IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイアールアジアインターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷蔵庫 図1
  • 特開-冷蔵庫 図2
  • 特開-冷蔵庫 図3
  • 特開-冷蔵庫 図4
  • 特開-冷蔵庫 図5
  • 特開-冷蔵庫 図6
  • 特開-冷蔵庫 図7
  • 特開-冷蔵庫 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088916
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20220608BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
F25D23/02 306H
F25D23/02 306L
F25D25/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201054
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】吉池 真史
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA10
3L102KB22
3L102KB25
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で収納容器をフルオープンにすることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10では、断熱扉20を支持するレール22は、レール22の前方部分であるレール前部221と、レール22の後方部分であるレール後部222と、レール前部221とレール後部222とを前後方向に伸縮可能に接続するスライド機構25と、を有する。また、断熱扉20が引き出されると、ストッパ27によりレール後部222の位置が固定され、スライド機構25が延伸することでレール前部221が断熱扉20と共に前方に移動する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に充填された断熱材と、を含んで構成される断熱箱体と、
前記断熱箱体の内部に形成される貯蔵室と、
前記貯蔵室の前方開口を閉鎖し、前後方向に引き出し可能に設けられる断熱扉と、
前記貯蔵室の内部に配置され、前記断熱扉と共に引き出される収納容器と、
前記断熱扉の後面に取りつけられ、前後方向に延在するレールと、
前記内箱の側面に設けられ、前記レールを前後方向に沿って移動可能に支持するレール支持部と、
前記内箱に設けられるストッパと、を具備し、
前記レールは、前方部分であるレール前部と、後方部分であるレール後部と、前記レール前部と前記レール後部とを接続し前後方向に伸縮可能に構成されるスライド機構と、を有し、
前記断熱扉が引き出されると、前記ストッパにより前記レール後部の前方への移動が制限され、前記スライド機構が前方に延伸することで、前記レール前部が前記断熱扉および前記収納容器と共に前方に移動することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記断熱扉が前端まで引き出された際に、前記収納容器の後端は、前記断熱箱体の前面よりも前方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記ストッパは、前記レール支持部に設けられ、
前記レール後部が前記ストッパに当接することにより、前記レール後部の前方への移動が、予め定める位置で制限されることを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
スライド機構は、
第1スライド部と、
前記第1スライド部に対してスライド可能に接続された第2スライド部と、
前記第2スライド部に対してスライド可能に接続された第3スライド部と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記スライド機構は、複数のスライド部と、前記スライド部どうしの間に配設された付勢部と、を有し、
前記断熱扉が開状態から閉状態に遷移する際に、前記付勢部は、前記スライド部どうしを互いに引っ張る方向に付勢力を生じさせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関し、特に、引出式の断熱扉を有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、背景技術に係る冷蔵庫1100を示す斜視図である。冷蔵庫1100は、断熱構造を有する断熱箱体1101の内部に複数の貯蔵室が形成されている。この貯蔵室として、上方から、冷蔵室1105、冷凍室1106および野菜室1107が形成されている。
【0003】
冷蔵室1105の前面開口は、回転式の断熱扉1102により閉鎖されている。冷凍室1106の前面開口は、引出式の断熱扉1103により閉鎖されている。野菜室1107の前面開口は、引出式の断熱扉1104により閉鎖されている。
【0004】
