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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089008
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ガスの集中監視方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220608BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201199
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰正
(72)【発明者】
【氏名】横沢 正彦
(72)【発明者】
【氏名】二本松 敬文
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 広栄
(72)【発明者】
【氏名】三木 太一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 泰明
(72)【発明者】
【氏名】小澤 明也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】人手に頼っていたガス料金の請求手続きの作業を省略できるようにしたガスの集中監視方法を提案すること。
【解決手段】ガスの集中監視方法を用いた集中監視システム1では、集中監視・データサーバ70は、月毎に、各顧客に、二次元コードが印刷されたガス料金の請求書を圧着はがき101の形態で送付する。オンライン請求を希望する顧客は、圧着はがきに印刷されている二次元コードを顧客側通信端末9によって読み取り、集中監視・データサーバ70に対してオンライン請求会員の登録要求を二次元コードと共に送信する(S52、S53)。これを受信した集中監視・データサーバ70は、顧客をオンライン請求会員としてデータベース71に登録し、次回からは、圧着はがきの代わりに、顧客のメールアドレスに請求データを送信する(S56)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ガス需要家宅にガスを供給するガス事業者の事業者サーバから、各ガス需要家宅を特定する顧客データおよびガス料金の算出に必要なガス料金データを含むコンテンツ用データを、各ガス需要家宅のガスの使用を監視する管理会社の集中監視・データサーバに提供し、
前記集中監視・データサーバは、提供された前記コンテンツ用データに基づき、各ガス需要家宅に設置されたガスメータの検針・保安・保守データを含む日次データ・詳細データを、当該ガスメータに付設したメータ用通信機を介して、収集し、
前記集中監視・データサーバは、収集した前記日次データ・詳細データに基づき、各ガス需要家宅のガス使用状況の監視、ガス使用状況を監視し、
前記集中監視・データサーバと前記事業者サーバは、少なくとも前記顧客データを自動連携により共有する自動連携機能を備えており、
前記自動連携機能により、前記事業者サーバを介して前記顧客データの新規登録、更新が行われる事業者側顧客データベースの内容が、定期的に、前記集中監視・データサーバの側の監視側顧客データベースに自動反映され、
前記顧客データには、少なくとも、顧客管理コード、顧客名、顧客住所、通信先である顧客側通信端末のメールアドレスおよび検針締日に関するデータが含まれており、
前記日次データには、毎月の検針データ、保守・保管データが含まれており、
前記詳細データには、一日の時間毎および用途別の検針値が含まれているガスの集中監視方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ガス事業者が、事業者側通信端末を介して、前記集中監視・データサーバにアクセスしてオンライン会員の登録要求を送信すると、
前記集中監視・データサーバは、受信した前記オンライン会員の登録要求の対象となる顧客に紐付けされた二次元コードを生成して、前記事業者側通信端末を介いて、前記ガス事業者に発行し、
前記ガス事業者は、発行された前記二次元コードを、前記顧客住所に紙媒体に印刷された形態で通知し、
前記顧客が、前記顧客側通信端末によって前記二次元コードを読み取り、前記集中監視・データサーバに送信して前記オンライン会員の登録要求を行うと、
前記集中監視・データサーバは、受信した前記二次元コードに紐付けされている前記顧客を前記オンライン会員として、ログインIDおよびパスワードと共に前記監視側顧客データベースに登録し、前記通信先に、登録完了通知を送信し、
