(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088963
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】無線通信システムおよび無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20220608BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20220608BHJP
【FI】
H04W52/02 111
H04W4/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201115
(22)【出願日】2020-12-03
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/研究開発課題:未来を創る新たなネットワーク基盤技術に関する研究開発 副題:IoTインタネットを支えるプライバシー保護ルーティング・輻輳制御技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上杉 充
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB27
5K067CC22
5K067EE06
5K067GG02
5K067HH24
(57)【要約】
【課題】端末および中継器が非同期であっても、大きく遅延することなく端末からのデータを中継することができ、かつ、端末から中継器への報告が一定間隔でなくても、中継器および端末が動作を休止することによって中継器および端末の省電力化を図る。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る無線通信システムは、所定のデータを繰り返し取得し、第1モードと第1モードよりも消費電力が低い第2モードとを切り替えながら動作する端末と、第3モードと第3モードよりも消費電力が低い第4モードとを切り替えながら動作する中継器と、を備え、中継器は、特定の時間内で第3モードにおいてポーリング信号を端末に送信し、ポーリング信号を送信した後に特定の時間内で第4モードに遷移し、特定の時間が経過する前に第3モードに遷移し、端末は、所定のデータを有している間は第1モードで動作し、所定のデータを中継器に送信した後に第2モードに遷移する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ発生装置を備え、前記データ発生装置から所定のデータを繰り返し取得し、第1モードと前記第1モードよりも消費電力が低い第2モードとを切り替えながら動作する端末と、
前記端末と通信可能であり、第3モードと前記第3モードよりも消費電力が低い第4モードとを切り替えながら動作する中継器と、
を備え、
前記中継器は、
特定の時間内で、前記第3モードにおいて、ポーリング信号を前記端末に送信し、
前記ポーリング信号を送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移し、
前記特定の時間が経過する前に、前記第4モードから前記第3モードに遷移し、
前記端末は、
前記所定のデータを有している間は前記第1モードで動作し、
前記ポーリング信号に応答して前記所定のデータを前記中継器に送信した後に、前記第1モードから前記第2モードに遷移する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記端末は、前記データ発生装置から前記所定のデータを次に取得する前に、前記第2モードから前記第1モードに遷移する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記中継器は、前記所定のデータを受信したことを示すACK信号を前記端末に送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
別の中継器または基地局である通信装置をさらに備え、
前記通信装置は、ポーリング信号を前記中継器に送信し、
前記中継器は、
前記ポーリング信号に応答して前記所定のデータを前記通信装置に送信し、
前記所定のデータを送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記端末は複数存在し、
前記中継器は、
前記特定の時間内で、前記第3モードにおいて、第1ポーリング信号を第1端末に送信し、第2ポーリング信号を第2端末に送信し、
前記第1ポーリング信号および前記第2ポーリング信号を送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記中継器は複数存在し、
第1中継器は、第1ポーリング信号を前記端末に送信し、
第2中継器は、第2ポーリング信号を前記端末に送信し、
前記端末は、前記第1ポーリング信号と前記第2ポーリング信号とのうちいずれか一方のポーリング信号に応答して、前記いずれか一方のポーリング信号を送信した、前記第1中継器と前記第2中継器とのうちいずれか一方の中継器に前記所定のデータを送信し、
前記所定のデータを受信した中継器は、前記所定のデータを受信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記端末は、前記端末が記憶している、前記無線通信システムのネットワークトポロジーに基づいて、前記第1ポーリング信号と前記第2ポーリング信号とのうちいずれか一方のポーリング信号に応答することを決定する、
請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記端末は、前記データの最終宛先に至るルートが最短である中継器に前記所定のデータを送信する、
請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
基地局をさらに備え、
前記端末は複数存在し、
前記中継器は複数存在し、
前記無線通信システムを構成するネットワークの階層は、
前記基地局が、前記階層の深さを表す階層番号を含む信号をブロードキャストし、
前記基地局がブロードキャストした前記信号を受信した中継器が、該信号に含まれる階層番号に基づき該中継器の階層番号を設定して、該階層番号を含む信号をブロードキャストし、
前記中継器がブロードキャストした前記信号を受信した中継器が、該信号に含まれる階層番号に基づき該中継器の階層番号を設定して、該階層番号を含む信号をブロードキャストし、
前記基地局がブロードキャストした前記信号または前記中継器がブロードキャストした前記信号を受信した端末が、該信号に含まれる階層番号に基づき該端末の階層番号を設定して、該端末が受信した前記信号をブロードキャストした前記基地局または前記中継器に応答を送信する、
ことを含む階層自動設定処理によって設定され、
各端末は、設定された前記階層に基づいて、上位階層の中継器または前記基地局からのポーリング信号に応答する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項10】
設定された前記階層は、前記無線通信システムを構成するネットワークの構成に変化が生じたことに応じて、前記階層自動設定処理によって再設定される、
請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
第1端末によって送信された前記応答を受信した中継器または前記基地局が、前記第1端末から、前記第1端末への中継が可能である旨の報告を受信し、
各中継器および前記基地局が、下位階層の他の中継器から、前記下位階層の他の中継器経由での、前記第1端末を含む特定の端末への中継が可能である旨の報告を受信し、
第2端末が、上位階層の中継器からのポーリング信号に応答して、前記上位階層の中継器に、前記第1端末宛のデータを送信し、
前記第1端末への中継が可能である各中継器が、上位階層の他の中継器または前記基地局からのポーリング信号に応答して、前記上位階層の他の中継器または前記基地局に、前記第1端末宛のデータを送信し、
前記基地局が、下位階層の中継器または前記第1端末からのポーリング信号に応答して、前記下位階層の中継器または前記第1端末に、前記第1端末宛のデータを送信し、
前記第1端末宛のデータを受信した、前記第1端末への中継が可能である各中継器が、下位階層の他の中継器または前記第1端末からのポーリング信号に応答して、前記下位階層の他の中継器または前記第1端末に、前記第1端末宛のデータを送信する、
ことによって、前記第1端末は、前記第2端末から送信された前記第1端末宛のデータを得る、
請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記端末は複数存在し、
前記中継器は複数存在し、
第2端末が、上位階層の中継器からのポーリング信号に応答して、前記上位階層の中継器に、第1端末宛のデータを送信し、
前記第1端末宛のデータを受信した各中継器が、上位階層の他の中継器からのポーリング信号に応答して、前記上位階層の他の中継器に、前記第1端末宛のデータを送信し、下位階層の他の中継器からのポーリング信号に応答して、前記下位階層の他の中継器に、前記第1端末宛のデータを送信し、
前記第1端末の上位階層の中継器が、前記第1端末からのポーリング信号に応答して、前記第1端末に、前記第1端末宛のデータを送信する、
ことによって、前記第1端末は、前記第2端末から送信された前記第1端末宛のデータを得る、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項13】
データ発生装置を備え、前記データ発生装置から所定のデータを繰り返し取得し、第1モードと前記第1モードよりも消費電力が低い第2モードとを切り替えながら動作する端末と、前記端末と通信可能であり、第3モードと前記第3モードよりも消費電力が低い第4モードとを切り替えながら動作する中継器と、を備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記中継器が、特定の時間内で、前記第3モードにおいて、ポーリング信号を前記端末に送信し、
前記中継器が、前記ポーリング信号を送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移し、
前記中継器が、前記特定の時間が経過する前に、前記第4モードから前記第3モードに遷移し、
前記端末が、前記所定のデータを有している間は前記第1モードで動作し、
前記端末が、前記ポーリング信号に応答して前記所定のデータを前記中継器に送信した後に、前記第1モードから前記第2モードに遷移する、
ことを含む無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LPWA(Low Power Wide Area)などで無線ネットワークを構築する場合、中継を行うことで通信エリアを広げることができる。例として、センサを搭載した端末が、センサによって取得されたセンシングデータを一定間隔で基地局に報告することを考える。この例では、端末がセンシングデータを中継器に報告し、中継器がセンシングデータを基地局に報告すればよい。
【0003】
ここで消費電力に注目すると、センサおよび端末はそれぞれ、センシングおよび報告を一定間隔で行うだけなので、端末は、報告を行わない時間帯において動作を休止することができ、したがって、その消費電力を下げることができる。しかしながら、
図1Aに示されているように、中継器は、端末からの報告がいつ到来するのかわからないので、動作を休止することができない。したがって、中継器は、その消費電力をあまり下げることができない。
【0004】
これに対して、
図1Bに示されているように、端末および中継器の両方が、基地局などの基準タイミングを管理する機器にタイミング同期させて、端末および中継器の動作休止タイミングをそろえるようにすれば、中継器も動作を休止することができるようになる。このようにタイミング同期を利用する技術は、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。上記の例では、端末が、一定間隔でセンシングデータを報告するので、タイミング同期を利用して中継器は動作を休止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-17745号公報
【特許文献2】特許第6544660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、端末および中継器が非同期であるときには、依然として中継器は動作を休止することが困難である。
【0007】
本開示の非限定的な実施形態は、端末および中継器が非同期であっても、大きく遅延することなく端末からのデータを中継することができ、かつ、中継器および端末が動作を休止することによって中継器および端末の省電力化を図ることができる無線通信システムおよび無線通信方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係る無線通信システムは、データ発生装置を備え、前記データ発生装置から所定のデータを繰り返し取得し、第1モードと前記第1モードよりも消費電力が低い第2モードとを切り替えながら動作する端末と、前記端末と通信可能であり、第3モードと前記第3モードよりも消費電力が低い第4モードとを切り替えながら動作する中継器と、を備え、前記中継器は、特定の時間内で、前記第3モードにおいて、ポーリング信号を前記端末に送信し、前記ポーリング信号を送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移し、前記特定の時間が経過する前に、前記第4モードから前記第3モードに遷移し、前記端末は、前記所定のデータを有している間は前記第1モードで動作し、前記ポーリング信号に応答して前記所定のデータを前記中継器に送信した後に、前記第1モードから前記第2モードに遷移する。
【0009】
本開示の別の実施形態に係る無線通信方法は、データ発生装置を備え、前記データ発生装置から所定のデータを繰り返し取得し、第1モードと前記第1モードよりも消費電力が低い第2モードとを切り替えながら動作する端末と、前記端末と通信可能であり、第3モードと前記第3モードよりも消費電力が低い第4モードとを切り替えながら動作する中継器と、を備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記中継器が、特定の時間内で、前記第3モードにおいて、ポーリング信号を前記端末に送信し、前記中継器が、前記ポーリング信号を送信した後であって、かつ、前記特定の時間内で、前記第3モードから前記第4モードに遷移し、前記中継器が、前記特定の時間が経過する前に、前記第4モードから前記第3モードに遷移し、前記端末が、前記所定のデータを有している間は前記第1モードで動作し、前記端末が、前記ポーリング信号に応答して前記所定のデータを前記中継器に送信した後に、前記第1モードから前記第2モードに遷移する、ことを含む。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施形態によれば、端末および中継器が非同期であっても、大きく遅延することなく端末からのデータを中継することができ、かつ、中継器が動作を休止することによって中継器の省電力化を図ることができる。
【0012】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本開示の一態様に係る、端末と中継器との間のデータ通信の一例の概要を説明するためのタイミング図。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る無線通信システムの構成の一例を示した図。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末、中継器、および基地局を含む通信装置の基本構成の一例を示したブロック図。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器との間のデータ通信の第1の例を説明するためのシーケンス図。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器との間のデータ通信の第2の例を説明するためのシーケンス図。
【
図7】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器との間のデータ通信の第3の例を説明するためのシーケンス図。
【
図8】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器との間のデータ通信の第4の例を説明するためのシーケンス図。
【
図9】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器との間のデータ通信の第5の例を説明するためのシーケンス図。
【
図10A】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例を説明するための図。
【
図10B】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例を説明するための図。
【
図10C】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例を説明するための図。
【
図10D】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例を説明するための図。
【
図11】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択のさらなる例を説明するための図。
【
図12A】本開示の実施の形態1に係る、
図11の階層構造に基づく端末と中継器と基地局との間のデータ通信の一例を説明するためのタイミング図。
【
図12B】本開示の実施の形態1に係る、
図11の階層構造に基づく端末と中継器と基地局との間のデータ通信の別の例を説明するためのタイミング図。
【
図13A】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の設定の一例を説明するための図。
【
図13B】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の設定の一例を説明するための図。
【
図13C】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の設定の一例を説明するための図。
【
図13D】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の設定の一例を説明するための図。
【
図13E】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の設定の一例を説明するための図。
【
図14】本開示の実施の形態1に係る、
図13A~
図13Eの無線通信システムを構成するネットワークの階層を設定するフローの一例を説明するためのシーケンス図。
【
図15A】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の再設定の一例を説明するための図。
【
図15B】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の再設定の一例を説明するための図。
【
図15C】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の再設定の一例を説明するための図。
【
図15D】本開示の実施の形態1に係る、無線通信システムを構成するネットワークの階層の再設定の一例を説明するための図。
【
図16】本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の一例を説明するためのシーケンス図。
【
図17】本開示の実施の形態2に係る、基地局を介し中継器を介して端末間で通信する例および基地局を介さずに中継器を介して端末間で通信する例を説明するための図。
【
図18】本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末間のデータ通信の第1の例を説明するためのシーケンス図である。
【
図19】本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末間のデータ通信の第2の例を説明するためのシーケンス図である。
【
