(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088991
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】折畳財布
(51)【国際特許分類】
A45C 1/02 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A45C1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201160
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】506413694
【氏名又は名称】株式会社クロンティップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 和実
(72)【発明者】
【氏名】福井 正樹
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA01
3B045CB05
3B045DA31
3B045DA45
3B045EA06
3B045EB04
3B045EB05
3B045FA01
3B045KB02
(57)【要約】
【課題】多数枚の硬貨が収納可能なコイン収納部と複数のカード収納部を備えていても折畳状態において嵩張らない折畳財布を提供する。
【解決手段】基部2と、基部2につながるフラップ部3とを有し、基部2とフラップ部3の間の第1折目1aで折り畳む折畳財布1であって、コイン収納部21と、第1カード収納部22と、第2カード収納部32とを備え、第2カード収納部32は、基部2に対してフラップ部3を開いた展開状態では、配置位置を変更可能に設けられたものであり、基部2に対してフラップ部3を第1折目1aで折り畳んだ折畳状態では、第1カード収納部22と第2カード収納部32は厚み方向に重なり合い、重なり合った第1カード収納部22と第2カード収納部32が、コイン収納部21とは厚み方向に重複しない位置に配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、該基部につながるフラップ部とを有し、該基部と該フラップ部との境で折り畳む折畳財布であって、
コイン収納部と、
第1カード収納部と、
第2カード収納部とを備え、
前記第2カード収納部は、前記基部に対して前記フラップ部を開いた展開状態では、配置位置を変更可能に設けられたものであり、
前記境で折り畳んだ折畳状態では、前記第1カード収納部と前記第2カード収納部は厚み方向に重なり合い、重なり合った該第1カード収納部と該第2カード収納部が、前記コイン収納部とは厚み方向に重複しない位置に配置されることを特徴とする折畳財布。
【請求項2】
前記第1カード収納部と前記第2カード収納部は、前記折畳状態では、前記コイン収納部に隣り合う位置に面方向に並んで配置されることを特徴とする請求項1記載の折畳財布。
【請求項3】
前記第1カード収納部と前記第2カード収納部のうち少なくとも一方は、カードを収容可能な収納空間を形成する袋体と、厚み方向に重なった状態で該収納空間を仕切り該収納空間から上側部分が引出し可能な複数の仕切部材と、前記複数の仕切部材それぞれの下側部分を連結した連結部材とを備えたものであり、
前記連結部材は、前記複数の仕切部材が前記収納空間内で重なった状態では該複数の仕切部材それぞれの間で折り畳まれるものであり、
前記複数の仕切部材は、前記収納空間から上側部分が引き出されると、前記連結部材の折り畳みが解除されて該連結部材が伸長することで、重なった状態から引出し方向にずれた状態に変化するものであることを特徴とする請求項1または2記載の折畳財布。
【請求項4】
前記フラップ部に設けられた付加収納部をさらに備え、
