(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088850
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】廃プラスチック油化装置および油化方法
(51)【国際特許分類】
C10G 1/10 20060101AFI20220608BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200937
(22)【出願日】2020-12-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】516385918
【氏名又は名称】株式会社伸光テクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 護
(72)【発明者】
【氏名】長澤 健太郎
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA13
4F401AA22
4F401AA26
4F401AA40
4F401AB10
4F401BB09
4F401CA70
4F401FA01Y
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC02
4H129BC14
4H129BC17
4H129BC33
4H129BC37
4H129BC38
4H129KA17
4H129KB02
4H129KC13Y
4H129NA21
4H129NA29
4H129NA40
4H129NA41
(57)【要約】
【課題】タール等が装置や配管内で詰まりを起こすことを防ぎ、効率よく良質な油を得ることを目的とする。
【解決手段】廃プラスチックを熱分解してガス化する熱分解槽2と、熱分解槽で生成した熱分解ガスを冷却して油を生成させるガス冷却器3と、ガス冷却器により生成した生成油を回収し、前記生成油の一部を前記ガス冷却器に循環させる循環槽4とを備える廃プラスチック油化装置1であって、前記循環槽4は、循環槽4内の生成油の温度を所定温度範囲に維持するための温度調整装置41を備え、前記循環槽4は遠心分離機5が接続され、前記循環槽4内の生成油は前記遠心分離機5により水およびタールを含む夾雑物が除去され、前記循環槽4へ戻されることを特徴とする、廃プラスチック油化装置1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを熱分解してガス化する熱分解槽と、前記熱分解槽で生成した熱分解ガスを冷却して油を生成させるガス冷却器と、前記ガス冷却器により生成した生成油を回収し、前記生成油の一部を前記ガス冷却器に循環させる循環槽とを備える廃プラスチック油化装置であって、
前記循環槽は、前記循環槽内の生成油の温度を所定温度範囲に維持するための温度調整装置を備え、
前記循環槽は遠心分離機が接続され、前記循環槽内の生成油は前記遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物が除去され、前記循環槽へ戻されることを特徴とする、
廃プラスチック油化装置。
【請求項2】
前記ガス冷却器は、
前記循環槽内の生成油を供給する供給口を上部に備え、
下向きに傾斜し、複数の開口を備える棚板が複数段設けられることを特徴とする、
請求項1に記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項3】
前記温度調整装置は、加熱機構と冷却機構を備え、
前記循環槽内の生成油の温度は、前記温度調整装置により60~80℃に保持される、
請求項1または2に記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項4】
前記熱分解槽は加熱槽に着脱可能であり、
前記加熱槽は、その内側面と前記熱分解槽の外周面との間に螺旋状の加熱空気流路を形成可能な加熱空気誘導フィンを備え、
前記加熱槽は、それぞれ対向する位置に主バーナーと、補助バーナーを下部に備え、
前記主バーナーと前記補助バーナーからの加熱空気はいずれも、前記加熱槽の略接線方向に供給され、凝縮されなかった熱分解ガスは前記補助バーナーの燃料となることを特徴とする、
請求項1~3のいずれかに記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項5】
前記熱分解槽は、熱分解槽本体と熱分解槽蓋部を有し、前記熱分解槽蓋部内に、触媒を保持する改質触媒層を備える、請求項4に記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項6】
廃プラスチックを熱分解しガス化する熱分解工程と、
前記熱分解工程により得られた熱分解ガスをガス冷却装置にて冷却して、前記熱分解ガスの一部を凝縮することにより生成油を得る凝縮工程と、
前記凝縮工程にて得られた生成油を循環槽に回収する工程と、
前記循環槽内の生成油の温度を、所定温度範囲に調整する工程と、
