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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089002
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】包装容器及び展開体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
B65D5/54 Z
B65D5/54 311A
B65D5/54 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201187
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 絵美子
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB12
3E060AB18
3E060BA08
3E060CE05
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060CG23
3E060DA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切断性の低下を抑制しつつ、隣り合う切込みが直線上に近接して配置されることを回避する技術を提供する。
【解決手段】切断構造は、包装容器上に、切断方向に沿って並ぶ複数の第1切込みを含む第1切込群を備え、前記複数の第1切込みのそれぞれは、前記切断方向に延びる第1切込部と、前記第1切込部の前記切断方向前方に配置されている第2切込部であって、前記第1切込部の延長線上からずれて、前記切断方向に延びる前記第2切込部と、前記第1切込部と前記第2切込部との間に配置され、前記第1切込部と前記第2切込部とのそれぞれに連結される第3切込部と、前記第1切込部の前記切断方向後端に連結されており、前記第1切込部に対して傾斜する第4切込部を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器のための切断構造であって、
前記包装容器上に、切断方向に沿って並ぶ複数の第1切込みを含む第1切込群を備え、
前記複数の第1切込みのそれぞれは、
前記切断方向に延びる第1切込部と、
前記第1切込部の前記切断方向前方に配置されている第2切込部であって、前記第1切込部の延長線上からずれて、前記切断方向に延びる前記第2切込部と、
前記第1切込部と前記第2切込部との間に配置され、前記第1切込部と前記第2切込部とのそれぞれに連結される第3切込部と、
前記第1切込部の前記切断方向後端に連結されており、前記第1切込部に対して傾斜する第4切込部を備える、切断構造。
【請求項2】
前記切断方向に隣り合う2個の第1切込みにおいて、前記切断方向後方に位置する前記第1切込みの前記第2切込部の前端は、前記切断方向前方に位置する前記第1切込みの前記第1切込部の後端よりも後方に位置する、請求項1に記載の切断構造。
【請求項3】
前記第4切込部は、前記切断方向に対して垂直に配置されており、
前記第4切込部の長さは、前記第3切込部よりも長い、請求項1又は2に記載の切断構造。
【請求項4】
前記第1切込部と前記第2切込部とは、互いに平行である、請求項1から3のいずれか一項に記載の切断構造。
【請求項5】
前記第1切込群に間隔を有して配置されており、前記切断方向に沿って並ぶ複数の第2切込みを含む第2切込群をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の切断構造。
【請求項6】
前記第2切込部は、前記第1切込部よりも前記第2切込群側に配置されている、請求項5に記載の切断構造。
【請求項7】
前記第4切込部は、前記第2切込群に向かって延びている、請求項5又は6に記載の切断構造。
【請求項8】
前記第1切込部は、前記第2切込部以上の長さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の切断構造。
【請求項9】
前記第2切込部は、前記包装容器の角部に配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の切断構造。
【請求項10】
前記第1切込部と前記第2切込部とは、前記切断方向と垂直方向において前記第1切込部の前記第2切込部側に位置する前記包装容器の部分が前記角部を構成する前記包装容器の側板の端縁と重なるように配置されている、請求項9に記載の切断構造。
【請求項11】