前記監視側顧客データベースの更新内容が、前記自動連携機能により、前記事業者側顧客データベースに反映され、
前記オンライン会員として登録された前記顧客は、前記顧客側通信端末を用いて前記集中監視・データサーバにアクセスして、前記集中監視・データサーバによって提供される検針票・請求書データ、日次データ・詳細データが閲覧可能になるガスの集中監視方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記集中監視・データサーバは、月毎に、各顧客についてガス検針票データおよびガス料金請求書データを含む請求データを、各顧客に紐付けした二次元コードのデータと共に生成して、前記請求データおよび前記二次元コードが印刷された圧着はがきを作成し、
前記圧着はがきを受け取った前記顧客が、印刷されている前記二次元コードを前記顧客側通信端末によって読み取り、前記集中監視・データサーバに対してオンライン請求会員の登録要求を送信すると、
前記集中監視・データサーバは、受信した前記二次元コードに紐付けされている前記顧客を前記オンライン請求会員として、ログインIDおよびパスワードと共に前記監視側顧客データベースに登録し、前記通信先に、登録完了通知を送信し、
前記監視側顧客データベースの更新内容が、前記自動連携機能により、前記事業者側顧客データベースに反映され、
前記集中監視・データサーバは、前記オンライン請求会員に対しては、前記圧着はがきを送る代わりに、前記通信先に、前記請求データを通知するガスの集中監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各ガス需要家宅でのガス使用状況の監視を、通信回線を介して、集中監視するガスの集中監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、少子高齢化に伴う人手不足の中、多数のガス需要家宅でのガスの使用状況を通信回線を介して集中監視するガスの集中監視が普及してきている。例えば、特許文献1に記載されているように、MNO、MVNOから提供されるSMS対応データ通信SIMなどの通信モジュールを備えたLPWA機器を利用して、ガスの自動検針を行うシステムが構築されている。
【0003】
このようなシステムを用いたガスの集中監視では、ガス事業者毎にシステムを構築して集中監視を行うのではなく、複数のガス事業者から委託された管理会社が運営する集中監視・データサーバによって、各ガス事業者が提供する多数のガス需要家宅でのガス使用状況が集中監視される。各ガス事業者は、それぞれ、顧客データ、料金体系データ、ガスメータ等の機器データが登録されたデータベースを備えている。管理会社にガスの集中監視を委託する場合には、各ガス事業者から管理会社に顧客データ等が引き渡される。各ガス事業者は新たに登録された顧客情報などを、都度、管理会社に通知し、管理会社の側においては、人手を介して、集中監視用の顧客データベースの登録、更新が行われる。
【0004】
また、このようなシステムを利用する場合には、従来のような検針員による各ガス需要家宅での検針および検針票の発行等を行う代わりに、集中監視・データサーバの側において、検針票データ、ガス使用料の請求書データを生成して出力できる。一般に、検針票データおよび請求書データが印刷された圧着はがきを作成し、人手により、圧着はがきが各ガス需要家宅宛てに郵送される。各顧客(ガス需要家)は、郵送された圧着はがきの剥離紙を剥がして、印刷されている検針票、請求書を確認して、ガス料金の支払いを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-119892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガスの集中監視システムは、検針員による検針作業、検針票発行作業などを不要とすることで人手不足を解消できる。しかしながら、次のような課題が依然として残っている。
【0007】
