(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088937
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】パレット抜取方法、パレット抜取装置、及びパレット交換装置
(51)【国際特許分類】
B65G 59/06 20060101AFI20220608BHJP
B65G 60/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
B65G59/06 101Z
B65G60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201080
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】390032274
【氏名又は名称】オムニヨシダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 猛
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA04
3F030AB04
3F030CA01
3F030CB02
3F030CC02
(57)【要約】
【課題】荷の下面が損傷されるおそれがないパレット抜取方法を提供する。
【解決手段】荷Cが積まれたパレットAからパレットAのみを抜き取る方法であって、荷Cが積まれたパレットAを移動テーブル20上に載せ荷規制板5,6を荷Cの両側に位置させるステップ、パレットAの上面が第2の荷規制板6の側が低くなるように移動テーブル20上のパレットAを傾けるステップ、移動テーブル20を第1の荷規制板5の下方を通過させてパレットAを抜き取り第1の荷規制板5に突き当たって置き去りにされた荷Cを荷受け板30で受け取るステップ、荷受け板30を第2の荷規制板6の下方を通過させて抜き取り第2の荷規制板6に突き当たって置き去りにされた荷Cを降ろすステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って前記荷を所定の面上に降ろすパレット抜取方法であって、
前記荷が積まれたパレットを移動テーブル上に載せ、荷の通過を規制するための第1、第2の荷規制板を前記荷の両側に位置させるステップと、
前記パレットの上面が第2の荷規制板の側が低くなるように移動テーブルを傾けるステップと、
前記移動テーブルを傾けた状態で第1の荷規制板の下方を通過させることにより前記パレットを抜き取り、前記第1の荷規制板に突き当たって置き去りにされた荷を前記移動テーブルに追随させた荷受け板で受け取るステップと、
前記荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させることにより抜き取り、第2の荷規制板に突き当たって置き去りにされた荷を所定の面上に降ろすステップと、を含むパレット抜取方法。
【請求項2】
前記荷は、荷造りされた複数個の段ボール箱を各段につき複数列、複数行に整列させて段積みしたものであり、各段ボール箱は、四方からフラップを折り込んで底が形成されている請求項1に記載のパレット抜取方法。
【請求項3】
前記荷は、前記パレットと交換される他のパレットの上面に降ろされる請求項1に記載のパレット抜取方法。
【請求項4】
荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って前記荷を所定の面上に降ろすためのパレット抜取装置であって、
前記荷が積まれたパレットが載せられる移動テーブルと、
前記移動テーブルより荷を受け取るための荷受け板と、
前記荷の通過を規制することが可能な高さを有し荷の両側に配置される第1,第2の荷規制板と、
前記移動テーブルを前記第1の荷規制板の下方を通過させて第1の荷規制板の外側へ移行させることにより前記パレット上の荷を第1の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる移動テーブルの駆動機構と、
前記移動テーブルが置き去りにした荷を受け取るために前記荷受け板を前記移動テーブルに追随させて第2の荷規制板の外側から内側へ移行させた後、荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させて第2の荷規制板の外側へ移行させることにより前記移動テーブルより受け取った荷受け板上の荷を第2の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる荷受け板の駆動機構とを備え、
前記移動テーブルは、ベース部と、前記ベース部上に傾動可能に支持され上面に荷が積まれたパレットが載せられる荷台部と、前記第2の荷規制板の側が低くなるように前記荷台部を傾ける傾動機構とを有するパレット抜取装置。
【請求項5】
前記第1,第2の荷規制板は、少なくとも一方が他方に対して接近、離間が可能である請求項4に記載のパレット抜取装置。
【請求項6】
前記傾動機構は、前記移動テーブルの荷台部を揺動可能に支持する支持機構と、前記支持機構により支えられる部分を支点として荷台部の一側端を上下方向へ変位させて前記荷台部を傾ける変位機構とを含む請求項4に記載のパレット抜取装置。
【請求項7】
前記変位機構は、前記荷台部の両側端部の前後各位置にそれぞれ配置される偏心カムと、前記荷台部の一側端部の各偏心カムと他側端部の各偏心カムとを個別に回動させる回動機構とで構成される請求項6に記載のパレット抜取装置。
【請求項8】
荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って他のパレットに交換するためのパレット交換装置であって、
交換すべき他のパレットが載せられる第1移動テーブルと、
前記荷が積まれたパレットが載せられる第2移動テーブルと、
前記第2移動テーブルより荷を受け取るための荷受け板と、
前記荷の通過を規制することが可能な高さを有し荷の両側に配置される第1、第2の荷規制板と、
前記第2移動テーブルを前記第1の荷規制板の下方を通過させて第1の荷規制板の外側へ移行させることにより前記パレット上の荷を第1の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる第2移動テーブルの駆動機構と、
前記第2移動テーブルが置き去りにした荷を受け取るために前記荷受け板を前記第2移動テーブルに追随させて第2の荷規制板の外側より内側へ移行させた後、前記荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させて第2の荷規制板の外側へ移行させることにより前記第2移動テーブルより受け取った荷受け板上の荷を第2の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる荷受け板の駆動機構と、
前記荷受け板が置き去りにした荷を受け取るために前記第1移動テーブルを第1、第2の荷規制板の内側の荷受け板の直下位置へ移行させる第1移動テーブルの駆動機構とを備え、
前記第2移動テーブルは、ベース部と、前記ベース部上に傾動可能に支持され上面に荷が積まれたパレットが載せられる荷台部と、前記第2の荷規制板の側が低くなるように前記荷台部を傾ける傾動機構とを有するパレット抜取装置。
【請求項9】
前記第2移動テーブルよりパレットを回収するパレット回収機構と、前記第1移動テーブル上へ交換すべき他のパレットを供給するパレット供給機構とをさらに備える請求項8に記載のパレット交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って荷を所定の面上に降ろすパレット抜取方法と、その方法を実施するのに用いられるパレット抜取装置と、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って他のパレットに交換するのに用いられるパレット交換装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫において、通常、荷が積まれたパレットはフォークリフトによって運ばれ、トラックの荷台やコンテナなどに積載されたり、倉庫に保管されたりする。事業者は独自のパレットを保有しており、パレットに荷が積まれた状態で他の事業者へ引き渡されると、その事業者は自己のパレットに荷を積み替えて元の事業者へパレットを返還する。
