇降機構1に近い側)に位置する平行リンク機構50Aは、互いに平行かつ同一長さを有する第1の平行リンク51a,51bと、後述する一対の固定板55a,55b及び連結板53を含むものである。後側(昇降機構1に遠い側)に位置する平行リンク機構50Bは、互いに平行かつ同一長さを有する第2の平行リンク52a,52bと、後述する一対の固定板56a,56b及び連結板54を含むものである。
【0042】
第1の平行リンク51a,51b及び第2の平行リンク52a,52bは、水平を保った状態で可動フレーム21Rを前後の各位置で揺動自由に支持するもので、第1、第2の各平行リンク51a,51b、52a,52bを往復動機構8により一体に揺動させることにより、直立姿勢を保った状態で可動フレーム21Rが作業領域Sに対して進退動作する。
【0043】
前側の平行リンク機構50Aの連結板53は、
図6に示されるように、長さ方向と直交する断面がクランク形状をなす長手状の金属板材よりなり、垂直な上板部531と、上板部531に対して内側へ曲げられた垂直な下板部532とを有する。上板部531は両端位置が可動フレーム21Rの前板部21bにボルトにより固定される。下板部532には第1の平行リンク51a,51bの上端部がピンにより連結される。連結板53の直下には、長手状の金属板材よりなる一対の固定板55a,55bが連結板53と方向を揃えて配置される。
【0044】
各固定板55a,55bは、長さ方向と直交する断面がL字形状をなすものであり、いずれも水平板部551と垂直板部552とを有する。各固定板55a,55bの水平板部552は上下に重ねられて固定フレーム20Rの下部フレーム24にボルトにより一体に固定される。平行をなす垂直板部552,552間には第1の平行リンク51a,51bの下端部がピンにより支持される。
【0045】
後側の平行リンク機構50Bの連結板54も、前側の平行リンク機構50Aの連結板53と同様の構成であり、上板部541と下板部542とを有し、上板部541は両端位置が可動フレーム21Rの後板部21cにボルトにより固定され、下板部542には第2の平行リンク52a,52bの上端部がピンにより連結される。連結板54の直下には、長手状をなす一対の固定板56a,56bが連結板54と方向を揃えて配置される。
【0046】
各固定板56a,56bも、前側の平行リンク機構50Aの固定板55a,55bと同様の構成であり、水平板部561と垂直板部562とを有し、上下に重ねられた水平板部561,561が固定フレーム20Rの下部フレーム24にボルトにより一体に固定され、平行をなす垂直板部562,562間に第2の平行リンク52a,52bの下端部がピンにより支持される。
【0047】
第1の平行リンク51a,51bの下端部が固定板55a,55bにピンにより支持され、上端部が連結板53にピンにより連結され、一方、第2の平行リンク52a,52bの下端部が固定板56a,56bにピンにより支持され、上端部が連結板54にピンにより連結されることで、可動フレーム21Rは、水平を保った状態、すなわち、直立姿勢を保った状態で内外へ揺動して進退することが可能になっている。
【0048】
前後の平行リンク機構50A,50Bを往復動機構8により一体に揺動させるために、第1の平行リンク51a,51bの駆動側のリンク51bと第2の平行リンク52a,52bの駆動側のリンク52bとが駆動板57bによって一体に連結され、第1の平行リンク51a,51bの従動側のリンク51aと第2の平行リンク52a,52bの従動側のリンク52aとが従動板57aによって一体に連結されている。
【0049】
往復動機構8は、正逆回転が可能な減速機付きのモータ80を駆動源とし、モータ80の回転運動を往復直線運動に変換して平行リンク機構50A,50Bに伝達するクランク機構81を含む。モータ80は、固定フレーム20Rの下部フレーム24上に固定される。クランク機構81は、2本のクランク82,83をピンにより連結したものである。一方のクランク83の長さ中央部にモータ80の出力軸84が接続される。他方のクランク82の解放端は駆動板57bの中間位置に突設された突板部85にピンにより回動自由に連結される。
【0050】
クランク83は、
図4及び
図5に示されるように、解放端側の板面が位置検出機構89の被検出部86を構成する。位置検出機構89は、平行リンク機構50A,50Bの揺動位置、すなわち、可動フレーム21Rの側板部21aの進退位置が前進及び後退の制限位置に達したかどうかを検出するためのもので、被検出部86と、下部フレーム24上に所定の間隔をあけて併設された2個の検知センサ87,88とで構成される。
【0051】
第1の検知センサ87は、クランク83の解放端の被検出部86を検知することで、可動フレーム21Rの側板部21aが作業領域Sの近傍位置、すなわち、所定の前進制限位置まで前進したことを検出する。第2の検知センサ88は、クランク83の解放端の被検出部86を検知することで、可動フレーム21Rの側板部21aが作業領域Sから離れた位置、すなわち、所定の後退制限位置まで後退したことを検出する。