断熱扉1103の後面には、レール1108が取りつけられている。冷凍室1106に格納される収納容器1110は、レール1108により幅方向外側から支持されており、収納容器1110は断熱扉1103と共に引き出される。
【0005】
断熱箱体1101の内側面には、レール溝1109が形成されている。断熱扉1103の引出を行う際には、レール1108がレール溝1109をスライドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4434133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した冷蔵庫1100では、利便性の観点から断熱扉1103のスライド機構には、改善の余地があった。
【0008】
具体的には、ユーザが収納容器1110に収納された食品等の被貯蔵物を良好に視認するためには、収納容器1110を全体的に前方に引き出すフルオープンとすることが理想である。しかしながら、断熱箱体1101をフルオープンにしようとすると、レール1108を長く形成する必要がある。レール1108を長く形成すると、断熱扉1103を閉鎖状態とした際に、長いレール1108をレール溝1109に収納することが困難になる。
【0009】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構成で収納容器を十分に前方側に向けて引き出すことができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の冷蔵庫は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に充填された断熱材と、を含んで構成される断熱箱体と、前記断熱箱体の内部に形成される貯蔵室と、前記貯蔵室の前方開口を閉鎖し、前後方向に引き出し可能に設けられる断熱扉と、前記貯蔵室の内部に配置され、前記断熱扉と共に引き出される収納容器と、前記断熱扉の後面に取りつけられ、前後方向に延在するレールと、前記内箱の側面に設けられ、前記レールを前後方向に沿って移動可能に支持するレール支持部と、前記内箱に設けられるストッパと、を具備し、前記レールは、前方部分であるレール前部と、後方部分であるレール後部と、前記レール前部と前記レール後部とを接続し前後方向に伸縮可能に構成されるスライド機構と、を有し、前記断熱扉が引き出されると、前記ストッパにより前記レール後部の前方への移動が制限され、前記スライド機構が前方に延伸することで、前記レール前部が前記断熱扉および前記収納容器と共に前方に移動することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記断熱扉が前端まで引き出された際に、前記収納容器の後端は、前記断熱箱体の前面よりも前方に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前記ストッパは、前記レール支持部に設けられ、前記レール後部が前記ストッパに当接することにより、前記レール後部の前方への移動が、予め定める位置で制限されることを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、スライド機構は、第1スライド部と、前記第1スライド部に対してスライド可能に接続された第2スライド部と、前記第2スライド部に対してスライド可能に接続された第3スライド部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スライド機構は、複数のスライド部と、前記スライド部どうしの間に配設された付勢部と、を有し、前記断熱扉が開状態から閉状態に遷移する際に、前記付勢部は、前記スライド部どうしを互いに引っ張る方向に付勢力を生じさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱との間に充填された断熱材と、を含んで構成される断熱箱体と、前記断熱箱体の内部に形成される貯蔵室と、前記貯蔵室の前方開口を閉鎖し、前後方向に引き出し可能に設けられる断熱扉と、前記貯蔵室の内部に配置され、前記断熱扉と共に引き出される収納容器と、前記断熱扉の後面に取りつけられ、前後方向に延在するレールと、前記内箱の側面に設けられ、前記レールを前後方向に沿って移動可能に支持するレール支持部と、前記内箱に設けられるストッパと、を具備し、前記レールは、前方部分であるレール前部と、後方部分であるレール後部と、前記レール前部と前記レール後部とを接続し前後方向に伸縮可能に構成されるスライド機構と、を有し、前記断熱扉が引き出されると、前記ストッパにより前記レール後部の前方への移動が制限され、前記スライド機構が前方に延伸することで、前記レール前部が前記断熱扉および前記収納容器と共に前方に移動することを特徴とする。従って、本発明の冷蔵庫によれば、簡素な構成で収納容器を十分に前方側に向けて引き出すことができる冷蔵庫を提供することができる。即ち、断熱扉が引き出された際に、ストッパによりレール後部の位置が固定され、スライド機構が延伸することでレール前部が断熱扉と共に前方に移動することで、断熱扉をより前方に向かって引き出すことができる。よって、収納容器に収納された食物等を容易に取り出すことができる。