(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089044
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】袋シール装置及び袋シール方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/24 20060101AFI20220608BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G01M3/24 C
B65B51/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201262
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】松村 啓史
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 新一郎
(72)【発明者】
【氏名】長崎 恭次
【テーマコード(参考)】
2G067
3E094
【Fターム(参考)】
2G067AA47
2G067BB22
2G067BB30
2G067DD27
2G067EE05
3E094AA12
3E094CA06
3E094EA01
3E094FA03
3E094GA11
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】袋のシール処理の質を精度良く判定するのに有利な袋シール装置及び袋シール方法を提供する。
【解決手段】振動計測装置50は、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測する。判定装置は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定する。シール駆動装置23は、袋Bの種類に応じて決められる移動速度で、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から相対的に移動させて、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を支持する袋支持部と、
第1駆動源を具備し、前記袋支持部を間欠的に移動させて前記袋をシール処理位置に位置付ける支持駆動装置と、
開閉可能に設けられる第1シール部材及び第2シール部材であって、前記シール処理位置に前記袋が配置されている状態で閉位置に配置されて当該袋を挟みつつシール処理を行う第1シール部材及び第2シール部材と、
前記第1駆動源とは別個に設けられた第2駆動源を具備し、前記第1シール部材及び前記第2シール部材を開閉させるシール駆動装置と、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測する振動計測装置と、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材が前記閉位置に到達する前から前記閉位置に到達した後にわたる前記振動計測装置の計測結果に基づいて、前記シール処理の質を判定する判定装置と、を備え、
前記シール駆動装置は、前記袋の種類に応じて決められる移動速度で、前記第1シール部材及び前記第2シール部材を開位置から相対的に移動させて、前記第1シール部材及び前記第2シール部材を前記閉位置に配置する袋シール装置。
【請求項2】
前記振動計測装置の計測結果は、前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動の加速度に関する情報が含まれており、
前記判定装置は、前記振動計測装置の計測結果から導出される前記振動の加速度に関する情報に基づいて、前記シール処理の質を判定する請求項1に記載の袋シール装置。
【請求項3】
袋をシール処理位置に位置付ける工程と、
開位置から閉位置に相対的に移動させられた第1シール部材及び第2シール部材によって前記シール処理位置に配置されている前記袋を挟んで当該袋のシール処理を行う工程と、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動を振動計測装置によって計測する工程と、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材が前記閉位置に到達する前から前記閉位置に到達した後にわたる前記振動計測装置の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定装置によって判定する工程と、を含み、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材が前記開位置から相対移動させられて前記閉位置に置かれることにより、前記振動計測装置によって振動が計測される前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方において、前記第1シール部材及び前記第2シール部材が前記開位置に置かれている状態で生じる振動の加速度の絶対値よりも大きな絶対値の振動の加速度が示されるように、前記第1シール部材及び前記第2シール部材は前記開位置から前記閉位置に相対的に移動させられる袋シール方法。
【請求項4】
前記振動計測装置によって振動が計測される前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方において、前記第1シール部材及び前記第2シール部材が前記開位置から相対移動させられて前記閉位置に置かれることにより生じる振動の加速度の絶対値の最大値が、49.05m/s2以上である請求項3に記載の袋シール方法。
【請求項5】
前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、前記袋の種類に応じて決められる移動速度で、前記開位置から前記閉位置に相対的に移動させられる請求項3又は4に記載の袋シール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、袋シール装置及び袋シール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋を構成する2つのシート体(表シート体及び裏シート体)を互いに重ね合わせつつこれらのシート体を一対のシール部材により挟んだ状態で、一対のシール部材から2つのシート体に熱、高周波(電磁波)或いは超音波を加えることで2つのシート体を溶着してシール処理を行うことができる。