前記第1切込部と前記第2切込部との前記切断方向に垂直方向の距離は、前記包装容器の板厚以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の切断構造。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の切断構造を備える包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、包装容器を切断するための切断構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、切断方向に沿って断続的に切り込まれた複数の切込部を備える包装箱が開示されている。切込部は、切断方向に延びる第一切込線と、第一切込線の切断方向上流端から第一切込線に対して直角に延びる第二切込線と、を有する。複数の切込部の第一切込線は、切断方向の一直線上に並ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-90292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切断方向に延びる複数の第一切込線が切断方向の一直線上に配置されている構成では、隣り合う第一切込線の間隔を小さくすることによって切断しやすくなり、切断性を向上させることができる。しかしながら、第一切込線が配置されている直線上で折れ曲がりやすくなり、包装容器の剛性が低下する。逆に、隣り合う第一切込線の間隔が大きいと、意図した切断位置において切断せず、実際の切断位置が意図した切断位置からずれてしまう場合がある。
【0005】
本明細書では、切断性の低下を抑制しつつ、隣り合う切込みが直線上に近接して配置されることを回避する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、包装容器のための切断構造を開示する。切断構造は、前記包装容器上に、切断方向に沿って並ぶ複数の第1切込みを含む第1切込群を備え、前記複数の第1切込みのそれぞれは、前記切断方向に延びる第1切込部と、前記第1切込部の前記切断方向前方に配置されている第2切込部であって、前記第1切込部の延長線上からずれて、前記切断方向に延びる前記第2切込部と、前記第1切込部と前記第2切込部との間に配置され、前記第1切込部と前記第2切込部とのそれぞれに連結される第3切込部と、前記第1切込部の前記切断方向後端に連結されており、前記第1切込部に対して傾斜する第4切込部を備える。
【0007】
例えば、切断方向に沿って並ぶ複数の切込みが、切断方向に一直線上に並ぶ構成では、切断性を考慮して隣り合う2個の切込みを近づけて配置すると、複数の切込みが並ぶ直線で折れ曲がりやすくなる。
【0008】
一方において、上記の切断構造では、複数の第1切込みのそれぞれは、切断方向に延びる第1切込部と、第1切込部の延長線上からずれた位置に配置される第2切込部と、を備える。この構成によれば、切断方向に隣り合う2個の第1切込みにおいて、切断方向前側の第1切込みの後部に位置する第1切込部と、切断方向後側の第1切込みの前部に位置する第2切込部と、が、一直線上に配置されることを回避することができる。これにより、切断方向に隣り合う2個の第1切込みの隙間を小さくしても、第1切込部同士が近接して配置される事態、及び、第2切込部同士が近接して配置される事態を回避することができる。この構成によれば、複数の切込みが切断方向に一直線上に並ぶ構成と比較して、同一直線上の切込部が近接して配置されることを回避しつつ、切断性の低下を抑制するために複数の第1切込みを近づけることができる。
【0009】
前記切断方向に隣り合う2個の第1切込みにおいて、前記切断方向後方に位置する前記第1切込みの前記第2切込部の前端は、前記切断方向前方に位置する前記第1切込みの前記第1切込部の後端よりも後方に位置していてもよい。この構成によれば、切断方向に隣り合う2個の第1切込みの間隔を大きくすることができる。これにより、複数の第1切込みを近づけすぎることを防止することができる。この結果、隣り合う2個の第1切込みにおいて、同一直線上に並ぶ第1切込部同士、及び、第2切込部同士のそれぞれを互いに近接して配置することを回避することができる。これにより、包装容器の剛性の低下を抑制することができる。
【0010】
前記第4切込部は、前記切断方向に対して垂直に配置されていてもよい。前記第4切込部の長さは、前記第3切込部よりも長くてもよい。この構成では、切断構造を切断方向に沿って切断させる場合、第1切込みの後端において、第1切込みよりも後方に位置する包装容器の部分を、第4切込部に沿って折れ曲がりやすくすることができる。このため、第4切込部側に位置する包装容器の部分を引っ張って、包装容器を切断構造に沿って切断させる際に、把持部分が包装容器から引張方向に離間するように折れ曲がり、把持しやすくなる。