【0003】
また、パレットには木製、合成樹脂製など、種々の材質、形態のものがあり、例えば、荷を保管するに際して、木製パレットから合成樹脂製パレットへの荷の積み替えが行われることもある。
【0004】
出願人は先般、パレットの交換作業を人力によらず、機械的に行うことができるパレット抜取装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図18は、このパレット抜取装置によるパレットの交換作業を示している。
まず、パレット交換作業が行われる領域(以下「作業部」という。)P1に定位している移動テーブル301上に、フォークリフトにより荷Cが積まれたパレットAが導入される。同図に示す荷Cは、複数個の段ボール箱300を複数行、複数列に並べて段積みされたものである。
【0006】
次に、パレットAの抜き取り作業に入り、移動テーブル301を作業部P1からパレットの回収作業が行われる領域(以下「パレット回収部」という。)P2へ移行させる。この移行時、荷Cは第1の荷規制板302に突き当たって作業領域P1に置き去りにされ、これによりパレットAのみが抜き取られる。移動テーブル301の移行に追随して荷受け板303を待機位置Qから作業部P1へ移行させることで、置き去りにされた荷Cが荷受け板303上に受け取られる。
【0007】
次に、荷受け板303の抜き取り作業に移行し、荷受け板303を作業部P1から待機位置Qへ戻す。このとき、荷Cが第2の荷規制板304に突き当たって作業部P1に置き去りにされ、これにより荷受け板303が抜き取られる。置き去りにされる荷Cの直下に、フォークリフトに支持された他のパレット(図示せず)を定位させておき、荷Cはそのパレット上に降ろされて支持されることで、パレットの交換作業が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のパレット抜取過程において、段ボール箱300は、
図19に示すように、底がフラップ306を四方から折り込んで形成されているため、移動テーブル301が
図18の一点鎖線で示すように移行するとき、特に、表面が滑り止め構造になっているパレットAの場合、パレットAの表面が段ボール箱300の底面を擦って汚す上に、フラップ306の突き合わせ部分307を引っ掛けるために、フラップ306がめくり上がり、段ボール箱300の底面が損傷されるおそれがある。
【0010】
また、荷Cが布地のような柔軟な材質のものである場合も同様であり、移動テーブル301の移行時に、パレットAの表面により荷Cの底面が擦られることで、荷Cの底面が損傷されたり汚されたりするおそれがある。
【0011】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、荷の底面が損傷されたり汚されたりするおそれがないパレット抜取方法、パレット抜取装置、及びパレット交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によるパレット抜取方法は、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って荷を所定の面上に降ろす方法であって、荷が積まれたパレットを移動テーブル上に載せ、荷の通過を規制するための第1、第2の荷規制板を荷の両側に位置させるステップと、パレットの上面が第2の荷規制板の側が低くなるように移動テーブルを傾けるステップと、移動テーブルを傾けた状態で第1の荷規制板の下方を通過させることによりパレットを抜き取り、第1の荷規制板に突き当たって置き去りにされた荷を移動テーブルに追随させた荷受け板で受け取るステップと、荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させることにより抜き取り、第2の荷規制板に突き当たって置き去りにされた荷を所定の面上に降ろすステップと、を含む。
【0013】
この発明によると、パレットを抜き取る際に移動テーブル上のパレットを傾けると、荷は第1、第2の荷規制板に沿って下方へ変位するが、降下した位置ではパレットの上面と荷の底面とは面接触せず一側端のみが接触した状態となる。この状態で移動テーブルを移行させるとき、パレットの上面が荷の底面を擦ることがなく、荷の底面が損傷されたり汚されたりすることがない。
【0014】
一実施態様においては、荷は、荷造りされた複数個の段ボール箱を各段につき複数列、複数行に整列させて段積みしたものであり、各段ボール箱は、四方からフラップを折り込んで底が形成されている。
【0015】
この実施態様によると、パレットの上面によって段ボール箱の底面が擦られてフラップが突き合わせ部分においてめくり上げられるおそれがなく、段ボール箱の底部の損傷が防止される。
【0016】
好ましい一実施態様においては、荷はパレットと交換される他のパレットの上面に降ろされるものであるが、この発明はこれに限定されず、パレット以外の面上に荷を降ろすことも含む。
【0017】
この発明によるパレット抜取装置は、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って荷を所定の面上に降ろすためのものであって、荷が積まれたパレットが載せられる移動テーブルと、移動テーブルより荷を受け取るための荷受け板と、荷の通過を規制することが可能な高さを有し荷の両側に配置される第1、第2の荷規制板と、移動テーブルを第1の荷規制板の下方を通過させて第1の荷規制板の外側へ移行させることによりパレット上の荷を第1の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる移動テーブルの駆動機構と、移動テーブルが置き去りにした荷を受け取るために荷受け板を移動テーブルに追随させて第2の荷規制板の外側から内側へ移行させた後、荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させて第2の荷規制板の外側へ移行させることにより移動テーブルより受け取った荷受け板上の荷を第2の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる荷受け板の駆動機構とを備える。移動テーブルは、ベース部と、ベース部上に傾動可能に支持され上面に荷が積まれたパレットが載せられる荷台部と、第2の荷規制板の側が低くなるように荷台部を傾ける傾動機構とを有する。
【0018】
この発明によるパレット抜取装置において、移動テーブルの荷台部上に荷が積まれたパレットが載せられると、移動テーブルの駆動機構は移動テーブルを第1の荷規制板の下方を通過させて第1の荷規制板の外側へ移行させる。これにより、パレットが抜き取られ、パレット上の荷は第1の荷規制板に突き当たって置き去りにされる。
移動テーブルの移行時、移動テーブルの傾動機構は、第2の荷規制板の側が低くなるように荷台部を傾ける。この荷台部の傾動によってパレットの上面から離れた荷が第1、第2の荷規制板に沿ってずり落ちる。ずり落ちた位置では、パレットの上面と荷の底面とは面接触せず、一側端のみが接触する状態となる。この状態で移動テーブルを移行させるとき、パレットの上面が荷の底面を擦ることはなく、荷の底面を損傷したり汚したりすることがない。
移動テーブルの移行時、荷受け板の駆動機構は、移動テーブルに追随して荷受け板を移行させるもので、第1の荷規制板に突き当たって置き去りにされた移動テーブル上の荷は、荷受け板上に乗り移って受け取られる。
次いで、荷受け板の駆動機構が荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させて第2の荷規制板の外側へ移行させる。これにより荷受け板が抜き取られ、荷受け板上の荷は第2の荷規制板に突き当たって置き去りにされ、所定の面上に降ろされる。
【0019】
好ましい実施態様においては、第1、第2の荷規制板は、少なくとも一方が他方に対して接近、離間が可能である。
【0020】
この実施態様によると、移動テーブル上に荷が積まれたパレットが載せられるとき、第1、第2の各荷規制板は離間した位置にある。移動テーブル上に荷が積まれたパレットが載せられると、少なくとも一方の荷規制板が他方の荷規制板に接近して、荷を挟んだ状態となる。
【0021】