【0003】
シール処理を行う際、2つのシート体のシール予定箇所間に内容物等の異物が存在していると、2つのシート体を十分に溶着することができず、シール不良がもたらされうる。シール不良のために、十分なシール強度を確保できないことがあり、場合によっては内容物がシール不良箇所を介して漏れ出す懸念があり、また袋の外観も損なわれることがある。
【0004】
特許文献1は、密封体の振動(例えば加速度)を計測して、当該計測結果に基づいて密封体の動作状態を監視し、パッケージの密封品質を検査する装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の技術を間欠式袋詰め包装機に適用する場合、以下の懸念がある。
【0007】
間欠式袋詰め包装機が具備する従来のシール装置では、袋の搬送駆動と一対のシール部材の開閉駆動とが、共通の駆動源からの出力に応じて行われる。
【0008】
典型的には、共通駆動源の回転軸に対し、グリッパー等の袋支持部が外周部に設けられた回転テーブルが取り付けられるとともに、一対のシール部材の開閉機構の一部を成すカムが取り付けられる。この場合、回転軸が1回転することで、回転テーブル及びカムが1回転し、袋搬送の1サイクルが行われ、一対のシール部材の開閉動作の1サイクルが行われる。
【0009】
このように、一対のシール部材の動作がカムの回転動作に連動する場合、一対のシール部材の動作速度はカムの回転速度に依存し、一対のシール部材の開閉状態はカムの回転状態に依存する。そしてカムの回転速度及び回転状態は、共通駆動源の回転軸の回転速度及び回転状態に依存する。
【0010】
一方、袋支持部による袋の搬送速度及び搬送位置も、共通駆動源の回転軸の回転速度及び回転状態に依存する。したがって、袋支持部による袋の搬送速度及び搬送位置と、一対のシール部材の開閉速度及び開閉状態とは、互いに依存し合う関係にある。例えば、袋を間欠的に搬送及び停止させる場合、一対のシール部材は袋の搬送時(すなわち回転軸の間欠回転時)にのみ開閉移動を行い、袋の停止時(すなわち回転軸の間欠停止時)には開閉移動を行うことができない。
【0011】
そして、一連の袋詰め処理に含まれるシール処理には、一連の袋詰め処理に含まれる他の処理と同じ時間が割り当てられる。そのため、他の処理に合わせるように一対のシール部材が閉位置に置かれている時間が長くなると、袋のシール処理が過剰に行われてしまう懸念がある。
【0012】
また一連の袋詰め処理の1サイクルに要する時間が長くなるほど、共通駆動源の回転軸の回転速度が遅くなり、その結果、カムの回転速度も遅くなって、一対のシール部材の開閉速度も遅くなる傾向がある。一対のシール部材の開閉速度が遅くなると、シール処理時に一対のシール部材に生じる振動の変化も小さくなる。そのような場合には、計測されるシール部材の振動の変化に基づいて、シール処理の質を判定することが難しい場合がある。
【0013】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、袋のシール処理の質を精度良く判定するのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一態様は、袋を支持する袋支持部と、第1駆動源を具備し、袋支持部を間欠的に移動させて袋をシール処理位置に位置付ける支持駆動装置と、開閉可能に設けられる第1シール部材及び第2シール部材であって、シール処理位置に袋が配置されている状態で閉位置に配置されて当該袋を挟みつつシール処理を行う第1シール部材及び第2シール部材と、第1駆動源とは別個に設けられた第2駆動源を具備し、第1シール部材及び第2シール部材を開閉させるシール駆動装置と、第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測する振動計測装置と、第1シール部材及び第2シール部材が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定する判定装置と、を備え、シール駆動装置は、袋の種類に応じて決められる移動速度で、第1シール部材及び第2シール部材を開位置から相対的に移動させて、第1シール部材及び第2シール部材を閉位置に配置する袋シール装置に関する。
【0015】
振動計測装置の計測結果は、第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動の加速度に関する情報が含まれており、判定装置は、振動計測装置の計測結果から導出される振動の加速度に関する情報に基づいて、シール処理の質を判定してもよい。
【0016】
本開示の他の態様は、袋をシール処理位置に位置付ける工程と、開位置から閉位置に相対的に移動させられた第1シール部材及び第2シール部材によってシール処理位置に配置されている袋を挟んで当該袋のシール処理を行う工程と、第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動を振動計測装置によって計測する工程と、第1シール部材及び第2シール部材が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定装置によって判定する工程と、を含み、第1シール部材及び第2シール部材が開位置から相対移動させられて閉位置に置かれることにより、振動計測装置によって振動が計測される第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方において、第1シール部材及び第2シール部材が開位置に置かれている状態で生じる振動の加速度の絶対値よりも大きな絶対値の振動の加速度が示されるように、第1シール部材及び第2シール部材は開位置から閉位置に相対的に移動させられる袋シール方法に関する。
【0017】
振動計測装置によって振動が計測される第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方において、第1シール部材及び第2シール部材が開位置から相対移動させられて閉位置に置かれることにより生じる振動の加速度の絶対値の最大値が、49.05m/s2以上であってもよい。
【0018】
