(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088913
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】レジスタの操作ノブ装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20220608BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
B60H1/34 611Z
F24F13/15 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201047
(22)【出願日】2020-12-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 正晃
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB01
3L081FA04
3L081HA08
3L211BA22
3L211BA57
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】前フィンの撓み強度を高く保持しつつ、操作ノブの厚さを薄くすることができ、見栄えなどを良くすることができるレジスタの操作ノブ装置を提供する。
【解決手段】操作ノブ1は、前フィン30の前端部を覆う前部11、前フィン30を収容する収容凹部14、及びガイド凸部32を収容するガイド凹部12を有するノブ本体10と、前フィン30の板状凹部33の内側縁部を覆って、ノブ本体10の後部に嵌着されるノブ後部13と、板状凹部33内とノブ本体10との間に接触して配置され、操作荷重を付与する荷重付与部材17と、を備える。ノブ本体10とノブ後部13は、前フィン30の一面側を露出させ、他面側を覆うように、前フィン30に対し摺動可能に取り付けられる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスタの空気吹出口の内側に回動可能に前フィンが軸支され、操作ノブが該前フィンの長手方向に、摺動可能に外嵌されたレジスタの操作ノブ装置において、
該前フィンの前端部に板状のガイド凸部が突設され、該前フィンの後端部における該ガイド凸部の反対側に切欠凹部が設けられ、
該操作ノブは、該前フィンの該前端部を覆う前部、該前フィンの一方の面を覆うカバー凹部、及び該ガイド凸部を収容するガイド凹部を有するノブ本体と、該前フィンの該切欠凹部の内側縁部を覆って、該ノブ本体の後部に嵌着されるノブ後部と、該切欠凹部内と該ノブ本体内または該ノブ後部内との間に接触して配置され、操作荷重を付与する荷重付与部材と、を備え、
該ノブ本体と該ノブ後部は、該前フィンの他方の面側を露出させ、一方の面側を覆うように、該前フィンに対し摺動可能に取り付けられ、
露出した該前フィンの他方の面と該ノブ本体の前部平面と該ノブ後部の平面とが、略面一となるように構成されたことを特徴とするレジスタの操作ノブ装置。
【請求項2】
前記ノブ本体の前記カバー凹部を設けた平面部分の厚さが、前記前フィンの厚さより薄く形成されたことを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項3】
前記レジスタ内の前記前フィンの上流側に後フィンが該前フィンと直交方向に且つ前後して配設され、前記操作ノブのノブ後部に、係合部が該後フィンと係合可能に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項4】
前記係合部は、二股係合部が前記後フィンと係合可能に、且つ前記ノブ後部に対し回動可能に取り付けられたことを特徴とする請求項3記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項5】
前記前フィンの前記切欠凹部内に取付部が設けられ、前記荷重付与部材が該取付部に、前記ノブ本体内に接触して取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項6】
前記前フィンの前端に、断面を略半円形とした半円柱部が形成され、前記ノブ本体の前部の内側に、該半円柱部と摺接する湾曲凹面部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項7】