前記第2カード収納部は、前記展開状態において、前記付加収納部に重なり合う位置と、該付加収納部から離間して該付加収納部が露出する位置とに配置位置を変更可能に設けられたものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の折畳財布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基部と、該基部につながるフラップ部とを有し、該基部と該フラップ部との境で折り畳む折畳財布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨を収納するコイン収納部と、カードを収納するカード収納部とを備え、基部とフラップ部との境で折り畳むことできる折畳財布が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近年は、クレジットカードやポイントカードなど多数枚のカードを所有することが多く、それに伴い多数枚のカードを収納可能な財布が求められている。さらに、コイン収納部に多数枚の硬貨を収納したいといった要求もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された折畳財布は、カード収納部が1つしか設けられていないので、収納可能なカード枚数が少ない。また、コイン収納部が小さく薄いため、硬貨を数枚程度しか収納できないという問題がある。これに対し、カード収納部を増やし、さらにコイン収納部に多数枚の硬貨が収納可能にすると、基部とフラップ部との境で折り畳んだ折畳状態における折畳財布が分厚く嵩張ってポケットに入れにくくなったり、バッグに入れた際にバッグ内で大きなスペースを占有するといった問題が生じてしまう。また、折畳財布が分厚すぎると外観上見苦しいこともある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、多数枚の硬貨が収納可能なコイン収納部と複数のカード収納部を備えていても折畳状態において嵩張らない折畳財布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の折畳財布は、基部と、該基部につながるフラップ部とを有し、該基部と該フラップ部との境で折り畳む折畳財布であって、
コイン収納部と、
第1カード収納部と、
第2カード収納部とを備え、
前記第2カード収納部は、前記基部に対して前記フラップ部を開いた展開状態では、配置位置を変更可能に設けられたものであり、
前記境で折り畳んだ折畳状態では、前記第1カード収納部と前記第2カード収納部は厚み方向に重なり合い、重なり合った該第1カード収納部と該第2カード収納部が、前記コイン収納部とは厚み方向に重複しない位置に配置されることを特徴とする。
【0007】
ここで前記第1カード収納部と前記第2カード収納部それぞれは、前記コイン収納部よりも厚みが薄いものであってもよい。また、前記コイン収納部は、ボックス型であってよい。
【0008】
この折畳財布によれば、前記第1カード収納部と前記第2カード収納部を備え、前記コイン収納部に多数枚の硬貨が収納可能なものを採用していても、折畳状態では該第1カード収納部と該第2カード収納部が重なり合い、該第1カード収納部と該第2カード収納部は該コイン収納部とは厚み方向に重複しない位置に配置されるので、この折畳財布が分厚く嵩張ってしまうことを抑制できる。
【0009】
この折畳財布において、前記第1カード収納部と前記第2カード収納部は、前記折畳状態では、前記コイン収納部に隣り合う位置に面方向に並んで配置される態様であってもよい。
【0010】
この態様によれば、この折畳財布の前記折畳状態における、面方向の寸法を小さくすることができる。
【0011】
さらに、この折畳財布において、前記第1カード収納部と前記第2カード収納部のうち少なくとも一方は、カードを収容可能な収納空間を形成する袋体と、厚み方向に重なった状態で該収納空間を仕切り該収納空間から上側部分が引出し可能な複数の仕切部材と、前記複数の仕切部材それぞれの下側部分を連結した連結部材とを備えたものであり、
前記連結部材は、前記複数の仕切部材が前記収納空間内で重なった状態では該複数の仕切部材それぞれの間で折り畳まれるものであり、
前記複数の仕切部材は、前記収納空間から上側部分が引き出されると、前記連結部材の折り畳みが解除されて該連結部材が伸長することで、重なった状態から引出し方向にずれた状態に変化するものであってもよい。
【0012】
こうすることで、前記第1カード収納部または前記第2カード収納部のうちの少なくとも一方は、前記複数の仕切部材が前記収納空間内で重なった状態では、該収納空間に複数のカードを該複数の仕切部材と並列に整然と収納し、該複数の仕切部材の上側部分が該収納空間から引き出されると、各カードの上側部分が該複数の仕切部材と共に階段状にずれて露出するので、各カードの種類を一見して識別しやすい。