まず、各ガス事業者における顧客データの登録、更新情報を、定期的に、管理会社に通知して、管理会社の側において、人手により、管理会社側の顧客データベースの登録、更新作業を行っている。また、ガス料金の請求のための検針票、請求書は圧着はがきの形態で各顧客宛てに郵送される。さらに、検針票の具体的な内容、請求書の具体的な内容について確認したい場合等においては、顧客は、電話、電子メール等の手段によって問い合わせを行い、これに応答して管理会社側の担当者が同じく電話、電子メール等で回答する必要がある。検針作業などを自動で行うガスの集中監視において、このような人手に頼っている作業を無くすことができることが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、集中監視・データサーバを運営する管理会社の側において人手に頼っていた作業を可能な限り省略できるようにしたガスの集中監視方法を提案することにある。また、本発明の目的は、これに加えて、各顧客が検針情報、ガス料金等のガス使用状況に関する情報を簡単に確認できるようにしたガスの集中監視方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のガスの集中監視方法では、各ガス需要家宅にガスを供給するガス事業者の事業者サーバから、各ガス需要家宅を特定する顧客データおよびガス料金の算出に必要なガス料金データを含むコンテンツ用データを、各ガス需要家宅のガスの使用を監視する管理会社の集中監視・データサーバに提供し、前記集中監視・データサーバは、提供された前記コンテンツ用データに基づき、各ガス需要家宅に設置されたガスメータの検針・保安・保守データを含む日次データ・詳細データを、当該ガスメータに付設したメータ用通信機を介して、収集し、また、前記集中監視・データサーバは、収集した前記日次データ・詳細データに基づき、各ガス需要家宅のガス使用状況の監視、ガス使用状況の分析を行う。前記集中監視・データサーバと前記事業者サーバは、少なくとも前記顧客データを自動連携により共有する自動連携機能を備えており、前記自動連携機能により、前記事業者サーバを介して前記顧客データの新規登録、更新が行われる事業者側顧客データベースの内容が、定期的に、前記集中監視・データサーバの側の監視側顧客データベースに自動反映される。前記顧客データには、少なくとも、顧客管理コード、顧客名、顧客住所、通信先である顧客側通信端末のメールアドレスおよび検針締日に関するデータが含まれており、前記日次データには、毎月の検針データ、保守・保管データが含まれており、前記詳細データには、一日の時間毎および用途別の検針値が含まれている。
【0010】
本発明によれば、管理会社側の集中監視・データサーバと各ガス事業者側の事業者サーバとの間の自動連携機能により、各ガス事業者の側において顧客データベースが更新されると、それが、自動的に管理会社側の顧客データベースに反映される。管理会社側において定期的に人手に頼って顧客データベースの更新作業を行う必要がなくなる。これにより、管理会社側の顧客データベースは、各ガス事業者側の顧客データベースとの整合性が確保され、不要となったガス需要家宅の監視が継続されることがなく、また、新たに必要となったガス需要家宅の監視作業が漏れてしまうこともなく、ガスの集中監視作業を常に適切に行うことができる。
【0011】
また、本発明のガスの集中監視方法では、前記ガス事業者が、事業者側通信端末を介して、前記集中監視・データサーバにアクセスしてオンライン会員の登録要求を送信すると、前記集中監視・データサーバは、受信した前記オンライン会員の登録要求の対象となる顧客に紐付けされたQRコード(登録商標)等の二次元コードを生成して、前記事業者側通信端末を介いて、前記ガス事業者に発行する。前記ガス事業者は、発行された前記二次元コードを、前記顧客住所に紙媒体に印刷された形態で通知する。前記顧客が、前記顧客側通信端末によって前記二次元コードを読み取り、前記集中監視・データサーバに送信して前記オンライン会員の登録要求を行うと、前記集中監視・データサーバは、受信した前記二次元コードに紐付けされている前記顧客を前記オンライン会員として、ログインIDおよびパスワードと共に前記監視側顧客データベースに登録し、前記通信先に、登録完了通知を送信し、前記監視側顧客データベースの更新内容が、前記自動連携機能により、前記事業者側顧客データベースに反映される。前記オンライン会員として登録された前記顧客は、前記顧客側通信端末を用いて前記集中監視・データサーバにアクセスして、前記集中監視・データサーバによって提供される検針票・請求書データ、日次データ・詳細データが閲覧可能になる。
【0012】
各顧客は希望する場合には、各顧客に紐付けされた二次元コードを利用してオンライン会員の登録を行うことができる。これにより、各顧客は、場所、時刻を問わず、希望する場合において、顧客携帯用端末を用いて、検針票・請求書データ、日次データ・詳細データを閲覧でき、自身のガスの使用状況等を知ることができるので便利である。また、管理会社の側では人手により問い合わせに返答する作業が不要になり、作業の効率化を達成できる。勿論、新規に顧客登録をする際に、同時にオンライン会員登録を行うことも可能である。