前記前フィンの前記ガイド凸部の両側の面に、複数のリブが前記ノブ本体のガイド凹部内と接触可能に設けられ、前記ガイド凸部の先端は、前記ノブ本体の前記ガイド凹部の内面と線接触するように形成されたことを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項8】
前記前フィンの前記切欠凹部に隣接した該前フィンの他方の面側に、板状凹部が設けられ、該板状凹部を覆って摺接する板状部が前記ノブ後部に設けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【請求項9】
前記ノブ本体と前記ノブ後部は、相互に設けた断面コ字状の嵌合部の嵌合により前後方向に移動して嵌合するとともに、相互に設けた係止爪と係止部との係合により係止されることを特徴とする請求項1記載のレジスタの操作ノブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車内等の換気や空調装置の空気吹出口に使用されるレジスタに関し、特に前フィン上に、操作ノブを摺動可能に外嵌したレジスタの操作ノブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のレジスタとして、通風路を形成するベゼル内に、前可動ルーバと後可動ルーバを前後して直交方向に配設し、前方に位置する前可動ルーバの前フィン上に、操作ノブを、フィンの長手方向に摺動可能に取り付けた構造のレジスタが、下記特許文献1などにより知られている。
【0003】
この操作ノブは、前可動ルーバの前フィン上に、その長手方向に摺動可能に外嵌され、操作ノブの上流側の後端部に、ラック状或いは二股状の係合部が設けられ、その係合部が後方上流側に位置する後可動ルーバに係合する。風の向きを左右に調整する場合、操作ノブを前可動ルーバの前フィン上で左又は右に摺動させ、後可動ルーバの向きを左右に変え、送風方向を左右に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-115972号公報
【特許文献2】米国特許第10792974号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、レジスタにおいて、一体成形された操作ノブを、前フィンの下面にスライド可能に嵌合させた構造の操作ノブ装置が、上記特許文献2で提案されている。
【0006】
このレジスタの操作ノブ装置は、前フィンの下面に、深い摺動溝がフィンの長手方向に沿って形成され、操作ノブの上面に係合凸部が突設され、操作ノブが、前フィンの下面に係合凸部を摺動溝に嵌合させて取り付けられる。
【0007】
しかし、この操作ノブ装置は、前フィンの下面に操作ノブが取り付けられ、操作ノブを比較的薄く構成することができるものの、前フィンの下面に深い溝が斜めに形成されるため、前フィンの長手方向の撓み強度が低下する。
【0008】
さらに、操作ノブを前フィンに嵌合させる場合、前フィンの端部まで達する摺動溝に、操作ノブの係合凸部を端部から嵌め込み、中央位置まで摺動させて嵌合させる。このため、操作ノブの前フィンへの取付作業工数が増大し、操作ノブを通常摺動させない部分にも、摺動溝を付ける必要があり、これにより、前フィンの長手方向の撓み強度が低下し、前フィンの外観も悪化する課題があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、前フィンの撓み強度を高く保持しつつ、操作ノブの厚さを薄くすることができ、見栄えなどを良くすることができるレジスタの操作ノブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のレジスタの操作ノブ装置は、
レジスタの空気吹出口の内側に、回動可能に前フィンが軸支され、操作ノブが該前フィンの長手方向に、摺動可能に外嵌されたレジスタの操作ノブ装置において、
該前フィンの前端部に板状のガイド凸部が突設され、該前フィンの後端部の該ガイド凸部の反対側に、該操作ノブが摺動可能に嵌合する切欠凹部が設けられ、
該操作ノブは、該前フィンの該前端部を覆う前部、該前フィンの一方の面を覆うカバー凹部、及び該ガイド凸部を収容するガイド凹部を有するノブ本体と、該前フィンの該切欠凹部の内側縁部を覆って、該ノブ本体の後部に嵌着されるノブ後部と、該切欠凹部内と該ノブ本体内または該ノブ後部内との間に接触して配置され、操作荷重を付与する荷重付与部材と、を備え、
該ノブ本体と該ノブ後部は、該前フィンの他方の面側を露出させ、一方の面側を覆うように、該前フィンに対し摺動可能に取り付けられ、