第1シール部材及び第2シール部材は、袋の種類に応じて決められる移動速度で、開位置から閉位置に相対的に移動させられてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、袋のシール処理の質を精度良く判定するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、包装処理装置の一例の概略を示す上面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る袋シール装置の側方図であり、開位置に配置されている第1シール部材及び第2シール部材が示されている。
【
図4】
図4は、
図2に示す袋シール装置の側方図であり、シール処理位置に位置付けられている袋と、閉位置に配置されている第1シール部材及び第2シール部材とが図示されている。
【
図5】
図5は、袋シール装置の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図2~
図4に示す振動計測装置の計測結果の一例を示し、縦軸は第1シール部材に生じている加速度(減速度を含む)を示し、横軸は時間を示す。
【
図7】
図7は、振動計測装置の計測結果の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。
【0022】
以下に説明する袋シール装置は、袋のシール処理を単独で行う装置として設けられてもよいし、1つの袋に対して複数の処理を連続的に行う袋処理装置(例えば包装処理装置)の一部として設けられていてもよい。
【0023】
図1は、包装処理装置80の一例の概略を示す上面図である。
図1に示す包装処理装置80は、袋供給装置81、袋引渡装置82(第1ステーションS1)、袋印字装置83(第2ステーションS2)、印字検査装置84(第3ステーションS3)、袋開口装置85(第4ステーションS4)、袋内容物投入装置86(第5ステーションS5)、袋シール装置10(第6ステーションS6及び第7ステーションS7)、シール部冷却装置88(第8ステーションS8)、袋放出装置89(第8ステーションS8)、及び袋排出装置90を備える。
【0024】
袋供給装置81は、新たな袋を包装処理装置80に順次供給する。袋引渡装置82は、袋供給装置81から支持駆動装置12への袋の引き渡しを行う。支持駆動装置12は、例えば回転テーブルを具備し、ステーション数と同じ数の袋支持部(例えばグリッパー)を搬送方向(円周方向)Drへ間欠的に移動させる。袋引渡装置82を介して引き渡され且つ支持駆動装置12(各袋支持部)により支持されている袋は、第1ステーションS1~第8ステーションS8を順次巡る。
【0025】
袋印字装置83は袋に印字を行い、印字検査装置84は袋の印字状態を検査する。袋開口装置85は袋の口部を開き、袋内容物投入装置86は開かれた口部を介して袋の内側に内容物を投入する。袋シール装置10は袋の口部をシール(特に加熱シール)し、シール部冷却装置88は袋のシール箇所を冷却する。袋放出装置89は、冷却後の袋を袋排出装置90に放出し、袋排出装置90は受け取った袋を後段に搬送する。
図1に示すシール部冷却装置88及び袋放出装置89は、同一装置によって実現されている。例えば、シール部冷却装置88及び袋放出装置89として機能する冷却放出装置の冷却板によって袋のシール箇所が把持されることで当該シール箇所が冷却され、当該冷却板が袋の把持を解放して袋を落下させることで袋が袋排出装置90に放出されてもよい。
【0026】
支持駆動装置12(各袋支持部)により支持されている各袋は、各ステーションで間欠的に停止している間に対応の装置によって処理を受ける。その結果、包装処理装置80は、情報が印字され、内容物を収容し、口部がシールされた袋(すなわち製品袋)を、連続的に、後段に向けて送り出すことができる。
【0027】
以下に説明する袋シール装置10は、
図1に示す包装処理装置80に対してだけではなく、
図1に示す包装処理装置80とは異なる構造の包装処理装置や他の装置に対しても適用可能である。例えば、袋シール装置10が高周波シールや超音波シールを行い且つシール部冷却装置88が設けられていない包装処理装置においても、以下に説明する袋シール装置10を用いることが可能である。
【0028】
図2は、一実施形態に係る袋シール装置10の側方図であり、開位置に配置されている第1シール部材21及び第2シール部材22が示されている。
図2では、理解を容易にするため、第2架台72、スタンド73、第1スライド支持ブロック74、第2スライド支持ブロック75は断面が示されており、スタンド73、第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロック75の内側の状態が図示されている。
【0029】
図3は、
図2に示す袋シール装置10の上面図である。
図4は、
図2に示す袋シール装置10の側方図であり、シール処理位置Psに位置付けられている袋Bと、閉位置に配置されている第1シール部材21及び第2シール部材22とが図示されている。
【0030】
図2~
図4に示す袋シール装置10は、袋Bの搬送のための駆動源と、第1シール部材21及び第2シール部材22の開閉移動のための駆動源とが、お互いに別個に設けられている。そのため、袋Bの搬送と、第1シール部材21及び第2シール部材22の開閉とを、お互いに独立して行うことができる。
【0031】
具体的には、袋シール装置10は、第1シール部材21及び第2シール部材22を開閉させるシール駆動装置23と、袋Bを支持する袋支持部11を移動させる支持駆動装置(
図2~
図4では図示省略)と、を備える。
【0032】
袋支持部11は、例えば袋Bの両側方部を把持するグリッパー等の形態を有する。
【0033】
支持駆動装置は、第1駆動源(
図2~
図4では図示省略)を具備し、袋支持部11を間欠的に移動させて袋Bをシール処理位置Ps(上述の
図1に示す第6ステーションS6及び第7ステーションS7に対応)に位置付ける。支持駆動装置の具体的な構成は限定されない。例えば、図示しないモーターにより第1駆動源を構成し、支持駆動装置は、当該モーターと、当該モーターの回転軸に取り付けられた回転テーブル(
図2参照)とを有してもよい。この場合、回転軸の回転に応じて、回転テーブルを回転させて、回転テーブルの外周部に取り付けられた1又は複数の袋支持部11を円周方向に移動させることができる。
【0034】
シール駆動装置23は、第1駆動源とは別個に設けられたサーボモーター等の第2駆動源24を具備する。
【0035】
図2~