【0011】
前記第1切込部と前記第2切込部とは、互いに平行であってもよい。この構成によれば、切断構造を、意図した切断方向から逸れて切断する事態を抑制することができる。
【0012】
前記第1切込群に間隔を有して配置されており、前記切断方向に沿って並ぶ複数の第2切込みを含む第2切込群をさらに備えていてもよい。この構成によれば、第1切込群と第2切込群との間に位置する包装容器の部分を把持して、第1切込群と第2切込群とを切断させることによって、包装容器を切断させることができる。
【0013】
前記第2切込部は、前記第1切込部よりも前記第2切込群側に配置されていてもよい。
【0014】
前記第4切込部は、前記第2切込群に向かって延びていてもよい。この構成によれば、第1切込群と第2切込群との間に位置する包装容器の部分を引っ張って、第1切込群と第2切込群とを切断させている間に、把持している部分が包装容器から引張方向に離間するように折れ曲がり、把持しやすくなる。
【0015】
前記第1切込部は、前記第2切込部以上の長さを有していてもよい。
【0016】
前記第2切込部は、前記包装容器の角部に配置されていてもよい。平板を折り曲げて角部が形成されている構成では、平板の厚みに応じて、角部の外側表面に張力が負荷される。角部に断続的に並ぶ切込みを配置すると、隣り合う切込みの間に位置する部分には張力が負荷される一方、切込みには張力が負荷されず、角部の折り曲げに従って切込みが開かれる。この結果、隣り合う切込みの間に位置する部分の切込みに近接する部分には、大きな張力が負荷される。
【0017】
第1切込群では、第4切込部によって、第1切込みの後端において、第1切込みが角部に対応して開くことによって隣り合う第1切込みの間に位置する部分が引っ張られる事態を抑制することができる。第1切込みの前端では、第2切込部が切断方向に沿って延びていることによって、切断構造の切断性が低下することを抑制することができる。
【0018】
前記第1切込部と前記第2切込部とは、前記切断方向と垂直方向において前記第1切込部の前記第2切込部側に位置する包装容器の部分が前記角部を構成する前記包装容器の側板の端縁と重なるように配置されていてもよい。この構成によれば、包装容器の角部を構成する部分では、切断方向と垂直方向において第1切込部の第2切込部側に位置する包装容器の部分(以下、「重複部分」と呼ぶ)が側板(以下「重複側板」)の端縁に重なることによって、切断構造が配置されている側板に荷重が付与される場合に、重複部分が重複側板に支持されることによって、重複部分が変形することを抑制することができる。これにより、包装容器が荷重によって変形する事態を抑制することができる。
【0019】
記第1切込部と前記第2切込部との前記切断方向に垂直方向の距離は、前記包装容器の板厚以下であってもよい。
【0020】
上記のいずれかの切断構造を有する包装容器、及び、包装容器を作製するための展開体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の包装容器の斜視図。
図2】第1実施形態の包装容器の展開体。
図3】第1実施形態の切断構造の拡大図。
図4図1のIV-IV断面の断面図。
図5】第1実施形態の切断構造を切断している途中の状態を示す斜視図。
図6】第2実施形態の包装容器の斜視図。
図7】第2実施形態の切断構造の拡大図。
図8】第3実施形態の包装容器の斜視図。
図9】第3実施形態の切断構造の拡大図。
図10】第4実施形態の包装容器の斜視図。
図11】第5実施形態の包装容器の斜視図。
図12】第6実施形態の包装容器の斜視図。
図13】第6実施形態の包装容器の展開体。
図14】変形例の包装容器の展開体。
【0022】
(第1実施形態)
図1及び図2に示される包装容器10は、配送に用いられる。なお、包装容器10の用途は配送に限られず、収納、贈答等に用いられてもよい。図1には、本実施形態を通して用いられる上下方向、手前奥方向、左右方向のそれぞれが示されている。こられの上下方向、手前奥方向、左右方向は、本実施例の説明を容易にするために用いられるものであり、包装容器10の使用方向を規定するものではない。包装容器10は、直方体形状を有する。変形例では、包装容器10は、立方体形状等の他の形状を有していてもよい。
【0023】
(展開体の構成)