【0013】
次に、本発明のガスの集中監視方法では、前記集中監視・データサーバは、月毎に、各顧客についてガス検針票データおよびガス料金請求書データを含む請求データを、各顧客に紐付けした二次元コードのデータと共に生成して、前記請求データおよび前記二次元コードが印刷された圧着はがきを作成し、各顧客の住所に送付する。前記圧着はがきを受け取った前記顧客が、印刷されている前記二次元コードを前記顧客側通信端末によって読み取り、前記集中監視・データサーバに対してオンライン請求会員の登録要求を送信すると、前記集中監視・データサーバは、受信した前記二次元コードに紐付けされている前記顧客を前記オンライン請求会員として、ログインIDおよびパスワードと共に前記監視側顧客データベースに登録し、前記通信先に、登録完了通知を送信し、前記監視側顧客データベースの更新内容が、前記自動連携機能により、前記事業者側顧客データベースに反映される。前記集中監視・データサーバは、前記オンライン請求会員に対しては、前記圧着はがきを送る代わりに、前記通信先に、前記請求データを通知する。
【0014】
顧客にオンライン請求を利用してもらうことで、圧着はがきに用いた人手に頼った検針・請求データの通知作業を不要できる。また、各顧客の側では、圧着はがきを紛失してガス料金の支払いを忘れる等の不具合を解消できるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を適用したガスの集中監視システムの一例を示す概略構成図である。
図2】集中監視システムにおける顧客データの自動連携機能を示す説明図である。
図3】(A)は集中監視システムにおける検針・請求データ等をオンラインで閲覧可能なオンライン会員の登録手続きを示す説明図、(B)は顧客によるコンテンツ閲覧の流れを示す説明図である。
図4】集中監視システムにおいて顧客に提供される各種コンテンツを示す説明図である。
図5】集中監視システムにおける圧着はがきによる検針・請求データの送付、およびオンライン請求会員に対する検針・請求データの送付の手続きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明のガスの集中監視方法を用いたガスの集中監視システムの実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明を実施の形態の構成に限定することを意図したものではない。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係るガスの集中監視システムを示す概略構成図である。この図に示すように、ガスの集中監視システム1には、各ガス需要家宅2に設置されたガス供給システム3、各ガス需要家宅2にガスを供給するガス事業者4の側に設置された事業者システム5、各ガス事業者4に委託されて各ガス需要家宅2のガス使用状況を集中監視する管理会社6の側に設置された管理システム7が含まれている。各ガス需要家宅2のガス供給システム3と管理会社6の管理システム7との間は、一般通信回線網8、例えば携帯電話通信回線網を介して通信が行われる。管理システム7と各ガス事業者4の事業者システム5との間はVPNなどの通信網を介して通信が行われる。また、各顧客(ガス需要家)は、後述のように会員登録時等において所有するスマートフォン、パソコン等の顧客側通信端末9のメールアドレス等の通信先を登録することで、管理システム7等によって提供される各種のサービスを受けることができる。
【0018】
各ガス需要家宅2のガス供給システム3は、不図示のガス供給源からガスメータ31を介して各ガス機器32にガスを供給可能である。ガスメータ31は所謂、マイコンガスメータである。ガスメータ31は、ガス機器32に向けて供給されるガスを流すガス通路31aが配置され、ガス通路31aの途中位置に遮断弁31bが配置されている。
【0019】
ガス通路31aにおける遮断弁31bの下流側には、ここを流れるガスを計測する計測部31cが配置されている。計測部31cの計測値はコンピュータを中心に構成される制御ユニット31dに供給され、ガス流量、流量積算値が算出される。制御ユニット31dは通信部31eを備え、そのI/Oポートである通信端子31fに接続された通信用ケーブルを介して、メータ用通信機33との間で、一般的に行われる電文通信を行い、検針情報の送信、メータ発呼、各種の設定、遮断弁31bの開閉が行われる。
【0020】