図4に示す例では、第2駆動源24が第1架台70上の土台71に固定されている。第2駆動源24の回転軸24aには、第1揺動レバー25の一端部が固定的に取り付けられている。第1揺動レバー25は、回転軸24aの回転に応じて、回転軸24aを中心に揺動する。第1揺動レバー25の他端部には、連結軸26の一端部が回転自在に取り付けられている。連結軸26の他端部には、第2揺動レバー27が回転自在に取り付けられている。連結軸26は、第2架台72上に固定されたスタンド73の内側を通って高さ方向(重力が作用する鉛直方向に沿う方向)に延在する。
【0036】
第2揺動レバー27には、支持軸36が回転自在に取り付けられるとともに、第1進退軸28の一端部及び第2進退軸32の一端部が回転自在に取り付けられている。第2揺動レバー27は、支持軸36を中心に回転自在に設けられている。支持軸36は、
図3に示すように、スタンド73に取り付けられた支持体76に両端が固定されており、支持体76を介してスタンド73により固定的に支持されている。
【0037】
第1進退軸28の他端部には第1移動ブロック29が回転自在に取り付けられ、第1移動ブロック29は第1駆動軸30に固定されている。第2進退軸32の他端部には第2移動ブロック33が回転自在に取り付けられ、第2移動ブロック33は第2駆動軸34に固定されている。
【0038】
中空のスタンド73には、第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロック75が固定的に取り付けられている。第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロック75は、水平方向にお互いから離れた位置に設けられており、第1駆動軸30及び第2駆動軸34をスライド自在に支持しつつ水平方向に案内する。
【0039】
第1駆動軸30の一方の端部には、第1中継ブロック31を介して第1シール部材21が取り付けられている。第2駆動軸34の一方の端部には、第2中継ブロック35を介して第2シール部材22が取り付けられている。第1シール部材21及び第2シール部材22は、お互いに水平方向に対向しており、上述のシール駆動装置23により駆動されて開閉動作(本実施形態では水平移動動作)を行い、お互いに近づいたり、お互いから遠ざかったりする。
【0040】
例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置(
図2)に配置されている状態で、
図2において反時計回り方向へ回転軸24aが回転させられることにより、第1揺動レバー25が上向きに揺動させられる。これにより、連結軸26が上方に移動し、第2揺動レバー27が支持軸36を中心に時計回り方向に回転し、第1進退軸28及び第2進退軸32が、水平方向のうちお互いに逆向きの方向(対向方向)に移動する。具体的には、第1進退軸28が
図2の右方向に移動しつつ、第2進退軸32が
図2の左方向に移動する。
【0041】
その結果、第1移動ブロック29、第1駆動軸30及び第1中継ブロック31を介して第1進退軸28に取り付けられる第1シール部材21は、第1進退軸28と同じ方向(すなわち
図2の右方向)に移動する。第2移動ブロック33、第2駆動軸34及び第2中継ブロック35を介して第2進退軸32に取り付けられる第2シール部材22は、第2進退軸32と同じ方向(すなわち
図2の左方向)に移動する。
【0042】
これにより、
図4に示すように、第1シール部材21及び第2シール部材22は閉位置に配置される。シール処理位置Psに袋Bが配置されている状態で第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置される場合、第1シール部材21及び第2シール部材22は当該袋Bに接触しつつ、当該袋Bを挟んで両側から加圧する。第1シール部材21及び第2シール部材22は、このようにしてシール処理位置Psの袋Bを挟みつつ、シール処理(例えば熱シール、高周波シール或いは超音波シール)を行う。
【0043】
本実施形態の袋シール装置10は、更に、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測する振動計測装置50を備える。
【0044】
図2~
図4に示す例では、第1中継ブロック31に振動計測装置50が取り付けられている。当該振動計測装置50は、第1中継ブロック31を介し、第1シール部材21に生じている振動を計測する。振動計測装置50は、計測結果を制御盤51に送信する。
【0045】
図5は、袋シール装置10の制御構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
制御盤51には、振動計測装置50が電気的に接続されるとともに、支持駆動装置12の第1駆動源13及びシール駆動装置23の第2駆動源24が電気的に接続されている。
【0047】
図5に示す例において、制御盤51は、駆動制御部52、判定部53、表示部54、警報部55及び記憶部56を備える。
【0048】
駆動制御部52は、袋シール装置10の構成要素の駆動を制御する。例えば駆動制御部52の制御下で第1駆動源13が駆動することで、袋支持部11及び袋Bの移動速度や移動位置を調整することができる。また駆動制御部52の制御下で第2駆動源24が駆動することで、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対的な開閉速度や開閉位置を調整することができる。
【0049】
駆動制御部52は、
図2~
図4に示す例では第1駆動源13を制御するが、支持駆動装置12が具備する他の要素(例えば動力伝達調整デバイス(図示省略))を制御することで、袋支持部11の移動速度や移動位置を調整してもよい。同様に、シール駆動装置23が
図2~
図4に示す構造とは異なる構造を有する場合、駆動制御部52は、シール駆動装置23が具備する第2駆動源24以外の要素(例えば動力伝達調整デバイス(図示省略))を制御することで、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対的な開閉速度や開閉位置を調整してもよい。
【0050】
駆動制御部52による袋シール装置10の構成要素の具体的な制御方式は限定されないが、袋支持部11、第1シール部材21及び第2シール部材22が互いに連関して動作するように、駆動制御部52は制御を行う。例えば、駆動制御部52は、規則的な同期信号を支持駆動装置12(本実施形態では第1駆動源13)及びシール駆動装置23(本実施形態では第2駆動源24)に送信し、支持駆動装置12及びシール駆動装置23は受信した同期信号に基づくタイミングで、各種動作を自律的に実行してもよい。或いは、駆動制御部52は、様々な動作信号を所望タイミングで支持駆動装置12及びシール駆動装置23の各々に向けて発し、支持駆動装置12及びシール駆動装置23は、受信した動作信号に応じた動作を実行してもよい。
