(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088842
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ディスク型乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 3/20 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
F26B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200911
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】596091978
【氏名又は名称】株式会社西村鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】ムテール サミ
(72)【発明者】
【氏名】後藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】木庭 大二郎
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB05
3L113AC08
3L113AC48
3L113AC62
3L113AC69
3L113AC86
3L113BA36
3L113DA14
(57)【要約】
【課題】ディスク型乾燥装置の省スペース化や省エネルギー化を図ること。
【解決手段】本発明では、回転するディスク(8)の表面に被乾燥物を付着させ、ディスク(8)の表面の熱で被乾燥物を乾燥させた後に、被乾燥物をディスク(8)の表面から剥離するディスク型乾燥装置(1)において、ディスク(8)の内部に電熱ヒーター(17,18)を設けることにした。また、前記ディスク(8)の内部に複数の棒状の電熱ヒーター(17,18)をディスク(8)の内周側から外周側に向けて放射状に均等に配置することにした。さらに、前記ディスク(8)の内周側よりも外周側に多くの前記電熱ヒーター(17,18)を配置することにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するディスクの表面に被乾燥物を付着させ、ディスクの表面の熱で被乾燥物を乾燥させた後に、被乾燥物をディスクの表面から剥離するディスク型乾燥装置において、
ディスクの内部に電熱ヒーターを設けたことを特徴とするディスク型乾燥装置。
【請求項2】
前記ディスクの内部に複数の棒状の電熱ヒーターをディスクの内周側から外周側に向けて放射状に均等に配置したことを特徴とする請求項1に記載のディスク型乾燥装置。
【請求項3】
前記ディスクの内周側よりも外周側に多くの前記電熱ヒーターを配置したことを特徴とする請求項2に記載のディスク型乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するディスクの表面に被乾燥物を付着させ、ディスクの表面の熱で被乾燥物を乾燥させた後に、被乾燥物をディスクの表面から剥離するディスク型乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液状の被乾燥物を固形状に乾燥させるために、ディスク型乾燥装置が利用されている。このディスク型乾燥装置では、熱源で加熱したディスクを回転させ、回転するディスクの表面にノズルから吐出させた液状の被乾燥物を付着させ、ディスクの表面の熱で被乾燥物を乾燥させ、その後、スクレーパーでディスクの表面から固形状に乾燥した被乾燥物を剥離して回収するようにしている。
【0003】
この従来のディスク型乾燥装置においては、ディスクを中空円板状に形成するとともに、ディスクの中空部に熱源としてのボイラーを連通連結して、ボイラーで生成した熱媒体としての蒸気をディスクの内部に送り込み、ディスクの表面を加熱するように構成していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のディスク型乾燥装置は、液状の被乾燥物を連続して乾燥させることができることから様々な用途に適用されているが、ディスクの表面を加熱する熱源として蒸気を生成するボイラーが必要であることから、装置全体が大型なものとなってしまうとともに、化石燃料を使用したエネルギー効率の低い装置となってしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、回転するディスクの表面に被乾燥物を付着させ、ディスクの表面の熱で被乾燥物を乾燥させた後に、被乾燥物をディスクの表面から剥離するディスク型乾燥装置において、ディスクの内部に電熱ヒーターを設けることにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記ディスクの内部に複数の棒状の電熱ヒーターをディスクの内周側から外周側に向けて放射状に均等に配置することにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明において、前記請求項2に係る本発明において、前記ディスクの内周側よりも外周側に多くの前記電熱ヒーターを配置することにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、回転するディスクの表面に被乾燥物を付着させ、ディスクの表面の熱で被乾燥物を乾燥させた後に、被乾燥物をディスクの表面から剥離するディスク型乾燥装置において、ディスクの内部に電熱ヒーターを設けることにしているために、ディスク型乾燥装置の省スペース化や省エネルギー化を図ることができる。
【0011】
特に、ディスクの内部に複数の棒状の電熱ヒーターをディスクの内周側から外周側に向けて放射状に均等に配置することにした場合には、ディスクの表面における円周方向の温度を均一化することができ、ディスクの表面で被乾燥物を良好に乾燥させることができる。
【0012】
また、ディスクの内周側よりも外周側に多くの電熱ヒーターを配置することにした場合には、ディスクの表面における半径方向の温度を均一化することができ、ディスクの表面で被乾燥物をより一層良好に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るディスク型乾燥装置を示す正面図(a)、同右側面図(b)。
【
図2】ディスクの正面図(a)、同右側面図(b)。
【