好ましい実施態様においては、傾動機構は、移動テーブルの荷台部を揺動可能に支持する支持機構と、支持機構により支えられる部分を支点として荷台部の一側端を上下方向へ変位させて荷台部を傾ける変位機構とを含む。
【0022】
この実施態様によると、変位機構を駆動して荷台部の一側端を例えば下方へ変位させると、荷台部は支持機構により支えられる部分を支点として傾動して傾き、荷台部上に載せられたパレットは荷台部の一側端の側が低い傾斜状態となる。
【0023】
変位機構は、種々の態様のものが考えられるが、ひとつの実施態様は、荷台部の両側端部の前後各位置にそれぞれ配置される偏心カムと、荷台部の一側端部の各偏心カムと他側端部の各偏心カムとを個別に回動させる回動機構とで構成される。
【0024】
この発明によるパレット交換装置は、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って他のパレットに交換するためのものであって、交換すべき他のパレットが載せられる第1移動テーブルと、荷が積まれたパレットが載せられる第2移動テーブルと、第2移動テーブルより荷を受け取るための荷受け板と、荷の通過を規制することが可能な高さを有し荷の両側に配置される第1、第2の荷規制板と、第2移動テーブルを第1の荷規制板の下方を通過させて第1の荷規制板の外側へ移行させることによりパレット上の荷を第1の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる第2移動テーブルの駆動機構と、第2移動テーブルが置き去りにした荷を受け取るために荷受け板を第2移動テーブルに追随させて第2の荷規制板の外側より内側へ移行させた後、荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させて第2の荷規制板の外側へ移行させることにより第2移動テーブルより受け取った荷受け板上の荷を第2の荷規制板に突き当てて置き去りにさせる荷受け板の駆動機構と、荷受け板が置き去りにした荷を受け取るために第1移動テーブルを第1、第2の荷規制板の内側の荷受け板の直下位置へ移行させる第1移動テーブルの駆動機構とを備える。第2移動テーブルは、ベース部と、ベース部上に傾動可能に支持され上面に荷が積まれたパレットが載せられる荷台部と、第2の荷規制板の側が低くなるように荷台部を傾ける傾動機構とを有する。
【0025】
この発明によるパレット交換装置において、第2移動テーブルの荷台部上に荷が積まれたパレットが載せられると、第2移動テーブルの駆動機構は第2移動テーブルを第1の荷規制板の下方を通過させて第1の荷規制板の外側へ移行させる。これにより、パレットが抜き取られ、パレット上の荷は第1の荷規制板に突き当たって置き去りにされる。
第2移動テーブルの移行時、第2移動テーブルの傾動機構は、第2の荷規制板の側が低くなるように荷台部を傾ける。この荷台部の傾動によってパレットの上面から離れた荷が荷規制板に沿ってずり落ちる。ずり落ちた位置では、パレットの上面と荷の底面とは面接触せず、一側端のみが接触する状態となる。この状態で第2移動テーブルを移行させるとき、パレットの上面が荷の底面を擦ることがなく、荷の底面を損傷したり汚したりすることがない。
第2移動テーブルの移行時、荷受け板の駆動機構は、第2移動テーブルに追随して荷受け板を移行させるもので、第1の荷規制板に突き当たって置き去りにされた第2移動テーブル上の荷は、荷受け板上に乗り移って受け取られる。
次いで、荷受け板の駆動機構が荷受け板を第2の荷規制板の下方を通過させて第2の荷規制板の外側へ移行させる。これにより荷受け板が抜き取られ、荷受け板上の荷は第2の荷規制板に突き当たって置き去りにされる。この置き去りにされた荷は、第1移動テーブルの駆動機構が荷受け板の直下に移行させた第1移動テーブル上の他のパレット上に降ろされ、これによりパレットの交換が終了する。
【0026】
この発明の好ましい実施態様においては、第2移動テーブルよりパレットを回収するパレット回収機構と、第1移動テーブル上へ交換すべき他のパレットを供給するパレット供給機構とをさらに備える。
【0027】
この実施態様によると、抜き取られたパレットは第2移動テーブルによりパレット回収機構へ運ばれて第2移動テーブルより回収される。一方、交換すべきパレットはパレット供給機構により第1移動テーブル上に供給され、そのパレット上に荷が降ろされる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、パレットの抜取作業により荷の下面が損傷されたり汚されたりするおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】この発明に係るパレット抜取方法を示す説明図である。
【
図2】第2移動テーブルの主要構成の動作を示す説明図であり
【
図3】この発明の一実施例であるパレット交換装置の正面図である。
【
図5】
図3のパレット交換装置をパレット回収部の側より見た側面図である。
【
図6】
図3のパレット交換装置をパレット供給部の側より見た側面図である。
【
図7】第2移動テーブルの構成を示す正面図である。
【
図8】第2移動テーブルの構成を示す平面図である。
【
図9】変位機構の構成及びその動作を示す側面図である。
【
図11】パレット供給機構の構成と動作とを示す断面図である。
【
図12】パレット回収機構の構成と動作とを示す断面図である。
【
図13】パレット交換作業の手順を示す正面図である。
【
図14】
図13のパレット交換作業の手順の続きを示す正面図である。
【
図15】
図14のパレット交換作業の手順の続きを示す正面図である。
【
図16】
図15のパレット交換作業の手順の続きを示す正面図である。
【
図17】パレット抜取動作の詳細を拡大して示す説明図である。
【
図18】従来のパレット抜取方法を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(1)パレット抜取方法の実施によるパレット交換手順
図1は、この発明のパレット抜取方法を実施してパレットを交換する手順を示している。なお、同図において、パレットA上に積まれた荷Cは、荷造りされた複数個(図示例では9個)の段ボール箱300を各段につき3列、3行に整列させて複数段(図示例では3段)に段積みしたものである。なお、図示例では、荷Cとして荷造りされ段積みされた複数個の段ボール箱300を示しているが、この発明が適用される荷Cは、これに限定されるものではなく、例えば、単一の物品などであってもよい。
【0031】
同図の(A)~(F)は、荷Cが積まれたパレットAからパレットAのみを抜き取って、荷Cを他のパレットB上に降ろす手順を模式的に示している。各段ボール箱300は、
図19に示された直方体形状のものであり、内部に商品などの物品が収納されて密閉されている。パレットAは、平面形状が略正方形状の木製パレットであり、フォークリフトの2本のアームを挿入することが可能な前後に貫通する空間部a1,a2を備える。
【0032】
図1(A)は、荷Cが積まれたパレットAがフォークリフト(図示せず)によって第2移動テーブル20上に載せられた直後の状態を示す。なお、第2移動テーブル20上へのパレットAの導入は、後述する実施例のように、コンベヤによっても実施可能である。
第2移動テーブル20と、後述する第1移動テーブル40及び荷受け板30は、所定の機台上の決められた範囲を往復移動するもので、移動のための車輪(図示せず)を備え、図示しない個別の駆動機構によって駆動される。
なお、以下の説明では、
図1(A)において、矢印Xで示す方向を左右方向(両側方向)、矢印Zで示す方向を上下方向、XYの各方向と直交する方向を前後方向といい、以下、
図2、
図3などにおいても同様である。
【0033】
荷Cの両側には、第1、第2の荷規制板5,6が位置している。各荷規制板5,6は、金属製又は合成樹脂製の平板材を用いて形成されており、内面の対向する垂直な面が荷Cを支持する面となっている。なお、以下の説明において、第1、第2の荷規制板5,6で挟まれる側の空間を「内側」といい、各荷規制板5,6に対して反対側の空間を「外側」という。
【0034】
両荷規制板5,6の下方は、第1,第2の各移動テーブル40,20及び荷受け板30が通過し得る経路となっており、荷Cが積まれたパレットAを載置しているとき、パレットAの通過は許容されるが、荷Cの通過は規制されるように、各荷規制板5,6の高さが設定されている。なお、図示の第1,第2の各荷規制板5,6は、荷Cの前後方向の幅及び高さに応じた幅及び高さを有するが、高さは荷Cの高さ以下であってもよい。
