(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088976
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】環境試験機の排気配管構造及び集合排気配管構造
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20220608BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G01N17/00
F24F7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201133
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000107583
【氏名又は名称】スガ試験機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須賀 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛
(72)【発明者】
【氏名】保科 晃司
【テーマコード(参考)】
2G050
3L058
【Fターム(参考)】
2G050BA02
2G050BA09
2G050CA01
2G050CA03
2G050EA05
2G050EC01
2G050EC03
3L058BE08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】環境試験機において、試験槽内の圧力を変化させずに排気を排出することを可能とする環境試験機の排気配管構造を提供する。
【解決手段】排気配管1の構造は、環境試験機6からの排気流入側の第一排気配管10と、試験室5外への排気流出側の第二排気配管11とからなり、第二排気配管11は第一排気配管10よりも口径が大きくなっており、第二排気配管11の上流側端部は、第二排気配管11よりも口径が大きい大径部13を備え、第一排気配管10の下流側端部12は、第二排気配管11の大径部13に隙間を形成して挿入するように配置し、第二排気配管11の下流側に排気ブロア14を設けている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験室内に設置した環境試験機の排気を前記試験室外に排出する排気配管構造であって、
前記環境試験機からの排気流入側の第一排気配管と、前記試験室外への排気流出側の第二排気配管とからなり、
前記第二排気配管は、前記第一排気配管よりも口径が大きくなっており、
前記第二排気配管の上流側端部は、前記第二排気配管よりも口径が大きい大径部を備え、
前記第一排気配管の下流側端部は、前記第二排気配管の前記大径部に隙間を形成して挿入するように配置し、
前記第二排気配管の下流側に排気ブロアを設けたことを特徴とする環境試験機の排気配管構造。
【請求項2】
前記第一排気配管の上流側に排水部を設け、
前記第一排気配管の下流側に、前記第二排気配管の前記大径部よりも口径が大きい露受け部を備え、
前記第一排気配管の前記下流側端部は、前記露受け部より突出して延在し、
前記第一排気配管の前記露受け部の内側底面と接する位置に露受け排水口を設けることを特徴とする、請求項1に記載の環境試験機の排気配管構造。
【請求項3】
前記第二排気配管の上流側に風量調節弁を設けたことを特徴とする、請求項1または請求書2に記載の環境試験機の排気配管構造。
【請求項4】
試験室内に設置した複数の環境試験機の排気を前記試験室外に排出する集合排気配管構造であって、
複数の前記環境試験機はそれぞれ前記環境試験機からの排気流入側の第一排気配管と、前記試験室外への排気流出側の第二排気配管とを有し、
前記第二排気配管は、前記第一排気配管よりも口径が大きくなっており、
前記第二排気配管の上流側端部は、前記第二排気配管よりも口径が大きい大径部を備え、
前記第一排気配管の下流側端部は、前記第二排気配管の前記大径部に隙間を形成して挿入するように配置し、
前記第二排気配管の上流側に風量調節弁を有しており、
前記第二排気配管の下流側端部がそれぞれ連結配管に接続し、
前記連結配管の最下流側に排気ブロアを有することを特徴とする環境試験機の集合排気配管構造。
【請求項5】
前記第一排気配管の上流側に排水部を設け、
前記第一排気配管の下流側に、前記第二排気配管の前記大径部よりも口径が大きい露受け部を備え、
前記第一排気配管の前記下流側端部は、前記露受け部より突出して延在し、
前記第一排気配管の前記露受け部の内側底面と接する位置に露受け排水口を設けることを特徴とする、請求項4に記載の環境試験機の集合排気配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験室に設置した環境試験機の排気を試験室外に排出する排気配管構造及び集合排気配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の部品や材料等の環境による劣化を試験するための環境試験機が知られている。環境試験機は、試験槽に試験片を設置し、試験片を高温高湿な環境や塩水噴霧などの過酷な環境の試験条件に曝すため、試験槽内の空気をそのまま環境試験機を設置した試験室内に排気として排出することができず、屋外に排出する必要がある。
【0003】
特許文献1には、複合サイクル試験機(環境試験機)において、外気導入量に応じて試験槽内の循環空気を外部に排出する技術が記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような環境試験機では、屋外の排気口が風圧を受ける等により排気配管を通じて試験槽内の圧力が変化してしまう恐れがあった。試験槽内の圧力が変化すると試験槽内の雰囲気が乱れ試験結果に影響を与えるため、試験槽内の圧力を変化させずに排気を排出する必要があった。