図3】ディスクの正面断面図(a)、同側面断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るディスク型乾燥装置の具体的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示すように、ディスク型乾燥装置1は、基台2の左側上部に制御部3を設けるとともに、基台2の右側上部に処理部4を設けている。
【0016】
制御部3は、基台2の左前側上部に制御盤5を設けるとともに、制御盤5の後方に駆動源6を設け、制御盤5で駆動源6を制御するようにしている。
【0017】
処理部4は、基台2の上部に矩形板状の支持体7を取付けるとともに、支持体7の右側方に円板状のディスク8を垂直に配置している。
【0018】
ディスク8は、駆動源6に駆動軸9を介して接続されており、駆動源6によって前後(右側面視において、反時計回り)に回転するようになっている。
【0019】
ディスク8の左右側方には、後側に乾燥処理前の液状の被乾燥物をディスク8の表面に向けて吐出するためのノズル10,10が設けられ、前側に乾燥処理後の固形状の被乾燥物をディスク8の表面から剥離するためのスクレーパー11,11が設けられている。ノズル10,10の直下方には、ディスク8の表面から滴下した乾燥処理前の液状の被乾燥物を収容するための収容容器12が設けられている。また、スクレーパー11,11の直下方には、ディスク8の表面から剥離した固形状の被乾燥物を回収するための回収容器13がシューター14を介して設けられている。収容容器12や回収容器13は、支持体7に取付けられた支持台15に載置されている。
【0020】
また、ディスク8の上方には、フード16が設けられており、乾燥処理によって生じる蒸気を排出できるようになっている。
【0021】
このディスク8には、
図2及び
図3に示すように、表面(左右側面)を加熱するための熱源として複数(ここでは、36本)の電熱ヒーター17,18が内部に収容されている。なお、電熱ヒーター17,18は、スリップリング等を介して電源に接続されている。
【0022】
ディスク8は、駆動軸9と連結する円管状の軸部19と、軸部19の外周と連設された水平円環状のディスク部20とで形成されており、軸部19の駆動軸9の反対側は、円板状のカバー21で被覆されている。
【0023】
そして、ディスク8は、軸部19の中空部22からディスク部20の外周端まで直線状に貫通する複数(ここでは、36個)の取付孔23を中心(回転中心)から放射状に円周方向へ向けて等角度間隔(ここでは、10度間隔)で均等に形成し、各取付孔23に直線状に伸延する棒状の長さの異なる電熱ヒーター17,18を交互に収容している。なお、各取付孔23の内周面と電熱ヒーター17,18の外周面とは密接させている。
【0024】
このように、ディスク8の内部には、複数の棒状の電熱ヒーター17,18がディスク8の内周側から外周側に向けて放射状に均等に配置されている。これにより、ディスク8の表面を均等に加熱できるようにしている。
【0025】
ここで、長さの長い電熱ヒーター17は、ディスク部20の内周側の端部から外周側の端部に至る長さのものを用いて、ディスク8(ディスク部20)の内周側から外周側まで加熱できるようになっている。
【0026】
長さの短い電熱ヒーター18は、ディスク部20の中途部から外周側の端部に至る長さのものを用いて、ディスク8(ディスク部20)の中途部から外周側まで加熱できるようになっている。
【0027】
このように、ディスク8の内部に長さの異なる電熱ヒーター17,18を放射状に交互に収容するとともに、短い電熱ヒーター18を外周側に配置することによって、ディスク8の内部には、ディスク8の内周側よりも外周側に多くの電熱ヒーター17,18が配置されている。これにより、ディスク8の内周面と外周面とを均等に加熱できるようにしている。なお、ディスク8の内周側(ディスク部20の内周端)における長い電熱ヒーター17,17の端部の円周方向の間隔とディスク8の外周側(ディスク部20の外周端)における長い電熱ヒーター17の端部と短い電熱ヒーター18の端部の円周方向の間隔とが等しくなるようにしてもよい。
【0028】
ディスク型乾燥装置1は、以上に説明したように構成されており、ディスク型乾燥装置1では、ディスク8を駆動源6で回転させ、回転するディスク8の表面(左右側面)にノズル10,10から乾燥処理前の液状の被乾燥物を吐出することでディスク8の表面に被乾燥物を付着させ、ディスク8の表面の熱によって被乾燥物を固形状に乾燥させた後に、被乾燥物をディスク8の表面からスクレーパー11,11で剥離する。剥離された固形状の被乾燥物は、回収容器13に回収される。なお、ノズル10,10からディスク8の表面に向けて吐出された液状の被乾燥物のうちの余剰分は、収容容器12に収容される。
【0029】
以上に説明したように、上記ディスク型乾燥装置1は、ディスク8の内部に電熱ヒーター17,18を設けた構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成のディスク型乾燥装置1では、従来のようなボイラー等を必要とすることなく、ディスク型乾燥装置1の省スペース化や省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
また、上記ディスク型乾燥装置1は、ディスク8の内部に複数の棒状の電熱ヒーター17,18をディスク8の内周側から外周側に向けて放射状に均等に配置した構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成のディスク型乾燥装置1では、ディスク8の表面における円周方向の温度を均一化することができ、ディスク8の表面で被乾燥物を良好に乾燥させることができる。
【0033】
また、上記ディスク型乾燥装置1は、ディスク8の内周側よりも外周側に多くの電熱ヒーター17,18を配置した構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成のディスク型乾燥装置1では、ディスク8の表面における半径方向の温度を均一化することができ、ディスク8の表面で被乾燥物をより一層良好に乾燥させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ディスク型乾燥装置 2 基台
3 制御部 4 処理部
5 制御盤 6 駆動源
7 支持体 8 ディスク
9 駆動軸 10 ノズル
11 スクレーパー 12 収容容器
13 回収容器 14 シューター
15 支持台 16 フード
17,18 電熱ヒーター 19 軸部
20 ディスク部 21 カバー
22 中空部 23 取付孔