【0035】
左側に位置する第2の荷規制板6は、右側に位置する第1の荷規制板5に対して接近、離間が可能に設けられ、第1の荷規制板5は定位置に固定されている。なお、第1、第2の各荷規制板5,6は、双方が接近、離間が可能な構成であってもよい。
【0036】
荷Cが積まれたパレットAが第2移動テーブル20上に載置されると、
図1(B)に示すように、荷Cに第1の荷規制板5の内面が当たるように第2移動テーブル20をわずかに移動させる。次に、荷Cに第2の荷規制板6の内面が当たるように第2の荷規制板6を荷Cの方向へ移動させる。これにより、荷Cは第1、第2の荷規制板5,6により挟まれた状態になるが、荷Cは、第1、第2の荷規制板5,6の内面に沿って下方へ移動し得る程度に軽く挟持されている。
【0037】
第2移動テーブル20は、
図2において構成と動作を詳述するが、ベース部20a上に荷台部20bが傾動可能に支持された構造のものであり、次に、
図1(C)に示すように、荷台部20bの左端側を下方へ変位させることで、荷台部20bを若干傾ける。これにより、第2移動テーブル20上のパレットAも傾き、パレットAの上面は第2の荷規制板6の側が低い左下がりの状態になる。
【0038】
パレットAの上面が傾くことにより、荷Cの下面とパレットAの上面との間に隙間Sが生じる。この隙間Sは、第2の荷規制板6の側が大きい。各列の荷C1~C3は、図中、点線の矢印で示すように、第1、第2の荷規制板5,6をガイドとして隙間Sの大きさに応じた量だけ下方へずり落ちる。ずり落ちた最下段の各荷Cは、パレットAの上面が傾いているので、パレットAの上面と右側端において接触するだけで、荷Cの下面とパレットAの上面とは面接触しない。
【0039】
第2の荷規制板6の外側には、水平な荷受け板30が図中、右方向へ移動可能に待機している。次に、
図1(D)に示すように、第2移動テーブル20が第1の荷規制板5の側へ移行し、第2移動テーブル20に接近した状態で荷受け板30が第2移動テーブル20に追随する。荷受け板30の上面の高さhはパレットAの傾斜下端(左端)の上面の高さに一致している。
【0040】
第2移動テーブル20の移行によって第2移動テーブル20及び第2移動テーブル20上のパレットAは、第1の荷規制板5の下方を通過し、第1の荷規制板5の外側へ移行するが、パレットA上の荷Cは、第1の荷規制板5に突き当たって置き去りにされる。これにより、
図1(E)に示すように、パレットAのみが抜き取られ、置き去りにされた荷Cは、第2移動テーブル20に追随する荷受け板30上に乗り移って受け取られる。
【0041】
第2移動テーブル20の移行時、パレットAの上面と各列の最下段の荷C1~C3の下面とは、
図1(D)に示されるように、右側端において接触するのみで面接触しないから、パレットAの上面によって荷Cの下面が擦られることがない。また、荷受け板30の上面の高さhはパレットAの傾斜下端の上面の高さと一致させているので、荷受け板30の上面は各列の最下段の荷C1~C3の下面から離れており、荷Cを擦ることがない。パレットA上の荷Cは、第2移動テーブル20が移行するにつれて、徐々にずり落ち、荷受け板30上に降ろされる。
【0042】
次に、
図1(F)に示すように、荷Cを支持した荷受け板30は、第2の荷規制板6の下方を通過させ、第2の荷規制板6の外側へ移行させる。これにより、荷受け板30が抜き取られ、一方、荷受け板30上の荷Cは第2の荷規制板6に突き当たって置き去りにされる。荷受け板30の直下位置に、交換すべきパレットBが載せられた第1移動テーブル40が待機しており、置き去りにされた荷CはパレットB上に降ろされる。これによりパレットAの抜取りとパレットBへの交換とが終了する。
【0043】
(2)第2移動テーブル20の概略構成と傾動動作
図2(A)~(C)は、第2移動テーブル20の概略構成と
図1(C)における傾動動作とを示している。
第2移動テーブル20は、上下2段の構造になっており、下段のベース部20aと、ベース20a上に傾動可能に支持される荷台部20bとを有する。荷台部20bの上面にはローラコンベヤ21が設けられ、ローラコンベヤ21上に荷が積まれたパレットAが支持される。
【0044】
第2移動テーブル20には、荷台部20bを傾ける傾動機構27が設けられている。傾動機構27は、荷台部20bの中央部を昇降可能かつ揺動可能に支持する支持機構28と、支持機構28により支えられる部分を支点として荷台部20bの左右の側端部を上下方向に変位させて荷台部20bを傾ける変位機構29とを含む。
【0045】
図示の変位機構29は、荷台部20bの両側端部の前後各位置にそれぞれ配置される合計4個の偏心カム290,291と、一側端部の前後の各偏心カム290と他側端部の前後の各偏心カム291とを個別に回動させる回動機構(図示せず)とを含む。なお、変位機構29は、偏心カム290,291を用いたものに限定されず、例えば、シリンダ機構を用いて構成することもできる。
【0046】
支持機構28は、荷台部20bの中央部の前後各位置に設けられた支え軸283上に軸受を介して支持された自在ローラ280と、ベース部20bの前後各位置に取り付けられ各自在ローラ280を両側から挟んで自在ローラ280の外周面と係合する一対のガイドレール281,281とを含む。各自在ローラ280の外周面は、各ガイドレール281,281と係合しており、これにより荷台部20bは、前後方向の振れが阻止されつつ各ガイドレール281,281に沿って上下方向に摺動自由かつ傾動可能となる。
【0047】
各偏心カム290,291は、ベース部20aの前後各位置に回動自由に支持された支持ローラ296上に回動自由に支持されている。偏心カム290,291が、ともに
図2(A)に示す回転角度位置にあるとき、荷台部20bはベース部20aに対して最も低い位置(以下「下死点位置」という。)にあり、
図2(B)に示す回転角度位置にあるとき、荷台部20bはベース部20aに対して最も高い位置(以下「上死点位置」という。)にある。各偏心カム290,291が、
図2(C)に示す異なる回転角度位置にあるとき、荷台部20bは一側端が他側端に対して低く傾いた状態、すなわち、同図では左下がりの状態となる。
【0048】
(3)パレット交換装置200の全体構成
図3~
図6は、この発明の一実施例であるパレット交換装置200の構成を示している。
パレット交換装置200は、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取って他のパレットに交換するためのもので、パレット交換装置200には、荷が積まれたパレットからパレットのみを抜き取るためのパレット抜取装置の構成が含まれる。
【0049】
なお、
図3はパレット交換装置200を正面から見たときの外観を、
図4は上方から見たときの外観を、
図5は後述するパレット回収部P2の側から見たときの外観を、
図6は後述するパレット供給部P3の側から見たときの外観を、それぞれ示している。
また、
図3~
図6は、説明の都合上、後述する第1、第2の各移動テーブル40,20及び荷受け板30を別々の位置に位置させた状態を示している。この状態は、荷が積まれたパレットの導入に待機している状態を示すものではない。なお、
図3は、後述する搬出コンベア110及び保持爪71,81が取り付けられる側壁17の図示を省略している。
【0050】
パレット交換装置200は、例えば、工場、倉庫、配送センターなどに設置される。荷が積まれたパレットから抜き取られたパレットは、それが他社のものであれば、回収されて所有者へ返却される。
なお、パレット交換装置200は、他社のパレットと自社のパレットとの交換のみならず、種類の異なるパレットの交換、新旧パレットの交換など、あらゆるパレットの交換作業に用いることができる。
また、ここでいう「パレット」は、荷を載せて運搬や保管などを行うのに用いられる板状のものを広く指し、形状や材質は問わない。この実施例では、一般に広く用いられているパレット、すなわち、上下に対向する上板と下板との間にフォークリフトのフォークを差し込むことが可能な前後に貫通する空間部が設けられたものを用いている。
【0051】