前記循環槽内の生成油の一部を連続的に取り出し、遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物を分離させ、前記循環槽に戻す工程と、
前記循環槽内の生成油の一部を、前記ガス冷却装置に供給する工程と、
を有する、
廃プラスチック油化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックを分解して再生油を製造するための装置、およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄されるプラスチック製品を処理し、再資源化を実現するために、プラスチックを熱分解、ガス化して、冷却により液状の油として回収する設備が知られている。
【0003】
特許文献1の発明は、廃棄プラスチックを原料として熱分解して油化するための油化設備を開示し、油化設備が、廃棄プラスチックをガス化するための熱分解槽と、熱分解槽からの分解ガスを冷却して油を生成させる凝縮手段を含むことが開示されている。また、特許文献1では、コンデンサ内には分解ガスがスプレー油により冷却され、コンデンサ内で凝縮し回収された油は油タンクに貯蔵され、油タンク内の油は、冷却器により50~80℃に冷却された後、スプレー油として使用されることが記載されている。
【0004】
特許文献2の発明は、高分子廃棄物の油化処理プラントを開示し、油化処理プラントは、プラスチック等の高分子廃棄物を低温乾留により熱分解させる乾留熱分解装置と、該乾留熱分解装置で生成させた熱分解ガスを、高沸点油を温調還流させて低沸点油(留出物)と高沸点油(缶出液)とに分離する蒸留塔と高沸点油回収槽とを備えた高沸点油回収装置と、蒸留塔からの留出物である低沸点油を冷却・凝縮して低沸点油を回収する低沸点回収装置とを備えていることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3836112号公報
【特許文献2】特開2010-222547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の廃棄プラスチックの油化設備では、油タンク内の生成油をそのままコンデンサ内でオイルシャワーやスプレーとして用いるため、タールや水等の夾雑物もオイルシャワーに含まれ、生成される油の品質が十分に高いとは言えなかった。また、コンデンサ内や、油タンクからオイルシャワーノズルまでの配管において、タールが生成した場合、詰りが発生したりメンテナンスに労力がかかるため、コンデンサ内や配管内でタールが留まることを抑制することが望まれていた。
【0007】
さらに、特許文献1においては、油回収タンク内の油を冷却器において50~80℃に冷却し、第1コンデンサのスプレー油に使用しており、特許文献2においては、回収槽内の油を熱交換器により80~100℃に冷却して、蒸留塔のオイルシャワーに使用しているが、温度制御効率の向上に改善の余地があった。
【0008】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、タール等が装置や配管内で詰まりを起こすことを防ぎ、効率よく良質な油を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、廃プラスチックを熱分解してガス化する熱分解槽と、前記熱分解槽で生成した熱分解ガスを冷却して油を生成させるガス冷却器と、前記ガス冷却器により生成した生成油を回収し、前記生成油の一部を前記ガス冷却器に循環させる循環槽とを備える廃プラスチック油化装置であって、前記循環槽は、前記循環槽内の生成油の温度を所定温度範囲に維持するための温度調整装置を備え、前記循環槽は遠心分離機が接続され、前記循環槽内の生成油は前記遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物が除去され、前記循環槽へ戻されることを特徴とする、廃プラスチック油化装置である。
【0010】
ここで「温度調整装置」とは、所定温度範囲に保つための装置であればよく、加熱機構と冷却機構両方を備えるものに限らず、冷却機構のみ、加熱機構のみを備えるものも含む。
【0011】
この構成によれば、遠心分離機により水やタールが除去された生成油がガス冷却器に供給され、熱分解ガスと直接接触するため、生成油の質が上がると共に、循環槽からガス冷却器への配管内におけるタールの詰まりを抑制することができる。さらに、循環槽内の生成油が一定時間維持され、遠心分離機の作用により攪拌されるため、温度制御効率を上げることができる。
【0012】
前記ガス冷却器は、前記循環槽内の生成油を供給する供給口を上部に備え、下向きに傾斜し、複数の開口を備える棚板が複数段設けられることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、棚板が下向きに傾斜しているので、ガス冷却器内にタールが発生しても、流し落とされ易くなると共に、生成油がガス冷却器内で棚板の開口からシャワー状に散油され、下段におけるタールの流し落としを促進できる。ここで、開口を備える棚板はパンチング板が好ましい。棚板の開口によりシャワー状に散油することができれば、生成油を供給する供給口がシャワーノズル等を持つ必要がなくなり、ノズル内のタールの詰まりを防止できる。