該前フィンの露出面と該ノブ本体の前部平面と該ノブ後部の平面とが、略面一となるように構成されたことを特徴とする。
【0011】
なお、上記レジスタの前、後、前部、後部は、レジスタを正面から見たときの前、後であり、上流側、下流側は、送風時の空気流の上流、下流であり、上流側は部材の後側であり、下流側は部材の前側である。
【0012】
このレジスタの操作ノブ装置は、前フィンの露出面とノブ本体の前部平面とノブ後部の平面とが、略面一となるので、操作ノブ装置の厚さを、従来のものより大幅に薄くすることができ、レジスタの見栄えや意匠性を向上させ、送風時の圧力損失や騒音を低減することができる。さらに、前フィンの操作ノブとの係合面に、操作ノブを係合保持するための溝は必要なく、前フィンの長手方向の撓み強度を、十分な強度に保持することができる。
【0013】
ここで、上記レジスタの操作ノブ装置において、ノブ本体のカバー凹部を設けた平面部分の厚さは、前フィンの厚さより薄く形成することが好ましい。これによれば、操作ノブ装置の厚さを、一層、薄くすることができる。
【0014】
また、ここで、上記レジスタの操作ノブ装置において、前フィンの上流側に後フィンが前フィンと直交方向に且つ前後して配設され、操作ノブのノブ後部に、係合部が後フィンと係合可能に取り付けられた構成とすることができる。また、その係合部としては、二股係合部を後フィンと係合可能に、且つノブ後部に対し回動可能に取り付けることができる。
【0015】
またここで、前フィンの切欠凹部内に取付部が設けられ、その取付部に荷重付与部材を、ノブ本体またはノブ後部内に接触して取り付けることが好ましい。これによれば、荷重付与部材が前フィンの上流側に位置し、ノブ本体に摺接して、適度な操作荷重を発生させ、仮に荷重付与部材からオイルが漏れ出した場合でも、それが外観を悪化させる不具合は生じない。
【0016】
またここで、前フィンの前端に、断面を略半円形とした半円柱部が形成され、ノブ本体の前部の内側に、半円柱部と摺接する湾曲凹面部を設けることが好ましい。これによれば、薄く形成された操作ノブを、前フィン上で安定して摺動保持することができる。
【0017】
またここで、前フィンのガイド凸部の両側の面に、複数のリブがノブ本体のガイド凹部内と接触可能に設けられ、ガイド凸部の先端は、ノブ本体のガイド凹部の内面と線接触するように形成することが好ましい。これによれば、前フィン上で操作ノブを円滑に摺動させることができる。
【0018】
またここで、前フィンの切欠凹部に隣接した前フィンの他方の面側に、板状凹部が設けられ、板状凹部を覆って摺接する板状部がノブ後部に設けられた構成とすることができる。これによれば、薄く形成された操作ノブを、前フィン上で安定して摺動保持することができる。
【0019】
またここで、ノブ本体とノブ後部は、相互に設けた断面コ字状の嵌合部の嵌合により前後方向に移動して嵌合するとともに、相互に設けた係止爪と係止部との係合により係止される構成とすることができる。これによれば、ノブ本体の後部にノブ後部を取り付ける場合、ノブ後部をノブ本体の後部に、簡単に操作ノブのノブ本体とノブ後部を組み付けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のレジスタの操作ノブ装置によれば、前フィンの撓み強度を高く保持しつつ、操作ノブの厚さを薄くすることができ、これにより、レジスタの見栄え、デザイン性を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態を示すレジスタの正面図である。
【
図6】(a)は
図1のVI-VI断面図、(b)は前可動ルーバを下に振ったときのVI-VI断面図である。
【
図7】(a)は
図1のVII-VII断面図、(b)は後可動ルーバを左に振ったときのVII-VII断面図である。
【
図8】(a)は操作ノブと前フィンの正面図、(b)はその平面図、(c)はその底面図である。
【
図9】(a)と(b)は操作ノブと前フィンの斜視図、(c)は底面側から見た同斜視図である。
【
図10】(a)は
図8(b)のA-A断面図、(b)はB-B断面図、(c)はそのC-C断面図である。
【
図11】(a)は前フィンの斜視図、(b)はその底面側から見た斜視図である。
【
図12】(a)はノブ本体の斜視図、(b)は背面側から見たその斜視図、(c)はその底面側から見た斜視図である。
【
図13】(a)はノブ後部の斜視図、(b)は底面側から見た斜視図、(c)はその背面側から見た斜視図、(d)はその底面側から見た斜視図である。