図2に示すように、包装容器10は、一枚の段ボール紙製の展開体BLを折曲線に沿って折り曲げることによって組み立てられる。段ボール紙は、厚さが1.0mmである。なお、展開体BLの厚み、及び、材質は、特に制限されない。包装容器10では、段ボール紙の中芯の山が、左右方向に垂直に配置されている。図2では、折曲線は、細い破線で描画されている。折曲線には、折り曲げやすいように、凹溝が形成されている。なお、変形例では、折曲線は、他の部分と同様に溝等が設けられていなくてもよい。包装容器10は、蓋板12と、底板20と、4個の側板30、32、34、36と、3個の上端フラップ42、44、46と、4個の側板フラップ48と、を備える。
【0024】
底板20は、長方形状の平板を有する。底板20の4個の端縁のそれぞれには、側板30、32、34、36のそれぞれが折曲線を挟んで連結されている。側板30、32、34、36のそれぞれは、直方体の1面を構成する長方形状の平板を有する。側板30、32、34、36のそれぞれは、底板20に対して直角に折り曲げられる。
【0025】
左右方向において互いに対向する側板32、36のそれぞれには、手前奥方向のそれぞれの端縁に、側板フラップ48が連結されている。側板32に連結される側板フラップ48のそれぞれは、側板32に対して折り曲げられて、包装容器10内に配置される。同様に、側板36に連結される側板フラップ48のそれぞれは、側板36に対して折り曲げられて、包装容器10内に配置される。
【0026】
側板32の底板20と反対側の端縁には、上端フラップ42が連結されている。上端フラップ42は、側板32に対して折り曲げられて、包装容器10内に配置される。側板36の底板20と反対側の端縁には、上端フラップ46が連結されている。上端フラップ46は、側板36に対して折り曲げられて、包装容器10内に配置される。
【0027】
側板34の底板20と反対側の端縁には、上端フラップ44が連結されている。上端フラップ44は、上端フラップ42、46が側板32、36に対して折り曲げられた後に、側板34に対して折り曲げられる。上端フラップ44の左右両端のそれぞれには、差込片44bが配置されている。側板32側に配置されている差込片44bは、側板32と上端フラップ42との境界の角部に配置される差込口42bに差し込まれる。側板36側に配置されている差込片44bは、側板36と上端フラップ46との境界の角部に配置される差込口46bに差し込まれる。これにより、上端フラップ42、44、46が、側板32、34、36に対して折り曲げられている状態に維持される。
【0028】
側板30の上端縁には、蓋板12が折曲線を介して連結されている。蓋板12は、底板20に対向して配置される。蓋板12は、側板30、32、34、36で画定される包装容器10の開口を閉塞する略長方形の平板形状を有する。
【0029】
蓋板12は、差込片14、16、18を備える。差込片14は、蓋板12の側板30と反対側の端縁において、左右方向中央に配置されている。差込片14は、側板34と上端フラップ44との境界の角部に配置される差込口44aに差し込まれる。差込片16は、蓋板12の右端縁に配置されている。差込片16は、側板32と上端フラップ42との境界の角部に配置される差込口42aに差し込まれる。差込片18は、蓋板12の左端縁に配置されている。差込片18は、側板36と上端フラップ46との境界の角部に配置される差込口46aに差し込まれる。これにより、蓋板12が側板30、32、34、36で画定される包装容器10の開口を閉塞している状態に維持される。
【0030】
差込片14は、差込口44aに差し込まれると、差込片14の左右両端が上端フラップ44に係合することによって、蓋板12が容易に開封されることを防止することができる。
【0031】
(切断構造50の構成)
蓋板12には、切断構造50が配置されている。切断構造50は、蓋板12の側板30側の端部に配置されている。切断構造50は、蓋板12の左右方向の全長に亘って配置されている。図3に示すように、切断構造50は、一対の切込群52、54を備える。
【0032】
切込群52は、複数の切込み60を備える。複数の切込み60は、互いに間隔を有して切断方向CDに沿って並んでいる。切断方向CDは、左右方向に平行である。なお、以下では、切断方向CDに沿って、前後方向が規定される。前後方向は、包装容器10における左右方向に平行であり、右が後、左が前に相当する。切込み60は、蓋板12と側板30との境界の角部に配置されている。切込み60は、全長に亘って蓋板12と側板30の境界の角部を貫通している。展開体BLでは、切込み60は、蓋板12と側板30とによって隙間なく閉じられている。切込み60は、4個の切込部62、64、66、68を備える。切込部62は、切断方向CDに平行に配置されている。切込部64は、切断方向CDに平行に配置されている。切込部64は、切込部62よりも切込群54側にずれて配置されている。切込部64の長さL2は、切込部62の長さL1以下の長さである。切込部62と切込部64との間の長さL3は、展開体BLの板厚以下である。長さL3は、展開体BLの厚さの50~100%の長さを有していていもよい。切断方向CDにおいて、切込部64の後端は、切込部62の前端よりも前側に位置している。