【0014】
前記温度調整装置は、加熱機構と冷却機構を備え、前記循環槽内の生成油の温度は、前記温度調整装置により60~80℃に保持されることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、60~80℃の温度で熱分解ガスを冷却するため、比較的高い引火点の油を効率よく生成、回収でき、油化されなかったガス(比較的引火点の低い油)を次の工程に進めることができる。
【0016】
前記熱分解槽は加熱槽に着脱可能であり、前記加熱槽は、その内側面と前記熱分解槽の外周面との間に螺旋状の加熱空気流路を形成可能な加熱空気誘導フィンを備え、前記加熱槽は、それぞれ対向する位置に主バーナーと、補助バーナーを下部に備え、前記主バーナーと前記補助バーナーからの加熱空気はいずれも、前記加熱槽の略接線方向に供給され、凝縮されなかった熱分解ガスは前記補助バーナーの燃料となることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、加熱槽内における熱分解槽の加熱を効率よく行うことができる。
【0018】
前記熱分解槽は、熱分解槽本体と熱分解槽蓋部を有し、前記熱分解槽蓋部内に、触媒を保持する改質触媒層を備えることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、廃プラスチックを熱分解しガス化する熱分解工程と、前記熱分解工程により得られた熱分解ガスをガス冷却装置にて冷却して、前記熱分解ガスの一部を凝縮することにより生成油を得る凝縮工程と、前記凝縮工程にて得られた生成油を循環槽に回収する工程と、前記循環槽内の生成油の温度を、所定温度範囲に調整する工程と、前記循環槽内の生成油の一部を連続的に取り出し、遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物を分離させ、前記循環槽に戻す工程と、前記循環槽内の生成油の一部を、前記ガス冷却装置に供給する工程と、を有する、廃プラスチックの油化方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、遠心分離機により循環槽内の生成油が攪拌され、温度制御効率を上げることができると共に、水や、タールが除去された生成油が冷却器に供給されるので、生成油の質が上がる。また、循環槽からガス冷却器への配管内でのタールの発生も抑制され、ガス冷却器内にタールが発生しても油により流し落とされ易い構造であり、メンテナンスも容易となる。温度調整装置により循環槽内の生成油を60~80℃に保てば、ガス冷却器において比較的高い引火点の油を生成、回収でき、油化されなかったガス(比較的引火点の低い油)を次の工程に進めることができる。さらに、熱分解槽や加熱槽の構成により、効率よく熱分解が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る廃プラスチック油化装置1の構成を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る加熱槽を説明する、(a)平面断面図および(b)正面断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るガス冷却器の(a)正面断面概略図および(b)右側面透視図である。
【
図4】第2実施形態に係る廃プラスチック油化装置101の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の廃プラスチックの油化装置の第1実施形態について、
図1~3を参照して詳細に説明する。
【0023】
本発明の第1実施形態の廃プラスチック油化装置1は、
図1に示すように、廃棄プラスチックを原料として熱分解して油化するための油化装置であって、廃プラスチックを加熱してガス化するための熱分解槽2と、熱分解槽2で生成した熱分解ガスを冷却、凝縮する第1ガス冷却器3と、第1ガス冷却器3により生成した油を貯留し、一部を第1ガス冷却器へ循環させる第1循環槽4と、該第1循環槽4内の生成油からタール、水、埃やスラッジ等の夾雑物を分離、除去して第1循環槽4へ戻す第1遠心分離機5と、第1ガス冷却器で凝縮されなかった熱分解ガスをさらに冷却、凝縮する第2ガス冷却器6と、第2ガス冷却器6により生成した油を貯留し、一部を第2ガス冷却器6へ循環させる第2循環槽7と、該第2循環槽7内の生成油からタール、水、埃やスラッジ等の夾雑物を分離、除去して第2循環槽7へ戻す第2遠心分離機8とを備えている。
図1中、TSは温度センサー、PSは圧力センサーを示す。
【0024】
熱分解槽2と第1ガス冷却器3の間には、第1改質触媒層14、第2改質触媒層15を備える。廃プラスチックの種類によっては、熱分解ガスを中和したり、さらに低分子化するよう改質する必要があるためである。
【0025】
廃プラスチックの種類は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ABS、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、FRP等を含む。