第1、第2の各検知センサ87,88は、被検出部86を検出したとき、検知出力がオンとなり、図示しない制御装置がモータ80の回転を停止させることで、可動フレーム21Rは進退動作を停止する。
【0052】
この実施例では、第1,第2の各検知センサ87,88は反射型の光電センサにより構成されるもので、クランク83の解放端側の被検出部86は光を反射する反射面により構成される。第1,第2の各検知センサ87,88に被検出部86が接近して対向すると、光電センサの投光部より発せられた光が被検出部86で反射されて光電センサの受光部で受光され、検知出力がオンになる。
【0053】
なお、この実施例では、第1、第2の検知センサ87,88として反射型の光電センサを用いているが、透過型の光電センサを用いてもよく、また、光電センサに代えて、近接センサなどを用いることもできる。
さらに、位置検出機構89は、モータ80にサーボモータを用いて構成することもでき、また、モータ80にロータリーエンコーダのような位置検出器を接続して構成することもできる。
【0054】
図1及び
図2に戻って、荷搬送用のチェンコンベヤ3は、第1のコンベヤチェン30と複数個(この実施例では5個)のスプロケットホイール32~36よりなるホイール群とで構成されている。第1のコンベヤチェン30は、荷積みパレットP1を支持して搬送する上辺部30aが正逆各方向へ水平に走行するようにスプロケットホイール32~36間に無端状に張設されている。
【0055】
このホイール群のうちの両端部に位置するスプロケットホイール32,33は同じ高さに位置し、第1のコンベヤチェン30と噛み合っている。中間部の中央に位置するスプロケットホイール34は、両端部のスプロケットホイール32,33より低い位置にあり、第1のコンベヤチェン30を帰還動作させる下辺部30bと噛み合っている。中央位置のスプロケットホイール34の両側の近傍には第1のコンベヤチェン30の下辺部30bをスプロケットホイール34に向けて迂回させる2個のスプロケットホイール35,36が位置している。
【0056】
中央位置のスプロケットホイール34は正逆各方向の回転が可能なモータ37により駆動される。スプロケットホイール34の正逆各方向の回転により第1のコンベヤチェン30の上辺部30aは正逆各方向へ走行する。モータ37には高効率で汎用の減速機付きの交流モータが用いられている。モータ37は、可動フレーム21Rの側板部21aの外側の面に取り付けられており、減速機の出力軸に中央位置のスプロケットホイール34が装着されている。
【0057】
空パレット搬送用のチェンコンベヤ4は、第2のコンベヤチェン40と複数個(この実施例では2個)のスプロケットホイール41,42とで構成されている。第2のコンベヤチェン40は、空パレットP2を支持して搬送する上辺部40aが正逆各方向へ水平に走行するようにスプロケットホイール41,42間に無端状に張設されている。スプロケットホイール41,42は同じ高さに位置し、第2のコンベヤチェン40と噛み合っている。
【0058】
可動フレーム21Rには、モータ37の駆動力を第2のコンベヤチェン40に伝達する動力伝達機構6が設けられている。この実施例の動力伝達機構6は、スプロケットホイール35と同じ軸61上に位置する第1の動力伝達用のスプロケットホイール62と、第2のコンベヤチェン40と噛み合う一方のスプロケットホイール41と同じ軸63上に位置する第2の動力伝達用のスプロケットホイール64と、第1の動力伝達用のスプロケットホイール62と第2の動力伝達用のスプロケットホイール64との間に張設される動力伝達用のチェン65と、チェン65に噛み合ってテンションを付与するスプロケットホイール66とを含む。
【0059】
動力伝達機構6は、第2のコンベヤチェン40が第1のコンベヤチェン30と逆方向に走行するように第2のコンベヤチェン40に駆動力を伝達するものである。第1のコンベヤチェン30に噛み合うスプロケットホイール35は、スプロケットホイール34と逆方向に回転するもので、その回転運動を動力伝達用のチェン65により第2のコンベヤチェン40が噛み合うスプロケットホイール41に伝達し、第2のコンベヤチェン40を第1のコンベヤチェン30と同期させて第1のコンベヤチェン30と逆方向に走行させる。
【0060】
なお、動力伝達機構6は、第2のコンベヤチェン40が第1のコンベヤチェン30と逆方向に走行するように第2のコンベヤチェン40に動力を伝達するものであれば、この実施態様のものに限定されない。
また、上記実施例では、荷搬送用のチェンコンベヤ3をモータ37により駆動してその駆動力を空パレット搬送用のチェンコンベヤ4に伝達しているが、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4をモータにより駆動してその駆動力を荷搬送用のチェンコンベヤ3に伝達するようにしてもよい。
【0061】
荷搬出入機構200Rは、
図1~