図20】本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末間のデータ通信の第3の例を説明するためのシーケンス図である。
【
図21A】本開示の実施の形態に係る、中継器のポーリング間隔の一例を説明するための図。
【
図21B】本開示の実施の形態に係る、中継器のポーリング間隔の別の例を説明するための図。
【
図21C】本開示の実施の形態に係る、中継器のポーリング間隔のさらに別の例を説明するための図。
【
図21D】本開示の実施の形態に係る、中継器のポーリング間隔のさらに別の例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
[本開示の一態様の概要]
はじめに、
図2を参照して、本開示の一態様の概要について説明する。
図2は、本開示の一態様に係る、端末と中継器との間のデータ通信の一例の概要を説明するためのタイミング図である。
図2は、端末1と中継器との間のデータの報告および端末2と中継器との間のデータの報告の例を示している。
図2に示されている例では、点線間の間隔は1秒を表す。また、
図2に示されている例では、端末1および端末2(より具体的には、端末1および端末2にそれぞれ備えられて搭載または接続されているセンサ1(図示せず)およびセンサ2(図示せず))によるセンシングは、タイミング図の立ち上がりエッジのタイミングで行われる。さらに、
図2に示されている例では、中継器によるデータ収集は、タイミング図の立ち上がりエッジのタイミングで行われる。タイミング図のHigh期間およびLow期間はそれぞれ、後述する定常モードおよび動作休止モードを表す。
【0017】
端末1に搭載または接続されているセンサ1は、対象物の温度などを、一定間隔で(例えば
図2では7秒ごとに)計測(センシング)し、そのセンシングデータを、そのセンシングデータを取得した日時とともに、端末1に送信する。端末1は、センサ1から受信したセンシングデータを、そのセンシングデータを取得した日時に関連付けて、内部メモリ(または他の記憶装置)に記憶する。なお、以下において、センシングデータとそのセンシングデータを取得した日時とはセットであるとしてセンシングデータおよび日時のデータが扱われ、センシングデータを取得した日時については言及しない。
【0018】
同様に、端末2に搭載または接続されているセンサ2は、別の対象物の温度などを、一定間隔で(例えば
図1では11秒ごとに)計測(センシング)し、そのセンシングデータを端末2に送信する。端末2は、センサ2から受信したセンシングデータを内部メモリ(または他の記憶装置)に記憶する。
【0019】
中継器は、端末1がセンシングデータを有しているか否かを確認するための信号を、この例では一定間隔で(例えば
図2では5秒ごとに)端末1に送信する。同様に、中継器は、端末2がセンシングデータを有しているか否かを確認するための信号を、一定間隔で端末2に送信する。以下において、ある通信装置がセンシングデータなどの所与のデータを有しているか否かを確認するための上述した信号を、「ポーリング信号」と称する。ポーリング信号は、一定間隔で送信されることもあるし、規則的な間隔で送信されることもあるし、または、規則的でない間隔で送信されることもある。
【0020】
中継器が、
図2に示されている1番目のポーリング信号を端末1に送信すると、端末1は、3秒の遅延をもって、内部メモリに記憶されているセンシングデータを、中継のために中継器に送信し、センシングデータを削除する。同様に、中継器が、1番目のポーリング信号を端末2に送信すると、端末2は、4秒の遅延をもって、内部メモリに記憶されているセンシングデータを、中継のために中継器に送信し、センシングデータを削除する。
【0021】
端末1は、センシングデータを送信した後、通常の動作モードである定常モードから、定常モードよりも消費電力が低い動作休止モードに遷移する(切り替える)。動作休止モードは、センサ1が温度などを次にセンシングするセンシングタイミング(次のセンシングタイミング)まで続く。同様に、端末2は、センシングデータを送信した後、定常モードから動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。その後、端末1および端末2はそれぞれ、次のセンシングタイミングで、動作休止モードから定常モードに遷移する。本明細書において、センサがセンシングを行う厳密なあるタイミングとセンサが次にセンシングを行う厳密なタイミングと時間間隔を、センシング間隔と称する。
【0022】
一方、中継器は、1番目のポーリング信号を送信した後であって端末1および端末2からセンシングデータを受信するための所定期間内に、端末1および端末2の両方からセンシングデータを受信するので、これらの両方のセンシングデータを基地局(図示せず)に中継(送信)する。中継器は、センシングデータを基地局に送信した後、通信の動作モードである定常モードから、定常モードよりも消費電力が低い動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。本明細書において、中継器がポーリング信号を送信する厳密なあるタイミングと中継器が次にポーリング信号を送信する厳密なタイミングとの時間間隔を、ポーリング間隔と称する。
【0023】
中継器が1番目のポーリング信号を送信してから5秒のポーリング間隔が経過した後に、中継器が2番目のポーリング信号を端末1に送信すると、端末1は、1秒の遅延をもって、内部メモリに記憶されているセンシングデータを、中継のために中継器に送信する。同様に、中継器が、2番目のポーリング信号を端末2に送信すると、端末2は、動作休止モードにある(センシングデータを有していない)ため、中継器に報告を行わない。
【0024】
端末1は、センシングデータを送信した後、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。その後、端末1および端末2はそれぞれ、次のセンシングタイミングで、動作休止モードから定常モードに遷移する。
【0025】
中継器は、2番目のポーリング信号を送信した後であって端末1および端末2からセンシングデータを受信するための所定期間内に、端末1のみからセンシングデータを受信するので、このセンシングデータのみを基地局に中継(送信)する。中継器は、センシングデータを基地局に送信した後、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0026】
中継器が2番目のポーリング信号を送信してからポーリング間隔が経過した後に、中継器が3番目のポーリング信号を端末1に送信すると、端末1は、動作休止モードにある(センシングデータを有していない)ため、中継器に報告を行わない。同様に、中継器が3番目のポーリング信号を端末2に送信すると、端末2は、3秒の遅延をもって、内部メモリに記憶されているセンシングデータを、中継のために中継器に送信する。
【0027】
端末1は、次のセンシングタイミングまで、動作休止モードのままである。端末2は、センシングデータを送信した後、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。端末1および端末2はそれぞれ、次のセンシングタイミングで、動作休止モードから定常モードに遷移する。
【0028】
中継器は、3番目のポーリング信号を送信した後であって端末1および端末2からセンシングデータを受信するための所定期間内に、端末2のみからセンシングデータを受信するので、このセンシングデータのみを基地局に中継(送信)する。中継器は、センシングデータを基地局に送信した後、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0029】
以降、中継器が、
図2に示されている4番目のポーリング信号および5番目のポーリング信号を送信したときにも、同様の処理が繰り返される。
【0030】
以上の処理を簡単にまとめると、中継器は、この例では(ほぼ)一定間隔で動作休止モードに遷移し、動作休止モードから定常モードに遷移すると、端末がセンシングデータを有しているか否かを端末に確認する。端末がセンシングデータを有していれば、中継器は、端末にセンシングデータを送信してもらい、センシングデータを例えば基地局に中継する。端末は、センシングデータを中継器に送信するまで(センシングデータを有している限り)定常モードにあり、中継器にセンシングデータを送信すると、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。なお、上記の処理においては、端末がセンシングデータを取得してから、中継器が端末からセンシングデータを取得するまでに遅延が生じるが、例えば気温、物体の温度などのように、急激に変化しにくいものをセンシング対象とする場合は、ある程度の遅延を許容できる。中継器のポーリング間隔をX秒とするならば、遅延は、最大でX秒に抑えられる。
【0031】
上述したように、中継器は、定常モードと動作休止モードとを切り替えながら動作し、特定の時間(ポーリング間隔)内で、定常モードにおいて、ポーリング信号を送信すると、少なくとも、ポーリング信号を送信した後であって、かつ、特定の時間内で、定常モードから動作休止モードに遷移し、特定の時間が経過する前に、動作休止モードから定常モードに遷移する。すなわち、動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。端末は、定常モードと動作休止モードとを切り替えながら動作し、センシングデータを有している間は定常モードで動作し、ポーリング信号に応答してセンシングデータを中継器に送信した後に、定常モードから動作休止モードに遷移する。なお、動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。これにより、端末および中継器が非同期であっても、大きく遅延することなく端末からのセンシングデータを中継することができ、かつ、中継器および端末が動作を休止することによって中継器および端末の省電力化を図ることができる。また、これにより、端末から中継器への報告が一定間隔でなくても、中継器および端末が動作を休止することによって中継器および端末の省電力化を図ることができる。なお、上記において、端末が中継器に報告するデータの一例として、端末に備えられているセンサが取得するセンシングデータが説明されたが、そのようなデータは、センシングデータに限定されるものではなく、そのようなデータを発生させる装置(データ発生装置)も、センサに限定されるものではない。そのようなデータおよびデータ発生装置のさらなる例については、以下の実施の形態1において説明する。
【0032】
[実施の形態1]
次に、
図3~
図15Dを参照して、本開示の実施の形態1に係る無線通信システム2の構成および動作について説明する。
【0033】
<無線通信システム>
図3は、実施の形態1に係る無線通信システム2の構成の一例を示した図である。図示されているように、無線通信システム2は、基地局と、1つ以上の中継器と、1つ以上の端末と、を含む。なお、以下において、基地局、中継器、および端末を総称して「通信装置」と称することがあり、さまざまな図面において、中継器を中継と表記していることがある。
図3に示されている矢印付きの線は、通信装置間の接続を表している。
図3において、6つの中継器A-1~A-6が存在し、3つの端末B-1~B-3が存在するが、中継器の数および端末の数はそれぞれ、6つおよび3つに限定されるものではない。
【0034】
実施の形態1では、データ発生装置としてのセンサなどが搭載または接続されている端末から中継器への、センサなどによって取得された(センシング)データの無線送信である、上り方向のデータ送信を主に想定している。そして、端末からデータを受信した中継器は、1つ以上の他の中継器を介してまたは直接的に、受信したデータを基地局に中継(送信)する。
【0035】
<端末、中継器、および基地局を含む通信装置の基本構成>
図4は、実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末、中継器、および基地局を含む通信装置30の基本構成の一例を示したブロック図である。
【0036】
通信装置30は、基本構成として、制御装置31と、記憶装置32と、無線機33と、アンテナ34と、を備える。通信装置30は、符号化器、復号器などの他の周知の構成要素も備えるのは言うまでもない。
【0037】
制御装置31は、コントローラ、プロセッサなどで構成される。制御装置31は、例えば記憶装置32に記憶されているプログラム命令を実行することによって、データを処理したり、通信装置30の構成要素および動作全般を制御したりする。
【0038】
記憶装置32は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、キャッシュメモリ、ハードディスクなどを含む。記憶装置32は、通信装置30が動作するのに必要なデータ、通信装置30の動作全般を制御するためのプログラム命令、通信装置30の動作中に受信、送信、生成等した(する)データおよびこれらの処理に必要なデータなどを、一時的または永続的に記憶する。
【0039】
無線機33は、周知の受信機、送信機、送受信機などで構成される。無線機33は、アンテナ34を介した送信のために、送信すべきベースバンド信号を変調するなどして、無線周波数信号を生成する。また、無線機33は、アンテナ34を介して受信した無線周波数信号を復調するなどして、ベースバンド信号を取り出す。
【0040】
アンテナ34は、無線機33によって生成された無線周波数信号を、例えば送信先の通信装置に向けて電波として送信する。また、アンテナ34は、他の通信装置(アンテナ)から送信された無線周波数信号を電波として受信する。
【0041】
<端末の動作>
端末としての通信装置30(以下、端末)は、データ発生装置として、内蔵コンポーネントまたは外付けコンポーネントとしてのセンサを備え、このようなセンサに有線または無線で接続される。このようなセンサは、周囲環境の温度、湿度など、対象者・対象物の心拍数、呼吸、温度、動きなどを計測(センシング)することができる。なお、端末は、センサの代わりにまたはセンサに加えて、データ発生装置として、マイク、カメラ、ボタン、キーパッド、スイッチなどを備え、そのようなマイク、カメラ、ボタン、キーパッド、スイッチなどに接続されてもよい。
【0042】
端末は、一定間隔もしくは規則的な間隔または規則的でない間隔で、例えば、センサから、センサによって取得された温度などのセンシングデータを取得し、そのセンシングデータを端末の記憶装置32に記憶する。このセンシング間隔は、例えば、予め定められて、センサおよび端末の記憶装置32に記憶されている。センシング間隔は、端末のオペレータなどによって、必要に応じて変更されて、センサおよび端末の記憶装置32に記憶されてもよい。そして、端末は、中継器としての通信装置30(以下、中継器)からポーリング信号を無線で受信すると、端末の記憶装置32に記憶されているセンシングデータを、ポーリング信号を送信した中継器に無線で送信する。端末は、センシングデータを中継器に送信した後、端末の記憶装置32から、そのセンシングデータを削除する。状況によっては、端末の記憶装置32に、複数のセンシングデータが残されている場合がある。この場合、端末は、中継器からポーリング信号を受信したときに、複数のセンシングデータをすべて中継器に送信してもよいし、複数のセンシングデータのうちの最新のセンシングデータのみを中継器に送信してもよいし、または、複数のセンシングデータのうちの新しい順に所定数のセンシングデータを中継器に送信してもよい。いずれにしても、端末は、センシングデータの送信後、端末の記憶装置32から、複数のセンシングデータをすべて削除する。なお、センシングデータを削除する代わりに、端末は、送信されたセンシングデータに対して、送信済みフラグを付す構成としてもよい。この場合、端末は、中継器からポーリング信号を受信したときに、送信済みフラグが付されていないセンシングデータを中継器に送信して、このセンシングデータに送信済みフラグを付し、所定期間が経過するたびに、送信済みフラグが付されているセンシングデータを削除してもよい。なお、端末が、データ発生装置として、マイク、カメラ、ボタン、キーパッド、スイッチなどを備える場合には、そのようなデータ発生装置は、センシングデータ以外に、例えば、電話の発呼、押しボタン押下、音声入力、画像入力、死活監視などで定期的に発生する報告、などのデータを取得し、端末は、データ発生装置からそのようなデータを取得することができる。
【0043】
端末は、センシングデータを中継器に送信した後、送信、受信、および、データを送受信していないアイドル期間において当該端末宛のデータを受信できるように待ち続けるリスニングの全機能を実行可能である定常モードから、定常モードよりも消費電力が低い動作休止モードに遷移する。この遷移は、スリープすること(無線機33や他の回路への電源供給を断つこと(無線機33や他の回路の電源をオフにすること))、無線機33や他の回路の動作クロックを遅くすることなどによって、送信、受信、およびリスニングの一部機能の実行を制限することで、実現される。動作休止モードは、端末に接続されているセンサが温度などを次にセンシングするタイミング(次のセンシングタイミング)まで続く。その後、端末は、端末に接続されているセンサからセンシングデータを取得するために、次のセンシングタイミングで、動作休止モードから定常モードに遷移する。
【0044】
本明細書において、次のセンシングタイミングとは、センサがセンシングを行う厳密なタイミングではなく、センサがセンシングを行う厳密なタイミングよりも所定時間(例えば、1秒)早い時点を意味する。所定時間としては、端末の省電力化を図ることができる任意の時間を設定することが可能である。
【0045】
端末は、センシングデータを有している間は、動作休止モードに遷移せず、定常モードのままであり、中継器からのポーリング信号を待つ。
【0046】
端末は、センシングデータの取得、ポーリング信号の受信、センシングデータの送信・削除、動作休止モードへの遷移、および、定常モードへの遷移などを繰り返す。
【0047】
端末はまた、端末の記憶装置32において、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間の接続関係およびこれらの階層などを表す、無線通信システム2のネットワークトポロジーを記憶している(すなわち、把握している)こともあるし、記憶していない(すなわち、把握していない)こともある。
【0048】
<中継器の動作>
中継器は、中継器に送信すべきデータを別の通信装置(例えば、端末または別の中継器)が有しているか(記憶しているか)否かを確認するためのポーリング信号を、一定間隔もしくは規則的な間隔または規則的でない間隔で別の通信装置に無線で送信する。そして、中継器は、ポーリング信号を送信した後であって別の通信装置からデータを受信するための所定期間(例えば、3秒)の間、別の通信装置からのデータを待つ。
【0049】
中継器が、所定期間内に、別の通信装置からデータ(例えば、センシングデータ)を受信した場合、中継器は、受信したデータを、さらに別の通信装置(例えば、基地局としての通信装置30(以下、基地局)または別の中継器)に無線で中継(送信)する。そして、中継器は、さらに別の通信装置にデータを送信した後、当該のポーリング間隔内で、送信、受信、および、データを送受信していないアイドル期間において当該中継器宛のデータを受信できるように待ち続けるリスニングの全機能を実行可能である定常モードから、定常モードよりも消費電力が低い動作休止モードに遷移する。この遷移は、スリープすること(無線機33や他の回路への電源供給を断つこと(無線機33や他の回路の電源をオフにすること))、無線機33や他の回路の動作クロックを遅くすることなどによって、送信、受信、およびリスニングの一部機能の実行を制限することで、実現される。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。中継器は、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、動作休止モードから定常モードに遷移し、ポーリング信号を再度送信する。
【0050】