【0026】
熱分解槽2に投入された廃プラスチックは、熱分解槽2にて液状化を経てガス化され熱分解ガスとなる。熱分解ガスは、第1改質触媒層14、配管16、第2改質触媒層15を介して第1ガス冷却器3に入り、一部が凝縮し、第1循環槽4に回収される。第1ガス冷却器3で凝縮しなかった熱分解ガスは、配管17を介して第2ガス冷却器6に入り、一部が凝縮し、第2循環槽7に回収される。第2ガス冷却器6でも凝縮しなかった熱分解ガスは、配管18により、オフガス燃焼装置19に送られ、補助バーナー12の燃料として用いられる。
【0027】
以下、本発明の主たる装置および配管等について詳細に説明する。
【0028】
(熱分解槽2および加熱槽9)
熱分解槽2は、カートリッジ式であり、熱分解させる廃プラスチックを内部に入れるものである。熱分解槽2は、熱分解槽本体21と熱分解槽蓋部22を有する。熱分解槽本体21は、上面が広い開口部となっているため、廃プラスチックを入れやすく、残渣が取り出しやすい構造である。また、廃プラスチックを細かく破砕する必要もない。熱分解槽2は、加熱槽9の内部に着脱可能に配置でき、処理が終わった熱分解槽2は、また別の熱分解槽2に交換される。熱分解槽2の容量は0.2~5m3であり、一つの熱分解槽2の処理時間は平均5~7時間であり、1日2~4回転が可能である。
【0029】
図2(a)、(b)に示される通り、加熱槽9は、内周側面に断熱層(耐火レンガ)93を備え、該断熱層93の内側に、熱分解槽本体21の外周面側に螺旋状の加熱空気ガス流路を形成する螺旋状の加熱空気誘導フィン94を備える。具体的には、加熱空気誘導フィン94が加熱槽9の内側面に溶接され、また、加熱槽9の内周面は加熱空気誘導フィン94よりも薄い厚みで耐火レンガ93に覆われている。加熱空気誘導フィン94は、主バーナー11および補助バーナー12からの加熱された高温空気を加熱槽9の内周全体へ誘導し、熱分解槽本体21に外側から均一に熱を加えるものである。加熱空気誘導フィン94は、加熱空気を誘導可能であれば、連続体である必要はなく、本実施形態のように複数個に分割してよい。熱分解槽本体21は、上縁部から外側へ広がるフランジ23を備え、加熱槽9の上面で支持される。
【0030】
図2(a)に示すように、主バーナー11と補助バーナー12は、加熱槽9下部の、平面視において略接線方向に加熱空気を噴射するように設けられる。補助バーナー12は、主バーナー11に対向する位置に設けられ、補助バーナー12からの加熱空気は主バーナー11からの加熱空気の流れに沿うように配置される。主バーナー11と補助バーナー12は、水平面、すなわち、加熱槽底面に対して、3~5度上向きに設置されている。主バーナー11と補助バーナー12は、加熱槽9内において、熱分解槽本体21の底面より下方のスペースに向けて加熱ガスを噴射し、加熱ガスは内壁に当たり、螺旋状の加熱空気誘導フィン94に誘導されて、螺旋状に上昇し、加熱空気出口95より排出される。熱分解槽蓋部22は、熱分解槽本体21内の空間を閉鎖する。熱分解は250℃~600℃で行う。
【0031】
熱分解槽蓋部22の上面中央部には、第1ガス冷却器3へ続く配管16が接続されている。上述した第1改質触媒層14は、熱分解槽蓋部22内の、配管16への入口付近に設けられる。すなわち、第1改質触媒層14は、熱分解槽本体21の下流側かつ配管16の上流側に設けられている。第1改質触媒層14は、例えば、ゼオライトを含み、分解ガスの一層の低分子化を図ることにより、その後の工程のタールの発生を抑え、また、生成油の回収率を向上する。第1改質触媒層14は、さらに消石灰等のアルカリ剤を含んでいてもよい。加熱槽蓋部92内に第1改質触媒層14が設けられていることにより、例えば廃プラスチックに塩化ビニルが含まれた場合に、発生した酸性の熱分解ガスを速やかにアルカリで中和することができ、酸性の熱分解ガスが配管16に接触し配管16内の腐食の発生するのを抑制する。
【0032】
熱分解槽蓋部22には、安全装置(図示無し)が設けられており、万が一、熱分解槽2内で燃焼が起きてしまった場合に窒素ガスを供給し、消火する。
【0033】
配管16には、第2改質触媒層15を備える。第2改質触媒層15は、例えばゼオライトを含み、熱分解ガスの一層の低分子化を図ることにより、その後の工程のタールの発生を抑え、また、生成油の回収率を向上する。第1改質触媒層14や第2改質触媒層15では不十分な場合は、第3改質触媒層、第4改質触媒層を設けてもよい。一方、原料の熱分解性が良好で均質な熱分解ガスが得られれば、第1改質触媒層14、第2改質触媒層15は不要である。
【0034】
配管16や第1改質触媒層14、第2改質触媒層15は、電熱線や廃熱を利用して、高温に保つことで、第1ガス冷却器3における冷却の前段階でのタールの発生を抑制する。本実施形態においては、加熱槽9の加熱空気出口95からの排気を利用している。
【0035】
(第1ガス冷却器3)
第1ガス冷却器3は、高引火点油を凝縮して回収し、低引火点油はガスのまま次の工程に送るものである。