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記断熱扉が前端まで引き出された際に、前記収納容器の後端は、前記断熱箱体の前面よりも前方に配置されることを特徴とする。従って、本発明の冷蔵庫によれば、収納容器の後端が、断熱箱体の前面よりも前方まで引き出されることで、食物等を更に容易に取り出すことができる。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記ストッパは、前記レール支持部に設けられ、前記レール後部が前記ストッパに当接することにより、前記レール後部の前方への移動が、予め定める位置で制限されることを有することを特徴とする。従って、本発明の冷蔵庫によれば、ストッパが係合部に当接する簡易な機構で、レール後部の位置を固定することができる。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、スライド機構は、第1スライド部と、前記第1スライド部に対してスライド可能に接続された第2スライド部と、前記第2スライド部に対してスライド可能に接続された第3スライド部と、を有することを特徴とする。従って、本発明の冷蔵庫によれば、スライド機構が、第1スライド部、第2スライド部および第3スライド部から構成されることで、延伸時に於けるスライド機構を長く確保し、収縮時に於けるスライド機構を短くコンパクトにすることができる。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、前記スライド機構は、複数のスライド部と、前記スライド部どうしの間に配設された付勢部と、を有し、前記断熱扉が開状態から閉状態に遷移する際に、前記付勢部は、前記スライド部どうしを互いに引っ張る方向に付勢力を生じさせることを特徴とする。従って、本発明の冷蔵庫によれば、付勢部の付勢力を用いて、断熱扉の閉動作を補助または自動化することができ、断熱扉の閉動作におけるユーザの負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は断熱扉が引き出されていない状態を示す側方断面図であり、(B)は断熱扉が引き出されている状態を示す側方断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は断熱扉が引き出されていない状態を示す切開斜視図であり、(B)はこの状態の断熱扉およびレール等を抜き出して示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は断熱扉が引き出されている状態を示す切開斜視図であり、(B)はこの状態の断熱扉およびレール等を抜き出して示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のスライド機構を示す図であり、(A)は断熱扉の閉状態に於けるスライド機構の構成を示す側面図であり、(B)は断熱扉の開状態に於けるスライド機構の構成を示す側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のレール支持部を示す斜視図である。
図8】背景技術に係る冷蔵庫を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に、以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示している。また、本実施形態では、冷蔵庫10として冷凍室および冷蔵室を有するものを例示するが、冷蔵庫10としては、冷凍室のみを有するもの、または、冷蔵室のみを有するものも採用できる。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、前方左側から見た斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室とを有している。冷蔵庫10は、貯蔵室として、上方側から、冷蔵室12および冷凍室13を有している。冷蔵室12の前方開口は、上段部分が断熱扉18で閉鎖され、下段部分が断熱扉19で閉鎖されている。冷凍室13の前方開口は、上段部分が断熱扉20で閉鎖され、下段部分が断熱扉21で閉鎖されている。断熱扉18は回転式の扉であり、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21は引出式の扉である。
【0023】
図2は、冷蔵庫10を全体的に示す側方断面図である。断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱111と、外箱111の内側に配置された合成樹脂板から成る内箱112と、外箱111と内箱112との間に充填された断熱材113と、を含んで構成されている。また、冷蔵室12と冷凍室13とは、断熱仕切壁28で断熱区画されている。
【0024】