【0013】
また、この折畳財布において、前記フラップ部に設けられた付加収納部をさらに備え、
前記第2カード収納部は、前記展開状態において、前記付加収納部に重なり合う位置と、該付加収納部から離間して該付加収納部が露出する位置とに配置位置を変更可能に設けられたものであってもよい。
【0014】
ここで前記第1カード収納部と前記第2カード収納部と前記付加収納部は、前記折畳状態では厚み方向に重なり合い積層されるものであってもよい。
【0015】
前記第1カード収納部と前記第2カード収納部に加え、前記付加収納部を備えていているので収納能力をさらに高めることができる。そして、前記第2カード収納部の配置位置を変更することで、前記付加収納部が露出するので該付加収納部内に収納物を容易に収納することができ、また該付加収納部内から容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、数枚の硬貨が収納可能なコイン収納部と複数のカード収納部を備えていても折畳状態において嵩張らない折畳財布を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に相当する折畳財布を展開した展開状態を示す平面図であり、(b)は、同図(a)に示した折畳財布の正面図である。
【
図2】(a)は、
図1(a)に示した折畳財布のコイン収納部を開放した状態を示す平面図であり、(b)は、同図(a)に示した折畳財布の正面図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)に示した折畳財布の第2カード収納部の配置位置を変更した状態を示す平面図であり、(b)は、同図(a)に示した折畳財布の正面図である。
【
図4】
図1(a)に示した折畳財布の第1カード収納部が有する第1仕切部材の上側部分を第1収納空間から引き出すとともに、第2カード収納部が有する第2仕切部材の上側部分を第2収納空間から引き出した状態を示す正面図である。
【
図5】(a)は、
図1(b)のA-A断面図であり、(b)は、
図4のB-B断面図である。
【
図6】
図1(a)に示した折畳財布を折り畳んだ折畳状態を示す平面図である。
【
図7】第2実施形態の折畳財布を展開した展開状態の折畳財布を示す、
図1(b)と同様の正面図である。
【
図8】
図7に示した折畳財布の第2カード収納部の配置位置を変更した状態を示す正面図である。
【
図9】
図7に示した折畳財布を折り畳んだ折畳状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、二つ折り財布を例にして説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明の一実施形態に相当する折畳財布を展開した展開状態を示す平面図であり、(b)は、同図(a)に示した折畳財布の正面図である。なお、本実施形態の図面では、各部を縫い付けている縫い糸は図示省略している。また、本実施形態の図面では、各部の厚みを誇張して示している。
【0020】
図1(a)および
図1(b)に示すように、本実施形態の折畳財布1は、基部2と、フラップ部3とを有している。
図1(a)および
図1(b)では、右側半分が基部2であり、左側半分がフラップ部3である。
図1(a)および
図1(b)には、基部2に対してフラップ部3を開いた展開状態が示されている。なお、以下に説明する部材のうち材質の記載のないものは、革、合皮または布で構成されている。基部2とフラップ部3は連続しており、それらの間の第1折目1aで折り曲げることで折畳財布1を折り畳むことができる。この第1折目1aは、境の一例に相当する。
図1(b)では、第1折目1aが長破線で示されている。
図1(a)に示すように、折畳財布1には、基部2とフラップ部3にまたがって、紙幣を内部に収納可能な紙幣収納部10が形成されている。紙幣収納部10は、基部2に対してフラップ部3を折り畳んだときに内側になる内側シート材10aと外側になる外側シート材10bによって形成された袋状をしている。以下、
図1(a)における上側を外側、下側を内側と称することがある。
【0021】
基部2には、コイン収納部21と、第1カード収納部22が設けられている。コイン収納部21と第1カード収納部22は、内側シート材10aに縫い付けられている。コイン収納部21は、多数枚のコインを収納するためのものであり、