【0051】
判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定する。
【0052】
判定部53の判定結果は表示部54に表示されてもよいし、判定部53の判定結果に応じた警報が警報部55から発せられてもよいし、各袋B(例えば識別番号)と判定結果とを相互に対応付けたデータが記憶部56に記憶されてもよい。袋シール装置10の操作者は、表示部54の表示を確認したり、警報部55から発せられる警報を聞いたり、記憶部56に記憶されているデータにアクセスしたりすることによって、袋Bのシール処理の質の判定結果を知ることができる。
【0053】
[シール処理の質の判定例]
図6は、
図2~
図4に示す振動計測装置50の計測結果の一例を示し、縦軸は第1シール部材21に生じている加速度(減速度を含む)を示し、横軸は時間を示す。
【0054】
以下に説明する例では、第1中継ブロック31には第1シール部材21と実質的に同じ振動(例えば振動数及び振幅)が生じており、振動計測装置50の計測結果は第1シール部材21の振動の状態を示すものとみなされる。
【0055】
図6に示される波形状の結果において、横軸よりも上側に示される部分は、第1シール部材21に生じている加速度が、シール処理位置Psに位置する袋B(或いは第2シール部材22)から遠ざかる方向(水平方向)に働いていることを示す。一方、横軸よりも下側に示される部分は、第1シール部材21に生じている加速度が、シール処理位置Psに位置する袋B(或いは第2シール部材22)に近づく方向(水平方向)に働いていることを示す。
【0056】
図6において符号「C1」で示されるように、袋支持部11には、基本的に常に、ノイズ振動として認識される微振動が生じている。このノイズ振動は、様々な要因に基づいて袋支持部11に働き続ける。
【0057】
シール処理位置Psに配置されている袋Bのシール処理を行うために、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々は、開位置から閉位置に向かって移動し、その移動過程において急激に減速して、閉位置で停止する。すなわち、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置から移動して閉位置に配置されることによって、第1シール部材21及び第2シール部材22は袋Bを介してお互いに押し合った状態に置かれる。
【0058】
その結果、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々が閉位置で停止する際に、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々は、お互いから大きな力(特に衝撃的な荷重)を受けて、大きな加速度(減速度を含む)で振動する。
【0059】
第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に配置されている間、第1シール部材21には、ノイズ振動(
図6の符号「C1」参照)が生じているが、他の振動は生じてない。一方、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置で停止させられる際に、第1シール部材21及び第2シール部材22には、衝撃的な力が作用し、第1シール部材21及び第2シール部材22には、大きな絶対値を持つ振動加速度(
図6の符号「C2」参照)が作用する。
【0060】
このように、袋Bのシール処理を行うために第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されることによって、第1シール部材21及び第2シール部材22には大きな振動加速度が作用する。
【0061】
ただし、第1シール部材21と第2シール部材22との間(特にシール箇所間)における異物(内容物等)の有無に応じて、第1シール部材21及び第2シール部材22に作用する振動加速度の大きさは変わる。具体的には、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物がない場合に比べ、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物がある場合のほうが、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置される際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じる振動加速度の絶対値が小さくなる。これは、第1シール部材21と第2シール部材22との間の異物が、衝撃を緩和するクッションとして働くためである。
【0062】
本実施形態の判定部53(
図5参照)は、このようにして生じる第1シール部材21の振動の計測結果に基づいて、シール処理の際に第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物が存在していたか否かを判定し、ひいてはシール処理の良否を判定する。
【0063】
例えば、判定部53は、振動計測装置50の計測結果から、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得し、当該ピーク値Vmax(絶対値)が判定基準値Thを上回っているか否かによってシール処理の良否を判定することができる。振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが判定基準値Thを上回っている場合には、シール処理の際に第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物が存在せず、シール処理が良好に行われたと判定することができる。一方、振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが判定基準値Th以下の場合には、シール処理の際に第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物(特に、シール処理を阻害しうる異物)が存在し、シール処理不良が発生している可能性があると判定することができる。
【0064】
なお判定部53は、様々な手法を用いて、振動計測装置50の計測結果から、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得することが可能である。