一方、中継器が、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、別の通信装置からデータを受信しなかった場合も、中継器は、所定期間の経過後に、当該のポーリング間隔内で、定常モードから動作休止モードに遷移してもよい。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。中継器は、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、動作休止モードから定常モードに遷移し、ポーリング信号を再度送信する。なお、別の通信装置からデータを受信しなかった場合、動作休止モードへの遷移は実行されなくてもよく、中継器は、定常モードのままであってもよい。これは、別の通信装置からデータを受信した後に動作休止モードに遷移するだけでも、中継器の省電力化を図ることができるからである。
【0051】
中継器は、ポーリング間隔でポーリング信号を送信した送信先の別の通信装置がセンシングデータを有している場合、別の通信装置から受信したセンシングデータを中継器の記憶装置32に記憶する。ポーリング間隔は、例えば、予め定められて、中継器の記憶装置32に記憶されている。ポーリング間隔は、中継器のオペレータなどによって、必要に応じて変更されて、中継器の記憶装置32に記憶されてもよい。そして、中継器は、さらに別の通信装置からポーリング信号を無線で受信すると、中継器の記憶装置32に記憶されているセンシングデータを、ポーリング信号を送信したさらに別の通信装置に無線で送信する。中継器は、さらに別の通信装置にセンシングデータを送信した後、中継器の記憶装置32から、そのセンシングデータを削除する。状況によっては、中継器の記憶装置32に、複数のセンシングデータが残されている場合がある。この場合、中継器は、さらに別の通信装置からポーリング信号を受信したときに、複数のセンシングデータをすべて、さらに別の通信装置に送信してもよいし、複数のセンシングデータのうちの最新のセンシングデータのみを、さらに別の通信装置に送信してもよいし、または、複数のセンシングデータのうちの新しい順に所定数のセンシングデータを、さらに別の通信装置に送信してもよい。いずれにしても、中継器は、センシングデータの送信後、端末の記憶装置32から、複数のセンシングデータをすべて削除する。なお、センシングデータを削除する代わりに、中継器は、送信されたセンシングデータに対して、送信済みフラグを付す構成としてもよい。この場合、中継器は、さらに別の通信装置からポーリング信号を受信したときに、送信済みフラグが付されていないセンシングデータを、さらに別の通信装置に送信して、このセンシングデータに送信済みフラグを付し、所定期間が経過するたびに、送信済みフラグが付されているセンシングデータを削除してもよい。
【0052】
中継器は、センシングデータを有している間は、動作休止モードに遷移せず、定常モードのままであり、別の中継器または基地局からのポーリング信号を待つ。
【0053】
また、本明細書において、ポーリング信号を送信する次のタイミングとは、中継器がポーリング信号を送信する厳密なタイミングではなく、中継器がポーリング信号を送信する厳密なタイミングよりも所定時間(例えば、1秒)早い時点を意味する。所定時間としては、中継器の省電力化を図ることができる任意の時間を設定することが可能である。
【0054】
中継器は、ポーリング信号を、複数の通信装置に、同時に(例えば、ブロードキャストによって)、または、順次に(例えば、ほぼ同時に)、送信する場合がある。この場合、以下の3つのオプションが存在する。
【0055】
第1のオプションとして、中継器が、所定期間内に、複数の通信装置すべてからデータを受信したならば、中継器は、受信したデータを、別の通信装置に中継(送信)する。そして、中継器は、受信したデータをすべて送信した後、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0056】
第2のオプションとして、中継器が、所定期間内に、複数の通信装置すべてではない一部の通信装置からデータを受信したならば、中継器は、受信したデータのみを、別の通信装置に中継(送信)する。そして、中継器は、受信したデータのみを送信した後、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。なお、複数の通信装置すべてではない一部の通信装置からデータを受信した場合、動作休止モードへの遷移は実行されなくてもよく、中継器は、定常モードのままであってもよい。これは、複数の通信装置すべてからデータを受信した後に動作休止モードに遷移するだけでも、中継器の省電力化を図ることができるからである。
【0057】
第3のオプションとして、中継器が、所定期間内に、複数の通信装置すべてからデータを受信しなかったならば、中継器は、所定期間の経過後に、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。なお、複数の通信装置すべてからデータを受信しなかった場合、動作休止モードへの遷移は実行されなくてもよく、中継器は、定常モードのままであってもよい。これは、複数の通信装置すべてからデータを受信した後に動作休止モードに遷移するだけでも、中継器の省電力化を図ることができるからである。
【0058】
中継器は、中継器の記憶装置32において、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間の接続関係およびこれらの階層などを表す、無線通信システム2のネットワークトポロジーを記憶している(すなわち、把握している)こともあるし、記憶していない(すなわち、把握していない)こともある。
【0059】
<基地局の動作>
基地局は、中継器からデータを受信すると、目的に応じて、1つ以上の中継器を介して対象端末にデータを送信したり(詳細には、以下の本開示の実施の形態2を参照されたい)、いわゆるビッグデータの処理や解析のためにクラウドにデータを送信したりする。
【0060】
基地局は、基地局の記憶装置32に、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間の接続関係およびこれらの階層などを表す、無線通信システム2のネットワークトポロジーを記憶している(すなわち、把握している)こともあるし、記憶していない(すなわち、把握していない)こともある。
【0061】
<端末と中継器との間のデータ通信の第1の例>
次に、
図5を参照して、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第1の例について説明する。
図5は、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第1の例を説明するためのシーケンス図である。
【0062】
図5に示されている中継器Aは、例えば、
図3に示されている中継器A-6であってよく、
図5に示されている端末Bは、例えば、
図3に示されている端末B-1であってよい。
【0063】
ステップS401において、端末Bに接続されているセンサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0064】
ステップS402において、中継器Aは、ポーリング信号を端末Bに送信する。
【0065】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS403において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0066】
端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信した後、ステップS404において、定常モードから動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0067】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS405において、適宜、その上位の通信装置である別の中継器(例えば、
図3における中継器A-4)または基地局にセンシングデータを中継し、定常モードから動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。したがって、中継器Aは、少なくとも、ポーリング信号を端末Bに送信した後、当該のポーリング間隔内で、定常モードから動作休止モードに遷移する。
【0068】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS406において、端末Bが動作休止モードにある間に、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。したがって、端末Bは、ポーリング信号に応答せず、センシングデータを中継器Aに送信しない。
【0069】
中継器Aが、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信しなかった場合、ステップS407において、中継器Aは、所定期間の経過後に、動作休止モードに遷移する。したがって、中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信なかった場合にも、定常モードから動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。なお、ステップS407における遷移は実行されなくてもよく、中継器Aは、定常モードのままであってもよい。
【0070】
端末Bは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS408において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0071】
端末Bは、センシングデータを有している間は、動作休止モードに遷移せず、ステップS409において、中継器Aからのポーリング信号を待つ。
【0072】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS410において、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。
【0073】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS411において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0074】
端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信した後、ステップS412において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0075】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS413において、適宜、別の中継器または基地局にセンシングデータを中継し、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0076】
以後、同様の処理が繰り返される。例えば、端末Bは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS414において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0077】
第1の例において、中継器Aが端末Bにポーリング信号を送信したときに通信エラーがあった場合には、中継器Aは、端末Bがセンシングデータを有していないと認識して動作すればよく、端末Bは、中継器Aが端末Bにポーリング信号を送信していないと認識して動作すればよい。
【0078】
第1の例において、端末Bがセンシングデータを中継器Aに送信したときに通信エラーがあった場合には、中継器Aは、端末Bがセンシングデータを有していないと認識して動作すればよく、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信したものとして動作すればよい。したがって、この場合、1つのセンシングデータが欠落してしまうが、無線通信システム2は、わずかなデータの欠落を許容して動作を続行すればよい。
【0079】
第1の例において、端末の記憶装置32に、複数のセンシングデータが残されている場合がある。この場合、上述したように、端末は、中継器からポーリング信号を受信したときに、複数のセンシングデータをすべて中継器に送信してもよいし、複数のセンシングデータのうちの最新のセンシングデータのみを中継器に送信してもよいし、または、複数のセンシングデータのうちの新しい順に所定数のセンシングデータを中継器に送信してもよい。
【0080】
<端末と中継器との間のデータ通信の第2の例>
次に、
図6を参照して、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第2の例について説明する。
図6は、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第2の例を説明するためのシーケンス図である。
【0081】
図6に示されている中継器Aは、例えば、
図3に示されている中継器A-6であってよく、
図6に示されている端末B-1は、例えば、
図3に示されている端末B-1であってよく、
図6に示されている端末B-X(Xは2以上の整数)は、例えば、
図3に示されている端末B-2または
図3に示されていない端末であってよい。ここで、端末B-1~B-Xの各々は、上述した
図5に示されている例において説明した端末と同様に動作することができ、中継器Aは、上述した
図5に示されている例において説明した中継器と同様に動作することができる。
【0082】
ステップS501において、端末B-1に接続されているセンサ-1は、温度などのセンシングデータを取得して端末B-1に送信する。すなわち、端末B-1は、センサ-1からセンシングデータを取得する。
【0083】
ステップS502において、端末B-Xに接続されているセンサ-Xは、温度などのセンシングデータを取得して端末B-Xに送信する。すなわち、端末B-Xは、センサ-Xからセンシングデータを取得する。
【0084】
ステップS503において、中継器Aは、ポーリング信号を端末B-1に送信する。ステップS503’において、中継器Aは、ポーリング信号を端末B-Xに送信する。これらのポーリング信号は、複数の端末に、同時に(例えば、ブロードキャストによって)送信されてもよいし、または、順次に(例えば、ほぼ同時に)送信されてもよい。中継器Aがポーリング信号を順次に送信する場合、より短い期間内に端末B-1~端末B-Xへのポーリング信号を送信すれば、中継器Aは、より長い時間の間、動作を休止することが可能になる。
【0085】
端末B-1は、センシングデータを有しているので、ステップS504において、端末B-1は、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末B-1からセンシングデータを受信する。
【0086】
端末B-1は、センシングデータを中継器Aに送信した後、ステップS505において、端末B-1は、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0087】
端末B-Xは、センシングデータを有しているので、ステップS506において、端末B-Xは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末B-Xからセンシングデータを受信する。
【0088】
端末B-Xは、センシングデータを中継器Aに送信した後、ステップS507において、端末B-Xは、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0089】
中継器Aは、端末B-1および端末B-Xからセンシングデータを受信した後、ステップS508において、中継器Aは、適宜、その上位の通信装置である別の中継器(例えば、
図2における中継器A-4)または基地局にセンシングデータを中継し、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0090】
端末B-Xは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS509において、センサ-Xは、温度などのセンシングデータを取得して端末B-Xに送信する。すなわち、端末B-Xは、センサ-Xからセンシングデータを取得する。
【0091】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS510において、端末B-1が動作休止モードにある間に、ポーリング信号を端末B-1に再度送信する。したがって、端末B-1は、ポーリング信号に応答せず、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末B-1からセンシングデータを受信しない。ステップS510’において、中継器Aは、ポーリング信号を端末B-Xに送信する。これらのポーリング信号は、複数の端末に、同時に(例えば、ブロードキャストによって)されてもよいし、または、順次に(または、ほぼ同時に)送信されてもよい。
【0092】
端末B-Xは、センシングデータを有しているので、ステップS511において、端末B-Xは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末B-Xからセンシングデータを受信する。
【0093】
端末B-Xは、センシングデータを中継器Aに送信した後、ステップS512において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0094】
中継器Aは、端末B-1からセンシングデータを受信していないが、端末B-Xからセンシングデータを受信したので、その後、ステップS513において、適宜、別の中継器または基地局にセンシングデータを中継し、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0095】
端末B-1は、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS514において、センサ-1は、温度などのセンシングデータを取得して端末B-1に送信する。すなわち、端末B-1は、センサ-1からセンシングデータを取得する。
【0096】
端末B-1は、センシングデータを有している間は、動作休止モードに遷移せず、ステップS515において、中継器Aからのポーリング信号を待つ。
【0097】
端末B-Xは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS516において、センサ-Xは、温度などのセンシングデータを取得して端末B-Xに送信する。すなわち、端末B-Xは、センサ-Xからセンシングデータを取得する。
【0098】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS517において、ポーリング信号を端末B-1に再度送信する。ステップS517’において、中継器Aは、ポーリング信号を端末B-Xに再度送信する。これらのポーリング信号は、複数の端末に、同時に(例えば、ブロードキャストによって)されてもよいし、または、順次に(または、ほぼ同時に)送信されてもよい。
【0099】
端末B-1は、センシングデータを有しているので、ステップS518において、端末B-1は、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末B-1からセンシングデータを受信する。
【0100】
端末B-1が、センシングデータを中継器Aに送信した後、次のセンシングタイミングになってしまったので、端末B-1が動作休止モードに遷移することなく、ステップS519において、センサ-1は、温度などのセンシングデータを取得して端末B-1に送信する。すなわち、端末B-1は、センサ-1からセンシングデータを取得する。そして、端末B-1は、センシングデータを有している間は、動作休止モードに遷移せず、中継器Aからのポーリング信号を待つ。
【0101】
端末B-Xは、センシングデータを有しているので、ステップS520において、端末B-Xは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末B-Xからセンシングデータを受信する。
【0102】
端末B-Xは、センシングデータを中継器Aに送信した後、ステップS521において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0103】