図1(a)および
図1(b)では閉じた状態が示されている。コイン収納部21は、4方の側壁211と、閉じた状態を維持するためのマグネットホック212とを備えている。このコイン収納部21は、開くことで4方の側壁211が立ち上がるいわゆるボックス型構造をしている。コイン収納部21を開いた状態については後述する。
【0022】
図1(a)に示すように、第1カード収納部22は、第1袋体221と、5枚の第1仕切部材222と、第1連結部材223とを備えている。第1袋体221は袋体の一例に相当し、第1仕切部材222は仕切部材の一例に相当し、第1連結部材223は連結部材の一例に相当する。第1袋体221は、カードC(
図5参照)を収容可能な第1収納空間S1を形成している。なお、第1仕切部材222は2枚以上であれば任意の枚数でよい。第1カード収納部22は、コイン収納部21よりも厚み(
図1(a)における上下方向の高さ)が薄い。第1袋体221内周面のうち外側の面は、内側シート材10aの内側の面で構成されている。各第1仕切部材222は、それぞれ厚み方向に重なった状態で第1収納空間S1を仕切っている。各第1仕切部材222の間には、カードCが挿入される。以下、
図1(b)における上側を単に上側と称し、
図1(b)における下側を単に下側と称することがある。第1仕切部材222は、上側部分を第1収納空間S1から引き出すことができる。
図1(a)および
図1(b)では、全ての第1仕切部材222が第1収納空間S1に収納された状態が示されている。第1連結部材223は、各第1仕切部材222を連結している。
図1(a)および
図1(b)には、第1連結部材223の上端部分のみが示されている。第1仕切部材222の上側部分を第1収納空間S1から引き出した状態および第1連結部材223の構成については後述する。
【0023】
フラップ部3には、ゴムバンド31と、第2カード収納部32と、折曲接続部33とが設けられている。ゴムバンド31と折曲接続部33は、内側シート材10aに縫い付けられている。ゴムバンド31は、カードや紙幣などを内側シート材10aの内側の面との間に挟み込むことで保持するためのものである。このゴムバンド31は、付加収納部の一例に相当する。
図1(a)および
図1(b)に示す状態では、コイン収納部21、第1カード収納部22、第2カード収納部32およびゴムバンド31がこの順で折畳財布1の内側面に並んで配置されている。この配置では、折畳財布1の長手方向における一部分に重みが偏ってしまうことが抑制される。これにより、折畳財布1の長手方向における重量バランスがよくなり折畳財布1を手に持ったときに安定しやすいので、折畳財布1を落としてしまう虞が抑制される。
【0024】
図1(a)に示すように、第2カード収納部32は、第2袋体321と、5枚の第2仕切部材322と、第2連結部材323と、引手325とを備えている。第2袋体321は袋体の一例に相当し、第2仕切部材322は仕切部材の一例に相当し、第2連結部材323は連結部材の一例に相当する。第2カード収納部32は、コイン収納部21よりも厚みが薄い。第2袋体321の外側の面を構成する背面シート材321aは、内側シート材10aとは別部材で構成されている。この背面シート材321aは、折曲接続部33と連続している。第1カード収納部22と第2カード収納部32は、背面シート材321aの有無および引手325の有無を除いて同様の構成をしている。すなわち、第2袋体321と第2仕切部材322と第2連結部材323は、第1袋体221と第1仕切部材222と第1連結部材223とそれぞれ同様の構成をしている。よって、以下の説明では第2袋体321と第2仕切部材322と第2連結部材323の説明は省略することがある。第2袋体321は、カードC(
図5参照)を収容可能な第2収納空間S2を形成している。引手325は、第2袋体321の内側面に取り付けられている。この引手325を指でつまんで
図1(b)における右側に引っ張ることで、第2カード収納部32が第1カード収納部22およびゴムバンド31と厚み方向に重なり合いつつ、フラップ部3が第1折目1aで折り曲げられて基部2に重なり合う。ただし、引手325を用いずに第2カード収納部32を指などで少し持ち上げて基部2に対してフラップ部3を折り畳んでもよい。また、後述する