【
図14】
図8のB-B断面における、前フィンとノブ本体とを嵌合させる際の説明断面図である。
【
図15】(a)は
図8のD-D断面における、ノブ本体とノブ後部を嵌合させる際の説明断面図、(b)は
図8のE-E断面における、ノブ本体とノブ後部を嵌合させる際の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図3は、車室等の空調装置の空気吹出用に使用されるレジスタを示している。レジスタは、ダクト状で内部に通風路9を設けたリテーナ2の正面側に、空気吹出口8を設けたベゼル5を嵌着し、空気吹出口8の直ぐ内側に、前可動ルーバ3を水平横方向に配設し、前可動ルーバ3の上流側の通風路9内に後可動ルーバ4を、上下縦方向に配設して構成される。
【0023】
ここで、レジスタの前後左右、前部、後部は、レジスタを正面から見たときの前後左右であり、上流側、下流側は、送風時の空気流の上流、下流であり、上流側は部材の後側であり、下流側は部材の前側である。
【0024】
図6、
図7に示すように、前可動ルーバ3の各前フィン30と後可動ルーバ4の各後フィン40は、相互に、直交方向に前後して配置され、前可動ルーバ3の中央の前フィン30には、操作ノブ1が前フィン30の長手方向に摺動可能に外嵌され、操作ノブ1の操作により、前可動ルーバ3の上下方向の向きと後可動ルーバ4の左右方向の向きが調整される。
【0025】
図4に示す如く、後可動ルーバ4は、上軸受部42と下軸受部43間に、複数の縦方向の後フィン40を、左右に所定の間隔をおいて並設し、各後フィン40の上下の支軸40aが、上軸受部42と下軸受部43の軸孔に嵌合して支持される。これにより、後フィン40は左右に回動可能に軸支される。各後フィン40に設けた連結軸44に1本のリンクバー45が連結され、全ての後フィン40は、所定の角度範囲で、同じ方向に同期して回動する。
【0026】
中央に位置する後フィン40の前部に棒状の係合部41が設けられ、係合部41には、前フィン30上に取り付けられる操作ノブ1の二股係合部(係合部)25が係合する。これにより、操作ノブ1の左右への摺動操作時、後可動ルーバ4は左右に回動する。なお、操作ノブ1の後フィン40との係合部は、棒状の係合部41を扇形の歯車部とし、二股係合部25をラックとして構成することもできる。
【0027】
レジスタの組み付け時、後可動ルーバ4は、
図4に示すように、上軸受部42と下軸受部43間に複数の後フィン40を並設して取り付けた状態で、リテーナ2の通風路9内に挿入され、組み付けられる。
【0028】
前可動ルーバ3は、
図4に示す如く、複数(例えば3枚)の前フィン30,36,37を、水平横方向に配置し、各前フィン30,36,37を上下に一定の間隔をおいて並設して構成される。各前フィン30,36,37は、ベゼル5の内側で、リテーナ2の前部の左右側壁に設けた軸受部3aにより軸支される。両側の軸受部3aには、各々3個の軸孔が一定の間隔で穿設され、軸受部3aは、ベゼル5の空気吹出口8の直ぐ内側に配設され、左右側壁の内側に対向して取り付けられる。
【0029】
前可動ルーバ3の3枚の前フィン30,36,37は、両側の軸受部3a間で支持されるように、前フィン30等の両端部に突設した支軸30aが、両側の軸受部3aの各軸孔に嵌入され、軸支される。中央の前フィン30には、操作ノブ1が前フィン30の長手方向に摺動可能に外嵌される。なお、前可動ルーバ3の3枚の前フィン30,36,37は、一枚のみの前フィンとすることもでき、4枚以上の前フィンとしてもよい。
【0030】
また、
図8に示すように、中央の前フィン30の一端にガイドピン30cが、一方の支軸30aに近傍に突設され、ガイドピン30cは軸受部3aに形成されたガイド溝に係合し、前フィン30の回動範囲をガイドする。さらに、各前フィン30の一端部に連結軸30bが突設され、1本のリンクバー3bがそれらの連結軸30bに連結される。これにより、中央の前フィン30に外嵌された操作ノブ1を持って前フィン30を上下に回動操作すると、前可動ルーバ3の各前フィン30は両側の支軸30aを軸に、所定の角度範囲内で、上または下に回動する。
【0031】
さらに、中央の前フィン30の前端部は、半円柱部34として形成され、前フィン30の上下の平面から前端部にかけて滑らかな表面が連続する。その半円柱部34の中央に、板状のガイド凸部32が前フィン30の前方に向けて突設される。ガイド凸部32は、前フィン30上に装着される操作ノブ1のノブ本体10を保持しガイドする部分であり、ノブ本体10のガイド凹部12(