図3(a)において、実線は生成油の流れを示し、破線は熱分解ガスの流れを示している。第1ガス冷却器3では、配管16を通過した熱分解ガスが、供給口32から供給される。供給口32は、第1ガス冷却器3の本体中央高さ位置よりも下半分の位置に設けられる。
図3(a)に示されるように、熱分解ガスは、供給口32から、上部に設けられた熱分解ガス出口34に向けて上昇する。一方、第1ガス冷却器3の上部には、生成油を下向きに供給する供給口311が挿入配設されており、供給口311を介して、後述する第1循環槽4から、所定温度範囲に保たれた生成油が第1ガス冷却器3内に供給される。第1ガス冷却器3内では生成油はシャワー状に降下し、上昇する熱分解ガスと直接接触することにより、効率的に熱分解ガスを冷却する。熱分解ガスは冷却され、一部が凝縮、液化し、下部の第1循環槽4に回収される。供給口311は、シャワーノズルを用いて複数の孔から下向きにシャワー状に散油してもよいが、複数の孔を有するシャワーノズルではなく、単孔の供給口を採用してもよい。
【0036】
供給口311としてシャワーノズルを用いる場合は、ノズル内の複数の孔にタール等が詰まりにくくするため、各孔の直径を5~15mmとすることが好ましく、直径8~12mmがさらに好ましい。
【0037】
供給口311として、複数の孔を有するシャワーノズルを備えず、単孔の供給口を用いる場合でも、後述する棚板33a、33bとしてパンチング板のような複数の開口を有する多孔板を採用することにより、供給された生成油が、棚板33a、33bにあたりシャワー状に広がるように構成する。このような構成により、シャワーノズルの開口にタールやカス等が付着する等の問題は解消できる。
【0038】
第1ガス冷却器3は、ステンレス製であり、
図3(a)、(b)に示すように、下向きに傾斜したパンチング板からなる棚板33a、33bが複数段設けられている。
図3(a)に示すように、棚板33a、33bは、対向する内壁面から交互に延びており、すなわち、内壁面から延びる棚板33aの高さ方向の間隙に、対向する内壁面からも棚板33bが配置されている。棚板33a、33bは、
図3(b)に示すように、中央部が台形状に切り欠かれている。これは、均一にシャワーを落下させるためである。この棚板により、熱分解ガスとシャワー状の生成油は対向しながら、ジグザグ状に流れる。
【0039】
ここで、第1ガス冷却器3内のシャワー状の生成油は、熱分解ガスを冷却するのみでなく、第1ガス冷却器3内で生成したタール等を洗い流し、第1循環槽4へ排出させる役割も果たす。棚板33a、33bは、下向きに傾斜しているため、生成したタールが流されやすい。棚板33a、33bは、孔のない板材も採用可能であるが、パンチングメタルのような多孔板が好ましい。それにより、流れる生成油が板の孔に入り、再びシャワー状になって下段に落ち、タールの流し落としを促進できるためである。
【0040】
第1循環槽4から供給される生成油の流量や圧力は、ポンプ(図示無し)により調整され、設定する温度により決定され、制御される。タールの洗い流し効果を考慮して、流量や圧力を設定する。生成油は、油圧シャワーの他、ミストやスプレーの形態でもよいし、単孔ノズルからの噴射でもよい。
【0041】
(第1循環槽4および第1遠心分離機5)
第1循環槽4は、第1ガス冷却器3の下方に配置され、第1ガス冷却器3内で生成された生成油を回収する。第1循環槽4は、温度調整装置41を備え、生成油を所定範囲内の温度に保つ。温度調整装置41は、加熱機構と冷却機構を備え、具体的には、第1循環槽4に巻かれている電気ヒータ(図示無し)と、冷水を循環できる冷却パイプ42を備える。第1循環槽4内の生成油の温度を検知する温度センサーTSの検知結果により、生成油の温度が所定範囲よりも低ければ電気ヒータにより加熱し、生成油の温度が所定範囲よりも高ければ、冷却パイプ42により冷却する。本実施形態では、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いて制御している。冷却パイプ42内の水は、後述するクーリングタワー10により冷却される。
【0042】
本実施形態においては、温度調整装置41により、第1循環槽4内の生成油の温度が60~80℃となるよう調整している。第1ガス冷却器3に流入する熱分解ガスには、引火点が60℃未満の油になるガスや、水蒸気も含まれる。引火点が60℃未満の油は、取り扱いが限られてしまうが、本実施形態では、第1循環槽4内の生成油温度を60~80℃に保っているため、第1ガス冷却器3において引火点60℃未満の油は凝縮せず、第1循環槽4に回収されないため、第1循環槽4には、非常に良質な生成油が得られる。また、後述する第1遠心分離機5への掃き出し及び戻りにより、第1循環槽4内の生成油が循環され攪拌されるため、生成油の温度が平均化され、効率よく温度を60~80℃に制御される。
【0043】