中継器Aは、端末B-1および端末B-Xからセンシングデータを受信した後、ステップS522において、適宜、別の中継器または基地局にセンシングデータを中継し、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0104】
以後、同様の処理が繰り返される。
【0105】
第2の例において、中継器Aからのポーリング信号に応答して、複数の端末B-1~B-Xのうちの2つ以上の端末がセンシングデータを中継器Aに送信する場合、これらの信号が衝突してしまう可能性がある。このような衝突を避けるために、CDMA(符号分割多元接続方式)、FDMA(周波数分割多元接続方式)、TDMA(時分割多元接続方式)などが用いられてよい。
【0106】
<端末と中継器との間のデータ通信の第3の例>
次に、
図7を参照して、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第3の例について説明する。
図7は、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第3の例を説明するためのシーケンス図である。第3の例では、端末Bからのデータの送信に対して、中継器Aが、端末Bから中継器Aにデータが届いたことを示すACK信号を返送し、端末BがACK信号を受信しなかった場合にデータを再送しないものとする。
【0107】
図7に示されている中継器Aは、例えば、
図3に示されている中継器A-6であってよく、
図7に示されている端末Bは、例えば、
図3に示されている端末B-1であってよい。ここで、端末Bは、上述した
図5および
図6に示されている例において説明した端末と同様に動作することができ、中継器Aは、上述した
図5および
図6に示されている例において説明した中継器と同様に動作することができる。
【0108】
ステップS601において、端末Bに接続されているセンサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0109】
ステップS602において、中継器Aは、ポーリング信号を端末Bに送信する。
【0110】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS603において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0111】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS604において、ACK信号を端末Bに返送し、適宜、その上位の通信装置である別の中継器(例えば、
図3における中継器A-4)または基地局にセンシングデータを中継する。次いで、ステップS605において、中継器Aは、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0112】
端末Bは、センシングデータを送信してから所定期間(例えば、3秒)内に、ステップS604において中継器Aが送信したACK信号を受信した場合、ACK信号の受信後に、ステップS606において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0113】
端末Bは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS607において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0114】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS608において、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。
【0115】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS609において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0116】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS610において、ACK信号を端末Bに返送し、適宜、その上位の通信装置である別の中継器または基地局にセンシングデータを中継する。次いで、ステップS611において、中継器Aは、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。ここで、ステップS610において通信エラーが生じたため、ACK信号が端末Bに届かなかったと仮定する。
【0117】
端末Bは、(通信エラーが理由で、)センシングデータを送信してから所定期間内に、ステップS610において中継器Aが送信したACK信号を受信できなかった場合、動作休止モードに遷移せず、定常モードのままである。中継器Aが端末BにACK信号を送信したときに通信エラーがあった場合には、中継器Aは、端末BがACK信号を受信したと認識して動作すればよく、端末Bは、中継器Aが端末BにACK信号を送信していないと認識して動作すればよい。
【0118】
ステップS612において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0119】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS613において、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。
【0120】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS614において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信する。ここで、ステップS614において通信エラーが生じたため、センシングデータが中継器Aに届かなかったと仮定する。
【0121】
中継器Aは、(通信エラーが理由で、)ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信しなかった場合、所定期間の経過後に、ステップS615において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。なお、ステップS615における遷移は実行されなくてもよく、中継器Aは、定常モードのままであってもよい。中継器Aは、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信しなかったので、ACK信号を端末Bに返送しない。この場合、中継器Aは、端末Bがセンシングデータを有していないと認識して動作し、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信したものとして動作する。したがって、この場合、1つのセンシングデータが欠落してしまうが、無線通信システム2は、わずかなデータの欠落を許容して動作を続行すればよい。
【0122】
以後、同様の処理が繰り返される。
【0123】
<端末と中継器との間のデータ通信の第4の例>
次に、
図8を参照して、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第4の例について説明する。
図8は、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第4の例を説明するためのシーケンス図である。第4の例では、端末Bからのデータの送信に対して、中継器Aが、端末Bから中継器Aにデータが届いたことを示すACK信号を返送し、端末BがACK信号を受信しなかった場合にデータを再送する。
【0124】
図8に示されている中継器Aは、例えば、
図3に示されている中継器A-6であってよく、
図8に示されている端末Bは、例えば、
図3に示されている端末B-1であってよい。ここで、端末Bは、上述した
図5~
図7に示されている例において説明した端末と同様に動作することができ、中継器Aは、上述した
図5~
図7に示されている例において説明した中継器と同様に動作することができる。
【0125】
ステップS701において、端末Bに接続されているセンサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0126】
ステップS702において、中継器Aは、ポーリング信号を端末Bに送信する。
【0127】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS703において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0128】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS704において、中継器Aは、ACK信号を端末Bに返送し、適宜、その上位の通信装置である別の中継器(例えば、
図3における中継器A-4)または基地局にセンシングデータを中継する。次いで、ステップS705において、中継器Aは、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0129】
端末Bは、センシングデータを送信してから所定期間内に、ステップS704において中継器Aが送信したACK信号を受信した場合、ACK信号の受信後に、ステップS706において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0130】
端末Bは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS707において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0131】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS708において、中継器Aは、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。
【0132】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS709において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信し、中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0133】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS710において、ACK信号を端末Bに返送し、適宜、その上位の通信装置である別の中継器または基地局にセンシングデータを中継する。次いで、ステップS711において、中継器Aは、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。ここで、ステップS710において通信エラーが生じたため、ACK信号が端末Bに届かなかったと仮定する。
【0134】
端末Bは、(通信エラーが理由で、)センシングデータを送信してから所定期間内に、ステップS710において中継器Aが送信したACK信号を受信できなかった場合、ステップS712において、センシングデータを中継器Aに再送する。ここで、中継器Aは、動作休止モードにあるため、センシングデータを受信せず、よって、ACK信号を端末Bに返送しない。
【0135】
したがって、端末Bは、センシングデータを再送してから所定期間内に、ACK信号を受信しないので、ステップS713において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに繰り返し再送する。
【0136】
端末Bによるセンシングデータの再送は、中継器AからのACK信号が端末Bに届くまで無制限に繰り返されてもよいし、または、所定の上限再送回数に達するまで繰り返されてもよい。
【0137】
ステップS714において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0138】
中継器Aは、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS715において、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。
【0139】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS716において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに送信する。ここで、ステップS716において通信エラーが生じたため、センシングデータが中継器Aに届かなかったと仮定する。
【0140】
中継器Aは、(通信エラーが理由で、)端末Bからセンシングデータを受信しなかった場合、動作休止モードに遷移せず、定常モードのままであり、次のポーリング信号の送信まで待機する。なお、この場合、中継器Aは、動作休止モードに遷移してもよい。
【0141】
中継器Aは、センシングデータを受信しないので、ACK信号を端末Bに返送しない。
【0142】
したがって、端末Bは、センシングデータを再送してから所定期間内に、ACK信号を受信しないので、ステップS717において、端末Bは、センシングデータを中継器Aに再送する。
【0143】
中継器Aは、次のポーリング信号の送信まで待機している間に、ステップS718において、再送されたセンシングデータを受信することができる。
【0144】
中継器Aは、端末Bからセンシングデータを受信した後、ステップS719において、ACK信号を端末Bに返送し、適宜、その上位の通信装置である別の中継器または基地局にセンシングデータを中継する。次いで、ステップS720において、中継器Aは、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器Aがポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0145】
端末Bは、センシングデータを再送してから所定期間内に、ステップS720において中継器Aが送信したACK信号を受信した場合、ACK信号の受信後に、ステップS721において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0146】
以後、同様の処理が繰り返される。
【0147】
第4の例において、中継器AからのACK信号が端末Bに届かず、かつ、センシングデータの再送を1回以上行っている間に、端末Bが次のセンシングデータを取得した場合、端末Bは、センシングデータの再送を止めてもよい。その際に、端末Bは、記憶装置32からセンシングデータを削除してもよい。
【0148】
第4の例では、端末Bからのデータの送信に対して、中継器AがACK信号を返送し、端末BがACK信号を受信しなかった場合にデータを再送するので、データが欠落する確率を下げることができる。
【0149】
<端末と中継器との間のデータ通信の第5の例>
次に、
図9を参照して、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第5の例について説明する。
図9は、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器との間のデータ通信の第5の例を説明するためのシーケンス図である。
【0150】
図9に示されている中継器A-1は、例えば、
図3に示されている中継器A-4であってよく、
図9に示されている中継器A-2は、例えば、
図3に示されている中継器A-6であってよく、
図9に示されている端末Bは、例えば、
図3に示されている端末B-1であってよい。ここで、端末Bは、上述した
図5~
図8に示されている例において説明した端末と同様に動作することができ、中継器A-1および中継器A-2の各々は、上述した
図5~
図8に示されている例において説明した中継器と同様に動作することができる。
【0151】
ステップS801において、端末Bに接続されているセンサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0152】
ステップS802において、中継器A-2は、ポーリング信号を端末B-1に送信する。
【0153】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS803において、端末Bは、センシングデータを中継器A-2に送信し、中継器A-2は、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0154】
端末Bは、センシングデータを中継器A-2に送信した後、ステップS804において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0155】
中継器A-2は、端末Bからセンシングデータを受信した後、動作休止モードに遷移せず、中継器A-1からのポーリング信号を待つ。
【0156】
ステップS805において、中継器A-1は、ポーリング信号を中継器A-2に送信する。
【0157】
中継器A-2は、端末Bから受信したセンシングデータを有しているので、ステップS806において、中継器A-2は、センシングデータを中継器A-1に送信し、中継器A-1は、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、中継器A-2からセンシングデータを受信する。
【0158】
中継器A-2は、センシングデータを中継器A-1に送信した後、ステップS807において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器A-2がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0159】
中継器A-1は、中継器A-2からセンシングデータを受信した後、ステップS808において、適宜、別の中継器(例えば、
図3における中継器A-2)または基地局にセンシングデータを中継し、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器A-1がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0160】
中継器A-2は、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS809において、中継器A-2は、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。上記の例と同様に、端末Bが動作休止モードにある場合には、中継器A-2は、端末Bからセンシングデータを受信せず、端末Bがセンシングデータを有している場合には、中継器A-2は、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信することもあるし、または、受信しないこともある。いずれにしても、上記の例と同様に、所定期間の経過後に、ステップS810において、中継器A-2は、動作休止モードに遷移したと仮定する。
【0161】
中継器A-1は、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS811において、中継器A-2が動作休止モードにある間に、ポーリング信号を中継器A-2に再度送信する。したがって、中継器A-2は、ポーリング信号に応答せず、センシングデータを中継器A-1に送信しない。
【0162】
中継器A-1は、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、中継器A-2からセンシングデータを受信しなかった場合、所定期間の経過後に、ステップS812において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器A-1がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。なお、ステップS812における遷移は実行されなくてもよく、中継器A-1は、定常モードのままであってもよい。
【0163】
端末Bは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS813において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0164】