【0033】
切込部62と切込部64とは、切込部66によって連結されている。切込部66は、切込部62の前端と切込部64の後端のそれぞれに連結されている。切込部66は、切断方向CDに対して傾斜して配置されている。
【0034】
切込部62の後端には、切込部68が連結されている。切込部68は、切込部62に対して垂直に配置されている。切込部68は、切込部62の後端から切込群54に向かって延びている。
【0035】
包装容器10では、複数の切込部64が並ぶ直線上の折曲線において、蓋板12と側板30との境界が折り曲げられて、角部が形成されている。蓋板12と側板30との境界の角部では、蓋板12のうち、切込部62から切断方向CDに垂直な方向に位置しており、切断方向CDに垂直な方向において切込部62と切込部64との間に配置される重複部分12aが、切込部64が配置されている部分における蓋板12の端縁12bから突出する。この結果、図4に示すように、重複部分12aは、側板30の上端縁の上方に配置される。重複部分12aの大きさは、切込部62と切込部64との間の長さL3によって変化する。
【0036】
切込群54は、複数の切込み70を備える。複数の切込み70は、互いに間隔を置いて切断方向CDに沿って並んでいる。切込み70は、全長に亘って蓋板12を貫通している。切込み70は、蓋板12によって隙間なく閉じられている。切込み70は、切込部72、74を備える。切込部72は、切断方向CDに平行に配置されている。切込部74は、切断方向CDにおいて切込部72の後端に連結されている。切込部74は、切込部72に対して切込群52に向かって傾斜して配置されている。切断方向CDにおいて、各切込み60の前端の位置PSには、切込み70の前端が揃っている。
【0037】
(切断構造50の切断方法)
図5に示すように、ユーザは、切断方向CDの前方(即ち右から左)に向かって切込群52、54の間に位置する把持部分80を引っ張ることによって、切断構造50を切断させることができる。把持部分80は、切断位置が切込み60の切込部68に到達するごとに、切込部68が起点となって引張方向に折り曲げられる。これにより、把持部分80の引張方向に沿って、把持部分80を変形させることができる。切込部68の長さL4は、切込部66の長さよりも大きい。切込部68を長くすることによって、把持部分80を折れ曲がりやすくすることができる。この結果、ユーザは、引張方向を調整せずに、切断構造50を切断させることができる。
【0038】
切込み60では、切断方向CDの前端に、切断方向CDに平行な切込部64が配置されている。このため、切断位置が切込部64に到達すると、切込部64が開かれることによって、切断方向CD前方に位置する切込み60との間に位置する連結部分69(図3参照)が、引き裂かれて切断される。これにより、切込み60をスムーズに切断することができる。
【0039】
(効果)
切込群52では、切断方向CDに沿って複数の切込み60が並ぶ。複数の切込み60のそれぞれは、切断方向CDに延びる切込部62と、切込部62の延長線上からずれた位置に配置される切込部64と、を備える。切断方向CDに隣り合う2個の切込み60において、切断方向CDの前側の切込み60の後端に位置する切込部62と、切断方向CDの後側の切込み60の前端に位置する切込部64と、が、一直線上に配置されることを回避することができる。これにより、切断方向CDに隣り合う2個の切込み60の隙間の連結部分69を小さくしても、互いに同一直線上に配置される切込部62同士が近接して配置される状態、及び、互いに同一直線上に配置される切込部64同士が近接して配置される状態を回避することができる。これにより、切断性の低下を抑制しつつ、切込部62同士が近接して配置される状態、及び、切込部64同士が近接して配置される状態を回避することができる。
【0040】
切込群52では、切断方向CDにおいて隣り合う2個の切込み60において、切断方向CDの後方に位置する切込み60の切込部64の前端は、切断方向CDの前方に位置する切込み60の切込部62の後端よりも連結部分69を挟んで後方に位置する。これにより、隣り合う2個の切込み60の間隔を大きくすることができる。これにより、隣り合う2個の切込み60において、同一直線上に並ぶ切込部62同士、及び、切込部64同士のそれぞれを互いに近接して配置することを回避することができる。これにより、包装容器10の剛性の低下を抑制することができる。切込み60の前端に配置される切込部64が切断方向CDに平行に配置されることによって、隣り合う2個の切込み60の間に位置する連結部分69が切断しやすくされているために、隣り合う2個の切込み60の間に隙間を置いても、切断構造50を適切に切断することができる。