図示例のパレット交換装置200は、複数のフレームなどで構成された機台1に、パレット交換機構、パレット回収機構7、パレット供給機構8などが組み込まれたものである。パレット交換機構は、第2テーブル移動機構2、荷受け機構3、第1テーブル移動機構4、第1、第2の荷規制板5,6などの構成を含んでいる。
【0052】
機台1の中央部分は、パレットの交換作業が行われる作業部P1である。作業部P1には、
図4に示すように、荷が積まれた他社のパレット(以下「第2のパレット」という。)Aを搬入するための搬入コンベア100と、パレットの交換作業が完了し荷が積まれた自社のパレット(以下「第1のパレット」という。)Bを搬出するための搬出コンベア110とが連ねられている。
【0053】
搬入コンベア100は、サイドフレーム101,101間に複数のローラ102を、荷が積まれた第2のパレットAの搬送方向(
図4では上から下に向かう方向)に沿って、所定の間隔をあけて回転可能に軸支したものである。
また、搬出コンベア110は、サイドフレーム111,111間に複数のローラ112を荷が積まれた第1のパレットBの搬送方向(
図4では上から下に向かう方向)に沿って所定の間隔をあけて回転可能に軸支したものである。
【0054】
この作業部P1を挟んで一側方(
図3の左側)に、交換すべき自社の第1のパレットBが供給されるパレット供給部P3が、他側方(
図3の右側)に、抜き取った他社の第2のパレットAを回収するパレット回収部P2が、それぞれ位置している。
【0055】
(4)第2テーブル移動機構2の構成
第2テーブル移動機構2は、荷が積まれた第2のパレットAを載せるための第2移動テーブル20を有している。この第2移動テーブル20は待機状態のときは作業部P1に位置し、パレット交換作業に際して作業部P1とパレット回収部P2との間を前後位置のガイドレール11,11に沿って往復移動する。第2移動テーブル20は枠材を矩形状に枠組みして後述する上下2段構造に形成されている。第2移動テーブル20の上面には、枠材間に複数のローラ22が第2のパレットAの搬送方向に所定の間隔をあけて回転可能に軸支されることによりローラコンベア21が形成されている。ローラコンベヤ21は。モータ21A(後述する
図7及び
図8に示す)を駆動源とする駆動装置により駆動される。駆動装置は第2移動テーブル20に搭載されており、荷搬入時、搬入コンベヤ100と連動する。
【0056】
ローラコンベア21の前後端部には、
図4に示されるように、ローラ22の配置間隔を大きくすることにより、パレット回収機構7の後述するパレット支持体72の一対のアーム721,721が入り込むことが可能な空間S20が形成されている。ローラコンベア21は搬入コンベア100と連動させており、これにより搬入コンベア100上を搬送されてくる荷が積まれた第2のパレットAがローラコンベア21により第2移動テーブル20上に搬入される。
【0057】
第2移動テーブル20の下部の四隅位置には各ガイドレール11上を転動するローラ23が設けられている。4個のローラ23のうち一側端の側のローラ23は、第2移動テーブル20上に搭載された後述する駆動機構25により駆動され、これにより第2移動テーブル20はガイドレール11上を自走する。
なお、駆動機構25は、第2移動テーブル20上に搭載され第2移動テーブル20を自走させる態様にものに限らず、機台1上にモータを設置し、スプロケット、チェンなどを介して第2移動テーブル20をけん引して移動させる構成態様のものであってもよい。
【0058】
(5)第2移動テーブル20の具体的な構成
図7及び
図8は、第2移動テーブル20の具体的な構成を示す。図示例の第2移動テーブル20は、平面形状が矩形状のベース部20aと、ベース部20a上に昇降可能かつ傾動可能に支持され上面にローラコンベヤ21が設けられた平面形状が矩形状の荷台部20bとから構成される。ローラコンベヤ21上には荷Cが積まれた第2のパレットAが導入されて支持される。
【0059】
第2移動テーブル20のベース部20aには駆動機構25が搭載されており、駆動機構25の駆動によってローラ23が回転して第2移動テーブル20がガイドレール11上を自走する。駆動機構25は、駆動源としてのモータ24と、モータ24の駆動をいずれかのローラ23に伝達する動力伝達機構26とを含む。第2移動テーブル20が駆動機構25の駆動によって作業部P1からパレット回収部P2へ移動するときに荷が積まれた第2のパレットAが抜き取られる。
【0060】
荷台部20bには、第1の荷規制板5の側に対して第2の荷規制板6の側が低くなるように荷台部20bを傾ける傾動機構27が設けられている。傾動機構27は、荷台部20bの中央部を昇降可能かつ傾動可能に支持する支持機構28と、支持機構28により支えられる部分を支点として荷台部20bの第2の荷規制板6の側の端部を第1の荷規制板5の側の端部に対して下方へ変位させて荷台部20bを、図中、左下がりの状態に傾斜させる変位機構29とを含んでいる。
【0061】
図示の変位機構29は、荷台部20bの両側端部の前後各位置にそれぞれ配置される偏心カム290,291と、第1の荷規制板4の側の前後2個の偏心カム290及び第2の荷規制板6の側の前後の偏心カム291を個別に回動させる第1、第2の回動機構292,293とで構成される。
【0062】
一方の前後位置の各偏心カム290は、前後のフレーム201,202に両端が軸支された回転軸294に設けられる。第1の回動機構292は回転軸294を例えば反時計周りの方向に回動させる。他方の前後位置の各偏心カム291は、前後のフレーム201,202間に両端が軸支されて回転軸295に設けられる。第2の回動機構293は回転軸295を例えば時計周りの方向に回動させる。なお、変位機構29は、偏心カム290,291を用いて構成されるものに限定されず、例えば、シリンダ機構により荷台部20bの一側端又は両側端を上下方向に変位させる構成のものであってもよい。
【0063】
第1、第2の各回動機構292,293は、駆動源であるモータ296,297と、各モータ296,297の回転数を最適値に減速して回転軸294,295に伝える歯車減速機構298,299とを含む。
【0064】
支持機構28は、荷台部20bの前後のフレーム201,202の長さ中央部に設けられた支え軸283上に軸受を介してそれぞれ回動自由に支持される自在ローラ280と、ベース部20aの前後のフレーム203,204の長さ中央部に取り付けられ各自在ローラ280をそれぞれ両側より挟み自在ローラ280の外周面と摺動自由に係合する一対のガイドレール281,282とを含む。
【0065】
各ローラ280は、外周面に凹溝280aが周設され、一方、各ガイドレール281,282の対向面にはローラ280の凹溝280aに摺動自由に係合する突条部281a,282aがそれぞれ形成されている。各突条部281a,282aは、長さ方向と直交する断面形状が三角形状をなしている。各自在ローラ280は、凹溝280aに各ガイドレール281の突条部281a,282aが係合することにより、前後方向への振れが規制されつつ各ガイドレール281に沿って上下方向に摺動自由に支持される。
【0066】
各偏心カム290,291は、支持ローラ296上に回動自由に支持されている。
図9は、
図8において一点鎖線で示す部分を側方より見た拡大図であり、同図中、支え軸297は、ベース部20bの前後のフレーム203,204のいずれかに一端が固定されており、支え軸297上に支持ローラ296が回動自由に支持されている。
【0067】
荷台部20aは、各偏心カム290,291の回転角度位置に応じて高さが変わり、ベース部20bに対して最も低い下死点位置(
図2(A)及び
図9(A))と最も高い上死点位置(
図2(B)及び
図9(B))との間を変位する。また、荷台部20aは、一側端部の偏心カム290の回転角度位置に対して他側端部の偏心カム291の回転角度位置を例えば180度変えることにより一側端が他側端に対して低く傾いた状態(
図2(C))に設定される。
【0068】
(6)第1の荷規制板5の構成
図3に戻って、第1の荷規制板5は機台1上に固定されており、第2のパレットAを抜き取るに際し、第2移動テーブル20を作業部P1からパレット回収部P2へ移動させるとき、第2のパレットA上の荷だけが突き当たって作業部P1に置き去りにさせるためのものである。この第1の荷規制板5は、作業部P1とパレット回収部P2との間であって荷の高さに対応させた位置に設置されている。第2のパレットA上の荷は第1の荷規制板5に突き当たるが、第2のパレットAは第2移動テーブル20と共に第1の荷規制板5の下方を通過し、作業部P1からパレット回収部P2へ移行する。
