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  • 特開-包装箱 図1
  • 特開-包装箱 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089035
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20220608BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
B65D5/54 301R
B65D5/52 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201246
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 公三
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊哉
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BB03
3E060BC04
3E060CB16
3E060CB24
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE23
3E060CF05
3E060DA14
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】上半部を取り去る操作を短時間で行うことができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、前板4と、1対の側板3,5と、後板2とからなる高さ方向に延びる筒状体6と、底板7と、蓋板8と、筒状体6を周回する切目線9とを備え、小袋詰めの商品Gを前後に並べて収納できる。側板3,5の切目線9は、後板2の高さ方向の中央よりも上方から前板方向に向けて斜め上方に走り、前板4の手前で斜め下方に走り、その頂点が側面視前板側に偏った山形を形成して前板4の切目線9に接続される。前板4の切目線は、側板3,5が前板2に連接する部分から側板3,5の切目線9の延長線上に沿って斜め下方に走り、中央部において接続されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後板と、1対の側板と、該後板に対向する前板とからなる高さ方向に延びる筒状体と、該筒状体の底部を閉塞する底板と、該筒状体の天部を閉塞する蓋板と、該筒状体を周回する切目線とを備え、小袋詰めの商品を前後に並べて収納できる包装箱であって、
前記側板に形成された切目線は、該側板が後板に連接される部分の高さ方向の中央よりも上方から前板方向に向けて斜め上方に走り、前記前板の手前で斜め下方に走り、その頂点が側面視前板側に偏った山形を形成して前記前板に形成された切目線に接続され、
前記前板に形成された切目線は、前記側板が該前板に連接する部分から前記側板に形成された前記切目線の延長線上に沿って斜め下方に走り、中央部において接続されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装箱において、前記頂点の前後方向の位置は、前記商品のうち最前列に収納された商品の後端と一致またはそれよりも前板側に配置されることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前板と、1対の側板と、該前板に対向する後板とからなる筒状体と、該筒状体の底部を閉塞する底板と、該筒状体の天部を閉塞する蓋板とを備え、重量の軽い小袋詰めの食品や菓子等の商品を前後に並べて収納できる包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記包装箱では、前記筒状体を周回する1対の切目線を備え、該1対の切目線の間に形成された切取帯部を切り取って、上半部を取り去ることにより、下半部に収納されている前記商品が消費者に見える状態で展示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-27660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の包装箱では、上半部を取り去ることにより、下半部に収納されている前記商品が消費者に見える状態にするためには、前記1対の切目線の間に形成された切取帯部を切り取る必要があり、上半部を取り去る操作に時間が掛かるという不都合がある。
【0006】