【0041】
切込部62と切込部64とは、互いに平行に配置されている。この構成によれば、切断構造50の切断時に、切断方向CDから外れて、意図しない部分が切断されることを抑制することができる。
【0042】
切込群52では、切込部64が、蓋板12と側板30との境界の角部に配置されている。展開体BLを折り曲げて、蓋板12と側板30との境界の角部を形成すると、角部の外側表面には、展開体BLの厚みに応じた張力が負荷される。切込群52では、切込部62、64、66が角部に合わせて開かれることによって、張力は負荷されない。一方、連結部分69には、張力が負荷される。仮に、連結部分69の両端の少なくとも一方に切断方向CDに対して傾斜する切込部68が配置されていない構成では、連結部分69の両端において切断方向CDに平行な切込部が開くのに伴って、連結部分69の両端部分に大きな張力が負荷される。
【0043】
切込群52では、連結部分69の切断方向CDの前側に切断方向CDに垂直な切込部68が配置されている。これにより、連結部分69に負荷される張力を低減することができる。この結果、連結部分69が引っ張られて破損する事態を抑制することができる。切込群52では、連結部分69の切断方向CDの後方に切込部64を配置することによって、切込部68が配置されることによる切断性の低下を抑制することができる。
【0044】
比較例として、切込群54が蓋板12と側板30との角部に配置され、切込部72が角部の折曲線上に配置され、切込部74が蓋板12側に傾斜する構成を検討する。比較例では、展開体BLを折り曲げて角部を形成すると、隣り合う切込み70の間の連結部分では、切込部74の両端が折れ曲がりの起点となる。この結果、複数の切込み70の切込部74の両端のそれぞれにおいて、複数の切込み70の切込部74の端部が並ぶ直線上で折れ曲がってしまう。この結果、連結部分では、隣り合う切込み70のうち、切断方向CD前側の切込み70の後端と、切断方向CD後側の切込みの前端と、のそれぞれの近傍に張力が大きく負荷される。これにより、連結部分が損傷しやすくなる。また、各切込み70では、切断方向CDの前後端に隣接する連結部分に負荷される張力によって、切込み70の中央部分に位置する蓋板12の部分が、側板30から離間する方向にめくれ上がりやすくなっている。これにより、包装容器10を利用して、配送する場合に、切込群54が損傷する可能性がある。
【0045】
切断構造50では、切込部68によって連結部分69の張力が抑えられており、連結部分69に損傷が発生することを抑制することができる。また、連結部分69の張力が抑えられているために、各切込み60の中央部分に位置する蓋板12の部分が、側板30から離間する方向にめくれ上がる事態を回避することができる。
【0046】
切込群52では、重複部分12aが、側板30の上端縁の上方に配置される。これにより、蓋板12に上方から荷重が負荷される場合、重複部分12aが側板30に接触することによって、切込群52周辺の蓋板12の変形を抑制することができる。この結果、包装容器10が荷重によって破損する事態を抑制することができる。
【0047】
切断構造50では、長さL3が板厚以下に抑えられているために、重複部分12aが、側板30から大きく突出せずに済む。長さL3を展開体BLの板厚の50%から100%に設定することによって、重複部分12aが、側板30から大きく突出せず、かつ、荷重を受ける際に側板30に接触して、側板30から外れることを抑制することができる。
【0048】
切込部62の長さL1は、切込部64の長さL2以上の長さである。この構成によれば、重複部分12aを長くすることができる。これにより、荷重を受ける際に側板30に接触して、側板30から外れることを抑制することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図6及び図7を参照して、第2実施形態の包装容器210について説明する。包装容器210は、包装容器10と比較して、切断構造250の構成が切断構造50の構成と異なる。その他の包装容器210の構成は、包装容器10と同一である。
【0050】
切断構造250は、切込群52、254を備える。切込群52は、包装容器10の切込群52と同一である。切込群254は、複数の切込み270を備える。切込み270は、切込部272、274を備える。切込部272は、切断方向CDに平行に配置されている。切込部272は、間隔を置いて配置される2個の切込み部分で構成されている。切込部274は、切込部74と同一である。