ガスメータ31に接続して使用されるメータ用通信機33は、LPWA機器であり、制御ユニット33aと、ガスメータ31の通信部31eとの間で通信を行うメータ側通信部33bと、上位の集中監視・データサーバ70との間で通信を行う上位側通信部33cとを備えている。上位側通信部33cは、管理システム7との間で、LTEなどの携帯電話回線を介して、通信を行う。制御ユニット33aは、集中監視関連制御機能を備えており、メータ側通信部33bおよび上位側通信部33cを介して、ガスメータ31と集中監視センターとの間で行われる双方向通信(メータ発呼通報、検針情報を含む監視情報、ガスメータ31の設定指令、等)を仲介する。
【0021】
制御ユニット33aは、ガス通路31aを流れるガス流量を計測すると共に、計測値を、日毎、時間毎、および用途別の流量積算値に分計する分計機能を備えている。用途別とは、例えば、厨房用、暖房用、風呂用などの用途であり、このために、例えば、大流量カウンタ、長時間カウンタ、通常カウンタを備え、ガス流量を分計する。分計機能は公知であるので、その詳細は省略する。なお、このような機能は、次に述べる管理会社の集中監視・データサーバ70の側に持たせることもできる。
【0022】
管理会社6が運営する管理システム7は、集中監視・データサーバ70およびデータベース71(監視用顧客データベース)を備えており、各ガス需要家宅2におけるガスの使用状況を集中監視する。集中監視・データサーバ70は、ガス事業者4の事業者システム5との間でデータ連携を行うデータ連携機能72、各ガス需要家宅2でのガス使用の状況を集中監視する集中監視機能73、各ガス需要家宅2でのガス使用の状況等についてガス事業者4、各顧客に提供するコンテンツの作成・編集を行うコンテンツ作成・提供機能74、各ガス需要家宅2のメータ用通信機33および事業者システム5との間で通信を行う通信機能75などの各種の機能が備わっている。
【0023】
データベース71には、上記の各機能72~75を実現するために必要な各種のデータが登録される。登録データには、顧客データ、顧客毎のガス使用状況、各ガスメータの稼働状況(保守・保安データ)、ガス料金の算出に用いる料金メニューデータ、その他のデータが登録されている。ガス使用状況、ガスメータの稼働状況には、日次データ(毎月の検針・保安・保守データ)、詳細データ(一日の時間毎および用途別検針値等)が含まれている。顧客データには、顧客識別コード(顧客識別用二次元コード)、顧客名、顧客住所、メールアドレスなどの通信先、設置ガスメータおよび設置メータ用通信機に関するデータ、後述のオンライン会員登録、オンライン請求会員登録の有無を示すデータ、採用している料金メニューを示すデータ、その他のデータが含まれている。
【0024】
ガス事業者4の事業者システム5は、事業者サーバ50、データベース51(事業者側顧客データベース)、事業者サーバ50にLANなどを介して接続されているPC52(事業者側通信端末)などから構成される。事業者サーバ50は、データ連携機能50aを備えており、管理会社6の集中監視・データサーバ70との間でデータ連携を行い、ガス使用状況を表す日次データ、および、コンテンツ用データ(顧客データ、請求データ)について自動連携する。また、事業者サーバ50は、ガス料金算出機能50bを備えており、集中監視・データサーバ70から提供される、各ガス需要家宅2での検針結果等に基づき検針票データを作成する共にガス使用料金を算出して請求書データを作成する。作成されたデータは集中監視・データサーバ70に提供される。なお、集中監視・データサーバ70の側にガス料金算出機能を持たせることも可能である。
【0025】
データベース51には、顧客管理データ、ガス料金の請求・入金・売上管理データ、商品管理データ(ガスメータ、メータ用通信機等の管理データ)、保安管理データ、その他のデータが登録される。PC52は、事業者サーバ50と協働して、集中監視・販売管理システムとして機能する。PC52は、管理会社6の集中監視・データサーバ70の側から、検針データ(日次データ・詳細データ)、保守・保安データ、料金明細データ等の各種の集中監視用のデータを、VPNなどを介して、ダウンロード可能である。また、コンテンツ用データ(料金メニューデータ)を、必要に応じて、集中監視・データサーバ70にアップロード可能である。
【0026】
図2は、管理会社6の管理システム7とガス事業者4の事業者システム5との間におけるデータの流れを示す説明図である。
【0027】