【0069】
(7)荷受け機構3の構成
荷受け機構3は、作業部P1に置き去りにされる荷を下方より受け取って支持するための荷受け板30を有している。この荷受け板30は待機状態ではパレット供給部P3に位置し、パレット交換作業に際してパレット供給部P3と作業部P1との間を往復動する。すなわち、荷受け板30は、往路において第2移動テーブル20より荷を受け取り、復路においてその荷を第1移動テーブル40に引き渡す。
【0070】
図示例の荷受け板30は、薄板材の両端を下方へ屈曲して形成された対向壁31,31を備えている。各対向壁31は、この荷受け板30の下方へ後述する第1移動テーブル40を移動させたとき、第1移動テーブル40上に支持された第1のパレットBが対向壁31,31間に入り込むようにその間隔が設定されている。
【0071】
この対向壁31,31の前後位置には前後位置のガイドレール12,12上を転動するローラ32がそれぞれ設けられている。なお、ガイドレール12,12は、第1、第2の各移動テーブル40,20を移動させるガイドレール11,11より上方に位置している。
【0072】
荷受け板30は、
図3及び
図5に示されるように、駆動機構33に連繋され、ガイドレール12上を往復動する。駆動機構33は、駆動源としてのモータ34、このモータ34によって駆動される左右の駆動スプロケット35、各駆動スプロケット35と左右の従動スプロケット36との間にそれぞれ張設される2本のチェン37を含む。各チェン37はガイドレール12,12に沿って張設され、各チェン37の両端は荷受け板30の両側端面にそれぞれ接続されている。
【0073】
荷受け板30を駆動機構33によってパレット供給部P3から作業部P1へ移動させるとき、荷受け機構3のモータ34と第2テーブル移動機構2のモータ26とを同期運転させ、荷受け板30を第2移動テーブル20に接近した状態で追随させる。第2移動テーブル20の移動によって第2のパレットAが抜き取られ、第2のパレットA上の荷は第2のパレットAから荷受け板30上へ乗り移って支持される。
【0074】
また、荷受け板30を作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作させるときは、荷受け機構3のモータ34を逆方向に回転させるもので、この荷受け板30の移動によって荷から荷受け板30が抜き取られる。
【0075】
(8)第2の荷規制板6の構成
第2の荷規制板6は、荷受け板30を作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作させるとき、荷受け板30上の荷が突き当たって作業部P1に置き去りにさせるためのもので、作業部P1とパレット供給部P3との間であって、荷受け板30のみが第2の荷規制板6の下方を通過するように、機台1上の荷の高さ位置に合わせて設置される。
【0076】
図10は、第2の荷規制板6の一実施形態を示すもので、第1の荷規制板5に対して接近、離間可能なように両端部が駆動機構60,60に連繋されている。各駆動機構60は、駆動源であるロッドレスシリンダ61と、交叉する一対のリンク62,63とを有する。
【0077】
一方のリンク62の下端は機台1上に縦設された固定フレーム19に、他方のリンク62の下端は第2の荷規制板6に、それぞれ回動可能に支持される。一方のリンク62は、上端が第2の荷規制板6に設けられたガイド64に上下に摺動自由に支持される。他方のリンク63は、上端が固定フレーム19に設けられたロッドレスシリンダ61に連繋される。両駆動機構60のロッドレスシリンダ61を同期させて駆動することによりリンク62,63が拡縮動作し、これにより第2の荷規制板6が第1の荷規制板5に対して前進、後退を行う。なお、駆動機構60は、この実施例の上記した形態のものに限定されない。
【0078】
(9)第1テーブル移動機構4の構成
第1テーブル移動機構4は、パレット供給機構8より供給された第1のパレットBが載置される第1移動テーブル40を有している。この第1移動テーブル40は待機状態ではパレット供給部P3に位置し、パレット交換作業に際してパレット供給部P3と作業部P1との間をガイドレール11、11に沿って往復移動する。
【0079】
第1移動テーブル40は枠材を矩形状に枠組みして形成され、第1移動テーブル40の上面には、搬出コンベア110と連動するローラコンベア41が設けられている。ローラコンベア41は複数のローラ42を備えており、枠材間に複数のローラ42を第1のパレットBの搬送方向に所定間隔に配して回転可能に軸支したものであり、モータを駆動源とする駆動装置(図示せず)により駆動される。駆動装置は第1移動テーブル40に搭載されており、荷搬出時、搬出コンベヤ110と連動する。
【0080】
ローラコンベア41の搬送方向の前後端部には、
図4に示されるように、ローラ42の配置間隔を大きくすることにより、後述するパレット支持体82の一対のアーム821,821が入り込むことが可能な空間S40が形成されている。このローラコンベア41は搬出コンベア110と連動させており、ローラコンベア41により第1移動テーブル40上の荷が積まれた第1のパレットBが搬出コンベア110上に搬出され、その後、第1のパレットBは搬出コンベア110により搬送される。
【0081】
第1移動テーブル40の下部の四隅位置には、各ガイドレール11上を転動するローラ43が設けられている。第1移動テーブル40は、図示しない駆動機構を搭載しており、その駆動機構の駆動によってローラ43が回転して第1移動テーブル40がガイドレール11に沿って自走する。なお、駆動機構の構成は、第2移動テーブル20の駆動機構25と同様であり、駆動源としてのモータと、モータの駆動をいずれかのローラ43に伝達する動力伝達機構とを含む。
【0082】
第1移動テーブル40の上面に第1のパレットBを支持した状態で駆動機構を駆動し、第1移動テーブル40をパレット供給部P3から作業部P1に定位する荷受け板30の下方へ移動させ、その後、荷受け板30を作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作することにより荷受け板30上の荷が第1移動テーブル40上の第1のパレットB上へ乗り移って支持される。
【0083】
(10)パレット回収機構7の構成
パレット回収機構7は、パレット回収部P2に設けられ、作業部P1からパレット回収部P2へ第2移動テーブル20により運ばれてきた第2のパレットAを回収して保持するものである。図示例のパレット回収機構7は、
図3及び
図5に示されるように、パレット保持機構70、ガイドレール16、パレット支持体72、及び昇降機構73を備える。
【0084】
パレット保持機構70は、パレット回収部P2の第2移動テーブル20の上方に設定されたパレット保持空間S2に第2のパレットAを複数段にわたって上下に積層した状態で保持するとともに、保持された第2のパレットAの最下段にさらに第2のパレットAを追加して保持することが可能な構成のものである。
【0085】
パレット支持体72は、第2のパレットAを下方より支持することが可能であり、待機状態においてパレット保持空間S2と第2移動テーブル20の待機位置との間に位置する。昇降機構73は、後述する固定フレーム161に設けられた2本のガイドレール16に沿ってパレット支持体72を昇降動作させる。
【0086】
パレット保持機構70は、パレット保持空間S2に第2のパレットAを複数段にわたって上下に積層した状態で保持するための複数(本実施形態では4個)の保持爪71と、各保持爪71を閉じる方向へ付勢するばね(図示せず)とを備える。
【0087】
保持爪71は、第2のパレットAの四隅位置を支持するために、第2移動テーブル20の移動方向に沿って機台1に設けられた側壁17に取り付けられている。各保持爪71は、パレット支持体72が押し上げた第2のパレットAによって押し開かれた後にばね力で閉成するもので、それによって第2のパレットAに各保持爪71が係合して第2のパレットAが保持される。
【0088】