図3の状態にしてから、フラップ部3を下方にし、その上に基部2を折り畳んでもよい。
【0025】
折曲接続部33は、
図1(b)における左端部分が内側シート材10aに縫い付けられ、右端が第2袋体321の背面シート材321aに連続したシート状のものである。折曲接続部33は、
図1(b)において短破線で示された接続部折目33aで谷折りすることが可能に構成されている。
図1(a)および
図1(b)に示すように、折曲接続部33が折り曲げられていない状態では、第2カード収納部32とゴムバンド31は面方向に並んだ位置に配置され、ゴムバンド31が露出している。この露出した状態では、ゴムバンド31にカードなどを挟み込んだり、ゴムバンド31に挟み込まれているカードなどを取り出すことができる。また、第2連結部材323の上端部分をつまんで第2仕切部材322の上側部分を第2収納空間S2から引き出すことができる。
【0026】
図2(a)は、
図1(a)に示した折畳財布のコイン収納部を開放した状態を示す平面図であり、
図2(b)は、同図(a)に示した折畳財布の正面図である。
【0027】
図2(a)および
図2(b)に示すように、マグネットホック212を外し、覆い211aを内側に向かって持ち上げることことでコイン収納部21が開かれる。覆い211aは、
図2(a)における右側の側壁211を延ばすことで形成され、その延びた部分にマグネットホック212の片方が固定されている。コイン収納部21が開かれると4方の側壁211が立ち上がり、四角柱状のコイン収納空間が展開される。すなわち、このコイン収納部21は、ボックス型をしている。
【0028】
図3(a)は、
図1(a)に示した折畳財布の第2カード収納部の配置位置を変更した状態を示す平面図であり、
図3(b)は、同図(a)に示した折畳財布の正面図である。
【0029】
図3(a)に示すように、折曲接続部33が折り曲げられると、第2カード収納部32は、ゴムバンド31と厚み方向に重なり合った位置に配置される。すなわち、第2カード収納部32は、基部2に対してフラップ部3を開いた展開状態では、厚み方向にゴムバンド31と重なり合う
図3に示す位置と、ゴムバンド31から離間してそのゴムバンド31と面方向に並んだ
図1に示す位置とに配置位置を変更可能に設けられている。そして、ゴムバンド31と面方向に並んだ位置では、ゴムバンド31が露出し、ゴムバンド31にカードなどを挟み込んだり、ゴムバンド31に挟み込まれているカードなどを取り出すことができる。この
図3(a)および
図3(b)に示す配置は、この折畳財布1の使用者が意図的に第2カード収納部32をゴムバンド31側に折り畳むことで達成される配置であり、通常の展開状態では
図1(a)および
図1(b)に示した配置になる。すなわち、後述する
図6に示した折畳状態から基部2側を下にしてフラップ部3を持ち上げて展開状態にすると、第2カード収納部32は、その自重により折曲接続部33の折り曲げが解除されてコイン収納部21の内側面を摺動しつつ自動的に
図1(a)および
図1(b)に示した配置になる。
【0030】
図4は、
図1(a)に示した折畳財布の第1カード収納部が有する第1仕切部材の上側部分を第1収納空間S1から引き出すとともに、第2カード収納部が有する第2仕切部材の上側部分を第2収納空間から引き出した状態を示す正面図である。
【0031】
図4に示すように、第1連結部材223の上端部には、第1フック2231が固定されている。また、第1袋体221の上端部には第1穴部2211が形成されている。この第1穴部2211に第1フック2231を挿入することで第1連結部材223の上端部は第1袋体221に保持される。同様に、第2連結部材323の上端部には、第2フック3231が固定されている。また、第2袋体321の上端部には第2穴部3211が形成されている。この第2穴部3211に第2フック3231を挿入することで第2連結部材323の上端部は第2袋体321に保持される。いままで説明してきた
図1乃至3では、第1フック2231が第1穴部2211に挿入されることで第1連結部材223の上端部が第1袋体221に保持され、第2フック3231が第2穴部3211に挿入されることで第2連結部材323の上端部が第2袋体321に保持された状態が示されている。なお、第1フック2231と第1穴部2211の組み合わせに代えて、ホックなどの保持具を用いて第1連結部材223の上端部を第1袋体221の上端部に保持してもよい。また第2フック3231と第2穴部3211の組み合わせも同様にホックなどの保持具に代えてもよい。