【0065】
例えば、判定部53は、第1シール部材21に生じた振動加速度のうち、袋B(或いは第2シール部材22)から遠ざかる方向に働く加速度のみを対象として、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得してもよい。また判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されるタイミングの時間情報を考慮して、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得してもよい。判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されるタイミングの時間情報を、任意の方法で取得することができ、例えば駆動制御部52がシール駆動装置23(第2駆動源24)の駆動制御を行う際に使う情報に基づいて取得してもよい。
【0066】
またシール処理の良否を判定する際に用いられる判定基準値Th(すなわち第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxと比較される基準値)は、袋Bの種類や第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度等の様々な要因に基づいて、予め決定可能である。
【0067】
例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から閉位置に移動させる際の第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度が遅い場合、第1シール部材21及び第2シール部材22がお互いから受ける力(衝撃荷重)が小さくなる傾向がある。この場合、
図7に示すように、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが小さくなる(
図7の符号「C2」参照)。第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが、ノイズ振動(
図7の符号「C1」参照)の振動加速度の絶対値に近づくにしたがって、誤判定が起こりやすい。
【0068】
したがってシール処理の良否の誤判定を防ぐ観点からは、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxは、ノイズ振動の振動加速度の絶対値よりも十分に大きいことが好ましい。
【0069】
一般的な環境下で作動する一般的な構成の第1シール部材21及び第2シール部材22に作用するノイズ振動の振動加速度の絶対値は0.5G(4.905m/s2)前後であることが多い。したがって、例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxは、5G(49.05m/s2)以上であってもよいし、4G(39.24m/s2)以上であってもよいし、3G(29.43m/s2)以上であってもよいし、2G(19.62m/s2)以上であってもよいし、1G(9.81m/s2)以上であってもよい。
【0070】
また、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxは、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に配置されている間に第1シール部材21及び/又は第2シール部材22に生じる振動加速度の絶対値のピーク値の10倍以上であってもよい、8倍以上であってもよいし、6倍以上であってもよいし、4倍以上であってもよいし、2倍以上であってもよい。
【0071】
第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値として所望の値を達成させるために、例えば袋Bの種類に応じて、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度が決められてもよい。すなわちシール駆動装置23(第2駆動源24)は、袋Bの種類に応じて決められる移動速度で、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から相対的に移動させて、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置してもよい。
【0072】
次に、上述の袋シール装置10によって行われる袋シール処理方法の一例を説明する。以下に説明する袋シール処理方法は、袋シール装置10を構成する各種装置が制御盤51(特に駆動制御部52)により適宜制御されることによって、行われる。
【0073】
まず、支持駆動装置12によって袋支持部11が間欠的に移動させられて、袋Bがシール処理位置Psに配置される。
【0074】
その後、シール駆動装置23によって、第1シール部材21及び第2シール部材22が、シール処理位置Psにおいて間欠的に停止している袋Bに向けて移動させられる。この際、第1シール部材21及び第2シール部材22は加速するが、当該加速は第1シール部材21及び第2シール部材22の振動状態に殆ど影響を与えず、振動計測装置50の計測結果は基本的にノイズ振動の影響が支配的である。
【0075】
その後、第1シール部材21及び第2シール部材22は、閉位置において間欠的に停止し、シール処理位置Psに位置付けられた袋Bを挟んでシールする。この際、第1シール部材21及び第2シール部材22は袋Bを介してお互いに対して衝突して停止する。そのため、第1シール部材21及び第2シール部材22には衝撃的な力が作用し、進行方向とは逆向きの方向(すなわち袋Bから遠ざかる方向)へ大きな加速度が作用する。
【0076】
このようにして第1シール部材21及び第2シール部材22に作用する衝撃的な力によって第1シール部材21及び第2シール部材22には振動が生じ、第1シール部材21及び第2シール部材22に作用する加速度の向きは繰り返し切り替わる。このようにして生じる振動の影響は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置において間欠的に停止している間、少なくとも暫くは続く。ノイズ振動は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置で停止している間も、第1シール部材21及び第2シール部材22に作用し続ける。このように、閉位置に配置されている第1シール部材21及び第2シール部材22が停止しているように見える状態に置かれていても、実際には第1シール部材21及び第2シール部材22に振動が生じている。