端末Bは、センシングデータを有している間は、動作休止モードに遷移せず、ステップS814において、中継器A-2からのポーリング信号を待つ。
【0165】
中継器A-2は、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS815において、ポーリング信号を端末Bに再度送信する。
【0166】
端末Bは、センシングデータを有しているので、ステップS816において、端末Bは、センシングデータを中継器A-2に送信し、中継器A-2は、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、端末Bからセンシングデータを受信する。
【0167】
端末Bは、センシングデータを中継器A-2に送信した後、ステップS817において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、次のセンシングタイミングまで続く。
【0168】
中継器A-2は、端末Bからセンシングデータを受信した後、動作休止モードに遷移せず、中継器A-1からのポーリング信号を待つ。
【0169】
中継器A-1は、ポーリング信号を送信する次のタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS818において、ポーリング信号を中継器A-2に再度送信する。
【0170】
中継器A-2は、端末Bから受信したセンシングデータを有しているので、ステップS819において、中継器A-2は、センシングデータを中継器A-1に送信し、中継器A-1は、ポーリング信号を送信してから所定期間内に、中継器A-2からセンシングデータを受信する。
【0171】
中継器A-2は、センシングデータを中継器A-1に送信した後、ステップS820において、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器A-2がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0172】
中継器A-1は、中継器A-2からセンシングデータを受信した後、ステップS821において、適宜、別の中継器または基地局にセンシングデータを中継し、動作休止モードに遷移する。動作休止モードは、中継器A-1がポーリング信号を送信する次のタイミングまで続く。
【0173】
以後、同様の処理が繰り返される。例えば、端末Bは、次のセンシングタイミングで、定常モードに遷移し、ステップS822において、センサは、温度などのセンシングデータを取得して端末Bに送信する。すなわち、端末Bは、センサからセンシングデータを取得する。
【0174】
第5の例において、2段の中継器が存在しているが、3段以上の中継器が存在してもよい。例えば、上述した中継器A-1の上位に中継器A-0がさらに存在する場合、中継器A-1は、中継器A-1に対する中継器A-2の動作と同様に、中継器A-0に対して動作することができる。また、第5の例において、中継器A-1の代わりに、基地局が存在してもよく、基地局が、中継器A-1と同様に動作してもよい。
【0175】
<端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例>
次に、
図10A~
図10Dを参照して、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例について説明する。
図10A~
図10Dは、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択の例を説明するための図である。
図10Aに示されている例では、点線間の間隔は1秒を表す。また、
図10Aに示されている例では、端末B(より具体的には、端末Bに備えられているセンサ)によるセンシングは、タイミング図の立ち上がりエッジのタイミングで行われる。さらに、
図10Aに示されている例では、中継器A-1および中継器A-2によるデータ収集は、タイミング図の立ち上がりエッジのタイミングで行われる。タイミング図のHigh期間およびLow期間はそれぞれ、定常モードおよび動作休止モードを表す。
【0176】
図10A~
図10Dに示されている中継器A-1は、例えば、
図3に示されている中継器A-3であってよく、
図10A~
図10Dに示されている中継器A-2は、例えば、
図3に示されている端末A-6であってよく、
図10A~
図10Dに示されている端末Bは、例えば、
図3に示されている端末B-1であってよい。また、
図10Cに示されている中継器A-3および基地局はそれぞれ、例えば、
図3に示されていない中継器および基地局であってよい。ここで、端末Bは、上述した
図5~
図9に示されている例において説明した端末と同様に動作することができ、中継器A-1および中継器A-2の各々は、上述した
図5~
図9に示されている例において説明した中継器と同様に動作することができる。
【0177】
図10Aに示されているように、端末Bは、中継器A-1および中継器A-2の両方に接続することができる。
【0178】
また、
図10Aに示されているように、端末B(に接続されているセンサ)のセンシング間隔は7秒であり、中継器A-1のポーリング間隔は11秒であり、中継器A-2のポーリング間隔は5秒であると仮定する。
【0179】
このような状況において、端末Bは、中継の接続を固定せず、中継できる可能性が一番早い経路で中継するように、センシングデータを送信する送信先の中継器を選択することができる。
【0180】
例えば、
図10Aに示されている1番目に取得されたセンシングデータについては、端末Bは、そのセンシングデータの送信先として、遅延が小さい中継器A-2を選択することができる。また、例えば、
図10Aに示されている2番目に取得されたセンシングデータについては、端末Bは、そのセンシングデータの送信先として、遅延が小さい中継器A-2を選択することができる。また、例えば、
図10Aに示されている3番目に取得されたセンシングデータについては、端末Bは、そのセンシングデータの送信先として、遅延が小さい中継器A-2を選択することができる。また、例えば、
図10Aに示されている4番目に取得されたセンシングデータについては、端末Bは、そのセンシングデータの送信先として、遅延が小さい中継器A-1を選択することができる。
【0181】
ここで、上記の経路(中継器)選択は、中継器A-1および中継器A-2がいずれも最終的に基地局へ通じるパスを有していることを前提としている。すなわち、上位へのパスを有していない中継器は、ポーリング信号を端末Bに送信しない。例えば、
図10Bおよび
図10Cに示されているケースでは、端末Bは、中継器A-1および中継器A-2から、センシングデータを送信する送信先の中継器を選択する。一方、
図10Dに示されているケースでは、中継器A-2が基地局へのパスを有していないため、中継器A-2は、ポーリング信号を端末Bに送信せず、端末Bは、センシングデータを送信する送信先の中継器として、中継器A-1を必然的に選択する。
【0182】
図10A~
図10Dに示されている例において、2つの中継器が端末Bに接続できるが、3つ以上の中継器が端末に接続できる場合であっても、端末Bは、上記と同様に、3つ以上の中継器から、遅延が最も小さい中継器を選択することができるのは言うまでもない。
【0183】
また、中継器が複数の他の中継器に接続できる場合にも、中継器は、端末と同様に、複数の他の中継器から、センシングデータを送信する中継器を選択することができるのは言うまでもない。
【0184】
上記の構成により、端末の観点からは、複数の中継器からのポーリングのうち最も早くデータを送信できる送信先の中継器にデータを送信することによって、端末が動作休止モードにある時間を長くすることができ、端末の省電力化を図ることができる。
【0185】
また、上記の構成により、中継器の観点からは、複数の中継器のうちの一部の中継器のポーリング間隔を長めにしてもよく、そのような中継器の電池切れや無線エラーなどのリスクを回避することもできる。
【0186】
<端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択のさらなる例>
次に、
図11を参照して、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択のさらなる例について説明する。
図11は、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2における端末と中継器と基地局との間のデータ通信の経路選択のさらなる例を説明するための図である。
【0187】
図11に示されている端末群、中継器群、および基地局はそれぞれ、例えば、
図3に示されている端末群、中継器群、および基地局と同一である。ここで、
図11に示されている端末群の各々は、上述した
図5~
図10Dに示されている例において説明した端末と同様に動作することができ、
図11に示されている中継器群の各々は、上述した
図5~
図10Dに示されている例において説明した中継器と同様に動作することができる。
【0188】
図11に示されている通信装置の各々は、
図11における矢印によって示されているように他の通信装置に接続することができる。また、
図11に示されているように、通信装置の各々には、階層が設定されている。通信装置の各々は、自身の階層を把握しており、階層番号は、0以上の整数をとると仮定する。ここで、通信装置の階層番号は、階層番号が0である基地局からの階層の深さを表す。なお、階層は、中継器を設置するときに設定されるが、置局設計している場合には最初から設定可能であり、置局設計しない場合には通信装置がイニシャルモードに最初に入るようにさせることによって設定される。このことについては、
図13A~
図13Eを参照して後述する。
【0189】
この例では、中継器は、下位階層の(すなわち、どの階層にあるかを示す階層番号が大きい)通信装置から、ポーリング信号に対する応答があった場合に、上位階層の(すなわち、階層番号が小さい)通信装置があれば、上位階層の通信装置に対して中継を行う。ここで、中継器は、ポーリング信号に中継器の階層番号を含めて、下位階層の通信装置にポーリング信号を送信する。また、ポーリング信号を受信した通信装置は、ポーリング信号に含まれる階層番号が当該通信装置の階層番号よりも小さい場合に、ポーリング信号に応答して、センシングデータを中継器に送信する。
【0190】
例えば、階層番号が3である中継器A-6が、階層番号が4である端末B-1に、階層番号「3」を含むポーリング信号を送信した場合、端末B-1は、ポーリング信号に含まれる階層番号「3」が端末B-1の階層番号「4」よりも小さいので、ポーリング信号に応答して、センシングデータを中継器A-6に送信する。そして、中継器A-6が、端末B-1からセンシングデータを受信し、階層番号が2である中継器A-4が、階層番号「2」を含むポーリング信号を中継器A-6に送信した場合、中継器A-6は、ポーリング信号に含まれる階層番号「2」が中継器A-6の階層番号「3」よりも小さいので、ポーリング信号に応答して、センシングデータを中継器A-4に送信する。
【0191】
ポーリング信号を受信した通信装置は、当該通信装置の階層番号よりも1だけ小さい階層番号を有する通信装置にしかセンシングデータを送信できないわけではなく、当該通信装置の階層番号よりも2以上小さい階層番号を有する通信装置にセンシングデータを送信してもよい。
【0192】
例えば、端末B-1は、階層番号が3である中継器A-6の配下にあるとともに、階層番号が2である中継器A-3の配下にある。このような状況では、端末B-1は、中継器A-6からもポーリング信号を受信するし、中継器A-3からもポーリング信号を受信する。この場合、中継器A-6を経由するルートでのポーリング信号の送信およびセンシングデータの送信が元々予定されていたとしても、端末B-1は、中継器A-3からポーリング信号を受信したときには、センシングデータを中継器A-3に送信してもよい。
【0193】
同様に、中継器A-6は、階層番号が2である中継器A-4の代わりに、階層番号が1である中継器A-2にセンシングデータを中継してもよい。
【0194】
このように、複数の中継ルートが存在する場合があり、この場合、通信装置は、無線通信システム2のネットワークトポロジーを把握しているならば、例えば、センシングデータの最終宛先である基地局までのホップ数に基づいて、最短ルートを選択してもよい。
【0195】
上記のようにして階層を飛ばすことで、ルートを短くすることができるが、最短ルートが必ずしも最適ルートであるとは限らない。例えば、最短ルートの無線通信品質がよくなかったり、上位階層の方でルート長が逆転したりしている状況も存在するからである。したがって、通信装置は、そのような状況を把握している場合には、最短ルート以外のルートを選択してもよい。
【0196】
また、通信装置が、過去に、階層番号がXである別の通信装置からポーリング信号を受信したことがあれば、通信装置は、階層番号がX+1であるさらに別の通信装置からポーリング信号を受信しても、さらに別の通信装置にセンシングデータを送信せず、別の通信装置からのポーリング信号を待つようにしてもよい。そして、通信装置は、さらに別の通信装置からポーリング信号を受信してから所定期間内に、別の通信装置からポーリング信号を受信すれば、別の通信装置にセンシングデータを送信し、所定期間内に、別の通信装置からポーリング信号を受信しなければ、さらに別の通信装置にセンシングデータを送信してもよい。例えば、通信装置は、他の通信装置との過去の通信に関する履歴データ(他の通信装置の識別情報および階層番号などを含む)を記憶装置に記憶しておき、履歴データに基づいて送信先の通信装置を選択することによって、このようにセンシングデータを最短ルートで送信することが可能になる。
【0197】
また、通信装置は、遅延が(最も)小さい別の通信装置を送信先として選択する代わりに、通信品質(電波状況(強弱)など)に基づいて、送信先の通信装置を選択してもよい。
【0198】
したがって、通信装置は、通信装置がその記憶装置32に記憶している無線通信システム2のネットワークトポロジーに基づいて、複数の中継器から受信したポーリング信号のうちどのポーリング信号に応答するかを決定し、この決定に基づいて、送信先の通信装置を選択してもよい。
【0199】
上記の構成により、中継器の設置のしかたに関わらず、最適なネットワークトポロジーが構築されうる。
【0200】
<階層構造に基づく端末と中継器と基地局との間のデータ通信の例>
次に、
図12Aおよび
図12Bを参照して、
図11の階層構造に基づく端末と中継器と基地局との間のデータ通信の一例について説明する。
図12Aおよび
図12Bは、本開示の実施の形態1に係る、
図11の階層構造に基づく端末と中継器と基地局との間のデータ通信の例を説明するためのタイミング図である。
図12Aおよび
図12Bはそれぞれ、異なるルートでデータが中継される第1のシナリオおよび第2のシナリオを示している。
【0201】
まず、第1のシナリオについて説明する。
【0202】
ステップS1101において、端末B-1に接続されているセンサ-1は、温度などのセンシングデータを取得して端末B-1に送信する。すなわち、端末B-1は、センサ-1からセンシングデータを取得する。
【0203】
ステップS1102において、中継器A-6は、ポーリング信号に中継器A-6の階層「3」を含めて、ポーリング信号を端末B-1に送信する。
【0204】
端末B-1が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「3」が端末B-1の階層番号「4」よりも小さいので、ステップS1103において、端末B-1は、センシングデータを中継器A-6に送信する。
【0205】
ステップS1104において、中継器A-3は、ポーリング信号に中継器A-3の階層番号「2」を含めて、ポーリング信号を端末B-1に送信する。しかしながら、上記のように、端末B-1は、ステップS1102において中継器A-6が送信したポーリング信号に応答して、センシングデータを中継器A-6に既に送信しているので、中継器A-3にはセンシングデータを送信しない。
【0206】
ステップS1105において、中継器A-4は、ポーリング信号に中継器A-4の階層番号「2」を含めて、ポーリング信号を中継器A-6に送信する。
【0207】
中継器A-6が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「2」が中継器A-6の階層番号「3」よりも小さいので、ステップS1106において、中継器A-6は、センシングデータを中継器A-4に送信する。
【0208】
ステップS1107において、中継器A-5は、ポーリング信号に中継器A-5の階層番号「2」を含めて、ポーリング信号を中継器A-6に送信する。ステップS1108において、中継器A-2は、ポーリング信号に中継器A-2の階層番号「1」を含めて、ポーリング信号を中継器A-6に送信する。しかしながら、上記のように、中継器A-6は、ステップS1105において中継器A-4が送信したポーリング信号に応答して、センシングデータを中継器A-4に既に送信しているので、中継器A-5および中継器A-2にはセンシングデータを送信しない。
【0209】
ステップS1109において、中継器A-2は、ポーリング信号に中継器A-2の階層番号「1」を含めて、ポーリング信号を中継器A-4に送信する。
【0210】
中継器A-4が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「1」が中継器A-4の階層番号「2」よりも小さいので、ステップS1110において、中継器A-4は、センシングデータを中継器A-2に送信する。
【0211】
ステップS1111において、基地局は、ポーリング信号に基地局の階層番号「0」を含めて、ポーリング信号を中継器A-2に送信する。あるいは、階層番号を含まないポーリング信号が基地局からのポーリング信号であると予め定められている場合には、基地局は、階層番号「0」を含まないポーリング信号を中継器A-2に送信してもよい。
【0212】
中継器A-2が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「0」が中継器A-2の階層番号「1」よりも小さいので(あるいは、階層番号を含まないポーリング信号が基地局からのポーリング信号であると中継器A-2は認識しているので)、ステップS1112において、中継器A-2は、センシングデータを基地局に送信する。
【0213】
このようにして、第1のシナリオでは、センシングデータが、端末B-1から、中継器A-6、中継器A-4、および中継器A-2を順に経由して、基地局に報告される。
【0214】
次いで、第2のシナリオについて説明する。
【0215】
ステップS1151において、中継器A-6は、ポーリング信号に中継器A-6の階層番号「3」を含めて、ポーリング信号を端末B-1に送信する。ここで、端末B-1が動作休止モードにあると仮定する。したがって、端末B-1は、中継器A-6からのポーリング信号に応答しない。
【0216】
端末B-1は定常モードに遷移し、ステップS1152において、端末B-1に接続されているセンサ-1は、温度などのセンシングデータを取得して端末B-1に送信する。すなわち、端末B-1は、センサ-1からセンシングデータを取得する。
【0217】
ステップS1153において、中継器A-3は、ポーリング信号に中継器A-3の階層番号「2」を含めて、ポーリング信号を端末B-1に送信する。
【0218】
端末B-1が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「2」が端末B-1の階層番号「4」よりも小さいので、ステップS1154において、端末B-1は、センシングデータを中継器A-3に送信する。
【0219】
ステップS1155において、中継器A-1は、ポーリング信号に中継器A-1の階層番号「1」を含めて、ポーリング信号を中継器A-3に送信する。
【0220】
中継器A-3が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「1」が中継器A-3の階層番号「2」よりも小さいので、ステップS1156において、中継器A-3は、センシングデータを中継器A-1に送信する。
【0221】
ステップS1157において、基地局は、ポーリング信号に基地局の階層番号「0」を含めて、ポーリング信号を中継器A-1に送信する。あるいは、階層番号を含まないポーリング信号が基地局からのポーリング信号であると予め定められている場合には、基地局は、階層番号「0」を含まないポーリング信号を中継器A-1に送信してもよい。