【0032】
第1フック2231を第1穴部2211から引き抜き、第1連結部材223を上側に引き上げることで、
図4に示すように、各第1仕切部材222それぞれの上側部分が、第1収納空間S1(
図1(a)参照)から引き出される。5枚の第1仕切部材222は、
図4において紙面奥側にあるものが最も上側に大きく引き出され、最も手前側にあるものが最も小さく引き出される。すなわち、各第1仕切部材222は、階段状に引出し方向にずれた状態で引き出される。同様に、第2連結部材323を上側に引き上げることで、各第2仕切部材322それぞれの上側部分が、第2収納空間S2(
図1(a)参照)から引出し方向にずれた状態で引き出される。以下、第1連結部材223を引き上げる前後の状態を詳細に説明する。
【0033】
図5(a)は、
図1(b)のA-A断面図であり、
図5(b)は、
図4のB-B断面図である。
【0034】
図5(a)に示すように、全ての第1仕切部材222が第1収納空間S1に収納された状態では、各第1仕切部材222は、厚み方向に重なった状態で第1収納空間S1を仕切っている。各第1仕切部材222は、極薄い革を2枚貼り合わせることで形成されている。各第1仕切部材222の間および
図5(a)において最も右側にある第1仕切部材222と第1袋体221の間にはカードCが挿入可能な空間が形成されている。第1仕切部材222が第1収納空間S1に収納された状態では、各第1仕切部材222の間や第1仕切部材222と第1袋体221の間に挿入されたカードCは、第1仕切部材222と並列に整然と第1収納空間S1に収納される。各第1仕切部材222の下端部分は、第1連結部材223に縫い付けられることで、第1連結部材223によって連結されている。各第1仕切部材222が第1収納空間S1に収納された状態では、第1連結部材223の下側部分は、各第1仕切部材222それぞれの間で折り畳まれている。また、第1連結部材223の上側部分は、第1袋体221の上を厚み方向に横切っている。そして、第1連結部材223の上端部に設けられた第1フック2231が、第1袋体221に設けられた第1穴部2211(
図4参照)に挿入されることで第1連結部材223の上端部が第1袋体221に保持されている。これにより、第1連結部材223の上側部分は、第1袋体221の上を厚み方向に横切った状態で固定され、第1仕切部材222や収納されているカードCが第1収納空間S1から上側に飛び出すことが防止されている。なお、第1仕切部材222は樹脂などの革以外の材質のもので形成されていてもよく、第1連結部材223は第1仕切部材222の下端部分に接着や溶着などによって固定されていてもよい。
【0035】
図5(b)に示すように、第1フック2231が設けられた第1連結部材223の上側端部を持ち上げることで、折り畳みが解除されて第1連結部材223の下側部分は伸長する。これにより、各第1仕切部材222の上側部分は、第1収納空間S1から順番に引き出され、厚さ方向に整然と並んで重なった状態から引出し方向にずれた状態に変化する。このとき、各第1仕切部材222の間や第1仕切部材222と第1袋体221の間に挿入されたカードCの上側部分も各第1仕切部材222と共に引出し方向にずれて露出するので、各カードCの種類を一見して識別しやすい。なお、上述したように第2袋体321、第2仕切部材322および第2連結部材323は、第1袋体221、第1仕切部材222および第1連結部材223と同様の構成をしており、同様の作用を有するので説明は省略する。
【0036】
図6は、
図1(a)に示した折畳財布を折り畳んだ折畳状態を示す平面図である。
【0037】
上述したように引手325を指でつまんで
図1(b)における右側に引っ張るか、
図3に示した状態から基部2に対してフラップ部3を折り畳むことで、折畳財布1は
図6に示す折畳状態になる。
図6に示すように、折畳状態では、第1カード収納部22と第2カード収納部32とゴムバンド31は厚み方向に重なり合い積層され、重なり合った第1カード収納部22と第2カード収納部32とゴムバンド31は、コイン収納部21に隣り合う位置に面方向に並んで配置される。すなわち、重なり合った第1カード収納部22と第2カード収納部32とゴムバンド31は、コイン収納部21とは厚み方向に重複しない位置に配置される。