ガイドレール16は、少なくともパレット保持空間S2と第2移動テーブル20との待機位置との間であって、機台1の長さ方向の端部に設けられた固定フレーム161に上下方向に沿って左右に2本設けられている。
【0089】
パレット支持体72は、第2移動テーブル20の幅方向に沿って延び第2移動テーブル20の幅とほぼ同じ長さの連結基端部722と、連結基端部722を介して一体に連結され連結基端部722の両端部から第2テーブル20の移動方向に沿って延びる一対のアーム721,721とを備える。一対のアーム721,721は第2のパレットAを支持することが可能な長さを有し、第2のパレットAを支持することが可能な間隔を隔てて設けられている。
【0090】
ガイドレール16と対向するパレット支持体72の連結基端部722の後面にはスライド部材723が取り付けられている。スライド部材723には断面形状がT字状の溝が形成されている。このスライド部材723の溝が、溝に対応する形状を有するガイドレール16のレール部分に係入されることで、ガイドレール16に沿ってパレット支持体72が上下方向に摺動可能となっている。
【0091】
昇降機構73は、チェン74と、チェン74を上下各方向に走行させることが可能な駆動装置76とを含んでいる。チェン74の一端はパレット支持体72の連結基端部722に取り付けられ、他端にはバランスウェート75が取り付けられている。バランスウェート75は、固定フレーム161に上下方向に沿って設けられたガイドレール15にスライド自由に支持されている。
【0092】
昇降機構73は、パレット支持体72を水平な姿勢を保持したまま昇降動作させる。パレット支持体72は、待機状態のとき、
図3に示すように、第2移動テーブル20の上面より下方へ下降し、第2移動テーブル20の上面に設けられたコンベア21のローラ22の間の空間S20に入り込む。
【0093】
(11)パレット供給機構8の構成
パレット供給機構8は、パレット供給部P3に設けられ、第1移動テーブル40の上面に第1のパレットBを供給する。図示例のパレット供給機構8は、
図3及び
図6に示されるように、パレット保持機構80、ガイドレール13、パレット支持体82、及び昇降機構83を備える。
【0094】
パレット保持機構80は、第1移動テーブル40の待機位置の上方に設定されたパレット保持空間S3に第1のパレットBを複数段にわたって上下に積層した状態で保持するとともに、最下段の第1のパレットBをその上段の第1のパレットBから分離して保持状態を解放することが可能な構成のものである。
【0095】
パレット支持体82は、第1のパレットBを下方より支持することが可能であり、待機状態においてパレット保持空間S3と第1移動テーブル40の待機位置との間に位置する。昇降機構83は後述する固定フレーム131に設けられた2本のガイドレール13に沿ってパレット支持体82を昇降動作させる。
【0096】
パレット保持機構80は、パレット保持空間S3に第1のパレットBを複数段にわたって上下に積層した状態で保持するための複数(本実施形態では4個)の保持爪81と、各保持爪81を開閉動作させる駆動機構(図示せず)とからなる。
【0097】
保持爪81は、第1のパレットBの四隅位置を支持するために、第1移動テーブル40の移動方向に沿って機台1に設けられた側壁18に取り付けられている。各保持爪81は、押し上げられたパレット支持体82によって押し開かれるもので、それによって最下段の第1のパレットBから各保持爪81の係合が解除されるとともに、その上段の第1のパレットBに各保持爪81が係合して第1のパレットBが保持される。
【0098】
ガイドレール13は、少なくともパレット保持空間S3と第1移動テーブル40との待機位置との間であって、機台1の長さ方向の端部に設けられた固定フレーム131に上下方向に沿って左右に2本設けられている。
【0099】
パレット支持体82は、第1移動テーブル40の幅方向に沿って延び第1移動テーブル40の幅とほぼ同じ長さの連結基端部822と、連結基端部822を介して一体に連結され連結基端部822の両端部から第1テーブル40の移動方向に沿って延びる一対のアーム821、821とを備える。一対のアーム821、821は第1のパレットBを支持することが可能な長さを有し、第1のパレットBを支持することが可能な間隔を隔てて設けられている。
【0100】
ガイドレール13と対向するパレット支持体82の連結基端部822の後面にはスライド部材823が取り付けられている。スライド部材823には断面形状がT字状の溝が形成されている。このスライド部材823の溝が、溝に対応する形状を有するガイドレール13のレール部分に係入されることで、ガイドレール13に沿ってパレット支持体82が上下方向に摺動可能となっている。
【0101】
昇降機構83は、チェン84と、チェン84を上下各方向に走行させることが可能な駆動装置86とを含む。チェン84の一端はパレット支持体82の基端部822に取り付けられ、他端にはバランスウェート85が取り付けられている。バランスウェート85は、固定フレーム131に上下方向に沿って設けられたガイドレール13にスライド自由に支持されている。
【0102】
この昇降機構83により、パレット支持体82を水平な姿勢を保持したまま昇降動作させる。パレット支持体82は、下降時には、
図3に示すように、第1移動テーブル40の上面より下方へ下降し、第1移動テーブル40の上面に設けられたローラコンベア41のローラ42の間の空間S40に入り込む。
【0103】
(12)パレット供給機構8の動作
図11(A)~(F)は、パレット供給部P3のパレット供給機構8の構成とその動作を示している。
交換すべき第1のパレットBを第1移動テーブル40上に供給するには、まず、パレット支持体82をパレット保持機構80の高さまで上昇させて、第1のパレットBの積層体を支持する(
図11(A))。このとき保持爪81は最下段の第1のパレットB1の上板を保持している。次に、パレット支持体82をわずかに上昇させて、保持爪81を回動可能な状態に設定する(
図11(B))。
【0104】
次に、駆動機構により保持爪81を開動作させた後(
図11(C))、パレット支持体82を第1のパレットB1の厚み分、降下させる(
図11(D))。この状態で保持爪81を閉動作させると、保持爪81により最下段から2段目の第1のパレットB2が保持可能な状態となる(
図11(E))。
【0105】
次に、パレット支持体82を下降させると、最下段の第1のパレットB1のみがパレット支持体82上に支持され、次の第1のパレットB2及びその上の積層体は保持爪81により保持される(
図11(F))。パレット支持体82を第1移動テーブル40のローラ42の間の空間S40に入り込む位置まで降下させることで第1のパレットB1は第1移動テーブル40上に載せられる。
【0106】
(13)パレット回収機構7の動作
図12(A)~(F)は、パレット回収部P2のパレット回収機構7の構成とその動作を示している。
第2のパレットAの回収に待機している状態においては、パレット支持体72は最も下降した位置にある。第2移動テーブル20が作業部P1からパレット回収部P2へ移動するに伴い、パレット支持体72は第2移動テーブル20の上面に設けられたローラコンベア21のローラ22の間の空間S20に入り込む。
【0107】
パレット回収部P2へ移動してくる第2移動テーブル20上には第2のパレットA1が載置されている。パレット支持体72を上昇させると、第2のパレットA1はパレット支持体72に支持されて上昇し(
図12(A))、第2のパレットAの積層体を支持する。このとき、保持爪71は積層体の最下段の第2のパレットA2の上板を保持している。次に、パレット支持体72をわずかに上昇させ、保持爪71を回動可能な状態に設定する(
図12(B))。
【0108】
次に、保持爪71を開動作させた後(
図12(C))、パレット支持体72及び第2のパレットA1を第2のパレットA1の厚み分、上昇させる(
図12(D))。この状態で保持爪71を閉動作させると、保持爪71により第2のパレットA1が保持可能な状態となる(
図12(E))。次に、パレット支持体72を下降させると、第2のパレットAの積層体は最下段に追加された第2のパレットA1が保持爪71により保持される(
図12(F))。
【0109】
なお、