【0222】
中継器A-1が、センシングデータを有しており、ポーリング信号に含まれる階層番号「0」が中継器A-1の階層番号「1」よりも小さいので(あるいは、階層番号を含まないポーリング信号が基地局からのポーリング信号であると中継器A-1は認識しているので)、ステップS1158において、中継器A-1は、センシングデータを基地局に送信する。
【0223】
ステップS1159において、中継器A-6は、ポーリング信号に中継器A-6の階層番号「3」を含めて、ポーリング信号を端末B-1に送信する。しかしながら、上記のように、端末B-1は、ステップS1153において中継器A-3が送信したポーリング信号に応答して、センシングデータを中継器A-3に既に送信しているので、中継器A-6にはセンシングデータを送信しない。
【0224】
このようにして、第2のシナリオでは、センシングデータが、端末B-1から、中継器A-3および中継器A-1を順に経由して、基地局に報告される。
【0225】
第1のシナリオにおいて、端末B-1は、ポーリング信号を受信したのが結果的に早い方の中継器A-6にセンシングデータを直ちに送信しているが、端末B-1は、中継器A-6からポーリング信号を受信した後、他の通信装置からのポーリング信号を所定期間待ってもよい。この場合、例えば、端末B-1が、所定期間内に中継器A-3からポーリング信号を受信したならば、中継器A-6からの方がポーリング信号を受信したのが早いので、端末B-1は、中継器A-6が送信したポーリング信号に応答することを決定してもよい。また、端末B-1が、中継器A-6からポーリング信号を受信した後、他の通信装置からのポーリング信号を所定期間待つ場合には、中継器A-3を経由するルートが最短ルートであるので、上述したように、端末B-1は、中継器A-6の代わりに、中継器A-3を選択してもよい。また、第1のシナリオにおいて、中継器A-6の電波状況および中継器A-3の電波状況を考慮して、中継器A-3の電波の方が強い場合、上述したように、端末B-1は、中継器A-6の代わりに、中継器A-3を選択してもよい。なお、センシングデータの送信先についての選択の方法は、中継器についても同様に当てはまる。
【0226】
<無線通信システムを構成するネットワークの階層の設定の例>
次に、
図13A~
図13Eを参照して、
図11並びに
図12Aおよび
図12Bに示されているような、無線通信システム2を構成するネットワークの階層がどのように設定されるかの一例について説明する。
図13A~
図13Eは、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2を構成するネットワークの階層の設定の一例を時系列に説明するための図である。なお、
図13A~
図13Eでは、以下で説明する短周期ポーリングモードおよび定常モードが、それぞれ、「短周期」および「定常」と略されていることがある。
【0227】
まず、基地局が、短周期ポーリングモードになり、すべての中継器および端末が、イニシャルモードになる。なお、一般に、通信装置は、起動されたときにはイニシャルモードになる。ここで、短周期ポーリングモードとは、短周期ポーリング信号を送信する(短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う)モードを意味し、イニシャルモードとは、短周期ポーリング信号を待つモードを意味する。また、短周期ポーリング信号とは、無線通信システム2を構成するネットワークの階層を設定するためにブロードキャストされる信号であって、ビーコン信号のように短周期で送信される信号を意味する。基地局は、階層番号「0」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。そして、この短周期ポーリング信号を受信した中継器または端末だけが、自身の階層番号を「1」に設定して、短周期ポーリングモードに遷移し、階層番号「1」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。このことが、
図13Aおよび
図13Bに示されている。
【0228】
基地局が、中継器または端末から短周期ポーリング信号または応答を受信し、かつ、短周期ポーリング信号を送信してから一定時間(例えば、30秒)が経過した場合、一定時間の経過後に、基地局は定常モードに遷移する。すなわち、定常モードにある基地局の配下には、1つ以上の中継器および端末のうちの少なくとも一方が必ず存在することになる。このことが、
図13Bおよび
図13Cに示されている。
【0229】
イニシャルモードにある中継器は、短周期ポーリング信号を受信するまでイニシャルモードのままである。そして、イニシャルモードにある中継器は、短周期ポーリング信号を受信すると、当該中継器の階層番号を「短周期ポーリング信号に含まれる階層番号+1」に設定して、短周期ポーリングモードに遷移し、当該中継器の階層番号を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。このことが、
図13B~
図13Dに示されている。
【0230】
イニシャルモードにある端末は、短周期ポーリング信号を受信するまでイニシャルモードのままである。そして、イニシャルモードにある端末は、短周期ポーリング信号を受信すると、当該端末の階層番号を「短周期ポーリング信号に含まれる階層番号+1」に設定して、短周期ポーリング信号を送信した基地局または中継器に、短周期ポーリング信号を受信したことを示す応答を返し、定常モードに遷移する。このことが、
図13Dおよび
図13Eに示されている。
【0231】
短周期ポーリングモードに遷移した中継器は、下位階層の中継器からの短周期ポーリング信号(当該中継器の階層番号よりも大きい階層番号を含む)または端末からの応答を受信しても受信しなくても、短周期ポーリング信号を送信してから一定時間(例えば、30秒)が経過した場合、一定時間の経過後に、定常モードに遷移する。すなわち、定常モードにある中継器の配下には、1つ以上の中継器および端末のうちの少なくとも一方が必ずしも存在するわけではない。
【0232】
そして、イニシャルモードのままの中継器および端末は、定常モードにある基地局または中継器からポーリング信号を受信した場合、当該中継器および端末の階層番号を「ポーリング信号に含まれる階層番号+1」に設定して、定常モードに遷移してよい。
【0233】
上記の動作を繰り返すことにより、
図13Eに示されているように、最終的には、通信装置群の階層が、自動的に設定されて形成される。
【0234】
<無線通信システムを構成するネットワークの階層を設定するフローの例>
次に、
図14を参照して、
図13A~
図13Eの無線通信システム2を構成するネットワークの階層を設定するフローの一例について説明する。
図13は、本開示の実施の形態1に係る、
図13A~
図13Eの無線通信システム2を構成するネットワークの階層を設定するフローの一例を説明するためのシーケンス図である。
【0235】
なお、
図14では、イニシャルモード、短周期ポーリングモード、および定常モードが、それぞれ、「イニシャル」、「短周期」、および「定常」と略されている。また、
図14では、短周期ポーリング信号が、ほぼ同じタイミングで送信されているものとして記載されていることもあるが、実際には、短周期ポーリング信号は、ブロードキャストによって同時に送信されている。
【0236】
まず、上述したように、基地局が短周期ポーリングモードになり、すべての中継器および端末がイニシャルモードになる。
【0237】
ステップS1301において、基地局は、階層番号「0」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。
【0238】
基地局からの短周期ポーリング信号を受信した中継器A-1および中継器A-2はそれぞれ、ステップS1302およびステップS1303において、中継器A-1および中継器A-2の階層番号を「1(=0+1)」に設定して、短周期ポーリングモードに遷移する。次いで、中継器A-1および中継器A-2はそれぞれ、ステップS1304およびステップS1305において、階層番号「1」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。ここで、中継器A-6には、ステップS1305において中継器A-2が送信した短周期ポーリング信号が届かなかったものと仮定する。
【0239】
中継器A-1からの短周期ポーリング信号を受信した中継器A-3は、ステップS1306において、中継器A-3の階層番号を「2(=1+1)」に設定して、短周期ポーリングモードに遷移する。次いで、中継器A-3は、ステップS1310において、階層番号「2」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。ここで、端末B-1には、ステップS1310において中継器A-3が送信した短周期ポーリング信号が届かなかったものと仮定する。
【0240】
中継器A-2からの短周期ポーリング信号を受信した中継器A-4および中継器A-5はそれぞれ、ステップS1307およびステップS1308において、中継器A-4および中継器A-5の階層番号を「2(=1+1)」に設定して、短周期ポーリングモードに遷移する。次いで、中継器A-4および中継器A-5はそれぞれ、ステップS1311およびステップS1312において、階層番号「2」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。
【0241】
基地局が、ステップS1304およびステップS1305においてそれぞれ中継器A-1が送信した短周期ポーリング信号および中継器A-2が送信した短周期ポーリング信号を受信し、かつ、ステップS1301において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1309において、基地局は定常モードに遷移する。
【0242】
中継器A-5からの短周期ポーリング信号を受信した端末B-3は、ステップS1313において、端末Bの階層番号を「3(=2+1)」に設定して、短周期ポーリング信号を受信したことを示す応答を中継器A-5に返送し、定常モードに直ちに遷移する。
【0243】
中継器A-5からの短周期ポーリング信号よりも結果的に早く、中継器A-4からの短周期ポーリング信号を受信した中継器A-6は、ステップS1316において、中継器A-4からの短周期ポーリング信号に応答して、中継器A-6の階層番号を「3(=2+1)」に設定して、短周期ポーリングモードに遷移する。次いで、中継器A-6は、ステップS1317において、階層番号「3」を含む短周期ポーリング信号を用いて、ブロードキャストを行う。
【0244】
短周期ポーリングモードにある中継器A-1は、ステップS1304において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1314において、定常モードに遷移する。なお、中継器A-1は、ステップS1304において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過するまでの間に、ステップS1310において中継器A-3が送信した短周期ポーリング信号を受信している。
【0245】
短周期ポーリングモードにある中継器A-2は、ステップS1305において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1315において、定常モードに遷移する。なお、中継器A-2は、ステップS1305において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過するまでの間に、ステップS1311およびステップS1312においてそれぞれ中継器A-4が送信した短周期ポーリング信号および中継器A-5が送信した短周期ポーリング信号を受信している。
【0246】
中継器A-6からの短周期ポーリング信号を受信した端末B-1は、ステップS1318において、端末B-1の階層番号を「4(=3+1)」に設定して、短周期ポーリング信号を受信したことを示す応答を中継器A-6に返送し、定常モードに直ちに遷移する。
【0247】
中継器A-6からの短周期ポーリング信号を受信した端末B-2は、ステップS1319において、端末B-2の階層番号を「4(=3+1)」に設定して、短周期ポーリング信号を受信したことを示す応答を中継器A-6に返送し、定常モードに直ちに遷移する。
【0248】
短周期ポーリングモードにある中継器A-3は、ステップS1310において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1320において、定常モードに遷移する。なお、中継器A-3は、ステップS1310において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過するまでの間に、短周期ポーリング信号または応答を受信しておらず、中継器A-3の配下には、他の中継器も端末も存在しない。
【0249】
短周期ポーリングモードにある中継器A-4は、ステップS1311において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1321において、定常モードに遷移する。なお、中継器A-4は、ステップS1311において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過するまでの間に、ステップS1317において中継器A-6が送信した短周期ポーリング信号を受信している。
【0250】
短周期ポーリングモードにある中継器A-5は、ステップS1312において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1322において、定常モードに遷移する。なお、中継器A-5は、ステップS1312において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過するまでの間に、ステップS1313において端末B-3が送信した応答を受信している。
【0251】
短周期ポーリングモードにある中継器A-6は、ステップS1317において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過した場合、一定時間の経過後に、ステップS1323において、定常モードに遷移する。なお、中継器A-6は、ステップS1317において短周期ポーリング信号を送信してから一定時間が経過するまでの間に、ステップS1318およびステップS1319においてそれぞれ端末B-1が送信した応答および端末B-2が送信した応答を受信している。
【0252】
このように、上記のステップを含む階層自動設定処理によって、
図13Eに示されているように、最終的には、通信装置群の階層が、自動的に設定されて形成される。
【0253】
<無線通信システムを構成するネットワークの階層の再設定の例>
次に、無線通信システム2を構成するネットワークの階層の再設定の例について説明する。
【0254】
図13Eに示されているような、無線通信システム2を構成するネットワークの階層は、無線通信システム2を構成するネットワークの構成に変化が生じたことに応じて、見直されて、例えば上記の階層自動設定処理によって再設定されてもよい。例えば、このような再設定は、深夜などでシステムが暫く稼働しなくてよい時間帯などにおいて実施されてもよいし、または、中継器および端末のうちの一部のバッテリを交換したり、中継器または端末を新規に追加したりするときに実施されてもよい。このような再設定の方法は、例えば、上記の階層自動設定処理に対応しうる、以下の第1の方法~第3の方法を含む。
【0255】
(第1の方法)
第1の方法では、基地局、中継器、および端末をすべて(例えばオペレータによって)手動でリセットし、すべての通信装置がイニシャルモードに入るようにさせ、その後、
図13A~
図14を参照して説明したように、無線通信システム2を構成するネットワークの階層を設定する。
【0256】
(第2の方法)
第2の方法では、まず、基地局が、リセットポーリング信号を送信し、リセットポーリング信号を受信した中継器が、階層に従って、リセットポーリング信号を下位階層の中継器または端末に中継する。基地局および中継器は、一定の回数リセットポーリング信号を送信した後、イニシャルモードに遷移する。端末は、リセットポーリングを受信すると直ちにイニシャルモードに遷移する。その後、
図13A~
図14を参照して説明したように、無線通信システム2を構成するネットワークの階層を設定する。
【0257】
(第3の方法)
第3の方法では、中継器および端末のうちの一部だけを、例えば、手動で、または、そのIDを指定したリセットポーリング信号を送信することによって、リセットする。次いで、リセットされたイニシャルモードにある中継器または端末が、センシングデータを有しているか否かを確認するための上述した通常のポーリング信号を受信することによって、定常モードに遷移する。中継器および端末の各々は、ネットワークトポロジー上は直上位に1つの通信装置を有するだけである。しかしながら、中継器および端末の各々は、ネットワークトポロジー上の直上位の通信装置以外の通信装置との間で、上述した通常のポーリング信号を受信することが可能であり、データを送信することも可能である。そして、中継器および端末の各々は、このような通信装置から通常のポーリング信号を受信したことに応じて、どの通信装置の配下になるかを切り替えることもできるし、複数の通信装置の配下になることもできる。
【0258】
(第3の方法の例)
次に、
図15A~
図15Dを参照して、上述した第3の方法の一例について説明する。
図15A~
図15Dは、本開示の実施の形態1に係る、無線通信システム2を構成するネットワークの階層の再設定の一例を時系列に説明するための図である。
【0259】
図15Aは、
図13Eに示されているのと同一の無線通信システム2を構成するネットワークの階層構造を示している。ここで、中継器A-4および端末B-1が、バッテリ交換のため、
図15Bに示されるように、階層構造から除去されると仮定する。
【0260】
図15Aにて中継器A-4の配下であった中継器A-6は、
図15Bに示されるように、定常モードにある中継器A-5からポーリング信号を受信すると、中継器A-5の配下になり、定常モードに遷移する。その後、
図15Cに示されるように、中継器A-5が、バッテリ交換のため、階層構造から除去され、さらに、端末B-1が再起動されると仮定する。この場合、再起動された端末B-1は、リセットされて、イニシャルモードになる。
【0261】
中継器A-6は、
図15Cに示されるように、定常モードにある中継器A-4からポーリング信号を受信すると、再び中継器A-4の配下になり、定常モードに遷移する。再起動されてイニシャルモードにある端末B-1は、
図15Cに示されるように、定常モードにある中継器A-6からポーリング信号を受信するよりも早く、定常モードにある中継器A-3からポーリング信号を受信したため、中継器A-3の配下になり、自装置の階層番号を中継器A-3の階層番号である2に1を加えた3に設定して定常モードに遷移する。一方、中継器A-5に接続されていた端末B-3は、上位階層の通信装置が一時的に不在になったので、データ送受信不可能な状態になる。その後、
図15Dに示されるように、中継器A-5が再起動されたと仮定する。この場合、再起動された中継器A-5は、リセットされて、イニシャルモードになる。
【0262】
リセットされてイニシャルモードにある中継器A-5は、
図15Dに示されるように、定常モードにある中継器A-2からポーリング信号を受信すると、再び中継器A-2の配下になり、定常モードに遷移する。端末B-3は、
図15Dに示されるように、定常モードにある中継器A-5からポーリング信号を受信すると、再び中継器A-5の配下になり、定常モードに遷移する。
【0263】
[実施の形態2]
次に、
図16~
図20を参照して、本開示の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、上り方向のデータ送信だけでなく、下り方向のデータ送信も想定している点で、実施の形態2は実施の形態1と異なる。
【0264】
<無線通信システム>
実施の形態2に係る無線通信システムは、実施の形態1に係る無線通信システム2と同様の構成を有するため、ここでは、その説明を省略する。
【0265】
<端末、中継器、および基地局を含む通信装置の構成および動作>