図12b)内に挿入される。そのガイド凸部32の上面と下面には、各3本のリブ38が前後方向に形成される。これらのリブ38は、ノブ本体10の前部11内に設けたガイド凹部12の内面に接触し、操作ノブ1の摺動時の摩擦抵抗を軽減する。
【0032】
図11(b)に示すように、前フィン30の後端部の、ガイド凸部32と反対側の上流側端部に、切欠凹部31が形成され、ノブ本体10の後部分とノブ後部13の一部が、切欠凹部31内に嵌入される。切欠凹部31は、
図8、9に示すように、操作ノブ1が切欠凹部31内に摺動可能に外嵌されるように、形成され、切欠凹部31の中央部に、荷重付与部材17を取り付けるための、取付部35が設けられる。さらに、
図11(a)に示すように、切欠凹部31の前フィン上面側の縁部には、板状凹部33が一段下って形成され、板状凹部33には、
図9に示すように、操作ノブ1のノブ後部13が上から覆って、摺動可能に組み付けられる。
【0033】
操作ノブ1は、
図5、
図12に示すように、前フィン30の前端部を覆う前部11、前フィン30の一方の面を覆うカバー凹部14、及びガイド凸部32を収容するガイド凹部12を有するノブ本体10(
図12)と、前フィン30の切欠凹部31の内側縁部を覆って、ノブ本体10の後部に嵌着されるノブ後部13(
図13)と、切欠凹部31内とノブ本体10内との間に接触して配置され、操作荷重を付与する荷重付与部材17と、を備える。
【0034】
操作ノブ1のノブ後部13には、
図5、
図10(a)に示す如く、二股係合部(係合部)25が、後フィン40の棒状の係合部41と係合可能に取り付けられる。二股係合部25の元部に、枢軸25aが設けられ、その枢軸25aがノブ後部13の内側に設けた軸支部22内に回動可能に嵌合する。これにより、二股係合部25は
図6(b)のように、枢軸25aを軸に、上下に回動可能である。
【0035】
図10(b)に示すように、操作ノブ1を前フィン30の外周部に、摺動可能に外嵌させた状態で、前フィン30の下面(一方の面)はノブ本体10で覆われ、前フィン30の上面(他方の面)は露出する。さらに、ノブ本体10のカバー凹部14を設けた底面部分の厚さH1は、前フィン30の厚さH2より薄く形成され、且つ露出した前フィン30の他方の面とノブ本体10の前部11平面とノブ後部13の平面とが、略面一となるように構成される。
【0036】
なお、ノブ本体10のカバー凹部14の厚さH1は、より好ましくは、前フィン30の厚さH2の1/2より薄く形成することが望ましい。これにより、
図10(b)に示す如く、操作ノブ1の厚さは、(H1+H2)となるが、前フィン30の厚さH2の1.5倍程度と薄くなり、十分な強度を保持しつつ、すっきりとしたデザイン性を創出し、見栄えが良好となる。
【0037】
図11(b)に示すように、前フィン30の後部の切欠凹部31内に、荷重付与部材17用の取付部35が設けられる。熱可塑性エラストマー等からなる荷重付与部材17は、
図10のように、前フィン30の後部の取付部35に取り付けられ、ノブ本体10内の摺接部18に接触する。このように、前フィン30の後部上流側に設けた取付部35内に、荷重付与部材17が取り付けられるため、仮に荷重付与部材17に含まれた油が外部に染み出したとしても、前フィン30の正面外観が油により汚れる虞は防止できる。
【0038】
図12(a)に示すように、ノブ本体10の前部11の正面側に切欠溝11bが設けられ、切欠溝11bには、加飾部材19が嵌着される。さらに、12(b)に示すように、ノブ本体10の前部11の内側に、湾曲凹面部11aが設けられ、操作ノブ1の装着時、前フィン30の前端に設けた、断面を略半円形とした半円柱部34が、この湾曲凹面部11aに摺接可能である。これにより、組み付け時、前フィン30と操作ノブ1のノブ本体10を嵌合させる際、
図14に示すように、前フィン30の前側からノブ本体10を、円滑に嵌合させることができ、前フィン30と操作ノブ1は、隙間なく摺動可能に嵌合される。
【0039】
上記のように、前フィン30のガイド凸部32の両面に、3本のリブ38がノブ本体10のガイド凹部12内と接触可能に設けられ、ガイド凸部32の先端は、ノブ本体10のガイド凹部12の内面と線接触する。これにより、操作ノブ1の摺動操作時、ガイド凸部32とノブ本体10間に生じる摩擦抵抗を低減する。
【0040】
また、前フィン30の切欠凹部31に隣接した前フィン30の上面側に、板状凹部33が一段低く設けられ、この板状凹部33を上から覆って摺接する板状部23が