ガスの集中監視システム1の利用に先立って、各ガス需要家宅2にガスを供給するガス事業者4のPC52から、各ガス需要家宅2を特定する顧客データおよびガス料金の算出に必要なガス料金メニュー等の請求データを含むコンテンツ用データが、集中監視・データサーバ70に提供される(矢印S1)。
【0028】
集中監視・データサーバ70は、提供されたコンテンツ用データをデータベース71に登録する(矢印S2)。集中監視・データサーバ70の集中監視機能73により、データベース71に登録された顧客データ等に基づき、各ガス需要家宅2に設置されたガスメータ31の検針・保安・保守データを含む日次データ・詳細データを、当該ガスメータ31に付設したメータ用通信機33を介して、収集すると共に、各ガス需要家宅2のガス使用状況を監視する(矢印S3)。
【0029】
集中監視・データサーバ70は、コンテンツ作成・提供機能74により、収集した日次データ・詳細データに基づき、各ガス需要家宅2でのガス使用の状況等についてガス事業者4、各顧客に提供するコンテンツの作成・編集を行う(ブロックS4)。
【0030】
後述するように、オンライン会員登録をしている顧客に対しては、コンテンツ作成・提供機能74によって、作成されたガス使用に関する各種のデータが、各顧客に提供される(矢印S5)。顧客は、例えば顧客ポータルサイトにアクセスして、提供されるデータを閲覧可能である。
【0031】
また、後述するように、オンライン請求会員として登録されている顧客に対しては、集中監視・データサーバ70は、コンテンツ作成・提供機能74により、各ガス需要家宅2の顧客データに含まれている通信先のメールアドレスに、ガスの使用明細データ(検針票データ)、ガス料金の請求データが通知される(矢印S6)。オンライン請求会員として登録されていない顧客に対しては、これらのデータが印刷された圧着はがきが郵送により送付される。
【0032】
ガス事業者4は、集中監視・データサーバ70の側で収集されたガスメータの検針・保安・保守データを含む日次データ・詳細データを、PC52を介してダウンロード可能である(矢印S7)。
【0033】
(データ自動連携)
データ連携機能72、50aが有効になっている場合には、管理会社6の集中監視・データサーバ70とガス事業者4の事業者サーバ50との間で、日次データおよびコンテンツ用データ(顧客データ、請求データなど)の自動連携が行われる。ガス事業者4の側のデータベース51において、新たな顧客データの登録、顧客データの更新などのコンテンツ用データの新規登録、更新がなされると、データ連携機能50aによって、これらの内容がSFTP等によって、集中監視・データサーバ70に自動提供される(矢印S8)。集中監視・データサーバ70の側のデータ連携機能72が起動して、提供された内容を、データベース71に自動的に反映させる。
【0034】
同様に、集中監視・データサーバ70の集中監視機能73によって収集された日次データ等のデータは、データ連携機能72によって、ガス事業者4の側の事業者サーバ50に自動的に提供される(矢印S9)。事業者サーバ50のデータ連携機能50aが起動して、提供された内容を、データベース51に反映させる。
【0035】
なお、顧客データには、少なくとも、顧客管理コード(二次元コード)、顧客名、顧客住所、メールアドレス等の通信先および検針締日に関するデータが含まれている。また、日次データには、毎月の検針データ、保守・保管データが含まれており、詳細データには、一日の時間毎および用途別の検針値が含まれている。
【0036】
次に、図3(A)は、集中監視システム1における顧客の登録手続きの流れを示す説明図である。集中監視システム1における顧客の登録手続きは、例えば次のように行われる。ガス事業者4は、新規の顧客の登録に当たり、事業者側のPC52を介して、管理会社6の管理システム7に、当該顧客の住所、氏名、設置ガスメータ、設置メータ通信機などに関するデータを提供する(矢印S31)。管理システム7の集中監視・データサーバ70は、提供された顧客データを仮登録し、当該顧客に紐付けされた顧客識別コードとして二次元コードを生成して、ガス事業者4の事業者側PC52に、例えば二次元コード付きPDFデータを送信する(矢印S32:二次元コード発行)。ガス事業者4は、発行された二次元コードを顧客に通知する。例えば、二次元コード付きのPDFデータを紙媒体に印刷して通知する(矢印S33)。
【0037】