冷凍室13の後方には、冷却室115が形成されており、冷凍室13と冷却室115とは区画板17で区画されている。冷却室115の内部には、冷却器である蒸発器162が配設されている。また、冷蔵庫10の下端側後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機161が配置されている。蒸発器162および圧縮機161は、冷媒圧縮式の冷凍サイクル16を形成している。具体的には、冷凍サイクル16は、圧縮機161、図示しない凝縮器、図示しない膨張手段および蒸発器162を備えている。冷凍サイクル16を運転することで、蒸発器162により冷却室115の内部の空気を冷却し、この冷気を送風機24によって各貯蔵室に送風し、各貯蔵室の庫内温度を所定の冷却温度帯域とする。冷凍サイクル16を構成する各構成機器は、銅管などの金属管から成る冷媒配管により相互に接続されている。
【0025】
収納容器15は、冷凍室13の内部に配置され、食品等である被貯蔵物を収納するための容器である。収納容器15はレール22により支持されている。収納容器15およびレール22に関しては、図3を参照して後述する。
【0026】
冷却室115の内部において、蒸発器162の上方側には送風機24が配置されている。送風機24は、軸流送風機または遠心送風機であり、蒸発器162が冷却した冷却室115の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。
【0027】
冷却室115の内部であって、蒸発器162の下方には、除霜用加熱部117が配置される。除霜用加熱部117は、通電することで発熱する加熱ヒータである。
【0028】
冷却室115から上方に向かって送風路118が形成されている。送風路118には、冷気を冷蔵室12に吹き出すための開口が形成されている。冷蔵室12を冷却した冷気は、ここでは図示しない帰還風路を経由して冷却室115に帰還し、これにより冷蔵室12は所定の冷蔵温度帯域に冷却される。
【0029】
送風された冷気の一部は、区画板17の上部に形成された開口を介して冷凍室13に送風され、冷凍室13を冷却した冷気は、区画板17の下部に形成された開口から冷却室115に帰還する。これにより、冷凍室13は所定の冷凍温度帯域に冷却される。
【0030】
冷凍サイクル16による冷蔵室12および冷凍室13の冷却を継続すると、蒸発器162に多くの着霜が生じて蒸発器162の伝熱および気流を阻害するので、定期的に蒸発器162の除霜運転を行う。除霜運転では、冷凍サイクル16による冷蔵室12および冷凍室13の冷却を停止し、送風機24による送風を停止し、除霜用加熱部117により冷却室115の内部の空気を加熱することで、蒸発器162を除霜する。除霜運転が終了した後は、前記した冷蔵室12および冷凍室13の冷却動作を再開する。
【0031】
図3(A)は断熱扉20が引き出されていない状態を示す側方断面図であり、図3(B)は断熱扉20が引き出されている状態を示す側方断面図である。
【0032】
図3(A)を参照して、収納容器15は、冷凍室13の内部において断熱扉20の後方側に配置され、被貯蔵物を収納する容器である。収納容器15はレール22により、左右方向外側から支持されている。収納容器15は上方に向かって開口する容器である。
【0033】
レール22は、断熱扉20の後面に固定された略板状の部材であり、断熱扉20の左方端部および右方端部に夫々取付けられている。レール22は、所定形状に成形された金属板から成り、収納容器15を支持している。更に、レール22は、レール22の前方部分であるレール前部221と、レール22の後方部分であるレール後部222と、を有する。後述するように、レール前部221とレール後部222とは、スライド機構25を介して伸縮自在に接続されている。
【0034】
レール支持部30は、レール22を前後方向にスライド可能に支持している。また、レール支持部30は、内箱112の左方内面および右方内面に配設される。レール支持部30の具体的構成は、図7を参照して後述する。
【0035】
ストッパ27は、前述した内箱112の内部に形成される突起状部位であり、ここでは、レール支持部30を部分的に突起させることでストッパ27が形成されている。
【0036】
ローラ241およびローラ242は、レール22をスライドさせるためのものである。ローラ241は、断熱箱体11の前方側に回転可能に取りつけられている。具体的には、ローラ241は、レール支持部30の前端側に、回転自在に配置されている。ローラ241は、レール22に下方から当接している。ローラ242は後方側に配置され、レール後部222の後端下部に回転自在に取り付けられている。かかる構成により、レール22は、ローラ242およびローラ241で、前後方向に対して引き出し可能に支えられている。
【0037】
図3(B)を参照して、食品等の被貯蔵物の出し入れを行うため、ユーザが断熱扉20を前方に引き出すと、収納容器15およびレール22も、断熱扉20と共に前方に引き出される。本実施形態は、収納容器15は全体的に前方に引き出される。具体的には、収納容器15の後端は、点線で示す断熱箱体11の前面、または、断熱扉19および断熱扉21の前面よりも、前方側に配置される。このような状態はフルオープンとも称される。フルオープンにすることで、ユーザは、収納容器15に貯蔵された被貯蔵物を容易に目視確認でき、更に、収納容器15から容易に被貯蔵物を出し入れすることができる。
【0038】