第1循環槽4内の生成油は、第1遠心分離機5につながる配管51に連続的に供給される。第1遠心分離機5は、比重によって、生成油内の水や、タール、ほこり、スラッジ等の夾雑物を分離し、夾雑物が取り除かれた生成油を配管52を介して第1循環槽4に戻す。第1遠心分離機5は、短時間に油から水分を含む不純物を取り除くことができ、油を繰り返し通すことで、油の精製度が向上するとともに、第1遠心分離機5への掃き出しおよび戻りにより第1循環槽4内の生成油を攪拌し、温度制御の効率化、それによる第1循環槽4内の生成油の品質の向上、さらには第1ガス冷却器3で生成する生成油の品質の向上に寄与する。第1循環槽4に貯留される生成油の体積や、第1遠心分離機5への供給流量は、第1遠心分離機5による攪拌作用が十分に得られるように、油化装置のサイズによって調整する。
【0044】
第1遠心分離機5によりタール分を取り除くことで、第1ガス冷却器3内の供給口311に供給される生成油内のタール分が少なくなり、供給口311へ続く配管31内に発生するタールの詰まりを抑制する。また、第1遠心分離機5により水分や不純物も取り除かれた生成油を第1ガス冷却器3内に供給することにより、第1ガス冷却器3内で生成される油の品質が向上される。
【0045】
第1循環槽4では、レベルスイッチ等により、一定量以上の生成油が、高引火点油(重質油)回収装置(図示無し)へと送られてもよいし、第1遠心分離機5を通過した生成油の一部が、高引火点油(重質油)回収装置(図示無し)へ送られてもよい。
【0046】
(第2ガス冷却器6)
第2ガス冷却器6は、第1ガス冷却器3で凝縮しなかった、低引火点油を凝縮するものである。第2ガス冷却器6は、第1ガス冷却器3と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。配管17が接続され、低引火点油の熱分解ガスが本体中央高さ位置よりも下半分の位置に設けられた供給口62から供給される。また、第1ガス冷却器3と同様に、第2ガス冷却器6の上部では、第2循環槽7から、配管61を介して、配管61の先端に設けられた供給口から所定温度範囲に冷却された生成油が供給される。生成油は、第1ガス冷却器3内と同様に、供給口のノズルにより、または、パンチング板から成る棚板により、シャワー状に散油される。熱分解ガスと生成油との直接接触により、凝縮した油は、下部の第2循環槽7に回収される。第2ガス冷却器6においても、生成油のシャワーは熱分解ガスを冷却するだけでなく、第2ガス冷却器6内に発生したタール分を流し、第2循環槽7へ排出させる役割を果たす。循環供給される生成油の流量や圧力は、ポンプ(図示無し)により調整され、設定する温度により決定され制御される。
【0047】
(第2循環槽7および第2遠心分離機8)
第2循環槽7は、第2ガス冷却器6の下方に配置され、生成油を回収する。第2循環槽7は、温度調整装置71を備え、生成油を所定範囲内の温度に保つ。温度調整装置71は冷却機構のみを有し、具体的には第2循環槽7に巻かれた冷却パイプ72を備える。第2循環槽7内の生成油の温度を検知する温度センサーTSの検知結果により、生成油の温度が所定範囲よりも高ければ、冷却パイプ72により生成油を冷却する。冷却パイプ72内の水は、後述するクーリングタワー10により冷却される。本実施形態においては、第2循環槽7内の生成油の温度が5~30℃となるよう調整している。後述する第2遠心分離機8により、第2循環槽7内の生成油が循環され、攪拌されるため、槽内の生成油の温度が一定になり、効率よく温度が制御される。第2循環槽7に貯留される生成油の体積や、第1遠心分離機5への供給流量は、油化装置のサイズによって調整する。
【0048】
第2循環槽7では、レベルスイッチ等により、一定量以上の生成油は低引火点油(軽質油)回収装置(図示無し)へと送られてもよいし、第2遠心分離機8を通過した生成油の一部が、低引火点油(軽質油)回収装置(図示無し)へ送られてもよい。
【0049】
第2循環槽7内の生成油は、第2遠心分離機8につながる配管81に連続的に供給される。第2遠心分離機8は、第1遠心分離機5と同様、比重によって、生成油内の水や、タール、ほこり、スラッジ等の夾雑物を分離し、夾雑物が取り除かれた生成油は配管82を介して第2循環槽7内に戻る。
【0050】
第2循環槽7に貯留された低引火点油は、取り扱い方法が限定されるため、本実施形態においては、本装置における主バーナー11に主に使用する。
【0051】
(クーリングタワー10)
第1循環槽4および第2循環槽7の冷却機構に用いられた冷却パイプ42、72内の水は、クーリングタワー10へ送られる。クーリングタワー10は、例えば、多管式の熱交換機となっており、冷却パイプ42、72で温まった水を、所定温度範囲まで冷却する。
【0052】
次に、本実施形態における、廃プラスチックの油化方法について説明する。
【0053】
(1)まず、熱分解槽本体21に油化材料となる廃プラスチックを投入する。投入された熱分解槽本体21を、熱分解槽蓋部22で密閉し、加熱槽9内に設置する。
【0054】
(2)主バーナー11に点火し、バーナー室で発生させた加熱空気を加熱槽9内の下部に導入し、加熱空気は加熱空気誘導フィン94により形成された螺旋状の加熱流路に導入し、熱分解槽本体21を外熱により加熱する。温度を上昇させていくことにより、熱分解槽2内の廃プラスチックは、液化し、その後、ガス化され、熱分解ガスとなる。
【0055】