図13のように、ノブ後部13に設けられる。
図15に示すように、ノブ本体10の後部に、ノブ後部13を嵌着した状態で、ノブ後部13の板状部23が前フィン30の板状凹部33を覆い、前フィン30上に操作ノブ1を摺動可能に保持する。
【0041】
図12に示すように、ノブ本体10内の後部に断面コ字状の嵌合部20が設けられ、
図13に示すように、ノブ後部13内にも断面コ字状の嵌合部21が設けられる。ノブ本体10とノブ後部13は、相互に設けた断面コ字状の嵌合部20,21の嵌合により前後方向に移動して嵌合するとともに、ノブ本体10に設けた係止爪16とノブ後部13に設けた係止部15との係合により係止される。
【0042】
これにより、組み付け時には、
図15に示すように、前フィン30の前部から下面を覆うようにノブ本体10を配置した状態で、ノブ後部13をノブ本体10の後方から嵌合部20と嵌合部21とを嵌め込み、係止部15を係止爪16に係止させて、ノブ本体10とノブ後部13とを簡単に且つ確実に組み付けることができる。なお、上記とは逆に、係止部15をノブ本体10の後端部に設け、係止爪16をノブ後部13内に設ける構造としてもよい。
【0043】
図1~
図4に示すように、ベゼル5の前面左側にダンパノブ用開口部が形成され、そこにダンパノブ6が、露出して配置され、上下に回動操作可能に軸支される。リテーナ2は、上記のように、略矩形のダクト状に形成され、内部に通風路9が形成される。通風路9内後部の両側側壁にダンパ用の軸孔が設けられ、一方の軸孔にダンパプレート7の端部に設けた支軸7c(
図7)が嵌入され、他方の軸孔には、外側から回動軸7aが嵌挿され、通風路9の内側で、回動軸7aの係止部がダンパプレート7の他方の端部に係止される。
【0044】
図2に示す如く、ダンパプレート7の一方の回動軸7aには、ダンパアーム7bが連結され、ダンパアーム7bは、リンクレバー6aを介して、ダンパノブ6の端部にリンクされる。これにより、ダンパノブ6を上又は下に回動操作したとき、ダンパプレート7が回動し、通風路9が開閉される。
【0045】
次に、操作ノブ1の組み立てを説明すると、前フィン30上に操作ノブ1を組み付ける場合、先ず、前フィン30の取付部35に、荷重付与部材17を取り付け、その状態で、
図14に示す如く、前フィン30のガイド凸部32をノブ本体10のガイド凹部12内に挿入しながら、ノブ本体10内のカバー凹部14内に、押し込むように挿入する。
【0046】
このとき、前フィン30の前端部の半円柱部34は、ノブ本体10の前部11の湾曲凹面部11a内を滑るように
図14の下図まで進入し、簡単に組み付けられる。次に、ノブ後部13の軸支部22に、二股係合部25の枢軸25aを嵌入し、この状態のノブ後部13を、ノブ本体10の後部に嵌め込む。このとき、
図15に示すように、嵌合部20と嵌合部21が嵌合するとともに、係止爪16が係止部15に係止され、組み付けは完了する。
【0047】
この状態で、
図10に示すように、操作ノブ1の前部11は、ガイド凸部32によって前フィン30の前部に保持され、操作ノブ1のノブ後部13は、その板状部23が前フィン30の板状凹部33上を覆い、前フィン30の後部に保持される。さらに、取付部35内の荷重付与部材17はノブ本体10の摺接部18と接触し、操作ノブ1は、その前部11のガイド凹部12内に、前フィン30側のガイド凸部32が摺動可能に収容される。
【0048】
これにより、操作ノブ1は、前フィン30上で、摺動可能に保持され、操作ノブ1を左右にスライド操作すると、ノブ本体10の摺接部18が荷重付与部材17と接触しながら摺動するとともに、ガイド凸部32は、その先端の半円柱部32a及びその上下面のリブ38(
図11)がガイド凹部12内で接触し、ガイドされながら摺動する。これにより、操作ノブ1は、前フィン30を上下に振る際や左右に操作ノブ1を摺動操作する際、ガタツキなく安定して摺動する。
【0049】
前可動ルーバ3のアッセンブリは、操作ノブ1を組み付けた前フィン30、上側の前フィン36及び下側の前フィン37が、両側に配置した軸受部3aに軸支され、リンクバー3bが各前フィン30、36,37の連結軸に連結され、その状態で、リテーナ2の前部内に組み付けられる。ベゼル5は、リテーナ2の前部に嵌着される。
【0050】
上記構成のレジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の末端を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路9から空気吹出口8を通して吹き出される。