【0038】
この実施形態の折畳財布1によれば、多数枚の硬貨が収納可能なコイン収納部21と第1カード収納部22と第2カード収納部32とゴムバンド31を備えていても、折畳状態における折畳財布1が分厚く嵩張ってしまうことを抑制できる。また、折畳財布1の折畳状態において、重なり合った第1カード収納部22などが、コイン収納部21と面方向に横並びで配置されるので、面方向の寸法が嵩張ってしまうことも抑制できる。また、第1カード収納部22と第2カード収納部32に加えてゴムバンド31を有しているので、折畳財布1に高い収納能力を備えることができる。さらに、展開状態において第2カード収納部32の配置位置を変更することで、ゴムバンド31が露出するのでゴムバンド31にカードなどを容易に挟み込むことができ、またゴムバンド31に挟み込まれたカードなどを容易に取り出すことができる。
【0039】
次に、第2実施形態の折畳財布1について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0040】
図7は、第2実施形態の折畳財布を展開した展開状態の折畳財布を示す、
図1(b)と同様の正面図である。
【0041】
図7に示す折畳財布1は、長財布である点で先の実施形態に示した折畳財布1とは異なる。この折畳財布1は、シート状の財布基体11をベースとして、各部材がそれぞれ取り付けられている。財布基体11には、第1折目1aと第2折目1bが形成されている。
図7に示すように、第2実施形態の折畳財布1は、第1折目1aによって基部2とフラップ部3が区切られ、第2折目1bによって、フラップ部3と折返部4が区切られている。
図7には、基部2に対してフラップ部3を開いた展開状態が示されている。第1折目1aでフラップ部3または基部2の一方を他方側に折り曲げることで折畳財布1を折り畳むことができる。また、折返部4は、第2折目1bでフラップ部3側に折り曲げることができる。
【0042】
基部2には、コイン収納部21と、第1カード収納部22と、ペン保持部23と、第2カード収納部32と、折曲接続部33とが設けられている。ペン保持部23は、
図7における上下端部が財布基体11に縫い付けられ、中間部分が財布基体11から離間したシート状をしている。その離間した部分にボールペンなどのペンPに形成されたクリップをひっかけることで、ペンPを保持することができる。
【0043】
折曲接続部33は、第1カード収納部22を構成する第1袋体221から連続しており、短破線で示された接続部折目33aで谷折りすることが可能に構成されている。また、先の実施形態と異なり、折曲接続部33は、財布基体11には縫い付けられていない。
図7に示すように、折曲接続部33が折り曲げられていない状態では、第2カード収納部32と第1カード収納部22は面方向に並んだ位置に配置され、第1カード収納部22が露出している。この露出した状態では、第1連結部材223も第2連結部材323も、それぞれ指でつかんで引き上げることができる。
【0044】
フラップ部3には、マルチ収納部34が設けられている。このマルチ収納部34は、付加収納部の一例に相当する。マルチ収納部34は、
図7における下辺と右辺は財布基体11に縫い付けられたシート状をしている。マルチ収納部34の上辺と左辺は財布基体11に縫い付けられておらず、その上辺または左辺から紙幣などを挿入することで、マルチ収納部34に紙幣などを収納することができる。また、マルチ収納部34の内側面には、第1ポケット341と第2ポケット342が設けられている。第1ポケット341と第2ポケット342は、
図7における左辺のみが開口した袋状をしている。これらの第1ポケット341と第2ポケット342の内部にはカードやレシートなどを収納することができる。
【0045】
折返部4は、折畳財布1が意図せず展開状態になってしまうことを防止するための部分である。第1折目1aで折り畳んだ折畳状態において折返部4を第2折目1bで折り曲げることで、折返部4は、基部2の裏面に回り込んで展開状態を防止する。折返部4には、磁石製の凸状封止ホック41が設けられている。基部2の裏面には、鉄製の凹状封止ホック24(
図10参照)が設けられており、その凹状封止ホック24と凸状封止ホック41が磁力によって付着することで折返部4が開いてしまうことが防止され、ひいては基部2に対してフラップ部3が開いてしまうことも防止される。