(3)熱分解ガスは、熱分解槽蓋部22内の第1改質触媒層14を通り、酸性の場合は第1改質触媒層14にアルカリ剤を入れることにより熱分解ガスは中和され、その後、第2改質触媒層15に送られ、さらに低分子化される。
【0056】
(4)熱分解ガスは、第1ガス冷却器3に入り、上昇し、供給口311から下方へ流れ落ち、シャワー状に散油される60~80℃の冷却油と向流接触して冷却され、高引火点の油が生成され、生成油は第1循環槽4に回収される。
【0057】
(5)第1循環槽4内の生成油の温度は、温度調整装置41により、60~80℃に保たれる。平行して、第1循環槽4内内の生成油は、配管51を介して連続的に第1遠心分離機5に送られ、水、タール、スラッジ、埃等を含む夾雑物が除去された後に、配管52を介して第1循環槽4に戻る。第1遠心分離機5への生成油の流れにより、第1循環槽4内の生成油は攪拌され、温度が平均化される。
【0058】
(6)前記第1循環槽4内の生成油の一部は、配管31を通って、第1ガス冷却器3の上部の供給口311から、冷却油として使用される。
【0059】
(7)第1ガス冷却器3で凝縮しなかった熱分解ガスは、熱分解ガス出口34から排出され、配管17を通って第2ガス冷却器6へ導入され、供給口から下方へ流れ落ちる5~30℃の冷却油のシャワーと向流接触して冷却され、凝縮した生成油は第2循環槽7へ回収される、第2循環槽7では、温度調整装置71により5~30℃冷却されるとともに、第2遠心分離機8により、水、タール、スラッジ、埃等を含む夾雑物が除去される。
【0060】
(8)第2ガス冷却器6でも凝縮されなかった熱分解ガスは、ガス出口64から排出され、オフガスとして配管18を通り、点火することによりオフガス燃焼装置19にて燃焼され、補助バーナー12に利用される。
【0061】
次に
図4を参照して、本発明の第2実施形態の廃プラスチック油化装置101について説明する。この廃プラスチック油化装置101は基本的には廃プラスチック油化装置1と同様の構成を備えるので、共通する説明は第1実施形態の図示及び記載を援用するとともに、相違点を説明する。各要素に付す符号は第1実施形態の対応番号を100番台とする。第1実施形態では、二段階のガス冷却器を備え、高引火点油(重質油)と低引火点油(軽質油)を分けて生成、回収していたのに対して、本形態では、ガス冷却器は一段階であり、回収された生成油は、高引火点油(重質油)と低引火点油(軽質油)両方を含むことが相違する。使用用途により、求められる油の性質が異なるため、要求により、第1実施形態か、第2実施形態かを選択する。
【0062】
本実施形態では、ガス冷却器106とその下に配置された循環槽107と、循環槽107内の生成油に循環接続され、水やタール等の不純物を除去するための遠心分離機108を備える。循環槽107は、冷却水を通す冷却パイプ172を有する温度調整装置171を備え、循環槽107内の油を5~30℃に保持する。本実施形態においても、遠心分離機108の攪拌作用により循環槽107内の生成油の温度は平均化され効率よく制御される。循環槽107内の油は、配管161を通って、ガス冷却器106の上部の供給口から供給され、ガス冷却器106内において、シャワーノズルまたは傾斜して複数の開口を有する棚板により、生成油はシャワー状に散油され、ガス冷却器106内において下方から導入された熱分解ガスを直接接触により冷却、凝縮する。凝縮された生成油は、重質油、軽質油が混合された状態であり、循環槽107に回収される。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、101・・・廃プラスチック油化装置
2、102・・・熱分解槽
3・・・第1ガス冷却器
4・・・第1循環槽
5・・・第1遠心分離機
6・・・第2ガス冷却器
7・・・第2循環槽
8・・・第2遠心分離機
9・・・加熱槽
10、110・・・クーリングタワー
11、111・・・主バーナー
12、112・・・補助バーナー
14、114・・・第1改質触媒層
15、115・・・第2改質触媒層
33a、33b・・・棚板
41、71、171・・・温度調整装置
42、72、172・・・冷却パイプ
62・・・供給口
21、121・・・熱分解槽本体
22、122・・・熱分解槽蓋部
94・・・加熱空気誘導フィン
106・・・ガス冷却器
107・・・循環槽
108・・・遠心分離機
TS・・・温度センサー
PS・・・圧力センサー
【手続補正書】
【提出日】2021-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを熱分解してガス化する熱分解槽と、前記熱分解槽で生成した熱分解ガスを冷却して油を生成させるガス冷却器と、前記ガス冷却器により生成した生成油を回収し、前記生成油の一部を前記ガス冷却器に循環させる循環槽とを備える廃プラスチック油化装置であって、
前記循環槽は、前記循環槽内の生成油の温度を前記循環槽内で所定温度範囲に維持するための温度調整装置を備え、
前記温度調整装置は前記循環槽に取り付けられる冷却パイプを含み、
前記循環槽は遠心分離機が接続され、前記循環槽内の生成油は前記遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物が除去され、前記循環槽へ戻されることを特徴とする、