【0077】
このようにして第1シール部材21に生じた振動は振動計測装置50により計測され、計測結果が振動計測装置50から制御盤51(特に判定部53)に送られる。そして判定部53は、振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の良否を判定し、必要に応じて、表示部54に判定結果を表示させたり、警報部55に警報を発せさせたり、記憶部56に判定結果を記憶したりする。
【0078】
袋Bは、シール処理が完了した後に、袋支持部11とともにシール処理位置Psから移動する。
【0079】
図示は省略するが、袋シール装置10は、判定部53の判定結果に基づいて、袋Bの搬送ルートを変えてもよい。例えば、シール不良が生じていると判定された袋Bは、後段に運ばれないように、袋支持部11から放出されてもよい。一例として、駆動制御部52の制御下で駆動する袋支持部11が、シール不良が生じていると判定された袋Bの支持を解放して袋Bを落下させることで、当該袋Bが後段に送られるのを防いでもよい。また駆動制御部52の制御下で駆動する袋支持部11は、シール不良が生じていると判定された袋Bの搬送先を、シール処理が良好に行われたと判定された袋Bの搬送先と変えてもよい。
【0080】
以上説明したように上述の袋シール装置10は、袋Bを支持する袋支持部11と、第1駆動源13を具備し、袋支持部11を間欠的に移動させて袋Bをシール処理位置Psに位置付ける支持駆動装置12と、開閉可能に設けられる第1シール部材21及び第2シール部材22であって、シール処理位置Psに袋Bが配置されている状態で閉位置に配置されて当該袋Bを挟みつつシール処理を行う第1シール部材21及び第2シール部材22と、第1駆動源13とは別個に設けられた第2駆動源24を具備し、第1シール部材21及び第2シール部材22を開閉させるシール駆動装置23と、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測する振動計測装置50と、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定する判定部(判定装置)53と、を備え、シール駆動装置23は、袋Bの種類に応じて決められる移動速度で、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から相対的に移動させて、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する。
【0081】
この袋シール装置10によれば、第1駆動源13とは別個に設けられた第2駆動源24を具備するシール駆動装置23によって第1シール部材21及び第2シール部材22は開閉させられる。また袋Bの種類に応じて決められる移動速度で、第1シール部材21及び第2シール部材22は開位置から相対的に移動させられて、第1シール部材21及び第2シール部材22は閉位置に配置する。そのため、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に、第1シール部材21及び第2シール部材22において所望状態(加速度等)の振動を生じさせることが可能である。したがって上述の袋シール装置10は、振動計測装置50の計測結果から袋のシール処理の質を精度良く判定するのに有利である。
【0082】
また振動計測装置50の計測結果は、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動の加速度に関する情報が含まれており、判定部53は、振動計測装置50の計測結果から導出される振動の加速度に関する情報に基づいて、シール処理の質を判定する。
【0083】
これにより、袋のシール処理の質を精度良く判定することができる。
【0084】
また上述の袋シール処理方法は、袋Bをシール処理位置Psに位置付ける工程と、開位置から閉位置に相対的に移動させられた第1シール部材21及び第2シール部材22によってシール処理位置Psに配置されている袋Bを挟んで当該袋Bのシール処理を行う工程と、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動を振動計測装置50によって計測する工程と、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定部53によって判定する工程と、を含み、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置から相対移動させられて閉位置に置かれることにより、振動計測装置50によって振動が計測される第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方において、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に置かれている状態で生じる振動の加速度の絶対値よりも大きな絶対値の振動の加速度が示されるように、第1シール部材21及び第2シール部材22は開位置から閉位置に相対的に移動させられる。
【0085】
この袋シール方法によれば、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に置かれている状態で生じる振動の加速度の絶対値よりも大きな絶対値の振動の加速度が示されるように、第1シール部材21及び第2シール部材22は開位置から閉位置に相対的に移動させられる。そのため振動計測装置50の計測結果から、袋のシール処理の質を精度良く判定するのに有利である。
【0086】
なお振動計測装置50によって振動が計測される第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方において、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置から相対移動させられて閉位置に置かれることにより生じる振動の加速度の絶対値の最大値が、49.05m/s2以上であってもよい。
【0087】
この場合、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に置かれることで第1シール部材21及び第2シール部材22に作用する衝撃荷重に起因する振動を、ノイズ振動から明確に区別しやすくなり、判定誤差を効果的に回避できる。