本発明は、かかる不都合を解消して、上半部を取り去る操作を短時間で行うことができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の包装箱は、後板と、1対の側板と、該後板に対向する前板とからなる高さ方向に延びる筒状体と、該筒状体の底部を閉塞する底板と、該筒状体の天部を閉塞する蓋板と、該筒状体を周回する切目線とを備え、小袋詰めの商品を前後に並べて収納できる包装箱であって、前記側板に形成された切目線は、該側板が後板に連接される部分の高さ方向の中央よりも上方から前板方向に向けて斜め上方に走り、前記前板の手前で斜め下方に走り、その頂点が側面視前板側に偏った山形を形成して前記前板に形成された切目線に接続され、前記前板に形成された切目線は、前記側板が該前板に連接する部分から前記側板に形成された前記切目線の延長線上に沿って斜め下方に走り、中央部において接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の包装箱は、前板を床側につけた縦置き状態から、前板と底板との境界線を回転軸として底板を床側につけた平置き状態に倒しながら開封する際に好適である。
【0009】
すなわち、本発明の包装箱で上半部を取り去る操作を行うときには、縦置き状態の包装箱の上半部を作業者が把持した状態で、前板と底板との境界線を回転軸として下半部を床側に倒すことで、上半部と下半部とを相互に離反させ、切目線を後板側から破断していく。
【0010】
このとき、本発明の包装箱では、切目線で破断された後の下半部の側板が包装箱の高さ方向の中央よりも上方、すなわち、該包装箱に収納された商品に対しても高さ方向の半分より高い側壁となるため、縦置き状態から上半部を取り去り始めても商品がこぼれる可能性を低減することができる。
【0011】
また、包装箱の側板に形成された切目線は、前板方向に向けて斜め上方に走っているため、縦置き状態において包装箱内部で積み上げられた多数の商品のうち、土台となる前板側の商品がより高い側壁によって支持できることになり、縦置き状態から上半部を取り去り始めても商品がこぼれる可能性を低減することができる。
【0012】
よって、本発明の包装箱では、前板と底板との境界線を回転軸として縦置き状態から平置き状態に包装箱を回動させるだけで商品をこぼすことなく、ごく短時間で容易に上半部を取り去ることができる。
【0013】
また、本発明の包装箱において、前記頂点の前後方向の位置は、前記商品のうち最前列に収納された商品の後端と一致またはそれよりも前板側に配置されることが好ましい。
【0014】
この構成を備える包装箱によれば、縦置き状態において包装箱内部で積み上げられた多数の商品のうち、土台となる最前列の商品が少なくとも一部において包装箱の下半部の側壁のうち一番高い箇所で支持されるので、縦置き状態から上半部を取り去り始めても商品がこぼれる可能性をより低減することができるので、より迅速にごく短時間で容易に上半部を取り去ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の包装箱の一実施形態を示す展開図。
図2図1に示す展開図を組み立てて得られる包装箱を示す斜視図。
図3図2に示す包装箱の上半部を取り去って下半部に収容されている商品が見えるようになった状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0017】
本実施形態の包装箱1は、例えば重量の軽い小袋詰めの食品や菓子等の商品を前後に並べて収納する容器であり、図1に示すように、後板2と、第1の側板3と、後板2に対向する前板4と、第2の側板5とからなる筒状体6と、筒状体6の底部を閉塞する底板7と、筒状体6の天部を閉塞する蓋板8と、筒状体5を周回する第1の切目線9とを備えている。
【0018】
また、後板2、前板4はそれぞれ蓋板8の下に織り込まれるフラップとしての蓋受け片2a、4aを備えており、第2の側板5は後板2の内側に貼着されるフラップとしての側板糊代片5aを備えており、蓋板8は第1の側板4の内側に差し込まれるフラップとしての差込片8aを備えている。
【0019】
第1の切目線9は、概略、不連続な直線状の複数の単位切れ目が連続して直線上に配置されることにより形成される。
【0020】
第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9は、第1の側板4、第2の側板6が後板2に連接される部分の中央よりも上方から前板4方向に向けて第1の側板4、第2の側板6の斜め上方に走り、前板4の手前で斜め下方に走り、頂点が側面視前板4側に偏った山形を形成して、前板4の切目線9に接続している。この頂点は、前後方向の位置において、商品を前後に並べて収納した際に最前列になる商品の後端の位置とほぼ一致している。