【0006】
また、試験室に複数の環境試験機を設置するには、環境試験機の排気配管ごとに試験室外に複数の排出口が必要となるが、試験室の構造によるスペースの制約から複数の排出口を確保することが困難な場合があった。
更に、一つの排出口に複数の環境試験機の排気配管をまとめて配管しようとすると、他の環境試験機の排気による風圧により別の環境試験機の試験槽内の圧力が変化する恐れがあった。
【0007】
したがって、本発明は、環境試験機の試験槽内の圧力を変化させることなく排気を排出することが可能な環境試験機の排気配管構造及び集合排気配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の環境試験機の排気配管構造は、試験室内に設置した環境試験機の排気を試験室外に排出する排気配管構造であり、環境試験機からの排気流入側の第一排気配管と、試験室外への排気流出側の第二排気配管とからなり、第二排気配管は、第一排気配管よりも口径が大きくなっており、第二排気配管の上流側端部は、第二排気配管よりも口径が大きい大径部を備え、第一排気配管の下流側端部は、第二排気配管の大径部に隙間を形成して挿入するように配置し、第二排気配管の下流側に排気ブロアを設けたものである。
【0009】
本発明の環境試験機の排気配管構造では、第一排気配管の上流側に排水部を設け、第一排気配管の下流側に、第二排気配管の大径部よりも口径が大きい露受け部を備え、第一排気配管の下流側端部は、露受け部より突出して延在し、第一排気配管の露受け部の内側底面と接する位置に、露受け排水口を設けるようにしてもよい。
【0010】
本発明の環境試験機の排気配管構造では、第二排気配管の上流側に風量調節弁を有してもよい。
【0011】
本発明の環境試験機の集合排気配管構造は、試験室内に設置した複数の環境試験機の排気を試験室外に排出する集合排気配管構造であり、複数の環境試験機はそれぞれ環境試験機からの排気流入側の第一排気配管と、試験室外への排気流出側の第二排気配管とを有し、第二排気配管は、第一排気配管よりも口径が大きくなっており、第二排気配管の上流側端部は、第二排気配管よりも口径が大きい大径部を備え、第一排気配管の下流側端部は、第二排気配管の大径部に隙間を形成して挿入するように配置し、第二排気配管の上流側に風量調節弁を有しており、第二排気配管の下流側端部がそれぞれ連結配管に接続し、連結配管の最下流側に排気ブロアを設けたものである。
【0012】
本発明の環境試験機の集合排気配管構造では、第一排気配管の上流側に排水部を設け、第一排気配管の下流側に、第二排気配管の大径部よりも口径が大きい露受け部を備え、第一排気配管の下流側端部は、露受け部より突出して延在し、第一排気配管の露受け部の内側底面と接する位置に、露受け排水口を設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の環境試験機の排気配管構造及び集合排気配管構造によれば、環境試験機の排気配管構造の第一排気配管の下流側端部が第二排気配管に設けた大径部に隙間を形成して挿入する縁切り構造にしたことで、環境試験機からの排気が第一排気配管と第二排気配管の間に設けた隙間に到達すると、排気配管が一旦開放されることで、排気配管内の圧力を逃がすことができ、試験槽内の圧力を変化させることなく排気を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る環境試験機の排気配管構造の構成図である。
【
図2】
図1に示した第一排気配管と第二排気配管の挿入部近辺の構造の詳細構成例を表す構成図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る環境試験機の集合排気配管構造の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書において、排気配管の構造は、排気が流入する側を上流、排気が流出する側を下流とし説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る環境試験機6の排気配管1構造の構成図である。
【0017】
環境試験機6の排気配管1は、
図1に示したように、環境試験機6に接続した第一排気配管10と、試験室5の排出口50と接続した第二排気配管11とから構成している。
【0018】
第二排気配管11は、第一排気配管10よりも口径が大きくなっており、第二排気配管11の上流側端部は、第二排気配管11よりも口径が大きい大径部13を設け、第一排気配管10の下流側端部12を第二排気配管11の大径部13に隙間を形成して挿入するように配置している。第一排気配管10の上流側には、排水部15を設けている。
【0019】
図2は、
図1に示した第一排気配管10と第二排気配管11の挿入部近辺の構造の詳細構成例を表す構成図である。
【0020】
図2に示したように、第一排気配管10の下流側に、第二排気配管11の大径部13よりも口径が大きい露受け部2を設けており、第一排気配管10の下流側端部12に、露受け排水口21を設け、第一排気配管10の下流側端部12は、露受け部2を突出するように延在している。
【0021】
第二排気配管11は、上流側に風量調節弁3を備え、下流側に排気ブロア14を備えている。
【0022】
[実施形態1の作用・効果]
本発明の環境試験機6の排気配管1は、第一排気配管10と第二排気配管11とからなり、第一排気配管10の下流側端部12を第二排気配管11の上流側端部である大径部13に隙間を形成して挿入するように配置し、縁切り構造とした。
このような構造とした場合、環境試験機6からの排気が第一排気配管10と第二排気配管11の間に設けた隙間に到達すると、排気配管が一旦開放されるため、排気配管内の圧力が逃げ、試験実施中の試験槽60内の圧力を変化させることなく排気を排出することができる。