【0088】
また第1シール部材21及び第2シール部材22は、袋Bの種類に応じて決められる移動速度で、開位置から閉位置に相対的に移動させられる。
【0089】
この場合、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に、第1シール部材21及び第2シール部材22において所望加速度の振動を生じさせることができ、袋のシール処理の質を精度良く判定することができる。
【0090】
[変形例]
上述の実施形態では、振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxに基づいてシール処理の良否が判定されているが、第1シール部材21及び/又は第2シール部材22に生じた振動の他の状態量に基づいて、シール処理の良否が判定されてもよい。
【0091】
判定部53は、例えば、振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを示す前後における、単位時間当たりの振動加速度の変化量に基づいて、シール処理の良否を判定してもよい。一般に、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物がない場合に比べ、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物がある場合のほうが、単位時間当たりの振動加速度の変化量が小さくなる傾向がある。
【0092】
そこで判定部53は、振動計測装置50の計測結果から得られる第1シール部材21及び/又は第2シール部材22の単位時間当たりの振動加速度の変化量(例えば、振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを示す前後における、単位時間当たりの振動加速度の変化量)が判定基準値よりも大きいか否かに基づいて、シール処理の良否を判定してもよい。すなわち判定部53は、単位時間当たりの振動加速度の変化量が判定基準値よりも大きい場合には、シール処理が良好に行われたと判定し、単位時間当たりの振動加速度の変化量が判定基準値以下の場合には、シール不良が生じている可能性があると判定してもよい。
【0093】
上述の実施形態では、第1シール部材21に生じている振動の状態量(上述の実施形態では加速度)を振動計測装置50により計測してシール処理の良否判定に用いているが、第2シール部材22に生じている振動の状態量を振動計測装置50により計測してシール処理の良否判定に用いてもよい。また、第1シール部材21及び第2シール部材22の両方に生じている振動の状態量を、振動計測装置50により計測してシール処理の良否判定に用いてもよい。
【0094】
第1シール部材21及び第2シール部材22は、上述の実施形態のように単一の駆動源(すなわち第2駆動源24)によって開閉移動させられてもよいし、それぞれ別個に設けられた駆動源によって開閉移動させられてもよい。また第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの一方のみが移動させられることによって、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対的な開閉移動が行われてもよい。
【0095】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間において部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0096】
10 袋シール装置、11 袋支持部、12 支持駆動装置、13 第1駆動源、21 第1シール部材、22 第2シール部材、23 シール駆動装置、24 第2駆動源、24a 回転軸、25 第1揺動レバー、26 連結軸、27 第2揺動レバー、28 第1進退軸、29 第1移動ブロック、30 第1駆動軸、31 第1中継ブロック、32 第2進退軸、33 第2移動ブロック、34 第2駆動軸、35 第2中継ブロック、36 支持軸、50 振動計測装置、51 制御盤、52 駆動制御部、53 判定部、54 表示部、55 警報部、56 記憶部、70 第1架台、71 土台、72 第2架台、73 スタンド、74 第1スライド支持ブロック、75 第2スライド支持ブロック、76 支持体、80 包装処理装置、81 袋供給装置、82 袋引渡装置、83 袋印字装置、84 印字検査装置、85 袋開口装置、86 袋内容物投入装置、88 シール部冷却装置、89 袋放出装置、90 袋排出装置、B 袋、Dr 搬送方向、Ps シール処理位置、S1 第1ステーション、S2 第2ステーション、S3 第3ステーション、S4 第4ステーション、S5 第5ステーション、S6 第6ステーション、S7 第7ステーション、S8 第8ステーション、Th 判定基準値、Vmax ピーク値
【手続補正書】
【提出日】2021-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
支持駆動装置は、第1駆動源(
図2~
図4では図示省略)を具備し、袋支持部11を間欠的に移動させて袋Bをシール処理位置Ps(上述の
図1に示す第6ステーションS6及び第7ステーションS7に対応)に位置付ける。支持駆動装置の具体的な構成は限定されない。例えば、図示しないモーターにより第1駆動源を構成し、支持駆動装置は、当該モーターと、当該モーターの回転軸に取り付けられた回転テーブル(図
1参照)とを有してもよい。この場合、回転軸の回転に応じて、回転テーブルを回転させて、回転テーブルの外周部に取り付けられた1又は複数の袋支持部11を円周方向に移動させることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から閉位置に移動させる際の第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度が遅い場合、第1シール部材21及び第2シール部材22がお互いから受ける力(衝撃荷重)が小さくなる傾向がある。この場合、
図7に示すように、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが小さくなる(
図7の符号「C2」参照)。第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが、ノイズ振
動の振動加速度の絶対値に近づくにしたがって、誤判定が起こりやすい。