【0051】
(第3実施形態)
図8及び図9を参照して、第3実施形態の包装容器310について説明する。包装容器310は、包装容器10と比較して、切断構造350の構成が切断構造50の構成と異なる。その他の包装容器310の構成は、包装容器10と同一である。
【0052】
切断構造350は、蓋板12の前後方向の中間位置に配置されている。切断構造350は、切込群52、354を備える。切込群52は、包装容器10の切込群52と同一である。但し、切込群52は、蓋板12の平面部分に配置されている。切込群354は、複数の切込み370を備える。切込み370は、切込み60と同様の構成を有する。切込み370は、切込み60に対して、手前奥方向に反転した形状を有する。切込み370は、切込部372、374、376、378を備える。切込部372、374、376、378のそれぞれは、切込部62、64、66、68のそれぞれに対応する。
【0053】
(第4実施形態)
図10に示すように、第4実施形態の包装容器410では、第3実施形態と比較して、切断構造450の構成が、切断構造350の構成と異なる。切断構造450は、切込群452、454を備える。切込群452は、切込群354に対して手前奥方向において反転した形状を有する。切込群454は、切込群52に対して手前奥方向において反転した形状を有する。
【0054】
(第5実施形態)
図11を参照して、第5実施形態の包装容器510について説明する。包装容器510は、包装容器310と比較して、切断構造550の構成が切断構造350の構成と異なる。その他の包装容器510の構成は、包装容器310と同一である。
【0055】
切断構造550は、蓋板12の手前側の端から左右方向のそれぞれに傾斜して配置される切込群552、554を備える。切込群552、554のそれぞれは、間隔を置いて並ぶ複数の切込み60を備える。ユーザは、切込群552、554の間の蓋板12の後端縁を持ち上げて、切込群552、554を切断することによって、包装容器510を開封する。
【0056】
(第6実施形態)
図12及び図13を参照して、第6実施形態の包装容器610を説明する。包装容器610は、立方体形状を有する。包装容器610は、側板630、632、634に配置される切断構造650を備える。切断構造650は、切込群652、654を備える。切込群652、654は、互いに間隔を有して平行に配置されている。切込群652、654には、複数の切込み60が互いに間隔を有して並んでいる。切込群652では、切込部68が切込群654に向かって延びる向きに切込み60が配置されている。切込群654では、切込部68が切込群652に向かって延びる向きに切込み60が配置されている。側板632では、切込群652、654の複数の切込み60が、左右方向に平行に並んでいる。側板630、634のそれぞれでは、切込群652、654の複数の切込み60が、側板632から離間するのに従って上方に傾斜して配置されている。側板630の切込群652、654の間には、上下方向に延びる切込み636が配置されている。ユーザは、切込み636に指を挿入して、側板632の切込群652、654の間の部分を把持して、左右方向のそれぞれに、引っ張ることによって、切断構造650を切断する。
【0057】
図14に示すように、包装容器610の切込群654の切込み60が、切込部68が切込群654と反対側に向かって延びる向きに配置されていてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0059】
例えば、切込み60では、切込部68が切断方向CDに対して垂直に配置されていなくてもよい。この場合、切込部68は、切断方向CD、即ち、切込部62に対して傾斜して配置されていればよい。
【0060】
例えば、切込部62、64は、互いに平行に並んでいなくてもよい。また、切込部62、64の少なくとも一方は、切断方向CDに対して傾斜していてもよい。
【0061】
また、切断構造50は、切込群54を備えていなくてもよい。即ち、切断構造50は、1個の切込群52を備えていてもよい。切断構造250、350、450、550、650も同様である。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0063】
10 :包装容器
12 :蓋板
12a :重複部分
12b :端縁
20 :底板
30、32、34、36:側板
50 :切断構造
52、54:切込群
60、70:切込み
62、64、66、68:切込部
69 :連結部分
80 :把持部分
BL :展開体
CD :切断方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14