これにより、例えば、塩水等の噴霧溶液を噴霧し試験を行う噴霧腐食試験では、試験片61に自然落下する噴霧溶液の巻き上げを防ぐことができる。また、例えば、カーボンランプを燃焼させて光を放射させ試験を行う耐候性試験では、試験槽60内の燃焼条件を一定に保つことができる。
【0023】
また、第一排気配管10の下流側には露受け部2を有しており、露受け部2により、第二排気配管11内及び大径部13で結露により発生した水滴を受けることが可能である。露受け部2に貯まった水滴は、下流側端部12の側面に設けられた露受け排水口21によって第一排気配管10内に導入され、第一排気配管10内で結露により発生した水滴と共に排水部15から排水することができ、環境試験機6の排気の排出時に排気配管1で発生する水滴が試験槽60内に流入することを防止し、試験槽60内の試験片61への影響を低減することができる。
【0024】
第二排気配管11の上流側に設けた風量調節弁3により、試験室5に設置する環境試験機6の試験槽60の容積や試験条件に応じて、排気量を適宜設定することができる。また、風量調節弁3を閉じることで排気の逆流を防止することができる。更に、第二排気配管11の下流側には排気ブロア14を有しているため、排気を一定量で排出することが可能であり、試験室5外の環境に影響されずに試験を実施することができる。
【0025】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る環境試験機6の集合排気配管1a構造の構成図である。
【0026】
試験室5内に設置した環境試験機6の集合排気配管1aは、
図3に示したように、複数の環境試験機6に接続した第一排気配管10と、連結配管4に接続した第二排気配管11aと試験室の排出口と接続した連結配管4とから構成している。
【0027】
第二排気配管は、第一排気配管よりも口径が大きくなっており、第二排気配管11aの上流側端部は、第二排気配管11aよりも口径が大きい大径部13を設け、第一排気配管10の下流側端部12を第二排気配管11aの大径部13に隙間を形成して挿入するように配置している。第二排気配管11aの上流側には、風量調節弁3を備え、第二排気配管11aの下流側端部がそれぞれ連結配管4に接続し、連結配管4の最下流側には、排気ブロア14を備えている。
【0028】
第一排気配管10の上流側には、排水部15を設け、第一排気配管10の下流側に、第二排気配管11a の大径部13よりも口径が大きい露受け部2を設けており、第一排気配管10の下流側端部12に、露受け排水口21を設け、第一排気配管10の下流側端部12は、露受け部2を突出するように延在している。
【0029】
[実施形態2の作用・効果]
本発明の環境試験機6の集合排気配管1aは、第一排気配管10と第二排気配管11aと試験室の排出口と接続した連結配管4とからなり、第一排気配管10の下流側端部12を第二排気配管11aの上流側端部である大径部13に隙間を形成して挿入するように配置し、縁切り構造とした。
このような構造とした場合、環境試験機6からの排気は第一排気配管10と第二排気配管11aの間に設けた隙間に到達すると、集合排気配管1aが一旦開放されるため、集合排気配管1a内の圧力が逃げ、試験実施中の試験槽60内の圧力を変化させることなく排気を排出することができる。
これにより、例えば、塩水等の噴霧溶液を噴霧し試験を行う噴霧腐食試験では、試験片61に自然落下する噴霧溶液の巻き上げを防ぐことができる。また、例えば、カーボンランプを燃焼させて光を放射させ試験を行う耐候性試験では、試験槽60内の燃焼条件を一定に保つことができる。
【0030】
また、第二排気配管11aの下流側端部がそれぞれ連結配管4に接続しているため、試験室5外の排気の排出口50を一箇所にすることが可能である。
【0031】
また、第一排気配管10の下流側には露受け部2を有しており、露受け部2により、第二排気配管11a内及び大径部13で結露により発生した水滴を受けることが可能である。露受け部2に貯まった水滴は、下流側端部12の側面に設けられた露受け排水口21によって第一排気配管10内に導入され、第一排気配管10内で結露により発生した水滴と共に排水部15から排水することができ、環境試験機6の排気の排出時に集合排気配管1aで発生する水滴が試験槽60内に流入することを防止し、試験槽60内の試験片61への影響を低減することができる。
【0032】
第二排気配管11aの上流側に設けた風量調節弁3により、環境試験機6の容量や試験条件に応じて、排気量を個別に適宜設定することができる。また、風量調節弁3を閉じることで他の環境試験機6の排気の排出などの集合排気配管1a内の圧力の変動による影響や排気の逆流を防止することができる。更に、連結配管4の最下流側に排気ブロア14を有しているため、排気を一定量で排出することが可能であり、試験室5外の環境に影響されずに試験を実施することができる。
【0033】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、上記実施の形態において説明した形状などは例示であって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、排水部15で水滴が試験槽60内に流入することを防止するようにしたが、噴霧腐食試験を行う環境試験機6では、排気に含まれる噴霧粒子等を除去させる排気処理装置を第一排気配管10と試験機の間に備え、第一排気配管10内の水滴を受けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…排気配管、1a…集合排気配管、10…第一排気配管、11、11a…第二排気配管、12…下流側端部、13…大径部、14…排気ブロア、15…排水部、2…露受け部、21…露受け排水口、3…風量調節弁、4…連結配管、5…試験室、50…排出口、6…環境試験機、60…試験槽、61…試験片。