この状態では、レール22のレール前部221とレール後部222とは左右方向に分離している。また、レール前部221とレール後部222とはスライド機構25により接続されている。更に、レール後部222の下端部は、ストッパ27に後方から当接している。係る構成により、断熱扉20の開状態に於けるレール22の長さは、断熱扉20の閉状態に於けるレール22よりも長くされている。具体的には、レール22の長さL11は、冷凍室13の前後方向に於ける長さL10よりも、長い。係る構成により、断熱扉20を前方に引き出した際に、長いレール22により断熱扉20および収納容器15を安定的に支持できる。係る構成については、図4以降の図を参照して後述する。
【0039】
図4(A)は断熱扉20が引き出されていない状態を示す切開斜視図であり、図4(B)はこの状態の断熱扉20およびレール22等を抜き出して示す斜視図である。
【0040】
図4(A)を参照して、冷凍室13の前面開口が断熱扉20により閉鎖された状態、即ち断熱扉20が前方に引き出されていない状態では、レール22は伸張されていない。
【0041】
図4(B)を参照して、断熱扉20の閉状態においては、レール前部221の後端部は、レール後部222の前端部に接近している。即ち、レール22の分離部223において、レール前部221とレール後部222とは離間していない。
【0042】
スライド機構25は、レール22の左右方向内側に配置されており、その前端部分はレール前部221に固定され、その後端部分はレール後部222に固定されている。このようにすることで、スライド機構25は、レール後部222とレール前部221とを、前後方向に伸縮可能に接続している。スライド機構25の具体的構成は、図6を参照して後述する。
【0043】
係合部26は、レール後部222の下端を略矩形状に下方に向かって突出させることで形成された部位である。係合部26は、断熱扉20を開状態とする際に、図4(A)に示すストッパ27に後方から当接する。
【0044】
ローラ242は、レール後部222の左右方向外側面の下端部に、回転可能に取りつけられている。ローラ242は、断熱扉20の開閉動作が行われる際に、前述したレール支持部30のレール溝23の内部を回転しつつ移動する。
【0045】
図5(A)は断熱扉20が引き出されている状態を示す切開斜視図であり、図5(B)はこの状態の断熱扉20およびレール22等を抜き出して示す斜視図である。
【0046】
図5(A)を参照して、ユーザが断熱扉20を前方に引き出すと、レール後部222は、予め定める位置であるレール支持部30の中間部まで移動した後に、レール後部222から下方に突出する係合部26の前端が、ストッパ27の後端に当接する。これによりレール後部222の前方への移動が制限され、それ以上前方に移動することはできない。この状態で、ユーザが、更に断熱扉20を前方に引き出すと、スライド機構25が前方に向かって延伸し、レール前部221および断熱扉20が前方に移動する。また、ここでは図示しない収納容器15も、断熱扉20およびレール前部221と共に、前方に引き出される。この際、レール前部221は、ローラ241により支持されている。
【0047】
図5(B)を参照して、レール前部221とレール後部222とは、分離部223を境界として、前後方向に分離している。そして、レール前部221とレール後部222とはスライド機構25を介して接続されている。上記したように、断熱扉20を引き出した際に、スライド機構25が延伸することで、レール前部221がレール後部222から分離して前方に移動することができ、断熱扉20および収納容器15を充分に前方側に引き出すことができる。
【0048】
その後、冷凍室13を閉鎖するべく、ユーザが断熱扉20を後方に向かって押し込むと、スライド機構25が元の状態に短くなり、レール前部221の後端と、レール前部221の前端が接触するか極めて接近する。これにより、断熱扉20およびレール22は、図4に示した閉状態となる。
【0049】
図6(A)は断熱扉20の閉状態に於けるスライド機構25の構成を示す側面図であり、図6(B)は断熱扉20の開状態に於けるスライド機構25の構成を示す側面図である。
【0050】
図6(A)を参照して、スライド機構25は、第1スライド部251と、第2スライド部252と、第3スライド部253と、を有し、前後方向に沿って伸縮可能に構成されている。即ち、第1スライド部251と第2スライド部252とはスライド可能に接続されており、第2スライド部252と第3スライド部253とはスライド可能に接続されている。また、図5(B)に示したように、第1スライド部251はレール後部222に固定され、第3スライド部253はレール前部221に固定される。
【0051】
前述した断熱扉20の閉状態では、スライド機構25では、第1スライド部251の内部に第2スライド部252がスライド可能に収納され、第2スライド部252の内部に第3スライド部253がスライド可能に収納されている。即ち、第1スライド部251、第2スライド部252および第3スライド部253は入れ子状態となっている。これにより、前後方向における、スライド機構25全体としての長さは短くされ、図4(A)に示したように、スライド機構25を冷凍室13の内部にコンパクトに収納できる。
【0052】