廃プラスチック油化装置。
【請求項2】
前記ガス冷却器は、
前記循環槽内の生成油を供給する供給口を上部に備え、
下向きに傾斜し、複数の開口を備える棚板が複数段設けられ、
前記供給口は、単孔ノズルを備えることを特徴とする、
請求項1に記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項3】
前記ガス冷却器は、
前記循環槽内の生成油を供給する供給口を上部に備え、
下向きに傾斜し、複数の開口を備える棚板が複数段設けられ、
前記供給口は、各孔の直径を5~15mmとする複数の孔を有するシャワーノズルを備えることを特徴とする、
請求項1に記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項4】
前記温度調整装置は、前記循環槽に取り付けられるヒーターをさらに備え、
前記循環槽内の生成油の温度は、前記温度調整装置により前記循環槽内で60~80℃に保持される、
請求項1~3のいずれかに記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項5】
前記熱分解槽は加熱槽に着脱可能であり、
前記加熱槽は、その内側面と前記熱分解槽の外周面との間に螺旋状の加熱空気流路を形成可能な加熱空気誘導フィンを備え、
前記加熱槽は、それぞれ対向する位置に主バーナーと、補助バーナーを下部に備え、
前記主バーナーと前記補助バーナーからの加熱空気はいずれも、前記加熱槽の略接線方向に供給され、凝縮されなかった熱分解ガスは前記補助バーナーの燃料となることを特徴とする、
請求項1~3のいずれかに記載の廃プラスチック油化装置。
【請求項6】
廃プラスチックを熱分解しガス化する熱分解工程と、
前記熱分解工程により得られた熱分解ガスをガス冷却装置にて冷却して、前記熱分解ガスの一部を凝縮することにより生成油を得る凝縮工程と、
前記凝縮工程にて得られた生成油を循環槽に回収する工程と、
前記循環槽内の生成油の温度を、前記循環槽内で所定温度範囲に調整すると共に、前記循環槽内の生成油の一部を連続的に取り出し、遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物を分離させ、前記循環槽に戻す工程と、
前記循環槽内の生成油の一部を、前記ガス冷却装置に供給する工程と、
を有する、
廃プラスチック油化方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、廃プラスチックを熱分解してガス化する熱分解槽と、前記熱分解槽で生成した熱分解ガスを冷却して油を生成させるガス冷却器と、前記ガス冷却器により生成した生成油を回収し、前記生成油の一部を前記ガス冷却器に循環させる循環槽とを備える廃プラスチック油化装置であって、前記循環槽は、前記循環槽内の生成油の温度を前記循環槽内で所定温度範囲に維持するための温度調整装置を備え、前記温度調整装置は前記循環槽に取り付けられる冷却パイプを含み、前記循環槽は遠心分離機が接続され、前記循環槽内の生成油は前記遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物が除去され、前記循環槽へ戻されることを特徴とする、廃プラスチック油化装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
ここで「温度調整装置」とは、所定温度範囲に保つための装置であればよく、加熱機構と冷却機構両方を備えるものに限らず、冷却機構のみを備えるものも含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記ガス冷却器は、前記循環槽内の生成油を供給する供給口を上部に備え、下向きに傾斜し、複数の開口を備える棚板が複数段設けられ、前記供給口は、単孔ノズルを備えることが好ましい。また、前記供給口は、前記供給口は、各孔の直径を5~15mmとする複数の孔を有するシャワーノズルを備えることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
前記温度調整装置は、前記循環槽に取り付けられるヒーターをさらに備え、前記循環槽内の生成油の温度は、前記温度調整装置により前記循環槽内で60~80℃に保持されることが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、本発明は、廃プラスチックを熱分解しガス化する熱分解工程と、前記熱分解工程により得られた熱分解ガスをガス冷却装置にて冷却して、前記熱分解ガスの一部を凝縮することにより生成油を得る凝縮工程と、前記凝縮工程にて得られた生成油を循環槽に回収する工程と、前記循環槽内の生成油の温度を、前記循環槽内で所定温度範囲に調整すると共に、前記循環槽内の生成油の一部を連続的に取り出し、遠心分離機により水およびタールを含む夾雑物を分離させ、前記循環槽に戻す工程と、前記循環槽内の生成油の一部を、前記ガス冷却装置に供給する工程と、を有する、廃プラスチックの油化方法である。