実施の形態2に係る通信装置も、実施の形態1に係る通信装置と同様の構成および動作を有するため、ここでは、その説明の大部分を省略し、以下では、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0266】
上述したように、実施の形態2では、上り方向のデータ送信だけでなく、下り方向のデータ送信も想定している。そのため、実施の形態2に係る無線通信システムでは、端末から基地局へのデータ送信があるだけでなく、基地局から端末へのデータ送信がある双方向のデータ通信が行われてもよい。そのような場合、中継器または端末は、上り方向(端末から基地局への方向)のデータ通信と下り方向(基地局から端末への方向)のデータ通信との両方を実施することができる。
【0267】
上記のような通信の方法は、例えば、以下の第1の方法~第5の方法を含む。
【0268】
(第1の方法)
中継器または端末は、1つの無線機を、上り用および下り用に共用する。その際に、中継器または端末は、上り方向の通信および下り方向の通信を同時に実施できるようにする(あるいは、上り用の無線機と下りの無線機とが別々に存在してもよいが、これらの無線機を密結合にして、1つの無線機と同じように動作させるようにしてもよい)。この場合、中継器または端末は、上り方向の通信および下り方向の通信の両方において動作休止可能な時間帯にのみ、動作を休止することができる。
【0269】
(第2の方法)
中継器または端末は、1つの無線機を、上り用および下り用に共用する。その際に、中継器または端末は、上り方向の通信と下り方向の通信とを、時間を分けて実施する(あるいは、上り用の無線機と下りの無線機とが別々に存在してもよいが、これらの無線機を密結合にして、1つの無線機と同じように動作させるようにしてもよい)。この場合、中継器または端末は、上り方向の通信においては、下り方向の通信の稼働時間帯に、動作を休止することができ、下り方向の通信においては、上り方向の通信の稼働時間帯に、動作を休止することができる。
【0270】
(第3の方法)
中継器または端末は、上り用の無線機と下り用の無線機とを個別に保有して、これら2つの無線機の間は疎結合(互いの動作は独立)とする。この場合、2つの無線機は、それぞれ必要なタイミングで(すなわち、他方の無線機の動作に関係なく)、動作を休止することができる。
【0271】
(第4の方法)
上記の第2の方法または第3の方法において、中継器または端末は、上り方向および下り方向において、同じチャネル(周波数、拡散コードなど)を使用する。この場合、使用するチャネルは少なくて済むが、中継器または端末は、他の中継器または端末とは基本的に非同期であるため、1つのチャネルで上りと下りが混在してしまうおそれがある。したがって、この第4の方法は、頻度の少ない情報のやりとりに適用されるのがよい。
【0272】
(第5の方法)
上記の第1の方法、第2の方法、または第3の方法において、中継器または端末は、上り方向および下り方向において、異なるチャネル(周波数、拡散コードなど)を使用する。この場合、使用するチャネルは、上記の第4の方法に比べて2倍必要となるが、1つのチャネルで上りと下りが混在することがない。したがって、この第5の方法は、頻度の多い情報のやりとりにも適用可能である。
【0273】
なお、上り方向においては、最終の行き先が基地局ただ一つであるが、下り方向においては、最終の行き先として複数の端末がありうるので、上記の方法において、端末にIDを割り当てて、行き先を明示する必要がある。
【0274】
下りデータの送信を可能にするために、以下のことが行われる。
【0275】
端末からの「応答」を受信した中継器は、上位階層の中継器または基地局から受信したポーリング信号に応答して、上述した
図14に示されている例において説明した、端末から応答を受信した旨、すなわち、端末への中継が可能である旨を、上位階層の中継器に報告する。そして、このような報告を受信した中継器は、上位階層の通信装置に同様に報告を行う(最終的には基地局に報告する)ことによって、各中継器は、下りデータを送信する送信先を認識することができる。中継器が下りデータを送信する場合、中継器は、下位階層の中継器または端末からポーリング信号を受信した際に、その中継器または端末が送信すべきルートであるかどうかを判定する。そして、中継器は、その中継器または端末が送信すべきルートであれば、その中継器または端末からのポーリング信号に応答して、その中継器または端末に下りデータを送信し、その中継器または端末が送信すべきルートでなければ、その中継器または端末からのポーリング信号に応答しない。このような下りデータの送信は、中継器が、定常モードにある際に、上位階層の中継器または基地局からのポーリング信号に応答して、特別なデータ(どの中継器を経由してどの端末への中継が可能であるかを示す下りルート確定用データ)に基づく情報を送信することによって、実現可能である。
【0276】
<端末と中継器と基地局との間のデータ通信の例>
図16は、本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末と中継器と基地局との間のデータ通信の一例を説明するためのシーケンス図である。
図16は、
図14のシーケンスの続きを示すものであり、すなわち基地局、中継器、および端末がすべて定常モードに遷移した後のデータ通信を示している。なお、
図16では、基地局と中継器と端末との間の接続関係は、
図11に示されているものと同一であり、定常モードが「定常」と略されている。
【0277】
はじめに、基地局、中継器、および端末がすべて定常モードに遷移した後、中継器A-5は、端末B-3からの応答を受信しているので、端末B-3への中継が可能であることを示す下りルート確定用データを有している。同様に、中継器A-6は、端末B-1からの応答および端末B-2からの応答を受信しているので、端末B-1および端末B-2への中継が可能であることを示す下りルート確定用データを有している。中継器A-5は、この下りルート確定用データを有していることによって、端末B-3からポーリング信号を受信した場合には、端末B-3宛のデータを端末B-3に送信するが、端末B-3以外の端末を宛先とする下りデータを送信しない。中継器A-6は、この下りルート確定用データを有していることによって、端末B-1からポーリング信号を受信した場合には、端末B-1宛のデータを端末B-1に送信し、端末B-2からポーリング信号を受信した場合には、端末B-2宛のデータを端末B-2に送信するが、端末B-1および端末B-2以外の端末を宛先とする下りデータを送信しない。
【0278】
ステップS1501およびステップ1501’においてそれぞれ、基地局は、中継器A-1および中継器A-2にポーリング信号を送信する。
【0279】
中継器A-2は、基地局からポーリング信号を受信した後、ステップS1502、ステップS1502’、およびステップS1502’’においてそれぞれ、中継器A-4、中継器A-5、および中継器A-6にポーリング信号を送信する。
【0280】
中継器A-5は、中継器A-2から受信したポーリング信号に応答して、ステップS1503において、端末B-3への中継が可能である旨を中継器A-2に報告する。
【0281】
中継器A-6は、中継器A-2から受信したポーリング信号に応答して、ステップS1504において、端末B-1および端末B-2への中継が可能である旨を中継器A-2に報告する。
【0282】
したがって、中継器A-2は、中継器A-5からの報告および中継器A-6からの報告を受信することによって、中継器A-5経由での端末B-3への中継が可能であること、および、中継器A-6経由での端末B-1および端末B-2への中継が可能であることを示す下りルート確定用データを有することになる。中継器A-2は、この下りルート確定用データを有していることによって、中継器A-5からポーリング信号を受信した場合には、端末B-3宛のデータを中継器A-5に送信するが、端末B-3以外の端末を宛先とする下りデータを送信しない。また、中継器A-2は、この下りルート確定用データを有していることによって、中継器A-6からポーリング信号を受信した場合には、端末B-1宛のデータまたは端末B-2宛のデータを中継器A-6に送信するが、端末B-1および端末B-2以外の端末を宛先とする下りデータを送信しない。
【0283】
ステップS1505およびステップ1505’においてそれぞれ、基地局は、中継器A-1および中継器A-2にポーリング信号を再度送信する。
【0284】
中継器A-2は、基地局から受信したポーリング信号に応答して、ステップS1506において、中継器A-5経由での端末B-3への中継が可能である旨、および、中継器A-6経由での端末B-1および端末B-2宛への中継が可能である旨を、基地局に報告する。
【0285】
したがって、基地局は、中継器A-2からの報告を受信することによって、中継器A-2および中継器A-5経由での端末B-3への中継が可能であること、および、中継器A-2および中継器A-6経由での端末B-1および端末B-2への中継が可能であることを示す下りルート確定用データを有することになる。基地局は、この下りルート確定用データを有していることによって、中継器A-2からポーリングを受信した場合には、上記と同様に、特定の端末を宛先とする下りデータを送信する。一方、中継器A-1は、この時点において、下りルート確定用データを有しておらず、特定の端末への中継が可能である旨の報告を基地局に送信していない。したがって、基地局は、中継器A-1からポーリング信号を受信しても、特定の端末を宛先とする下りデータを中継器A-1に送信しない。
【0286】
<端末間の通信の例>
端末間での通話などの場合、マイクなどを介して取得されるデータは、基地局を介して端末間で通信されてもよいが、これらの端末が同じ中継器の配下にある場合には、そのようなデータは、基地局を介さずに中継器を介して通信されてもよい。このような通信は、端末間での通話に限定されるものではなく、上述したようなセンサから取得されたセンシングデータを端末間で共有するようなデータ通信であってもよい。このような通信を実施することによって、基地局を介する通信よりも遅延を低減させることもできるし、無線チャネルの使用も少なくなり、したがって、トータルでの消費電力を下げることができる。なお、このような通信を実施するに際しては、端末にIDを割り当てておく必要がある。
【0287】
基地局を介さずに中継器を介して通信するそのような方法は、例えば、以下の第1の方法および第2の方法を含む。
【0288】
(第1の方法)
中継器は、置局設計または上記の例に示されている自動的な階層設定によるネットワークトポロジーを把握しておくことを前提とする。中継器は、この中継器に到来したデータの宛先がこの中継器の配下にある場合には、上位階層の中継器または基地局にデータを転送しない。その代わりに、中継器は、宛先のある方向に(この中継器の直下に宛先があれば直下の端末に、または、この中継器の配下の中継器の配下に宛先があればその配下の中継器になど)、データを転送する。すなわち、中継器は、上位階層の中継器または基地局からポーリング信号を受信しても、データの存在を上位階層の中継器または基地局に明かすことなく、宛先のある方向からのポーリング信号に応答して、宛先のある方向にデータを送信する。
【0289】
(第2の方法)
中継器は、ネットワークトポロジーを把握していない場合、下位階層の中継器または端末からデータを受信したならば、上位階層の中継器または基地局からのポーリング信号に応答して、データを上位階層の中継器または基地局に送信するとともに、キャッシュ内にデータを記憶しておく。また、中継器は、他の上位階層の中継器または基地局からのポーリング信号にも応答して、キャッシュ内のデータを、ポーリング信号の送信元の中継器または基地局に送信する。そして、中継器は、配下の端末からポーリング信号を受信した場合、ポーリング信号の送信元が、キャッシュ内のデータの宛先である端末であるならば、キャッシュ内のデータを配下のその端末に送信し、キャッシュ内のデータを削除する。中継器は、配下の端末ではなく、配下の中継器からポーリング信号を受信した場合も、その配下の中継器が、元々データを有していて中継器にデータを送信した別の配下の中継器でなければ、その配下の中継器にデータを送信する。この場合、中継器は、キャッシュ内にデータを記憶してから一定時間が経過した後、キャッシュ内のデータを削除する。また、中継器は、上位階層の基地局または中継器にポーリング信号を送信した後、上位階層の基地局または中継器からデータを受信した場合、受信したデータとキャッシュ内のデータとを比較する。中継器は、その比較の結果、これらのデータが同じであると判定した場合、受信したデータを削除する。一方、中継器は、その比較の結果、これらのデータが同じでないと判定した場合、キャッシュ内に受信したデータを記憶しておく。中継器が、下位階層の中継器または端末からポーリング信号を受信することなく、中継器がキャッシュ内に受信したデータを記憶してから一定時間が経過した場合、中継器は、一定時間が経過した後、キャッシュ内のデータを削除する。
【0290】
図17は、本開示の実施の形態2に係る、基地局を介し中継器を介して端末間で通信する例および基地局を介さずに中継器を介して端末間で通信する例を説明するための図である。
【0291】
図17に示されている例1では、端末B-1と端末B-2との間の通信が、中継器A-6を介するだけでなく、基地局を介して、実施される。
図17に示されている例2では、端末B-1と端末B-2との間の通信が、基地局を介することなく、中継器A-6で折り返されて実施される。
図17に示されている例3では、端末B-1と端末B-3との間の通信が、中継器A-2を介するだけでなく、基地局を介して、実施される。
図17に示されている例4では、端末B-1と端末B-2との間の通信が、基地局を介することなく、中継器A-2で折り返されて実施される。
【0292】
(第1の方法の例)
次に、
図18を参照して、通信装置がネットワークトポロジーを把握している上記の第1の方法の一例について説明する。
図18は、本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末間のデータ通信の第1の例を説明するためのシーケンス図である。
【0293】
まず、端末B-1は、端末B-2宛のデータを有していると仮定する。
【0294】
ステップS1701において、端末B-1は、中継器A-6からポーリング信号を受信する。
【0295】
端末B-1は、端末B-2宛のデータを有しているので、ステップS1702において、端末B-1は、端末B-2宛のデータを中継器A-6に送信する。
【0296】
ステップS1703において、中継器A-6は、中継器A-2からポーリング信号を受信する。
【0297】
ここで、中継器A-6は、ネットワークトポロジーを把握しており、端末B-2宛のデータは中継器A-6で折り返された方がよいことを認識しているので、中継器A-6は、中継器A-2からのポーリング信号に応答しない。
【0298】
ステップS1704において、中継器A-6は、端末B-2からポーリング信号を受信する。
【0299】
中継器A-6は、端末B-2宛のデータを有しているので、ステップS1705において、中継器A-6は、端末B-2宛のデータを端末B-2に送信する。
【0300】
このように、基地局を介することなく、中継器A-6が、端末B-1からの端末B-2宛のデータを折り返すことによって、端末B-1と端末B-2との間の通信が実施される。
【0301】
さらに、端末B-1は、端末B-3宛のデータを有していると仮定する。
【0302】
ステップS1706において、端末B-1は、中継器A-6からポーリング信号を受信する。
【0303】
端末B-1は、端末B-3宛のデータを有しているので、ステップS1707において、端末B-1は、端末B-3宛のデータを中継器A-6に送信する。
【0304】
ステップS1708において、中継器A-6は、端末B-2からポーリング信号を受信する。
【0305】
ここで、中継器A-6は、端末B-3宛のデータしか有していないので、中継器A-6は、端末B-2からのポーリング信号に応答しない。
【0306】
ステップS1709において、中継器A-6は、中継器A-4からポーリング信号を受信する。
【0307】
ここで、中継器A-6は、ネットワークトポロジーを把握しており、端末B-3が、中継器A-4の先にあることを把握しているので、ステップS1710において、中継器A-6は、端末B-3宛のデータを中継器A-4に送信する。
【0308】
ステップS1711において、中継器A-4は、中継器A-2からポーリング信号を受信する。
【0309】
ここで、中継器A-4は、ネットワークトポロジーを把握しており、端末B-3が、中継器A-2の先にあることを把握しているので、ステップS1712において、中継器A-4は、端末B-3宛のデータを中継器A-2に送信する。
【0310】
ステップS1713において、中継器A-2は、基地局からポーリング信号を受信する。
【0311】
ここで、中継器A-2は、ネットワークトポロジーを把握しており、端末B-2宛のデータは中継器A-2で折り返された方がよいことを認識しているので、中継器A-2は、基地局からのポーリング信号に応答しない。
【0312】
ステップS1714において、中継器A-2は、中継器A-4からポーリング信号を受信する。
【0313】
ここで、端末B-2宛のデータは、中継器A-4から到来したデータであるので、中継器A-2は、中継器A-4からのポーリング信号に応答しない。
【0314】
ステップS1715において、中継器A-2は、中継器A-5からポーリング信号を受信する。
【0315】
ここで、中継器A-2は、ネットワークトポロジーを把握しており、端末B-3が、中継器A-5の先にあることを把握しているので、ステップS1716において、中継器A-2は、端末B-3宛のデータを中継器A-5に送信する。
【0316】
ステップS1717において、中継器A-5は、端末B-3からポーリング信号を受信する。
【0317】
中継器A-5は、端末B-3宛のデータを有しているので、ステップS1718において、中継器A-5は、端末B-3宛のデータを端末B-3に送信する。
【0318】
このように、基地局を介することなく、中継器A-2が、端末B-1からの端末B-3宛のデータを折り返すことによって、端末B-1と端末B-3との間の通信が実施される。
【0319】
(第2の方法の第1の例)
次に、
図19を参照して、通信装置がネットワークトポロジーを把握していない上記の第2の方法の第1の例について説明する。
図19は、本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末間のデータ通信の第2の例を説明するためのシーケンス図である。
【0320】
まず、端末B-1は、端末B-2宛のデータを有していると仮定する。
【0321】
ステップS1801において、端末B-1は、中継器A-6からポーリング信号を受信する。
【0322】
端末B-1は、端末B-2宛のデータを有しているので、ステップS1802において、端末B-1は、端末B-2宛のデータを中継器A-6に送信する。
【0323】
ステップS1803において、中継器A-6は、中継器A-4からポーリング信号を受信する。
【0324】
ここで、中継器A-6は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-2が、中継器A-4の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1804において、中継器A-6は、端末B-2宛のデータを中継器A-4に送信するとともに、中継器A-6のキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶して残しておく。
【0325】
ステップS1805において、中継器A-4は、中継器A-2からポーリング信号を受信する。
【0326】
ここで、中継器A-4は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-2が、中継器A-2の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1806において、中継器A-4は、端末B-2宛のデータを中継器A-2に送信するとともに、中継器A-4のキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶して残しておく。
【0327】
ステップS1807において、中継器A-6は、端末B-2からポーリング信号を受信する。
【0328】