なお、既に集中監視システム1に登録されている顧客をオンライン会員に登録する手続きは例えば次のように行われる。ガス事業者4が、事業者側通信端末であるPC52を介して、集中監視・データサーバ70にアクセスしてオンライン会員の登録要求を送信する。集中監視・データサーバ70は、データベース71に登録されているガス事業者4の顧客データの一覧を事業者側PC52に送信する。ガス事業者4が、PC52を介して、受信した顧客データの一覧からオンライン会員の登録希望の顧客を選択する。集中監視・データサーバ70は、選択された顧客に紐付けされた二次元コードを生成して、ガス事業者4に発行する。ガス事業者4は発行された二次元コードを、顧客に対して、登録されている通信先に電子データの形態で、あるいは、紙媒体に印刷した形態で通知する。
【0038】
次に、二次元コードを受け取った顧客(ガスユーザ)は、二次元コード読み取り機能を備えたスマートフォン、PC等の顧客側通信端末9を用いて、二次元コードを読み取り、管理会社6の管理システム7に対して会員登録の手続きを行う(矢印S34)。顧客側通信端末9を介して、二次元コードを用いて集中監視・データサーバ70にアクセスして、会員登録に必要なデータを送信する。会員登録データには、ログインID(メールアドレス)、電話番号、パスワード、生年月日、ニックネーム、性別等のデータが含まれている。集中監視・データサーバ70は会員登録の処理が完了すると、顧客の登録メールアドレス(登録された通信先)に登録完了の通知を送信し(矢印S35)、ガス事業者にも登録完了を通知する。
【0039】
(コンテンツの作成・提供)
ここで、先に述べたように、集中監視システム1においては、コンテンツ作成・提供機能74によって作成されたガス使用に関する各種のデータが、コンテンツ作成・提供機能74によって各顧客に提供可能である(図2の矢印S5)。提供されるコンテンツには、日次データ、詳細データその他のデータに関するコンテンツが含まれている。
【0040】
図3(B)は、オンライン会員登録された顧客に対する検針データ、請求データを含む各種コンテンツの提供の流れを示す説明図である。ガス事業者4は、事業者側のPC52を介して、顧客に提供する各種のコンテンツの作成に必要な情報を管理会社6の集中監視・データサーバ70に提供する(矢印S41)。集中監視・データサーバ70では、ガス需要家宅2のガスメータ31からメータ用通信機33を介して提供される日次データ、詳細データ、事業者サーバ50のガス料金算出機能50bから提供される各顧客のガス料金データ等に基づき、コンテンツ作成・提供機能74によって、事前に設定されているフォーマットで検針データ、請求データに関する各種コンテンツの作成、編集が行われる。作成されたコンテンツは、コンテンツ作成・提供機能74によって、顧客およびガス事業者に提供される。例えば、顧客は、管理システム7によって運営管理されるインターネット上の顧客ポータルサイトにアクセスすることで、コンテンツを閲覧できる(矢印S42)。また、ガスメータ31の遮断弁31bの強制遮断等の保安データ、月毎の検針データ、請求データに関するコンテンツは、例えば、登録先のメールアドレスにプッシュ通知を行うようになっている。プッシュ通知には、本文、リンク先のURL(顧客ポータルサイト)が設定される。プッシュ通知を受けた顧客は、顧客側通信端末9の画面に表示される通知バーをタップすることで、リンク先に遷移して、通知内容を確認できる。
【0041】
図4は、スマートフォン等の顧客側通信端末9に表示される提供画面の例を示す説明図である。図4(A)は顧客ポータルサイトにアクセスしてログインした際のメニュー画面の例である。このメニュー画面の各通知バーをタップすることで、顧客は、例えば、次のようなコンテンツの表示、問い合わせを行うことができる。
料金明細の表示(Web明細)
ガス使用量のグラフや比較データの表示
ガス事業者によるお勧めのガス器具等の商品内容等の案内
注文したい商品の連絡
保安点検の都合のよい日時の連絡
ガスに関する問い合わせ
【0042】
これらのコンテンツの表示、各種の問い合わせは、例えば、図4(B)~(G)に示す画面を介して行われる。図4(B)は料金明細(Web明細)の表示画面、図4(C)は各種のお知らせ一覧画面、図4(D)はお勧め商品の表示画面、図4(E)は毎日の使用グラフの表示画面、図4(F)はメータ遮断通知履歴の表示画面、図4(G)は点検予約・連絡事項の表示画面の一例をそれぞれ示す説明図である。
【0043】
(ガス料金のオンライン請求)
次に、管理会社6は、ガス事業者4に代わって、集中監視システム1を用いて、毎月、ガス料金を算出して請求書を顧客に発行する請求書発行手続きを行う。顧客は、請求書の発行形態として、紙ベースの請求とオンライン請求を選択できる。
【0044】