【0051】
前可動ルーバ3及び後可動ルーバ4をニュートラル状態としてレジスタに送風すると、
図6に示すように、空気流は通風路9を通過し、空気吹出口8から前方に送風される。このとき、前フィン30の操作ノブ1は、その厚さが前フィン30の約1.5倍程度と薄く形成されるため、操作ノブ1の送風方向の投影面積は小さく、送風時の圧力損失を低減し、異音の発生も低減することができる。
【0052】
空気の吹出向きを上または下に調整する場合、前可動ルーバ3の操作ノブ1を上または下に回動させて調整する。操作ノブ1を持って上または下に回動させると、
図2に示すように、操作ノブ1が装着された前フィン30がその支軸30aを軸に上下に回動し、その回動力がリンクバー3bを介して他の前フィン36,37に伝達され、前可動ルーバ3の上下方向の向きが変化し、空気の吹出方向が上下に調整される。
【0053】
一方、空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ1を左または右に移動させて調整する。操作ノブ1を持って左または右に動かすと、操作ノブ1は前フィン30上を摺動し、水平方向(横方向)に移動する。これに伴い、
図7に示すように、操作ノブ1の後部の二股係合部25が、後可動ルーバ4の後フィン40を、その係合部41を介して左右に回動させ、リンクバー45を介して、各後フィン40がその係合部41を軸に同期して回動し、後可動ルーバ4の左右方向の向きが変化し、空気の吹出方向が左または右に調整される。
【0054】
このとき、前フィン30上の操作ノブ1は、そのノブ本体10内の摺接部18が前フィン30側の荷重付与部材17と摺接し、ノブ本体10の前部11の湾曲凹面部11aが前フィン30の半円柱部34と摺接し、前部11内のガイド凹部12の内面が、前フィン30のガイド凸部32のリブ38及び先端の半円柱部34と摺接する。これにより、操作ノブ1の摺動操作時、ガタツキやゴリゴリ感を生じずに、最少の摩擦抵抗で操作荷重を生じさせ、操作ノブ1を円滑に操作することができる。
【0055】
このように、ノブ本体10のカバー凹部14を設けた平面部分の厚さが前フィン30の厚さより薄く、前フィン30の露出面とノブ本体10の前部11平面とノブ後部13の平面とが、略面一となるので、操作ノブ装置の厚さを、従来のものより大幅に薄くすることができる。これにより、レジスタの見栄えや意匠性を向上させ、送風時の圧力損失や騒音を低減することができる。また、前フィン30の操作ノブ1との係合面に、操作ノブ1を係合保持するための溝は必要なく、前フィン30の長手方向の撓み強度を、十分な強度に保持することができる。
【0056】
なお、上記実施形態のレジスタでは、ノブ本体10とノブ後部13は、前フィン30の上面側を露出させ、下面側を覆うように、前フィン30に対し摺動可能に取り付けたが、それとは逆に、ノブ本体10とノブ後部13を、前フィン30の下面側を露出させ、上面側を覆うように、前フィン30に対し摺動可能に取り付けることもできる。
【0057】
また、前フィン30を含む前可動ルーバ3を水平横方向に配置したが、前フィン30を含む前可動ルーバ3を垂直縦方向に配置し、後可動ルーバ4を水平横方向に配置することもできる。その場合、ノブ本体とノブ後部は、前フィンの他方の面側を露出させ、一方の面側を覆うように、前フィンに対し摺動可能に取り付けられることとなる。
【符号の説明】
【0058】
1 操作ノブ
2 リテーナ
3 前可動ルーバ
3a 軸受部
3b リンクバー
4 後可動ルーバ
5 ベゼル
6 ダンパノブ
6a リンクレバー
7 ダンパプレート
7a 回動軸
7b ダンパアーム
7c 支軸
8 空気吹出口
9 通風路
10 ノブ本体
11 前部
11a 湾曲凹面部
11b 切欠溝
12 ガイド凹部
13 ノブ後部
14 カバー凹部
15 係止部
16 係止爪
17 荷重付与部材
18 摺接部
19 加飾部材
20 嵌合部
21 嵌合部
22 軸支部
23 板状部
25 二股係合部
25a 枢軸
30 前フィン
30a 支軸
30b 連結軸
30c ガイドピン
31 切欠凹部
32 ガイド凸部
32a 半円柱部
33 板状凹部
34 半円柱部
35 取付部
36 前フィン
37 前フィン
38 リブ
40 後フィン
40a 支軸
41 係合部
42 上軸受部
43 下軸受部
44 連結軸
45 リンクバー