図3に示されるように、荷搬送用のチェンコンベヤ3に対する荷積みパレットP1の積み降ろしと、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4に対する空パレットP2の積み降ろしとを行うためのパレット積み降ろし機構7を備える。図示しない左側の荷搬出入機構200Lも同様のパレット積み降ろし機構7を備えており、両方のパレット積み降ろし機構7,7が協働して荷積みパレットP1及び空パレットP2の積み降ろしを行う。
【0062】
各パレット積み降ろし機構7は、荷積みパレットP1や空パレットP2の左右のフランジ17を前後各位置で支持するためのパレット支持機構70L,70Rをそれぞれ備えている。左右の荷搬出入機構200L,200Rの各パレット支持機構70L,70Rは作業領域Sを挟む両側位置において同期して昇降動作する。
【0063】
以下、一方のパレット支持機構70Rについて構成を説明する。パレット支持機構70Rは、荷積みパレットP1や空パレットP2のフランジ17と前後各部で係脱可能な一対の支持爪71,71と、固定フレーム20Rに設けられた各支持爪71の昇降ガイド72,72と、各支持爪71を各昇降ガイド72に沿って昇降動作させるチェン73,73とを含む。各チェン73は、固定フレーム20Rの下部フレーム24及び上部フレーム25に設けられた上下のスプロケットホイール74,74間に架け渡され、上下方向に走行する。
【0064】
支持爪71は、スライド板75の下端部に取り付けられている。スライド板75は衝撃吸収用のバネ77を介してチェン73に取り付けられている。支持爪71は、上下のスプロケットホイール74,74を回転させてチェン73を走行させることにより昇降動作する。スライド板75には、昇降ガイド72に沿って転動する複数個のガイドローラ76と、各支持爪71の昇降停止位置に配置されたリミットスイッチ(図示せず)を操作する操作片(図示せず)とが設けられている。
【0065】
固定フレーム20Rの上部フレーム25上には回転軸91が配置され、回転軸91にスプロケットホイール74が装着される。回転軸91は、モータ90およびスプロケットホイール、チェン等により構成される伝導機構9により正逆いずれかの方向へ駆動される。スプロケットホイール74の回転により、各支持爪71が昇降ガイド72に沿って一斉に昇降動作する。支持爪71は、上昇途中で荷積みパレットP1や空パレットP2のフランジ17と係合し、パレットP1,P2を支持する。
【0066】
つぎに、上記した構成の荷搬送装置の動作を
図7~
図11により説明する。
昇降機構1の所定の階では、荷搬出入装置2により昇降テーブル10に対する荷積みパレットP1の搬出入と空パレットP2の搬出入とが同時に並行して実行される。
まず最初に、いずれかの階の荷搬出入装置2において、昇降テーブル10上へ荷積みパレットP1を搬出し、一方、昇降テーブル10上より空パレットP2を搬入する場合の動作を、
図7~
図9を参照して、詳細に説明する。
【0067】
図7(A)は、床面G上に置かれた空パレットP2に荷を積み込んだ状態、すなわち、荷積みパレットP1が待機している状態を示している。
この待機状態では、左右の荷搬出入機構200L,200Rにおいて、パレット積み降ろし機構7のパレット支持機構70L,70Rは、支持爪71が荷積みパレットP1のフランジ17の下方に位置している。また、左右の荷搬出入機構200L,200Rの可動フレーム21L,21Rは後退し、荷搬送用のチェンコンベヤ3及び空パレット搬送用のチェンコンベヤ4は作業領域Sの外側に退避している。
【0068】
パレット積み降ろし機構7が作動を開始すると、各パレット支持機構70L,70Rの支持爪71は荷積みパレットP1を支持し、
図7(B)に示すように、荷搬送用のチェンコンベヤ3,3の上方位置まで持ち上げる。荷積みパレットP1の持ち上げ時、荷搬送用のチェンコンベヤ3及び空パレット搬送用のチェンコンベヤ4は作業領域Sの外側に退避しているので、各チェンコンベヤ3,4が荷積みパレットP1の持ち上げ作業の妨げとなることはない。
【0069】
次に、
図8(A)に示すように、左右の荷搬出入機構200L,200Rにおいて、往復動機構8のモータ80が同期して駆動し、クランク機構81が伸長動作する。これにより、平行リンク機構50Aの第1の平行リンク51a,51b及び平行リンク機構50Bの第2の平行リンク52a,52bは作業領域Sに向けて一体に揺動する。この場合、各可動フレーム21L,21Rの前板部21b及び後板部21cに取り付けられた連結板53,54は水平を保った状態で揺動するので、各可動フレーム21L,21Rは直立姿勢を保った状態で前進するもので、荷搬送用のチェンコンベヤ3,3は荷積みコンベヤP1のフランジ17の真下に位置する。
【0070】
その後、各パレット支持機構70L,70Rの支持爪71を降下させることで、
図8(B)に示すように、荷積みパレットP1は荷搬送用のチェンコンベヤ3,3上に降ろされる。支持爪71は、さらに降下することで、荷積みパレットP1のフランジ17から外れる。