【0046】
図8は、
図7に示した折畳財布の第2カード収納部の配置位置を変更した状態を示す正面図である。
【0047】
図8に示すように、折曲接続部33が折り曲げられると、第2カード収納部32は、第1カード収納部22(
図7参照)と厚み方向に重なり合った位置に配置される。すなわち、基部2に対してフラップ部3を開いた展開状態において、第2カード収納部32は、厚み方向に第1カード収納部22と重なり合う
図8に示す位置と、第1カード収納部22から離間してその第1カード収納部22と面方向に並んだ
図7に示す位置とに配置位置を変更可能に設けられている。そして、第1カード収納部22と厚み方向に重なり合った位置では、マルチ収納部34の挿入口が露出する。これにより、マルチ収納部34に紙幣などを挿入したり、マルチ収納部34に収納されている紙幣などを取り出すことができる。また、その位置では、第2ポケット342の収納口も露出するので、第2ポケット342にカードやレシートなどを収納したり、第2ポケット342に収納されているカードやレシートなどを取り出すことができる。
【0048】
図9は、
図7に示した折畳財布を折り畳んだ折畳状態を示す正面図である。
【0049】
図8の中抜きの矢印で示されるように、基部2に対してフラップ部3を折り畳むことで折畳財布1は
図9に示した折畳状態になる。
図9には、折返部4が開いた状態が示されている。
図9の中抜きの矢印で示されるように、この状態から
図9の下側からまわし込むように折返部4を折り曲げることで凸状封止ホック41が基部2の凹状封止ホック24(
図10参照)に付着する。
【0050】
図10は、
図9のD矢視図である。この
図10では、
図7に示したペン保持部23は図示省略している。この
図10では、各部の厚みを誇張して示している。
【0051】
図10に示すように、折畳状態では、第1カード収納部22と第2カード収納部32は厚み方向に重なり合い、重なり合った第1カード収納部22と第2カード収納部32は、コイン収納部21に隣り合う位置に面方向に並んで配置される。すなわち、重なり合った第1カード収納部22と第2カード収納部32は、コイン収納部21とは厚み方向に重複しない位置に配置される。また、この第2実施形態では、マルチ収納部34は、第1カード収納部22および第2カード収納部32と厚み方向に重なり合い、さらにコイン収納部21とも厚み方向に重なりあっている。
【0052】
この第2実施形態の折畳財布1によっても、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、展開状態において第2カード収納部32の配置位置を変更することで、マルチ収納部34と第2ポケット342が露出するので紙幣などを容易に収納することができ、またマルチ収納部34と第2ポケット342から紙幣などを容易に取り出すことができる。
【0053】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、先の実施形態では、ゴムバンド31を設けたが、ゴムバンド31の代わりに第1カード収納部22と同様の構成で収容枚数を減らしたカード収納部やカードの収容枚数が2~3枚程度に制限されたポケットなどを設けてもよい。なお、このカード収容部やポケットのカード収容枚数を制限し、その部分の厚みを薄くすることで、
図6に示した折畳状態において折畳財布1が分厚く嵩張ってしまうことを抑制できる。また、折畳状態において、重なり合った第1カード収納部22および第2カード収納部32と、コイン収納部21との間に他の部材が配置されていてもよい。また、
図1に示した折畳財布1に
図7に示した折返部4と同様の部位を設けて折畳財布1が意図せず展開状態になってしまうことを防止できるように構成してもよい。
【0054】
以上説明した実施形態や変形例によれば、多数枚の硬貨が収納可能なコイン収納部21と第1カード収納部22と第2カード収納部32とを備えていても折畳状態において嵩張らない折畳財布1を提供することができる。
【0055】
なお、以上説明した実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 折畳財布
1a 第1折目
2 基部
3 フラップ部
21 コイン収納部
22 第1カード収納部
32 第2カード収納部