【0021】
また、第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9は、中央部においては、倒V字状の補助切れ目が単位切れ目の後板側に接続されることで倒Y字状に形成され、上述した山形の頂点より前板側においては、「へ」の字状の補助切れ目が単位切れ目の後板側に接続されることでクランク状に形成されている。
【0022】
また、前板4に形成された第1の切目線9は、第1の側板4、第2の側板6が前板4に連接する部分から第1の側板4、第2の側板6に形成された第1の切目線9の延長線上に沿って斜め下方に走り、浅いU字状部に接続している。
【0023】
また、後板2に形成された第1の切目線9は、第1の側板4、第2の側板6が後板2に連接する部分から斜め下方に走り、中央部で連結して浅いV字状を形成している。
【0024】
後板2は、両側の第1の側板4、第2の側板6と連接する部分における第1の切目線9の端部を結ぶ折目線2bを備えており、第1の切目線9は折目線2bの一方の側(本実施形態では底板7側)に浅いV字状を形成している第1の切目線9と折目線2bに囲まれる、手指差込部10を備えている。また、手指差込部10は、第1の切目線9の浅いV字状の頂点と折目線2bとを繋ぐ第2の切目線10aを備えている。
【0025】
包装箱1は、例えば、図2に展開状態(外面側)で示す板紙11により作成することができる。
【0026】
型紙11は、図2に示す形状に打ち抜き形成されており、後板2の一方の側面に折目線12を介して連接される第1の側板3と、第1の側板3の後板2と反対側の側面に折目線13を介して連接される前板4と、前板4の第1の側板3と反対側の側面に折目線14を介して連接される第2の側板5と、第2の側板5の前板4と反対側の側面に折目線15を介して連接される側板糊代片5aとを備えている。
【0027】
また、型紙11は、後板2の折目線12と直交する一方の側面に折目線16を介して第1の底板片7aを備え、第1の側板3の折目線12、13と直交する一方の側面であって後板2が第1の底板片7aを備える側と同じ側の側面に折目線17を介して第2の底板片7bを備え、前板4の折目線13、14と直交する一方の側面であって後板2が第1の底板片7aを備える側と同じ側の側面に折目線18を介して第3の底板片7cを備え、第2の側板5の折目線14、15と直交する一方の側面であって後板2が第1の底板片7aを備える側と同じ側の側面に折目線19を介して第4の底板片7dを備えている。第2の底板片7bは、隣接する第1の底板片7a側に折目線20を介して第1の底板糊代片7eを備え、第4の底板片7dは、隣接する第3の底板片7c側に折目線21を介して第2の底板糊代片7fを備えている。
【0028】
また、型紙11は、後板2の第1の底板片7aと反対側の側面に折目線22を介して蓋受け片2aを備え、前板4の第3の底板片7cと反対側の側面に折目線23を介して蓋受け片4aを備え、第2の側板5の第4の底板片7dと反対側の側面に折目線24を介して蓋板8を備えている。蓋板8は、第2の側板5と反対側の側面に折目線8bを介して差込片8aを備えている。
【0029】
さらに、型紙11は、後板2、第1の側板3、前板4、第2の側板5、側板糊代片5aに、連続する第1の切目線9を備えている。ここで、型紙11は、後板2、第1の側板3、前板4、第2の側板5、側板糊代片5aが連接する方向が紙目となっており、第1の切目線9は該紙目方向に沿って形成されている。
【0030】
型紙11を用いて包装箱1を作成するときには、まず、折目線12、13、14、15に沿って、第1の側板3、前板4、第2の側板5、側板糊代片5aを包装箱1の内側となる側に折り曲げ、側板糊代片5aを後板2の内側の第1の側板3と反対側の側面に貼着することにより、図1に示す筒状部6を形成する。
【0031】
次に、折目線16、17、18、19に沿って、第1の底板片7a、第2の底板片7b、第3の底板片7c、第4の底板片7dを包装箱1の内側となる側に折り曲げる一方、第1の底板糊代片7eを第1の底板片7aの上に貼着し、第2の底板糊代片7fを第3の底板片7cの上に貼着する。そして、第1の底板糊代片7eを介して貼着された第1の底板片7a及び第2の底板片7bと、第2の底板糊代片7fを介して貼着された第3の底板片7c及び第4の底板片7dとを組合せることにより、底板7を形成する。
【0032】
次に、折目線22、23、24に沿って、蓋受け片2a、4a、蓋板8を包装箱1の内側となる側に折り曲げ、蓋板8が蓋受け片2a、4aの上に位置するようにする。そして、折目線8bに沿って、差込片8aを包装箱1の内側となる側に折り曲げ、第1の側板3の内側に差し込むことにより、図1に示す包装箱1が完成する。