【0071】
次に、各荷搬出入機構200L,200Rにおいて、荷搬送用のチェンコンベヤ3のモータ37を同期させて回転させると、荷搬送用のチェンコンベヤ3が駆動されてコンベヤチェン30が荷積みパレットP1を搬出する方向へ走行する。各モータ37の回転駆動力は動力伝達機構6を介して空パレット搬送用のチェンコンベヤ4に伝達され、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4のコンベヤチェン40は空パレットP2を搬入する方向へ走行する。
【0072】
荷搬送用のチェンコンベヤ3と昇降テーブル10の第1コンベヤ11とが連動し、第1コンベヤ11は荷搬出入装置2より荷を取り込む方向へ駆動される。また、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4と昇降テーブル10の第2コンベヤ12とが連動し、第2コンベヤ12は空パレットP2を荷搬出入装置2へ送り出す方向へ駆動される。
【0073】
図9は、荷搬送用のチェンコンベヤ3,3上の荷積みパレットP1が昇降テーブル10の第1コンベヤ11上へ搬出され、これと同時に、昇降テーブル10の第2コンベヤ12上の空パレットP2が空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4上に搬入された状態を示している。
【0074】
次に、いずれかの階の荷搬出入装置2において、昇降機構1の昇降テーブル10より荷搬出入装置2に荷積みパレットP1を搬入すると同時に、荷搬出入装置2より昇降テーブル10上へ空パレットP2を搬出する場合の動作を、
図10及び
図11を参照して、詳細に説明する。
【0075】
図10(A)は、昇降テーブル10の第1コンベヤ11と荷搬出入装置2の荷搬送用のチェンコンベヤ3,3とを連動させることにより、昇降テーブル10上から荷積みパレットP1が荷搬送用のチェンコンベヤ3,3上に搬入され、これと同時に、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4と昇降テーブル10の第2コンベヤ12とを連動させることにより、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4より空パレットP2が昇降テーブル10へ搬出された状態を示している。
この状態では、パレット積み降ろし機構7の左右のパレット支持機構70L,70Rは、支持爪71を荷積みパレットP1のフランジ17の下方に位置させている。
【0076】
図10(B)は、パレット積み降ろし機構7の左右のパレット支持機構70L,70Rを駆動して支持爪71を上昇させた状態を示している。上昇時、支持爪71は荷積みパレットP1のフランジ17に係合してこれを支持し、さらに荷積みパレットP1を荷搬送用のチェンコンベヤ3,3より持ち上げている。
【0077】
その後、左右の荷搬出入機構200L,200Rにおいて、往復動機構8のモータ80が前記と逆方向へ回転駆動し、クランク機構81が収縮動作する。これにより、前後各位置の平行リンク機構50Aの第1の平行リンク51a,51b及び平行リンク機構50Bの第2の平行リンク52a,52bは作業領域Sの反対側へ一体に揺動する。
この場合、連結板53,54は水平を保った状態で揺動するので、各可動フレーム21L,21Rは直立姿勢を保った状態で後退するもので、これにより、荷搬送用のチェンコンベヤ3,3及び空パレット搬送用のチェンコンベヤ4,4は荷積みコンベヤP1のフランジ17の真下の位置から外側へ退避する。
【0078】
その後、パレット支持機構70L,70Rの支持爪71を、
図11(A)に示すように下降動作させることにより荷積みパレットP1を床面G上に降ろし、引き続き、
図11(B)に示すように、フォークリフトによって荷積みパレットP1より荷を取り出す。
【0079】
なお、上記の実施形態では、床面G上に置かれた空パレットP2に荷を積み込み、床面G上まで降下させた荷積みパレットP1から荷を取り出しているが、空パレット搬送用のチェンコンベヤ4上に空パレットP2を支持した状態で荷を積み込んだり、荷積みパレットP1を床面Gまで降下させずに荷を取り出したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 昇降機構
10 昇降テーブル
11 第1コンベヤ(搬送コンベヤ)
12 第2コンベヤ(搬送コンベヤ)
2 荷搬出入装置
3 荷搬送用のチェンコンベヤ
4 空パレット搬送用のチェンコンベヤ
7 パレット積み降ろし機構
8 往復動機構
20L,20R 固定フレーム
21L,21R 可動フレーム
21a 側板部
21b 前板部
21c 後板部
50A,50B 平行リンク機構
51a,51b 第1の平行リンク
52a,52b 第2の平行リンク
80 モータ
81 クランク機構
200L,200R 荷搬出入機構
P1 荷積みパレット
P2 空パレット
G1,G2 出入口
S 作業領域