中継器A-6は、端末B-2宛のデータを(キャッシュ内に)有しているので、ステップS1808において、中継器A-6は、端末B-2宛のデータを端末B-2に送信する。中継器A-6は、端末B-2宛のデータを最終宛先(端末B-2)に送信したので、ステップS1809において、中継器A-6は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する(すなわち、キャッシュをクリアする)。
【0329】
このように、基地局を介することなく、中継器A-6が、端末B-1からの端末B-2宛のデータを折り返すことによって、端末B-1と端末B-2との間の通信が実施される。
【0330】
通信装置がネットワークトポロジーを把握していない場合には、以下のさらなるステップが実行される。
【0331】
ステップS1810において、中継器A-2は、基地局からポーリング信号を受信する。
【0332】
ここで、中継器A-2は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-2が、基地局の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1811において、中継器A-2は、端末B-2宛のデータを基地局に送信するとともに、中継器A-2のキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶して残しておく。
【0333】
ステップS1812において、中継器A-2は、中継器A-4からポーリング信号を受信する。ここで、端末B-2宛のデータは、中継器A-4から到来したデータであるので、中継器A-2は、中継器A-4からのポーリング信号に応答しない。
【0334】
ステップS1813において、基地局は、中継器A-1からポーリング信号を受信する。
【0335】
ここで、基地局は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-2が、中継器A-1の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1814において、基地局は、端末B-2宛のデータを中継器A-1に送信するとともに、基地局のキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶して残しておく。
【0336】
ステップS1815において、中継器A-1は、中継器A-3からポーリング信号を受信する。
【0337】
ここで、中継器A-1は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-2が、中継器A-3の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1816において、中継器A-1は、端末B-2宛のデータを中継器A-3に送信するとともに、中継器A-1のキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶して残しておく。
【0338】
ステップS1817において、中継器A-2は、中継器A-5からポーリング信号を受信する。
【0339】
ここで、中継器A-2は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-2が、中継器A-5の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1818において、中継器A-2は、端末B-2宛のデータを中継器A-5に送信するとともに、中継器A-2のキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶して残しておく。
【0340】
ステップS1819において、中継器A-2は、基地局からポーリング信号を受信する。
【0341】
ここで、中継器A-2は、端末B-2宛のデータを基地局に既に送信しているので、中継器A-2は、基地局からのポーリング信号に応答しない。
【0342】
中継器A-4がキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1820において、中継器A-4は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する。
【0343】
中継器A-2がキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1821において、中継器A-2は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する。
【0344】
ステップS1822において、中継器A-5は、中継器B-3からポーリング信号を受信する。
【0345】
ここで、中継器A-5は、端末B-2宛のデータしか有していないので、中継器A-5は、端末B-3からのポーリング信号に応答しない。
【0346】
基地局がキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1823において、基地局は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する。
【0347】
中継器A-1がキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1824において、中継器A-1は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する。
【0348】
中継器A-3がキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1825において、中継器A-3は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する。
【0349】
中継器A-5がキャッシュ内に端末B-2宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1826において、中継器A-5は、キャッシュから端末B-2宛のデータを削除する。
【0350】
(第2の方法の第2の例)
次に、
図20を参照して、通信装置がネットワークトポロジーを把握していない上記の第2の方法の第2の例について説明する。
図20は、本開示の実施の形態2に係る、無線通信システムにおける端末間のデータ通信の第3の例を説明するためのシーケンス図である。
【0351】
まず、端末B-1は、端末B-3宛のデータを有していると仮定する。
【0352】
ステップS1901において、端末B-1は、中継器A-6からポーリング信号を受信する。
【0353】
端末B-1は、端末B-3宛のデータを有しているので、ステップS1902において、端末B-1は、端末B-3宛のデータを中継器A-6に送信する。
【0354】
ステップS1903において、中継器A-6は、中継器A-4からポーリング信号を受信する。
【0355】
ここで、中継器A-6は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-3が、中継器A-4の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1904において、中継器A-6は、端末B-3宛のデータを中継器A-4に送信するとともに、中継器A-6のキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶して残しておく。
【0356】
ステップS1905において、中継器A-4は、中継器A-2からポーリング信号を受信する。
【0357】
ここで、中継器A-4は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-3が、中継器A-2の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1906において、中継器A-4は、端末B-3宛のデータを中継器A-2に送信するとともに、中継器A-4のキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶して残しておく。
【0358】
ステップS1907において、中継器A-6は、端末B-2からポーリング信号を受信する。ここで、中継器A-6は、端末B-3宛のデータしか有していないので、中継器A-6は、端末B-2からのポーリング信号に応答しない。
【0359】
ステップS1908において、中継器A-2は、基地局からポーリング信号を受信する。
【0360】
ここで、中継器A-2は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-3が、基地局の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1909において、中継器A-2は、端末B-3宛のデータを基地局に送信するとともに、中継器A-2のキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶して残しておく。
【0361】
ステップS1910において、中継器A-2は、中継器A-4からポーリング信号を受信する。
【0362】
ここで、端末B-3宛のデータは、中継器A-4から到来したデータであるので、中継器A-2は、中継器A-4からのポーリング信号に応答しない。
【0363】
ステップS1911において、基地局は、中継器A-1からポーリング信号を受信する。
【0364】
ここで、基地局は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-3が、中継器A-1の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1912において、基地局は、端末B-3宛のデータを中継器A-1に送信するとともに、基地局のキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶して残しておく。
【0365】
ステップS1913において、中継器A-1は、中継器A-3からポーリング信号を受信する。
【0366】
ここで、中継器A-1は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-3が、中継器A-3の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1914において、中継器A-1は、端末B-3宛のデータを中継器A-3に送信するとともに、中継器A-1のキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶して残しておく。
【0367】
ステップS1915において、中継器A-2は、中継器A-5からポーリング信号を受信する。
【0368】
ここで、中継器A-2は、ネットワークトポロジーを把握しておらず、端末B-3が、中継器A-5の先にあるかもしれないと認識している。したがって、ステップS1916において、中継器A-2は、端末B-3宛のデータを中継器A-5に送信するとともに、中継器A-2のキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶して残しておく。
【0369】
ステップS1917において、中継器A-2は、基地局からポーリング信号を受信する。
【0370】
ここで、中継器A-2は、端末B-3宛のデータを基地局に既に送信しているので、中継器A-2は、基地局からのポーリング信号に応答しない。
【0371】
中継器A-4がキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1918において、中継器A-4は、キャッシュから端末B-3宛のデータを削除する。
【0372】
ステップS1919において、中継器A-5は、端末B-3からポーリング信号を受信する。
【0373】
中継器A-5は、端末B-3宛のデータを(キャッシュ内に)有しているので、ステップS1920において、中継器A-5は、端末B-3宛のデータを端末B-3に送信する。中継器A-5は、端末B-3宛のデータを最終宛先(端末B-3)に送信したので、ステップS1921において、中継器A-5は、キャッシュから端末B-3宛のデータを削除する。
【0374】
このように、基地局を介することなく(基地局で折り返されたデータを用いることなく)、中継器A-2が、端末B-1からの端末B-3宛のデータを折り返すことによって、端末B-1と端末B-3との間の通信が実施される。
【0375】
通信装置がネットワークトポロジーを把握していない場合には、以下のさらなるステップが実行される。
【0376】
中継器A-2がキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1922において、中継器A-2は、キャッシュから端末B-3宛のデータを削除する。
【0377】
基地局がキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1923において、基地局は、キャッシュから端末B-3宛のデータを削除する。
【0378】
中継器A-1がキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1924において、中継器A-1は、キャッシュから端末B-3宛のデータを削除する。
【0379】
中継器A-3がキャッシュ内に端末B-3宛のデータを記憶してから一定時間が経過したので、ステップS1925において、中継器A-3は、キャッシュから端末B-3宛のデータを削除する。
【0380】
<ポーリング間隔の例>
次に、中継器のポーリング間隔の例について説明する。中継器は、例えば、上述した
図5~
図20に示されている例において説明した中継器であってよい。
【0381】
このような中継器のポーリング間隔は、例えば、以下の例1の間隔~例8の間隔を含む。
【0382】
(例1)
端末から送信されるデータ(すなわち、センサなどのデータ発生装置によって取得されるデータ)が周期的なデータ(例えば1分ごとに温度を報告するなど)である場合には、その周期がわかっているので、ポーリング間隔は、その周期に合わせて設定されてよい。
【0383】
(例2)
上記の例1において、中継器に接続される複数の端末が存在し、複数の端末それぞれの周期(すなわち、センサなどのデータ発生装置によってデータが取得される周期)が異なる場合には、ポーリング間隔は、複数の端末(センサなどのデータ発生装置)のセンシング間隔(周期)のうち一番短い周期に設定されてよい。このように設定することで、周期が一番短いデータの遅延を抑えることができる。なお、周期が最も長いデータの遅延が最大遅延となる。例えば、
図21Aに示されているように(
図21Aに示されている例では、点線間の間隔は1分を表す)、端末1のセンシング間隔が5分であり、端末2のセンシング間隔が3分である場合、中継器のポーリング間隔は、3分にすることができる。
【0384】
(例3)
上記の例1において、中継器に接続される複数の端末が存在し、複数の端末それぞれの周期が異なる場合には、ポーリング間隔は、複数の端末のセンシング間隔(周期)のうち一番長い周期に設定されてよい。このように設定することで、いずれの周期のデータの遅延も、一番長い周期のデータの遅延(最大遅延)に収まる。例えば、
図21Bに示されているように(
図21Bに示されている例では、点線間の間隔は1分を表す)、端末1のセンシング間隔が5分であり、端末2のセンシング間隔が3分である場合、中継器のポーリング間隔は、5分にすることができる。
【0385】
(例4)
上記の例1において、中継器に接続される複数の端末が存在し、複数の端末それぞれの周期が異なる場合には、ポーリング間隔は、複数の端末のセンシング間隔(周期)の最小公倍数に設定されてよい。このように設定することで、最大遅延は、その最小公倍数になるので、中継器は、より長い間、動作休止モードに入っていることが可能であり、その消費電力を低減させることができる。例えば、
図21Cに示されているように(
図21Cに示されている例では、点線間の間隔は1分を表す)、端末1のセンシング間隔が5分であり、端末2のセンシング間隔が3分である場合、中継器のポーリング間隔は、15分にすることができる。ここで、
図21Cに示されているように、端末1からの5つのデータと端末2からの3つのデータとは、中継器に同時に送信されることになる。
【0386】
(例5)
データ発生やデータ取得が不定期であっても、次回のデータ発生やデータ取得の予測がつく場合(例えば、バスが来て次のバスが来る時間が大体わかっている場合など)には、ポーリング間隔は、その予測に基づいて設定されてよい。この例5には、上記の例1または例2も適用可能である。この例5では、最小公倍数という概念が想定されないので、この例5には上記の例4は適用できないが、時間を決めて20分後などとすることで同様の効果が得られる。
【0387】
(例6)
上記の例5において、次回のデータ発生やデータ取得の予測はつかないが暫くは来ないだろうと思われる場合(コンビニへの商品配送トラックなど、いつ来るかわからないが一度来たら暫くは来ないと想定される場合など)には、例えば、
図21Dに示されているように(
図21Dに示されている例では、点線間の間隔は1分を表す)、最初は、長いポーリング間隔を設定し、その後、だんだん短くなるようにポーリング間隔を設定することによって、トータルの動作休止モードの時間を長くすることができる。
【0388】
(例7)
上りリンクおよび下りリンクを用いて会話するような場合、会話は、いつ始まるかわからないが、会話が始まると、暫くの間やり取りが続くことが想定される。このような場合において、上述したように、中継器が、独立に動作する上り用の無線機と下り用の無線機とを有していると仮定する。この場合、上り方向のデータが存在すれば、それをトリガにして、下り用の無線機を定常モードに遷移させ、下り方向のデータが存在すれば、それをトリガにして、上り用の無線機を定常モードに遷移させるように、ポーリング間隔を設定する。
【0389】
(例8)
上述したように、上りリンクおよび下りリンクを用いて会話するような場合、会話は、いつ始まるかわからないが、会話が始まると、暫くの間やり取りが続くことが想定される。このような場合において、上述したように、中継器が、独立に動作する上り用の無線機と下り用の無線機とを有していると仮定する。この場合、会話が継続している間は、上り用の無線機および下り用の無線機の両方とも定常モードにさせておき、会話が途絶えてある程度の時間(例えば、5秒)が経過したならば、上り用の無線機および下り用の無線機の両方とも動作休止モードに遷移させるように、ポーリング間隔を設定する。
【0390】
例2の間隔~例4の間隔に関して、中継器のポーリング間隔は、許容されるデータ遅延に応じて、適宜設定されてよい。
【0391】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0392】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0393】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0394】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0395】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0396】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0397】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0398】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0399】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0400】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0401】
本開示の一実施形態は、低消費電力で稼働させることができる無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0402】
2 無線通信システム
A,A-1~A-6 中継器
B,B-1~B-3,B-X 端末
30 通信装置
31 制御装置
32 記憶装置
33 無線機
34 アンテナ