図6(B)を参照して、断熱扉20の開状態では、第3スライド部253は第2スライド部252から前方に引き出され、第2スライド部252は第1スライド部251から前方に引き出されている。このようにすることで、スライド機構25全体としての長さは、長く確保されている。よって、図3(B)を参照して、収納容器15をフルオープン状態にすることができる。
【0053】
図7は、冷蔵庫10のレール支持部30を示す斜視図である。レール支持部30の側面を左右方向外側、ここでは右方側に向かって連続的に窪ませることで、前後方向に沿って伸びる溝状のレール溝23が形成されている。レール溝23は、前述したレール22のローラ242を前後方向に沿ってスライドさせる部位である。
【0054】
ストッパ27は、レール支持部30の前後方向中間部分の下方部分を、左右方向内側、ここでは左方側に向かって略矩形状に突出させた部位である。また、レール支持部30の前端には、ローラ241を回転可能に取りつけるための孔部であるローラ取付部29が形成されている。
【0055】
レール支持部30は、図2に示した冷凍室13を構成する内箱112の左右両側辺に固定される。レール支持部30を内箱112の側辺に固定する構造としては、嵌め込み、接着、ネジ止め等を採用することができる。
【0056】
本実施形態によれば、以下に記載する主要な効果を奏することができる。
【0057】
図3(B)を参照して、冷蔵庫10では、簡素な構成で収納容器15を十分に前方側に向けて引き出すことができる。具体的には、断熱扉20が引き出された際に、ストッパ27によりレール後部222の位置が固定され、スライド機構25が延伸することでレール前部221が断熱扉20と共に前方に移動することで、断熱扉20をより前方に向かって引き出すことができる。よって、収納容器15に収納された食物等を容易に取り出すことができる。
【0058】
更に、収納容器15の後端が、断熱箱体11の前面よりも前方まで引き出されることで、食物等を更に容易に取り出すことができる。
【0059】
更に、ストッパ27が係合部26に当接する簡易な機構で、レール後部222の位置を固定することができる。
【0060】
図6(A)および図6(B)を参照して、スライド機構25が、第1スライド部251、第2スライド部252および第3スライド部253から構成されることで、延伸時に於けるスライド機構25を長く確保し、収縮時に於けるスライド機構25を短くコンパクトにすることができる。
【0061】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、前記した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0062】
例えば、図6(A)を参照して、スライド機構25に、図示しないコイルバネなどの付勢部を備えることができる。具体的には、第1スライド部251と第2スライド部252との間に、付勢部を備えることができる。更には、第2スライド部252と第3スライド部253との間に、付勢部を備えることができる。これらの付勢部は、図4および図5を参照して、断熱扉20が開状態から閉状態に遷移する閉動作を、補助または自動化する自閉機構として機能する。即ち、断熱扉20が閉動作する際に、スライド機構25は、図6(B)に示す延伸状態から、図6(A)に示す収縮状態に遷移する。その際に、第1スライド部251と第2スライド部252との間に配置された付勢部が、第1スライド部251と第2スライド部252とを引っ張る方向に付勢力を生じさせる。更に、第2スライド部252と第3スライド部253との間に配置された付勢部が、第2スライド部252と第3スライド部253とを引っ張る方向に付勢力を生じさせる。このようにすることで、付勢部により、断熱扉20の閉動作の補助または自動化を行い、閉動作におけるユーザの負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0063】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
111 外箱
112 内箱
113 断熱材
115 冷却室
117 除霜用加熱部
118 送風路
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
15 収納容器
16 冷凍サイクル
161 圧縮機
162 蒸発器
17 区画板
18 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
22 レール
221 レール前部
222 レール後部
223 分離部
23 レール溝
24 送風機
241 ローラ
242 ローラ
25 スライド機構
251 第1スライド部
252 第2スライド部
253 第3スライド部
26 係合部
27 ストッパ
28 断熱仕切壁
29 ローラ取付部
30 レール支持部
1100 冷蔵庫
1101 断熱箱体
1102 断熱扉
1103 断熱扉
1104 断熱扉
1105 冷蔵室
1106 冷凍室
1107 野菜室
1108 レール
1109 レール溝
1110 収納容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8