【0033】
次いで、包装箱1の上半部を取り去る操作を行うときには、まず、前板4を机や床などに載置して縦置きする。そして、作業者が図1に示す包装箱1の後板2に形成されている手指差込部10に左右の手の一方の手の手指で内側に押圧する。このようにすると、手指差込部10を囲んでいる浅いV字状の第1の切目線9と、第2の切目線10aとが破断される一方、手指差込部10が折目線2bに沿って包装箱1の内側に折り曲げられて開口する。
【0034】
そこで、作業者が左右の手の一方の手(左手を例に説明する。)の手指で手指差込部10の折目線2b側を把持し、他方の手(右手を例に説明する。)の手指で手指差込部10の折目線2bと反対側の第1の切目線9が破断した部分を把持する。
【0035】
次いで、左手は把持したまま動かさず、前板4と底板7との境界線を回転軸として底板7を床側に近づける方向に右手を移動させ、両手の手指を相互に離反する側に移動させる。
【0036】
このようにすると、第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9は、後板2側から裂けて徐々に破断されていく。
【0037】
このとき、下半部1b側に残る第1の側板4及び第2の側板6は、包装箱1の高さ方向の中央よりも上方の(包装箱1に収納された商品Gに対しても高さ方向の半分より高い)側壁となるため、縦置き状態から上半部1aを取り去り始めても商品Gはこぼれ落ちにくい。
【0038】
また、包装箱1の第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9は、前板方向に向けて斜め上方に走っているため、縦置き状態において包装箱1の内部で積み上げられた多数の商品Gのうち、土台となる前板側の商品Gがより高い側壁によって支持されることになる。特に、山形を描いている第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9の頂点は、その前後方向の位置が商品Gのうち最前列に収納された商品Gの後端と一致しているため、一番基礎の土台となる最前列の商品Gが、少なくとも一部において下半部1bの側壁のうち一番高い箇所で支持される。よって、縦置き状態から上半部1aを取り去り始めても商品Gはこぼれ落ちにくい。
【0039】
さらに、右手を移動させて底板7を床側に近づけると、前板4の第1の切目線9は、第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9の延長線上に沿って形成されているため、スムーズに側縁側から中央に向かって破断されていく。
【0040】
最後に、前板4に形成された第1の切目線9の浅いU字状部の中央部の水平方向に延びる箇所が回転軸となることで前板4が2つに折り曲げられ、このU字状部が破断され、上半部1aを取り去られる。
【0041】
以上説明した通り、包装箱1では、縦置き状態から前板4と底板7との境界線を回転軸として平置き状態に包装箱1を回動させるように右手でけん引するだけで商品Gをこぼすことなく、ごく短時間で容易に上半部1aを取り去ることができる。
【0042】
この結果、図3に示すように、上半部1aが取り去られて残された下半部1bに収容された小袋詰めの食品や菓子等の商品Gを消費者に見える状態にすることができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、山形を描いている第1の側板4及び第2の側板6に形成された第1の切目線9の頂点は、その前後方向の位置が商品Gのうち最前列に収納された商品Gの後端と一致しているものを例に説明したが、この頂点は、商品Gの後端よりも前板側に配置されることがより好ましい。
【0044】
また、上記実施形態では、前板4に形成された第1の切目線9は中央部において浅いU字状部に接続しているが、中央部は水平方向に直線状に延びていてもよく、中央まで第1の側板4、第2の側板6に形成された第1の切目線9の延長線上に沿って斜め下方に走り、全体としてV字状に形成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、説明の容易化のため、左手は動かさない前提で説明したが、本発明はこれに限られず、右手を動かす際に左手も離間方向に動かしてさらにごく短時間で上半部1aを取り去ってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…包装箱、 2…後板、 3、5…側板、4…前板、 6…筒状体、 7…底板、 8…蓋板、 9…切目線。
図1
図2
図3