図12の動作例では、第2のパレットAの積層体の最下段に第2のパレットA1を追加しているが、パレット回収部P2に第2のパレットAの積層体がない場合は、運ばれてきた第2のパレットA1を保持爪71に保持させる。その場合、保持爪71を開動作させた後、パレット支持体72を上昇させ、保持爪71を閉動作させることにより、保持爪71により第2のパレットA1が保持可能な状態となる。
【0110】
(14)パレット交換装置200によるパレット交換作業
図13~
図16は、上記した構成のパレット交換装置200によるパレット交換作業を示すもので、この作業が順次実行されることにより荷Cが積まれた第2のパレットAより第2のパレットAのみが抜き取られて第1のパレットBに交換される。
【0111】
まず、第2テーブル移動機構2の第2移動テーブル20は作業部P1に、荷受け機構3の荷受け板30及び第1テーブル移動機構4の第1移動テーブル40はパレット供給部P3に、それぞれ待機させる(
図13(A))。このとき、パレット供給部P3のパレット保持空間S3には複数の第1のパレットBがパレット供給機構8のパレット保持機構80によって積層状態で保持されている。さらに、最下段の第1のパレットB1は、第1のパレットBの積層体より切り離されてパレット支持体82に支持され、荷受け板30のすぐ上に位置している。この待機状態において、
図13(B)に示すように、搬入コンベア100は、荷Cが積まれた第2のパレットA1を作業部P1に搬入して第2移動テーブル20上に導入する。
【0112】
荷Cが積まれたパレットAが第2移動テーブル20上に導入されると、荷Cが第1の荷規制板5に当たるように第2移動テーブル20を荷Cに向けてわずかに移動させる。次に、荷Cに第2の荷規制板6が当たるように駆動機構60が第2の荷規制板6を荷Cに向けて移動させる。これにより、荷Cは、第1、第2の荷規制板5,6により挟まれ(
図13(C))、荷Cは、第1、第2の荷規制板5,6の内面に沿って下方へ移動し得る程度に軽く挟持される。
【0113】
次に、第2移動テーブル20の傾動機構27を動作させる。まず、変位機構29は、ベース部20aに対して荷台部20bを水平姿勢のまま上方へ変位させた後、
図14(A)に示すように、荷台部20bを第2の荷規制板6の側が低くなるように一側端を下方へ変位させて荷台部20bを若干傾ける。これにより、荷段部20b上の第2のパレットAも傾き、第2のパレットAの上面は図中、左下がりの状態となる。
【0114】
第2のパレットAの上面が傾くことで、荷Cの下面と第2のパレットAの上面との間に隙間Sが生じる。この隙間Sは、第2の荷規制板6の側が大きくなり、
図17(A)に拡大して示すように、各列の荷C1~C3は、隙間Sの大きさに応じた量だけ第1、第2の荷規制板5,6に沿って下方へずり落ちる。ずり落ちた最下段の荷Cは、第2のパレットAの上面が傾いているので、第2のパレットAの上面とは右側端Rにおいて接触するのみで、荷Cの下面と第2のパレットAの上面とは面接触しない。
【0115】
次に、第2テーブル移動機構2の駆動機構25を駆動し、
図14(B)に示すように、荷台部20bを傾けた状態のまま、第2移動テーブル20を作業部P1からパレット回収部P2に向けて移動させるとともに、荷受け機構3の駆動機構33を駆動して荷受け板30を第2移動テーブル20に接近した状態で追随させ、パレット供給部P3から作業部P1に向けて移動させる。
【0116】
この移動時、第2移動テーブル20上の荷Cは第1の荷規制板5の内面に突き当たって置き去りにされるが、第2のパレットAは第2移動テーブル20とともにパレット回収部P2へ移動する(
図14(C))。荷受け板30は第2移動テーブル20の移動に追随するので、置き去りにされる荷Cは第2のパレットA上から荷受け板30上に乗り移って支持される。
【0117】
第2移動テーブル20の移行時、
図17(B)に拡大して示すように、第2のパレットAの上面と最下段の荷Cの下面とは、右側端Rにおいて接触するのみで面接触していないから、第2のパレットAの上面によって荷Cの下面が擦られることがない。また、荷受け板30の上面の高さhは第2のパレットAの傾斜下端の上面の高さと一致させているので、荷受け板30の上面は最下段の荷Cの下面から離れており、荷Cを擦ることがない。第2移動テーブル20上の荷Cは、第2移動テーブル20が移行するにつれて、徐々にずり落ちて第2移動テーブル20から荷受け板30へ降ろされ、荷受け板30上に支持される。
【0118】
第2移動テーブル20がパレット回収部P2に至り、荷受け板30が作業部P1に至ったとき、図示しない位置センサがこれを検知し、各駆動機構25、33は駆動を停止し、第2移動テーブル20及び荷受け板30が移動を停止する。また、パレット供給部P3においては、パレット支持体82が下降し、第1移動テーブル40のローラコンベア41のローラ42の間の空間S40に入り込むことで、第1のパレットB1が第1移動テーブル40の上面に載置される。
【0119】
次に、第1テーブル移動機構4の駆動機構45を駆動して第1移動テーブル40をパレット供給部P3から作業部P1に向けて移動させ、作業部P1に定位している荷受け板30の下方に入り込んで位置する(
図15(A))。このとき、駆動機構60を駆動して第2の荷規制板6を後退させて元の位置に定位させる。
【0120】
次に、荷受け機構3の駆動機構33が駆動し、
図15(B)に示すように、荷受け板30は作業部P1よりパレット供給部P3に向けて復帰動作する。この復帰動作時、荷受け板30上の荷Cは第2の荷規制板6に突き当たって作業部P1に置き去りにされるが、荷受け板30の下方に第1のパレットB1が載置された第1移動テーブル40が位置しているので、置き去りにされる荷Cは荷受け板30上から第1のパレットB1上に乗り移って支持される。
【0121】
一方、
図15(A)において、第1移動テーブル40がパレット供給部P3から作業部P1に向けて移動すると、パレット供給部P3において、パレット供給機構8のパレット支持体82は、前記した
図11(A)~(F)の動作を経ることにより、最下段の第1のパレットBを支持して下降し、待機状態となる(
図15(B))。
【0122】
また、
図14(C)において、第2移動テーブル20がパレット回収部P2に至ると、パレット回収部P2において、パレット回収機構7のパレット支持体72は、
図12(A)~(F)の動作を経ることにより、第2のパレットAを支持して上昇し、第2のパレットAの積層体の最下段に追加する(
図15(A))。その後、パレット支持体72は第2移動テーブル20の上面に設けられたローラコンベア21のローラ22の間の空間S20に入り込んで待機状態となる(
図15(B))。
【0123】
図15(C)に示すように、荷受け板30がパレット供給部P3に達したとき、図示しない位置センサがこれを検知し、駆動機構33は駆動を停止し、荷受け板30は復帰動作を停止する。
これにより荷Cが積まれた第2のパレットAから第2のパレットAのみを抜き取って第1のパレットB1に交換する作業が完了する。
【0124】
荷受け板30がパレット供給部P3に復帰した後、荷Cが積まれた第1のパレットB1を搬出コンベア110により搬出する(
図16(A))。その後、第2テーブル移動機構4の駆動機構45が駆動して第2移動テーブル20をパレット回収部P2から作業部P1へ移動させるとともに、第1テーブル移動機構2の駆動機構25が駆動して第1移動テーブル40を作業部P1からパレット供給部P3へ移動させる。第2移動テーブル20及び第1移動テーブル40が作業部P1及びパレット供給部P3にそれぞれ達したとき、図示しない位置センサがこれを検知し、各駆動機構25,45は駆動を停止し、第1、第2の各移動テーブル40,20は移動を停止する(
図16(B))。この状態で次のパレット交換作業に待機する。
【0125】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 機台
2 第2テーブル移動機構
3 荷受け機構
4 第1テーブル移動機構
5 第1の荷規制板
6 第2の荷規制板
7 パレット回収機構
8 パレット供給機構
20 第2移動テーブル
20a ベース部
20b 荷台部
25 第2テーブルの駆動機構
27 傾動機構
28 支持機構
29 変位機構
30 荷受け板
33 荷受け板の駆動機構
40 第1移動テーブル
45 第1移動テーブルの駆動機構
200 バレット交換装置
300 段ボール箱
A 第2のパレット
B 第1のパレット
C 荷