図5はガス料金の請求手続きの流れを示す説明図である。まず、従来から採用されている紙ベースの請求の場合には次のように行われる。集中監視・データサーバ70では、事業者サーバ50のガス料金算出機能50bから提供されるデータに基づき、月毎に、各顧客についてガス検針データおよびガス料金請求データを含む請求データを作成する(ブロックS51)。作成された請求データは、各顧客に紐付けしたQRコード(登録商標)等の二次元コードのデータと共に、予め設定されたフォーマットで、圧着はがきに印刷する。検針票および請求書(請求データ)と二次元コード102が印刷された圧着はがき101が、各顧客の登録住所に送付される。例えば、圧着はがきによるガス料金の請求手続きは、代行業者103によって行われる。圧着はがき101を受け取った顧客は、ガス料金の支払い手続きを行う。
【0045】
紙ベースの請求形態からオンライン請求形態に変更を希望する顧客は、次のようにしてオンライン請求に移行できる。この場合には、送付された圧着はがきに印刷されている二次元コード102を、顧客側通信端末9の二次元コード読み取り機能を起動して読み取り(矢印S52)、二次元コード102を用いて集中監視・データサーバ70にアクセスして、オンライン請求会員の登録要求を送信する(矢印S53)。
【0046】
集中監視・データサーバ70は、データベース71を更新し、受信した二次元コード102に紐付けされている顧客データに、オンライン請求会員である旨の情報を付加する。オンライン請求会員の登録が完了した後は、顧客のメールアドレスに登録完了を通知する(矢印S54)。監視側のデータベース71の更新内容は、ガス事業者4のPCに通知されると共に、データ連携機能72、50aにより、ガス事業者の側のデータベース51に自動的に反映される(矢印S55)。
【0047】
集中監視・データサーバ70は、オンライン請求会員として登録された顧客に対しては、次回から、圧着はがき101による請求を中止し、代わりに、登録されているメールアドレスに、請求データを送信する(S56:WEB請求)。あるいは、メールアドレスに、請求データが確定した旨のプッシュ通知を行い、当該顧客がアクセス可能な顧客ポータルサイト上に請求データを掲載する。
【0048】
以上説明したように、本例のガスの集中監視システム1においては、顧客データ、請求データを自動連携させて、管理会社側のデータベース71とガス事業者側のデータベース51に反映させることができる。これにより、人手に頼ることなく、集中監視・データサーバ70および事業者サーバ50はデータを共用できる。管理会社6の側では、各ガス事業者の顧客情報を、人手を介して、データベース71に登録して集中監視システム1を利用できるようにする手続きが不要になる。各ガス事業者の側では、人手を介さずに、データベース51の検針データ等が自動更新される。
【0049】
また、顧客は、所有するスマートフォン等の顧客側通信端末9を用いて、集中監視システム1の顧客ポータルサイトにアクセスして、検針データ、請求データなどに関する各種のコンテンツを閲覧できる。データ表示形態を、顧客に分かりやすいようにグラフ表示し、平易な用語を用いた説明文、連絡文を分かりやすく表示することで、顧客は、時間、場所を選ばずに、各種の情報にアクセスでき、また、表示、連絡内容を、簡単に知ることができる。
【0050】
さらに、本例の集中監視システム1においては、圧着はがきによるガス料金の請求を、顧客の希望に応じて、オンライン請求に変更できるようにしている。人手に頼る圧着はがきによる請求を無くすことで、請求手続きの効率化を図ることができる。また、顧客の側においても、検針票、請求書を、スマートフォン等の通信端末を用いて、いつでも確認できるので便利であり、請求書を紛失したためにガス料金支払いが滞るなどの事態を解消できる。
【符号の説明】
【0051】
1 集中監視システム
2 ガス需要家宅
3 ガス供給システム
4 ガス事業者
5 事業者システム
6 管理会社
7 管理システム
8 一般通信回線網
9 顧客側通信端末
31 ガスメータ
31a ガス通路
31b 遮断弁
31c 計測部
31d 制御ユニット
31e 通信部
31f 通信端子
32 ガス機器
33 メータ用通信機
33a 制御ユニット
33b メータ側通信部
33c 上位側通信部
50 事業者サーバ
50a データ連携機能
50b ガス料金算出機能
51 データベース
52 PC
70 集中監視・データサーバ
71 データベース
72 データ連携機能
73 集中監視機能
74 コンテンツ作成・提供機能
75 通信機能
101 圧着はがき
102 二次元コード
103 代行業者
図1
図2
図3
図4
図5